(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
電子機器および電気機器などの機器(試験体)に対する電磁波に関する試験・測定を行うために、上述したように、電波暗室が用いられる。
図1は、電波暗室100を上方向から見た場合の概略構成を示す平面図である。また、
図2は、電波暗室100の断面の概略構成を示す断面図である。
【0016】
なお、本明細書では、電波暗室100の天井側(
図2の上側)を「上側」または「上」と称し、電波暗室100の床面側(
図2の下側)を「下側」または「下」と称することがある。
【0017】
電波暗室100は、試験体に対する試験・測定が実施される室内50全体が、電磁波遮蔽材によって覆われている。また、当該電波暗室100は、電波の反射を防止するために、室内50の壁面や天井面に電波吸収体が配設されている。
【0018】
また、電波暗室100の室内50の床面には、ターンテーブルが配設されている。つまり、
図1,2に示すように、電波暗室100の室内50の床面は、床面部1とターンテーブル部2とから構成されている。
【0019】
ここで、床面部1は、電波暗室100内において固定設置されている(つまり、電波暗室100内では不動である)。他方、ターンテーブル部2は、固定状態である床面部1に対して、回転可動する。なお、床面部1およびターンテーブル部2においても、電磁波遮蔽材によって覆われており、電波吸収体が配設されている。
【0020】
図1に示すように、床面部1には、平面視形状が円形である開口部が穿設されている。そして、当該開口部に、平面視形状が円形であるターンテーブル部2が配設されている。
図2に示すように、上記開口部にターンテーブル部2が配置されている状態において、床面部1の上面とターンテーブル部2の上面とが、水平方向において揃っている(つまり、後述するように隙間3は存在するものの、床面部1の上面とターンテーブル部2の上面とは、面一となっている)。
【0021】
ここで、ターンテーブル部2の直径は、上記開口部の直径よりも若干小さい。したがって、
図1,2に示すように、上記開口部にターンテーブル部2が配設されている状態において、水平方向において、床面部1の端部とターンテーブル部2の端部との間に、隙間3が形成される。
【0022】
当該隙間3の存在により、ターンテーブル部2の回転の際に、ターンテーブル部2が床面部3と接触することを防止している。なお、一例であるが、ターンテーブル部2の直径が10m程度である場合には、当該隙間3の幅は、数mm(たとえば、5〜7mm程度)である。
【0023】
また、
図2に示すように、電波暗室100の床下には空間5が形成されており、当該空間5内に、モータ4を含む図示を省略している各機器が配設されている。モータ4により、ターンテーブル部2は、回転する。より具体的には、ターンテーブル部2の中心部を通る仮想の回転軸AXを軸に、ターンテーブル部2は、モータ4の駆動力により回転する(
図1において、時計回りまたは反時計回りに、ターンテーブル部2は回転する)。
【0024】
ターンテーブル部2上に、試験体が載置される。そして、電波暗室内100では、当該ターンテーブル部2を回転させながら、当該試験体に対する電磁波に関する試験・測定が実施される。
【0025】
なお、空間5内に配設されているモータ4等から電磁波が発生されるが、床面部1の電磁波遮断機能およびターンテーブル部2の電磁波遮蔽機能により、当該発生した電磁波が室内50側に侵入することは、抑制・防止される。
【0026】
本発明に係るターンテーブル装置は、上記した、床面部1、ターンテーブル部2およびモータ4に加えて、床面部1とターンテーブル部2とを同電位とする導通機構により構成されている。以下、この発明に関する導通機構を、その実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0027】
<実施の形態1>
図3は、本実施の形態に係るターンテーブル装置が備える導通機構の構成を示す平面図である。さらに、
図4は、当該導通機構の構成を示す断面図である。ここで、
図3,4は、
図1,2で示した隙間3の一部(当該一部の周辺構成を含む)を示した、拡大図である。
【0028】
図3,4に示すように、導通機構として、導電体8が配設されている。導電体8は、床面部1とターンテーブル部2との両方に接触するように配置されている。そして、導電体8は、ターンテーブル部2が回転したとき、上記接触を維持しながら、床面部1に対して転がると共に、ターンテーブル部2に対しても転がる。つまり、導電体8はどこにも固定されておらず、隙間3内を自由に転がることができる。本実施の形態の具体的な構成は、次の通りである。
【0029】
本実施の形態では、床面部1は、所定の厚さを有する平板形状であり、ターンテーブル部2は、所定の厚さを有する円板形状である。ここで、
図4に例示する構成では、床面部1の厚さとターンテーブル部2の厚さとは、同じであるが、室内50の床面となる、床面部1の主面(上面)高さとターンテーブル部2の主面(上面)高さとが一致していれば(面一であれば)、特に両部材1,2の厚さを同じとする必要はない。
【0030】
図4に示すように、床面部1のターンテーブル部2と対面する周端部(開口部側の周端部)は、上方向に進むに連れて、広がる傾斜面となっている。同様に、ターンテーブル部2の床面部1と対面する周端部は、上方向に進むに連れて、広がる傾斜面となっている。当該構成により、つまり床面部1の上記周端部の形状およびターンテーブル部2の上記周端部の形状により、下方向に進むに連れて幅が狭くなるような、断面がテーパ形状である隙間3が形成されている(
