特許第5921767号(P5921767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5921767
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】車両座席の垂直調整用の座席調整装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/16 20060101AFI20160510BHJP
【FI】
   B60N2/16
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-511603(P2015-511603)
(86)(22)【出願日】2013年5月7日
(65)【公表番号】特表2015-515946(P2015-515946A)
(43)【公表日】2015年6月4日
(86)【国際出願番号】US2013039860
(87)【国際公開番号】WO2013169718
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2014年12月18日
(31)【優先権主張番号】61/643,587
(32)【優先日】2012年5月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/803,834
(32)【優先日】2013年3月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598147400
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Johnson Controls Technology Company
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】サイボルト、 カート
(72)【発明者】
【氏名】バリン、 アレクサンダー アイ.
(72)【発明者】
【氏名】キーンケ、 インゴ
(72)【発明者】
【氏名】リネンブリンク、 イェルク
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−028043(JP,U)
【文献】 独国特許出願公開第03937818(DE,A1)
【文献】 特開2003−341393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体(40)に対して座席要素(20)の高さを調整する座席調整装置であって、
座席要素(20)は構造体(20’)を備え、
座席要素(20)の高さの調整の間、座席要素(20)の動きを制限するガイド手段(21)が構造体(20’)に設けられ、
さらに、構造要素(13)を含むブラケット(12)と、
ブラケット(12)と構造体(20’)との間に配置される変位手段(14)とを備え、
構造要素(13)は変位手段(14)の長穴(15)及びガイド手段(21)と係合し、
ガイド手段(21)は長穴であり、その主延伸方向は垂直方向に平行であり、変位手段(14)の長穴(15)の主延伸方向は水平方向に対して傾けられ、
変位手段(14)が概ね水平方向に動き、それによって座席要素(20)を昇降し、ガイド手段(21)は、座席要素(20)の動きを、概ね垂直方向に制限する
ことを特徴とする座席調整装置。
【請求項2】
構造要素(13)はガイド手段(21)を介して延びるチューブ(13)であることを特徴とする請求項記載の座席調整装置。
【請求項3】
ガイド手段(21)に対して変位手段(14)の長穴(15)傾けられる請求項記載の座席調整装置。
【請求項4】
ガイド手段(21)は大腿部レストの領域に設けられることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の座席調整装置。
【請求項5】
座席要素(20)の後部領域(46)は車両本体(40)に対して高さが調整されることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の座席調整装置。
【請求項6】
後部領域(46)は座席要素(20)の後部領域(46)を昇降する、旋回レバーを備えることを特徴とする請求項記載の座席調整装置。
【請求項7】
座席要素(20)の構造体(20’)の後部領域ガイド手段(21’)を備えることを特徴とする請求項記載の座席調整装置。
【請求項8】
