(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ルーフパネルの前後方向に取付けるルーフレールの両端部に上方を開口した切欠部を形成し、該切欠部にカバーを被着するとともに、ルーフレールの両端部にボルト挿通孔を形成し、該ボルト挿通孔を介しルーフレールの両端部をボルトおよびナットを介してルーフパネルに取付けた自動車用ルーフレールにおいて、前記ルーフレールの両端部の下面に一または複数の凹溝を形成し、該凹溝にボルト挿通孔を形成するとともに、前記凹溝にワッシャまたはナットを着座可能に設け、前記凹溝の外部をルーフレールの下面に外側に突出した設置面を形成し、該設置面を三次元方向に緩やかに湾曲する凹状曲面に形成し、該設置面を対応するルーフパネルに係合可能に取付けたことを特徴とする自動車用ルーフレール。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような問題を解決し、ルーフパネルに取付ける設置面をルーフレールの下面に直接形成して、ルーフレールと別設の脚部を廃し、部品点数を低減し構成を簡潔化して容易かつ安価に製作できるとともに、ルーフレールやカバーのデザインの変更に応じられる、自動車用ルーフレールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、ルーフパネルの前後方向に取付けるルーフレールの両端部に上方を開口した切欠部を形成し、該切欠部にカバーを被着するとともに、ルーフレールの両端部にボルト挿通孔を形成し、該ボルト挿通孔を介しルーフレールの両端部をボルトおよびナットを介してルーフパネルに取付けた自動車用ルーフレールにおいて、前記ルーフレールの両端部の下面に一または複数の凹溝
を形成し、該凹溝にボルト挿通孔を形成するとともに、前記凹溝にワッシャまたはナットを着座可能に設け、前記凹溝の外部をルーフレールの下面に外側に突出した設置面を形成し、該設置面を三次元方向に緩やかに湾曲する凹状曲面に形成し、該設置面を対応するルーフパネルに係合可能に取付け、従来のようなルーフレールと別設の脚部を廃し、脚部の製作やルーフレールに対する煩雑な取付けを解消して、部品点数を低減し構成を簡潔化して容易かつ安価に製作できるとともに、その速やかな使用を図り、しかも設置面をルーフパネルに緊密に係合してルーフレールを堅固に固定するようにしている。
請求項2の発明は、ルーフレールの両端部の切欠部の両側周面に内側に突出する凹状屈曲部を形成し、前記カバーの内側に前記凹状屈曲部の内面に係合かつ弾性可能な板状の一対の脚片を突設し、切欠部に被着したカバーの離脱を簡単な構成によって防止するようにしている。
【0009】
請求項3の発明は、カバーの中間部から先端部に亘る内側に側板を対向して突設し、該側板の後端部を連結板で連結し、該連結板をルーフレールの端部に係合可能に配置し、カバーの中間部から先端部に亘る強度を強化するようにしている。
請求項4の発明は、一の凹溝
を形成したルーフレールの端部に連結可能なブラケットを設け、該ブラケットの下面に前記一の設置面を突出形成し、該設置面を三次元方向に緩やかに湾曲する凹状曲面に形成し、前記設置面に前記ボルト挿通孔を形成するとともに、前記ブラケットの端部に一対の係合爪を突設し、該係合爪を前記ルーフレールの両側周面の内面に係合可能に取付け、ブラケットを介してルーフレールとカバーのコンパクト化を図るとともに、それらの多様なデザインに応じられるようにしている。
請求項5の発明は、ルーフレールの両端部の下面に透孔を形成するとともに、前記ブラケットの端部に係止片を突設し、該係止片のフック部を前記透孔に係合可能に設け、前記係合爪をルーフレールの内側周面に係合し、かつフック部を透孔に係合して、ルーフレールの端部にブラケットを強固に取付けるようにしている。
請求項6の発明は、ルーフレールの両端部の下面に一の凹溝を形成するとともに、その上方を開口した切欠部の長さを1/2以下に形成し、前記ルーフレールの設置面とブラケットの設置面を前記ルーフパネルの取付け位置と同位置に配置し、ルーフレールとカバーの小形化とデザインの変更に応じられるようにしている。
