(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
供給組成物が、セルロース誘導体を供給組成物の全重量を基準にして22重量%から32重量%および水を供給組成物の全重量を基準にして68重量%から78重量%含む、請求項1に記載の方法。
供給組成物が、セルロース誘導体を供給組成物の全重量を基準にして24重量%から32重量%および水を供給組成物の全重量を基準にして68重量%から76重量%含む、請求項2記載の方法。
【背景技術】
【0002】
反応させそして場合により反応中に生じた副生成物を除去した後のセルロース誘導体、特にセルロースエーテルは、脆い粒子状または塊様形態で存在する。このようなセルロース誘導体は、そのような形態の時でも、原料が与える前以て決められた構造を有する。このように、例えばセルロースエーテルでも一般に初期のセルロースが持っていた繊維様構造を示す。従って、このようなセルロース誘導体は、意図した使用、例えば有機媒体および/または水性媒体に可溶な製品として用いるには適さない。
【0003】
いろいろな使用分野に適するように、典型的には、また、特定の粒子サイズ分布、かさ密度、乾燥度および粘度値になるように調整する必要もある。
【0004】
従って、使用に適するように、原則としてほとんど全部のセルロース誘導体に圧縮固化、粉砕および乾燥を受けさせる必要がある。
【0005】
産業的に重要なセルロース誘導体には特にセルロースエーテルが含まれ、それの製造、特性および用途が例えばUllmann’s Encyclopaedia of Industrial Chemistry,第5版(1986),A5巻,461−488頁,VCH Verlagsgesellschaft,Weinheim;そしてMethoden der organischen Chemie,第4版(1987),E20巻,Makromolekulare Stoffe(有機化学方法)(高分子量物質)パート−3巻、2048−2076頁、Georg Thieme Verlag
Stuttgartに記述されている。
【0006】
米国特許第2,331,864号には、水で湿っているセルロースエーテルの水含有量を>50℃の温度で72−88重量%に調整する方法が記述されている。次に、前記セルロースエーテルを<50℃の温度に冷却する。そのようにして得たゲルを>50℃の温度で乾燥させた後、その乾燥させた材料を粉砕している。
【0007】
英国特許出願公開第804 306号には、繊維状セルロースエーテルと水(98−65重量%)の熱混合物を冷却することを通して冷水に溶解し得るセルロースエーテルを溶解させる方法が記述されている。新たに加熱を行うことで前記セルロースエーテルを沈澱させた後、乾燥させる。その乾燥させた製品を粉砕している。
【0008】
ドイツ特許出願公開第952 264号には、湿っている繊維状のメチルセルロースを容易に溶解する粉末に変化させる3段階方法が開示されている。このケースでは、水含有量が50−70重量%の製品をまず最初に均一にして可塑性塊(plastic mass)を生じさせた後に10℃から20℃に冷却[この目的で冷却スクリュープレス(cooled screw press)が用いられた]し、次にその製品をハンマーミルで粉砕した後、循環空気乾燥器内で乾燥させている。
【0009】
ヨーロッパ特許出願公開第0 049 815号(これは米国特許第4,415,124号に相当する)にはセルロースエーテルまたはセルロースのミクロンサイズ粉末を製造
する2段階方法が記述されており、そこでは、微細繊維構造または羊毛のような構造を有する製品をまず最初に脆い固化形態に変化させた後、そのような処理を受けさせた材料に粉砕操作を粒子の少なくとも90%が0.125mm未満であると言った粒子サイズ分布が達成されるまで受けさせている。前記脆化段階で振動ミルまたはボールミル(好適には冷却)、またはペレットプレスを用いそして粉砕段階でジェットミル、ピンドディスクミル(pinned disc mills)またはインパクトディスクミルを用いている。
【0010】
ドイツ特許出願公開第30 32 778号には湿っているセルロースエーテルを連続的に均一にする2段階方法が開示されており、そこでは、その湿っているセルロースエーテルに細断、衝撃およびせん断力(いろいろなジャケットプロファイルを有する循環回転体によって生じさせた)を受けさせ、それと同時に場合により水を添加することで、その微粉砕されたセルロースエーテルをペレット状にした後、結果として生じたペレットを乾燥させている。
【0011】
ヨーロッパ特許出願公開第0 370 447号には湿っているセルロースエーテルを穏やかに粉砕すると同時に乾燥させる方法が記述されており、そこでは、初期水分含有量が20から70重量%のセルロースエーテルを担体ガス(carrier gas)で移送すると同時にそれに摩擦粉砕を受けさせて衝撃粉砕サイズ(impact comminution size)にした後、粉砕エネルギー(grinding energy)を用いた乾燥を残存水分含有量が1から10重量%になるように受けさせている。
【0012】
ヨーロッパ特許出願公開第0 384 046号にはセルロースエーテル粒子の製造方法が記述されており、これは、高回転速度のエアジェット回転インパクトミル(high
rotational speed,air jet rotary impact mill)を用いた粉砕で100Pa・sを越える粘度[Ubbelohde管を用いて2%の水溶液として20℃で測定]を示す粒子サイズが0.4から0.035mmのセルロースエーテルを生じさせることを含んで成る。
【0013】
WO 96/0074にはセルロースエーテルの粉砕方法が開示されており、これは、水和セルロースエーテルを断面積が0.0075mm
2から1mm
2(7.5x10
-9m
2から1x10
-6m
2)の開口部に通して押出した後、その結果として押出された材料を所望の長さに切断することを含んで成る。
【0014】
ヨーロッパ特許出願公開第0 835 881号には特殊な粒子サイズ分布曲線を示すメチルセルロース粉末を製造する方法が記述されており、そこでは、メチルヒドロキシアルキルセルロース粒子材料の水分含有量を水で30から70重量%に調整した後、回転ミルで粉砕すると同時に粉砕エネルギーを製品に与えることで乾燥させることを通して製造を行っている。大きさを分級することで特殊な粒子サイズ分布曲線を樹立している。