変位手段(14)は後部領域(46)長穴(15’)を備えることを特徴とする請求項記載の座席調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2012年5月7日に出願された、米国特許出願第61/643,587号明細書及び2013年3月31日に出願された、米国特許出願第61/803,834号明細書の優先権を主張し、参照として援用する。
【0002】
本発明は、特に自動車の座席の垂直調整用の座席調整装置に関する。
【0003】
座席調整装置は座席又は座席クッション及び/又は背もたれのような座席部品の位置及び/又は方向を調整するための装置である。
【背景技術】
【0004】
現在、座席調整装置は、自動車の座席用に一般的に使用される。自動車の座席は、調整方向に沿って動かされるか、及び/又は車両のシャーシに対してある調整角度で傾けられる。追加的に又は代替的に、複数の座席部品は相互に対して又は車両のシャーシに対して動かされても及び/又は傾けられてもよい。例えば、背もたれは座席クッションに対して傾けられるか又は座席全体は駆動面内の水平方向に沿って動かされる。駆動面はドライビング方向に平行に配置される。座席に配置される、衝撃チューブ(impact tube)のような安全手段は、座席又は座席部品の動きを通常、制限する。例えば、従来の座席調整装置における座席又は座席クッションの垂直調整は、座席又は座席クッションの垂直方向の動きのみならず、ドライビング方向の動きを含む。しかし、座席又は座席クッションの垂直調整の間の水平方向の一緒の動きは座席のユーザにとっては快適ではなくさらにネガティブであるように思われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、周知の座席調整装置の前述の不都合を取り除くことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
車両の本体に対する座席の高さを調整する座席調整装置によって本発明の目的は、解決される。この座席調整装置は、構造体を備え、座席部の高さの調整の間、座席部の動きを制限するガイド手段が構造体に設けられる。
【0007】
本発明は、車両本体に対する座席部の高さを調整する座席調整装置に関する。座席調整装置は、構造体、例えばフレームのような構造体を備える。この構造体にあって、例えば細長い穴(slot)又は長穴のような、高さ調整の間に座席部の動きを規制するガイド手段が提供される。
【0008】
さらに、座席調整装置はブラケットに固定的に取り付けられる構造要素を備える。特に構造要素は、ブラケットが動かされたときにブラケットに追随するようにブラケットに固定される。座席要素の構造体は、座席要素に結合されることによって垂直方向に対して平行して座席要素をガイドするためのガイド手段を備える。特に、座席要素の動きは、座席要素がブラケットに対して実質的に水平な方向に動かないように構造要素によって阻止される。特に、ガイド手段は、座席要素の構造体に固定的に取り付けられるか、又は座席要素の構造体の一体化部品として提供される。座席調整装置は、伝達手段の動きを構造要素に対する座席要素の動きに、特に、垂直方向に平行にガイド手段と共同して伝達するための構造要素に結合される伝達手段をさらに備える。座席調整装置、特に垂直座席調整装置は、例えば座席要素に取り付けられるクッション、特に自動車の座席の座席要素用のクッションを持ち上げるように構成される。座席調整装置は、座席要素に座っているユーザを持ち上げるように設けられる。構造要素は、事故発生時に車両のシャーシに対して座席及び/又は座席要素をその位置に保持する目的でブラケットに固定的に取り付けられる。そのような構造要素は例えば、チューブであり、衝撃チューブとも呼ばれる。ガイド手段は、座席要素が概ね垂直方向に沿ってガイドされるように配置される。垂直方向は、本明細書では、重力の方向に概ね平行な方向として、及び/又は自動車のドライビング可能な平面に直交する方向として定義される。水平方向はドライビング方向に概ね平行である。ガイド手段は、特に、水平方向に直交する動きに対する座席要素の動きを阻止するように構成される。座席要素はそのため垂直方向に沿ってのみ移動可能となる。ガイド手段は、長穴の主延伸方向、特に垂直方向に沿う衝撃チューブである、特に構造要素に沿ってスライドするための長穴である。構造要素又は衝撃チューブは、さらに伝達手段に接続される。伝達手段は、特に他の長穴として形成される。好ましくは、伝達手段は、変位手段の長穴である。変位手段は、構造要素又は衝撃チューブに沿って長穴の主延伸方向によって定義される方向にスライドする。