特許第5922181号(P5922181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 能美防災株式会社の特許一覧

特許5922181泡水溶液生成装置の制御装置および制御方法
<>
  • 特許5922181-泡水溶液生成装置の制御装置および制御方法 図000002
  • 特許5922181-泡水溶液生成装置の制御装置および制御方法 図000003
  • 特許5922181-泡水溶液生成装置の制御装置および制御方法 図000004
  • 特許5922181-泡水溶液生成装置の制御装置および制御方法 図000005
  • 特許5922181-泡水溶液生成装置の制御装置および制御方法 図000006
  • 特許5922181-泡水溶液生成装置の制御装置および制御方法 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5922181
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】泡水溶液生成装置の制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   A62C 5/02 20060101AFI20160510BHJP
   A62C 37/40 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   A62C5/02 B
   A62C37/40
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-120066(P2014-120066)
(22)【出願日】2014年6月11日
(62)【分割の表示】特願2010-222395(P2010-222395)の分割
【原出願日】2010年9月30日
(65)【公開番号】特開2014-158983(P2014-158983A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2014年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(72)【発明者】
【氏名】米山 顕司
(72)【発明者】
【氏名】岩井 淳
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0045345(US,A1)
【文献】 特開2005−253532(JP,A)
【文献】 特開平06−170204(JP,A)
【文献】 特表2007−537780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの加圧送水装置で圧送される消火用水に、泡原液タンクに貯蔵した泡消火薬剤を1つの泡消火薬剤送液手段で1箇所の混合点へ圧送して所定割合で混合し、消火用泡水溶液を生成する泡水溶液生成装置の制御装置であって、
前記泡水溶液生成装置の1つの出口部より分岐して防護区画に至る配管のそれぞれに介在する常閉の開閉手段を特定するデータと、前記泡水溶液生成装置から送出する消火用泡水溶液の目標送液圧力値と目標濃度値とを防護区画に応じて予め登録する記憶部と、
火災検出手段または手動操作に基づいて消火を行う防護区画を選択する選択手段と、
前記泡水溶液生成装置から送出する消火用泡水溶液の、送液圧力を前記泡水溶液生成装置の出口部で計測する圧力計測手段と、濃度を前記泡水溶液生成装置の出口部で計測する濃度計測手段と、が接続されて、それぞれの計測値が入力される信号入力部と、
火災時に、前記記憶部から前記選択手段によって選択された防護区画に該当する前記目標送液圧力値と前記目標濃度値と前記開閉手段を特定するデータとを読み出し、前記目標送液圧力値と前記圧力計測手段の計測値とを比較して該計測値が前記目標送液圧力値となるように前記加圧送水装置をフィードバック制御するとともに、前記目標濃度値と前記濃度計測手段の計測値とを比較して該計測値が前記目標濃度となるように前記泡消火薬剤送液手段をフィードバック制御し、特定した前記開閉手段を開放させる制御部と、
を備え、
消火用泡水溶液を要する流量が異なる泡消火装置である、エアフォームチャンバ、泡モニタノズル、泡消火栓、固定泡ヘッドのうち、異なる種類の泡消火装置が設けられた少なくとも2以上の防護区画のうちのいずれで消火を行っても、作動する泡消火装置が要する流量と濃度の消火用泡水溶液を生成して選択された前記防護区画だけに送出できる
ことを特徴とする泡水溶液生成装置の制御装置。
【請求項2】
1つの加圧送水装置で圧送される消火用水に、泡原液タンクに貯蔵した泡消火薬剤を1つの泡消火薬剤送液手段で1箇所の混合点へ圧送して所定割合で混合し、消火用泡水溶液を生成する泡水溶液生成装置の制御装置であって、
前記泡水溶液生成装置の1つの出口部より分岐して防護区画に至る配管のそれぞれに介在する常閉の開閉手段を特定するデータと、前記泡水溶液生成装置から送出する消火用泡水溶液の目標送液圧力値と前記消火用水に混合する前記泡消火薬剤の混合比とを防護区画に応じて予め登録する記憶部と、
火災検出手段または手動操作に基づいて消火を行う防護区画を選択する選択手段と、
前記泡水溶液生成装置から送出する消火用泡水溶液の送液圧力を前記泡水溶液生成装置の出口部で計測する圧力計測手段と、前記加圧送水装置から圧送される消火用水の前記泡消火薬剤が混合される前の流量を計測する流量計測手段と、が接続されて、それぞれの計測値が入力される信号入力部と、
火災時に、前記記憶部から前記選択手段によって選択された防護区画に該当する前記目標送液圧力値と前記混合比と前記開閉手段を特定するデータとを読み出し、前記目標送液圧力値と前記圧力計測手段の計測値とを比較して該計測値が前記目標送液圧力値となるように前記加圧送水装置をフィードバック制御するとともに、前記流量計測手段の計測値に応じて前記混合比となるように前記泡消火薬剤送液手段を制御し、特定した前記開閉手段を開放させる制御部と、
を備え、
消火用泡水溶液を要する流量が異なる泡消火装置である、エアフォームチャンバ、泡モニタノズル、泡消火栓、固定泡ヘッドのうち、異なる種類の泡消火装置が設けられた少なくとも2以上の防護区画のうちのいずれで消火を行っても、作動する泡消火装置が要する流量と混合比の消火用泡水溶液を生成して選択された前記防護区画だけに送出できる