【0010】
請求項
7の発明は、
ブラケットの端部に一対の係止片を突設し、該係止片を前記ルーフレールの端部下面に係合可能に配置し、ブラケットとルーフレールの連結時におけるブラケットの沈み込みを防止するようにしている。
請求項
8の発明は、
ブラケットの端部に突設した係止片の離間位置に下方に開口する凹溝状の排水溝を形成し、該排水溝の上部をルーフレールの下部周面に連通可能にし、ルーフレールの下部周面に浸入した雨水等を排水溝から円滑に排水し得るようにしている。
請求項
9の発明は、
切欠部とブラケットに一のカバーを被着し、切欠部とブラケットを一のカバーによって合理的に遮蔽し、それらの外観を向上するようにしている。
請求項10の発明は、カバーの両側に側板を対向配置し、該側板の内側に一対の係止爪を突設し、該係止爪をブラケットの補強板の両端部に形成した凹部に係合可能に配置し、カバーの中間部をブラケットに強固に取付けるようにしている。
【0011】
請求項11の発明は、
側板の中間位置の内側に係止爪を突設し、該係止爪をブラケットの端部に形成した凹部に係合可能に配置し、カバーの中間部をブラケットに強固に取付けるようにしている。
請求項12の発明は、
設置面に臨むルーフレールの下面とルーフパネルとの間に弾性材からなる一対の細長のパッキングシールを配置し、それらの緩衝を図るようにしている。
請求項13の発明は、
ブラケットの下面とルーフパネルとの間に弾性材からなる幅広のシール板を設け、該シール板に前記設置面を挿入可能な通孔を形成するとともに、シール板の端部に舌片を突設し、該舌片を前記排水溝の直下に配置し、ブラケットとルーフパネルとの間の緩衝を図るとともに、舌片によって排水溝からの排水を円滑に行なうようにしている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明は、ルーフレールの両端部の下面に一または複数の凹溝
を形成し、該凹溝にボルト挿通孔を形成するとともに、前記凹溝にワッシャまたはナットを着座可能に設け、前記凹溝の外部をルーフレールの下面に外側に突出して設置面を形成し、該設置面を三次元方向に緩やかに湾曲する凹状曲面に形成し、該設置面を対応するルーフパネルに係合可能に取付けたから、従来のようなルーフレールと別設の脚部を廃し、脚部の製作やルーフレールに対する煩雑な取付けを解消して、部品点数を低減し構成を簡潔化して容易かつ安価に製作できるととともに、その速やかな使用を図り、しかも設置面をルーフパネルに緊密に係合してルーフレールを堅固に固定することができる。
請求項2の発明は、ルーフレールの両端部の切欠部の両側周面に内側に突出する凹状屈曲部を形成し、前記カバーの内側に前記凹状屈曲部の内面に係合かつ弾性可能な板状の一対の脚片を突設したから、切欠部に被着したカバーの離脱を簡単な構成によって防止することができる。
【0013】
請求項3の発明は、カバーの中間部から先端部に亘る内側に側板を対向して突設し、該側板の後端部を連結板で連結し、該連結板をルーフレールの端部に係合可能に配置したから、カバーの中間部から先端部に亘る強度を強化することができる。
請求項4の発明は、一の凹溝
を形成したルーフレールの端部に連結可能なブラケットを設け、該ブラケットの下面に前記一の設置面を突出形成し、該設置面を三次元方向に緩やかに湾曲する凹状曲面に形成し、前記設置面に前記ボルト挿通孔を形成するとともに、前記ブラケットの端部に一対の係合爪を突設し、該係合爪を前記ルーフレールの両側周面の内面に係合可能に取付けたから、ブラケットを介してルーフレールとカバーのコンパクト化を図るとともに、それらの多様なデザインに応じられる効果がある。
請求項5の発明は、ルーフレールの両端部の下面に透孔を形成するとともに、前記ブラケットの端部に係止片を突設し、該係止片のフック部を前記透孔に係合可能に設けたから、前記係合爪をルーフレールの内側周面に係合し、かつフック部を透孔に係合して、ルーフレールの端部にブラケットを強固に取付けることができる。