好ましくは、長穴は変位手段の動きを阻止するように構成される。好ましくは、変位手段の動きはクッションパン又は座席要素の垂直の動きを引き起こす。変位手段は、ここでは、さらに楔要素とも呼ばれる。伝達手段はガイド手段に対して移動可能であり、特に水平方向に概ね沿って移動可能である。伝達手段の構造要素への結合及び構造要素のガイド手段への結合のせいで、伝達手段のガイド手段に対する概ね水平な動きが座席要素の垂直な動きに伝達又は変換される。構造要素がブラケットに固定的に結合されるので、座席要素はそれゆえ垂直方向、特に座席のユーザを上及び/又は下にリフトするように動かされる。特に、座席要素はそれゆえ、特に変位手段によって、下の座席位置及び上の座席位置の間に昇降される。伝達手段は、伝達手段の動きをガイド手段と共同して座席要素の動きに伝達するための構造要素に結合される。このため、特に水平方向に略沿った、伝達手段の動きによって、第1エンド位置と第2エンド位置において、下部位置と上部位置との間に座席要素を持ち上げることによって、座席要素が垂直に調整される。
【0009】
好ましくは、ブラケットは構造要素、好ましくはチューブを備える。
【0010】
好ましくは、構造要素は変位手段の長穴に係合される。長穴の主延伸方向は水平方向に対して好ましくは傾けられている。
【0011】
好ましくは、構造要素はガイド手段と係合する。ガイド手段は好ましくは垂直方向に平行に配置される主延伸方向を有する長穴である。
【0012】
好ましくは、構造要素はチューブであり、特に座席要素及び/又は座席用の、衝撃チューブである。
【0013】
好ましくは、ガイド手段はガイド要素の長穴であり、ガイド要素は構造体に固定的に取り付けられるか又は構造体の一体化部品である。好ましくは、座席要素は、ガイド手段の長穴の主延伸方向に沿ってガイドされる。ガイド手段の長穴の主延伸方向は垂直方向に平行に配置される。
【0014】
好ましくは、少なくとも車両のシャーシに対するブラケットの垂直の動きについて、ブラケットは車両のシャーシに固定的に結合される。
【0015】
好ましくは、伝達手段は変位手段の長穴であり、変位手段は構造要素に対して変位手段の長穴の主延伸方向に沿ってガイドされる。変位手段の長穴の主延伸方向は、ガイド手段の長穴の主延伸方向に対してある角度で傾けられる。
【0016】
好ましくは、ランプが変位手段の長穴の端部によって形成され、変位手段は変位手段の長穴のランプに沿ってガイドされる。
【0017】
好ましくは、角度は、10°と80°の間、又は100°と170°の間、より好ましくは30°と60°の間、又は120°と150°の間、さらにより好ましくは約45°と215°の間である。
【0018】
好ましくは、変位手段は、ブラケットに対して移動可能である。変位手段の第1エンド位置にあって、ガイド手段の長穴のトップ位置は、変位手段での長穴のトップ位置と重なる。変位手段が第1エンド位置にあると、座席要素は下部位置にある。変位手段の第2エンド位置にあって、ガイド手段の長穴の下部は変位手段の下部と重なり、変位手段が第2エンド位置にあると、座席要素は下部位置上に垂直な上部位置ある。
【0019】
好ましくは、座席調整装置は、連結仕様にて伝達手段を駆動する駆動手段をさらに備え、駆動手段は手動及び/又は自動的に、特に電気的に、動作される。
【0020】
好ましくは、駆動手段はピニオン、特に座席要素に回転可能に取り付けられるピニオンを備える。ピニオンはラックと連結され、ラックは伝達手段に固定的に結合される。
【0021】
本発明によれば、座席用、特に自動車用の座席調整装置は、ユーザの快適さ及び衝撃時の安全性を向上するために提供される。
【0022】
ユーザの快適さは、水平方向又はドライビング方向に座席要素の動きなしに、座席要素の垂直調整のための座席調整装置を提供することによって向上される。さらに、特にブラケットに固定的に結合されるチューブ又は衝撃チューブのような構造要素を提供することによって、衝撃安全性が、構造要素を持たない従来の座席調整装置に比べて向上できる。特に、衝突事故にあって、構造要素は座席又は座席要素を車両のシャーシに対して元々の場所に保持できる。特に、衝突の間座席要素に及ぼされる力は座席要素の構造体及び構造要素を介したガイド手段から車両のシャーシに伝達される。
【0023】
駆動手段と変位手段との間にポジティブな連結結合を提供することによって、手動及び自動の両方による座席要素の高さの効果的な調整が可能となる。さらに、最小負荷が衝撃の間座席要素のロッキング機構に伝達される。さらに、座席調整装置は、持ち上げられる質量の減少を可能とさせることによって、座席要素の垂直調整、特に座席要素のクッションの垂直調整を可能とさせる。
