特許第5921772号(P5921772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5921772
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】より低速での研削作業のための研磨物品
(51)【国際特許分類】
   B24D 3/18 20060101AFI20160510BHJP
   B24D 5/02 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   B24D3/18
   B24D5/02 Z
【請求項の数】15
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-520675(P2015-520675)
(86)(22)【出願日】2013年7月3日
(65)【公表番号】特表2015-521963(P2015-521963A)
(43)【公表日】2015年8月3日
(86)【国際出願番号】US2013049251
(87)【国際公開番号】WO2014008356
(87)【国際公開日】20140109
【審査請求日】2015年2月18日
(31)【優先権主張番号】61/668,860
(32)【優先日】2012年7月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/677,655
(32)【優先日】2012年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391010770
【氏名又は名称】サンーゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド
(73)【特許権者】
【識別番号】507169495
【氏名又は名称】サン−ゴバン アブラジフ
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(74)【代理人】
【識別番号】100146293
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 恵雄
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154379
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】ニランジャン・サランギ
(72)【発明者】
【氏名】サンデヤ・ジャヤラマン・ルクマニ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・イー・フォックス
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル・エル・クラウス
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−521326(JP,A)
【文献】 特表2001−521829(JP,A)
【文献】 特表2003−527974(JP,A)
【文献】 特開2000−271854(JP,A)
【文献】 特開平11−179664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/00−37/34
B24D 3/00− 3/34
B24D 5/00− 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨物品であって、
結合材料内に含有される研磨粒子を有する結合研磨体であって、少なくとも225GPaの、研磨粒子と結合材料との界面の弾性係数(MOE)を有する、結合研磨体を含み、
前記結合研磨体は、60m/s未満の速度で、金属を含むワークピースを研削するように構成される、研磨物品。
【請求項2】
前記結合研磨体は、少なくとも13GPaの、研磨粒子と結合材料との界面の硬度を有する、請求項1に記載の研磨物品。
【請求項3】
前記結合研磨体は、少なくとも35m/sの速度で、金属を含むワークピースを研削するように構成される、請求項1に記載の研磨物品。
【請求項4】
前記結合研磨体は、前記結合研磨体の総容積の少なくとも42容積%〜70容積%の気孔率を有し、前記結合研磨体は、前記結合研磨体の前記総容積の少なくとも35容積%の研磨粒子を含む、請求項1に記載の研磨物品。
【請求項5】
前記結合材料は、少なくとも1つのアルカリ酸化物化合物(RO)および少なくとも1つのアルカリ土類酸化物化合物(RO)から形成され、前記アルカリ酸化物化合物および前記アルカリ土類酸化物化合物の総含有量は、20重量%以下である、請求項1に記載の研磨物品。
【請求項6】
前記結合材料は、9.626の、重量パーセント酸化ケイ素(SiO)と重量パーセントLiOとの比率(SiO:LiO)を有する、請求項1に記載の研磨物品。
【請求項7】
前記結合材料は、4.810.4の、重量パーセント酸化ケイ素(SiO)と重量パーセントNaOとの比率(SiO:NaO)を有する、請求項1に記載の研磨物品。
【請求項8】
前記結合材料は、9.626の、重量パーセント酸化ケイ素(SiO)と重量パーセントKOとの比率(SiO:KO)を有する、請求項1に記載の研磨物品。
【請求項9】
前記結合材料は、2.85.2の、重量パーセント酸化ケイ素(SiO)と重量パーセントBとの比率(SiO:B)を有する、請求項1に記載の研磨物品。
【請求項10】
前記結合材料は、0.2の、重量パーセントLiOと重量パーセントNaOとの比率(LiO:NaO)を有する、請求項1に記載の研磨物品。
【請求項11】
前記結合材料は、0.42.5の、重量パーセントLiOと重量パーセントKOとの比率(LiO:KO)を有する、請求項1に記載の研磨物品。
【請求項12】
前記結合材料は、の、重量パーセントNaOと重量パーセントKOとの比率(NaO:KO)を有する、請求項1に記載の研磨物品。
【請求項13】
前記結合研磨体は、送り込み速度(インチ/分)の変化に対するx軸半径(インチ)の変化の比の平均として定義される、研削ファクターを含み、送り込み速度(Z’w)が1.0インチ(25.4mm)/分を超える領域で、前記研削ファクターは、0.040以下である、請求項1に記載の研物品。
【請求項14】
前記結合研磨体は、送り込み速度(インチ/分)の変化に対するy軸半径(インチ)の変化の比の平均として定義される、研削ファクターを含み、送り込み速度(Z’w)が1.0インチ(約25.4mm)/分を超える領域で、前記研削ファクターは、0.018以下である、請求項1に記載の研磨物品。
【請求項15】
前記結合材料は、20重量%以下の酸化ホウ素(B)および3.0重量%以下の酸化リン(P)から形成され、3.2(重量パーセント)以下の重量パーセントシリカ(SiO)と重量パーセントアルミナ(Al)との比率を有し、前記結合研磨体は、前記結合研磨体の総容積の少なくとも42容積%の気孔率を有する、請求項1に記載の研磨物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
下記は、研磨物品を対象とし、特に、より低速で研削作業を行うのに適した結合研磨物品を対象とする。
【背景技術】
【0002】
研磨工具は、全般的に、材料除去用途向けに、結合材料内に含有される研磨砥粒を有するように形成される。超研磨砥粒(例えば、ダイヤモンドまたは立方晶窒化ホウ素(CBN))、または微結晶性アルファアルミナ(MCA)研磨砥粒とも称されるシードされた(さらには、シードされていない)焼結ゾルゲルアルミナ研磨砥粒を、そのような研磨工具に用いることができる。結合材料は、樹脂等の有機材料、またはガラスもしくはガラス状材料等の無機材料とすることができる。特に、ガラス状結合材料を使用し、かつ、MCA砥粒または超研磨砥粒を含有する結合研磨工具は、研削について商業的に有用である。
【0003】
ある結合研磨工具、特にガラス状結合材料を利用するものは、しばしば約1100℃以上の高温形成過程を必要とし、MCAの研磨砥粒に悪影響を及ぼす可能性がある。実際に、研磨工具を形成するために必要なそのような高温において結合材料は、研磨砥粒、特にMCA砥粒と反応し、研磨剤の完全性を損なう可能性があり、砥粒の鋭さおよび性能特性を低下させることが認識されている。その結果、産業界は、形成過程中の研磨砥粒の高温劣化を抑制するために、結合材料を形成するために必要な形成温度を低下させる方向に移行してきた。産業界は、そのような結合研磨物品の性能の向上を引き続き求めている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本開示は、添付図面を参照することによって、よりよく理解され得、その数多くの特徴および利点が当業者に明らかになり得る。