図3,4参照)。
【0031】
また、本実施の形態では、上記テーパ形状である隙間3内に、導電体8が配置されている。ここで、
図3,4に例示する構成では、導電体8は球体である。導電体8は、隙間3内において、床面部1の上記周端部およびターンテーブル部2の上記周端部と接触している。当該接触により、床面部1とターンテーブル部2とは、導電体8を介して電気的に接続する。
【0032】
ここで、導電体8は、銅、真鍮または鉄などの導電性材料から構成されている。また、球体である導電体8の直径は、数mm程度である。導電体8は、隙間3内に収まる程度の大きさである。つまり、導電体8は、隙間3の最も幅の広い部分よりも小さく、隙間3の最も幅の狭い部分よりも大きい。なお、
図4に示すように、導電体8の上部は、床面部1の上面およびターンテーブル部2の上面よりも、低い位置に存することが好ましい。つまり、隙間3から上方向に導電体8が突出しないことが望ましい。
【0033】
導電体8は、上述したように、床面部1の周端部およびターンテーブル部2の周端部の両方に接触するように配置されている。そして、ターンテーブル部2が回転したとき、上記接触を維持しながら、導電体8は床面部1の周端部に対して転がると共に、ターンテーブル部2の周端部に対しても転がる。
【0034】
また、
図3に示すように、導電体8は複数個であり、
図1の平面図に示す環状の隙間3内において、円周方向に沿って、導電体8は並んで配設されている(
図3の拡大図参照)。ここで、隣接する導電体8同士は接触していても良く、あるいは隣り合う導電体8同士は離れて配置されていても良い。
【0035】
なお、導電体8の数を増やし、環状の隙間3内に密な状態で導電体8を配列配置させることが望ましい。これにより、ターンテーブル部2を回転させ、隙間3において導電体8が転がり移動したとしても、隙間3全体において、ある限られた領域に、導電体8が偏って配置されることを抑制できる。
【0036】
また、
図5に示すように、環状の隙間3内に、複数の仕切り部9が均等に配設されていても良い。
図5に例示する構成では、当該仕切り部9は、床面部1側に接続されており、ターンテーブル部2側とは接続されていない。なお、
図5の構成と異なり、仕切り部9は、ターンテーブル部2側に接続されており、床面部1側とは接続されていない構成であっても良い。仕切り部9は、平面視において、環状である隙間3を、少なくとも2以上の環状片に区画している。そして、当該区画された各環状片の隙間3内に、導電体8が夫々配置させている。
【0037】
当該
図5の構成を採用することにより、ターンテーブル部2を回転させ、隙間3において導電体8が転がり移動したとしても、隙間3全体において、導電体8が偏って配置されることを完全に防止できる。つまり、各導電体8は、自身が配設されている環状片の隙間3内において、自由に転がり、移動する。
【0038】
なお、各区画された環状片の隙間3内に、1個の導電体8を配置させても良く、あるいは2個以上ずつ、導電体8を配置させても良い。
【0039】
以上のように、本実施の形態に係るターンテーブル装置では、床面部1とターンテーブル部2との両方に接触するように配置され、ターンテーブル部2が回転したとき、当該接触を維持しながら、床面部1に対して転がると共に、ターンテーブル部2に対しても転がる、導電体8を備えている。
【0040】
このように、本実施の形態に係る導通機構は、隙間3内で転がる導電体8により構成されており、固定軸等を有さず、単に転がるだけの導電体8の摩耗は非常に少ない。したがって、本実施の形態では、導通機構の摩耗を抑制することができ、長期的に、床面部1とターンテーブル部2との安定的な同電位化を維持することができる。
【0041】
また、導電体8は、床面部1およびターンテーブル部2の何れにおいても固定されておらず、両者1,2に対して転がる。よって、導電体8を固定する固定部(たとえば、導電体8が回転するローラであり、当該ローラを回転させる回転軸等)の摩耗が発生することもなく、当該固定部のメンテナンスも不要となる。つまり、構成の簡易化、メンテナンスの容易化、低コスト化に寄与する。
【0042】
また、本実施の形態では、隙間3内に、複数の導電体8が配置されている。したがって、複数個所において、床面部1とターンテーブル部2との電気的接続が可能となり、床面部1とターンテーブル部2との同電位化の向上を図ることができる。また、隙間3における電磁波遮蔽効果も向上する。
【0043】
また、本実施の形態では、
図3,4に示すように、下方向に進むに連れて幅が狭くなるようなテーパ形状の隙間3内に、導電体8が配置されている。
【0044】
このように、
図3,4に例示する構成では、導通機構の構成は極めて簡易である。これにより、導通機構の低コスト化が可能となり、また構成が簡易であるので、メンテナンスも容易となる。
【0045】
また、導電体8は球体であるので、隙間3内における導電体8の滑らかな転がりが可能となり、試験体に対する電磁波測定・試験の影響を軽減することができ、また導通機構の摩耗の更なる低減が可能となる。
【0046】
また、
図4に示すように、球体である導電体8の上部は、床面部1の上面およびターンテーブル部2の上面よりも、低い位置に存する。