請求項6の発明は、ルーフレールの両端部の下面に一の凹溝を形成するとともに、その上方を開口した切欠部の長さを1/2以下に形成し、前記ルーフレールの設置面とブラケットの設置面を前記ルーフパネルの取付け位置と同位置に配置したから、ルーフレールとカバーの小形化とデザインの変更に応じられる効果がある。
【0014】
請求項
7の発明は、
ブラケットの端部に一対の係止片を突設し、該係止片を前記ルーフレールの端部下面に係合可能に配置したから、ブラケットとルーフレールの連結時におけるブラケットの沈み込みを防止することができる。
請求項
8の発明は、
ブラケットの端部に突設した係止片の離間位置に下方に開口する凹溝状の排水溝を形成し、該排水溝の上部をルーフレールの下部周面に連通可能にしたから、ルーフレールの下部周面に浸入した雨水を排水溝から円滑に排水することができる。
請求項
9の発明は、
切欠部とブラケットに一のカバーを被着したから、切欠部とブラケットを一のカバーによって合理的に遮蔽し、それらの外観を向上することができる。
請求項
10の発明は、
カバーの両側に側板を対向配置し、該側板の内側に一対の係止爪を突設し、該係止爪をブラケットの補強板の両端部に形成した凹部に係合可能に配置したから、カバーの中間部をブラケットに強固に取付けることができる。
【0015】
請求項11の発明は、
側板の中間位置の内側に係止爪を突設し、該係止爪をブラケットの端部に形成した凹部に係合可能に配置したから、カバーの中間部をブラケットに強固に取付けることができる。
請求項12の発明は、
設置面に臨むルーフレールの下面とルーフパネルとの間に一対の細長の弾性材からなるパッキングシールを配置したから、それらの緩衝を図ることができる。
請求項13の発明は、
ブラケットの下面とルーフパネルとの間に弾性材からなる幅広のシール板を設け、該シール板に前記設置面を挿入可能な通孔を形成するとともに、シール板の端部に舌片を突設し、該舌片を前記排水溝の直下に配置したから、ブラケットとルーフパネルとの間の緩衝を図れるとともに、舌片によって排水溝からの排水を円滑に行なうことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図示の実施形態について説明すると、
図1乃至
図8において1は自動車のルーフパネルで、その表面は三次元方向に緩やかに湾曲形成され、その左右両側の所定位置に複数の通孔(図示略)が形成され、この通孔を介して左右一対のルーフレール2が取付けられている。
前記ルーフレール2はアルミニウム管を異形断面に押し出し成形し、これをルーフパネル1に沿って三次元方向へ緩やかに湾曲成形している。
すなわち、前記ルーフレール2の断面は、
図3および
図8のように中間部を縮径した中空の家形断面に形成され、その上部周面2aを逆U字形断面に形成し、下部内周面2bを緩やかに湾曲形成するとともに、両側の側部周面2c,2dの中高部を内側に屈曲して凹状屈曲部3,4を形成している。
【0022】
前記ルーフレール2は凹状屈曲部3,4を境に上向きに拡径され、該屈曲部3,4にルーフレール2,2間に掛け渡すクロスバー(図示略)の取付金具(図示略)を掛け止め可能にしている。図中、1aはルーフパネル1の両側端部に形成した成形段部である。
前記ルーフレール2の前後端部に、上部周面2aを切欠いた切欠部5,6が形成され、該切欠部5,6は例えばプレス機によって打ち抜き形成され、その切欠部5,6に位置するルーフレール2の下部周面2bに、円形または楕円形の複数の凹溝7,8を押圧成形している。
【0023】
前記凹溝7,8の底面は三次元方向に緩やかに湾曲形成され、その外側部を円形または楕円形に突出形成し、その外側の設置面7a,8aを前方から見て三次元方向に緩やかに湾曲する凹状曲面に形成し、ルーフパネル1の対応位置に緊密に係合している。この場合、前記凹溝7,8ないし設置面7a,8aは、ルーフレール2の各端部に2個設けているが、1個でも良い。
【0024】
前記凹溝7,8に後述するワッシャ付ナットのワッシャが収容され、この凹溝7,8の中央にボルト若しくはビス挿通孔9,10が形成され、該ボルト挿通孔9,10に後述する緊締用のボルト若しくはビス等の螺軸を挿入可能にしている。
