特許第5921996号(P5921996)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5921996
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 3/354 20060101AFI20160510BHJP
   H03K 19/0175 20060101ALI20160510BHJP
   H03B 5/32 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   H03K3/354 Z
   H03K19/00 101F
   H03B5/32 J
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-200474(P2012-200474)
(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公開番号】特開2014-57197(P2014-57197A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 勝
【審査官】 白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−169983(JP,A)
【文献】 特開昭56−165408(JP,A)
【文献】 特開2004−096711(JP,A)
【文献】 特開2011−071841(JP,A)
【文献】 特開2011−139309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 3/00〜3/36
H03K19/0175〜19/0185
H03B 5/30〜5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と、
前記第1端子に接続される増幅回路と、
前記第1端子に出力端子が接続される出力バッファと、を備え、
前記出力バッファは、第1電源配線および第1ノードにソースおよびドレインが各々接続される第1導電型の第1トランジスタと、前記第1ノードおよび前記出力端子にソースおよびドレインが各々接続される第1導電型の第2トランジスタとを有し、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタは、その各ゲートへ共通に印加される第1制御信号に応答してその導通状態が制御され、
前記出力バッファは、さらに、前記第1ノードおよび第2電源配線にドレインおよびソースが各々接続され、ゲートに前記第1制御信号が印加される第2導電型の第3トランジスタを有する、半導体装置。
【請求項2】
前記第3トランジスタのゲート幅に対するゲート長の比率は、前記第1トランジスタのゲート幅に対するゲート長の比率よりも大きい、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタと、前記第3トランジスタとの導通状態は、前記第1制御信号に応答して相補的に変化する、請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
非導通状態にある前記第2トランジスタのソースおよびドレイン間電流は、非導通状態にある前記第1トランジスタのソースおよびドレイン間電流より小さい、請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
非導通状態にある前記第2トランジスタのソース電圧およびドレイン電圧は等しい、請求項3記載の半導体装置。
【請求項6】
前記出力端子は前記増幅回路の入力端子と接続され、
前記第2トランジスタが非導通状態の場合、前記第1ノードの電圧は前記増幅回路の入力閾値電圧と実質的に等しい、請求項1〜5のいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記入力閾値電圧は前記第1電源配線の電圧と前記第2電源配線の電圧との中間電圧である、請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
第1端子、
第2端子、
前記第1端子及び前記第2端子の間に接続され、前記第1端子及び前記第2端子に共振回路が接続された場合に当該共振回路とともに発振回路を構成する増幅器、及び、
前記第1端子に接続され、入力する信号を前記第1端子に出力するよう構成される第1の出力バッファ、を含み、
この第1の出力バッファは、ソースが電源電圧を供給する第1電源配線に接続される第1のp型トランジスタと、ソースが前記第1のp型トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記第1端子に接続される第2のp型トランジスタと、ソースが接地電圧を供給する第2電源配線に接続される第1のn型トランジスタと、ソースが前記第1のn型トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記第1端子に接続される第2のn型トランジスタとを有し、
ドレインが前記第1のp型トランジスタのドレインに接続され、ソースが前記第2電源配線に接続される第3のn型トランジスタと、
ドレインが前記第1のn型トランジスタのドレインに接続され、ソースが前記第1電源配線に接続される第3のp型トランジスタと、をさらに有する半導体装置。
【請求項9】
さらに前記第2端子に接続され、入力する信号を前記第2端子に出力するよう構成される第2の出力バッファ、を含み、
