【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって制限されるものではない。
【0046】
〔実施例1:S1〕
(1)正極の作製
孔径が1μm、粗面化処理による空隙率が11%、厚さが30μmのアルミニウム電解エッチング箔よりなる集電体材料の両面に、導電性塗料を、縦型ダイ方式の両面塗工機を用い、塗工幅が60mm、塗工速度が8m/minの塗工条件により、両面合わせた塗布厚みの目標値を10μmに設定して両面塗工した後、200℃で24時間の条件で減圧乾燥させることにより、正極集電体の表裏面に導電層を形成した。
次いで、正極集電体の表裏面に形成された導電層上に、数平均粒径D50の値が3μmの活性炭粒子よりなる正極活物質を含有してなるスラリーを、縦型ダイ方式の両面塗工機を用い、塗工速度8m/minの塗工条件により、両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を50μmに設定して両面塗工した後、200℃で24時間の条件で減圧乾燥させることにより、導電層上に電極層である正極活物質層を形成した。
このようにして得られた、正極集電体前駆体の一部分に導電層および電極層が積層されてなる材料を、導電層および電極層が積層されてなる部分(以下、正極について「塗工部」ともいう。)が60mm×70mm、いずれの層も形成されてない部分(以下、正極について「未塗工部」ともいう。)が60mm×15mmとなるように、60mm×85mmの大きさに切断することにより、正極集電体の両面に電極層が形成されてなる正極を作製した。
【0047】
(2)負極の作製
貫通孔径28μm、気孔率55%、厚さが25μmの銅製エキスパンドメタル(日本金属工業株式会社製)からなる負極集電体の両面に、数平均粒径D50の値が2μmの黒鉛の表面をピッチコートした黒鉛系複合粒子(1)よりなる負極活物質と、SBRバインダ(JSR株式会社製:TRD2001)を含有してなるスラリーを、縦型ダイ方式の両面塗工機を用い、塗工幅が65mm、塗工速度が8m/minの塗工条件により、両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を45μmに設定して両面塗工した後、200℃で24時間の条件で減圧乾燥させることにより、負極集電体の表裏面に電極層である負極活物質層を形成した。
このようにして得られた、負極集電体の一部分に電極層が形成されてなる材料を、電極層が形成されてなる部分(以下、負極について「塗工部」ともいう。)が65mm×72mm、電極層が形成されてない部分(以下、負極について「未塗工部」ともいう。)が65mm×15mmになるように、65mm×87mmの大きさに切断することにより、負極集電体の両面に電極層が形成されてなる負極を作製した。
【0048】
(3)セパレータの作製
厚み35μm、透気度100secのセルロース/レーヨン複合材料からなるフィルムを67mm×90mmに切断してセパレータを作製した。
【0049】
(4)リチウムイオンキャパシタ要素の作製
先ず、正極10枚、負極11枚、セパレータ22枚を用意し、正極と負極とを、それぞれの塗工部は重なるが、それぞれの未塗工部は反対側になり重ならないよう、セパレータ、負極、セパレータ、正極の順で積重し、積重体の4辺をテープにより固定することにより、電極積層ユニットを作製した。
次いで、厚みが100μmの箔状のリチウム極を切断し、厚さ25μmの銅製エキスパンドメタル(日本金属工業株式会社製)に圧着することにより、リチウムイオン供給部材を作製し、このリチウムイオン供給部材を電極積層ユニットの上側に負極と対向するよう配置した。
そして、作製した電極積層ユニットの10枚の正極の各々の未塗工部に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した幅50mm、長さ50mm、厚さ0.2mmのアルミニウム製の正極用電源タブを重ねて溶接した。一方、電極積層ユニットの11枚の負極の各々の未塗工部およびリチウムイオン供給部材の各々に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した幅50mm、長さ50mm、厚さ0.2mmの銅製の負極用電源タブを重ねて溶接した。
【0050】
(5)リチウムイオンキャパシタの作製
ポリプロピレン層、アルミニウム層およびナイロン層が積層されてなり、寸法が90mm(縦幅)×117mm(横幅)×0.15mm(厚み)で、中央部分に70mm(縦幅)×97mm(横幅)の絞り加工が施された一方の外装フィルム、並びにポリプロピレン層、アルミニウム層およびナイロン層が積層されてなり、寸法が90mm(縦幅)×117mm(横幅)×0.15mm(厚み)の他方の外装フィルムを作製した。
【0051】
次いで、他方の外装フィルム上における収容部となる位置に、電極積層ユニットを、その正極端子および負極端子の各々が、他方の外装フィルムの端部から外方に突出するよう配置し、この電極積層ユニットに一方の外装フィルムを重ね合わせ、一方の外装フィルムおよび他方の外装フィルムの外周縁部における3辺(正極端子および負極端子が突出する2辺を含む)を熱融着した。
一方、非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートおよびジエチルカーボネート(体積比で3:1:4)の混合溶媒を用い、濃度1.2mol/LのLiPF
6 を含む電解液を調製した。
次いで、一方の外装フィルムおよび他方の外装フィルムの間に、上記電解液を注入した後、一方の外装フィルムおよび他方の外装フィルムの外周縁部における残りの一辺を熱融着した。
以上のようにして、試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS1」とする。)を作製した。このセルS1について、以下のようにして短絡後正極電位を測定した。すなわち、リチウムイオンによるドーピングの後、セルS1の正極端子と負極端子とを導線で直接結合させた状態で12時間以上放置した後に短絡を解除し、1.0時間の時の正極電位を測定した。本測定方法は前述した(X)の方法に基づくものである。 得られたセルS1の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0052】
〔実施例2:S2〕
負極の作製において、負極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を45μmから30μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS2」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS2の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0053】
〔実施例3:S3〕
正極の作製において、正極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を50μmから80μmに変更し、負極の作製において、負極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を45μmから60μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS3」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS3の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0054】
〔実施例4:S4〕
正極の作製において、正極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を50μmから80μmに変更し、負極の作製において、負極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を45μmから50μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS4」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS4の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0055】
〔実施例5:S5〕