実施形態ではワッシャとナットを一体に構成したワッシャ付ナットを用いているが、これらを分離した安価な汎用のワッシャとナットを用いても良い。
前記側部周面2c,2dの上部は前記切欠部5,6によって切欠かれ、その開口縁の中間部に切欠溝11,12が切欠かれ、該切欠溝11,12にカバー13の端部が取付けられている。
【0025】
前記カバー13は合成樹脂によって略細長の皿状に成形され、その後端部に係合突起14が突設され、またその中間部の内面両側縁に係合爪15,16が突設され、該係合爪15,16を前記切欠溝11,12に係合可能に配置している。
前記カバー13の中間部内面に脚片17,18が突設され、その先端の係合突起17a,18aを側部周面2c,2dの内面に係合可能に配置し、その弾性によってカバー13を係合保持している。図中、19,20は脚片17,18の内側に突設した三角板状の補強リブである。
【0026】
前記カバー13の中間部から先端部に亘って側板21,21が対向して突設され、それらの後端部を連結板22で連結し、該連結板22をルーフレール2の端面に係合可能に配置している。
図中、23,24は前述のボルトまたはビスで、そのフランジ状の頭部23a,24aをルーフパネル1の内面に溶接して取付け、その螺軸をル−フパネル1上に突出して、ルーフレール2を取付ける際、ボルトまたはビス23,24を保持する面倒をなくし、組み付けを簡便に行なえるようにしている。
【0027】
そして、ルーフレール2の取付け時、前記ボルトまたはビス23,24の螺軸の突出部に、ルーフレール2のボルト挿通孔9,10を挿入し、その螺軸端に前述したワッシャ付ナット25,26をねじ込んで緊締している。
この場合、ボルトまたはビス23,24をルーフパネル1から立設し、これにワッシャ付ナット25,26をねじ込んで緊締しているが、例えばルーフレール2側からルーフパネル1へボルトまたはビス23,24を挿入し、その螺軸にルーフパネル1側からワッシャ付ナットをねじ込み、またはルーフパネル1の内側に溶接したナットや、ルーフパネル1のボルト挿通孔をバーリング加工して形成したネジ孔に、ボルトまたはビス23,24をねじ込んで緊締することも可能である。
【0028】
前記ワッシャ付ナット25,26は、ワッシャないしスプリングワッシャ25a,26aとナット25b,26bを一体に溶着し、ワッシャないしスプリングワッシャ25a,26aは鋼板を皿状に形成し、その通孔(図示略)にボルトまたはビス23,24を挿入可能にしている。
【0029】
この他、図中、27はルーフレール2の中央部上面に形成した大径の通孔で、その直下のルーフパネル1の内側からボルト23またはビスが挿入され、該ボルト23またはビスをルーフパネル1に突出し、かつその螺軸をルーフレール2の下部内面に突出し、この螺軸に前述のワッシャ付ナット25がねじ込まれている。前記通孔27はルーフレール2の取付け後、キャップ(図示略)が取付けられて閉塞される。
なお、前記通孔27の直下のルーフレール2に、前述と同様な凹溝と下面側に設置面が突設され、該設置面を前述と同様にルーフパネル1に係合可能な緩やかな凹状曲面に形成していて、ルーフレール2をルーフパネル1に密着可能に取付けている。また、ルーフレール2の他の箇所をルーフパネル1に取付ける場合は、前述と同様の構造が用いられる
【0030】
図中、30はルーフパネル1とルーフレール2の下面との間に離間して配置した弾性材からなる細長のパッキングシールで、その上面に両面接着テープ(図示略)を貼り付け、その剥離片を剥がしてルーフレール2の下面に離間して取付け、ルーフパネル1とルーフレール2との緩衝を図るようにしている。
また、31はルーフパネル1とカバー13の先端部との間に配置した弾性材からなる幅広のシール板で、その上面に両面接着テープ(図示略)を貼り付け、その剥離片を剥がして側板21,21の下面に取付け、ルーフパネル1と側板21との間の緩衝を図るようにしている。
【0031】