図1】従来技術の結合研磨物品および実施形態に従う研磨物品に関する、気孔率のパーセント、研磨剤のパーセント、および結合剤のパーセントの図表である。
図2】研磨砥粒、結合剤、およびそれらの界面の弾性係数および硬度試験を例示する写真である。
図3】2つの従来の結合研磨物品と本明細書の一実施形態に従う結合研磨物品とを比較した、研磨剤、結合剤、および研磨剤−結合剤界面の弾性係数(MOE)のグラフである。
図4】2つの従来の結合研磨物品と本明細書の一実施形態に従う結合研磨物品とを比較した、研磨剤、結合剤、および研磨剤−結合剤界面の硬度のグラフである。
図5】x軸およびy軸の双方に沿った形状損失を示す、研磨物品の概略図である。
図6】従来の結合研磨物品および一実施形態に従う結合研磨物品に関する、表面仕上げRa対送り込み速度(Z’w)の線図である。
図7】従来の結合研磨物品および一実施形態に従う結合研磨物品に関する、5回研削対送り込み速度(Z’w)における材料除去の線図である。
図8】従来の結合研磨物品および一実施形態に従う結合研磨物品に関する、角部保持ファクターを示す、x軸半径の変化対送り込み速度(Z’w)の線図である。
図9】従来の結合研磨物品および一実施形態に従う結合研磨物品に関する、角部保持ファクターを示す、y軸半径の変化対送り込み速度(Z’w)の線図である。
図10】従来の結合研磨物品および一実施形態に従う結合研磨物品に関する、ドレッシングあたりの部品数のグラフである。
図11】従来の結合研磨物品および一実施形態に従う結合研磨物品に関する、サイクル時間のグラフである。 異なる図面における同じの記号の使用は、同様または同一の項目を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
下記は、ワークピースの研削および成形に適し得る、結合研磨物品を対象とする。特に、本明細書の実施形態の結合研磨物品は、ガラス質結合材料内に研磨粒子を組み込むことができる。本明細書の実施形態の結合研磨物品を使用するのに適した用途としては、例えば、センタレス研削、円筒研削、クランク軸研削、種々の表面研削作業、ベアリングおよび歯車研削作業、クリープフィード研削、ならびに種々の工具室用途を含む、研削作業が挙げられる。
【0006】
一実施形態によれば、一実施形態の結合研磨物品の形成方法は、好適な化合物および成分の混合物を形成して、結合材料を形成することによって開始することができる。結合剤は、酸化物化合物等の無機材料の化合物で形成することができる。例えば、1つの好適な酸化物材料としては、酸化ケイ素(SiO)が挙げられる。一実施形態によれば、結合材料は、結合材料の総重量に対して、約55重量%以下の酸化ケイ素から形成することができる。他の実施形態において、酸化ケイ素の含有量は、約54重量%以下、約53重量%以下、約52重量%以下、さらには約51重量%以下等、より少なくすることができる。さらに、ある実施形態において、結合材料は、結合材料の総重量に対して、少なくとも約47重量%、少なくとも約48重量%、さらには少なくとも約49重量%の程度の、少なくとも約46重量%等の、少なくとも約45重量%の酸化ケイ素約から形成され得る。酸化ケイ素の量は、上述の最小および最大パーセンテージのいずれかの範囲内とすることができることが認識されるであろう。
【0007】
結合材料はまた、ある含有量の酸化アルミニウム(Al)も組み込むことができる。例えば、結合材料は、結合材料の総重量に対して、少なくとも約12重量%の酸化アルミニウムを含むことができる。他の実施形態において、酸化アルミニウムの量は、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、さらには少なくとも約16重量%とすることができる。ある事例において、結合材料は、結合剤の総重量に対して、約23重量%以下、約21重量%以下、約20重量%以下、約19重量%以下、さらには約18重量%以下の量の酸化アルミニウムを含み得る。酸化アルミニウムの量は、上述の最小および最大パーセンテージのいずれかの範囲内とすることができることが認識されるであろう。
【0008】
ある事例において、結合材料は、重量パーセントで測定したときの酸化ケイ素の量と、重量パーセントで測定したときの酸化アルミニウムの量との特定の比率から形成することができる。例えば、シリカとアルミナとの比率は、結合材料内の酸化ケイ素の重量パーセントを酸化アルミニウムの重量パーセントで割ることによって説明することができる。一実施形態によれば、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの比率は、約3.2以下とすることができる。他の事例において、結合材料内の酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの比率は、約3.1以下、約3.0以下、さらには約2.9以下とすることができる。さらに、結合材料は、ある事例において、酸化ケイ素の重量パーセントと酸化アルミニウムの重量パーセントとの比率を、少なくとも約2.4、少なくとも約2.5、少なくとも約2.6、さらには少なくとも約2.7の程度等の、少なくとも約2.3等の、少なくとも約2.2である。酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素の総量は、上述の最小値および最大値のいずれかの範囲内とすることができることが認識されるであろう。
【0009】
一実施形態よれば、結合材料は、ある含有量の酸化ホウ素(B)から形成することができる。例えば、結合材料は、結合材料の総重量に対して、約20重量%以下の酸化ホウ素を組み込むことができる。他の事例において、酸化ホウ素の量は、約19重量%以下、約18重量%以下、約17重量%以下、さらには約16重量%以下等、より少なくすることができる。さらに、結合材料は、結合材料の総重量に対して、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、さらには少なくとも約14重量%等の、少なくとも約11重量%の酸化ホウ素から形成することができる。酸化ホウ素の量は、上述の最小および最大パーセンテージのいずれかの範囲内とすることができることが認識されるであろう。
【0010】
一実施形態によれば、結合材料は、結合材料内の酸化ホウ素の重量パーセントおよび酸化ケイ素の重量パーセントの総含有量(すなわち、合計)が、結合材料の総重量に対して、約70重量%以下とすることができるように形成することができる。他の事例において、酸化ケイ素および酸化ホウ素の総含有量は、約68重量%以下、約67重量%以下、さらには約66重量%以下等の、約69重量%以下とすることができる。特定の一実施形態によれば、酸化ケイ素および酸化ホウ素の総重量パーセント含有量は、結合材料の総重量に対して、少なくとも約58重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約62重量%、少なくとも約63重量%、少なくとも約64重量%、さらには少なくとも約65重量%等の、少なくとも約55重量%とすることができる。結合材料内の酸化ケイ素および酸化ホウ素の総重量パーセントは、上述の最小および最大パーセンテージのいずれかの範囲内とすることができることが認識されるであろう。
【0011】
さらに、特定の事例において、酸化ケイ素の量は、重量パーセントで測定したときに、結合材料内の酸化ホウ素の量よりも多くすることができる。特に、酸化ケイ素の量は、酸化ホウ素の量よりも、少なくとも約1.5倍多く、少なくとも約1.7倍多く、少なくとも約1.8倍多く、少なくとも約1.9倍多く、少なくとも約2.0倍多く、少なくとも約2.5倍多くすることができる。さらに、一実施形態において、結合材料は、約4倍以下多い、約3.8倍以下多い、約3.5倍以下多い等の、約5倍以下多い量の酸化ケイ素を含むことができる。酸化ホウ素の量と比較したときの酸化ケイ素の量の差は、上述の最小値および最大値のいずれかの範囲内とすることができることが認識されるであろう。
【0012】
一実施形態によれば、結合材料は、少なくとも1つのアルカリ酸化物化合物(RO)から形成することができ、ここで、Rは、元素周期表のIA群の元素から選択される金属を表す。例えば、結合材料は、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、および酸化セシウム(CsO)、ならびにそれらの組み合わせを含む化合物の群からのアルカリ酸化物化合物(RO)から形成することができる。
【0013】