第2の出力バッファは、
ソースが前記第1電源配線に接続される第4のp型トランジスタと、
ソースが前記第4のp型トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記第2端子に接続される第5のp型トランジスタと、
ソースが前記第2電源配線に接続される第4のn型トランジスタと、
ソースが前記第4のn型トランジスタのドレインに接続され、ドレインが前記第2端子に接続される第5のn型トランジスタと、
ドレインが前記第4のp型トランジスタのドレインに接続され、ソースが前記第2電源配線に接続される第6のn型トランジスタと、
ドレインが前記第4のn型トランジスタのドレインに接続され、ソースが前記第1電源配線に接続される第6のp型トランジスタと、
を有する請求項8記載の半導体装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、たとえば、低リーク電流の出力トランジスタを備える半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロコンピュータに内蔵されている増幅回路とマイクロコンピュータの外部端子に接続した水晶振動子とにより構成した水晶発振回路によってリアルタイムクロックに供給するクロック信号を生成する構成は一般的に知られている。一方、マイクロコンピュータの外部端子数の制約から、外部端子に水晶振動子を接続しない場合(リアルタイムクロックの機能を必要としない場合)、その外部端子をI/Oポートの入出力端子として兼用可能とすることが望まれている。
【0003】
外部端子に水晶振動子を接続している場合、マイクロコンピュータに形成されているI/Oポートの影響が懸念される。この場合I/Oポートを構成する入出力バッファは非活性化(ハイインピーダンス状態:H−Z状態)されているが、その出力バッファのリーク電流が水晶発振回路の正常な動作を阻害することが懸念される。特開2004−104754号公報(特許文献1)は、ゲート酸化膜厚の薄いトランジスタを有するドライバ回路のゲートリーク電流を抑制した半導体装置の構成を開示する。出力端子に接続された出力トランジスタの導通状態を保持する場合、その出力トランジスタのソース−ゲート間に印加するオン電圧を電源電圧より低下させ、ゲートリーク電流を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−104754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は導通状態にあるトランジスタのゲートリーク電流を抑制する構成を開示するが、非導通状態にあるトランジスタのソース−ドレイン間のリーク電流を抑制する構成を開示するものではない。従って、非活性化されたI/Oポートを構成する出力バッファのリーク電流が水晶発振回路へ及ぼす影響を抑制することができない。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態によれば、半導体装置は、第1端子と、第1端子に接続される増幅回路と、第1端子に出力端子が接続される出力バッファと、を備え、出力バッファは、第1電源配線および第1ノードにソースおよびドレインが各々接続される第1導電型の第1トランジスタと、第1ノードおよび出力端子にソースおよびドレインが各々接続される第1導電型の第2トランジスタとを有し、第1トランジスタおよび第2トランジスタは、その各ゲートへ共通に印加される第1制御信号に応答してその導通状態が制御される。
【発明の効果】
【0007】
前記一実施の形態によれば、出力バッファのリーク電流の影響を受けずに、安定したクロック信号の生成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係るI/Oポートおよびその周辺回路の回路図である。
図3】実施の形態1に係る出力バッファ前段部および増幅回路の回路図である。
図4】実施の形態1に係る水晶発振回路の起動時のクロック信号波形を示す模式図である。
図5】実施の形態1に係る出力バッファ後段部の非活性化状態における動作を説明する回路図である。
図6】実施の形態1の変形例に係るI/Oポートおよびその周辺回路の回路図である。
図7】実施の形態1の変形例に係る出力バッファ後段部の非活性化状態における動作を説明する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載ある場合を除き、必ずしもその個数、量などに限定されない。実施の形態の図面において、同一の参照符号や参照番号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。また、実施の形態の説明において、同一の参照符号等を付した部分等に対しては、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0010】
<実施の形態1>
図1を参照して、実施の形態1に係る半導体装置LSIの構成を説明する。
【0011】
半導体装置LSIは単一の半導体基板の上に形成された集積回路により構成されるマイクロコンピュータであり、CPU(中央処理装置)1、SRAM(スタティック型ランダムアクセスメモリ)2、NVM(フラッシュメモリ等の書き換え可能な不揮発性メモリ)3、内部バス4、PLL(位相同期回路)5、REG(レジスタ)6、インターフェース回路7、およびリアルタイムクロック10を備える。半導体装置LSIの周辺領域8には、複数の外部端子9(周辺領域8に配置され、符号を付していない他の複数の正方形パタンも外部端子9である)、および各外部端子9と各々接続されるI/Oポートを複数備えるI/Oポート部I/Onが配置される。電源端子VCCおよび電源端子VSSには、各々、電源電圧VCCおよび電源電圧VSS(符号VCCおよびVSSは、対応する電源電圧をも意味する。以下、同様。)が供給される。電源電圧VSSは、例えば0Vであり、電源電圧VCCは半導体装置LSIの動作に適した正電圧が設定される。