ことを特徴とする泡水溶液生成装置の制御装置。
【請求項3】
1つの加圧送水装置で圧送される消火用水に、泡原液タンクに貯蔵した泡消火薬剤を1つの泡消火薬剤送液手段で1箇所の混合点へ圧送して所定割合で混合し、消火用泡水溶液を生成する泡水溶液生成装置の制御方法であって、
火災時に、消火を行う防護区画を選択し、選択された防護区画に至る配管だけを開放制御し、
前記泡水溶液生成装置から送出する消火用泡水溶液の送液圧力計測値と防護区画に応じて登録された目標送液圧力値とを比較して前記送液圧力計測値が前記目標送液圧力値となるように前記加圧送水装置をフィードバック制御するとともに、
前記泡水溶液生成装置から送出する消火用泡水溶液の濃度計測値と防護区画に応じて登録された目標濃度値とを比較して前記濃度計測値が前記目標濃度値となるように前記泡消火薬剤送液手段をフィードバック制御し、
消火用泡水溶液を要する流量が異なる泡消火装置である、エアフォームチャンバ、泡モニタノズル、泡消火栓、固定泡ヘッドのうち、異なる種類の泡消火装置が設けられた少なくとも2以上の防護区画のうちのいずれで消火を行っても、作動する泡消火装置が要する流量と濃度の消火用泡水溶液を生成して選択された前記防護区画だけに送出できる
ことを特徴とする泡水溶液生成装置の制御方法。
【請求項4】
1つの加圧送水装置で圧送される消火用水に、泡原液タンクに貯蔵した泡消火薬剤を1つの泡消火薬剤送液手段で1箇所の混合点へ圧送して所定割合で混合し、消火用泡水溶液を生成する泡水溶液生成装置の制御方法であって、
火災時に、消火を行う防護区画を選択し、選択された防護区画に至る配管だけを開放制御し、
前記泡水溶液生成装置から送出する消火用泡水溶液の送液圧力計測値と防護区画に応じて登録された目標送液圧力値とを比較して前記送液圧力計測値が前記目標送液圧力値となるように前記加圧送水装置をフィードバック制御するとともに、
前記加圧送水装置から圧送される消火用水の前記泡消火薬剤が混合される前の流量計測値に応じて目標混合比となるように前記泡消火薬剤送液手段を制御し、
消火用泡水溶液を要する流量が異なる泡消火装置である、エアフォームチャンバ、泡モニタノズル、泡消火栓、固定泡ヘッドのうち、異なる種類の泡消火装置が設けられた少なくとも2以上の防護区画のうちのいずれで消火を行っても、作動する泡消火装置が要する流量と混合比の消火用泡水溶液を生成して選択された前記防護区画だけに送出できる
ことを特徴とする泡水溶液生成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油等の危険物を貯蔵する貯蔵タンク等に設けられる泡消火設備に用いられる泡水溶液生成装置の制御装置および制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の泡消火設備の構成例を図6に示したので、同図に基いて説明する。
【0003】
火災発生時、泡消火設備制御盤9を操作して消火を行う防護区画を選択し、消火ポンプ制御盤6を介して加圧送水装置1を起動し、これによって水槽2より汲み上げて圧送する消火用水と、その圧力によって泡原液タンク3から圧送される泡消火薬剤とを、混合器4において所定の比率で混合し、消火用泡水溶液を生成する。そして、消火を行う泡消火装置の第2の弁である区画選択弁11、12、21、22、41、42、または消火栓弁31,32のいずれかと、第1の弁である二次圧制御弁10、20、30、40のうち前記区画選択弁または前記消火栓弁に接続されるものを開放し、選択された防護区画の泡消火装置に消火用泡水溶液を供給し、泡消火装置は消火用泡水溶液に外気を混合して消火用泡を生成して消火する。
【0004】
例えば、石油タンクT1の火災消火を行う場合、二次圧制御弁10と区画選択弁11とを開放し、石油タンクT1の上方側面に配設されたエアフォームチャンバCに消火用泡水溶液を圧送し、その圧力でエアフォームチャンバ内部の閉止機構を開放し、ここで発泡させて石油タンクT1の液面を消火用泡で覆って窒息消火を行う。
【0005】
泡による消火を行う泡消火装置には、図示したように、前記エアフォームチャンバCの他に、泡モニタノズルN1、N2、泡消火栓M1、M2、固定泡ヘッドH1、H2、等があり、それぞれが必要とする消火用泡水溶液の流量は異なる。更に述べると、泡消火装置が必要とする消火用泡水溶液の流量は、泡消火装置の一次圧によって定まる。泡消火装置に至るまでの配管の口径や長さ等による圧損を考慮して防護区画毎に必要な圧力が得られるように配管系統を設け、その系統毎に二次圧制御弁10、20、30、40を備え、それぞれの泡消火装置毎に必要な圧力を得るように二次圧制御弁10、20、30、40の送出圧力を設定し、所定の消火用泡水溶液流量を得るようにしている。
【0006】
なお、前記従来設備において、消火用水と泡消火薬剤とを混合する装置に限っては、加圧送水装置および泡消火薬剤圧送装置をインバータ制御のポンプとし、消火用水と泡消火薬剤の混合部に備えた2つのオリフィスの一次側に圧力計測手段を各々備え、前記圧力が等圧となるようにポンプを制御して所定の混合比を得ようとする、あるいは、各ポンプから圧送される流量を監視、制御して、所定の混合比を得るよう制御する泡消火薬剤混合システムが、特許文献1または2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−069198号公報
【特許文献2】特開2010−069455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、消火装置によって必要とする消火用泡水溶液の流量は大きく異なる。例えば、毎分約2000リットルのもの大流量の消火用泡水溶液を要する泡モニタノズルもあれば、毎分100リットルを要する泡消火栓や毎分50リットルを要する固定泡ヘッド等といった小流量の消火装置もある。すなわち、消火用泡水溶液の流量は作動する泡消火装置の種類や数量によって大きく異なる。
【0009】
