特許第5921769号(P5921769)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5921769車両シート用前後方向アジャスタ及び車両シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5921769
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】車両シート用前後方向アジャスタ及び車両シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/07 20060101AFI20160510BHJP
   B60N 2/005 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   B60N2/07
   B60N2/005
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-513227(P2015-513227)
(86)(22)【出願日】2013年6月20日
(65)【公表番号】特表2015-518791(P2015-518791A)
(43)【公表日】2015年7月6日
(86)【国際出願番号】EP2013062908
(87)【国際公開番号】WO2014001196
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2014年11月21日
(31)【優先権主張番号】102012012848.7
(32)【優先日】2012年6月26日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102012015343.0
(32)【優先日】2012年7月31日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511007886
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ コンポーネンツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】マーケル、 クリスチャン
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 独国実用新案第202006005525(DE,U1)
【文献】 特開平09−086238(JP,A)
【文献】 特開平07−304360(JP,A)
【文献】 実開平02−042832(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第0816158(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/07
B60N 2/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シート(1)用の前後方向アジャスタであって、
ロアレール(5)と、前記ロアレール(5)内に前後方向に移動可能に案内されるアッパーレール(3)とを備え、
前記アッパーレール(3)に上部クランプ(30)が接続され、
前記ロアレール(5)に下部クランプ(50)が接続され、
前記下部クランプ(50)は少なくとも1つの下部ブロック領域(59)を有し、前記上部クランプ(30)は少なくとも1つの上部ブロック領域(39)を有し、
前記下部ブロック領域(59)と前記上部ブロック領域(39)は通常は互いに離間し且つ衝突の際には噛み合い、
前記上部クランプ(30)にロックシャックル(34)が接続され、前記ロックシャックルは横方向に延びるピン(42)を備え、
前記上部クランプ(30)は凹部(32)を有し、前記ピン(42)は前記凹部の中に配置され、
前記ピン(42)は前後方向において前記アッパーレール(3)の後端の後ろに配置され、
前記上部クランプ(30)は前後方向において前記アッパーレール(3)を越えて後方に延びる、前後方向アジャスタ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの上部ブロック領域(39)は、前記上部クランプ(30)の保持領域(37)を2回折り返すことによって形成される請求項1に記載の前後方向アジャスタ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの下部ブロック領域(59)は、前記下部クランプ(50)の側部領域(57)を2回折り返すことによって形成される請求項1又は2に記載の前後方向アジャスタ。
【請求項4】
前記下部クランプ(50)は前後方向において前記ロアレール(5)を越えて後方に延びる請求項1からのいずれか1項に記載の前後方向アジャスタ。
【請求項5】
前記ロックシャックル(34)は前後方向に延びる2つのアーム(44)を有し、前記アームは前記ピン(42)によって接続される請求項1からのいずれか1項に記載の前後方向アジャスタ。
【請求項6】
前記上部クランプ(30)は前記アッパーレール(3)に固定される締結領域(35)を備え、前記締結領域(35)は、前記アーム(44)を受け入れるための2つの膨出部分を備える請求項に記載の前後方向アジャスタ。
【請求項7】
前記凹部(32)は前記締結領域(35)の内部で前後方向及び横方向に延びる請求項に記載の前後方向アジャスタ。
【請求項8】
前記ロックシャックル(34)は前記上部クランプ(30)に溶接される請求項1からのいずれか1項に記載の前後方向アジャスタ。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1項に記載の少なくとも1つの前後方向アジャスタを備える車両シート(1)。