【0015】
米国特許第4,044,198号にはセルロース誘導体の冷粉砕方法が記述されており、そこでは、水含有量(乾燥重量を基準にした水)が40−150重量%のセルロース誘導体を液体窒素で冷却して、それに冷粉砕を受けさせている。
【0016】
米国特許第4,044,198号には、セルロースのエーテル化で得た粗生成物を熱水でほとんど塩を含まなくなるまで洗浄した後、それに遠心分離による分離を高温で受けさせることで水含有量(全質量を基準)を50重量%にしそして次に水と一緒に混合することで水含有量(全質量を基準)を60から70重量%に調整する方法が記述されている。そのような混合物に圧縮固化、顆粒、乾燥および粉砕を受けさせている。
【0017】
従来技術に従う公知方法は、ほとんど全部が、予備乾燥器または予備脆化および/または圧縮固化を伴う多段階方法である。更に、そのような公知方法では、それらの全部において、特に高度に置換されていて粘度が極めて高い製品を処理しようとする時にはまた高分子にかかる化学および/または熱応力も常に非常に高く、その結果として、その高分子を粉砕している間に分解が鎖切断の形態で起こり、このことは、特に粘度が出発製品に比較して多少とも大きく低下することで認識され得る。また、製品を予備脆化および/または予備乾燥段階で処理すると、それの表面が粗くなることも起こる。更に、そのような方法全部に共通した特徴は、セルロース誘導体に予備乾燥、脆化または圧縮固化を受けさせた後に行う粉砕で消費されるエネルギーの量が非常に多量である点にある。
【0018】
上述した欠点の1つ以上を回避する方法は既に公知である。例えば、英国特許出願公開第2 262 527号には、水含有量が30から80重量%のセルロースエーテルを−10から60℃の温度に冷却してゲル化させた後にそのゲルの粉砕乾燥(mill drying)(好適にはインパクトミルで)を行うことを通してセルロース誘導体を粉砕する方法が記述されている。不幸なことに、英国特許出願公開第2 262 527号には、300g/lを越えるかさ密度を示す製品を得ようとする場合にメチルセルロースのヒドロキシエチル化混合エーテル(hydroxyethylated mixed ethers)(例えばメチルヒドロキシエチルセルロースまたはメチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロースなど)をどのように処理するかに関する指示は全く与えられていない。メチルヒドロキシエチルセルロースの処理を英国特許出願公開第2 262 527号に記述されているメチルヒドロキシプロピルセルロースの場合のように行うと、得られる製品はかさ密度が<250g/lの塊様である。また、かさ密度が270g/lのメチルセルロースを粉砕乾燥させることで得られる製品(実施例3)も満足されるものでない。
【0019】
WO 98/907931には、全重量を基準にした水の量が35から99重量%(好適には60から80重量%)のセルロースエーテルをゲル化または溶解させた後に粉砕乾燥を行うことで微粒子状の多糖類誘導体を製造する方法が記述されており、そこでは、その粉砕した材料の輸送および乾燥で過熱蒸気を用いている。
【0020】
このように、熱懸濁液を冷却することを通して全質量を基準にした乾燥物質含有量が例えば20重量%のMHECゲルを得ている。その後、次の段階で前記ゲルを処理して粉末にしている。不幸なことに、WO 98/907931に記述されているように熱懸濁液を冷却するのは技術的に極めて複雑であり、かつ連続方法に関する教示は全く与えられていない。
【0021】
そのような方法も同様に上述した欠点の多くを回避している。しかしながら、そのような粉砕乾燥方法における粉砕はまだ充分ではなく、粉砕されたメチル−ヒドロキシエチルセルロースが0.063mmのふるいを通過するのは57重量%のみである(実施例3)。所望の微細度が達成されたのはエアジェットシーブ(iar jet sieve)を用いて大きさを分級した時のみである。更に、純粋な蒸気を担体ガスおよび熱交換ガスとして用いることは粉砕プラント操作上の安全性に関して欠点を有する、と言うのは、水が微粒子状の多糖類誘導体と一緒に凝縮することが原因で膜と湯垢が急速に生じるからである。従って、保守手段の費用が増大する。前記出願によれば、0.1mmのふるいを通過する量が95重量%を越えるか或は0.063mmのふるいを通過する量が90重量%を越える微粒子状の製品が得られたのは、溶解している多糖類誘導体を非溶解周囲媒体(non−dissolving ambient medium)に分散させた後に粉砕、濾過および乾燥段階を行った時のみである(実施例1および2)。
【0022】
従って、本発明の目的は、
粉砕の度合を選択的に調整することができ、
<0.063mmの比率が>65重量%の粒子サイズ分布曲線を確立することができ、
製品の表面が粗くなく、
製品のかさ密度を調整することができ、
出発製品に比較して粘度の低下がないか或は低下の度合が最小限のみであり、かつ
自由流れする製品が得られる、
粒子状の水溶性セルロース誘導体を製造する方法を提供することにある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本方法で生じさせたセルロース誘導体は高いかさ密度を有することに加えて良好な流動性を示しかつ製品に含まれる微細物の比率が非常に低いことを見いだした。出発製品と比較した時に粘度低下が全くないか或は粘度低下度合が最小限のみである。
【0026】
本方法で用いるセルロース誘導体は水に可溶であるか或は少なくとも水で膨潤し得る。このような誘導体は、大部分が、セルロースをアルキル化剤またはヒドロキシアルキル化剤(hydroxyalkylating agent)と反応させることで得たものである。それらは下記の種類の置換基を1つ以上含み得る:ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、メチル、エチル、プロピル、ジヒドロキシ−プロピル、カルボキシメチル、スルホエチル、疎水性の長鎖分枝および未分枝アルキル基、疎水性の長鎖分枝および未分枝アルキルアリール基もしくはアリールアルキル基、カチオン基、アセテート、プロピオネート、ブチレート、ラクテート、ナイトレートおよびスルフェートなど。そのような基のいくつか、例えばヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ジヒドロキシプロピルおよびラクテートなどはグラフト(grafts)を生じる能力を有し、そして本発明に従う多糖類誘導体の置換基をこの上に挙げた基に限定するものでない。