一方、一般的なベンチュリー効果を利用した混合器では、使用流量範囲が、毎分100〜450リットル、毎分200〜900リットル、毎分300〜1350リットル、毎分400〜1800リットル、毎分700〜3150リットル、毎分1900〜8550リットルと、多数の機種が使用流量範囲に応じて用意されているが、これらを使い分けていたものである。また、使用流量範囲が特に広い混合器では、毎分80〜2000リットル、毎分200〜5000リットルといった機種も用意されているが、非常に高価なものであり、泡消火設備によっては、この使用流量範囲内で対応できるとは限らない。したがって、消火用泡水溶液の流量が作動する泡消火装置毎に異なってくる泡消火設備において、従来の混合器が一定の混合比を保つことは困難である。
【0010】
また、従来の泡消火薬剤は希釈率3%程度で用いるものであったが、近年になって希釈率1%程度で用いる泡消火薬剤が出現し、泡原液タンクの小型化を期待できようになった。しかしながら、一般的なベンチュリー効果を利用した従来の混合器で精度良く高い希釈率で混合することは困難であり、前記の如く消火用泡水溶液の流量範囲が大きく存在する状況では更に困難であった。特許文献1および2に記載された加圧送水装置は、インバータ制御によって、消火用水と泡消火薬剤の混合比と消火用水の流量とを制御できることを示しているが、作動する泡消火装置の種類や数量によって大きく異なる消火用泡水溶液の流量に対応する制御までは開示していない。
【0011】
発明は、作動する泡消火装置に応じて、消火用泡水溶液の流量が大きく変化し、高い希釈率の泡消火薬剤を用いた場合でも、所定の混合比と流量に制御する泡水溶液生成の制御装置および制御方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る泡水溶液生成装置の制御装置は、1つの加圧送水装置で圧送される消火用水に、泡原液タンクに貯蔵した泡消火薬剤を1つの泡消火薬剤送液手段で1箇所の混合点へ圧送して所定割合で混合し、消火用泡水溶液を生成する泡水溶液生成装置の制御装置であって、前記泡水溶液生成装置の1つの出口部より分岐して防護区画に至る配管のそれぞれに介在する常閉の開閉手段を特定するデータと、前記泡水溶液生成装置から送出する消火用泡水溶液の目標送液圧力値と目標濃度値とを防護区画に応じて予め登録する記憶部と、火災検出手段または手動操作に基づいて消火を行う防護区画を選択する選択手段と、前記泡水溶液生成装置から送出する消火用泡水溶液の、送液圧力を前記泡水溶液生成装置の出口部で計測する圧力計測手段と、濃度を前記泡水溶液生成装置の出口部で計測する濃度計測手段と、が接続されて、それぞれの計測値が入力される信号入力部と、火災時に、前記記憶部から前記選択手段によって選択された防護区画に該当する前記目標送液圧力値と前記目標濃度値と前記開閉手段を特定するデータとを読み出し、前記目標送液圧力値と前記圧力計測手段の計測値とを比較して該計測値が前記目標送液圧力値となるように前記加圧送水装置をフィードバック制御するとともに、前記目標濃度値と前記濃度計測手段の計測値とを比較して該計測値が前記目標濃度となるように前記泡消火薬剤送液手段をフィードバック制御し、特定した前記開閉手段を開放させる制御部と、を備え、消火用泡水溶液を要する流量が異なる泡消火装置である、エアフォームチャンバ、泡モニタノズル、泡消火栓、固定泡ヘッドのうち、異なる種類の泡消火装置が設けられた少なくとも2以上の防護区画のうちのいずれで消火を行っても、作動する泡消火装置が要する流量と濃度の消火用泡水溶液を生成して選択された前記防護区画だけに送出できることを特徴とする。
また、本発明に係る泡水溶液生成装置の制御装置は、1つの加圧送水装置で圧送される消火用水に、泡原液タンクに貯蔵した泡消火薬剤を1つの泡消火薬剤送液手段で1箇所の混合点へ圧送して所定割合で混合し、消火用泡水溶液を生成する泡水溶液生成装置の制御装置であって、前記泡水溶液生成装置の1つの出口部より分岐して防護区画に至る配管のそれぞれに介在する常閉の開閉手段を特定するデータと、前記泡水溶液生成装置から送出する消火用泡水溶液の目標送液圧力値と前記消火用水に混合する前記泡消火薬剤の混合比と、を防護区画に応じて予め登録する記憶部と、火災検出手段または手動操作に基づいて消火を行う防護区画を選択する選択手段と、前記泡水溶液生成装置から送出する消火用泡水溶液の送液圧力を前記泡水溶液生成装置の出口部で計測する圧力計測手段と、前記加圧送水装置から圧送される消火用水の前記泡消火薬剤が混合される前の流量を計測する流量計測手段と、が接続されて、それぞれの計測値が入力される信号入力部と、火災時に、前記記憶部から前記選択手段によって選択された防護区画に該当する前記目標送液圧力値と前記混合比と前記開閉手段を特定するデータとを読み出し、前記目標送液圧力値と前記圧力計測手段の計測値とを比較して該計測値が前記目標送液圧力値となるように前記加圧送水装置をフィードバック制御するとともに、前記流量計測手段の計測値に応じて前記混合比となるように前記泡消火薬剤送液手段を制御し、特定した前記開閉手段を開放させる制御部と、を備え、消火用泡水溶液を要する流量が異なる泡消火装置である、エアフォームチャンバ、泡モニタノズル、泡消火栓、固定泡ヘッドのうち、異なる種類の泡消火装置が設けられた少なくとも2以上の防護区画のうちのいずれで消火を行っても、作動する泡消火装置が要する流量と混合比の消火用泡水溶液を生成して選択された前記防護区画だけに送出できることを特徴とする。
また、本発明に係る泡水溶液生成装置の制御方法は、1つの加圧送水装置で圧送される消火用水に、泡原液タンクに貯蔵した泡消火薬剤を1つの泡消火薬剤送液手段で1箇所の混合点へ圧送して所定割合で混合し、消火用泡水溶液を生成する泡水溶液生成装置の制御方法であって、火災時に、消火を行う防護区画を選択し、選択された防護区画に至る配管だけを開放制御し、前記泡水溶液生成装置から送出する消火用泡水溶液の送液圧力計測値と防護区画に応じて登録された目標送液圧力値とを比較して前記送液圧力計測値が前記目標送液圧力値となるように前記加圧送水装置をフィードバック制御するとともに、前記泡水溶液生成装置から送出する消火用泡水溶液の濃度計測値と防護区画に応じて登録された目標濃度値とを比較して前記濃度計測値が前記目標濃度値となるように前記泡消火薬剤送液手段をフィードバック制御し、消火用泡水溶液を要する流量が異なる泡消火装置である、エアフォームチャンバ、泡モニタノズル、泡消火栓、固定泡ヘッドのうち、異なる種類の泡消火装置が設けられた少なくとも2以上の防護区画のうちのいずれで消火を行っても、作動する泡消火装置が要する流量と濃度の消火用泡水溶液を生成して選択された前記防護区画だけに送出できることを特徴とする。