【請求項10】
前記前後方向アジャスタの前記アッパーレール(3)に固定される座部(2)を備える、請求項に記載の車両シート(1)。
【請求項11】
前記座部(2)に少なくとも1つの足部(24)が取り付けられ、前記足部にロック(40)が設けられる請求項10に記載の車両シート(1)。
【請求項12】
前記ロック(40)は前記ロックシャックル(34)と協働する請求項11に記載の車両シート(1)。
【請求項13】
前記ロック(40)は前記凹部(32)に係合する請求項11又は12に記載の車両シート(1)。
【請求項14】
前記ロック(40)は前記ピン(42)を取り囲む請求項11から13のいずれか1項に記載の車両シート(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分の特徴を有する車両シートの前後方向アジャスタに関する。本発明はさらに、請求項10の特徴を有する車両シートに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な前後方向アジャスタ及び一般的な車両シートが特許文献1に開示されている。車両シートは、この例では、前足部と後足部によって前後方向アジャスタの2つのシートレール対に接続することができる座部を備える。シートレール対の各々は、車両構造体に接続される1つの個別のロアレールと、ロアレール内に移動可能に案内される1つの個別のアッパーレールとを備える。前記足部の各々は、アッパーレールに取り付けられる1つの個別のロックピンに対してロックすることができるロックを備える。ロックピンを用いてロックをロックすることにより、座部をレール対に接続することができる。
【0003】
各ロックピンは、保持クランプを用いてアッパーレールに固定される。ロックピンはこの例では保持クランプに溶接され、保持クランプはアッパーレールにねじ止めされる。衝突の際に発生する力は、座部からアッパーレールとロアレールを介して車両構造体に伝えられる。
【0004】
一般的な前後方向アジャスタを備えた一般的な車両シートが特許文献2に開示されている。前後方向アジャスタは、ロアレールに接続されたクランプと、アッパーレールに接続されたクランプとを備える。衝突の際には前記クランプは噛み合い、衝突の際に発生する力はクランプを介して車両構造体に伝わる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第202006005525号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0816158号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、冒頭に述べたタイプの前後方向アジャスタ、特に衝突したときの前後方向アジャスタの強度を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載される特徴を有する前後方向アジャスタによって達成される。個別に又は互いに組み合わせて使用することができる有利な実施形態が、従属請求項の主題を形成する。
【0008】
従って、車両シート用の一般的な前後方向アジャスタは、ロアレールと、ロアレール内に前後方向に移動可能に案内されるアッパーレールとを含み、アッパーレールに上部クランプが接続され、ロアレールに下部クランプが接続され、下部クランプは少なくとも1つの下部ブロック領域を有し且つ上部クランプは少なくとも1つの上部ブロック領域を有し、下部ブロック領域と上部ブロック領域は、通常は互いに離間し、衝突の際に噛み合わされる。
【0009】
本発明によれば、上部クランプにロックシャックルが接続され、前記ロックシャックルが横方向に延びるピンを備えること、上部クランプが凹部を有し、ピンが前記凹部の中に配置されること、ピンが前後方向においてアッパーレールの後端の後ろに配置されることが定められる。
【0010】
ロックシャックルは、この例ではロックを用いて車両シートの座部を接続するのに役立ち、凹部は、ロックシャックルのピンにロックされるとき、ロックが凹部を貫通するように設計されている。その結果、横方向により大きな範囲を有し、従ってより高い強度を有するロックを使用することができる。ロックの横方向の範囲は、従って、ロアレールのエッジ領域の間のクリアランスによってのみ制限される。
【0011】
その結果、衝突の際に発生する力は、さらに、座部から上部クランプ及び下部クランプを介して車両構造体に伝えられる。その結果、前後方向アジャスタの強度は、衝突の際に増大する。
【0012】
好ましくは、少なくとも1つの上部ブロック領域は、上部クランプの保持領域を2回折り返すことによって形成される。このような2重折り返し方法は、実施が比較的容易である。
【0013】
好ましくは、少なくとも1つの下部ブロック領域もまた、下部クランプの側部領域を2回折り返すことによって形成される。このような2重折り返し方法は、実施が比較的容易である。
【0014】
本発明の有利な実施形態によれば、上部クランプは、前後方向においてアッパーレールを越えて後方に延びる。その結果、上部ブロック領域と下部ブロック領域の重複領域が増大する。
【0015】
同様に、本発明の有利な実施形態によれば、下部クランプは、前後方向においてロアレールを越えて後方に延びる。その結果、上部ブロック領域と下部ブロック領域の重複領域が増大する。
【0016】
有利には、ロックシャックルは前後方向に延びる2つのアームを有し、前記アームはピンによって接続される。その結果、上部クランプとロックシャックルとの間の接続の強度が増大する。
