特許第5921890号(P5921890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5921890
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20160510BHJP
   F24F 7/06 20060101ALI20160510BHJP
   H02P 3/24 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   F24F7/007 C
   F24F7/06 101A
   H02P3/24
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-6763(P2012-6763)
(22)【出願日】2012年1月17日
(65)【公開番号】特開2013-148226(P2013-148226A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2015年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096448
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 嘉明
(72)【発明者】
【氏名】大矢 秀和
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0297928(US,A1)
【文献】 特開昭51−012618(JP,A)
【文献】 米国特許第02929977(US,A)
【文献】 米国特許第02677087(US,A)
【文献】 特開昭61−008537(JP,A)
【文献】 実開昭58−020136(JP,U)
【文献】 特開2007−163009(JP,A)
【文献】 特開平10−205846(JP,A)
【文献】 実開昭47−004412(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第02360434(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
F24C 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フード1と、送風機4を備え、この送風機4を駆動して調理ガスをフード1内部に捕集して排気するレンジフードであって、
前記送風機4のファン4bを回転する誘導電動機に、交流電源から交流を供給して回転する第1の手段と、
前記送風機4を停止操作する第2の手段と、
この第2の手段で送風機を停止操作したときに、前記誘導電動機に交流を供給しないようにすると共に、その誘導電動機に直流を設定時間だけ供給して制動力が発生するようにする第3の手段を備え、
前記第1の手段は、交流電源に接続した交流電源回路と、操作手段を操作することで前記送風機4のファン4bを回転する誘導電動機に交流を供給するモータ駆動回路を有し、
前記第2の手段は、前記フード1に取り付けられ送風機4の吸込口41に人の手が入らないようにする防護部材5と、その防護部材5を取り外したことを検知する検知手段を有し、
前記第3の手段は、設定時間だけ直流を出力する直流発生源9を備え、
前記検知手段が防護部材5の取り外しを検知しないときには前記モータ駆動回路と交流電源回路を接続し、前記誘導電動機と直流発生源9を遮断し、
前記検知手段が防護部材5の取り外しを検知したときには前記モータ駆動回路と交流電源回路を遮断し、前記誘導電動機と直流発生源9を接続するようにしたことを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
前記第1の手段のモータ駆動回路は、操作手段を運転操作することで前記誘導電動機に交流を供給し、前記操作手段を停止操作したときは、前記誘導電動機への交流供給を停止する構成とし、
前記第3の手段は、前記第1の手段の操作手段が運転操作状態、運転操作状態から停止操作した直後の状態において、前記検知手段が防護部材5の取り外しを検知したときには前記モータ駆動回路と交流電源回路を遮断し、前記誘導電動機と直流発生源9を接続する構成とした請求項1記載のレンジフード。
【請求項3】
前記直流発生源9は、設定時間だけ交流を整流して直流とするもので、該直流発生源9の入力側を交流電源回路に接続、遮断すると共に、その直流発生源9の出力側を誘導電動機に接続、遮断するようにし、
前記検知手段が防護部材5の取り外しを検知しないときには、直流発生源9の入力側と交流電源回路を遮断すると共に、直流発生源9の出力側と誘導電動機を遮断して誘導電動機と直流発生源9を遮断し、