また、本発明に係る泡水溶液生成装置の制御方法は、1つの加圧送水装置で圧送される消火用水に、泡原液タンクに貯蔵した泡消火薬剤を1つの泡消火薬剤送液手段で1箇所の混合点へ圧送して所定割合で混合し、消火用泡水溶液を生成する泡水溶液生成装置の制御方法であって、火災時に、消火を行う防護区画を選択し、選択された防護区画に至る配管だけを開放制御し、前記泡水溶液生成装置から送出する消火用泡水溶液の送液圧力計測値と防護区画に応じて登録された目標送液圧力値とを比較して前記送液圧力計測値が前記目標送液圧力値となるように前記加圧送水装置をフィードバック制御するとともに、前記加圧送水装置から圧送される消火用水の前記泡消火薬剤が混合される前の流量計測値に応じて目標混合比となるように前記泡消火薬剤送液手段を制御し、消火用泡水溶液を要する流量が異なる泡消火装置である、エアフォームチャンバ、泡モニタノズル、泡消火栓、固定泡ヘッドのうち、異なる種類の泡消火装置が設けられた少なくとも2以上の防護区画のうちのいずれで消火を行っても、作動する泡消火装置が要する流量と混合比の消火用泡水溶液を生成して選択された前記防護区画だけに送出できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る泡水溶液生成装置の制御装置および制御方法は、作動する泡消火装置に応じて、消火用泡水溶液の流量が大きく変化し、高い希釈率の泡消火薬剤を用いた場合でも、任意に設定した所定の混合比と流量に制御して選択された防護区画に至る配管だけを開放制御することができるので、消火用泡水溶液を要する流量が異なる泡消火装置である、エアフォームチャンバ、泡モニタノズル、泡消火栓、固定泡ヘッドのうち、異なる種類の泡消火装置が設けられた少なくとも2以上の防護区画のうちのいずれで消火を行っても、作動する泡消火装置が要する流量の消火用泡水溶液を生成して選択された前記防護区画だけに送出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1に係る泡消火設備の構成例である。
図2】本発明の実施の形態2に係る泡消火設備の構成例である。
図3】本発明の実施の形態3に係る泡消火設備の構成例である。
図4】本発明の実施の形態4に係る泡消火設備の構成例である。
図5】本発明の実施の形態5に係る泡消火設備の構成例である。
図6】従来の泡消火設備の構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施の形態1]
図1に基いて本発明の実施の形態に係る泡消火設備を説明する。
【0016】
まず、本実施の形態に係る泡消火設備の流体系構成を説明する。
消火を行う防護対象である石油タンクT1、T2、駐車場、等に応じて消火活動単位である複数の防護区画を適宜設定し、該防護区画毎に防護対象の消火に適した泡消火装置として、フォームメイクチャンバC、泡モニタノズルN1およびN2、固定泡ヘッドH1およびH2、泡消火栓M1およびM2を配設する。
【0017】
石油タンクT1、T2には、泡消火装置としてのフォームメイクチャンバCが設けられる。前記石油タンクT1、T2毎にそれぞれ設定した防護区画の直近には平常時は閉じている第2の弁としての区画選択弁11、12が設けられ、前記フォームメイクチャンバCが接続される配管は、前記区画選択弁11、12を介して、その基端側に平常時は閉じている第1の弁としての開放弁100が設けられる。
【0018】
泡消火装置としての泡モニタノズルN1、N2それぞれが配設された防護区画の直近には平常時は閉じている第2の弁としての区画選択弁21、22が設けられ、前記泡モニタノズルN1、N2が接続される配管は、前記区画選択弁21、22を介して、その基端側に平常時は閉じている第1の弁としての開放弁200が設けられる。
【0019】
泡消火装置として配設された泡消火栓M1、M2は、その一次側直近には平常時は閉じている消火栓弁31、32が設けられ、前記泡消火栓M1、M2が接続される配管は、前記消火栓弁31、32を介して、その基端側に平常時は閉じている第1の弁としての開放弁300が設けられる。
【0020】
駐車場には、泡消火装置として固定泡ヘッドH1、H2が設けられる。前記固定泡ヘッドH1、H2毎にそれぞれ設定した防護区画の直近には平常時は閉じている第2の弁としての区画選択弁41、42が設けられ、前記固定泡ヘッドH1、H2が接続される配管は、前記区画選択弁41、42を介して、その基端部に平常時は閉じている第1の弁としての開放弁400が設けられる。
【0021】
このように前記第2の弁である区画選択弁11、12、21、22、41、42、および消火栓弁31、32の一次側は、複数の防護区画をいくつかにまとめて消火用泡水溶液送液管である配管を介して第1の弁である開放弁100、200、300、400の二次側へ連結される。前記開放弁100、200、300、400の一次側は1つの消火用泡水溶液送液管である配管にまとめられて泡水溶液生成装置710の二次側に連結される。
【0022】
前記泡水溶液生成装置710は、送出する消火用泡水溶液の送液圧力を計測する圧力計測手段71および濃度計測手段73を備える。
【0023】
そして前記泡水溶液生成装置710の一次側は、消火用水を圧送する加圧送水装置5を介して消火用水用の配管で防火水槽2に連通し、該防火水槽2に貯留された消火用水内に開口し、前記加圧送水装置5を運転することによって消火用水を汲み上げて、前記泡水溶液生成装置710へ給水するようになっている。
【0024】
次に本実施の形態に係る泡消火設備の電気系構成を説明する。
【0025】
本実施の形態に係る泡消火設備は、加圧送水装置5をインバータ制御する消火ポンプ制御盤60と、泡水溶液生成装置710内に泡消火薬剤送液制御手段として後述する泡消火薬剤送液ポンプ7と、該泡消火薬剤送液ポンプ7をインバータ制御する泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61と、泡消火設備全体を制御する泡消火設備制御盤93と、を備える。
【0026】
前記泡消火設備制御盤93は、信号入力部902と、信号出力部905と、表示・操作部906と、記憶部908と、制御部909とを備える。
【0027】
前記信号入力部902、前記信号出力部905、前記表示・操作部906、前記記憶部908は、それぞれ前記制御部909と電気的に接続され、該制御部909によって制御される。