【0012】
内部バス4は、CPU1、SRAM2、およびNVM3を接続し、CPU1がSRAM3およびNVM3をアクセスする際に使用されるバスである。PLL5は、マイクロコンピュータの動作クロックを生成し、その動作クロックをCPU1等の各機能ユニットに供給する。インターフェース回路7は、I/Oポート部I/Onと、半導体装置LSI内部の機能ユニットとの間で、信号の入力/出力を行う。
【0013】
特に、インターフェース回路7は、外部から入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル変換器ADC(Analog to Digital Converter)、半導体装置LSI内部で生成されたデジタル信号をアナログ信号に変換し、半導体装置LSIの外部へ出力するデジタルアナログ変換器DAC(Digital to Analog Converter)、半導体装置LSIの外部(又は内部)から入力されるアナログ信号を増幅し、その増幅信号を半導体装置LSIの内部(又は外部)へ供給する増幅器AMP(Amplifier)、および半導体装置LSIの外部から入力されたアナログ信号の電圧値を所定のレベルと比較する比較器COMP(Comparator)を有する。
【0014】
以下、アナログデジタル変換器ADC、デジタルアナログ変換器DAC、増幅器AMP、および比較器COMPを総称してアナログ回路と呼ぶ。アナログ回路は、I/Oポート部I/Onとそれぞれ外部端子9を共用する。インターフェース回路7と接続される複数の外部端子9の各々を、I/Oポート部I/Onの入出力として使用するか、またはアナログ回路の入出力として使用するかは、CPU1を介してユーザにより設定される。
【0015】
半導体装置LSIは、さらに、外部端子Xin、外部端子Xout、I/OポートI/O1、I/OポートI/O2、および増幅回路Aoscを備える。半導体装置LSIのユーザーは、リアルタイムクロック10の機能の要否に応じて、外部端子Xinおよび外部端子Xout間への水晶振動子の接続要否を決定する。外部端子Xinおよび外部端子Xout間に水晶振動子を接続した場合、増幅回路Aoscはクロック信号CKを生成する。生成されたクロック信号CKはリアルタイムクロック10へ供給される。リアルタイムクロック10はカウンタ回路(図示せず)を有し、その供給されたクロック信号を計数して現在の年月日および時刻を示す信号を計時する。外部端子Xinおよび外部端子Xout間に水晶振動子を接続しない場合、この両外部端子は、各々、I/OポートI/O1およびI/OポートI/O2の入出力端子として機能する。
【0016】
外部端子Xinおよび外部端子Xoutの使用目的に応じ、ユーザーはNVM3の所定領域に増幅回路Aoscの動作状態を規定する動作設定値を書込む。この動作設定値は、半導体装置LSIに電源投入された初期化時に、内部バス4およびCPU1を経由して、REG6に格納される。この動作設定値により、外部端子Xinおよび外部端子Xout間に水晶振動子を接続する場合、増幅回路Aoscは活性化状態とされる。一方、水晶振動子を接続しない場合、増幅回路Aoscは非活性化状態とされる。この増幅回路Aoscの両動作状態は、動作設定値を格納するREG6が出力する信号OSCEに基づき制御される。
【0017】
図2を参照して、実施の形態1に係るI/OポートI/O1およびその周辺回路の回路図を説明する。
【0018】
I/OポートI/O1はスリーステートバッファであり、信号OEによりその状態が制御される。I/OポートI/O1は、出力バッファ後段部11a、出力バッファ前段部11b、入力バッファ13、抵抗Re、p型トランジスタMpu、p型トランジスタMpe、およびn型トランジスタMneを有する。なお、本明細書におけるトランジスタは、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)である。
【0019】
出力バッファ後段部11aの構成および機能を説明する。出力バッファ後段部11aは、出力ノードNoutをハイレベル(電源電圧VCC)に引き上げるp型トランジスタMp1およびMp2を有する。p型トランジスタMp1のソースおよびドレインは、各々、電源配線VCCおよびノードNpと接続される。p型トランジスタMp2のソースおよびドレインは、各々、ノードNpおよび出力ノードNoutと接続される。p型トランジスタMp1およびMp2の各ゲートには、出力バッファ前段部11bが出力する信号Spが印加される。信号Spがロウレベル(電源電圧VSS)になると、p型トランジスタMp1およびMp2は共に導通状態となり、出力ノードNoutの電圧を電源電圧VCCまで引き上げる。
【0020】
出力バッファ後段部11aは、さらに、n型トランジスタMn1およびMn2を有する。n型トランジスタMn1のドレインおよびソースは、各々、ノードNnおよび電源配線VSSと接続される。n型トランジスタMn2のドレインおよびソースは、各々、出力ノードNoutおよびノードNnと接続される。n型トランジスタMn1およびMn2の各ゲートには、出力バッファ前段部11bが出力する信号Snが印加される。信号Snがハイレベル(電源電圧VCC)になると、n型トランジスタMn1およびMn2は共に導通状態となり、出力ノードNoutの電圧を電源電圧VSSまで引き下げる。