【0024】
好ましくは、ガイド手段は大腿当て部の領域に設けられる。
【0025】
好ましい具現化例にあって、座席要素の後部領域は、車両の本体に対する高さの調整を可能とする。
【0026】
好ましくは、座席要素の後部領域は、座席要素の後部領域を昇降する旋回レバーを備える。
【0027】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、ガイド手段(21’)が座席要素の構造体の後部領域に設けられる。
【0028】
好ましくは、変位手段は後部端にて長穴を備える。
【0029】
本発明は、図1乃至10に基づいた以下の記載にて説明される。これらの説明は単に例示によるものであり、本発明の全体的なコンセプトを制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】車両座席の斜視外観を概略的に示す図である。
図2】車両座席の座席調整装置の第1実施形態の斜視外観を概略的に示す図である。
図3】座席調整装置付の車両座席の断面を概略的に示す図である。
図4】座席部品及び変位装置の断面を概略的に示す図である。
図5】自動車の座席部品の斜視外観を概略的に示す図である。
図6】座席調整装置の第2実施形態の斜視外観を概略的に示す図である。
図7】座席調整装置の第2実施形態の断面を概略的に示す図である。
図8a】座席調整装置の他の実施形態を示す図である。
図8b】座席調整装置の他の実施形態を示す図である。
図9】座席調整装置の他の実施形態を示す図である。
図10図8a〜9についての座席調整装置の好ましい具現化例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
相互に対応する部品については全図面にわたって同一参照符号を付す。
【0032】
図1は車両座席1の斜視外観を概略的に示す。車両座席1は座席要素20、特にクッション(図示せず)が置かれる座席要素20を含む。さらに車両座席1は、背もたれ30、特に座席要素20に対して傾斜可能とされる調整可能な背もたれ30を含む。車両座席1は、さらに垂直方向101に車両座席1全体を垂直調整するための座席調整装置10を備える。垂直方向101は、運転が可能な全ての方向を含む水平方向に概ね垂直及び/又は座席要素20の主拡張平面に対して概ね垂直に位置する。座席調整装置10は、さらに、例えば運転方向102に平行な水平面内における車両座席1全体の調整用にも構成されている。
【0033】
図2は車両座席1の座席調整装置10の第1具現化例の斜視外観を概略的に示す。座席調整装置10は構造体20’を伴う座席要素20と、ブラケット12と、ブラケット12と構造体20’の間の変位手段14とを備える。変位手段14は概ね水平方向102に動き、それによって座席要素20を昇降する。構造体20’には、ガイド手段21が設けられ、座席要素20の動きを概ね垂直方向101に限定する。座席調整装置10は、車両座席1を水平方向102に平行なガイドレールの主延伸方向に沿って前後にスライドするためのガイドレール11を有する。ガイドレール11に沿ってスライド可能に配置されるブラケット12は、座席要素20の構造体20’に配置されか、又は構造体20’に特に圧力バメ又は溶接結合によって固定的に取り付けられるガイド要素25に配置される。ガイド手段21は、特に、長穴21又は細長い穴21として形成される。ガイド手段21は、構造要素13、特にチューブ13又は衝撃チューブ13に対する座席要素20の動きを阻止するように構成されるので、座席要素20は好ましくは垂直方向101にのみ平行に移動可能である。構造要素13は特に圧力バメ又は溶接結合によってブラケット12に固定的に結合されるか、構造要素13はブラケット12の一体化部品である。好ましくは、ガイド手段21はブラケット12の構造要素13が力、特に、衝突の間に車両座席1に作用する水平方向102に平行に加えられる力を吸収するように配置される。特に、座席調整装置10は、他のガイド手段2121’(図3参照)及び他の構造要素(図示せず)を備える。座席調整装置10はさらに、特に長穴の形状の、伝達手段15を含む変位手段14を備える。特に、ランプ16は、変位手段14上の伝達手段15によって、特に伝達手段15の長穴15の一端によって形成される。変位手段14は、座席要素20に対して水平方向102に沿ってブラケット12に対して特に移動可能とされる。伝達手段15は構造要素13、特にランプ16を通してガイドされるので、変位手段14が水平方向102に平行に移動されると、座席要素20が変位手段14によって垂直方向101に平行に昇降される。このため、水平方向102に平行な変位手段14の動きは、垂直方向に平行な構造要素13の動きに、特に座席要素20に伝達される。特に、変位手段14は、他の構造要素13’をガイドするための他のランプ16’付の他の伝達手段15’を備える。他の伝達手段15’は伝達手段15と同様の構成を有する。