一実施形態によれば、結合材料は、結合材料の総重量に対して、約20重量%以下のアルカリ酸化物化合物の総含有量から形成することができる。本明細書の実施形態による他の結合研磨物品について、アルカリ酸化物化合物の総含有量は、約19重量%以下、約18重量%以下、約17重量%以下、約16重量%以下、さらには約15重量%以下とすることができる。さらに、一実施形態において、結合材料内のアルカリ酸化物化合物の総含有量は、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、さらには少なくとも約14重量%等の、少なくとも約10重量%とすることができる。結合材料は、上述の最小および最大パーセンテージのいずれかの範囲内のアルカリ酸化物化合物の総含有量を含むことができることが認識されるであろう。
【0014】
1つの特定の実施形態によれば、結合材料は、上で述ベられるように、約3つ以下の別個のアルカリ酸化物化合物(RO)から形成することができる。実際に、ある結合材料は、結合材料内に約2つ以下のアルカリ酸化物化合物を組み込み得る。
【0015】
さらに、結合材料は、アルカリ酸化物化合物のいずれかの個々の含有量が、結合材料内のアルカリ酸化物化合物の総含有量(重量パーセント)の半分以下であるように形成することができる。さらに、特定の一実施形態によれば、酸化ナトリウムの量は、酸化リチウムまたは酸化カリウムの含有量(重量パーセント)よりも多くすることができる。より特定の事例において、重量パーセントで測定したときの酸化ナトリウムの総含有量は、重量パーセントで測定したときの酸化リチウムおよび酸化カリウムの含有量の合計よりも多くすることができる。さらに、一実施形態において、酸化リチウムの量は、酸化カリウムの含有量より多くすることができる。
【0016】
一実施形態によれば、結合材料を形成する、重量パーセントで測定したときのアルカリ酸化物化合物の総量は、結合材料内の(重量パーセントで測定したときの)酸化ホウ素の量未満とすることができる。実際に、ある事例において、結合材料内の酸化ホウ素の総重量パーセントと比較したときのアルカリ酸化物化合物の総重量パーセントは、約0.9〜1.3の範囲内、さらには約0.9〜約1.1の範囲内等の、約0.9〜1.5の範囲内とすることができる。
【0017】
結合材料は、ある量のアルカリ土類化合物(RO)から形成することができ、ここで、Rは、元素周期表のIIA群の元素からの要素を表す。例えば、結合材料は、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)、さらには酸化ストロンチウム(SrO)等の、アルカリ土類酸化物化合物を組み込むことができる。一実施形態によれば、結合材料は、結合材料の総重量に対して、約3.0重量%以下のアルカリ土類酸化物化合物を含有することができる。さらに他に事例において、結合材料は、約2.8重量%以下、2.2重量%以下、約2.0重量%以下、または約1.8重量%以下の程度等の、より少ないアルカリ土類酸化物化合物を含有し得る。さらに、一実施形態によれば、結合材料は、結合材料の総重量に対して、少なくとも約0.8重量%、少なくとも約1.0重量%、さらには少なくとも約1.4重量%等の、少なくとも約0.5重量%の1つ以上のアルカリ土類酸化物化合物の含有量を含有し得る。結合材料内のアルカリ土類酸化物化合物の量は、上述の最小および最大パーセンテージのいずれかの範囲内とすることができることが認識されるであろう。
【0018】
一実施形態によれば、結合材料は、約3つ以下の異なるアルカリ土類酸化物化合物から形成することができる。実際に、結合材料は、2つ以下の異なるアルカリ土類酸化物化合物を含有し得る。1つの特定の事例において、結合材料は、酸化カルシウムおよび酸化マグネシウムから成る2つのアルカリ土類酸化物化合物から形成することができる。
【0019】
一実施形態において、結合材料は、酸化マグネシウムの量よりも多い量の酸化カルシウムを含むことができる。さらに、結合材料内の酸化カルシウムの量は、結合材料内に存在する他のアルカリ土類酸化物化合物のいずれかの含有量よりも多くなり得る。
【0020】
結合材料は、総含有量が結合材料の総重量に対して約20重量%以下であるように、アルカリ酸化物化合物およびアルカリ土類酸化物化合物の組み合わせから形成することができる。他の実施形態において、結合材料内のアルカリ酸化物化合物およびアルカリ土類酸化物化合物の総含有量は、約18重量%以下、さらには約17重量%以下等の、約19重量%以下とすることができる。しかしながら、ある実施形態において、結合材料内に存在するアルカリ酸化物化合物およびアルカリ土類酸化物化合物の総含有量は、少なくとも約13重量%等、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、さらには少なくとも約16重量%等の、少なくとも約12重量%とすることができる。結合材料は、上述の最小および最大パーセンテージのいずれかの範囲内のアルカリ酸化物化合物およびアルカリ土類酸化物化合物の総含有量を有することができることが認識されるであろう。
【0021】
一実施形態によれば、結合材料は、結合材料内に存在するアルカリ酸化物化合物の含有量がアルカリ土類酸化物化合物の総含有量よりも多くなるように形成することができる。特定の一実施形態において、結合材料は、アルカリ土類酸化物化合物の総重量パーセントと比較したときの、アルカリ酸化物化合物の総含有量(重量パーセント)の割合(RO:RO)が、約5:1〜約15:1の範囲内であるように形成され得る。他の実施形態において、結合材料内に存在するアルカリ酸化物化合物の総重量パーセントとアルカリ土類酸化物化合物の総重量パーセントとの割合は、約7:1〜約12:1の範囲内、さらには約8:1〜約10:1の範囲内等の、約6:1〜約14:1の範囲内とすることができる。
【0022】
一実施形態によれば、結合材料は、結合材料の総重量に対して約3重量%以下のリン酸化物から形成することができる。ある他の事例において、結合材料は、結合材料の総重量に対して、約2.0重量%以下、約1.5重量%以下、約1.0重量%以下、約0.8重量%以下、約0.5重量%以下、さらには約0.2重量%以下等の、約2.5重量%以下のリン酸化物を含有し得る。実際に、ある事例において、結合材料は、リン酸化物を本質的に含み得ない。リン酸化物の好適な含有量は、本明細書で説明されるようなある特徴および研削性能特性を助長することができる。
【0023】
一実施形態によれば、結合材料は、例えばMnO、ZrSiO、CoAl、およびMgO等の酸化物化合物を含む、約1重量%以下のある酸化物化合物を含む組成物以下から形成することができる。実際に、特定の実施形態において、結合材料は、上で特定された酸化物化合物を本質的に含まないものとすることができる。
【0024】
混合物内に配置される結合材料に加えて、結合研磨物品を形成する過程はさらに、あるタイプの研磨粒子の組み込みを含むことができる。一実施形態によれば、研磨粒子は、微結晶性アルミナ(MCA)を含むことができる。実際に、ある事例において、研磨粒子は、本質的に微結晶性アルミナで構成することができる。
【0025】
研磨粒子は、約1050ミクロン以下の平均粒径を有することができる。他に実施形態において、研磨粒子の平均粒径は、800ミクロン以下、約600ミクロン以下、約400ミクロン以下、約250ミクロン以下、約225ミクロン以下、約200ミクロン以下、約175ミクロン以下、約150ミクロン以下、さらには約100ミクロン以下の程度等、より小さくすることができる。さらに、研磨粒子の平均粒径は、少なくとも約5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、少なくとも約20ミクロン、少なくとも約30ミクロン、さらには少なくとも約50ミクロン、少なくとも約60ミクロン、少なくとも約70ミクロン、さらには少なくとも約80ミクロン等の、少なくとも約1ミクロンとすることができる。研磨粒子の平均粒径は、上述の最小値および最大値のいずれかの範囲内とすることができることが認識されるであろう。
【0026】
微結晶性アルミナを利用する研磨粒子をさらに参照すると、微結晶性アルミナは、サブミクロンサイズの平均砥粒径を有する砥粒で形成することができることが認識されるであろう。実際に、微結晶性アルミナの平均砥粒径は、約0.5ミクロン以下、約0.2ミクロン以下、約0.1ミクロン以下、約0.08ミクロン以下、約0.05ミクロン以下、さらには約0.02ミクロン以下等の、約1ミクロン以下とすることができる。
【0027】
加えて、研磨粒子および結合剤を含む混合物の形成はさらに、充填剤、気孔形成剤、および最終的に形成される結合研磨物品の形成に適した材料等の、他の成分の添加を含むことができる。気孔形成材料のいくつかの好適な例としては、バブルアルミナ、バブルムライト、中空ガラス球、中空セラミック球、もしくは中空ポリマー球を含む中空球、ポリマーもしくはプラスチック材料、有機化合物、ガラス、セラミック、もしくはポリマーのストランドおよび/もしくは繊維を含む繊維様材料が挙げられるが、それらに限定されない。他の好適な気孔形成材料としては、ナフタレン、PDB、シェル、木材等が挙げられる。さらに別の実施形態において、充填剤は、例えば酸化物を含む、1つ以上の無機材料を含むことができ、また特に、ジルコニア、シリカ、チタニア、およびそれらの組み合わせの結晶相または非結晶相を含み得る。