【0047】
したがって、床面部1とターンテーブル部2との間を、試験体を引きずり(または転がして)移動させたとしても、隙間3内に配置されている導電体8と当該との接触を抑制・防止できる。また、床面部1の上面およびターンテーブル部2の上面から、導電体8が突出しないので、導電体8に対する上方向からの外力が加わることが防止できる。よって、当該外力により導電体8が隙間3内にめり込むことも防止できる。
【0048】
また、
図5に示すように、床面部1およびターンテーブル部2の何れか一方側のみに接続されている仕切り部9が、環状の隙間3内に少なくとも複数配設されている。そして、当該仕切り部9の配設により、当該環状の隙間3は、複数の環状片に区画されている。
【0049】
当該区画された各隙間3内に導電体8が夫々配置させることで、ターンテーブル部2を回転させ、隙間3において導電体8が転がり移動したとしても、隙間3全体において、導電体8が偏って配置されることを完全に防止できる。
【0050】
<実施の形態2>
図6は、本実施の形態に係るターンテーブル装置が備える導通機構の構成を示す断面図である。ここで、
図6は、
図1,2で示した隙間3の一部(当該一部の周辺構成を含む)を示した、拡大図である。
【0051】
図6に示すように、導通機構として、導電体8が配設されている。当該導電体8は、床面部1とターンテーブル部2との両方に接触するように配置されている。そして、導電体8は、ターンテーブル部2が回転したとき、上記接触を維持しながら、床面部1に対して転がると共に、ターンテーブル部2に対しても転がる。つまり、導電体8はどこにも固定されておらず、隙間3内(より具体的には、後述する導電体載置部12内)を自由に転がることができる。本実施の形態の具体的な構成は、次の通りである。
【0052】
本実施の形態では、床面部1は、本体部1Aと第一の部材1Bとから構成されており、ターンテーブル部2は、本体部2Aと第二の部材2Bとから構成されている。
【0053】
本体部1Aは、所定の厚さを有する平板形状であり、本体部2Aは、所定の厚さを有する円板形状である。
図1の平面図では、床面部1の上方向から視認できる部分全体が、本体部1Aであり、ターンテーブル部2の上方向から視認できる部分全体が、本体部2Aである。なお、隙間3の下方において、上方向から、第一の部材1Bの一部と第二の部材2Bの一部とが、視認できる。
【0054】
ここで、
図6に例示する構成では、本体部1Aの厚さと本体部2Aの厚さとは、同じである。また、本体部1Aおよび本体部2Aは共に、導電性を有しており、第一の部材1Bおよび第二の部材2Bは共に、導電性を有している。
【0055】
図6の構成例では、第一の部材1Bは、張り出し部分1Ba、延設部分1Bbおよび固定部分1Bcとから成り、第二の部材2Bは、張り出し部分2Ba、延設部分2Bbおよび固定部分2Bcとから成る。
【0056】
隙間3付近における本体部1Aの下面側には、固定部分1Bcが接続固定されている。当該接続固定により、本体部1Aと第一の部材1Bとは電気的に接続されている。また、隙間3付近における本体部2Aの下面側には、固定部分2Bcが接続固定されている。当該接続固定により、本体部2Aと第二の部材2Bとは電気的に接続されている。
【0057】
第一の部材1Bは、下方向に延設される延設部分1Bbを有しており、当該延設部分1Bbの一方端は、固定部分1Bcに接続され、当該延設部分1Bbの他方端は、張り出し部分1Baに接続されている。
【0058】
第二の部材2Bは、下方向に延設される延設部分2Bbを有しており、当該延設部分2Bbの一方端は、固定部分2Bcに接続され、当該延設部分2Bbの他方端は、張り出し部分2Baに接続されている。
【0059】
張り出し部分1Baおよび張り出し部分2Baは共に、隙間3側に突出している。ここで、張り出し部分1Baの端部と張り出し部分2Baの端部とは、小スリット11を隔てて対面している。
【0060】
なお、
図7の構成例では、張り出し部分1Baの隙間3側に突出している寸法と、張り出し部分2Baの隙間3側に突出している寸法とは、同じである。また、上記構成から明らかであり、
図6にも示されているように、小スリット11の
図6の左右方向の幅は、隙間3の
図6の左右方向の幅よりも小さい。
【0061】
ここで、
図1に示すように、隙間3は環状であり、当該環状に沿って、
図6の断面構成を有する、第一の部材1Bおよび第二の部材2Bが、周回状に配設されている。
【0062】
上記構成の第一の部材1Bおよび上記構成の第二の部材2Bにより、隙間3の下方において凹断面形状を有する導電体載置部12が形成される(
図6参照)。つまり、第一の部材1Bおよび第二の部材2Bにより形成される導電体載置部12は、隙間3の下方(床面より下方の空間5側)において、配置されている。
【0063】
ここで、凹形状の導電体載置部12底部には、上述したように、隙間3の幅よりも小さい幅を有する小スリット11が形成されている(
図6参照)。換言すれば、当該小スリット11の存在により、第一の部材1Bと第二の部材2Bとは、直接的に接触しない。
【0064】
また、本実施の形態では、上記導電体載置部12内において、小スリット11を塞ぐように、導電体8が配置されている。つまり、導電体8は、床面下方において形成された導電体載置部12内部に完全に納まっている。ここで、