このように構成した自動車用ルーフレールは、前後側の両端部の上部周面を切欠き、その切欠部5,6を閉塞するカバー13,13を有し、前記切欠部5,6に臨むルーフレール2の下側周面2bに二つの凹溝7,8を例えばプレス成形し、その外側に二つの設置面7a,8aを突出形成し、その外側面を前方から見て三次元方向に凹状に緩やかに湾曲形成して、対応するルーフパネル1に緊密に係合可能に形成している。
【0032】
このように、本発明はルーフレール2の前後端部および中央部の下面に設置面7a,8aを直接形成しているから、従来のようにルーフレールと別個に取付用の脚部を要するものに比べて、脚部の製作と脚部とルーフレールとの接続を省略でき、その分構成が簡単で容易かつ安価に製作できる。
【0033】
また、前記設置面7a,8aをルーフパネル1に直接配置しているから、従来のように前記脚部の一端をルーフレール2に連結し、この他端をルーフパネルに設置して取付ける作業の煩雑を解消し、しかも脚部取付け後の設置部の位置ずれがなく、この位置ずれによる調整作業を要しないから、これを容易かつ正確に取付けられる。
【0034】
前記ルーフレール2はアルミニウム管を異形断面に押し出し成形し、その断面は略家形で下部内周面2bを略平坦面、具体的には緩やかな湾曲面に形成しているから、従来のルーフレールのように複雑な異形断面に形成し、下部周面に異形断面の凸部を突設したものに比べて、構成が簡潔で製作の容易化と低廉化および軽量化を図れる。
しかも、ルーフパネル1には前記凸部を収容する取付溝の加工を要しないから、それだけルーフパネル1の製作の容易化と低廉化を図れる。
【0035】
前記ルーフレール2は前後両端部の上部周面2aをプレス機によって所定長さに切欠き、この切欠部5を利用して凹溝7,8をプレス成形する。
すなわち、前記開口した切欠部5に臨む下部周面2bに1または複数の凹溝7,8をプレス成形し、その中央に長孔または円形のボルト若しくはビス挿通孔9,10を、例えば前記プレス成形時に打ち抜き形成する。
そして、前記凹溝7,8の外側面を外側に突設し、その突出面の設置面7a,8aを対応するルーフパネル1の外周面と係合可能に三次元方向へ緩やかに凹状に湾曲形成する。
【0036】
前記カバー13は合成樹脂によって細長の皿状に成形し、その基端に係合突起14を突設し、その基端側の両側端縁に係合爪15,16を突設し、該カバー13の中間部内面に脚片17,18を突設する。
また、前記カバー13の先端部のテーパ部両側に側板21,21を対向して突設し、その後端部を連結板22で接続し、該連結板22をルーフレール2の端面に係合可能に形成する。
このように前記カバー13は従来のカバーに比べて構造が簡潔であるから、これを容易化かつ安価に製作でき、しかもその軽量化を図れる。
【0037】
一方、ルーフレール2,2のボルト挿通孔9,10に対応するルーフパネル1の取付け位置に一対の通孔(図示略)を形成し、この通孔にルーフパネル1の内側からボルト23,24の螺軸を挿入し、該ボルト23,24の頭部であるフランジ23a,24aをルーフパネル1の内面に溶接し、ボルト23,24の螺軸をルーフパネル1の外面に突出して置く。
【0038】
こうして製作したルーフパネル1とルーフレール2、および前後一対のカバー13,13を用いて、ルーフレール2をルーフパネル1に取付ける場合は、パッキングシール30,30の片面に両面接着テ−プ(図示略)を取付け、その剥離片(図示略)を剥がしてパッキングシール30,30をルーフレール2の下面の両側に取付け、このルーフレール2をルーフパネル1上の所定位置に配置する。
【0039】
その際、ルーフレール2の下面に突設した設置面7a,8aを、ルーフパネル1の外面に係合して密着配置し、該設置面7a,8aに形成したボルト挿通孔9,10に、ルーフパネル1上に突出した前記ボルト23,24を挿入する。この状況は
図1および
図2、
図4のようである。
【0040】
そして、一対のルーフレール2をルーフパネル1上に位置付け後、ルーフパネル1上に突出したボルト23,24の螺軸に切欠部5,6側からワッシャー付ナット25,26をねじ込んで緊締し、一対のルーフレール2を取付ける。この状況は
図4のようである。