【0028】
混合物が好適に形成された後に、混合物を成形することができる。好適な成形過程としては、プレス作業および/またはモールディング作業ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、一実施形態において、混合物は、混合物を金型内でコールドプレスして素地体を形成することによって成形することができる。
【0029】
素地体を好適に形成した後に、素地体は、ガラス質相結合材料を有する研磨物品の形成を助長するために、特定の温度で焼結することができる。特に、焼結作業は、約1000℃未満である焼結温度で行うことができる。特定の実施形態において、焼結温度は、約950℃未満、特に約800℃〜950℃の範囲内等の、約980℃未満とすることができる。上述の結合成分について特に低い焼成温度が利用され得、よって、極端に高い温度が回避され、したがって、形成過程中の研磨粒子の劣化を制限することが認識されるであろう。
【0030】
特定の一実施形態によれば、結合研磨体は、ガラス質相材料を有する結合材料を含む。特定の事例において、結合材料は、単相ガラス質材料とすることができる。
【0031】
最終的に形成される結合研磨体は、特定の含有量の結合材料、研磨粒子、気孔率を有することができる。特に、結合研磨物品の本体は、結合研磨体の総容積に対して少なくとも約42容積%の気孔率を有することができる。他の実施形態において、気孔率の量は、結合研磨体の総容積に対して、少なくとも約44容積%、少なくとも約45容積%、少なくとも約46容積%、少なくとも約48容積%、さらには少なくとも約50容積%等の、少なくとも約43容積%等、より多くすることができる。一実施形態によれば、結合研磨体は、約65容積%以下、約62容積%以下、約60容積%以下、約56容積%以下、約52容積%以下、さらには約50容積%以下等の、約70容積%以下の気孔率を有することができる。結合研磨体は、結合研磨体の総容積の約46%〜約48%の気孔率等の、結合研磨体の総容積の約46%〜約50%の気孔率を含み得る。結合研磨体は、上述の最小および最大パーセンテージのいずれかの範囲内の気孔率を有することができることが認識されるであろう。
【0032】
一実施形態によれば、結合研磨体は、結合研磨体の総容積に対して少なくとも約35容積%の研磨粒子を有することができる。他の実施形態においては、研磨粒子の総含有量は、少なくとも約37容積%、さらには少なくとも約39容積%等、より多くすることができる。特定の一実施形態によれば、結合研磨体は、結合研磨体の総容積に対して、約48容積%以下、さらには約46容積%以下等の、約50容積%以下の研磨粒子を有するように形成することができる。結合研磨体内の研磨粒子の含有量は、上述の最小および最大パーセンテージのいずれかの範囲内とすることができることが認識されるであろう。
【0033】
特定の事例において、結合研磨体は、気孔率および研磨粒子の含有量と比較して、僅かな含有量(容積%)の結合材料を含有するように形成される。例えば、結合研磨体は、結合研磨体の総容積に対して、約15容積%以下の結合材料を有することができる。他の事例において、結合研磨体は、結合研磨体の総容積に対して、約14容積%以下、約13容積%以下、さらには約12容積%以下を含有するように形成することができる。1つの特定の事例において、結合研磨体は、結合研磨体の総容積に対して、少なくとも約8容積%、少なくとも約9容積%程度、さらには少なくとも約10容積%等の、少なくとも約7容積%の結合材料を含有するように形成することができる。
【0034】
図1は、一実施形態に従う特定の結合研磨物品内に存在する相の図表を含む。図1は、結合剤の容積%、研磨粒子の容積%、および気孔率の容積%を含む。陰影領域101は、研削用途に適した従来の結合研磨物品を表すが、陰影領域103は、本明細書の一実施形態による結合研磨物品の相含有量を表す。
【0035】
特に、従来の結合研磨物品の相含有量(すなわち、陰影領域101)は、一実施形態の結合研磨物品の相含有量とはかなり異なる。特に、従来の結合研磨物品は、一般的に、およそ40容積%〜51容積%の範囲内の最大気孔率、およそ42容積%〜50容積%の研磨粒子含有量、およびおよそ9〜20容積%の結合剤含有量を有する。従来の結合研磨物品は、研削中に遭遇する過剰な力に対処するのに十分な強度を有する結合研磨体を研削用途が必要とし、かつ、高多孔性結合研磨体がそのような力にこれまで耐えることができなかったので、一般的に、50容積%以下の最大気孔含有量を有する。
【0036】
一実施形態によれば、結合研磨物品は、従来の結合研磨物品よりもかなり大きい気孔率を有することができる。例えば、一実施形態の1つの結合研磨物品は、結合研磨体の総容積に対して、約51容積%〜約58容積%の範囲内の気孔含有量を有することができる。さらに、図1で例示されるように、一実施形態の結合研磨物品は、結合研磨物品の総容積に対して、約40容積%〜約42容積%の範囲内の研磨粒子含有量、およびおよそ2容積%〜約9容積%の範囲内の特に低い結合剤含有量を有することができる。
【0037】
特に、本明細書の実施形態の結合研磨体は、従来の結合研磨体とは異なる特有の特性を有することができる。特に、本明細書の結合研磨物品は、特定の含有量の気孔率、研磨粒子、および結合剤を有する一方で、結合研磨物品を研削用途等の特定の用途に適したものにする特有の機械的特性を示すことができる。例えば、一実施形態において、結合研磨体は、特定の弾性率(MOE)に対応し得る、特定の破壊係数(MOR)を有することができる。例えば、結合研磨体は、少なくとも約40GPaのMOEに対して、少なくとも45MPaのMORを有することができる。一実施形態においては、MORは、40GPaのMOEに対して、少なくとも約47MPa、少なくとも約48MPa、少なくとも約49MPa、さらには少なくとも約50MPa等の、少なくとも約46MPaとすることができる。さらに、結合研磨体は、40GPaのMOEに対して、約65MPa以下、または約60MPa以下等の、約70MPa以下のMORを有し得る。MORは、上述の最小値および最大値のいずれかの範囲内とすることができることが認識されるであろう。
【0038】
別の実施形態において、45GPaのMOEを有するある結合研磨体に対して、MORは、少なくとも約45MPaとすることができる。実際に、45GPaのMOEを有するある結合研磨体について、MORは、少なくとも約47MPa、少なくとも約48MPa、少なくとも約49MPa、さらには少なくとも約50MPa等の、少なくとも約46MPaとすることができる。さらに、MORは、45GPaのMOEに対して、約70MPa以下、約65MPa以下、または約60MPa以下であり得る。MORは、上述の最小値および最大値のいずれかの範囲内とすることができることが認識されるであろう。
【0039】
MORは、4インチ×1インチ×0.5インチ(約101.6mm×約25.4mm×約12.7mm)のサイズの試料に対する標準3点曲げ試験を使用して測定することができ、荷重は、試料サイズ以外に、全般的にASTM D790に従って、1インチ×0.5インチ(約25.4mm×約12.7mm)の平面にわたって荷重が印加される。破壊荷重を記録し、標準方程式を使用してMORに逆算することができる。MOEは、研磨研削砥石産業界における標準的技法に従って、GrindoSonic機器または類似の装置を使用した複合材の固有振動数の測定によって計算することができる。
【0040】
一実施形態において、結合研磨体は、MORをMOEで割った尺度である、強度比を有することができる。特定の事例において、特定の結合研磨体の強度比(MOR/MOE)は、少なくとも約0.8とすることができる。他の事例において、強度比は、少なくとも約1.0、少なくとも約1.05、少なくとも約1.10等の、少なくとも約0.9とすることができる。さらに、強度比は、約2.50以下、約2.00以下、約1.70以下、約1.50以下、約1.40以下、または約1.30以下等の、約3.00以下であり得る。結合研磨体の強度比は、上述の最小値および最大値のいずれかの範囲内とすることができることが認識されるであろう。
【0041】
一実施形態によれば、結合研磨体は、特定の研削作業での使用に適したものとすることができる。例えば、本明細書の実施形態の結合研磨体は、研削作業に適していることが発見されている。実際に、結合研磨体は、ワークピースに損傷を与えることなく利用することができ、好適なまたは向上した研削性能を提供する。