前記検知手段が防護部材5の取り外しを検知したときには、直流発生源9の入力側と交流電源回路を接続すると共に、直流発生源9の出力側と誘導電動機を接続して誘導電動機と直流発生源9を接続するようにした請求項1又は2記載のレンジフード。
【請求項4】
前記操作手段の出力側を入力側モータ回路82を経て誘導電動機に接続し、
前記交流電源回路のライン側回路80を、操作手段の入力側と直流発生源9の入力側回路94のどちらか一方に選択的に接続する第1の切換手段と、
前記誘導電動機の戻り側モータ回路83を、前記交流電源回路のグランド側回路81と直流発生源9の戻り側回路97のどちらか一方に選択的に接続する第2の切換手段と、
前記直流発生源9の直流出力側回路96を前記誘導電動機の入力側モータ回路82に接続、遮断する第3の切換手段を設け、
前記検知手段が防護部材5の取り外しを検知しないときには、前記第1の切換手段がライン側回路80を操作手段の入力側に接続すると共に、前記第2の切換手段が戻り側モータ回路83をグランド側回路81に接続して交流電源回路を誘導電動機に接続し、かつ交流電源回路を直流発生源9の入力側とは遮断し、前記第3の切換手段が直流出力側回路96と入力側モータ回路82を遮断して直流発生源9の出力側と誘導電動機を遮断し、
前記検知手段が防護部材5の取り外しを検知したときには、前記第1の切換手段がライン側回路80を入力側回路94に接続すると共に、前記第2の切換手段が戻り側モータ回路83を戻り側回路97に接続して交流電源回路を直流発生源9に接続し、かつ交流電源回路を誘導電動機とは遮断し、前記第3の切換手段が直流出力側回路96と入力側モータ回路82を接続して直流発生源9の出力側を誘導電動機に接続するようにした請求項記載のレンジフード。
【請求項5】
前記第1・第2・第3の切換手段をリレー85の第1・第2・第3接点85a,85b,85cとし、
前記検知手段をスイッチとし、このスイッチと前記リレー85を交流電源回路に直列に接続することで、スイッチのON,OFFで第1・第2・第3接点85a,85b,85cが切り換わるようにした請求項記載のレンジフード。
【請求項6】
前記直流発生源9は、整流素子90とタイマー91を備え、このタイマー91のタイマー接点92がONしているときにのみ整流素子90に交流が流れ込み、直流を出力するようにした請求項1〜5いずれか1項記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器具の周囲に設置されて調理により発生する油煙などの調理ガスを捕集して屋外等へ排気するレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、台所用換気装置としてプロペラ式換気扇に変わり、調理器具の周囲に配置されて調理により発生する油煙などの調理ガスを、内蔵する送風機によりフード内部へと捕集し、屋外等へ排気、あるいは各種フィルターにより清浄化した空気を室内へと吹き出すレンジフードが提案されている。
例えば、特許文献1に開示したように、送風機を備えたフードに整流板を設け、フードの内面と整流板との間の隙間を通して油煙などの調理ガスを吸い込んで捕集し、屋外に排気するレンジフードが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4409711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来のレンジフードは、フード内部や送風機のファンに調理ガス中の油脂分などの油汚れが付着するので、フード内部を人が手作業で清掃することがある。
前述した送風機のファンをフード内部から取り出しできるレンジフードの場合は、フード内部のみではなく、送風機のファンを取り外してフード内部から取り出して清掃することがある。
また、対面式キッチンやアイランド式キッチンなどの普及により、リビングとキッチンが一連にレイアウトされることが多くなっていることから、レンジフードのフード内部や送風機のファンに油汚れが付着しているなどすると、油の臭いがリビング側へと伝わってしまうという悪さからもレンジフードのフード内部の清掃や送風機のファンをフード内部から取り出して清掃する機会が増えている。
前述した従来のレンジフードにおいては、整流板を取り外し、その状態でフードの内部を人が手で拭いて清掃したり、送風機のファンをフード内部から取り出してシンク等で洗うことで清掃する。このレンジフードはフィルターを備えているので、整流板とともにフィルターを取り外して清掃したり、ファンを取り出しする。
しかしながら、前述のようにフード内部を清掃したり、送風機のファンを取り出しするときに、送風機が駆動していると人の手が回転しているファンに触れることがあるので、フード内部を清掃したり、ファンを取り出すときには、レンジフードの操作手段を停止操作することにより送風機を停止するようにしている。