【0027】
セルロース誘導体の例は、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、カルボキシ
メチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(HPHEC)、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、メチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(MHPHEC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、疎水修飾(hydrophobically modified)ヒドロキシエチルセルロース(hmHEC)、疎水修飾ヒドロキシプロピルセルロース(hmHPC)、疎水修飾エチルヒドロキシエチルセルロース(hmEHEC)、疎水修飾カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(hmCMHEC)、疎水修飾ヒドロキシプロピルエチルヒドロキシエチルセルロース(hmHPHEC)、疎水修飾メチルセルロース(hmMC)、疎水修飾メチルヒドロキシプロピルセルロース(hmMHPC)、疎水修飾メチルヒドロキシエチルセルロース(hmMHEC)、疎水修飾カルボキシメチルメチルセルロース(hmCMMC)、スルホエチルセルロース(SEC)、ヒドロキシエチルスルホエチルセルロース(HESEC)、ヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(HPSEC)、メチルヒドロキシエチルスルホエチルセルロース(MHESEC)、メチルヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(MHPSEC)、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(HEHPSEC)、カルボキシメチルスルホエチルセルロース(CMSEC)、疎水修飾スルホエチルセルロース(hmSEC)、疎水修飾ヒドロキシエチルスルホエチルセルロース(hmHESEC)、疎水修飾ヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(hmHPSEC)および疎水修飾ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース(hmHEHPSEC)である。
【0028】
アルキル置換基の量を通常は「DS」で記述する。DSは、グルコース単位中の置換されているOH−基の平均量である。メチル置換を用語「DS(M)」で記述する。ヒドロキシアルキル置換を用語「MS」で記述する。これは、グルコース単位に結合したエーテル化剤(etherification agent)の平均モル量である。エチレンオキサイド置換を用語「MS(ME)」で記述する。プロピレンオキサイド置換を用語「MS(HP)」で記述する。
【0029】
DS(M)、MS(HE)およびMS(HP)の値をG.Bartelmus,R.Kellerer,Z.Anal.Chem.286(1977),161−190に従うZeisel p.e.の方法で測定する。
【0030】
特に好適なセルロース誘導体は、水中である熱凝結点を示すセルロースエーテル類、例えばメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどである。DS(M)が1から2.6でMS(HE)が0.05から0.9、特にDS(M)が1.3から1.9でMS(HE)が0.15から0.55のメチルヒドロキシエチルセルロース、およびDS(M)が1から2.6でMS(HP)が0.05から1.2でMS(HE)が0.05から0.9、特にDS(M)が1.3から1.9でMS(HP)が0.05から0.6でMS(HE)が0.15から0.55のメチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロースが最も好適である。
【0031】
水中である熱凝結点を示すセルロース誘導体が示す水溶解度は高度に温度に依存する。そのようなセルロース誘導体は、熱凝結点未満であると、溶液および/またはゲルを生じる。水中の熱凝結点は、セルロース誘導体が熱凝結を起こす時の温度を記述するものである。
【0032】
セルロース出発材料に由来する主要構造は膨潤または溶解過程を通して壊れる。従って、セルロースエーテルの場合、繊維様構造はほとんど完全に失われてはいるが、膨潤または溶解するセルロースエーテル部分は誘導化が充分に起こった部分のみである。このよう
にして得た膨潤または溶解しているセルロース誘導体が含有する、初期状態において溶解性もしくは膨潤性を示す材料の量は、固体部分を基準にして25から50重量%未満である。
【0033】
結果として供給組成物に含まれる膨潤および/または溶解しているセルロース誘導体が粘弾性系を構成するが、このような系の一般的特性は、溶媒およびセルロース誘導体の量に応じて、それ自身の重量下で流れ得る溶液、柔軟性ゲル、または柔らかいが脆い固体に相当する。
【0034】
前記供給組成物に含める水の量を、前記主要構造が壊れて所望のかさ密度が得られるに充分な膨潤または溶解が達成されるように選択する。この水の量を、前記供給組成物の全重量を基準にして、便利には50から80重量%、好適には65から78重量%、最も特に好適には68から76重量%にする。驚くべきことに、粉砕した製品で望まれるかさ密度を達成しようとする場合には水含有量を特定の最小量にする必要があることを見いだした。この値はとりわけ置換基の性質、エーテル化の度合およびセルロース誘導体の分子量に伴って変わる。必要な水含有量は一般にエーテル化の度合が高ければ高いほど少ない。必要な水含有量はまた一般に分子量が低ければ低いほど少ない。各場合とも処理を受けさせるべきセルロース誘導体の最適な水含有量を予備試験で決定することを推奨する。