この場合、フランジ23a,24aがルーフパネル1に固定されているから、ボルト23,24にワッシャー付ナット25,26を速やかにねじ込める。
【0041】
この後、前記取付けたルーフレール2の切欠部5,6にカバー13,13を取付ける。
その際、シール板31上に両面接着テープ(図示略)を貼り付け、その剥離片を剥がしてカバー13の下端面に貼り付ける。
このような状況の下で、カバー13を切欠部5上に被着して下方へ押し込み、切欠部5の開口部を閉塞するとともに、カバー13の基端部の係合突起14をルーフレール2の上部周面2aの開口縁部下方に差し込み、カバー13の基端部を上部周面2aの端面に接合する。
【0042】
そして、カバー13の中間部の係合爪15,16を切欠溝11,12に係合し、また脚片17,18を弾性に抗して凹状屈曲部3,4内面に押し込み、その先端の係合突起17a,18aを凹状屈曲部3,4の内面に係合し、その屈曲弾性によってカバー13をルーフレール2に掛け止める。この状況は
図8のようである。
【0043】
前記カバー13の取付けに際し、その先端部の連結板22をルーフレール2の端面に係合し、その先端部の下面に取付けたシール板31によって、カバー13の先端の下側開口部を閉塞する。
【0044】
こうして取付けたルーフレール2の取付け状況は
図1および
図3のようで、左右一対のルーフレール2が各設置面7a,8aによって、ルーフパネル1上に密着して配置されている。
したがって、ルーフレール2に脚の一端を接続し、その他端をルーフパネル1に配置する従来のルーフレールの取付け方法に比べて、ルーフレール2をルーフパネル1の直上に近接して設置できるから、取付け後の体裁が改善され、またルーフレール2による走行時の走行抵抗を低減することができる。
【0045】
しかも、ルーフパネル1とルーフレール2との間にパッキングシール30,30とシール板31を配置し、それらの緩衝を図るとともに、ルーフレール2の両端部にカバー13,13を密着して取付け、その両側内部を側板21,21で閉塞している。
【0046】
また、前記ボルト23,24とナット付ワッシャ25,26の緊締によって、設置面7a,8aがルーフパネル1の外周面に緊密に密着し、ルーフレール2がルーフパネル1に強固に取付けられる。
したがって、ルーフレール2がルーフパネル1に隙間なく体裁良く取付けられ、経時的な使用による振動に堪えて、所期の使用状態を長期に亘って得られる。
この場合、ルーフレール2やカバー13の形状寸法を変更しても、これらを前述と同様の要領で取付けることができるから、各部形状寸法の大小に限定されない。
【0047】
図9乃至
図22は本発明の他の実施形態を示し、前述の構成と対応する部分に同一の符号を用いている。この実施形態は、ルーフレール32とカバー36のデザインの変更を許容しながら、これらを前述のルーフパネル1の取付け位置と同位置に取付けている。
この場合、この実施形態ではルーフレール32をルーフレール2より若干短く(約9割長)形成し、該ルーフレール32の両端部に切欠部33,34を形成し、該切欠部33,34を切欠部5,6の長さの半分以下に形成し、その下部周面32b,32bに単一の凹溝7,7を形成し、前記切欠部33,34の端部にブラケット38,38を接続している
【0048】
その際、切欠部33,34の長さは前述のように切欠部5,6の半分以下のため、ルーフレール32,32の前後端部の下部周面32b,32bに、前述のような二つの凹溝7,8ないし設置面7a,8a、およびボルト若しくはビス挿通孔9,10を設けることができず、ルーフレール32,32を前述と同様にルーフパネル1に取付けることができない。
【0049】
そこで、切欠部33,34に臨む下部周面32b,32bに、1個の凹溝7とボルト若しくはビス挿入孔9、およびその外面に設置面7aを設け、もう1個の凹溝8と設置部8aをルーフレール32と別個に設けたブラケット38に形成し、該ブラケット38を前記切欠部33,34に連結している。
【0050】
前記カバー13の中間部から先端部に亘って側板37,37を対向して突設し、該側板37,37の後端部と中間部の内面に後述する係止爪を突設している。図中、32c,32dは切欠部34に臨むルーフレール32の側部周面、39は下部周面32bの端部に形成した透孔である。