正極の作製において、正極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を50μmから110μmに変更し、負極の作製において、負極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を45μmから85μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS5」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS5の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0056】
〔実施例6:S6〕
正極の作製において、正極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を50μmから110μmに変更し、負極の作製において、負極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を45μmから70μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS6」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS6の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0057】
〔実施例7:S7〕
正極の作製において、正極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を50μmから140μmに変更し、負極の作製において、負極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を45μmから125μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS7」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS7の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0058】
〔実施例8:S8〕
正極の作製において、正極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を50μmから140μmに変更し、負極の作製において、負極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を45μmから85μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS8」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS8の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0059】
〔実施例9:S9〕
リチウムイオンキャパシタ要素の作製において、リチウム極の量を増量し、短絡後正極電位を0.40としたこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS9」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS9の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0060】
〔実施例10:S10〕
リチウムイオンキャパシタ要素の作製において、リチウム極の量を減量し、短絡後正極電位を1.65としたこと以外は、実施例2と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS10」とする。)を作製した。
得られたセルS10の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0061】
〔実施例11:S11〕
電解液の非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを体積比で1:1:1の割合で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例3と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS11」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS11の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0062】
〔実施例12:S12〕
電解液の非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを体積比で1:1.5:0.5の割合で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例3と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS12」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS12の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0063】
〔実施例13:S13〕
電解液の非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを体積比で1:1.5:1.5の割合で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例3と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS13」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS13の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0064】
〔実施例14:S14〕
電解液の非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを体積比で1:2.7:0.3の割合で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例3と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS14」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS14の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0065】
〔実施例15:S15〕
電解液の非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを体積比で1:0.5:0.5の割合で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例3と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS15」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS15の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0066】
〔実施例16:S16〕
電解液の非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを体積比で1:0.9:0.1の割合で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例3と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS16」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS16の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0067】
〔実施例17:S17〕
電解液の非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを体積比で1:2:2の割合で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例3と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS17」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS17の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0068】