【0028】
前記信号入力部902は前記圧力計測手段71と前記濃度計測手段73と電気的に接続され、前記信号出力部905は前記開放弁100、200、300、400、および前記区画選択弁11、12、21、22、41、42と電気的に接続され、また、前記制御部909は、前記消火ポンプ制御盤60および前記泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61と電気的に接続される。
【0029】
前記記憶部908は、防護区画に応じて火災時に開放する開放弁、区画選択弁、および、泡水溶液生成装置710の目標送液圧力値、および、消火用泡水溶液の目標濃度値を予め登録し、更に、泡消火設備制御盤の制御プログラムを予め格納している。
【0030】
以下、泡消火設備を構成する装置の主なものを更に詳細に説明する。
【0031】
<泡水溶液生成装置>
泡水溶液生成装置710は、泡消火薬剤を貯留した泡原液タンク30と、該泡原液タンク30から泡消火薬剤を圧送する泡消火薬剤送液ポンプ7と、前記泡原液タンク30内の泡消火薬剤に前記消火用水が混入しないように設けた逆止弁86と、圧力計測手段71と、濃度計測手段73と、を備え、一次側は加圧送水装置5へ、二次側は開放弁100、200、300、400へとそれぞれ連結しており、逆止弁86の二次側配管において、加圧送水装置5から流入する消火用水と、泡消火薬剤送液ポンプ7から圧送される泡消火薬剤とを、混合して、消火用泡水溶液を生成する。
【0032】
圧力計測手段71の計測値が目標送液圧力値となるように加圧送水装置5が制御されて運転され、濃度計測手段73の計測値が目標濃度値となるように泡消火薬剤送液ポンプ7が制御されて運転される。
【0033】
<泡消火設備制御盤>
前記信号入力部902は、圧力計測手段71の計測値と、濃度計測手段73の計測値とが入力され、それぞれの値は制御部909へ送出される。
【0034】
前記制御部909は、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61と電気的に接続され、それぞれに対して運転指令を送出するとともに、後述するフィードバック制御を行うように運転データを与える。
【0035】
消火を行う防護区画は、前記表示・操作部906を操作して選択する。このとき、複数の防護区画の同時選択は行わず、1つの防護区画しか選択できないように制御する。前記制御部909は、選択された防護区画に応じて前記記憶部908に予め登録しておいた消火用泡水溶液の目標送液圧力値および濃度目標値を読み出し、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61へ運転を指令するとともに、圧力計測手段71および濃度計測手段73の計測値がそれぞれ前記の目標値となるようにフィードバック制御し、前記信号出力部905を介して開放すべき開放弁100、200、300、400および区画選択弁11、12、21、22、41、42を開放制御する。
【0036】
また、前記記憶部908は、泡消火設備制御盤93の制御プログラムを格納し、消火を行う防護区画のデータとして、対応する開放弁および区画選択弁、送出する消火用泡水溶液の目標送液圧力値、消火用泡水溶液の目標濃度値を登録し、また、前記表示・操作部906は、備わった表示装置によって泡消火設備の運転状況を表示し、オペレーターが運転状況を把握できるようにする。
【0037】
<消火ポンプ制御盤>
消火ポンプ制御盤60は、前記泡消火設備制御盤93の制御部909からの運転指令と運転データに基いて加圧送水装置5をインバータ制御する。すなわち、消火ポンプ制御盤60と加圧送水装置5とで消火用水の送水流量を制御する機能を備える。これによって、前記圧力計測手段71の計測値が目標送液圧力値となるようにフィードバック制御する前記泡消火設備制御盤93の指令にしたがい、消火用水を泡水溶液生成装置710へ送出する。
【0038】
<泡消火薬剤送液ポンプ制御盤>
泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61は、前記泡消火設備制御盤93の制御部909からの運転指令と運転データに基いて泡消火薬剤送液ポンプ7をインバータ制御する。すなわち、泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61と泡消火薬剤送液ポンプ7とで泡消火薬剤の送液流量を制御する機能を備える。これによって、前記濃度計測手段73の計測値が濃度目標値となるようにフィードバック制御する前記泡消火設備制御盤93の指令にしたがい、消火用泡水溶液の濃度を濃度目標値とする流量で泡消火薬剤を送出する。
【0039】
<開放弁>
前記泡水溶液生成装置710から送出される消火用泡水溶液は、その二次側の開放弁へ送られる。従来この部分には二次圧制御弁が用いられ、消火用泡水溶液を所定の圧力に減圧して泡消火装置に送出していたが、前記泡水溶液生成装置710は消火を行う防護区画の泡消火装置に必要かつ十分な流量の消火用泡水溶液を送出するように送出圧力を制御し、前記泡消火装置へは所定の圧力範囲となるように制御されるので、従来用いていた二次圧制御弁を設ける必要はなく、その部分を単に遠隔制御で開放するだけの安価な開放弁とすることができる。前記開放弁100、200、300、400は、動作させる防護区画に応じて連動させるものは前記泡消火設備制御盤93の記憶部908に予め登録されている。
【0040】
<泡消火装置>
泡による消火を行う泡消火装置には、図示したように、前記エアフォームチャンバCの他に、泡モニタノズルN1、N2、泡消火栓M1、M2、固定泡ヘッドH1、H2、等があり、それぞれが必要とする消火用泡水溶液の流量は異なり、前記泡消火装置C、N1、N2、M1、M2、H1、H2の一次圧によってそれぞれの流量は定まる。これらの泡消火装置は、供給された消火用泡水溶液に外気を混合して消火用泡を生成し、消火用泡が有する断熱効果による火災抑制および窒息効果による窒息消火等の初期消火を行う。
【0041】
<動作説明>