【0035】
本方法の1つの修飾方法では、水中である熱凝結点を示すセルロースエーテル、好適にはメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースを冷水に添加し、場合により追加的水を用い、凝結点より低い温度にして膨潤または溶解させることで、主要構造、例えば繊維構造が大きく壊れるようにする。そのようなセルロースエーテルを好適には水で湿っているフィルターケーキ(filter cake)の形態で用いる。特に好適には、水含有量が40から65重量%であるように水で湿っているメチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロースまたはメチルセルロースのフィルターケーキを用い、これに追加的水を加えた後、冷却する。好適には、冷水を混合した後、その全体を本質的に公知の様式で均一にする。従って、例えば水を2軸コンパウンダー(compounder)で連続的に混合した後、この混合物にせん断力をかけて混合することで均一にする。同方向回転機ばかりでなく異方向回転機も適切であるが、軸方向開放アクセス(axial open access)を考慮すると同方向回転機が好適である。スクリューの構造は、充分な混合効果が達成されるような条件をかけるに適する必要があるが、他方、せん断力は、材料が容認されない応力(この応力によって恐らくは分子鎖の長さ低下がもたらされ得る)を受けないように適切に調整可能でなければならない。2軸コンパウンダーの場合のように、互いに深くかみ合っていて相互ストリッピング作用(mutual stripping action)を遂行する2つの水平配置撹拌機ブレードが備わっているいわゆる分割トラフニーダー(divided trough kneaders)は、せん断勾配(shear gradient)が比較的僅かであることを特徴とする(製造業者、IKA、List)。スクリューの回転速度を変えることを通して、セルロース誘導体材料を混練りする時に必要な摩擦を生じさせ、それによって、メチルセルロースと水の良好な分散および均一化を達成する。
【0036】
均一化で用いるに適した連続1軸コンパウンダーには、いわゆるReflector(商標)コンパウンダーが含まれ、これらは、モジュラー構造(modular construction)の高性能ミキサーであり、これらには加熱冷却可能なマルチパート(multi−part)混合用シリンダーと片側に取り付けられたブレードミキサー(blade mixer)が含まれている(製造業者:Lipp)。また、いわゆるピンドシリンダー押出し加工機(pinned cylinder extruders)また
はStiftconvert(商標)押出し加工機(製造業者:Berstorff)、例えば未加硫ゴムと加硫ゴムの混合物の製造で用いられる如き押出し加工機も適切である。ハウジング内に組み込まれているピンが、混練り材料が軸と一緒に回転するのを防止するアバットメント(abutment)として働く。ムーブメントバリヤー(movement barriers)を伴わない1軸スクリューニーダーは上述した仕事で用いるには適さない。
【0037】
滞留時間を正確に調整しそして/また並行拡散律速反応(parallel diffusion−determined reactions)を制御しようとする場合には、バッチ装置(batch units)の方が連続運転型の装置よりも好適である。上述した仕事では特にいわゆるダブルブレードシグマ撹拌機(double−blade sigma stirrers)(製造業者:Fima)が水平組み立てで備わっているニーダーミキサーが適切である。前記ブレードはいろいろな速度で作動しかつそれらの回転方向を逆にすることができる。ニーダーを空にすることができるように、排出用スクリューをサドル領域に配置する。また、水平に配置されたミキサーシャフト(mixer shaft)を伴う撹拌槽(stirred vessel)も、混練りマス(kneaded mass)がスターラーシャフト(stirrer shaft)と一緒に回転しないようにするに適切なフローバッフル(flow baffles)を前記槽の壁に取り付け、そのようにして、強力な混合作用が混練り材料に与えられるようにするならば適切である[製造業者:バイエル社(Bayer AG)]。前記槽の内容物全部の徹底的な混合が起こることに加えてまた前記槽の床に取り付けられている排出用スクリューが常に材料を下方に向かわせるような圧縮効果を及ぼすスターラーアーム(stirrer
arms)を配置する。また、プラネタリースターラー(planetary stirrer)およびインラインホモジェナイザー(inline homogeniser)が備わっている二重壁混合槽もセルロース誘導体と水のバッチ式均一化で用いるに適する。前記プラネタリースターラーによって前記槽の内容物が強力に混合されることが確保されかつ前記槽の温度制御可能内壁に湯垢がほとんど付着しないように浄化されることが保証される。ローター−ステーター(rotor−stator)装置をバイパス配置(bypass arrangement)で連結すると追加的均一化が与えられる。
【0038】
次に、前記供給組成物の膨潤または溶解しているセルロース誘導体を好適にはふるいを含まない高回転速度インパクトミルで前記供給組成物に含まれている水の少なくとも一部が気相に変化しかつ加うるに前記供給組成物の溶解および/または膨潤しているセルロース誘導体が相転移で固体状態の微細粒子形態に変化するような様式で固体状態に変化させるが、このような過程で外部力(例えば衝撃、せん断力)をかけることで前記セルロース誘導体の構造的変化を達成する。
【0039】
前記インパクトミルへのセルロース誘導体の供給は、供給すべき材料が示す粘ちょう度に応じて、従来技術に従う本質的に公知の供給装置を用いて実施可能である。供給すべきストランド(strand)材料を個々のストランドに細分する予備的細断を実施することも可能(場合によりまた横方向分割を行うことも可能)であり、これに関連して、個々のストランドの断面積が1mm
2を越えるようにする。この目的で、好適には、供給材料をパシングシーブ(passing sieve)に強制的に送り込むことで個々のストランドを生じさせる。ブレーカープレートアタッチメント(breaker plate