【0017】
好ましくは、上部クランプはアッパーレールに固定される締結領域を備え、締結領域はアームを受けるための2つの膨出部分を備える。
【0018】
凹部は、この例では、好ましくは、締結領域の内部で前後方向及び横方向に延びる。
【0019】
ロックシャックルが上部クランプに溶接される場合、前後方向アジャスタの取り付けは簡略化される。好ましくは、ロックシャックルと上部クランプは、アッパーレールに固定する前に互いに溶接される。
【0020】
この目的はまた、請求項10に記載される特徴を有する車両シートによって達成され、前記車両シートは、少なくとも1つの本発明に従う前後方向アジャスタを備える。
【0021】
車両シートは、有利には、前後方向アジャスタのアッパーレールに固定される座部を備える。
【0022】
好ましくは、座部に少なくとも1つの足部が取り付けられ、前記足部にロックが設けられる。
【0023】
この例では、ロックは、好ましくはロックシャックルと協働する。
【0024】
好ましくは、ロックは凹部に係合する。
【0025】
好ましくは、ロックは、この例ではロックシャックルのピンを取り囲む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明は、図面に示される有利な例示的な実施形態を参照して以下でより詳細に説明される。しかしながら、本発明は、この例示的な実施形態に限定されるものではない。
図1】車両シートの概略図を示す。
図2】前後方向に対して垂直な前後方向アジャスタのシートレール対の断面図をロックと共に示す。
図3】前後方向アジャスタの上からの平面図をロックと共に示す。
図4】ロックシャックルの上からの平面図を示す。
図5】前後方向アジャスタの分解図をロックと共に示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
自動車用の車両シート1は、座部2と、座部2に取り付けられ且つ傾きを調節可能な背もたれ10とを有する。
【0028】
車両シート1の車両の内部での配置とその通常の進行方向によって、以下で使用される方向情報が定められる。この例では、地面に対して垂直に配向される方向を以下で鉛直方向と称し、鉛直方向に対して垂直であり且つ進行方向に対して垂直である方向を以下で横方向と称する。
【0029】
手動で操作される側方に配置された背もたれ調節金具19を用いて、背もたれ10は傾きを調節することができ、これは座部2と背もたれ10の間の角度が調節可能であることを意味する。代替方法として、電気駆動も考えられる。
【0030】
また、高さ及び傾きを調節可能なヘッドレスト18が、座部2から鉛直方向に離れた背もたれ10の上端に取り付けられる。
【0031】
車両シート1は、自動車の車体フロアに接続される2つのロアレール5と、2つアッパーレール3とを有する前後方向アジャスタを用いて、前後方向に調節可能である。これは、座部2を背もたれ10と共に、本例では進行方向に対応する前後方向に調節できることを意味する。この目的のために、アッパーレール3の各々は、前後方向に平行に延びる1つの個別のロアレール5内で移動可能に案内される。2つのアッパーレール3の各々は、いずれも割り当てられたロアレール5と共にシートレール対を形成する。前後方向アジャスタは、従って平行に延びる2つのシートレール対を含む。
【0032】
ロック装置を用いて、2つのアッパーレール3の各々をそれぞれのロアレール5にロックすることができる。ロック解除バー16を用いて、ロック装置をロック解除することができる。ここで、代替方法として、電気駆動が考えられる。
【0033】
車両シート1はさらに両側に、1つの個別の前足部22と1つの個別の後足部24とを備え、前足部22と後足部24は座部2に取り付けられる。足部22,24は、座部2をアッパーレール3に固定するのに役立つ。各後足部24にロック40が設けられ、前記ロックを用いて、後足部24をそれぞれのアッパーレール3に解放可能にロックすることができる。このようなロック40は、例えば、DE 103 04 574 B4に開示されており、その関連する開示は、明示的に本明細書に含まれるものとする。
【0034】
各アッパーレール3に1つの個別のロックシャックル34が設けられ、後足部24の対応するロック40は前記ロックシャックルと協働する。ロックシャックル34は、ほぼU字形状のデザインであり、前後方向に延びる2つのアーム44と、2つのアーム44を連結し、横方向に延びるピン42とを有する。ロック40はこの例ではピン42に作用する。
【0035】
鉛直方向において、上部クランプ30がアッパーレール3に上方から取り付けられる。上部クランプ30は、本例では前後方向に相互にずらされた2つのリベット38によってアッパーレール3に固定される。代替方法として、上部クランプ30をアッパーレール3に溶接又はねじ止めすることも考えられる。上部クランプ30は、前後方向においてアッパーレール3を越えて後方に延びる。
【0036】
上部クランプ30は、断面がほぼU字形状のデザインであり、リベット38を用いてアッパーレール3に固定される締結領域35と、2つの保持領域37とを備える。前後方向に見ると、保持領域37は、鉛直方向において互いに平行に延び、且つそれらの上端で横方向に延びる締結領域35によって互いに接続される。
【0037】
締結領域35は、保持領域37が隣接する2つのエッジ領域に、ロックシャックル34のアーム44を受けるための1つの個別の膨出部分を備える。ロックシャックル34は、従って、鉛直方向において締結領域35の下に配置され、横方向において保持領域37によって囲まれる。ロックシャックル34は、上部クランプ30に接続され、この例では溶接される。