図6に例示する構成では、導電体8は球体である。導電体8は、導電体載置部12内において、第一の部材1Bおよび第二の部材2Bと接触している。当該接触により、床面部1とターンテーブル部2とは、導電体8を介して電気的に接続する。
【0065】
ここで、導電体8は、銅、真鍮または鉄などの導電性材料から構成されている。また、球体である導電体8の直径は、たとえば数mm程度である。導電体8は、導電体載置部12内に収まる大きさである。つまり、導電体8は、導電体載置部12の
図6の横方向の幅よりも小さく、小スリット11の幅よりも大きい。
【0066】
導電体8は、床面部1を構成している第一の部材1Bの小スリット11付近およびターンテーブル部2を構成している第二の部材2Bの小スリット11付近の両方に接触するように配置されている。そして、ターンテーブル部2が回転したとき、上記接触を維持しながら、導電体8は床面部1(より具体的に、第一の部材1B)に対して転がると共に、ターンテーブル部2(より具体的に、第二の部材2B)に対しても転がる。
【0067】
なお、本実施の形態においても、導電体8は複数個であり、
図1の平面図に示す環状の隙間3内において、円周方向に沿って、導電体8は並んで配設されている。ここで、隣接する導電体8同士は接触していても良く、あるいは隣り合う導電体8同士は離れて配置されていても良い。
【0068】
なお、導電体8の数を増やし、環状の導電体載置部12内に密な状態で導電体8を配列配置させることが望ましい。これにより、ターンテーブル部2を回転させ、導電体載置部12において導電体8が転がり移動したとしても、導電体載置部12全体において、ある限られた領域に、導電体8が偏って配置されることを抑制できる。
【0069】
また、
図5と同様に、環状の導電体載置部12内に、複数の仕切り部が均等に配設されていても良い。当該仕切り部は、床面部1側(より具体的には、第一の部材1B側)に接続されており、ターンテーブル部2側(より具体的には、第二の部材2B側)とは接続されていない。または、仕切り部は、ターンテーブル部2側(より具体的には、第二の部材2B側)に接続されており、床面部1側(より具体的には、第一の部材1B側)とは接続されていない。仕切り部は、平面視において、環状である導電体載置部12を、少なくとも2以上の環状片に区画している。そして、当該区画された環状片の各導電体載置部12内に、導電体8が夫々配置させている。
【0070】
当該仕切り部を配設することにより、ターンテーブル部2を回転させ、導電体載置部12において導電体8が転がり移動したとしても、導電体載置部12全体において、導電体8が偏って配置されることを完全に防止できる。つまり、各導電体8は、自身が配設されている環状片の導電体載置部12内において、自由に転がり、移動する。
【0071】
なお、各区画された環状片の導電体載置部12内に、1個の導電体8を配置させても良く、あるいは2個以上ずつ、導電体8を配置させても良い。
【0072】
以上のように、本実施の形態に係るターンテーブル装置においても、床面部1とターンテーブル部2との両方に接触するように配置され、ターンテーブル部2が回転したとき、当該接触を維持しながら、両者1,2に対して転がる、導電体8を備えている。
【0073】
したがって、実施の形態1に係るターンテーブル装置と同様に、本実施の形態に係る導通機構においても、摩耗を抑制することができる。よって、長期的に、床面部1とターンテーブル部2との安定的な同電位化を維持することができる。
【0074】
また、導電体8は、床面部1およびターンテーブル部2の何れにおいても固定されておらず、両者1,2に対して転がる。よって、導電体8を固定する固定部の摩耗が発生することもなく、当該固定部のメンテナンスも不要となる。つまり、構成の簡易化、メンテナンスの容易化、低コスト化に寄与する。
【0075】
また、本実施の形態においても、導電体載置部12内に、複数の導電体8が配置されている。したがって、複数個所において、床面部1とターンテーブル部2との電気的接続が可能となり、床面部1とターンテーブル部2との同電位化の向上を図ることができる。また、隙間3における電磁波遮蔽効果も向上する。
【0076】
また、本実施の形態においても、導電体8は球体であるので、導電体載置部12内における導電体8の滑らか転がりが可能となり、試験体に対する電磁波測定・試験の影響を軽減することができる。また、導通機構の摩耗の更なる低減が可能となる。
【0077】
また、本実施の形態では、
図6に示すように、床面部1は、導電性を有する第一の部材1Bを有しており、ターンテーブル部2は、導電性を有する第二の部材2Bを有している。そして、第一の部材1Bおよび第二の部材2Bにより、隙間3の下方において導電体載置部12が形成されている。ここで、第一の部材1Bと第二の部材2Bとが直接接触しないように、導電体載置部12の底部には、隙間3の幅よりも小さい幅を有する小スリット11が形成されている。
【0078】
導電体8が、当該導電体載置部12内において、小スリット11の一部を塞ぐように配置されることにより、簡易な構成の導通機構を実現できる。これにより、導通機構の低コスト化が可能となり、また構成が簡易であるので、メンテナンスも容易となる。
【0079】
また、
図6に示すように、導通機構(球体である導電体8および第一,二の部材1B,2B)は、隙間3の下方(つまり、空間5側)に、配設されている。したがって、床面部1とターンテーブル部2との間を、試験体を引きずり(または転がして)移動させたとしても、上記導電機構1B,2B,8と当該試験体との接触を、完全に防止することができる。