attachment)[ミートミンサー(meat mincer)]が備わっている1軸または2軸スクリューミキサーを同様な様式で用いることも可能である。場合により、ブレーカープレートの後方に位置させた切断具を用いてエンドレスストランドをより小さい断片に切断することも可能である。スクリュー供給(screw feeding)を用いてその押し出されたストランドを粉砕ゾーンに直接送り込むことも可能である。
【0040】
ふるいを含まない高回転速度インパクトミルを用いて粉砕乾燥を実施して、前記セルロース誘導体に衝撃および/またはせん断力を受けさせる。そのようなミルは公知である(例えば米国特許第4 747 550号、ドイツ特許出願公開第3 811 910号またはヨーロッパ特許出願公開第0 775 526号により)。
【0041】
この粉砕乾燥の熱交換ガスおよび担体ガスとして不活性ガス、空気、蒸気と不活性ガスもしくは空気の混合物、または蒸気を用い、好適には、前記セルロース誘導体のための溶媒として用いる水が蒸発するように蒸気の量を上昇させる。露点が室温未満の任意ガスまたはガス混合物が不活性ガスとして使用可能である。好適には、窒素、二酸化炭素、空気、燃焼ガスまたはそのようなガスの混合物を用いる。供給する不活性ガスおよび/または空気の温度は任意に選択可能ではあるが、この温度を好適には0−300℃の範囲にし、特に5−50℃の範囲の温度、好適には周囲温度の不活性ガスおよび/または空気を用いる。このガスまたはガス混合物を熱交換器で予備加熱してもよいか、或はこれは燃焼ガスの場合のように既に熱くてもよい。ミルガス(mill gas)を循環させる場合、粉砕装置の任意地点に不活性ガスおよび/または空気を加えてもよい。従って、例えば空気を用いて粗い粒状材料を粉砕ゾーンに再循環させてもよく、そして不活性ガスおよび/または空気が所望量で送り込まれるように処理量を選択してもよい。この不活性ガスまたは空気の添加を行う場所は例えばファンの吸引側であってもよいか、或はそれを粉砕を受けさせるべき材料と一緒に添加することも可能である。また、この不活性ガスおよび/または空気の添加を好適には粉砕装置のいろいろな地点に同時に行ってもよい。この不活性ガスまたは空気を、供給して蒸発させる水に対して、1:99重量部から60:40重量部の比率、好適には3:97重量部から40:60重量部の比率、特に好適には5:95重量部から30:70重量部の比率で添加する。この供給水を前記溶解または膨潤しているセルロース誘導体経由で添加して粉砕乾燥手順中に蒸発させるか、或は供給水を水または蒸気の形態で前記ミルに直接供給する。この蒸発させる水の量を下記の如く計算する:
蒸気の量(kg/時)=送り込まれた水または蒸気の量(kg/時)+添加されたゲルの量(kg/時)xゲル中の水の重量%/100重量%−処理されたMC粉末(kg/時)x水分重量%/100重量%。
【0042】
最後の項は1番目の項および2番目の項に比較して一般に非常に小さいことから、蒸気の量はおおよそ下記の如く計算可能である:
蒸気の量(kg/時)=送り込まれた水または蒸気の量(kg/時)+添加されたゲルの量(kg/時)xゲル中の水の重量%/100重量%
【0043】
前記ミルに追加的水も蒸気も供給しない場合には、蒸気の量をおおよそ下記の如く計算する:
蒸気の量(kg/時)=添加されたゲルの量(kg/時)xゲル中の水の重量%/100重量%。
【0044】
装置内を循環するガスの量は添加された水および不活性ガスおよび/または空気の量に比較して多いことから、それによって、蒸気と不活性ガスおよび/または空気の徹底的な混合が確保される。
【0045】
前記溶解または膨潤しているセルロース誘導体は、回転している機械と固定または逆方向に回転する粉砕機の間で生じる数多くの衝撃および/またはせん断応力そして/または数多くの粒子の衝撃によって細かく砕かれる。それと同時に、固体中に存在する溶媒が蒸発する。この目的で要する熱エネルギーは、ある程度のみであるが、熱交換ガスによって供給される。ミルドライブ(mill drive)の電気エネルギーが摩擦で熱に変化することが一因になってそれと同時に乾燥が起こる。
【0046】
そのようにして微粒子状になった固体状粒子を、例えば前記ミル乾燥装置の下流に連結した分離装置内で、ガス流れから分離する。この分離装置は重力による分離装置、例えばサイクロンであってもよいか、或はまたフィルターによる分離装置であってもよい。また、前記ミルのデザインに応じて、ふるい分けによる大きさの分級を内部で実施することも可能である。いくらか存在し得る過大材料は、遠心力が担体ガスの抗力に打ち勝つ結果として、微細物から分離される。完成材料としての微細物を担体ガスと一緒に粉砕用チャンバから取り出す。過大材料は、内部または外部に備わっている過大材料再循環装置によって粉砕ゾーンに再循環する。このような粉砕乾燥を、ふるい分け(screening or sieving)によるさらなるサイズ分級を行う必要のない様式で実施する。しかしながら、好適には、保護ふるい分け(protective screening)によって粗い粒子を分離する。この目的でメッシュ幅が0.125mmから1mmのふるいを用いる。分離された粗い粒子の分率は、粉砕乾燥を受けさせたセルロース誘導体の全重量を基準にして<15重量%、好適には<7重量%、特に好適には<3重量%である。この分離された粗い画分を場合により前記ミルに戻してもよいか或は少量ならば供給材料に添加してもよい。
【0047】
前記熱交換ガスおよび担体ガス(ミルガス)を循環させてもよく、この場合には、余分なガスを部分流れとして除去する。このサイクルで循環させるガスの量(kg/時)が添加水(kg/時)および不活性ガスおよび/または空気の量(kg/時)に対して好適には5から15の比率、特に8から12の比率になるようにする。熱交換器を前記粉砕乾燥装置の前部に連結することで、前記セルロース誘導体に含まれていた水の蒸発および熱損失の結果として冷えたミルガスを再び加熱する。
【0048】
前記ミルガスから引き出した部分流れに含まれる蒸気を、場合により熱ガス濾過後、熱の回収を伴わせて凝縮させてもよい。
【0049】
そのような微粒子固体状の粒子を場合により従来技術に従う乾燥装置内で乾燥させて所望の水分含有量にしてもよい。この乾燥を便利に対流乾燥器、好適には空気式乾燥器、リング乾燥器(ring dryer)または同様な装置を用いて実施する。前記粉砕乾燥を、好適には、後で乾燥段階を行う必要がないような様式で実施する。