【0042】
結合研磨体の研削能力に対する本明細書の参照は、センタレス研削、円筒研削、クランク軸研削、種々の表面研削作業、ベアリングおよび歯車研削作業、クリープフィード研削、ならびに種々の工具室の研削過程等の研削作業に関連することができる。さらに、研削作業用の好適なワークピースとしては、無機材料または有機材料が挙げられる。特定の事例において、ワークピースとしては、金属、金属合金、プラスチック、または天然材料が挙げられる。一実施形態において、ワークピースとしては、鉄系金属、非鉄系金属、金属合金、金属超合金、およびそれらの組み合わせが挙げられる。別の実施形態において、ワークピースとしては、例えばポリマー材料を含む、有機材料が挙げられる。さらに他の事例において、ワークピースは、例えば木材を含む、天然材料であり得る。
【0043】
これらの研磨物品の砥石サイズのいくつかのバージョンは、直径で約4.5インチ(約11.43cm)を超える〜約54インチ(約137.16cm)の範囲であり得る。代表的なストック除去量は、用途に応じて、約0.0001インチ(約0.0025mm)〜約0.500インチ(約12.7mm)の範囲であり得る。
【0044】
特定の事例において、結合研磨体は、特に高い除去率でワークピースを研削できることが注目されている。例えば、一実施形態において、結合研磨体は、少なくとも約0.4インチ/分/インチ(258mm/分/mm)の材料除去率で研削作業を行うことができる。他の実施形態において、材料除去率は、少なくとも約0.5インチ/分/インチ(322mm/分/mm)、少なくとも約0.55インチ/分/インチ(354mm/分/mm)、さらには少なくとも約0.6インチ3/分/インチ(387mm/分/mm)等の、少なくとも約0.45インチ/分/インチ(290mm/分/mm)とすることができる。さらに、ある結合研磨体の材料除去率は、約1.2インチ/分/インチ(774mm/分/mm)以下、約1.0インチ/分/インチ(645mm/分/mm)以下、さらには約0.9インチ/分/インチ(580mm/分/mm)以下等の、約1.5インチ/分/インチ(967mm/分/mm)以下であり得る。本出願の結合研磨体は、上述の最小値および最大値のいずれかの範囲内の材料除去率で、ワークピースを研削することができることが認識されるであろう。
【0045】
ある研削作業中に、本出願の結合研磨体は、特定の切込み深さ(DOC)または(Zw)で研削できることが注目されている。例えば、結合研磨体によって達成される切込み深さは、少なくとも約0.003インチ(0.0762ミリメートル)とすることができる。他の事例において、結合研磨体は、研削作業中に、少なくとも約0.0045インチ(0.114ミリメートル)、少なくとも約0.005インチ(0.127ミリメートル)、さらには少なくとも約0.006インチ(0.152ミリメートル)等の、少なくとも約0.004インチ(0.102ミリメートル)の切込み深さを達成することができる。本明細書の結合研磨体を利用する研削作業の切込み深さは、約0.01インチ(0.254ミリメートル)以下、または約0.009インチ(0.229ミリメートル)以下であり得ることが認識されるであろう。切込み深さは、上述の最小値および最大値のいずれかの範囲内とすることができることが認識されるであろう。
【0046】
他の実施形態において、結合研磨体は、約10Hp(7.5kW)を超えない最大動力でワークピースを研削することができる一方で、上述の研削パラメータが利用されることが注目されている。他の実施形態において、研削作業中の最大動力は、約8Hp(6.0kW)以下、さらには約7.5Hp(5.6kW)以下等の、約9Hp(6.8kW)以下であり得る。
【0047】
別の実施形態によれば、研削作業中に、本明細書の実施形態の結合研磨物品は、特に従来の結合研磨物品と比較して、優れた角部保持能力を有することが注目されている。実際に、結合研磨体は、0.00255インチ(約0.00648mm)/秒,ラジアンに相当する、少なくとも約1.8の切込み深さ(Zw)で約0.07インチ(約1.78mm)以下の角部保持ファクターを有することができる。特に、本明細書で使用されるとき、1.0の切込み深さは、0.00142インチ(約0.03607mm)/秒,ラジアンに相当し、1.4の切込み深さ(Zw)は、0.00198インチ(0.05029mm)/秒,ラジアンに相当する。角部保持ファクターは、特定の切込み深さで、NiCrMoV硬化調質高強度鋼合金である4330Vのワークピースに対して5回研削を行った後のインチでの半径の変化の尺度であることが認識されるであろう。ある他の実施形態において、結合研磨物品は、少なくとも約1.80の切込み深さについて、約0.05インチ(約1.27mm)以下、約0.04インチ(約1.02mm)以下等の、約0.06インチ(約1.52mm)以下である角部保持ファクターを示す。
【0048】
一実施形態において、研磨物品は、結合材料内に含有される研磨粒子を有する結合研磨体を含み得る。結合研磨体は、少なくとも約225GPaの、研磨粒子と結合材料との界面の弾性係数(MOE)を含み得る。結合研磨体は、約60m/s未満の速度で、金属を含むワークピースを研削するように構成され得る。
【0049】
例えば、研磨粒子と結合材料との界面の弾性係数MOEは、少なくとも約275GPa、さらには少なくとも約300GPa等の、少なくとも約250GPaであり得る。あるいは、研磨粒子と結合材料との界面の弾性係数MOEは、約325GPa以下、さらには約320GPa以下等の、約350GPa以下であり得る。
【0050】
別の実施形態において、研磨物品は、結合材料内に含有される研磨粒子を有する結合研磨体を含み得る。結合研磨体は、少なくとも約13GPaの研磨粒子と結合材料との界面の硬度を含み得る。結合研磨体は、約60m/s未満の速度で、金属を含むワークピースを研削するように構成され得る。他の例において、研磨粒子と結合材料との界面の硬度は、少なくとも約14GPa、さらには少なくとも約15GPaであり得る。あるいは、研磨粒子と結合材料との界面の硬度は、約18GPa以下、さらには約16GPa以下等の、約20GPa以下であり得る。
【0051】
さらに別の例において、結合研磨体は、約125マイクロインチ(約3.18mm)の表面仕上げを含み得る。
【0052】
結合研磨体は、少なくとも約1.0インチ(約25.4mm)/分の送り込み速度(Z’w)で機能し得る。例えば、Z’wは、約1.8インチ(約45.7mm)/分以下、約2.0インチ(約50.8mm)/分以下、さらには2.2インチ(55.9mm)/分等の、約1.4インチ/分であり得る。
【0053】
1つのバージョンにおいて、結合研磨体は、少なくとも約0.235in(約3.851cm)/分の材料除去率を含み得る。
【0054】
研磨物品の実施形態は、結合材料内に含有される研磨粒子を有する結合研磨体を含み得る。結合研磨体は、送り込み速度の変化にわたるx軸半径の変化として定義される、研削ファクターを含み得る。研削ファクターは、約0.040以下であり得る。結合研磨体は、約60m/s未満の速度で、金属を含むワークピースを研削するように構成され得る。研削ファクターは、約0.030以下の研削ファクター、さらには0.028以下の研削ファクター等の、約0.035以下であり得る。
【0055】
特定の実施形態において、結合研磨体は、約0.080インチ(約2.032mm)以下の角部保持ファクターを含み得る。例えば、x軸の角部保持ファクターは、約0.060インチ(約1.524mm)以下、約0.050(約1.270mm)以下、さらには0.042インチ(約1.067mm)以下等の、約0.070インチ(約1.778mm)であり得る。
【0056】
角部保持ファクターは、砥石の半径のパーセント変化として表され得る。例えば、直径7インチ(約178mm)(すなわち、半径3.5インチ(約88.9mm))を有する砥石について、0.080インチ(約2.032mm)のx軸角部保持ファクターは、1−(3.5−0.08)/3.5=2.3%の変化の、砥石のx軸半径の変化を表す。0.07、0.06、0.05、および0.042のx軸の角部保持ファクターについて、砥石のx軸半径の変化は、それぞれ、2%、1.7%、1.4%、および1.2%である。故に、結合研磨体は、3%以下のx軸半径の変化を有し得る。例えば、結合研磨体は、約2%以下、約1.7%以下、約1.5%以下、さらには約1.3%以下等の、2.5%以下のx軸半径の変化を有し得る。
【0057】
結合研磨体の他の実施形態は、送り込み速度の変化にわたるy軸半径の変化として定義される、研削ファクターを含み得る。研削ファクターは、約0.018以下であり得る。他の研削ファクターの例は、約0.014以下の研削ファクター、約0.012以下の研削ファクター、さらには約0.010以下の研削ファクター等の、約0.016以下であり得る。