【0021】
出力バッファ後段部11aは、さらに、n型トランジスタMn0およびp型トランジスタMp0を有する。n型トランジスタMn0は、ノードNpおよび電源配線VSS間の電気的経路を実現する。具体的には、n型トランジスタMn0のドレインおよびソースは、各々、ノードNpおよび電源配線VSSと接続され、そのゲートには、出力バッファ前段部11bが出力する信号Spが印加される。信号Spがハイレベルになると、p型トランジスタMp1およびMp2は非導通状態となり、n型トランジスタMn0は導通状態となる。p型トランジスタMp0は、ノードNnおよび電源配線VCC間の電気的経路を実現する。p型トランジスタMp0のソースおよびドレインは、各々、電源配線VCCおよびノードNnと接続され、そのゲートには、出力バッファ前段部11bが出力する信号Snが印加される。信号Snがロウレベルになると、n型トランジスタMn1およびMn2は非導通状態となり、p型トランジスタMp0は導通状態となる。
【0022】
出力ノードNoutは配線X1と接続される。この配線X1は、外部端子Xinと接続される。配線X1および電源配線VCCには、各々、ダイオードD1のアノードおよびカソードが接続される。さらに、配線X1および電源配線VSSには、各々、ダイオードD2のカソードおよびアノードが接続される。ダイオードD1は、p型トランジスタMp2のp型ドレインとnウエル間に形成された寄生ダイオードである。ダイオードD2は、n型トランジスタMn2のn型ドレインとpウエル間に形成された寄生ダイオードである。これら2つの寄生ダイオードは静電保護素子として動作し、外部端子Xinに印加されたサージ電圧から出力バッファ後段部11aを保護する。
【0023】
出力バッファ前段部11bの構成および機能を説明する。出力バッファ前段部11bは、信号OEおよび信号Do1に基づき、信号Spおよび信号Snの電圧を決定する。信号OEがハイレベルの場合、信号Spおよび信号Snの電圧は、ともに、信号Do1に基づき設定される。信号Do1がロウレベルの場合、信号Spおよび信号Snは、電源電圧VCCに設定される。信号Do1がロウレベルの場合、信号Spおよび信号Snは、電源電圧VSSに設定される。この結果、信号Do1がロウレベルの場合、出力ノードNoutはロウレベルに引き下げられる。また、信号Do1がハイレベルの場合、出力ノードNoutはハイレベルに引き上げられる。信号Do1は、図示しないインターフェース回路等の半導体装置LSIが備える機能ブロックの出力信号である。
【0024】
信号OEがロウレベルの場合、信号Do1の値によらず、信号Spはハイレベルに、信号Snはロウレベルに設定される。この結果、出力バッファ後段部11aのp型トランジスタMp1およびMp2と、n型トランジスタMn1およびMn2は、すべて非導通状態に設定される。その結果、出力バッファ後段部11aは非活性化状態(ハイインピーダンス状態)に設定される。即ち、信号OEに基づき、I/OポートI/O1が備える出力バッファの動作状態が設定される。
【0025】
出力バッファ後段部11aが非活性化状態にある場合、n型トランジスタMn0およびp型トランジスタMp0は、ともに導通状態にある。従って、ノードNpの電圧は、非導通状態にあるp型トランジスタMp1およびMp2のインピーダンスと、導通状態にあるn型トランジスタMn0のインピーダンスと、により決定される。同様に、ノードNnの電圧は、非導通状態にあるn型トランジスタMn1およびMn2のインピーダンスと、導通状態にあるp型トランジスタMp0のインピーダンスと、により決定される。
【0026】
入力バッファ13の構成および機能を説明する。入力バッファ13はOR回路で構成され、実施の形態1では、入力信号のノイズマージンを確保するため、入力−出力特性はヒステリシス特性を有している。入力バッファ13の一方の入力端子には配線X11の一端が接続される。配線X11の他端は抵抗Reの一端と接続され、抵抗Reの他端は配線X1の一端と接続される。配線X1の他端は外部端子Xinと接続される。この配線X1は、さらに、出力バッファ後段部11aの出力ノードNoutと接続される。
【0027】
ダイオード接続されたp型トランジスタMpeのドレインは、入力ノードNinにおいて、配線X11と接続される。p型トランジスタMpeのソースおよびゲートは、電源配線VCCと接続される。ダイオード接続されたn型トランジスタMneのドレインは、入力ノードNinにおいて、配線X11と接続される。n型トランジスタMneのソースおよびゲートは、電源配線VSSと接続される。この2つのトランジスタおよび抵抗Reは静電保護素子であり、外部端子Xinに印加されたサージ電圧から入力バッファ13を保護する。
【0028】
p型トランジスタMpuのソースおよびドレインは、各々、電源配線VCCおよび配線X11と各々接続され、そのゲートには信号Pupが印加される。入力バッファ13の他方の入力端子には信号/IEが印加される。ロウレベルの信号/IEで活性化される入力バッファ13は、外部端子Xinに印加された入力信号に基づき信号Di1を出力する。具体的には、入力バッファ13は、入力ノードNinの論理レベルを反転させた信号Di1を生成する。ハイレベルの信号/IEで非活性化される入力バッファ13は、外部端子Xinに印加された入力信号によらず、ロウレベルの信号Di1を出力する。即ち、信号/IEに基づき、I/OポートI/O1が備える入力バッファ13の動作状態が設定される。