【0050】
場合により、最終製品の特性面を修飾する目的、即ち前記セルロース誘導体が水中で示す膨潤または溶解性を修飾する目的、前記膨潤または溶解しているセルロース誘導体の粉砕乾燥を修飾する目的、および微粒子状セルロース誘導体の乾燥を修飾する目的で、本方法の段階の1つ以上の実施前、実施中または実施後に修飾剤(modifiers)、添加剤および/または活性物質を添加してもよい。
【0051】
用語「修飾剤」は、多糖類誘導体に化学作用を及ぼす物質であると理解する。典型的な修飾剤は酸化剤、例えば過酸化水素、オゾン、ハイポハライド(hypohalides)、過ホウ酸塩および過炭酸塩などばかりでなく、架橋剤、例えばジアルデヒド類、例えばグリオキサールまたはグルタル酸ジアルデヒドなど、多官能エポキシド類、多官能イソシアネート類、有機酸、鉱酸、有機および無機塩などであるが、このリストを前記に限定するものでない。
【0052】
用語「添加剤」は、多糖類誘導体に如何なる化学作用も及ぼさない物質であると理解する。典型的な添加剤は防腐剤、分散剤、消泡剤、空気連行剤、顔料、ノニオン性、アニオン性およびカチオン性の合成および天然重合体およびそれらの誘導体、例えば澱粉エーテル類、例えばヒドロキシエチル澱粉またはヒドロキシプロピル澱粉など、有機および無機塩などであるが、このリストを前記に限定するものでない。
【0053】
用語「活性物質」は、セルロース誘導体に如何なる化学作用も及ぼさないがセルロース誘導体が結合剤として用いられる物質であると理解する。典型的な活性物質は植物保護剤および薬剤であるが、このリストを前記に限定するものでない。
【0054】
本発明の粒子状セルロース誘導体は数多くの用途で使用可能である。それらは例えば着色剤、薬剤、化粧品または食品に入れる水溶性もしくは溶媒溶解性増粘剤または結合剤として使用可能である。それらをまた例えば薬剤で用いられるコーティング剤として用いることも可能である。さらなる使用は例えば懸濁重合で用いられる保護コロイドとしての使用である。
【0055】
本方法の製品は、出発材料に由来する主要構造、例えば繊維構造が大きく取り除かれている微細粒子状のセルロース誘導体である。
【0056】
本発明の方法に従って生じさせた微細粒子状のセルロース誘導体は、場合により、粒子サイズ測定用レーザー回折方法(例えばSympatec HELOS(H1007)&RODOS)を用いてオフラインで分析可能である。
【0057】
まず最初に粒子は球形で粒子サイズ範囲全体に渡って一定の真の密度を有すると仮定することを通して、回折パターンを評価する。これに関連して、驚くべきことに、従来技術の方法に従って製造された製品に比較して有意な差があることを確認した。このように、本発明に従う方法を用いて得た製品は、粒子サイズが15μm未満の粒子の含有量が全重量を基準にして5重量%未満、好適には2重量%未満の製品であることが分かる。10μm未満の粒子の量は全重量を基準にして2重量%未満、好適には1重量%未満であることが分かり、そして5μm未満の粒子の量は全重量を基準にして1重量%未満、好適には0.5重量%未満、最も特に好適には0.1重量%未満であることが分かる。
【0058】
このような結果は、従来技術に従う製品に比較して微細物の割合が実質的に低下しておりかつ粒子サイズ分布がより狭いと言った結果である。
【0059】
高速回転速度ガスジェット回転(gas jet rotation)インパクトミルに備わっているローターの回転速度、従ってローターの周囲速度を変えることで、粉砕度合、従って粒子サイズ分布曲線を選択的に調製することができる。従って、製品分離装置(サイクロン、フィルターによる分離装置)の後方で製品流れの一部を抽出してそれを粒子サイズ測定方法で連続的に分析することでミルの操作を管理するのが好都合である。別法として、サンプリングおよび測定装置をコンベアラインに直接一体化させることも可能である。この目的で好適にはレーザー回折方法を用いる。
【0060】
このような手順を用いて所望粒子サイズ分布曲線に関して狭い範囲を維持することができる。このようにして粉砕度を選択的に調整することができ、0.063mmのふるいに通す累積ふるい分けに関して±5重量%の精度を達成することができる。かさ密度が300g/lから500g/lの範囲の製品に関して目標サイズ<0.063mmが40、50、60、70、80、90重量%であるように得た粒子サイズ分布曲線を本明細書の以下に挙げる。いろいろな粒子サイズ分布曲線を示す粉末を混合することで、より幅広い粒子サイズ分布を得ることも可能である。
【0061】
分析用ふるいはDIN ISO 3310に相当する。本明細書の以下に示す開放メッシュ幅は米国標準ASTM E11−61に相当し、下記の如くである:
【0065】
本発明に従う方法では、膨潤および/または溶解段階[即ち、供給組成物生成段階a)]を通して微粒子セルロース誘導体のかさ密度を0.15kg/lに等しいか或はそれ以上から0.5kg/lに等しいか或はそれ以下に調整または制御することができる。好適には、かさ密度が0.3kg/lに等しいか或はそれ以上で0.5kg/lに等しいか或はそれ以下の製品を製造する。
【実施例】
【0066】
供給組成物製造実施例
垂直に配置されているミキサー軸が備わっていてそれの上に混合手段が混合空間部全体を覆うように配置されている撹拌槽内で、水含有量が全重量を基準にして55重量%であるように水で湿っているメチルヒドロキシエチルセルロース[DS(メチル)=1.51でMS(ヒドロキシエチル)=0.28のメチルヒドロキシエチルセルロース]フィルターケーキを固体含有量が全重量を基準にして25%のメチルヒドロキシエチルセルロースゲルが生じるような量の水と一緒に連続的に混合する。この材料が前記ミキサー軸と一緒に回転しないようにフローバッフル(flow baffles)を前記槽の壁に配置しておく。スターラーブレードを前記ミキサー軸に配置しておき、その結果として、それらが徹底的な混合を与えることに加えてまた下方向に向かう圧縮効果も及ぼすことで、前記槽の床に連結している排出用スクリューは常に材料で満たされる。前記ゲル(即ち供給組成物)を集めた後、それにさらなる処理(実施例MT1、4、5)を受けさせることで、微粒子状のメチルヒドロキシエチルセルロース製品を生じさせる。
【0067】
実施例:粉砕乾燥(MT)