以上のように構成される泡消火設備の動作について説明する。火災発生時、オペレーターは泡消火設備制御盤93の表示・操作部906を操作し、消火を行う防護対象が属する防護区画を選択し、該防護区画に対する消火を指令する。前記表示・操作部906からの信号を受けた前記制御部909は、選択された防護区画に応じたデータを前記記憶部908より読み出し、前記信号出力部905を介して所定の開放弁および区画選択弁を選択して開放し、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61に運転を指令し、運転データを与え、加圧送水装置5および泡消火薬剤送液ポンプ7を運転し、消火用泡水溶液の送出圧力と濃度を、それぞれ圧力計測手段71と濃度計測手段73から送出される電気信号を信号入力部902で受信し、前記制御部909で認識する。該制御部909は、計測された前記送出圧力および濃度を、予め記憶部908に登録している目標送液圧力値および濃度目標値と比較し、前記消火ポンプ制御盤60および前記泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61を介して、それぞれ加圧送水装置5および泡消火薬剤送液ポンプ7をフィードバック制御し、所定の送液圧力と所定の濃度で消火用泡水溶液を送出するように運転し、消火用水と泡消火薬剤とを、使用する泡消火薬剤によって定められた所定の希釈率に応じて所定の比率(例えば3%または1%)で混合した消火用泡水溶液を生成し、開放した前記開放弁および前記区画選択弁を経由して、消火を行う前記泡消火装置に前記消火用泡水溶液を圧送する。
【0042】
消火を行う前記泡消火装置は、供給された前記消火用泡水溶液に外気を混合して発泡させ、生成した消火用泡を前記防護対象に対して放出し、初期消火を行う。
【0043】
例えば、説明の便宜のために消火を行う区画を石油タンクT1と定めると、オペレーターは、前記泡消火設備制御盤93の前記表示・操作部906を操作して、前記石油タンクT1が属する防護区画を指定し消火開始の指令を行う。
【0044】
前記泡消火設備制御盤93は、前記表示・操作部906からの信号を前記制御部909で受け、指定された防護区画について予め登録されているデータを前記記憶部908より読み出し、該データに応じて、前記信号出力部905を介して開放弁100および区画選択弁11に制御信号を送出し、これらを開放する。
【0045】
また、前記制御部909は、前記データに応じて、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61に運転指令し、加圧送水装置5および泡消火薬剤送液ポンプ7を運転し、前者は圧力計測手段71の計測値が予め記憶部908に登録されている目標送液圧力値となるように、また、後者は濃度計測手段73の計測値が予め記憶部908に登録されている濃度目標値となるように、それぞれフィードバック制御され、所定の送液圧力と所定の濃度で送出するように運転し、前記泡水溶液生成装置710において消火用水と泡消火薬剤とを使用する泡消火薬剤によって定められた所定の希釈率に応じて所定の比率(例えば3%または1%)で混合した消火用泡水溶液を生成する。
【0046】
前記泡水溶液生成装置710で生成された所定の送液圧力および濃度の消火用泡水溶液は、開放弁100および区画選択弁11を経由して石油タンクT1に配設されたエアフォームチャンバCに圧送され、該エアフォームチャンバCは消火用泡水溶液に外気を混合して発泡させて消火用泡を生成し、前記石油タンクT1へ送出し、その液面を覆って窒息消火を行う。
【0047】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2を図2に基いて説明する。図2において実施の形態1と同一部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。本実施の形態は消火用泡水溶液の濃度をフィードバック制御する、他の方法に関するものである。
【0048】
本実施の形態における構成が実施の形態1における構成と異なる点は、主として、泡原液タンク30に代えて、タンク内部の一次二次間を隔膜で区画し、その二次側に泡消火薬剤を貯留した泡原液タンク3となった点、泡消火薬剤送液ポンプ7に代えて泡原液タンク3の二次側に流量制御弁8を備えた点、泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61を用いない点にある。これらの相違点に付随して、前記泡原液タンク3の一次側を泡水溶液生成装置720の入口部に連結し、加圧送水装置5から流入する消火用水を導入して加圧する点、泡消火設備制御盤93が泡消火設備制御盤97となり、内部の制御部909が制御部910となり、用いなくなった泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61を制御する代わりに前記流量制御弁8を制御するようになった点とが異なる。
【0049】
これらは実施の形態1の構成において置き換えられ、その他の装置、配管との結合関係は変わらない。以下、泡消火装置を構成する装置の主なものについて、実施の形態1と異なるものを更に詳細に説明する。
【0050】
<泡消火設備制御盤>
泡消火設備制御盤97は、実施の形態1の泡消火設備制御盤93と同様の信号入力部902、信号出力部905、表示・操作部906、記憶部908に加え、他の実施の形態とは異なる制御部910を備える。
【0051】
前記制御部910は、選択された区画に応じて前記記憶部908に予め記憶させておいた消火用泡水溶液の目標送液圧力値および濃度目標値を読み出し、消火ポンプ制御盤60および流量制御弁8へ運転を指令するとともに、圧力計測手段71および濃度計測手段73の計測値がそれぞれ前記の目標値となるようにフィードバック制御し、前記信号出力部905を介して開放すべき開放弁および区画選択弁を開放制御する。
【0052】
<泡原液タンク>
本実施例で用いる泡原液タンク3は、加圧送水装置5から圧送される消火用水が流入する、泡水溶液生成装置720の入口部から消火用水が充水されるタンク一次側と、後述する流量制御弁8に接続されるとともに泡消火薬剤で満たされるタンク二次側と、タンク一次側とタンク二次側とを分離するように配置され、タンク一次側に消火用水が充水されることによってタンク二次側を加圧する、図示しない隔膜を備えて構成されている。
【0053】
<流量制御弁>