【0029】
後述する通り、リアルタイムクロック10の機能を使用しない場合(さらに言えば、リアルタイムクロック10を動作させない場合)、外部端子Xinおよび外部端子Xout間に共振回路Qoscを接続しない。また、両外部端子間に接続されている増幅回路Aoscは非活性化状態(スイッチSW1およびSW2が、ともに非導通状態)にある。このとき、I/OポートI/O1の出力バッファ後段部11aおよび入力バッファ13がともに非活性化状態(I/OポートI/O1が非活性状態)の場合、配線X1および配線X11はフローティング状態になる。このフローティング状態を回避するため、信号Pupをロウレベルに設定し、p型トランジスタMpuで配線X1および配線X11の電圧を電源電圧VCCに固定する。
【0030】
I/OポートI/O2はI/OポートI/O1と同一の構成を有し、I/OポートI/O1と対応する出力ノードNoutおよび入力ノードNin(図示せず)は、配線X2を介して、外部端子Xoutと接続される。I/OポートI/O2が非活性状態の場合、配線X2は電源電圧VCCに固定される。
【0031】
共振回路Qoscの構成を説明する。共振回路Qoscは、水晶振動子QZ、負荷容量C1、および負荷容量C2を有し、半導体装置LSIの外部端子Xinおよび外部端子Xoutに外付けされる。水晶振動子QZの両端には、負荷容量C1およびC2の一端が各々接続される。各負荷容量の他端は電源配線VSSと接続される。リアルタイムクロックに必要な共振回路Qoscの低消費電力化を実現するため、水晶振動子QZを低CL水晶振動子とする検討が行われている。低CL水晶振動子は、従来より小さい値の負荷容量C1およびC2で、発振性能を維持しつつ、消費電力を大幅に低減した共振回路の実現を可能とする。一般的な水晶振動子の場合、負荷容量C1およびC2の値は10pF前後である。一方、低CL水晶振動子の場合は、例えば、3pF程度の低負荷容量とすることが可能となる。
【0032】
増幅回路Aoscの構成および機能を説明する。増幅回路Aoscは、インバータ(反転増幅回路)114、抵抗Rc、スイッチSW1、およびスイッチSW2を有し、半導体装置LSIに形成される。インバータ114の入力端子と抵抗Rcの一端はノードN1において配線X1と接続される。インバータ114の出力端子および抵抗Rcの他端は、各々、スイッチSW2およびSW1の各一端と接続される。スイッチSW1およびSW2の各他端はノードN2において配線X2と接続される。
【0033】
外部端子Xinおよび外部端子Xout間に共振回路Qoscを外付けしている場合、スイッチSW1およびSW2はともに閉状態(導通状態)に設定される。このとき、共振回路Qoscおよび増幅回路Aoscで構成される水晶発振回路Coscは、増幅回路AoscのノードN2からクロック信号CKを出力する。なお、図2では省略しているが、ノードN2の出力は、インバータ等のドライバ回路を経由してクロック信号CKとして出力されるのが一般的である。
【0034】
外部端子Xinおよび外部端子Xout間に共振回路Qoscを外付けしない場合、スイッチSW1およびSW2はともに開状態(非導通状態)に設定される。このとき、増幅回路AoscのノードN2の電圧は、I/OポートI/O2の配線X2と同電圧の電源電圧VCCに維持される。よって、水晶発振回路Cocoは発振しない。
【0035】
スイッチSW1およびSW2は、ともに信号OSCEに基づきその開閉状態が制御される。外部端子Xinおよび外部端子Xout間に水晶振動子QZを接続せずに半導体装置LSIを動作させる(リアルタイムクロック10を動作させない)場合、信号OSCEはロウレベルに設定され、スイッチSW1およびSW2はともに開状態(非導通状態)とされる。両外部端子間に水晶振動子QZを接続する(リアルタイムクロック10を動作させる)場合、信号OSCEはハイレベルに設定され、スイッチSW1およびSW2はともに閉状態(導通状態)とされる。この信号OSCEのレベルは、ユーザーがあらかじめREG6に設定した動作設定値に基づき、ロウレベルまたはハイレベルのいずれか一方に固定される。
【0036】
図3を参照して、実施の形態1に係る出力バッファ前段部11bおよび増幅回路Aoscの回路図を説明する。
【0037】
出力バッファ前段部11bは、NAND回路111、NOR回路112、およびインバータ113を有する。インターフェイス回路等の半導体装置LSI内部の機能ブロックから出力される信号Do1はNAND回路111およびNOR回路112の一方の入力端子へ印加される。信号OEおよび信号OEの論理レベルをインバータ113で反転された信号は、各々、NAND回路111の他方の入力端子およびNOR回路112の他方の入力端子へ印加される。
【0038】
この構成により、信号OEがハイレベルの場合は、信号SpおよびSnの値は信号Do1で決定される。信号OEがロウレベルの場合は、信号Do1によらず、信号SpおよびSnの電圧は、各々、ハイレベルおよびロウレベルに設定される。信号OEは、信号OSCEに基づいて図示しない回路により生成されるものとする。信号OSCEがロウレベルを示す場合には、信号OEもロウレベルとなり出力バッファ後段部11aを非活性とする。信号OSCEがハイレベルを示す場合には、I/O1を出力バッファとして使用するとき信号OEがハイレベルとなり、I/O2を入力バッファとして使用する又は入出力を行わないとき信号OEをロウレベルとする。
【0039】