【0080】
また、本実施の形態においても、床面部1およびターンテーブル部2の何れか一方側のみに接続されている仕切り部が、環状の導電体載置部12内に複数配設されており、当該仕切り部の配設により、当該環状の導電体載置部12は、複数の環状片に区画されている。
【0081】
当該区画された各導電体載置部12内に導電体8が夫々配置させることで、ターンテーブル部2を回転させ、導電体載置部12において導電体8が転がり移動したとしても、導電体載置部12全体において、導電体8が偏って配置されることを完全に防止できる。
【0082】
<実施の形態3>
本実施の形態では、実施の形態2に係るターンテーブル装置に、庇部15が追加されている。
図7は、本実施の形態に係るターンテーブル装置が備える導通機構の構成を示す断面図である。ここで、
図7は、
図1,2で示した隙間3の一部(当該一部の周辺構成を含む)を示した、拡大図である。
【0083】
図6と
図7との比較から分かるように、本実施の形態に係るターンテーブル装置では、庇部15が追加的に設けられている。
図7に示すように、庇部15は、導電体載置部12を上方向から覆っている。なお、庇部15は、たとえば、導電性を有さない樹脂等から構成されている。
【0084】
ここで、
図7の構成例では、庇部15は、床面部1側に接続されており、ターンテーブル部2側には接続されていない。なお、
図7の構成と異なり、庇部15は、ターンテーブル部2側に接続されており、床面部1側に接続されていなくても良い。
【0085】
また、
図7の構成例では、本外部1A側に庇部15が接続されているが、
図7の構成と異なり、第一の部材1B側に庇部15が接続されていても良い。また、庇部15がターンテーブル部2側に接続されている構成の場合においても、本外部2A側に庇部15が接続されていても良く、あるいは第二の部材2B側に庇部15が接続されていても良い。
【0086】
ここで、
図1に示すように、隙間3は環状であり、当該環状に沿って、
図7の断面構成を有する、第一の部材1Bおよび第二の部材2Bおよび庇部15が、周回状に配設されている。
【0087】
以上のように、本実施の形態に係るターンテーブル装置は、導電体載置部12を上方向から覆う庇部15を備えている。
【0088】
したがって、導電体載置部12内に塵などが侵入することを防止・抑制できる。よって、導電体載置部12の底部に塵が堆積し、第一の部材1Bと導電体8との電気的接続および第二の部材2Bと導電体8との電気的接続が阻害されることが、防止・抑制できる。さらに、導電体載置部12の底部に付着した塵を除去する複雑で困難なメンテナンスが、不要となる。
【0089】
また、庇部15を樹脂製とすることにより、当該庇部15が電磁波受信するアンテナとして機能することも防止できる。
【0090】
<実施の形態4>
図8は、本実施の形態に係るターンテーブル装置が備える導通機構の構成を示す断面図である。ここで、
図8は、
図1,2で示した隙間3の一部(当該一部の周辺構成を含む)を示した、拡大図である。
【0091】
図8に示すように、導通機構として、導電体8Aが配設されている。導電体8Aは、床面部1とターンテーブル部2との両方に接触するように配置されている。そして、導電体8Aは、ターンテーブル部2が回転したとき、上記接触を維持しながら、床面部1に対して転がると共に、ターンテーブル部2に対しても転がる。つまり、導電体8Aはどこにも固定されておらず、隙間3内を自由に転がることができる。ここで、本実施の形態では、導電体8Aは、円錐台形状である。
【0092】
円錐台形状は、断面が左右対称の台形であり、円形の上面と円形の底面とから構成されている。(一般的に、円錐台形状では、二つの円形部分のうち、直径の大きい円形を「底面」と称し、直径の小さい円形を「上面」と称するので、本明細書では、円錐台形状の形態においては、同様の扱いを行う)。本実施の形態に係る導通機構のより具体的な構成は、次の通りである。
【0093】
本実施の形態では、床面部1は、本体部1Lと第一の部材1Nとから構成されており、ターンテーブル部2は、本体部2Lと第二の部材2Nとから構成されている。
【0094】
本体部1Lは、所定の厚さを有する平板形状であり、本体部2Lは、所定の厚さを有する円板形状である。
図1の平面図では、床面部1の上方向から視認できる部分全体が、本体部1Lであり、ターンテーブル部2の上方向から視認できる部分全体が、本体部2Lである。なお、隙間3において、上方から、第一の部材1Nの一部と第二の部材2Nの一部とが視認できる。ここで、
図8に例示する構成では、本体部1Lの厚さと本体部2Lの厚さとは、同じである。
【0095】
また、第一の部材1Nは、所定の厚さを有する平板形状であり、第二の部材2Bも、所定の厚さを有する平板形状である。ここで、
図8に例示する構成では、第一の部材1Nの厚さと第二の部材2Nの厚さとは、同じである。
【0096】
また、本体部1Lおよび本体部2Lは共に、導電性を有し、第一の部材1Nおよび第二の部材2Nは共に、導電性を有する。
【0097】
隙間3付近における本体部1Lの下面側には、第一の部材1Nが接続固定されている。当該接続固定により、本体部1Lと第一の部材1Nとは電気的に接続されている。また、隙間3付近における本体部2Lの下面側には、第二の部材2Nが接続固定されている。当該接続固定により、本体部2Lと第二の部材2Nとは電気的に接続されている。