【0051】
前記ブラケット38は合成樹脂製の異形の矩形板状に成形され、その一端に補強板40を突設し、その両側に凹部40aを形成し、該凹部40aの上面に後述の係止爪を係合可能に配置している。
前記補強板40の前端部に一対の係合爪41,42が対向して突設され、該係合爪41,42を前記側部周面32c,32dの内面に係合可能に挿入している。41a,42aは係合爪41,42の係合面に突設した圧接リブである。
【0052】
前記補強板40の一側面の中央下部に、下部周面32bと係合可能な係止片43が突設され、該係止片43の中央にフック部44が下向きに突設され、ブラケット38とルーフレール32との連結時にフック部44を透孔39に係合し、ルーフレール32との離脱を防止している。
【0053】
図中、45,45は補強板40の他側面に突設した補強壁、46はブラケット38の他端に突設した円板状の凸部で、その他側面の対応位置にも同様な凸部47が突設され、該凸部46,47に長孔48が形成されている。
前記凸部47の端面、すなわち設置部47aは、三次元方向へ緩やかに凹状に湾曲形成され、該設置面47aをルーフパネル1に密着かつ係合可能に配置している。この他、図中、49はブラケット38の他端の隅角部に形成した凹部で、後述の係止爪と係合可能にされている。
【0054】
前記シール板31は前述の実施形態よりも若干長尺に形成され、その形状は側板37の端面と略同形に形成され、その中間部に前記凸部47を挿入可能な通孔50が形成され、該通孔50に設置面47aを表出可能にしている。
前記シール板31の後端部に舌片51が突設され、該舌片51をルーフレール32とブラケット38の連結部の空隙の一側に配置し、該舌片51の両側にブラケット38に突設した係止片53,53を配置している。
【0055】
図中、52はブラケット38の後端部の底面側で、かつ後述する係止片の間に形成した凹溝状の排水溝で、その上部はルーフレール32の下部周面32bに連通し、下部は前記舌片51に近接して下方に開口し、ルーフレール32の下部周面32bに導かれた雨水を
図22の矢視のように下方へ排水可能にしている。
前記係止片53,53は前記補強板40の一側面の下端部に突設され、ブラケット38とルーフレール32との連結時に下部周面32bに係合して、ブラケット38の沈み込みを防止している。
【0056】
この他、図中、54は対応するカバー36の側板37の内側に対向して突設した係止爪で、カバー36の取付け時、前記補強板40の両側の凹部40aに係合可能にされ、55はカバー36の側板37の一側内面に突設した係止爪で、カバー36の取付け時に前記凹部49の上面に係合可能に配置されている。
図中、56はブラケット38の先端部に突設した係合リブで、カバー36の内面と係合可能に配置され、ルーフレール32の取付け後、例えば接触等の外力による捩れがカバー36に作用した際、カバー36の内面が係合リブ56の側面に係合して前記捩れを抑え、カバー36の取り外れを防止可能にしている。
【0057】
なお、この実施形態におけるルーフレール32,32とカバー35,36の取付け方法、およびパッキングシール30とシール板31の構成は、シール板31を若干長尺に形成し、これに通孔50を要する以外は、前述の実施形態と実質的に同一である。
【0058】
一方、この実施形態はブラケット38の製作を要する。
前記ブラケット38は異形の矩形板状に樹脂成形され、その一端部に一対の係合爪41,42を突設し、他端部の表裏両面に凸部46,47を突設し、その下側の凸部47の端面を設置面47aとし、該設置面47aはルーフパネル1と同様に三次元方向に緩やかに湾曲する凹状湾曲面に形成し、該設置面47aに長孔48を形成する。
【0059】
次に、前記製作した各構成部材を用いてルーフレール32をルーフパネル1に取付ける場合は、先ず一対のルーフレール32の前後端部にブラケット38を取付ける。
その場合はブラケット38を保持し、その一端の一対の係合爪41,42をルーフレール32の端部に押し込み、その外面を側部周面32c,32dの内面に係合する。