【0005】
前述のレンジフードにおいては、送風機のファンを駆動するモータとして誘導電動機を用いているので、そのモータに電流が流れなくなってもファンは慣性によって数十秒、例えば30〜40秒回転し続ける。
このために、送風機の停止操作をした後にファンが数十秒回転し続けるので、その間に危険が生じる可能性があった。
前述のことを解消するには、モータとして機械的ブレーキを備えた誘導電動機を用い、そのモータに電流が流れなくなると機械的ブレーキでモータを制動することが考えられるが、この機械的ブレーキを備えた誘導電動機は大変高価であり、レンジフードが高価となってしまう。
【0006】
本発明の目的は、送風機を停止操作するとファンが直ちに停止すると共に、安価なレンジフードとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は前述の課題を解消するために、鋭意実験、研究した結果、誘導電動機においては、直流を流すことで制動力が得られることを見出し、本発明に到った。
【0008】
本発明は、フード1と、送風機4を備え、この送風機4を駆動して調理ガスをフード1内部に捕集して排気するレンジフードであって、
前記送風機4のファン4bを回転する誘導電動機に、交流電源から交流を供給して回転する第1の手段と、
前記送風機4を停止操作する第2の手段と、
この第2の手段で送風機を停止操作したときに、前記誘導電動機に交流を供給しないようにすると共に、その誘導電動機に直流を設定時間だけ供給して制動力が発生するようにする第3の手段を備え、
前記第1の手段は、交流電源に接続した交流電源回路と、操作手段を操作することで前記送風機4のファン4bを回転する誘導電動機に交流を供給するモータ駆動回路を有し、
前記第2の手段は、前記フード1に取り付けられ送風機4の吸込口41に人の手が入らないようにする防護部材5と、その防護部材5を取り外したことを検知する検知手段を有し、
前記第3の手段は、設定時間だけ直流を出力する直流発生源9を備え、
前記検知手段が防護部材5の取り外しを検知しないときには前記モータ駆動回路と交流電源回路を接続し、前記誘導電動機と直流発生源9を遮断し、
前記検知手段が防護部材5の取り外しを検知したときには前記モータ駆動回路と交流電源回路を遮断し、前記誘導電動機と直流発生源9を接続するようにしたことを特徴とするレンジフードである。
【0009】
本発明においては、前記第1の手段のモータ駆動回路は、操作手段を運転操作することで前記誘導電動機に交流を供給し、前記操作手段を停止操作したときは、前記誘導電動機への交流供給を停止する構成とし、
前記第3の手段は、前記第1の手段の操作手段が運転操作状態、運転操作状態から停止操作した直後の状態において、前記検知手段が防護部材5の取り外しを検知したときには前記モータ駆動回路と交流電源回路を遮断し、前記誘導電動機と直流発生源9を接続する構成とすることができる。
【0014】
本発明においては、前記直流発生源9は、設定時間だけ交流を整流して直流とするもので、該直流発生源9の入力側を交流電源回路に接続、遮断すると共に、その直流発生源9の出力側を誘導電動機に接続、遮断するようにし、
前記検知手段が防護部材5の取り外しを検知しないときには、直流発生源9の入力側と交流電源回路を遮断すると共に、直流発生源9の出力側と誘導電動機を遮断して誘導電動機と直流発生源9を遮断し、
前記検知手段が防護部材5の取り外しを検知したときには、直流発生源9の入力側と交流電源回路を接続すると共に、直流発生源9の出力側と誘導電動機を接続して誘導電動機と直流発生源9を接続するようにできる。
【0015】
本発明においては、前記操作手段の出力側を入力側モータ回路82を経て誘導電動機に接続し、
前記交流電源回路のライン側回路80を、操作手段の入力側と直流発生源9の入力側回路94のどちらか一方に選択的に接続する第1の切換手段と、
前記誘導電動機の戻り側モータ回路83を、前記交流電源回路のグランド側回路81と直流発生源9の戻り側回路97のどちらか一方に選択的に接続する第2の切換手段と、
前記直流発生源9の直流出力側回路96を前記誘導電動機の入力側モータ回路82に接続、遮断する第3の切換手段を設け、
前記検知手段が防護部材5の取り外しを検知しないときには、前記第1の切換手段がライン側回路80を操作手段の入力側に接続すると共に、前記第2の切換手段が戻り側モータ回路83をグランド側回路81に接続して交流電源回路を誘導電動機に接続し、かつ交流電源回路を直流発生源9の入力側とは遮断し、前記第3の切換手段が直流出力側回路96と入力側モータ回路82を遮断して直流発生源9の出力側と誘導電動機を遮断し、
