特許第5921766号(P5921766)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許5921766-車両シート 図000002
  • 特許5921766-車両シート 図000003
  • 特許5921766-車両シート 図000004
  • 特許5921766-車両シート 図000005
  • 特許5921766-車両シート 図000006
  • 特許5921766-車両シート 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5921766
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】車両シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20160510BHJP
   B60N 2/16 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   B60N2/68
   B60N2/16
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-511601(P2015-511601)
(86)(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公表番号】特表2015-517431(P2015-517431A)
(43)【公表日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】US2013039856
(87)【国際公開番号】WO2013169715
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2014年12月19日
(31)【優先権主張番号】61/643,587
(32)【優先日】2012年5月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】リネンブリンク、 イェルク
(72)【発明者】
【氏名】キーンケ、 インゴ
(72)【発明者】
【氏名】リーデル、 ウルリッヒ
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−006038(JP,A)
【文献】 特開昭59−177009(JP,A)
【文献】 実開昭62−075735(JP,U)
【文献】 特開2005−289187(JP,A)
【文献】 特開昭60−008121(JP,A)
【文献】 実開昭57−143930(JP,U)
【文献】 実開平04−115448(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/68
B60N 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部(2)と背もたれ(3)とを有する車両シート(1)であって、
シートシェル(41)が前記座部(2)の支持構造体(44)の側部に対して移動可能に設けられており、
前記シートシェル(41)の高さ調節装置が前記座部(2)の支持構造体(44)の側部に組み込まれ、
前記高さ調節装置が少なくとも1つのばね要素(40)を含み、
前記座部(2)の支持構造体(44)の側部前記少なくとも1つのばね要素(40を一体的に有する車両シート(1)。
【請求項2】
前記座部(2)及び/又は前記背もたれ(3)が繊維強化プラスチック材料から製造される請求項1に記載の車両シート(1)。
【請求項3】
少なくとも前記座部(2)の支持構造体(44)の側部単一部品として作られている、請求項1又は2に記載の車両シート(1)。
【請求項4】
前記座部(2)前記シートシェル(41)一体的に有する請求項1から3のいずれか1項に記載の車両シート(1)。
【請求項5】
前記シートシェル(41)がばね要素を一体的に備える請求項4に記載の車両シート(1)。
【請求項6】
前記座部(2)の支持構造体(44)の側部が前後方向調節装置のアッパーレール(43)と一体的に設けられる請求項1からのいずれか1項に記載の車両シート(1)。
【請求項7】
前後方向調節装置のアッパーレール(43)前記車両シートの支持構造体(44)一体的に設けられる請求項1からのいずれか1項に記載の車両シート(1)。
【請求項8】
前記シートシェル(41)の後方領域が、前記座部(2)の支持構造体(44)の側部に対して高さを調節可能である請求項1からのいずれか1項に記載の車両シート(1)。
【請求項9】