増幅回路AoscのスイッチSW1およびSW2は、ともにCMOS構成のトランスファーゲートで構成される。スイッチSW1およびSW2の導通状態は、n型トランジスタのゲートおよびp型トランジスタのゲートに各々印加される、信号OSCEおよび信号OSCEの論理レベルをインバータ115で反転させた信号により制御される。出力バッファ前段部12bの回路構成は、他の機能ブロックから出力される信号Do2が入力される点を除き、出力バッファ前段部11bと同一である。
【0040】
図4を参照して、実施の形態1に係る水晶発振回路Cocoの起動時におけるクロック信号CKの波形を説明する。
【0041】
図4は、起動時のクロック信号CKの波形変化を模式的に示すものである。時刻t0に、増幅回路Aoscを信号OSCEで活性化状態に設定すると(図2参照)、クロック信号CKは、電源電圧VCCと電源電圧VSSとの中間電圧VCC/2(インバータ114の入力閾値電圧)を基準に、発振を開始する。ここで、中間電圧VCC/2とは、電源電圧VSSを0Vとすると、電源電圧VCCの半分の値を意味する。時刻t1には発振波形の振幅はある程度に達する(時刻t0〜時刻1の期間を発振開始期間とする)。その後、振幅は急速に増加し、時刻t2には発振波形の振幅は所定の値に達する(時刻t1〜時刻t2の期間を発振増幅期間とする)。時刻t2以降、クロック信号CKは所定の振幅および周波数を維持する(時刻t2以降を発振安定期間とする)。
【0042】
図2に示す共振回路Qoscおよび増幅回路Aoscで構成される水晶発振回路Coscの起動は、その発振開始期間における増幅回路Aoscの入力電流の影響を強く受ける。図2に示す通り、増幅回路Aoscは、インバータ114の出力信号を、抵抗Rcを介して、その入力にフィードバックしたアンプで構成される。発振開始期間において、負荷容量C1およびC2の充放電電流に加えて他の要因による電流が抵抗Rcに流れると、発振開始時期におけるインバータ114の入力信号のバイアス電圧が変化する。その結果、水晶発振回路Coscの正常な発振開始が困難となる。
【0043】
図5を参照して、実施の形態1に係る出力バッファ後段部11aの非活性化状態における動作を説明する。
【0044】
図5は、外部端子Xinおよび外部端子Xout間に共振回路Qoscを外付けし、増幅回路Aoscを活性化状態、出力バッファ後段部11aを非活性化状態に設定した場合における電流の流れを示す。
【0045】
非活性化状態にある出力バッファ後段部11aにおいて、信号Spおよび信号Snは、各々、ハイレベルおよびロウレベルに設定される。この結果、p型トランジスタMp1およびMp2はいずれも非導通状態にあり、n型トランジスタMn0は導通状態にある。非導通状態にあるp型トランジスタMp1およびMp2の各ソース−ドレイン間にはリーク電流が存在し、その値はソース−ドレイン間の電圧に依存する。同様に、非導通状態にあるn型トランジスタMn1およびMn2の各ソース−ドレイン間にもリーク電流が存在し、その値はソース−ドレイン間の電圧に依存する。
【0046】
発振開始期間における増幅回路AoscのノードN1の電圧は、中間電圧VCC/2を中心に微小な振幅値で上下に変動している。ノードN1と配線X1を経由して接続されている出力ノードNoutの電圧を中間電圧VCC/2とすると、p型トランジスタMp1およびMp2のリーク電流Ip11およびIp12の値と方向は、ノードNpの電圧に依存する。同様に、n型トランジスタMn1およびMn2のリーク電流In11およびIn12の値と方向は、ノードNnの電圧に依存する。
【0047】
ノードNpの電圧が出力ノードNout、即ちノードN1の電圧である中間電圧VCC/2に等しい場合、p型トランジスタMp2のソース電圧とドレイン電圧は等しくなり、リーク電流Ip12は流れなくなる。一方、p型トランジスタMp1のドレイン電圧はソース電圧に対して中間電圧VCC/2だけ低いため、リーク電流Ip11は電源配線VCCからn型トランジスタMn0を経由して電源配線VSSへ流れる。
【0048】
ノードNpの電圧が中間電圧VCC/2より低い場合、リーク電流Ip11は増加する。一方、p型トランジスタMp2で発生するリーク電流Ip12は、出力ノードNoutからノードNpおよびn型トランジスタNn0を経由して電源配線VSSへ流れる。ノードNpの電圧が中間電圧VCC/2より高い場合、リーク電流Ip11は、n型トランジスタMn0を経由して電源配線VSSへ流れる成分と、p型トランジスタMp2を経由して出力ノードNout側へ流れる成分に分流される。
【0049】
ノードNnの電圧が出力ノードNout、即ちノードN1の電圧である中間電圧VCC/2に等しい場合、n型トランジスタMn2のソース電圧とドレイン電圧は等しくなり、リーク電流In12は流れなくなる。一方、n型トランジスタMn1のドレイン電圧はソース電圧に対して中間電圧VCC/2だけ高いため、リーク電流In11は電源配線VCCからp型トランジスタMp0を経由して電源配線VSSへ流れる。
【0050】
ノードNnの電圧が中間電圧VCC/2より高い場合、リーク電流In11は増加する。一方、n型トランジスタMn2で発生するリーク電流In12は、電源配線VCCからp型トランジスタNp0およびノードNnを経由して出力ノードNoutへ流れる。ノードNnの電圧が中間電圧VCC/2より低い場合、リーク電流In12は、n型トランジスタMn1を経由して電源配線VSSへ流れる成分と、p型トランジスタMp0を経由してノードNn側へ流れる成分が合流した値となる。
【0051】
非活性化状態(ハイインピーダンス状態H−Z)にある出力バッファ後段部11aの出力ノードNoutから流出するリーク電流をIhzとすると、リーク電流Ip12およびIn12とは以下の関係にある。