前記検知手段が防護部材5の取り外しを検知したときには、前記第1の切換手段がライン側回路80を入力側回路94に接続すると共に、前記第2の切換手段が戻り側モータ回路83を戻り側回路97に接続して交流電源回路を直流発生源9に接続し、かつ交流電源回路を誘導電動機とは遮断し、前記第3の切換手段が直流出力側回路96と入力側モータ回路82を接続して直流発生源9の出力側を誘導電動機に接続するようにできる。
【0016】
このようにすれば、防護部材5を取り外しすると、直ちに第1・第2・第3の切換手段が切り換わり、誘導電動機に交流が流れなくなると同時に、その誘導電動機に直流が流れて制動力が発生するので、防護部材5を取り外しすると直ちにファンが停止する。
【0017】
本発明においては、前記第1・第2・第3の切換手段をリレー85の第1・第2・第3接点85a,85b,85cとし、
前記検知手段をスイッチとし、このスイッチと前記リレー85を交流電源回路に直列に接続することで、スイッチのON,OFFで第1・第2・第3接点85a,85b,85cが切り換わるようにできる。
【0018】
このようにすれば、リレー85に通電したり、通電しなくすることで、その第1・第2・第3接点85a,85b,85cが切り換わるから、防護部材5を取り外しすることでファン4bを確実に直ちに停止することができる。
【0019】
本発明においては、前記直流発生源9は、整流素子90とタイマー91を備え、このタイマー91のタイマー接点92がONしているときにのみ整流素子90に交流が流れ込み、直流を出力するようにできる。
【0020】
このようにすれば、タイマー91の設定時間を変えることで直流を出力する時間を調節でき、誘導電動機に応じた時間だけ直流を流して確実に制動することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、送風機4を停止操作すると、そのファン4bが直ちに停止するので、フード内部の清掃作業やファンの取り出し作業を安全にできる。
しかも、機械的ブレーキを備えていない安価な誘導電動機を用いてファンを回転するので、安価なレンジフードである。
また、送風機4が駆動している状態で誤ってフード内部の清掃作業やファンの取り出し作業をしようとしても、防護部材5により送風機4の吸込口41に人の手が入らないので安全である。
また、防護部材5を取り外しすると送風機4のファン4bが直ちに停止するので、送風機4のファン4bが回転している状態でフード内部の清掃作業やファンの取り出し作業をするときにファン4bは完全に停止しているので、危険が生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態を示すレンジフードの縦断面図である。
図2図1のA−A断面図である。
図3】送風機の駆動回路の第1の実施の形態を示し、整流板を取り付けたときの動作説明図である。
図4】送風機の駆動回路の第1の実施の形態を示し、整流板を取り外したときの動作説明図である。
図5】送風機の駆動回路の第2の実施の形態を示し、整流板を取り付けたときの動作説明図である。
図6】本発明の第2の実施の形態を示す送風機の駆動回路図である。
図7】本発明の第3の実施の形態を示すレンジフードと調理機器の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を説明する。
フード1は、図1図2に示すように、フード本体1aと送風機収納体1bを備え、そのフード本体1aは外郭2と内郭3を有している。
この外郭2は、上面板20と周面板21で下面が開口した箱形状で、その上面板20に開口部22が形成してあると共に、周面板21の周縁下端部には内向きの被取付フランジ23が設けてある。
前記内郭3は、上面板30と周面板31で下向きの皿形状で、その上面板30の孔32の周縁に筒体33が設けてあると共に、周面板31の周縁下端部に外向きの取付フランジ34が設けてある。
前記内郭3の筒体33が外郭2の開口部22に嵌合すると共に、取付フランジ34を被取付フランジ23に着脱自在に連結して外郭2と内郭3を連結してフード本体1aとしてある。
前記内郭3の下面がフード1の内部である。
【0024】
前記送風機収納体1bは入口側開口24と出口側開口25を有した箱形状で、その内部に送風機4が設けてある。
前記送風機収納体1bは、その入口側開口24が筒体33に嵌め込むように外郭2の上面板20に取り付けられる。
【0025】
前記送風機4は、ケーシング4a内にファン4bを設けると共に、そのケーシング4aに設けた誘導電動機(以下単にモータという)4cでファン4bを回転駆動するようにしてある。