【0038】
上部クランプ30は、締結領域35の内部で前後方向及び横方向に延び且つ前後方向においてアッパーレール3の後部に配置される凹部32を備える。
【0039】
この例では、ロックシャックル34は、ピン42が前後方向において上部クランプ30の凹部32の中で静止するように配置される。ロックシャックル34のピン42は、従って前後方向においてアッパーレール3の後端の後ろに配置される。
【0040】
座部2をアッパーレール3に対して固定するために、後足部24は、凹部32の上に配置され、且つ鉛直方向に押し下げられる。オープンロック40は、この例では凹部32を貫通し、ロックシャックル34のピン42を取り囲み、自動的にロックされる。
【0041】
ロック解除のために、作動要素8が設けられ、前記作動要素は、本例では背もたれ10の上部領域に配置される。ロック40にボーデンケーブルを用いて連結される作動要素8を作動させると、ロック40がロック解除され、ロックシャックル34のピン42を解放する。その後、ロック40は凹部32から鉛直方向に引き出すことができる。
【0042】
各前足部22は、本例ではアッパーレール3上に回転軸受を用いて固定される。後足部24のロック40がロック解除されると、座部2は、従って、横方向に延び且つ前記回転軸受によって定められる旋回軸を中心に旋回させることができる。座部2と座部2に接続された背もたれ10のこの旋回運動は、例えば、車両シート1の後ろに配置されたシート列への乗員のアクセスを容易にする。
【0043】
しかしながら、代替方法として、前足部22が後足部24と同様に設計され、且つロック40も有することも考えられる。この例では、作動要素8を作動させることによって、前足部のロック40もロック解除される。その結果、座部2をアッパーレール3から完全に解放することができ、従って車両シート1を車両から取り外すことができる。
【0044】
鉛直方向において、下部クランプ50は、ロアレール5に下から取り付けられる。本例では、下部クランプ50は、ロアレール5に溶接される。下部クランプ50は、前後方向においてロアレール5を越えて後方に延びる。
【0045】
下部クランプ50は、断面においてほぼU字形状のデザインであり、ロアレール5に固定される底部領域55と、2つの側部領域57とを備える。底部領域55は、この例では鉛直方向においてロアレール5より下且つ車両フロアより上に位置する。前後方向に見ると、側部領域57は、鉛直方向において互いに平行に延び、且つそれらの下端で横方向に延びる底部領域55によって互いに接続される。
【0046】
下部クランプ50の側部領域57は、底部領域55から離れたそれらの端部で2回折り返される。側部領域57の前記折り返し部分は、この例では最初に横方向に内側へ、すなわち、互いに向かって延びる。さらに進むと、側部領域57の折り返し部分は、鉛直方向に下方へ延びる。
【0047】
下部クランプ50の側部領域57のこれらの2重折り返し部分は、1つの個別のブロック領域59を形成する。下部クランプ50は、従って、底部領域55から離れた側部領域57の両端に位置する2つの下部ブロック領域59を有する。
【0048】
また、上部クランプ30の保持領域37は、締結領域35から離れたそれらの端部で2回折り返される。保持領域37の前記折り返し部分は、この例では最初に横方向に外側へ、すなわち、互いから離れるように延びる。さらに進むと、保持領域37の折り返し部分は、鉛直方向に上方へ延びる。
【0049】
上部クランプ30の保持領域の37のこれらの2重折り返し部分は、いずれも上部ブロック領域39を形成する。上部クランプ30は、従って、締結領域35から離れた保持領域37の端部に位置する2つの上部ブロック領域39を有する。
【0050】
側部領域57の折り返し部分と保持領域37の折り返し部分は、ここで互いに囲み合っている。車両シート1の通常の使用では、側部領域57の折り返し部分と保持領域37の折り返し部分は接触していない。通常は、従って、下部ブロック領域59と上部ブロック領域39は互いに離間している。
【0051】
衝突したときに、特に前面衝突のときに、車両シート1は、車両に対して鉛直方向において上方に加速度を受ける。この場合、後足部24はロック40でロックシャックル34を鉛直方向に引き寄せる。上部クランプ30に作用するこの荷重で締結領域35がゆがむと、保持領域37の折り返し部分は、鉛直方向に上方へ移動し、下部クランプ50の側部領域57の折り返し部分と噛み合う。
【0052】
衝突の際に、従って、下部ブロック領域59と上部ブロック領域39は噛み合う。その結果、衝突の際に発生する力は、座部2から上部クランプ30及び上部ブロック領域39を介して下部ブロック領域59及び下部クランプ50と車両構造体へ転送される。その結果、上部クランプ30の締結領域35は上に曲がることが防止され、ロックシャックル34もまた上に曲がることが防止される。
【0053】
上記明細書、特許請求の範囲及び図面に開示された特徴は、本発明をその様々な実施形態で実施するために個別でも組み合わせでも重要であり得る。
【符号の説明】
【0054】
1 車両シート
2 座部
3 アッパーレール
5 ロアレール
8 作動要素
10 背もたれ
16 ロック解除バー
18 ヘッドレスト
19 背もたれ調節金具
22 前足部
24 後足部
30 上部クランプ
32 凹部
34 ロックシャックル
35 締結領域
37 保持領域
38 リベット
39 上部ブロック領域
40 ロック
42 ピン
44 アーム
50 下部クランプ
55 底部領域
57 側部領域
59 下部ブロック領域
図1
図2
図3
図4
図5