流量制御弁8は、前記泡原液タンク3の二次側から逆止弁86に至る配管に介在し、図示しない弁体の開度を制御することによって、前記泡原液タンク3から送出される泡消火薬剤の送出流量を制御する。
【0054】
ただし、泡消火薬剤送出流量は前記弁体の開度だけで一義的に決定されるものではないので、消火用水と混合した後の消火用泡水溶液の濃度を検出し、その濃度が濃度目標値となるようにフィードバック制御する。
【0055】
<動作説明>
以上のように構成される泡消火設備の動作について説明すると、基本的には実施の形態1と同様であり、泡消火薬剤送液ポンプ7を制御部909が泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61を介して制御する代わりに、流量制御弁8を制御部910で制御する点のみが異なる。
【0056】
[実施の形態3]
本発明の実施の形態3を図3に基いて説明する。図3において実施の形態1と同一部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。本実施の形態は、消火用泡水溶液の濃度をフィードバック制御する代わりに、消火用水の流量に対して所定の比率(混合比)の流量で泡消火薬剤を混合するものである。
【0057】
本実施の形態における構成が実施の形態1における構成と異なる点は、主として、濃度計測手段73に代えて流量計測手段72を備えたことにある。これに付随した相違点は、泡水溶液生成装置710に代えて700となった点と、泡消火設備制御盤93が泡消火設備制御盤92となった点とがあり、更に該泡消火設備制御盤内部において、信号入力部902が901となった点と、記憶部908が907となった点と、制御部909が制御部911となった点とである。なお、前記流量計測手段72は、泡水溶液生成装置700の入口部に備えられ、加圧送水装置5から流入する消火用水の流量を計測する。これらは実施の形態1の構成において置き換えられ、その他の装置、配管との結合関係は変わらない。
【0058】
以下、泡消火装置を構成する装置の主なものについて、実施の形態1と異なるものを更に詳細に説明する。
【0059】
<泡消火設備制御盤>
泡消火設備制御盤92が泡消火設備制御盤93と相違する点を以下に示す。
(1)信号入力部901
濃度計測手段73に代わって流量計測手段72の信号が入力される。該流量計測手段72の計測値は、圧力計測手段71の計測値とともに制御部911へ送出され、泡消火薬剤送液ポンプ7の制御に用いられる。
(2)記憶部907
消火用泡水溶液の目標濃度値を記憶する代わりに、消火用水の流量に対する泡消火薬剤の送液流量を制御するための混合比を登録する。
(3)制御部911
制御部909と異なる点は、流量計測手段72で計測した消火用水の流量に応じて、記憶部907に登録した混合比に相当する送液流量を演算して、泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61を介して泡消火薬剤送液ポンプ7をインバータ制御することにある。
【0060】
<動作説明>
以上のように構成される泡消火設備の動作について説明すると、基本的には実施の形態1と同様であり、濃度計測手段73が予め定めた目標濃度値となるように泡消火薬剤送液ポンプ7を制御部909が泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61を介して制御する代わりに、流量計測手段72の計測値に応じて予め定めた混合比となるように、泡消火薬剤送液ポンプ7の送液量を制御部911が演算して、泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61を介して制御する点のみが異なる。
【0061】
[実施の形態4]
本実施の形態は、泡水溶液生成装置の二次側に設けた開放弁を二次圧制御弁とし、複数の防護区画における消火を可能としたものである。便宜上、本実施の形態は、実施の形態3と同様に消火用水の流量に対して所定の比率(混合比)の流量で泡消火薬剤を混合するものとして説明するが、実施の形態1または2と同様に消火用泡水溶液の濃度をフィードバック制御しても良い。
【0062】
本発明の実施の形態4を図4に基いて説明する。図4において実施の形態3と同一部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。本実施の形態における構成が実施の形態3における構成と異なる点は、主として、開放弁100、200、300、400に代えて二次圧制御弁10、20、30、40を備えたことにある。これに付随した相違点は、泡消火設備制御盤92が泡消火設備制御盤94となった点であり、更に該泡消火設備制御盤内部において、記憶部907が914となった点と、制御部911が制御部912となった点とである。これらは実施の形態3の構成において置き換えられ、その他の装置、配管との結合関係は変わらない。
【0063】
以下、泡消火装置を構成する装置の主なものについて、実施の形態3と異なるものを更に詳細に説明する。
【0064】
<泡消火設備制御盤>
泡消火設備制御盤94が泡消火設備制御盤92と相違する点を以下に示す。
(1)記憶部914
消火を行う防護区画毎のデータとして、火災時に開放する二次圧制御弁および区画選択弁と、送出する消火用泡水溶液の送出圧力目標値と、消火用水に対する泡消火薬剤の送液流量を制御するための混合比とを登録し、制御部912で用いる制御プログラムを格納していることに加え、消火用水送水量の上限、あるいは、同時消火可能な防護区画の数を登録する。
(2)制御部912
流量計測手段72で計測した消火用水流量に応じて、記憶部914に登録した混合比に相当する泡消火薬剤の送液流量を演算し、泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61を介して泡消火薬剤送液ポンプ7をインバータ制御する。
複数の防護区画の消火を指令されたときは、送出する消火用水および泡消火薬剤の総量を演算し、前記消火用水送水量の上限あるいは前記同時消火可能な防護区画の数を超えないか判断した上で消火を実行するプログラムを備える。
【0065】
<動作説明>