前記ケーシング4aに連通した吐出部40が出口側開口25に嵌合し、そのケーシング4aに形成した吸込口41が前記筒体33(孔32)と連通し、その筒体33から吸込口41に手を入れてロック部材42を弛めることでモータ4cの回転軸43とファン4bを分離できると共に、そのロック部材42を締め付けることでモータ4cの回転軸43とファン4bを連結できる。
このようであるから、フード1から送風機4のファン4bをフード1内部から容易に取り出しすることができる。
【0026】
前記フード1、例えばフード本体1aの内郭3には、送風機4の吸込口41と間隔を置いて対峙し、人の手が吸込口41に入らないようにするための防護部材5、例えば整流板50が取り外し可能に取り付けてある。
前記整流板50は次のように取り付けてある。
前記整流板50は平板51の周縁に立上り片52を設けた形状で、その立上り片52の後側52aに支持軸53が横向きに設けてある。
前記内郭3の周面板31の後側31aには支持片54が取り付けてあり、この支持片54の先端部に前記支持軸53が上下方向に回動自在で、かつ着脱自在に支持してある。
これにより、整流板50は図1に示す取り付け姿勢から下方に向けて回動して下向き姿勢とし、支持軸53を支持片54の先端部から外すことで整流板50を取り外しできる。
【0027】
前記内郭3の上面板30における前部寄りの左右両側に支持部材35が設けてあると共に、整流板50の平板51の前部寄り左右両側に被支持部材55が設けてあり、この被支持部材55を支持部材35で支持することで整流板50が取り付け姿勢に支持され、その支持を解除することで整流板50を下向き姿勢に回動できるようにしてある。
【0028】
前記支持部材35は、ブラケット35aと、このブラケット35aに設けた支持ピン35b、ばねケース35cと、このばねケース35cと支持ピン35bとの間に設けたばね35dを有し、その支持ピン35bがばね35dで支持位置に保持してある。
前記被支持部材55は、ブラケット55aに支持穴55bを形成したもので、整流板50を下向き姿勢から取り付け姿勢に向けて回動することで、ブラケット55aで支持ピン35bを押し、その支持ピン35bが支持穴55bに嵌まり合うことで被支持部材55が支持部材35に支持され取り付け姿勢に支持する。その支持ピン35bをばね35dに抗して押すことで支持穴55bから抜き出すことで被支持部材55の支持が解除され、下方に向けて回動することができる。
【0029】
前記整流板50とフード1(内郭3)とに亘って防護部材取り外し検知手段としての近接スイッチ6が取り付けてある。例えば、フード1(内郭3)にリードスイッチ部6aを取り付けると共に、整流板50にマグネット部6bを取り付けて近接スイッチ6としてある。
前記整流板50をフード1に取り付けた状態ではマグネット部6bがリードスイッチ部6aに近接又は接触してリードスイッチ部6aがOFFし、整流板50をフード1から取り外した状態ではマグネット部6bがリードスイッチ部6aから離れてリードスイッチ部6aがONするようにし、そのリードスイッチ部6aのON,OFF動作で整流板50を取り外したことを検知するようにしてある。
【0030】
このリードスイッチ部6aがOFFのときには、操作手段、例えば操作スイッチ7を操作することで、前記送風機4のモータ4cに通常どおりに通電制御できる。
前記リードスイッチ部6aがONになると操作スイッチ7の操作に関係なく、前記送風機4のモータ4cに通電できないようにすると共に、そのモータ4cに直流を流して制動するようにしてある。
前記操作スイッチ7はフード1の前面、例えばフード本体1aの外郭2の周面板21に取り付けてある。
【0031】
このようであるから、整流板50を取り付けた状態では操作スイッチ7を操作することでモータ4cに通電制御して送風機4を駆動、停止してレンジフードを通常どおり運転することができる。
また、操作スイッチ7を運転操作して送風機4が駆動している状態で整流板50を取り外しすると操作スイッチ7を停止操作することなく送風機4のモータ4cに通電されなくなると共に、そのモータ4cに直流が流れて制動力が発生し、ファン4bは直ちに停止するので、フード1内部を人の手で清掃するときにファン4bに触れても危険ではないし、ファン4bをフード1内部から取り出すときに危険が生じることがなく、これらの作業時に送風機4の停止操作を忘れても危険が生じることがない。
しかも前述の作業中に誤って操作スイッチ7に触れても送風機4のファン4bが回転することがなく危険が生じることがない。
なお、送風機4が駆動している状態で操作スイッチ7を停止操作し、すぐに整流板50を取り外した場合も同様にファン4bは直ちに停止する。
また、操作スイッチ7のタイマーを備え、そのタイマーの設定時間経過するとモータ4cへの通電を止めて停止するようにした場合には、そのタイマーの設定時間内に整流板50を取り外したとき、又はタイマーの設定時間経過し、すぐに整流板50を取り外したときにも同様にファン4bは直ちに停止する。