Ihz=In12−Ip12
ここで、各電流の値は、出力ノードNoutから流出する場合を正、出力ノードNoutへ流入する場合を負とする。
【0052】
このリーク電流Ihzは、共振回路Qoscの負荷容量C1を充放電する電流Ic1、および増幅回路Aoscの抵抗Rcに流れる電流IRcに分流する。電流IRcの増大は、インバータ114への入力信号のバイアス電圧を変動させ、発振開始期間における水晶発振回路Coscの正常な動作を妨げる要因となる。非導通状態にあるトランジスタのリーク電流が増大するとリーク電流Ihzは増大し、電流IRcも増大する。さらに、水晶振動子QZとして低LC水晶振動子を採用すると、負荷容量C1およびC2の容量値が大幅に減少し、電流Ic1は減少する。その結果、リーク電流Ihzから分流して抵抗Rcに流れるIRcはさらに増加する傾向にある。
【0053】
この水晶発振回路Coscに対するリーク電流Ihzの悪影響を排除するため、実施の形態1に係る出力バッファ後段部11aは、非活性化状態にある場合、ノードNpおよびノードNnの電圧を中間電圧VCC/2に設定するn型トランジスタMn0およびp型トランジスタMp0を備える。導通状態におけるn型トランジスタMn0のインピーダンス(オン抵抗)を非導通状態におけるp型トランジスタMp1のインピーダンス(オフ抵抗)と等しく設定することにより、ノードNpを中間電圧VCC/2に設定することが可能となる。同様に、導通状態におけるp型トランジスタMp0のインピーダンス(オン抵抗)を非導通状態におけるn型トランジスタMn1のインピーダンス(オフ抵抗)と等しく設定することにより、ノードNnを中間電圧VCC/2に設定することが可能となる。
【0054】
ノードNpを中間電圧VCC/2に設定することで、p型トランジスタMp2のソース電圧とドレイン電圧は等しくなる。同様に、ノードNnを中間電圧VCC/2に設定することで、n型トランジスタMn2のソース電圧とドレイン電圧は等しくなる。その結果、p型トランジスタMp1およびMp2、またはn型トランジスタMn1およびMn2に起因するリーク電流の出力ノードNoutからの流出または出力ノードNoutへの流入は最小限に抑制される。以上の通り、ノードNpおよびノードNnを中間電圧VCC/2と設定することにより、発振開始時期における増幅回路Aoscは正常に動作し、水晶発振回路Coscはクロック信号CKを正常に発生する。
【0055】
p型トランジスタMp1のオフ抵抗は高抵抗であるため、n型トランジスタMn0のオン抵抗もそれに合わせて大きくする必要がある。具体的には、p型トランジスタMp1のゲート幅(Wp1)に対するゲート長(Lp1)の比率(Lp1/Wp1)に対し、n型トランジスタMn0のゲート幅(Wn0)に対するゲート長(Ln0)の比率(Ln0/Wn0)は大きく設定される。同様に、n型トランジスタMn1のゲート幅(Wn1)に対するゲート長(Ln1)の比率(Ln1/Wn1)に対し、p型トランジスタMp0のゲート幅(Wp0)に対するゲート長(Lp0)の比率(Lp0/Wp0)も大きく設定される。
【0056】
ノードNpおよびNnの電圧をそれぞれ中間電圧VCC/2とする理由は、増幅回路Aoscのインバータ114(CMOS回路構成)の入力閾値電圧と同一電圧に設定するためである。従って、増幅回路Aoscの入力閾値電圧が中間電圧VCC/2と異なる場合は、ノードNpおよびNnの設定電圧を、適宜、その入力閾値電圧と同一に設定することが望ましい。また、リーク電流Ihzによる水晶発振回路Coscへの悪影響が抑えられる範囲において、ノードNpおよびNnの電圧を中間電圧VCC/2近傍に設定してもよい。つまり、ノードNpおよびNnの電圧を、増幅回路Aoscの入力閾値電圧と実質的に同一と設定しても良い。
【0057】
なおノードNp及びNnの電圧を中間電圧VCC/2とする手段としては、n型トランジスタMn0及びp型トランジスタMp0には拘らない。ノードNpと電源配線VSSとの間にn型トランジスタMn1及びMn2とは異なる電気的経路を形成し、ノードNnと電源配線VCCとの間にp型トランジスタMp1及びMp2とは異なる電気的経路を形成することにより、ノードNp及びNnの電圧を中間電圧VCC/2に設定することは可能である。
【0058】
<実施の形態1の変形例>
図6を参照して、実施の形態1の変形例に係るI/OポートI/O1およびその周辺回路の回路図を説明する。
【0059】
図6図2との相違点は、出力バッファ後段部21aと出力バッファ後段部11aの回路構成である。出力バッファ後段部21aは、図2に示す出力バッファ後段部11aにおけるn型トランジスタMn0およびp型トランジスタMp0を省略した構成である。その他の構成は同一であり、両出力バッファ後段部において、対応する回路素子には同一の符号が付与されている。また、図6の出力バッファ前段部21bの構成・機能は、図2に示す出力バッファ前段部11bのそれと同一である。
【0060】
出力バッファ後段部21aは、出力ノードNoutをハイレベルに引き上げるp型トランジスタMp1およびMp2を有する。p型トランジスタMp1のソースおよびドレインは、電源配線VCCおよびノードNpと各々接続される。p型トランジスタMp2のソースおよびドレインは、ノードNpおよび出力ノードNoutと各々接続される。p型トランジスタMp1およびMp2の各ゲートには、出力バッファ前段部21bが出力する信号Spが印加される。信号Spがロウレベルになると、p型トランジスタMp1およびMp2は共に導通状態となり、出力ノードNoutの電圧を電源電圧VCCまで引き上げる。