【0058】
特定の実施形態において、結合研磨体は、約0.030インチ(約0.762mm)以下、約0.025インチ(約0.635mm)以下、さらには約0.024インチ(約0.610mm)以下等の、約0.033インチ(約0.838mm)のy軸角部保持ファクターを含み得る。
【0059】
角部保持ファクターは、砥石の半径のパーセント変化として表され得る。例えば、直径7インチ(約178mm)(すなわち、半径3.5インチ(約88.9mm))を有する砥石について、0.033インチ(約0.838mm)のy軸角部保持ファクターは、1−(3.5−0.033)/3.5=0.94%の変化の、砥石のy軸半径の変化を表す。0.03、0.025、0.024のy軸の角部保持ファクターについて、砥石のx軸半径の変化は、それぞれ、0.86%、0.71%、および0.69%である。
【0060】
故に、結合研磨体は、約1%以下のy軸半径の変化を有し得る。例えば、結合研磨体は、約0.8%以下、さらには約0.7%以下等の、約0.9%以下のx軸半径の変化を有し得る。
【0061】
研磨物品の他のバージョンは、従来の外径研磨研削砥石よりも、少なくとも約4%、少なくとも約5%、さらには少なくとも約6%等の、従来の外径研磨研削砥石よりも、少なくとも約3%少ないドレッシングを必要とする本体を含み得る。
【0062】
別の実施例において、本体は、従来の外径研磨研削砥石よりも、少なくとも約5%少ないサイクル時間を必要とし得る。例えば、本体は、従来の外径研磨研削砥石よりも、少なくとも約15%、さらには少なくとも約18%少ないサイクル時間等の、少なくとも約10%少ないサイクル時間を必要とし得る。
【0063】
研磨物品の実施形態は、約55m/s未満の速度で、金属を含むワークピースを研削するように構成することができる、結合研磨体を有し得る。例えば、速度は、約45m/s未満、さらには約40m/s未満等の、約50m/s未満であり得る。さらに他のバージョンにおいて、速度は、少なくとも約40m/s、少なくとも約45m/s、さらには少なくとも約50m/s等の、少なくとも約35m/sであり得る。
【0064】
研磨物品は、約18インチ(約457.2mm)〜約30インチ(約762.0mm)、約10インチ(約254.0mm)〜約36インチ(約914.4mm)、さらには約5インチ(約127.0mm)〜約54インチ(約1371.6mm)等の、約24インチ(約609.6mm)〜約30インチ(約762.0mm)の範囲の外径を有する砥石を含む本体を有し得る。
【0065】
研磨物品の他の実施形態は、単相ガラス質材料を含む結合材料を含み得る。結合研磨体のいくつかのバージョンは、約70容積%以下の気孔率等の、結合研磨体の総容積の少なくとも約42容積%の気孔率を含み得る。
【0066】
結合研磨体は、結合研磨体の総容積の少なくとも約35容積%の研磨粒子を含み得る。別の例において、結合研磨体は、結合研磨体の総容積の約15容積%以下の結合材料を含み得る。
【0067】
結合材料の例は、結合材料の総重量に対して約20重量%以下の酸化ホウ素(B)から形成され得る。別のバージョンにおいて、結合材料は、約3.2以下の、重量パーセント酸化ケイ素(SiO)と重量パーセント酸化アルミニウム(Al)との比率(SiO:Al)を含み得る。結合材料は、約3.0重量%以下のリン酸化物(P)から形成され得る。あるいは、結合材料は、酸化リン(P)を本質的に含み得ない。
【0068】
結合材料の他の実施形態は、アルカリ土類酸化物化合物(RO)から形成され得る。例えば、結合材料中に存在するアルカリ土類酸化物化合物(RO)の総量は、約3.0重量%以下であり得る。結合材料は、酸化カルシウム(CaO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化バリウム(BaO)、酸化ストロンチウム(SrO)の群から選択される約3つの異なるアルカリ土類酸化物化合物(RO)から形成され得る。結合材料はまた、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、および酸化セシウム(CsO)、ならびにそれらの組み合わせから成る化合物の群から選択されるアルカリ酸化物化合物(RO)も含み得る。結合材料は、約20重量%以下のアルカリ酸化物化合物(RO)の総量から形成され得る。あるいは、結合材料は、約3つ以下のアルカリ酸化物化合物(RO)を含み得る。別の例において、結合材料内に存在する任意のアルカリ酸化物化合物の含有量(重量%)は、アルカリ酸化物の総含有量(重量%)の半分以下であり得る。
【0069】
さらに他の実施形態において、結合材料は、約55重量%以下の酸化ケイ素(SiO)から形成される。結合材料は、少なくとも約12重量%の酸化アルミニウム(Al)から形成され得る。結合材料はまた、少なくとも1つのアルカリ酸化物化合物(RO)および少なくとも1つのアルカリ土類酸化物化合物(RO)からも形成され得、アルカリ酸化物化合物およびアルカリ土類酸化物化合物の総含有量は、約20重量%以下である。
【0070】
結合剤のいくつかの例は、酸化ホウ素(B)および酸化ケイ素(SiO)から形成され得、酸化ホウ素および酸化ケイ素の総含有量は、約70重量%以下であり得る。酸化ケイ素(SiO)の含有量は、酸化ホウ素の含有量よりも多くなり得る。
【0071】
特定のバージョンにおいて、結合剤は、MnO、ZrSiO、CoAl、およびMgOから成る群から選択される、約1重量%以下の酸化物化合物を含む組成物から形成され得る。結合剤は、MnO、ZrSiO、CoAl、およびMgOから成る群から選択される酸化物化合物を本質的に含まない組成物から形成され得る。加えて、結合研磨体は、約1000℃以下の温度で焼結され得る。
【0072】
結合材料の実施形態は、約2.4〜約3.5の、重量パーセント酸化ケイ素(SiO)と重量パーセント酸化アルミニウム(Al)との比率(SiO:Al)を含み得る。結合材料は、微量(<1%)のFe、TiO、およびMgのそれぞれ、ならびにそれらの組み合わせを含み得る。結合材料は、約32〜約52の重量パーセント酸化ケイ素(SiO)と重量パーセントCaOとの比率(SiO:CaO)を含み得る。結合材料はまた、約9.6〜約26の重量パーセント酸化ケイ素(SiO)と重量パーセントLiOとの比率(SiO:LiO)を含み得る。別の例において、結合材料は、約4.8〜約10.4の重量パーセント酸化ケイ素(SiO)と重量パーセントNaOとの比率(SiO:NaO)を含み得る。結合材料は、約9.6〜約26の重量パーセント酸化ケイ素(SiO)と、重量パーセントKOとの比率(SiO:KO)を含み得る。結合材料はまた、約2.8〜約5.2の重量パーセント酸化ケイ素(SiO)と重量パーセントBとの比率(SiO:B)も含み得る。
【0073】
結合材料の実施形態は、約10〜約20の重量パーセント酸化アルミニウム(Al)と重量パーセントCaOとの比率(Al:CaO)を含み得る。結合材料は、約3〜約10の重量パーセント酸化アルミニウム(Al)と重量パーセントLiOとの比率(Al:LiO)を含み得る。結合材料はまた、約1.5〜約4の重量パーセント酸化アルミニウム(Al)と重量パーセントNaOとの比率(Al:NaO)も含み得る。結合材料の例は、約3〜約10の重量パーセント酸化アルミニウム(Al)と重量パーセントKOとの比率(Al:KO)を含み得る。結合材料はまた、約0.9〜約2の重量パーセント酸化アルミニウム(Al)と重量パーセントBとの比率(Al:B)も含み得る。
【0074】
別の例において、結合材料は、約0.2〜約0.75の重量パーセントCaOと重量パーセントLiOとの比率(CaO:LiO)を含み得る。結合材料は、約0.1〜約0.3の重量パーセントCaOと重量パーセントNaOとの比率(CaO:NaOを含み得る。結合材料はまた、約0.2〜約0.75の重量パーセントCaOと重量パーセントKOとの比率(CaO:KO)を含み得る。加えて、結合材料は、約0.16〜約0.15の重量パーセントCaOと重量パーセントBとの比率(CaO:B)を含み得る。
【0075】
結合材料の他の実施形態は、約0.2〜約1の重量パーセントLiOと重量パーセントNaOとの比率(LiO:NaO)を含むことができる。結合材料は、約0.4〜約2.5の重量パーセントLiOと重量パーセントKOとの比率(LiO:KO)を含むことができる。結合材料はまた、約0.12〜約0.5の重量パーセントLiOと重量パーセントBとの比率(LiO:B)も含むことができる。
【0076】
結合材料の特定の実施形態は、約1〜約5の重量パーセントNaOと重量パーセントKOとの比率(NaO:KO)を含み得る。結合材料はまた、約0.3〜約1の重量パーセントNaOと重量パーセントBとの比率(NaO:B)も含み得る。加えて、結合材料は、約0.12〜約0.5の重量パーセントKOと重量パーセントBとの比率(KO:B)を含むことができる。