【0032】
次に、送風機の駆動回路を図3図4に基づいて説明する。
図3に示すように、交流電源の100V側に接続したライン側回路80と、交流電源のゼロボルト側に接続したグランド側回路81で交流電源回路としてある。
前記操作スイッチ7の出力側を送風機4のモータ4c(モータ巻き線)の入力側に接続する入力側モータ回路82と、モータ4cの戻り側に接続した戻り側モータ回路83でモータ駆動回路としてある。
【0033】
前記操作スイッチ7は、強運転スイッチ70、中運転スイッチ71、弱運転スイッチ72、ダンパー運転スイッチ73、切スイッチ74、照明スイッチ75等を備え、強・中・弱運転スイッチ70,71,72、ダンパー運転スイッチ73、照明スイッチ75の入力側に交流電源から交流が流れ、その強・中・弱運転スイッチ70,71,72のいずれかをONすることで強・中・弱の入力側モータ回路82a,82b,82cを経てモータ4cに交流が流れる(通電される)。
ダンパー運転スイッチ73をONすることでダンパーモータ76に通電され、図示しない電動ダンパーを開閉動作する。
照明スイッチ75をONすることでランプ77に通電され、この照明スイッチ75を再度押すとOFFになる。
切スイッチ74を操作することでONのスイッチがOFFとなる。
【0034】
前記ライン側回路80とリレー85を接続する回路84に、前述した近接スイッチ6(リードスイッチ部6a)とリレー85が直列に接続してある。
このリレー85は第1・第2・第3接点85a,85b,85cを有している。
この第1接点85aは、前記ライン側回路80を操作スイッチ7の入力側と後述する直流発生源9の入力側のどちらか一方に選択的に接続する。
第2接点85bは、前記戻り側モータ回路83をグランド側回路81と直流発生源9の戻り側のどちらか一方に選択的に接続する。
第3接点85cは、直流発生源9の直流出力側をモータ4c(弱の入力側モータ回路82c)に接続、遮断する。
【0035】
前記直流発生源9は、モータ4cに制動力を発生するための直流を発生するものである。
例えば、整流素子90と、この整流素子90に通電する時間を設定するタイマー91、タイマー接点92を備え、そのタイマー91に通電されるとタイマー接点92がONして整流素子90に交流が流れて直流に変換して出力する。
前記タイマー91の設定時間が経過するとタイマー接点92がOFFし、整流素子90に交流が流れなくなるので、直流を出力しなくなる。
つまり、タイマー91の設定時間だけ直流を出力する。
前述のようにして出力される直流の電流値は抵抗93の大きさで調節できる。
【0036】
前記タイマー91に接続した入力側回路94は前記第1接点85aでライン側回路80に接続、遮断され、タイマー91の戻り側に接続した戻り側回路95はグランド側回路81に接続している。
前記整流素子90の出力側に接続した直流出力側回路96は前記第3接点85cでモータ4cに接続、遮断され、戻り側に接続した戻り側回路97は前記第2接点85bで戻り側モータ回路83に接続、遮断される。
【0037】
図3に示すように、リレー85、第1・第2・第3接点85a,85b,85c、ランプ77は配線ボックス86に設けてあり、その配線ボックス86と、モータ4c、ダンパーモータ76、直流発生源9、操作スイッチ7、ライン側回路80、グランド側回路81、近接センサー6は、それぞれコネクター87で接続してある。
このようであるから、従来のレンジフードにおけるライン側回路80、グランド側回路81と操作スイッチ7とモータ4c、ダンパーモータ76を備えた回路を基準として、本発明の回路を簡単に構成できる。
前記直流発生源9は配線ボックス86内に設けても良い。
【0038】
次に動作を説明する。
前述の整流板50をフード1に取り付けた状態では、図3に示すように近接スイッチ6のリードスイッチ部6aがOFFするので、リレー85には通電されず、その第1・第2・第3接点85a,85b,85cは図3に示す第1位置である。
この第1接点85aが第1位置であると、ライン側回路80が操作スイッチ7の入力側回路7aに接続し、直流発生源9の入力側回路94とライン側回路80は遮断する。
第2接点85bが第1位置であると、戻り側モータ回路83はグランド側回路81に接続し、直流発生源9の戻り側回路97と遮断する。
第3接点85cが第1位置であると、直流発生源9の直流出力側回路96とモータ4c(弱の入力側モータ回路82c)は遮断する。
【0039】
このようであるから、交流電源回路とモータ駆動回路が接続し、直流発生源9は交流電源回路、モータ駆動回路と遮断する。
したがって、操作スイッチ7を操作することで、ライン側回路80の交流が実線矢印のようにモータ4c(モータ巻き線)に流れ、モータ4cから点線矢印のようにグランド側回路81に戻るので、モータ4cを駆動することができるからレンジフードを通常運転することができる。