以上のように構成される泡消火設備の動作について説明する。火災発生時、オペレーターは泡消火設備制御盤94の表示・操作部906を操作し、消火を行う防護区画を選択し、該防護区画に対する消火を指令する。このとき、防火水槽2の容量と、泡原液タンク30の容量と、加圧送水装置5の送出流量上限と、泡消火薬剤送液ポンプの送出流量上限とが許容する限り、複数の防護区画の同時選択を許容し、選択する複数の防護区画で要する消火用泡水溶液の流量の総和によって、同時動作数の制限を行う。
【0066】
前記表示・操作部906からの信号を受けた前記制御部912は、選択された防護区画に応じたデータを前記記憶部914より読み出し、前記信号出力部905を介して所定の二次圧制御弁および区画選択弁を選択して開放する。
【0067】
前記制御部912は、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61の運転を指令し、圧力計測手段71が目標送液圧力値となるように加圧送水装置5をフィードバック制御し、また、流量計測手段72の計測値に応じて、使用する泡消火薬剤によって定められた所定の希釈率(例えば3%または1%)に応じて定まる、記憶部914に予め登録した混合比に相当する泡消火薬剤の送液流量を演算し、泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61を介して泡消火薬剤送液ポンプ7をインバータ制御する。このように消火用水と泡消火薬剤とを混合して消火用泡水溶液を生成し、開放した前記二次圧制御弁および前記区画選択弁を経由して、消火を行う前記泡消火装置に前記消火用泡水溶液を圧送する。
【0068】
消火を行う前記泡消火装置は、供給された前記泡水溶液に外気を混合して発泡させ、生成した消火用泡を前記防護対象に対して放出し、初期消火を行う。
【0069】
例えば、説明の便宜のために消火を行う区画を石油タンクT1、T2および泡モニタノズルN1と定めると、オペレーターは、前記泡消火設備制御盤92の前記表示・操作部906を操作して、前記石油タンクT1、T2および泡モニタノズルN1が属する複数の防護区画を指定し消火開始の指令を行う。
【0070】
前記泡消火設備制御盤92は、前記表示・操作部906からの信号を前記制御部912で受け、指定された防護区画について予め登録されているデータを前記記憶部914より読み出し、該データに応じて、前記信号出力部905を介して二次圧制御弁10および20と区画選択弁11、12および21に制御信号を送出し、これらを開放する。
【0071】
また、前記制御部912は、前記データに応じて、消火ポンプ制御盤60および泡消火薬剤送液ポンプ制御盤61の運転を指令し、前記泡水溶液生成装置700から目標送液圧力値で、消火用水と泡消火薬剤とを所定の比率で混合した消火用泡水溶液を生成する。
【0072】
前記泡水溶液生成装置700で生成された消火用泡水溶液は、二次圧制御弁10および20と区画選択弁11、12および21を経由して石油タンクT1、T2および泡モニタノズルN1に配設されたエアフォームチャンバCおよび泡モニタノズルN1に圧送され、該エアフォームチャンバCおよび泡モニタノズルN1は消火用泡水溶液に外気を混合して発泡させて消火用泡を生成し、前記石油タンクT1、T2および泡モニタノズルN1へ送出し、前記石油タンクT1、T2の液面、および、泡モニタノズルが照準を定めた火点を覆って窒息消火を行う。
【0073】
このように、本実施の形態の泡消火設備は、消火を行う区画に応じて予め登録した目標送液圧力値となるように加圧送水装置をインバータ制御して消火用水を送出し、この消火用水に予め登録した混合比となるように泡消火薬剤をインバータ制御で送出して混合し、泡水溶液生成装置700から消火用泡水溶液を送出するとともに、前記泡水溶液生成装置700の二次側に二次圧制御弁を設け、複数の泡消火装置の同時動作を可能としたものである。
【0074】
[実施の形態5]
本発明の実施の形態5を図5に基いて説明する。図5において実施の形態3と同一部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。本実施の形態における構成が実施の形態3の構成と異なる点は、主として、火災検出装置Dと、火災受信盤Rと、現地操作盤Lとを新たに設けたことにある。これに付随して、実施の形態3における泡消火設備制御盤92に代えて泡消火設備制御盤96を備えたことである。前記泡消火設備制御盤96は、実施の形態3における前記泡消火設備制御盤92の信号入力部901と制御部911と記憶部907に代えて、それぞれ信号入力部904と制御部913と記憶部903を備える。
【0075】
また、前記火災検出装置Dは前記火災受信盤Rと、該火災受信盤Rは前記泡消火設備制御盤96の前記信号入力部904と、前記現地操作盤Lは前記泡消火設備制御盤96の前記信号入力部904と、それぞれ電気的に接続される。
【0076】
<動作説明>
本実施の形態の泡消火設備は、所定の防護区画を監視する火災検出装置Dの発報を以て、該火災検出装置Dからの火災信号を、火災受信盤Rを介して前記泡消火設備制御盤96の信号入力部904が受信すると、該防護区画の泡消火装置を自動的に起動し消火を行う。その他の動作は実施の形態3と同様である。
【0077】
なお、図示しないが、実施の形態1、2、4のいずれかに火災検出装置Dと火災受信盤R、および、現地操作盤Lを設ける構成も実施可能である。実施の形態4に上記構成を適用するときは、実施の形態4と同様に複数の防護区画に対する同時消火を可能とする。
【符号の説明】
【0078】
1、5 加圧送水装置、3、30 泡原液タンク、6、60 消火ポンプ制御盤、
61 泡消火薬剤送液ポンプ制御盤、7 泡消火薬剤送液ポンプ、
8 流量制御弁、700、710、720 泡水溶液生成装置、
9、92、93、94、96、97 泡消火設備制御盤、
901、902、904 信号入力部、905 信号出力部、
903、907、908、914 記憶部、906 操作・表示部、
909、910、911、912、913 制御部、
11、12、21、22、41、42 区画選択弁、
10、20、30、40 二次圧制御弁、
100、200、300、400 開放弁、
80、81、82、83、84、85 仕切弁、
31、32 消火栓弁、86 逆止弁、4 混合器、
T1、T2 石油タンク、C フォームメイクチャンバ、
N1、N2 泡モニタノズル、M1、M2 泡消火栓、
H1、H2 固定泡ヘッド、
L 現地操作盤、D 火災検出装置、R 火災受信盤、
図1
図2
図3
図4
図5
図6