粉砕装置はふるいを含まない高回転速度ガスジェット回転ミル(タイプUltra Rotor II,Altenburger Maschinen Jaeckering
GmbH)から成っており、これには垂直に配置されている駆動軸が1本と直径が0.5mmの粉砕用トラック(grinding tracks)が7つ備わっており、前記粉砕用トラックの各々に、プロファイルドカウンター−グラインディングトラック(profiled counter−grinding track)に面するように作動するインパクトプレート(impact plates)が16枚備わっている。ローターの周囲速度はローターの回転速度で決まり、これを式U=πxnxd[式中、n=ローターの回転速度およびd=0.5m]に従って計算する。このローターの回転速度をミル制御装置で調節する。微粉砕された製品の主要部分を分離する直径が0.6mのサイクロンを前記ミルの後方につなげる。その後、並列に連結させた各々の容量が12m
2の2個のバッグフィルター内で気体流れから残存粉じんを除去する。奇麗な気体の側にラジアルファン(radial fan)を配置して、そのようにして粉じんを除去しておいた気体
流れを熱交換器に送り込むことで、ミルガスを要求される乾燥温度になるように過熱する。
【0068】
計量用スクリューを用いて供給材料(水で湿っているセルロース誘導体)を計量して1番目および2番目のグラインディングトラックの高さで前記ミルに入れる。前記計量用スクリューの前方に連結させた穴開き板を用いて、前記供給材料を直径が約10mmの個々のストランドに切断する。加うるに、窒素も計量して前記装置にいろいろな地点(ファン、インパクトミル、サイクロン)で加える。加えた窒素の全体量は約20から45kg/時である。
【0069】
余分な蒸気/窒素を取り出して、この蒸気をウォータージェットファン内で沈澱させる。
【0070】
実施例1
この上に記述した手順に従って、固体含有量が全重量を基準にして25%のメチルヒドロキシエチルセルロースゲル[DS(メチル)=1.51でMS(ヒドロキシエチル)=0.28のメチルヒドロキシエチルセルロースのゲル]を1時間当たり114kgの処理量で粉砕して乾燥させた。流入蒸気/窒素混合物を通常の圧力下230から250℃の温度にした。粉砕用チャンバ後方の蒸気/窒素混合物の温度は130℃であった。循環ガスの量は1時間当たり1800立方メートル(125℃で測定)であった。
【0071】
前記インパクトミルに備わっているローターの回転速度を3550分
-1にした時に得た微粒子状MHECが示したかさ密度は403g/lであり、そして2%の水溶液として20℃において2.55 l/秒で測定(Haake Rotovisko)した粘度は87,500mPa.sであった。この得た粉末が0.063mmのふるいを通過した量は75.6重量%であった。粒子サイズをレーザー回折で測定した結果、下記の値を得た:4.7重量%<15.5μm;2.1重量%<11μmおよび0.74重量%<5.5μm。この製品の水分含有量は全重量を基準にして<2重量%であった。
【0072】
実施例2
この上に記述した手順に従って、固体含有量が全重量を基準にして22%のメチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロースゲル[DS(メチル)=1.54でMS(ヒドロキシエチル)=0.1でMS(ヒドロキシプロピル)=0.24のメチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロースのゲル]を1時間当たり142kgのゲル処理量で粉砕して乾燥させた。流入蒸気/窒素混合物を通常の圧力下250から270℃の温度にした。粉砕用チャンバ後方の蒸気の温度は130℃であった。循環ガスの量は1時間当たり1750立方メートル(125℃で測定)であった。
【0073】
前記インパクトミルに備わっているローターの回転速度を3550分
-1にした時に得た微粒子状MHPHECが示したかさ密度は409g/lであり、そして2%の水溶液として20℃において2.55 l/秒で測定(Haake Rotovisko)した粘度は48900mPa.sであった。この得た粉末が0.063mmのふるいを通過した量は78.8重量%で、0.125mmのふるいを通過した量は98.0重量%で、0.250mmのふるいを通過した量は99.9重量%であった。この製品の水分含有量は全重量を基準にして<2重量%であった。
【0074】
実施例MT3
この上に記述した手順に従って、固体含有量が全重量を基準にして25%のメチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロースゲル[DS(メチル)=1.53でMS(ヒドロキシエチル)=0.28でMS(ヒドロキシプロピル)=0.29のメチルヒドロキ
シプロピルヒドロキシエチルセルロースのゲル]を1時間当たり107kgのゲル処理量で粉砕して乾燥させた。流入水/窒素混合物を通常の圧力下210から230℃の温度にした。粉砕用チャンバ後方の蒸気の温度は130℃であった。循環ガスの量は1時間当たり1750立方メートル(125℃で測定)であった。
【0075】
前記インパクトミルに備わっているローターの回転速度を3550分
-1にした時に得た微粒子状MHPHECが示したかさ密度は408g/lであり、そして2%の水溶液として20℃において2.55 l/秒で測定(Haake Rotovisko)した粘度は8200mPa.sであった。この得た粉末が0.063mmのふるいを通過した量は71.8重量%で、0.125mmのふるいを通過した量は96.8重量%で、0.250mmのふるいを通過した量は99.9重量%であった。粒子サイズをレーザー回折で測定した結果、下記の値を得た:4.5重量%<15.5μm;2.0重量%<11μmおよび0.6重量%<5.5μm。この製品の水分含有量は全重量を基準にして<2重量%であった。
【0076】
製品を2%の水溶液として20℃において2.55 l/秒で測定(Haake Rotovisko)した粘度[mPa.s]を下記の表にV2として省略形で示す。ふるい分析における累積ふるい分けを重量%で示す。レーザー回折値もまた重量%で示す。
【0077】
実施例1、4、参考実施例5、実施例6−8
ゲル中の固体含有量が下記の如き含有量(実施例1、4