【0098】
図8の構成例では、第一の部材1Nの端部は、本体部1Lの端部よりも、隙間3側に張り出しており、第二の部材2Nの端部は、本体部2Lの端部よりも、隙間3側に張り出している。ここで、
図8の構成例では、第一の部材1Nの隙間3側に突出している寸法と、第二の部材2Nの隙間3側に突出している寸法とは、同じである。
【0099】
図8に示すように、床面部1とターンテーブル部2との間には隙間3が存在するので、本体部1Lと本体部2Lとが接続されておらず、かつ第一の部材1Nと第二の部材2Nとは接続されていない。
【0100】
ここで、
図1に示すように、隙間3は環状であり、当該環状に沿って、
図8の断面構成を有する、第一の部材1Nおよび第二の部材2Nが、周回状に配設されている。
【0101】
当該構成により、つまり床面部1の周端部構成およびターンテーブル部2の周端部構成により、下方向に進むに連れて幅が狭くなるような、階段形状の隙間3が形成されている(
図8参照)。
【0102】
また、本実施の形態では、上記階段形状である隙間3内に、導電体8Aが配置されている。ここで、
図9の拡大図に示すように、本実施の形態では、導電体8Aは円錐台形状である。導電体8Aは、隙間3内において、床面部1の上記周端部およびターンテーブル部2の上記周端部と接触している。当該接触により、床面部1とターンテーブル部2とは、導電体8Aを介して電気的に接続する。
【0103】
図8に示すように、円錐台形状の導電体8Aの上面8aが、隙間3における下方向側となり、円錐台形状の導電体8Aの底面8dが、隙間3における上方向側となる。ここで、導電体8Aの底面8dは、床面部1の上面およびターンテーブル部2の上面よりも、低い位置に存する。
【0104】
ここで、導電体8Aは、銅、真鍮または鉄などの導電性材料から構成されている。また、導電体8Aは、隙間3内に収まる大きさである。たとえば、導電体8Aの上面8aおよび底面8dの直径は、数mm程度である。ここで、
図9に示すように、導電体8Aの上面8aの直径は、導電体8Aの底面8dの直径よりも、小さい。
【0105】
図8の構成例では、底面8dの直径は、本体部1Lと本体部2Lとの間の距離よりも小さく、第一の部材1Nと第二の部材2Nとの間の距離よりも大きい。また、上面8aの直径は、第一の部材1Nと第二の部材2Nとの間の距離よりも小さい。
【0106】
導電体8Aは、床面部1の周端部およびターンテーブル部2の周端部の両方に接触するように配置されている。そして、ターンテーブル部2が回転したとき、上記接触を維持しながら、導電体8Aは床面部1の周端部(より具体的に、床面部1を構成している第一の部材1Nの周端部)に対して転がると共に、ターンテーブル部2の周端部(より具体的に、ターンテーブル部2を構成している第二の部材2Nの周端部)に対しても転がる。
【0107】
なお、本実施の形態においても、導電体8Aは複数個であり、
図1の平面図に示す環状の隙間3内において、円周方向に沿って、導電体8Aは並んで配設されている。ここで、隣接する導電体8A同士は接触していても良く、あるいは隣り合う導電体8A同士は離れて配置されていても良い。
【0108】
なお、導電体8Aの数を増やし、環状の隙間3内に密な状態で導電体8Aを配列配置させることが望ましい。これにより、ターンテーブル部2を回転させ、隙間3において導電体8Aが転がり移動したとしても、隙間3全体において、ある限られた領域に、導電体8Aが偏って配置されることを抑制できる。
【0109】
また、
図5と同様に、環状の隙間3内に、複数の仕切り部が均等に配設されていても良い。当該仕切り部は、床面部1側に接続されており、ターンテーブル部2側とは接続されていない。または、仕切り部は、ターンテーブル部2側に接続されており、床面部1側とは接続されていない。仕切り部は、平面視において、環状である隙間3を、少なくとも2以上の環状片に区画している。そして、当該区画された環状片の各隙間3内に、導電体8Aが夫々配置させている。
【0110】
当該仕切り部を配設することにより、ターンテーブル部2を回転させ、隙間3において導電体8Aが転がり移動したとしても、隙間3全体において、導電体8Aが偏って配置されることを完全に防止できる。つまり、各導電体8Aは、自身が配設されている環状片の隙間3内において、自由に転がり、移動する。
【0111】
なお、各区画された環状片の隙間3内に、1個の導電体8Aを配置させても良く、あるいは2個以上ずつ、導電体8Aを配置させても良い。
【0112】
また、
図8の構成からも明らかなように、ターンテーブル部2が回転すると、導電部8Aの側面部は、床面部1およびターンテーブル部2と接続しながら、当該側面部において転がる。
【0113】
以上のように、本実施の形態に係るターンテーブル装置においても、床面部1とターンテーブル部2との両方に接触するように配置され、ターンテーブル部2が回転したとき、当該接触を維持しながら、両者1,2に対して転がる、導電体8Aを、備えている。
【0114】
したがって、実施の形態1に係るターンテーブル装置と同様に、本実施の形態に係る導通機構においても、摩耗を抑制することができる。よって、長期的に、床面部1とターンテーブル部2との安定的な同電位化を維持することができる。
【0115】