【0040】
前述の整流板50を取り外しすると、図4に示すように、近接スイッチ6のリードスイッチ部6aがONし、リレー85に通電されるので、第1・第2・第3接点85a,85b,85cが第2位置に切り換わる。
前記第1接点85aが第2位置であると、ライン側回路80が直流発生源9の入力側回路94に接続し、操作スイッチ7の入力側回路7aとは遮断する。
前記第2接点85bが第2位置であると、戻り側モータ回路83は整流素子90の戻り側回路97に接続し、グランド側回路81とは遮断する。
前記第3接点85cが第2位置であると、整流素子9の直流出力側回路96はモータ4c(弱の入力側モータ回路82c)に接続する。
【0041】
これにより、交流電源回路とモータ駆動回路が遮断して操作スイッチ7の入力側回路7aに交流電源から交流が流れないので、操作スイッチ7の強・中・弱運転スイッチ70,71,72のいずれかをONしてモータ4cに交流を流してファン4bを回転している状態で整流板50を取り外しすると、モータ4cに交流電源から交流が流れなくなる。
【0042】
一方、第2・第3接点85b,85cが第2位置となることで、直流発生源9がライン側回路80と接続すると共に、直流発生源9とモータ4cが接続し、ライン側回路80から交流電源の交流が実線矢印で示すようにタイマー91に流れ、タイマー接点92がONして整流素子90に交流電源から交流が流れて直流に整流し、その直流が実線矢印で示すように直流出力側回路96に流れ、モータ4cから点線矢印で示すように整流素子90に戻る。
そして、タイマー91の設定時間が経過するとタイマー接点92がOFFし、整流素子90に交流が流れなくなるので、モータ4cに直流が流れなくなる。
【0043】
このように、整流板50を取り外しすると、タイマー91の設定時間だけモータ4cに直流が流れてモータ4cに制動力が発生するので、送風機4のファン4bは整流板50を取り外すと直ちに停止する。
つまり、モータ4cのモータ巻き線に直流が流れるとローターに逆の起電力(制動力)を生じるので、モータ4cは慣性力で回転し続けることなしに、整流板50を取り外しすると直ちに停止する。
【0044】
前述の構成を要約すると、交流電源回路と、操作スイッチ7を操作することでモータ4cに交流を供給するモータ駆動回路とで、モータ4cに交流電源から交流を供給して回転する第1の手段を構成する。
整流板50と、この整流板50の取り外しを検知する近接スイッチ6とで、送風機4を停止操作する第2の手段を構成する。
直流発生源9と、リレー85、第1・第2・第3接点85a,85b,85cとで、送風機を停止操作したときに、モータ4cに交流を供給しないようにすると共に、そのモータ4cに直流を設定時間だけ供給して制動力を発生するようにする第3の手段を構成する。
【0045】
また、モータ4cとしては機械的ブレーキを備えていない安価な誘導電動機を用いているので、レンジフードを安価とすることができる。
【0046】
前述の操作スイッチ7の回路は機械的回路としたが、コントローラ(マイコン)を用いた回路とすることができる。
例えば、図5に示すように操作スイッチ7からの運転信号をコントローラ88に入力し、その入力された運転信号に基づいてコントローラ88がモータ4c、ダンパーモータ76、ランプ77に通電制御するようにする。
【0047】
または、リレー85の第1・第2・第3接点85a,85b,85cの切り換え制御を、近接スイッチ6のON,OFF信号をコントローラ88に入力し、そのコントローラ88で切り換えるようにしても良い。つまり、第1・第2・第3の切換手段をコントローラ88を用いて前述のように切換動作する。
【0048】
前述の実施の形態で整流素子90は全波整流するものであるが、半波整流するものでも良い。
前述の実施の形態ではタイマー接点92で整流素子90の入力側をON,OFFしたが、直流出力側回路96をON,OFFしても良い。
また、タイマー91の設定時間、つまり直流をモータ4cに流す時間は、モータ4cとともにファン4bが完全に停止する時間よりも若干長い時間が好ましい。例えば、モータ4cの大きさ等によって異なるが、3〜4秒程度である。
【0049】
前記直流発生源9を交流を整流するものではなく、蓄電池などの直流を発生するものとしても良い。
また、前述の実施の形態では、モータ4cに直流を設定時間だけ連続して流すようにしているが、間欠的に流すようにしても良い。
【0050】
この実施の形態では、フード本体1aと送風機収納体1bでフード1としてあるが、フード本体1aのみでフード1とし、送風機4の吐出部40をダクト等を介して屋外に排気するようにしても良い。
また、フード本体1aを外郭2のみで構成しても良い。