【0077】
研磨物品の他の例は、約20重量%以下の酸化ホウ素(B)および約3.0重量%以下のリン酸化物(P)から形成され、約3.2(重量パーセント)以下の重量パーセントシリカ(SiO)と重量パーセントアルミナ(Al)との比率を有する、結合研磨体を含み得、結合研磨体は、結合研磨体の総容積の少なくとも約42容積%の気孔率を有する。結合研磨体は、約60m/s未満の速度で、金属を含むワークピースを研削することができ得る。
【0078】
研磨物品を研削する方法の実施形態は、結合材料内に含有される研磨粒子を有する結合研磨体を形成することを含み、よって、結合研磨体は、少なくとも約225GPaの研磨粒子と結合材料との界面の弾性係数(MOE)を含む。本方法は、約60m/s未満の速度で、結合研磨体によって、金属を含むワークピースを研削することを含み得る。
【0079】
研磨物品を研削する方法の別の実施形態は、結合材料内に含有される研磨粒子を有する結合研磨体を形成することを含み得、よって、結合研磨体は、少なくとも約13GPaの研磨粒子と結合材料との界面の硬度を含む。本方法は、約60m/s未満の速度で、結合研磨体によって、金属を含むワークピースを研削することを含み得る。
【0080】
研磨物品を研削する方法のさらに別の実施形態は、結合材料内に含有される研磨粒子を有する結合研磨体を形成することを含み、よって、結合研磨体は、送り込み速度の変化にわたるx軸半径の変化として定義される、研削ファクターを含み、研削ファクターは、少なくとも約1.0インチ(約25.4mm)/分の送り込み速度(Z’w)に対して約0.040以下である。本方法は、約60m/s未満の速度で、結合研磨体によって、金属を含むワークピースを研削することを含み得る。
【0081】
研磨物品を研削する方法はまた、結合材料内に含有される研磨粒子を有する結合研磨体を形成することを含み、よって、結合研磨体は、送り込み速度の変化にわたるy軸半径の変化として定義される、研削ファクターを含み、研削ファクターは、少なくとも約1.0インチ(約25.4mm)/分の送り込み速度(Z’w)に対して約0.018以下である。本方法は、約60m/s未満の速度で、結合研磨体によって、金属を含むワークピースを研削することを含み得る。
【0082】
研磨物品を研削するさらに別の方法は、約20重量%以下の酸化ホウ素(B)および約3.0重量%以下のリン酸化物(P)から形成され、約3.2(重量パーセント)以下の重量パーセントシリカ(SiO)と重量パーセントアルミナ(Al)との比率を有する、結合研磨体を形成することを含むことができ、結合研磨体は、結合研磨体の総容積の少なくとも約42容積%の気孔率を有する。本方法は、約60m/s未満の速度で、結合研磨体によって、金属を含むワークピースを研削することを含み得る。
【0083】
実施例
実施例1
外径研削用途における砥石の寿命または性能は、持続できる研削回数、またはその形状もしくは角部保持能力を失うまでに研削することができる部品数に依存し得、また、部品の品質にも影響を与えることになる。砥石の寿命はまた、以降の研削作業のための新しい表面を生成するために必要とされるドレッシング頻度にも関連し得る。砥石の形状保持能力または角部保持能力はまた、結合剤が砥粒を保持し、有効な研削作業に対するその良好さを維持する能力にも関連し得る。本実施例では、異なる結合剤を伴う38A溶融アルミナ研磨粒子を有する研磨剤砥石を試験した。試験装置は、Berkovich型圧子先端を使用した、MTS Nanoindenter XPであった。各試料について、圧子押し込みは、研磨粒子から粒子の境界を横断して結合剤領域まで延在し、次いで次の研磨粒子の中へ延在する二重線(図2を参照されたい)に沿って、20か所で行った。列の中の圧子押し込み間の間隔は、10ミクロンであり、列自体は、10ミクロンの距離で分離した。圧子押し込みは、1ミクロンの深さまで進めた。
【0084】
図3および図4は、それぞれ、3つの異なる結合剤に関する弾性係数(MOE)および硬度を示す。線図1301、1302、および1303は、それぞれ、本明細書の実施形態に従って形成された結合研磨物品の試料の、研磨剤、結合剤、および研磨剤−結合剤界面のMOEを表す。この試料は、結合研磨体の総容積のほぼ7容積%〜ほぼ12容積%の結合剤含有量の範囲を有した。加えて、この試料は、結合研磨体の総容積のほぼ46容積%〜ほぼ50容積%の気孔率の範囲を有した。
【0085】
図3において、第1の従来の試料CS1は、その研磨剤、結合剤、および研磨剤−結合剤界面について、それぞれ、MOE値1305、1306、および1307を生じた。試料CS1は、Saint Gobain CorporationからVS製品として市販されている結合研磨物品である。第2の従来の試料CS2は、Saint Gobain CorporationからVH製品として市販されている結合研磨物品である。試料CS2は、その研磨剤、結合、および研磨剤−結合剤界面について、それぞれ、MOE値1310、1311、および1312を生じた。
【0086】
図3で示されるように、実施形態の界面MOE1303は、従来の試料CS1およびCS2の界面MOE1307および1312よりもそれぞれかなり優れていた。そのような結果は、最新技術の従来の結合研磨物品を超える、本明細書の実施形態に従って形成された結合研磨物品の研磨剤−結合剤界面のMOEの顕著な向上を示す。
【0087】
図4において、線図1401、1402、および1403は、それぞれ、図3の実施形態に従って形成された結合研磨物品の試料の研磨剤、結合剤、および研磨剤−結合剤界面の硬度を表す。第1の従来の試料CS1は、その研磨剤、結合剤、および研磨剤−結合剤界面について、それぞれ、硬度値1405、1406、および1407を生じた。試料CS1は、図3について上で開示されたものと同じである。同様に、第2の従来の試料CS2は、その研磨剤、結合剤、および研磨剤−結合剤界面について、それぞれ、硬度値1410、1411、および1412を生じた。試料CS2は、図3について上で開示されたものと同じである。
【0088】
図4で示されるように、実施形態の界面硬度1403は、従来の試料CS1およびCS2の界面硬度1407および1412よりもそれぞれかなり優れていた。そのような結果は、最新技術の従来の結合研磨物品を超える、本明細書の実施形態に従って形成された結合研磨物品の研磨剤−結合剤界面の硬度の顕著な向上を示す。
【0089】
したがって、新しい結合剤は、より高い弾性係数および硬度を有する。これは、研磨砥石におけるより弱い部分(結合剤および界面)について特に顕著である。弾性係数および界面の硬度の向上は、界面の強化を補助することができ、また、界面が研磨剤とのより良好な接続性を有することを示す。これらの設計は、厳しい研削条件の下で研磨砥石の寿命を向上させるのに有用である。
【0090】
実施例2
この角部保持の用途および試験のために、7インチ(約177.8mm)の砥石の4つの試料を準備した。4つの試料は、3つの異なる従来の結合剤および本明細書の一実施形態に従う1つの結合剤を含んだ。4つの試料は全て、38A溶融アランダム砥粒を含み、またそれぞれ、結合研磨体の総容積に対して、約7容積%〜約12容積%の結合剤含有量、ならびに約46%〜約50%の気孔率を含んだ。従来の試料は、実施例1で使用したものと同じVSおよびVH結合剤を使用した。表1は、実施例2で使用される試験条件に関するさらなる詳細を含む。
【表1】
【0091】
4つの試料は、角部保持構成においてBryant研削盤上で試験した。砥石速度は、50.36m/秒であった。試験材料は、外径3.745インチ(約95.123mm)の4330V鋼(Rc=28〜32)であった。試験材料の速度は、1.15m/秒であった。研削モードは、0.100インチ(約2.54mm)の研削幅での外部プランジであった。各砥石は、反転めっきしたダイヤモンドロールの補助を用いてドレッシングした。送り込み速度は、1.0、1.4、および1.8インチ(約29.5cm)/分/インチの目標材料除去速度(Z’w)を得るように調整した。各試験砥石に対して、目標送り込み速度で、ドレッシングを行わずに5回連続した半径方向の研削を行った。最後の研削の後に、ワーク材料から表面仕上げおよびうねりを取得した。角部半径および半径方向の摩耗測定のために、各研削の後に、試験砥石を使用して、砥石輪郭を記録するFormica製ブランクを研削した。そのブランクから測定値を取得した。
【0092】
図6は、3つの従来の結合研磨物品1600、1601、および1602、ならびに結合研磨物品の実施形態1605の表面仕上げRa対送り込み速度(Z’w)の線図を含む。結合研磨体の実施形態1605は、1.4インチ(約35.6mm)/分の送り込み速度(Z’w)で、約85マイクロインチ(約2.16μm)以下の表面仕上げを含む。対照的に、物品1600、1601、および1602は全て、1.4インチ/分の送り込み速度(Z’w)で、少なくとも約125マイクロインチ(約3.18μm)の表面仕上げを呈した。