また、導電体8Aは、床面部1およびターンテーブル部2の何れにおいても固定されておらず、両者1,2に対して転がる。よって、導電体8Aを固定する固定部の摩耗が発生することもなく、当該固定部のメンテナンスも不要となる。つまり、構成の簡易化、メンテナンスの容易化、低コスト化に寄与する。
【0116】
また、本実施の形態においても、隙間3内に、複数の導電体8Aが配置されている。したがって、複数個所において、床面部1とターンテーブル部2との電気的接続が可能となり、床面部1とターンテーブル部2との同電位化の向上を図ることができる。また、隙間3における電磁波遮蔽効果も向上する。
【0117】
また、本実施の形態では、導電体8Aは円錐台形状であり、隙間3内に配置されている。
【0118】
したがって、本実施の形態においても、導通機構の構成は極めて簡易である。これにより、導通機構の低コスト化が可能となり、また構成が簡易であるので、メンテナンスも容易となる。また、導電体8Aは円錐台形状であるので、隙間3内における導電体8Aの滑らか転がりが可能となる。よって、試験体に対する電磁波測定・試験の影響を軽減することができる。また、導通機構の摩耗の更なる低減が可能となる。
【0119】
また、本実施の形態では、床面部1の周端部およびターンテーブル部2の周端部により、下方向に進むに連れて幅が狭くなるような、階段形状の隙間3が形成されている。そして、導電体8Aの上面8aが隙間3の下方向側となり、記導電体8Aの底面8dが、床面部1の上面およびターンテーブル部2の上面よりも、低い位置に存する。
【0120】
したがって、床面部1とターンテーブル部2との間を、試験体を引きずり(または転がして)移動させたとしても、隙間3内に配置されている導電体8Aと当該試験体との接触を抑制・防止できる。また、床面部1の上面およびターンテーブル部2の上面から、導電体8Aが突出しないので、導電体8Aに対する上方向からの外力が加わることが防止できる。よって、当該外力により導電体8Aが隙間3内にめり込むことも防止できる。
【0121】
また、本実施の形態においても、床面部1およびターンテーブル部2の何れか一方側のみに接続されている仕切り部が、環状の隙間3内に複数配設されており、当該仕切り部の配設により、当該環状の隙間3は、少なくとも2以上の環状片に区画されている。
【0122】
当該区画された各隙間3内に導電体8Aが夫々配置させることで、ターンテーブル部2を回転させ、隙間3において導電体8Aが転がり移動したとしても、隙間3全体において、導電体8Aが偏って配置されることを完全に防止できる。
【0123】
また、当該仕切り部の存在により、導電体8Aが転がったとしても、当該転がりを阻害するような隙間3内における導電体8Aの傾きを防止できる。つまり、当該仕切り部により、円錐台形状の導電体8Aの意図しない傾きを防止できる。
【0124】
<実施の形態5>
図10は、本実施の形態に係るターンテーブル装置が備える導通機構の構成を示す断面図である。ここで、
図10は、
図1,2で示した隙間3の一部(当該一部の周辺構成を含む)を示した、拡大図である。
【0125】
図10に示すように、導通機構として、導電体8が配設されている。導電体8は、床面部1とターンテーブル部2との両方に接触するように配置されている。そして、当該導電体8は、ターンテーブル部2が回転したとき、上記接触を維持しながら、床面部1に対して転がると共に、ターンテーブル部2に対しても転がる。つまり、導電体8は、把持はされているものの、後述する各窪み25,26により構成される空間内を自由に転がることができる。本実施の形態のより具体的な構成は、次の通りである。
【0126】
本実施の形態では、床面部1は、本体部1Pと第一の部材1Qとから構成されており、ターンテーブル部2は、本体部2Pと第二の部材2Qとから構成されている。
【0127】
本体部1Pは、所定の厚さを有する平板形状であり、本体部2Pは、所定の厚さを有する円板形状である。
図1の平面図では、床面部1の上方向から視認できる部分全体が、本体部1Pであり、ターンテーブル部2の上方向から視認できる部分全体が、本体部2Pである。ここで、隙間3の下方において、上方からは、第二の部材2Qの一部が視認できる。
【0128】
図10に例示する構成では、本体部1Pの厚さと本体部2Pの厚さとは、同じである。また、本体部1Pおよび本体部2Pは共に、導電性を有しており、第一の部材1Qおよび第二の部材2Qは共に、導電性を有している。
【0129】
図10の構成例では、第一の部材1Qは、平面部と第一の窪み25とを有している。ここで、第一の窪み25の断面形状は、円弧状である(つまり、丸みを帯びている)。第一の部材1Qの平面部は、隙間3近傍の本体部1Pの下面に固定されている。なお、第一の窪み25は、平面部に対向する側において形成されている。
【0130】
図10の構成例では、第二の部材2Qは、断面がL字形である延設部20と、弾性部材21と、把持部22とから構成されている。
【0131】
延設部20の一方端は、隙間3近傍の本体部2Pの下面に固定されている。また、延設部20は、
図10に例示するように、隙間3の下方に存するように、本体部2Pから本体部1Pの下方にかけて延設されている。延設部20の他方端付近には、弾性部材21の一方端が接続されている。
【0132】
ここで、弾性部材21は、第一の部材1Qと把持部22とによる、導電体8の把持力を付勢する。また、弾性部材21の他方端には、把持部22が接続されている。なお、把持部22の第一の部材1Qに対面する側には、第二の窪み26が設けられている。ここで、第二の窪み26の断面形状は、円弧状である(つまり、丸みを帯びている)。