〔実施例18:S18〕
電解液の非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを体積比で1:0.25:0.25の割合で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例3と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS18」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS18の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0069】
〔実施例19:S19〕
電解液の非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを体積比で1:4の割合で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例3と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS19」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS19の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0070】
〔実施例20:S20〕
電解液の非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネートおよびエチルメチルカーボネートを体積比で1:0.5の割合で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例3と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS20」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS20の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0071】
〔実施例21:S21〕
電解液の非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネートおよびジエチルカーボネートを体積比で1:1の割合で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、実施例3と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS21」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS21の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0072】
〔
参考例1:S22〕
負極の作製において、負極活物質として、黒鉛系複合粒子(1)の代わりに黒鉛を用いたこと以外は、実施例11と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS22」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS22の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0073】
〔
実施例22:S23〕
正極の作製において、集電体材料として、空隙率が10%、厚さが30μmのアルミニウム電解エッチング箔に、口径が0.3mmのパンチング処理を施すことによって貫通孔径が300μmの貫通孔が形成されたもの(気孔率が40%)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS23」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS23の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0074】
〔
実施例23:S24〕
正極の作製において、集電体材料として、空隙率が10%、厚さが30μmのアルミニウム電解エッチング箔に、口径が0.3mmのパンチング処理を施すことによって貫通孔径が300μmの貫通孔が形成されたもの(気孔率が40%)を用いたこと以外は、実施例11と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS24」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS24の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0075】
〔
実施例24:S25〕
正極の作製において、集電体材料として、空隙率が10%、厚さが30μmのアルミニウム電解エッチング箔に、エキスパンド処理を施したもの(気孔率が40%)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルS25」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルS25の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表1に示す。
【0076】
〔比較例1:C1〕
正極の作製において、正極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を50μmから40μmに変更し、負極の作製において、負極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を45μmから30μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルC1」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルC1の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表2に示す。
【0077】
〔比較例2:C2〕
正極の作製において、正極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を50μmから195μmに変更し、負極の作製において、負極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を45μmから140μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルC2」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルC2の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表2に示す。
【0078】
〔比較例3:C3〕
正極の作製において、正極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を50μmから80μmに変更し、負極の作製において、負極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を45μmから80μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルC3」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルC3の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表2に示す。
【0079】
〔比較例4:C4〕
正極の作製において、正極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を50μmから80μmに変更し、負極の作製において、負極活物質を含むスラリーの両面合わせた塗布厚み(総厚)の目標値を45μmから40μmに変更したこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルC4」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルC4の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表2に示す。