【0093】
図7は、同じ3つの従来の結合研磨物品1700、1701、および1702、ならびに結合研磨物品の実施形態1705の、5回研削における材料除去対送り込み速度(Z’w)の線図を含む。結合研磨体1705は、1.8インチ(約45.7mm)/分の送り込み速度(Z’w)で、少なくとも約0.241in(約3.949cm)/分の材料除去率を含んだ。対照的に、従来の物品1700、1701、および1702は全て、1.8インチ/分の送り込み速度(Z’w)で、約0.235in(約3.851cm)/分以下の材料除去速度を呈した。
【0094】
角部摩耗または半径測定値の変化の概略図を図5に示す。寸法1500は、x軸に沿った試料の元々の寸法(すなわち、0.875インチ(約22.225mm)の軸方向の幅)を表し、一方で、寸法1501は、x軸に沿った試料の研削後の寸法を表す。同様に、寸法1502は、y軸に沿った試料の元々の寸法(すなわち、7インチ(約177.8mm)の直径)を表し、一方で、寸法1503は、y軸に沿った試料の研削後の寸法を表す。
【0095】
図8は、同じ3つの従来の結合研磨物品1800、1801、および1802、ならびに結合研磨物品の実施形態1805の角部保持ファクターを示す、x軸半径の変化対送り込み速度(Z’w)の線図を含む。結合研磨物品の実施形態1805は、1.8インチ(約45.7mm)/分の送り込み速度(Z’w)で、約0.042インチ(約1.067mm)のx軸角部保持ファクターを含んだ。対照的に、従来の物品1800、1801、および1802は全て、1.8インチ/分の送り込み速度(Z’w)で、少なくとも約0.080インチ(約2.032mm)のx軸角部保持ファクターを呈した。
【0096】
加えて、結合研磨体1805は、送り込み速度の変化にわたるx軸半径の変化として定義される、研削ファクターを含んだ。研削ファクターは、本質的に図8における線の平均勾配である。例えば、本体1805の場合、研削ファクターは、0.042−0.019=0.023の分子を有する。分母は、1.80−1.00=0.80である。研削ファクターは、0.023/0.80=約0.029である。対照的に、物品1800、1801、および1802は、少なくとも約0.050の研削ファクターを有した。
【0097】
同様に、図9は、同じ3つの従来の結合研磨物品1900、1901、および1902、ならびに結合研磨物品の実施形態1905の角部保持ファクターを示す、y軸半径の変化対送り込み速度(Z’w)の線図を含む。本体1905は、1.8インチ(約45.7mm)/分の送り込み速度(Z’w)で、約0.042インチ(約1.067mm)のy軸角部保持ファクターを呈した。物品1900、1901、および1902は、1.8インチ/分の送り込み速度(Z’w)で、少なくとも約0.033インチ(約0.838mm)のy軸角部保持ファクターを有した。
【0098】
図9に基づいて、研削ファクターも計算した。例えば、本体1905の場合、研削ファクターは、0.024−0.016=0.008の分子を有する。分母は、1.80−1.00=0.80である。研削ファクターは、0.008/0.80=約0.01である。対照的に、物品1900、1901、および1902は、少なくとも約0.0188の研削ファクターを有した。
【0099】
したがって、x軸およびy軸に沿った角部半径の変化は、本明細書の実施形態による結合剤を有する製品が、従来の結合システムを有する製品と比較して、全ての除去速度において最も少ない角部摩耗の量を示すことを示している。
【0100】
実施例3
本実施例、ならびにゾルゲルおよび溶融アルミナ研磨剤の組み合わせを含む実施形態は、先の実施例について上で説明される結合剤によって形成した。この試料は、他の実施例について上で使用した従来の結合剤VHを伴うゾルゲルおよび溶融アルミナ研磨剤を有する従来の製品に対する仕上げ形状のために、センタレスプランジを適用して試験した。研削砥石は、16インチ(約406.4mm)の直径を有し、研削した材料は、軟鋼(1014)であった。目的は、ドレスあたりの部品数を増加させることによって生産性を向上させることとした。砥石速度は、57.45m/秒であり、部品速度は、1.15m/秒であった。
【0101】
表2は、実施例3で使用される試験条件に関するさらなる詳細を含む。
【表2】
【0102】
図10は、従来の結合研磨物品2000および結合研磨物品の実施形態2005のドレスあたりの部品数のグラフを含む。物品2005は、物品2000と比較して、良好な表層仕上げまたは形状を伴って、ドレスあたりの部品数の大幅な向上(約7%の向上)を示した。
【0103】
観察された別の利点は、新しい砥石に対する送り込み速度を大幅に増加させることができ、サイクル時間の短縮を補助することである。より短いサイクル時間は、研削作業のより良好な効率を有する。図10に関して説明される同じ試料を、サイクル時間について試験し、結果を、図11に示す。図11は、従来の結合研磨物品2100および結合研磨物品の実施形態2105のサイクル時間のグラフである。物品2105は、物品2100を超える大幅な向上(ほぼ18%)を示した。
【0104】
前述の実施形態は、研磨製品を対象とし、特に、最新技術からの飛躍を示す結合研磨製品を対象とする。本明細書の実施形態の結合研磨製品は、研削性能の向上を助長する特徴の組み合わせを利用する。本明細書で説明されるように、本明細書の実施形態の結合研磨体は、特定の量およびタイプの結合材料、特定の量およびタイプの結合材料、ならびに特定の量の気孔率を利用する。そのような製品を効率的に形成することができるという発見に加えて、それらのグレードおよび構造に関して従来の研磨製品の既知の分野以外であるにもかかわらず、そのような製品が研削性能の向上を示したことも発見した。特に、本実施形態の結合研磨材は、従来の研削砥石よりもはるかに高い気孔率を有するにもかかわらず、研削作業中により低い速度で動作させることができることを発見した。実際に、非常に驚くべきことに、本明細書の実施形態の結合研磨体は、約60m/s未満の砥石速度で動作する能力を示す一方で、最新技術の研削砥石と比較して、材料除去速度の向上、角部保持能力の向上、および好適な表面仕上げも示した。
【0105】
前述において、具体的な実施形態およびある構成要素に対する参照は、例示的なものである。連結または接続されているものとしての構成要素に対する参照は、本明細書で論じられる方法を実行するために認識されるように、該構成要素間の直接的な接続、または1つ以上の介在する構成要素を通した間接的な接続のいずれかを開示することが意図されることが認識されるであろう。このように、上で開示される主題は、実例となるものであり、制限的なものではないとみなすべきであり、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内に含まれる、全ての当該の修正、改良、および他の実施形態を包含することが意図される。したがって、本発明の範囲は、法律によって許容される最大の範囲まで、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物の最も広義の許容される解釈によって決定されるべきであり、前述の詳細な説明によって制限または限定されないものとする。
【0106】
本開示の要約は、特許法を遵守するために提供され、それが特許請求の範囲の範囲または意味を解釈するために使用されることも、限定するために使用されることもないであろうという理解の下で提出される。加えて、前述の発明を実施するための形態において、種々の特徴は、本開示を合理化するという目的で単一の実施形態にグループ化され得るか、または単一の実施形態で説明され得る。本開示は、特許請求される実施形態が各請求項で明確に列挙されるものよりも多い特徴を必要とする意図を反映するものとして解釈されるべきでない。むしろ、下記の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、開示される実施形態のいずれかの全ての特徴よりも少ないものを対象とし得る。したがって、以下の特許請求の範囲は、発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は、特許請求される主題を個別に定義するものとしてそれ自体が自立している。
図1
図2
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図8
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図10
図11