【0034】
図3は座席調整装置10付の車両座席1の断面を概略的に示す。座席調整装置10は、座席要素20、特にクッション又は背もたれ30を含む車両座席1全体を、下部位置及び上部位置の間で、垂直方向101に平行に、持ち上げるように構成される。なお、図3は下部位置を示す。座席調整装置10は、座席調整装置10の変位手段14を水平位置102内に駆動するための駆動手段22を備える。この例では、駆動手段22は、座席要素20上にて回転可能に調整される、特にピニオン22を含む。ピニオン22はラック17を駆動するために設けられる。ラック17は変位手段14に固定的に取り付けられるか、又は変位手段14の一体化部品である。したがって、変位手段14は、水平方向102に平行なポジティブ連結仕様にあって駆動手段22によって駆動される。ブラケットは、ブラケット12の一体化部品であるか、又は例えば溶接接合又は他の圧力バメ結合によってブラケット12に固定的に結合される、構造要素13を備える。特に、ブラケット12は、他の等価的に構成される構造要素13’を備える。座席要素20は、座席要素20の構造体20’にて、ガイド手段21によって水平方向102内の動きに対して制限される。変位手段14は、水平方向102に概ね平行な変位手段14の動きを垂直方向101に概ね平行な座席要素20の動きに伝達するための伝達手段15を備える。座席要素20は、それゆえ、ガイド手段21によって垂直方向101にガイドされる。伝達手段15は、変位手段14の特に長穴15である。伝達手段15は、変位手段14を変位手段14の長穴15の主伸長方向に沿ってガイドする。ここで、変位手段14の長穴15の主伸長方向は、座席要素20の構造体20’の長穴21の主伸長方向に対してある角度で傾けられる。特に、変位手段14の長穴15のランプ16(図2参照)は、ブラケット12の構造要素13に沿ってガイドされる。好ましくは、前記角度は、10°と80°の間、又は100°と170°の間、より好ましくは30°と60°の間、又は120°と150°の間、さらにより好ましくは約45°と215°の間である。好ましくは変位手段14は、ブラケット12に対して移動可能である。変位手段14の第1エンド位置にあって、ガイド手段21の長穴21のトップ位置は、構造体20’にて、変位手段14での長穴15のトップ位置と重なる。変位手段14が第1エンド位置にあると、座席要素20は下部位置にある。変位手段14の第2エンド位置にあって、ガイド手段21の長穴21の下部は変位手段14の下部と重なり、変位手段14が第2エンド位置にあると、座席要素20は下部位置上に垂直な上部位置ある。特に、座席調整装置10は、等価的に構成されるか及び/又は等価的に動作される他のガイド手段21’及びブラケット12にて他の構造要素13’に沿ってガイドする他の伝達手段15’を備える。
【0035】
図4は座席要素20と変位手段14の断面を概略的に示す。スライディング要素23は座席要素20と変位手段14との間に配置される。スライディング要素23は座席要素20及び/又は座席要素20上に載置されたクッションに対して水平方向102内での変位手段14の動きを可能とする。ここで、変位手段14の動きは、変位手段14に固定的に結合されるラック17の水平方向102に平行な動きの中にピニオン22の回転する動きのポジティブ連結伝達によって特に座席要素20と回転可能に結合される、ピニオン22によって駆動される。ラック17は好ましくは圧力バメ結合によって変位手段14に結合される。
【0036】
図5は座席要素20及び座席調整装置10の斜視外観を概略的に示す。座席調整装置10は、垂直方向101に平行座席要素20を持ち上げるように構成される。さらに、座席要素20及び/又は背もたれ30(図1参照)は水平方向102に平行に調整可能である。ここで、座席1は、車両、特に車両シャーシにアンカ手段11’によって固定的に取り付けられる2本のガイドレール11にスライド可能である。座席調整装置10及びつまり車両座席1全体はクラッチ24により、破壊の場合にロック位置とされる。クラッチ24は座席調整装置10又は座席要素20上に配置される。
【0037】