前記座部(2)の支持構造体(44)がクロスメンバー(42)を有し、前記シートシェル(41)は前部衝突の際に前記クロスメンバー(42)に支持される請求項1からのいずれか1項に記載の車両シート(1)。
【請求項10】
前記座部(2)及び/又は前記背もたれ(3)が粒子(70)で満たされたクッションを有する請求項1からのいずれか1項に記載の車両シート(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座部と背もたれとを備え、一体的に作られた構造体を有する車両シートに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2012年5月7日出願の米国出願第61/643587号の優先権を主張するものであり、この米国出願の全内容が参照により本明細書に含まれるものとする。
【0003】
このような車両シートは、特許文献1から知られている。自動車工学では、このような車両シートをより容易に且つ/又はコスト効率良く製造することが可能になるという継続的な要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102011106219号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、上記要件を満たす車両シート又は車両シートの個々の構成要素を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、座部と背もたれとを有する車両シートであって、座部及び/又は背もたれ、特にその側部の支持構造体が少なくとも1つのばね要素、ピボット点及び/又は安全ベルト接続部を一体的に有する車両シートによって達成される。
【0007】
本発明は、座部と背もたれとを有する車両シートに関する。
【0008】
本発明によれば、座部及び/又は背もたれ、特にその側部の支持構造体が、少なくとも1つのばね要素、傾き調節装置の一部及び/又は安全ベルト接続部を一体的に有する。
【0009】
好ましくは、座部及び/又は背もたれは、プラスチック材料、特に繊維強化プラスチック材料から製造される。座部及び/又は背もたれは、好ましくは、樹脂によって結合された繊維構造体を提供することにより製造される。構造体は、変形することなくツールから構造体を取り外すことができるくらい堅くなるとすぐに、好ましくはプラスチック材料をオーバーモールドされる。
【0010】
好ましい実施形態では、座部及び/又は背もたれの側部の少なくとも支持構造体は、一体的に、すなわち単一部品として設けられる。
【0011】
好ましい実施形態では、座部及び/又は背もたれはシートシェル及び/又はクロスメンバーを一体的に有する。好ましくは、シートシェルはばね要素を一体的に備える。好ましくは、シートシェルは、例えば、側部とシートシェルとの間及び/又は側部自体にあるばね要素によって、座部の支持構造体の側部に対して移動可能に設けられる。
【0012】
好ましくは、シートシェルの高さ調節装置は、座部の支持構造体の側部に組み込まれる。より好ましくは、シートシェルの後方及び/又は前方領域は、座部の支持構造体の側部に対して高さを調節可能である。
【0013】
例えば、座部の側部にばねが設けられ且つ伸ばされ、その結果としてシートシェルが上昇する。好ましくは、側部は少なくとも1つのくさび形面を有し、くさび形面に沿って要素が移動させられ、その過程でクッションシェルを上昇及び下降させる。
【0014】
好ましくは、座部の支持構造体はクロスメンバーを一体的に有し、シートシェルは前部衝突の際にクロスメンバーに支持される。
【0015】
好ましくは、座部の支持構造体の側部が、前後方向シート調節装置のアッパーレールと一体的に設けられる。
【0016】
好ましくは、背もたれが、傾き調節装置の少なくとも一部を一体的に有し、且つ/又はヘッドレストの少なくとも一部を一体的に有する。
【0017】
本発明によれば、車両シート全体を、特にプラスチック材料、好ましくは繊維強化プラスチック材料から一体的に製造することも可能である。
【0018】
本発明の他の好ましい又は独創的な実施形態は、座部及び/又は背もたれが粒子で満たされたクッションを有する車両シートである。
【0019】
これらの粒子により、クッションは乗員の臀部及び/又は背中の形状に適合する。好ましくは、粒子は、クッション内でのそれらの移動が制限されるように、区画内に設けられる。粒子は、発泡スチロールなどから作ることができる。
【0020】
本発明は、図1〜5に基づいて以下の本文で説明される。これらの説明は、例示に過ぎず、本発明の一般概念を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一体的な座部を概略的に示す。