)であると粒子サイズ分布曲線およびかさ密度に関して非常に良好な結果がもたらされる。ローターの回転速度を同じにしてゲル中の固体含有量を高くすることでかさ密度が小さくなるように調整することができ、その結果として、また、粒子サイズ分布曲線もかなり粗くなる(実施例6、7、8)。
【0078】
【表4】
【0079】
実施例9−14
ゲル中の固体含有量が下記の如き含有量(実施例11および12)であると粒子サイズ分布曲線およびかさ密度に関して非常に良好な結果がもたらされる。ゲル中の固体含有量を低くすればするほどゲルの処理量が低くなる(実施例9および10)、と言うのは、そのようにしないと、ミルの電力入力があまりにも高くなってしまうからである。ゲル中の固体含有量を高くすることを通して、かさ密度が低くなるように調整することができる(実施例13および14)。
【0080】
【表5】
【0081】
実施例13−15
この上に記述した手順に従って、いろいろな固体含有量のメチルヒドロキシエチルセルロースゲル[DS(メチル)=1.57でMS(ヒドロキシエチル)=0.40のメチルヒドロキシエチルセルロースのゲル]を粉砕して乾燥させた(ミル後方の温度:130℃)。
【0082】
前記インパクトミルに備わっているローターの回転速度を3550分
-1にした時に得たMHECは下記のデータを示した:
【0083】
【表6】
【0084】
粉砕乾燥を各場合ともゲルの処理量が可能な最大量になるように行った。ゲル(またはMC)の処理量は、実施例15(ゲルの固体含有量:19%)の方が実施例16および17よりもかなり低い。更に、実施例15の粒子サイズ分布曲線の方が比較サンプルのそれに比較して実質的に粗くかつ粘度もかなり低い。
【0085】
実施例15の場合のミルの運転の静かさはかなり劣っており、かつ電力の入力があまりにも高いことが原因で、結果としてミルが4.5時間内に5回故障した。実施例16および17の場合の運転は静かで非常に良好であった。
【0086】
本発明を説明の目的でこの上に詳細に記述してきたが、そのような詳細は単にその目的であり、それに関して本分野の技術者が本発明の精神および範囲から逸脱することなく変更を行うことができるのは、本請求の範囲で限定可能なことを除いた点に関してであると理解されるべきである。
【0087】
本発明の特徴および態様は以下の通りである。
【0088】
1. 粒子状の水溶性セルロース誘導体を製造する方法であって、
a)水で膨潤および/または水に溶解する少なくとも1種のセルロース誘導体を供給組成物の全重量を基準にして20重量%から50重量%および水を供給組成物の全重量を基準にして50重量%から80重量%含んで成る供給組成物を生じさせ、
b)前記供給組成物を高回転速度インパクトミル内で熱交換ガスおよび担体ガスに接触させることで前記供給組成物の前記セルロース誘導体を固体状態の微粒子形態に変化させ、c)前記粒子状のセルロース誘導体を前記熱交換ガスおよび担体ガスから分離し、そしてd)場合により、前記粒子状のセルロース誘導体を乾燥させる、
ことを含んで成る方法。
【0089】
2. 段階b)でふるいを含まない高回転速度インパクトミルを用いる第1項記載の方法。
【0090】
3. 更に段階a)からc)の1つ以上の実施前、実施中または実施後に修飾剤、添加剤および活性物質から成る群から選択される材料を前記セルロース誘導体に添加することも含んで成る第1項記載の方法。
【0091】
4. セルロースをアルキル化剤またはヒドロキシアルキル化剤と反応させることで得た水含有量が全重量を基準にして40から60重量%のセルロース誘導体のフィルターケーキを、段階a)で用いて前記供給組成物を生じさせる第1項記載の方法。
【0092】
5. 段階a)の供給組成物が前記セルロース誘導体を前記供給組成物の全重量を基準にして22重量%から35重量%および水を前記供給組成物の全重量を基準にして65重量%から78重量%含んで成る第1項記載の方法。
【0093】
6. 前記セルロース誘導体がセルロースエーテルである第1項記載の方法。
【0094】
7. 前記セルロース誘導体がDS(M)が1から2.6であり、そしてMS(HE)が0.05から0.9のメチルヒドロキシエチルセルロースである第1項記載の方法。
【0095】
8. 前記セルロース誘導体がDS(M)が1から2.6であり、そしてMS(HP)が0.05から1.2でMS(HE)が0.05から0.9のメチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロースである第1項記載の方法。
【0096】
9. 前記粒子状セルロース誘導体製品のかさ密度を前記供給組成物に存在させる水の量で調整する第1項記載の方法。
【0097】
10. 前記供給組成物を生じさせる時に用いる水、前記供給組成物を生じさせる時に用いるセルロース誘導体、および前記供給組成物の中の少なくとも1つを冷却する第1項記載の方法。
【0098】
11. 前記担体ガスおよび熱交換ガスの各々を空気、蒸気、および蒸気と空気の混合物から独立して選択する第1項記載の方法。
【0099】
12. 第1項記載の方法に従って作られた粒子状セルロース誘導体であって、各場合とも粒子の総重量を基準にして、粒子サイズが15μm未満の粒子の含有量が5重量%未満であり、粒子サイズが10μm未満の粒子の含有量が2重量%未満であり、そして粒子サイズが5μm未満の粒子の含有量が1重量%未満である粒子状セルロース誘導体。
【0100】
13. 第1項記載の方法に従って作られた粒子状セルロース誘導体であって、各場合と
も粒子の総重量を基準にして、粒子サイズが15μm未満の粒子の含有量が20重量%未満であり、粒子サイズが10μm未満の粒子の含有量が10重量%未満であり、そして粒子サイズが5μm未満の粒子の含有量が2重量%未満である粒子状セルロース誘導体。
【0101】
14. 第1項記載の方法に従って作られた粒子状セルロース誘導体であって、1組のふるいを用いたふるい分け手段で測定して、
【0102】
【表7】
【0103】
【表8】
【0104】
から成る群から選択される粒子サイズ分布曲線と累積ふるい分け重量%範囲を示す粒子状セルロース誘導体。
【0105】
15. メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロースおよびそれらの混合物から成る群から選択されるセルロース誘導体である第14項記載の粒子状セルロース誘導体。