図6及び7は座席調整装置10の第2実施形態を概略的に示し、駆動スクリュー18は変位手段14に取り付けられる。駆動スクリュー18は、水平方向102に平行な回転軸の周りを回転可能とされる。このため、駆動スクリュー18の回転によって、変位手段14はブラケット12に対して、特に水平方向102に概ね平行に移動される。伝達手段15及び変位手段14の水平動きのせいで、座席要素20は上部位置(図6及び7に示されるように)と下部位置(図示されない)との間、座席要素20の構造体20’にて、座席要素20が垂直方向101に平行にのみ移動可能なように、水平方向102に対して、座席要素20が、構造要素13の動きを制限するガイド手段21と共同して持ち上げられる。駆動スクリュー18は特に構造要素13が、特に座席要素20上に座っている乗員の体重のせいで、下部位置に戻されるのを防ぐように構成されるセルフロッキングねじ筋を備える。
【0038】
図8a及び9は本発明に係る車両座席の他の実施形態を示す。この場合、下部レール11は車両本体に取付けられて提供される。本発明によれば、座席要素20は、前部領域45にあって、太腿当て部、ガイド手段21、ここではブラケット12に取り付けられるクロスメンバ、特にチューブである構造要素13内の細長い穴又は長穴21を有する。さらに、座席要素20は、後部領域46にあって、旋回レバー上に取り付けられる。座席要素20が持ち上げられようとする場合、旋回レバーは時計周り方向に回転され、その結果、座席要素20の後部46は上昇する。同時に、細長い穴21が構造要素13に沿って動くので、座席シェルは前部領域45にて持ち上げられる。座席要素20の高さは結果的に、その前部領域にあって線形動作により調整され、さらにその後部領域にあって回転によって調整される。好ましくは、スプリング手段が座席要素20とブラケット12との間に設けられる。このスプリング手段は、作動しようとする乗員に要求される力を低減できるが、座席要素20の高さの調整もサポートできる。好ましくは、座席要素20の動きは制限される。これは、当業者に容易ないかなる所望の手段によっても実行される。座席要素20は類似の仕様にあって下降される。図9に示されるように、本発明に係る車両座席は、構造要素、ここでは、座席要素の構造体のブラケット12にしっかりと結合され、かつ座席シェルの高さが調整されても動かないクロスメンバ13を有する。座席要素20は、その高さが調整されるときにクロスメンバ13に沿ってスライドされる。座席要素20は、前部衝撃があると、クロスメンバ13にサポートされて、クロスメンバ13はそのような事故の発生にあって生じる全ての力及び勢いのモーメントを吸収する。
【0039】
図10は、図8a乃至9による車両座席の他の実施形態を示す。この場合にあって、座席は例えばボーデンケーブルのようなケーブル引き手57とガイド58を有する。座席要素20の高さはケーブル引き手57によって調整される。特に、座席シェルはケーブル引き手57によって下降位置に動かされるとともに、座席要素20はスプリング力又はケーブルに力を及ぼす出力装置によって好ましくは持ち上げられる位置に動かされるか、又は座席要素20はクッションに及ぼされた力を低減する乗員によって持ち上げられる。上方又は下方への動きの間、座席シェルはガイド58によってガイドされる。ガイド58は好ましくは座席シェルの動きを制限する。この目的のため、ガイド58は少なくとも一つのストッパを備える。本実施形態の場合、ガイドはベアリングにてスライドするピンとして構成される。当業者は他のガイドが可能であることを理解できるであろう。例えば、U形状に曲げられた部品は座席シェルとして提供される。好ましくは垂直に配置されるU形状のリム、例えばU形状のリムによって囲まれる、例えばピンがガイドに沿ってスライドする。
【符号の説明】
【0040】
1 車両座席
10 座席調整装置
11 ガイドレール
11’ アンカ手段
12 ブラケット
13 構造要素
13’ 他の構造要素
14 変位手段
15 伝達手段
15’ 他の伝達手段
16 ランプ
16’ 他のランプ
17 ラック
18 駆動スクリュー
20 座席要素
20’ 構造体
21 ガイド手段
21’ 他のガイド手段
22 ピニオン
23 スライディング部
24 クラッチ
25 ガイド要素
30 背もたれ
40 車両の本体
45 座席要素の前部領域
46 座席要素の後部領域
57 ケーブルプル、ボーデンケーブル
58 ガイド
101 垂直方向
102 水平方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10