【0051】
前述の実施の形態では、内郭3の内面(フード1の内面)を整流板50との隙間から流入した油煙等が送風機4の吸込口41に直接吸い込まれるようにしたが、その吸込口41の上流側、例えば筒体33にフィルターを設けても良い。
この場合にはフィルターを取り外してファン4bを取り出しする。
【0052】
前述の各実施の形態では整流板50を防護部材5としたが、これに限ることはない。
例えば、フードを下面が開口した箱形状とし、そのフード内部にフィルターを着脱自在に取り付けてフード内部に送風機収容室を形成したレンジフードの場合には、そのフィルターが送風機の吸込口と対向するので、防護部材となる。
また、フードの下部の開口部にスリット形状の通気用開口を有した覆板を着脱自在に取り付けたレンジフードの場合には、その覆板が送風機吸込口と対向するので、防護部材となる。
【0053】
前述の実施の形態では、防護部材取り外し検知手段を近接スイッチとしたが、リミットスイッチ、マイクロスイッチ、マグネットスイッチ、近鉄スイッチ、発光器と受光器を有した光電式スイッチなどでも良い。
【0054】
前述の実施の形態では、防護部材5を備えたレンジフードについて述べたが、防護部材5を有しないレンジフードの場合には、操作スイッチ7(操作手段)を停止操作したことを検知する停止操作検知手段を設け、その検知手段を第2の手段とする。
【0055】
例えば、図6に示すように、操作スイッチ7の切スイッチ74をリレー85を経てグランド側回路81に接続することで、その切スイッチ74がOFF(停止操作しないとき)のときには、リレー85の第1・第2・第3接点85a,85b,85cが第1位置で、切スイッチ74がON(停止操作したとき)のときには、リレー85の第1・第2・第3接点85a,85b,85cが第2位置となるようにする。
【0056】
このように構成することで、操作スイッチ70の切スイッチ74がOFFのときには、リレー85の第1・第2・第3接点85a,85b,85cが第1位置となるので、交流電源回路とモータ駆動回路が接続し、直流発生源9は交流電源回路、モータ駆動回路と遮断する。
したがって、操作スイッチ7を運転操作することで、ライン側回路80の交流がモータ4c(モータ巻き線)に流れ、モータ4cからグランド側回路81に戻るので、モータ4cを駆動することができるからレンジフードを通常運転することができる。
【0057】
操作スイッチ70の切スイッチ74をONして送風機4を停止操作すると、リレー85の第1・第2・第3接点85a,85b,85cが第2位置となるので、交流電源回路とモータ駆動回路が遮断し、直流発生源9は交流電源回路、モータ駆動回路と接続する。
したがって、モータ4cに交流電源から交流が流れなくなると共に、タイマー91の設定時間だけモータ4cに直流が流れてモータ4cに制動力が発生して停止するので、送風機4のファン4bは切スイッチ74をONすると直ちに停止する。
【0058】
前述の操作スイッチ70はタイマーを備え、そのタイマーの設定時間が経過するとモータ4cへの通電を止めてモータ4cを停止するものとしても良い。
この場合には、タイマーの設定時間が経過したら前述のリレー85の第1・第2・第3接点85a,85b,85cが第2位置となるようにすれば良い。
【0059】
前述の実施の形態において、レンジフードを調理器具の稼動操作と連動して運転動作するようにすることができる。
例えば、図7に示すように調理器具100の稼動釦101の操作をコントローラ102で検知し、その稼動操作信号を無線又は有線でレンジフードに送り、その操作スイッチ70を切り換えたと同様に制御できるようにする。例えば、図5のコントローラ88が稼動操作信号を受信して送風機4を制御する。
これにより稼動釦101を運転操作して調理器具100が稼動しているときにはレンジフードの操作スイッチ70の運転スイッチをON(運転操作)したと同様に送風機4が駆動し、稼動釦101を停止操作して調理器具100が停止したときには操作スイッチ70の切スイッチ74がON(停止操作)したと同様に送風機4が停止するとともにリレー85に通電されるようにする。
【符号の説明】
【0060】
1…フード、4…送風機、4b…ファン、4c…モータ(誘導電動機)、5…防護部材、6…近接スイッチ、7…操作スイッチ(操作手段)、9…直流発生源、80…ライン側回路、81…グランド側回路、82…入力側モータ回路、83…戻り側モータ回路、85…リレー、85a…第1接点(第1の切換手段)、85b…第2接点(第2の切換手段)、85c…第3接点(第3の切換手段)、88…コントローラ、90…整流素子、91…タイマー、92…タイマー接点。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7