【0060】
このようにすると、係合爪41,42が押し込み弾性によって側部周面32c,32dの内面を圧接し、かつフック44が下部周面32bの透孔39に係合して、ルーフレール32とブラケット38の離脱を阻止し、また一対の係止片53,53に下部周面32bの下面が係合して、ブラケット38の沈み込みを防止する。この状況は
図10および
図15のようである。
そして、ルーフレール32にブラケット38を取付けると、その接続部の下面に排水溝52が係止片53,53の間に開口し、その上部がルーフレール32の下部周面32bに連通する。この状況は
図11および
図17のようである。
【0061】
このようにルーフレール32とブラケット38との取付けを、係合爪41,42の弾性とフック44と透孔39との係合、および係止片53,53の係合によって行ない、これらに対する接着剤の使用や塗布作業を不要にしているから、従来のような接着剤の乾燥時間を削減し、前記取付けを簡便かつ速やかに行なえる。
【0062】
こうしてルーフレール32の前後端部にブラケット38を取付け、それらの下面にパッキングシール30,30とシール板31を取付け、シール板31の通孔50に凸部47を挿入して設置面7aを表出させる。
その際、排水溝52は舌片51に塞がれずに下方に開口し、ルーフレール32とブラケット38の接続部の両側の排水路に連通する。この状況は
図18のようである。
【0063】
そして、係止片53,53をルーフレール32の下面に係合し、切欠部33,34およびブラケット38,38の上方を開放した状態、つまりカバー35,36を未装着の状態で、ルーフレール32の取付け工程に搬送する。この状況は
図19のようである。
前記ルーフレール32の取付け工程では、予めルーフパネル1の取付け位置に一対の通孔(図示略)が形成され、この通孔にルーフパネル1の内側からボルト23,24の螺軸を挿入し、該ボルト23,24の頭部のフランジ23a,24aをルーフパネル1の内面に溶接し、ルーフパネル1の上面にボルト23,24の螺軸を突出して置く。
【0064】
そして、前記アセンブリ状態のルーフレール32のボルト挿通孔9と長孔48を、ルーフパネル1上に突出したボルト23,24の螺軸に挿入し、その螺軸端にワッシャ付ナット25,26を切欠部33,34上からねじ込んで緊締し、ルーフレール32をルーフパネル1に取付ける。
【0065】
こうしてルーフレールアセンブリを取付け後、切欠部33,34にカバー35,36を装着する。
その場合は、カバ−36を保持し、その一端の係合突起14を切欠部34の基部に差し込み、かつその中間部内面の係止爪54,54を補強板40の凹部40a,40aに係合し、また先端部内面の係止爪55を凹部49の下面に係合して、カバー36をブラケット38に取付ける。この状況は
図13および
図14のようである。
【0066】
この後、他方のカバー35をカバー36の取付けと同様の要領で行なう。
この場合、カバー35,36の取付けは、その押し込みによってカバー35,36が弾性に抗して押し広がり、押し込み後は弾性によって凸部49a,49aや凸部49の下面に係合して強固に取付けられるから、カバー35,36を簡便かつ強固に取付けられる。そして、前記カバー35,36の取付けによって一連の組み立て作業が終了する。
【0067】
このようにこの実施形態は、前述の実施形態に比べて短いルーフレール32と短いカバ−36を用いて、ルーフレールを全体的にコンパクトに構成し、これをル−フパネル1に取付けているが、これらを前述の実施形態と同長またはそれ以上に構成してル−フパネル1に取付けることも可能であり、各部形状寸法の大小に限定されない。
【0068】
なお、以上の各実施形態はルーフレールの下面やブラケットの下面に設置面を突設し、この設置面をルーフパネル1に係合可能な凹状湾曲面を形成しているが、例えばルーフパネル1の取付け部の透孔周面を突設し、この凸部に対応するルーフレールの下面やブラケットの下面に凹状の係合部を設け、これらをボルト若しくはビス・ナットで緊締することも可能である。