図1a】一体的な座部を概略的に示す。
図2】ばね要素を有するシートシェルを示す。
図3図1及び1aに係る座部の構造体の製造を示す。
図4図1及び1aに係る座部の構造体の製造を示す。
図5】粒子を有するクッションを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
互いに対応する部分には、図面のすべてにおいて同じ符号が付されている。
【0023】
本発明は、座部2と背もたれ3とを有し、背もたれが、背もたれをその使用から例えばイージーエントリー位置へ移動させることができるように、且つ/又は快適さのために背もたれの傾きを調節するために、旋回可能に座部に設けられた車両シート1に関する。シートは、好ましくは前後方向調節装置を備える。
【0024】
図1に示す本発明に係る車両シート1の実施形態では、座部2の少なくとも構造体が、一体的に構成され、すなわち単一部品として作られる。好ましくは、座部2は、プラスチック部品として、特に繊維強化プラスチック部品として構成される。座部2の側部には、前後方向調節装置4に属するアッパーレール43が一体的に配置される。また、座部2の側部は、少なくとも1つのばね要素40を有し、シートシェル41とアッパーレール43との間の距離Δhが変更された結果、ばね要素40が弾性的に伸張又は収縮するという点で、ばね要素によってシートシェル41の高さ調節をもたらすことができる。好ましくは、2つのばね要素40は異なるばね特性を有し、特に好ましくは、着座者の後方の領域にあるばねは、大腿部レストの領域にあるばねよりも硬いばね特性を有する。また、座部の側部に歯部16が一体的に設けられ、前記歯部16は本発明に係る車両シートのリクライナの一部である。さらに、本発明に係る車両シートは、2つのクロスメンバー42を一体的に有し、クロスメンバーは、座部の右側及び左側に配置された2つの側部を互いに接続する。また、背もたれ3の旋回軸は、座部2に一体的に配置される。さらに、座部は、好ましくは、背もたれのピボット軸受Pを一体的に有する。座部2はまた、シートシェル41とばね要素31とを一体的に備え、ばね要素は背もたれと座部との間に設けられる。
【0025】
aは、実質的に図による実施形態を示し、この例では、背もたれ3の傾斜角度の調節とシートシェルの高さ調節が示されている。傾き調節装置は、不連続な又は連続的な調節装置であることができる。レバーの動きは、例えば、背もたれの調節のロックを解除することができ、乗員はその後自分の体に合わせて背もたれの傾きを調節する。代わりに又は加えて、レバーは歯車を駆動することができ、歯車は歯部16上を転動し、結果として背もたれの傾きを調節する。当業者は、少なくとも1つの、好ましくは2つの歯車が歯部16と噛み合うという点において、調節を電動式に行うこともできることを理解するであろう。高さは、好ましくはハンドホイール59によって調節され、ハンドホイールは、例えば、シートシェルを上向きに押すカムを駆動する。この調節装置は、「潜り込み現象」に関して座部に十分な安定性を与えるために、座部の前方3分の1に設けられる。高さ調節が作動すると、ばね40が伸ばされる。シートシェルは、ばね40によって下降位置に戻される。調節機構59に力伝達手段60を連結することができ、ハンドホイールを作動させると、前記力伝達手段60が着座者の後部の領域でばねを作動させるので、前記ばねのばね偏位は前方のばねのばね偏位と異なる。結果として、ばね40の伸展を別々に行うことができる。
【0026】
図2は、一体的に設けられたばね要素40を有するシートシェル41を示す。これにより、必要とされる部品の数が減少する。
【0027】
図3及び図4は、座部の製造を示す。図3から分かるように、ツール内に、樹脂で固定された繊維構造体が設けられる。構造体がもはや変形しないように樹脂が十分に固化するとすぐに、構造体はツールから取り外され、第2ツール内で又は槽内でプラスチック層をオーバーモールドされる。
【0028】
図5は、本発明のさらに別の実施形態を示す。ここでは、クッションが座席構造体とカバーとの間に多数の粒子を備えるので、クッションは着座者の臀部及び/又は背中の形状に適合する。
【符号の説明】
【0029】
1 車両シート
2 座部
3 背もたれ
4 前後方向調節装置
5 傾き調節装置
6 調節レバー
15 側部
16 歯部
31 ばね手段
40 ばね手段、高さ調節装置
41 シートシェル
42 クロスメンバー
43 アッパーレール
44 支持構造体
45 高さ調節装置の前方部分
46 高さ調節装置の後方部分、シートシェルの高さ調節装置の後方部分
59 高さ調節装置
60 力伝達手段、ケーブル
70 粒子
P ピボット点、旋回軸
Δh 高さ調節の量
図1
図1a
図2
図3
図4
図5