【0080】
〔比較例5:C5〕
正極の作製において、正極集電体として、粗面化処理されていない厚さが30μmのアルミニウム製のエキスパンドメタル(気孔率が45%のもの)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルC5」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルC5の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表2に示す。
【0081】
〔比較例6:C6〕
負極の作製において、負極活物質として、黒鉛系複合粒子(1)の代わりにハードカーボンとしたこと以外は、実施例1と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルC6」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルC6の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表2に示す。
【0082】
〔比較例7:C7〕
電解液の非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを体積比で1:1:1の割合で混合してなる混合溶媒を用いたこと以外は、比較例3と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルC7」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルC7の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表2に示す。
【0083】
〔比較例8:C8〕
電解液の非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを体積比で1:1:1の割合で混合してなる混合溶媒を用いたこと以外は、比較例2と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルC8」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルC8の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表2に示す。
【0084】
〔比較例9:C9〕
電解液の非プロトン性有機溶媒として、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートを体積比で1:1:1の割合で混合してなる混合溶媒を用いたこと以外は、比較例6と同様にして試験用ラミネート外装リチウムイオンキャパシタ(以下、「セルC9」とする。)を作製し、短絡後正極電位を測定した。
得られたセルC9の正極活物質層の総厚、負極活物質層の総厚、正極比率および短絡後正極電位を下記表2に示す。
【0085】
〈リチウムイオンキャパシタの評価〉
上記のセルS1〜S25およびセルC1〜C9の各々について、以下のようにして、エネルギー密度測定、交流内部抵抗測定および充放電サイクル試験を行い、特性の評価を行った。
【0086】
〔エネルギー密度測定〕
作製したセルS1〜S25およびセルC1〜C9の各々を10Aの電流値で電圧が3.8Vとなるまで充電した後、同電圧で30分保持し、その後、10Aの電流値で電圧が2.2Vとなるまで放電した際の容量を測定した。この容量をキャパシタの有するエネルギーとし、キャパシタの体積で除してエネルギー密度(Wh/L)を求めた。結果を表1および表2に示す。
【0087】
〔交流内部抵抗測定〕
作製したセルS1〜S25およびセルC1〜C9の各々の25℃±5℃の環境下における1KHzの交流内部抵抗(RC)を、日置電機社製「ACミリオームハイテスタ3560」を用い、測定温度が25℃の条件で測定した。結果を表1および表2に示す。
【0088】
〔充放電サイクル試験〕
作製したセルS1〜S25およびセルC1〜C9の各々について、25℃において100Cの電流密度で10万回充放電サイクルを行った後、1サイクル目と比較した容量保持率(%)および抵抗上昇率(%)を測定した。結果を表1および表2に示す。
また、以下に、容量保持率および抵抗上昇率の定義を示す。
〔容量保持率の定義〕
1サイクル目のリチウムイオンキャパシタの容量を測定した際の値を100%としたとき、10万サイクル目のリチウムイオンキャパシタの容量の保持率を測定した。
〔抵抗上昇率の定義〕
1サイクル目のリチウムイオンキャパシタの交流内部抵抗(RC)を測定した際の値を100%としたとき、10万サイクル目のリチウムイオンキャパシタの交流内部抵抗(RC)の上昇率を測定した。
【0089】
〔総合判定〕
上記の試験の結果に基づいて、以下の評価基準により、総合判定を行った。結果を表1および表2に示す。
(評価基準)
下記の(a)〜(d)の全ての条件が外れていない場合を◎、いずれか一つの要件が外れた場合を○、二つの要件が外れた場合を×とした。
(a)エネルギー密度の値が、10Wh/L〜20Wh/Lの範囲にあること。
(b)交流内部抵抗(RC)の値が、0.1ΩF〜0.9ΩFの範囲にあること。
(c)充放電サイクルの値が、95%〜100%の範囲にあること。
(d)抵抗上昇率(%)が、100%〜110%の範囲にあること。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
表1の結果から明らかなように、セルS1〜S8においては、エネルギー密度、交流内部抵抗(RC)、容量保持率(%)および抵抗上昇率(%)の好ましい条件を全て満たしており、良好なリチウムイオンキャパシタが得られた。
また、セルS9およびセルS10においては、容量保持率が低かったもののリチウムイオンキャパシタとしての性能に大きな影響は無かった。
また、セルS11〜16においては、セルS3と比較して交流内部抵抗(RC)が低い結果となったが、これはECと、EMCおよびDMCの合計との体積比が1:3〜1:1であり、また、EMCとDMCとの体積比が1:1〜9:1であるためと考えられる。
また、セルS17 〜21においては、セルS1〜S8と同様に、良好なリチウムイオンキャパシタが得られた。
また、セルS22においては、負極活物質として黒鉛を使用していることから、若干抵抗上昇率が高いものの、リチウムイオンキャパシタとしての性能に大きな影響は無かった。
また、セルS23〜S25においては、正極集電体として、電解エッチング箔に後加工によるパンチング処理またはエキスパンド処理を施したものを使用したが、電解エッチング箔を使用したリチウムイオンキャパシタと同様の良好な特性が得られた。
これに対し、表2の結果から明らかなように、セルC1においては、正極活物質層の総厚が50μm〜140μmの範囲を下回ったため、エネルギー密度が小さくなった。
また、セルC2においては、正極活物質層の総厚が50μm〜140μmの範囲を上回ったため、交流内部抵抗(RC)および抵抗上昇率が高く、容量維持率が低下した。
また、セルC3においては、正極比率が0.4〜0.5の範囲を下回ったため、抵抗上昇率が高く、容量保持率が低下した。
また、セルC4においては、正極比率が0.4〜0.5の範囲を上回ったため、抵抗上昇率が高く、容量保持率が低下した。
また、セルC5においては、正極集電体として粗面化処理されていないエキスパンドメタルを用いたため、交流内部抵抗(RC)および抵抗上昇率が高かった。
また、セルC6においては、負極活物質としてハードカーボンを使用したため、交流内部抵抗(RC)が高く、容量維持率が低下した。
また、セルC7においては、電解液としてEC、EMCおよびDMCを体積比で1:1:1の割合で混合してなる混合溶媒を使用したが、正極比率が0.4〜0.5の範囲を下回ったため、抵抗上昇率が高く、容量保持率が低下した。
また、セルC8においては、電解液としてEC、EMCおよびDMCを体積比で1:1:1の割合で混合してなる混合溶媒を使用したが、正極活物質層の総厚が50μm〜140μmの範囲を上回ったため、交流内部抵抗(RC)および抵抗上昇率が高く、容量維持率が低下した。
また、セルC9においては、電解液としてEC、EMCおよびDMCを体積比で1:1:1の割合で混合してなる混合溶媒を使用したが、負極活物質としてハードカーボンを使用したため、抵抗上昇率が高く、容量維持率が低下した。