【0061】
出力バッファ後段部21aは、さらに、n型トランジスタMn1およびMn2を有する。n型トランジスタMn1のドレインおよびソースは、ノードNnおよび電源配線VSSと各々接続される。n型トランジスタMn2のドレインおよびソースは、出力ノードNoutおよびノードNnと各々接続される。n型トランジスタMn1およびMn2の各ゲートには、出力バッファ前段部21bが出力する信号Snが印加される。信号Snがハイレベルになると、n型トランジスタMn1およびMn2は共に導通状態となり、出力ノードNoutの電圧を電源電圧VSSまで引き下げる。
【0062】
図7を参照して、実施の形態1の変形例に係る出力バッファ後段部21aの非活性化状態における動作を説明する。
【0063】
図7は、外部端子Xinおよび外部端子Xout間に共振回路Qoscを外付けし、増幅回路Aoscを活性化状態、出力バッファ後段部21aを非活性化状態に設定した場合における電流の流れを示す。
【0064】
非活性化状態にある出力バッファ後段部21aにおいて、信号Spおよび信号Snは、各々、ハイレベルおよびロウレベルに設定される。この結果、p型トランジスタMp1およびMp2はいずれも非導通状態にある。非導通状態にあるp型トランジスタMp1およびMp2の各ソース−ドレイン間にはリーク電流が存在し、その値はソース−ドレイン間の電圧に依存する。同様に、非導通状態にあるn型トランジスタMn1およびMn2の各ソース−ドレイン間にもリーク電流が存在し、その値はソース−ドレイン間の電圧に依存する。
【0065】
発振開始時期における増幅回路AoscのノードN1の電圧を中間電圧VCC/2とすると、出力ノードNoutからリーク電流Ip2が流出する。このリーク電流Ip2の値は、p型トランジスタMp1およびMp2の各オフ抵抗を直列接続した値に依存する。同様に、出力ノードNoutへリーク電流In2が流入する。このリーク電流In2の値は、n型トランジスタMn1およびMn2の各オフ抵抗を直列接続した値に依存する。リーク電流Ip2は、共振回路Qoscの負荷容量C1を充電する電流Ic1、および増幅回路Aoscの抵抗Rcに流れる電流IRcに分流する。
【0066】
非導通状態にあるp型トランジスタMp1、Mp2、n型トランジスタMn1、およびMn2のリーク電流の値は、各トランジスタのソース−ドレイン間の電圧に依存する。例えば、p型トランジスタMp1およびMp2のゲート幅とゲート長が同一の場合、各トランジスタのソース−ドレイン間には、電源電圧VCCの1/4の電圧VCC/4が印加される。同様に、n型トランジスタMn1およびMn2のゲート幅とゲート長が同一の場合、各トランジスタのソース−ドレイン間にも電圧VCC/4が印加される。
【0067】
一般的なCMOS構成の出力バッファ回路では、電源配線VCCと出力端子間には1つのp型トランジスタが接続され、出力端子と電源配線VSS間には1つのn型トランジスタが接続される。図7の出力バッファ後段部21aをこの一般的なCMOS構成の出力バッファ回路に置き換えた場合、非導通状態にある各トランジスタのソース−ドレイン間には中間電圧VCC/2が印加される。その結果、一般的なCMOS構成のリーク電流Ip2およびIn2は、出力バッファ後段部21aの構成における各リーク電流と比較して、およそ2倍近く増加する。
【0068】
上述の通り、リーク電流Ip2およびIn2は、増幅回路Aoscへの入力信号のバイアス電圧を変動させ、発振開始時期における水晶発振回路Coscの正常な動作を妨げる要因となる。特に、増幅回路Aoscが入力信号のバイアス電圧の変化に対して、その発振特性が大きく変動する場合、リーク電流Ip2またはIn2をCMOS構成の出力バッファ回路と比較して半減することで、水晶発振回路Coscの正常動作を、より確実に実現することが可能となる。
実施の形態1及びその変形例では、共振回路Qocoに接続される外部端子Xin及びXout双方ともI/Oポートの外部端子としても使用可能な構成であるが、外部端子Xin及びXoutのうちのいずれか一方のみがI/Oポートの端子と共用されてもよい。外部端子XoutがI/Oポートに使用されない側の端子である場合には、I/OポートI/O2は不要となり、外部端子Xoutは水晶発振回路Coco専用の端子となる。逆に外部端子XinがI/Oポートに使用されない端子である場合には、I/OポートI/O1は不要となり、外部端子Xinは水晶発振回路Coco専用の端子となる。
【0069】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
4 内部バス、7 インターフェース回路、8 周辺領域、9 外部端子、10 リアルタイムクロック(RTC)、11a,21a 出力バッファ後段部、11b,21b 出力バッファ前段部、13 入力バッファ、/IE,Do1,Do2,Di1,OE,OSCE,Pup,Sn,Sp 信号、Aosc 増幅回路、C1,C2 負荷容量、Cosc 水晶発振回路、CK クロック信号、I/O1,I/O2 I/Oポート、I/On I/Oポート部、Ihz,In11,Ip11,In12,Ip12,In2,Ip2 リーク電流、LSI 半導体装置、N1,N2,Nn,Np ノード、Nin 入力ノード、Nout 出力ノード、Qosc 共振回路、QZ 水晶振動子、SW1,SW2 スイッチ、VCC,VSS 電源端子、VCC/2 中間電圧、VCC/4 電圧、X1,X11,X2 配線、Xin,Xout 外部端子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7