【0133】
本体部1Pと第一の部材1Qとは電気的に接続されており、本体部2Pと第二の部材2Qとは電気的に接続されている。また、第二の部材2Qにおいて、延設部20と弾性部材21と把持部22とは、電気的に接続されている。よって、第一の部材1Qと第二の部材2Q(より具体的には、把持部22)とにより導電体8が把持されている状態により、床面部1とターンテーブル部2とは、電気的に接続される(つまり、床面部1とターンテーブル部2とは、導電体8を介して電気的に接続される)。
【0134】
また、上記記載および
図10から分かるように、導電体8を把持している、第一の部材1Qおよび第二の部材2Qとで構成される構成体は、隙間3を下方向から(空間5側から)覆っている。
【0135】
導電体8は球体であり、当該導電体8は、第一の部材1Qの第一の窪み25および第二の部材2Q(より具体的には、把持部22)の第二の窪み26により、把持されている(
図10参照)。なお、上述したように、第二の部材2Qは、導電体8の上記把持を付勢する弾性部材21を有している。
【0136】
ここで、
図1に示すように、隙間3は環状であり、当該環状に沿って、
図10の断面構成を有する、第一の部材1Qおよび第二の部材2Qから構成される構成体も、周回状に配設されている。よって、第一の窪み25と第二の窪み26とが対面することにより形成される空間も当然、環状である。
【0137】
また、導電体8は、銅、真鍮または鉄などの導電性材料から構成されている。また、球体である導電体8の直径は、たとえば数mm程度である。第一の窪み25と第二の窪み26とが合わさっている状態において環状の空間が形成されるが、導電体8は、当該空間の把持方向の寸法よりも若干大きい。したがって、第一の部材1Qと第二の部材2Qとにより導電体8が把持されている状態において、第一の部材1Qと第二の部材2Q(より具体的には、把持部22)とが対面する側において、両部材1Q,2Q間には、小さいギャップが存在する(
図10参照)。
【0138】
導電体8は、床面部1を構成する第一の部材1Qおよびターンテーブル部2を構成する第二の部材2Qの両方に接触するように配置されている。そして、ターンテーブル部2が回転したとき、上記接触を維持しながら、導電体8は床面部1(より具体的に、床面部1を構成している第一の部材1Qの第一の窪み25)に対して転がると共に、ターンテーブル部2(より具体的に、ターンテーブル部2を構成している第二の部材2Qの構成要素である、把持部22の第二の窪み26)に対しても転がる。
【0139】
なお、本実施の形態においても、導電体8は複数個であり、第一の窪み25と第二の窪み26とが合わさっている状態において形成される環状の空間内において、円周方向に沿って、導電体8は並んで配設されている。ここで、隣接する導電体8同士は接触していても良く、あるいは隣り合う導電体8同士は離れて配置されていても良い。
【0140】
当該構成から分かるように、ターンテーブル部2が回転することにより、複数の導電体8は、上記環状の空間内において、ベアリングのように転がる。
【0141】
なお、導電体8の数を増やし、上記環状の空間内に密な状態で導電体8を配列配置させることが望ましい。これにより、ターンテーブル部2を回転させ、上記環状の空間において導電体8が転がり移動したとしても、上記環状の空間全体において、ある限られた領域に、導電体8が偏って配置されることを抑制できる。
【0142】
また、上記環状の空間内に、仕切り部が配設されていても良い。当該仕切り部は、床面部1側(より具体的には、第一の部材1Q側)に接続されており、ターンテーブル部2側(より具体的には、把持部22側)とは接続されていない。または、仕切り部は、ターンテーブル部2側(より具体的には、把持部22側)に接続されており、床面部1側(より具体的には、第一の部材1Q側)とは接続されていない。仕切り部は、平面視において、上記環状の空間を、少なくとも2以上の環状片に区画している。そして、当該区画された各領域内に、導電体8が夫々配置させる。
【0143】
当該仕切り部を配設することにより、ターンテーブル部2を回転させ、上記環状の空間において導電体8が転がり移動したとしても、上記環状の空間全体において、導電体8が偏って配置されることを完全に防止できる。つまり、各導電体8は、自身が配設されている環状片の領域内において、自由に転がり、移動することが可能である。
【0144】
なお、各区画された環状片の領域内に、1個の導電体8を配置させても良く、あるいは2個以上ずつ、導電体8を配置させても良い。
【0145】
また、上記環状の空間は、数珠形状であり、珠状の各領域内に、球状の導電体8を夫々配設させても良い。
【0146】
以上のように、本実施の形態に係るターンテーブル装置においても、床面部1とターンテーブル部2との両方に接触するように配置され、ターンテーブル部2が回転したとき、当該接触を維持しながら、両者1,2に対して転がる、導電体8を備えている。
【0147】
したがって、実施の形態1に係るターンテーブル装置と同様に、本実施の形態に係る導通機構においても、摩耗を抑制することができる。よって、長期的に、床面部1とターンテーブル部2との安定的な同電位化を維持することができる。
【0148】
また、導電体8は、第一の窪み25と第二の窪み26とが対面することにより形成される環状の空間内において把持はされているものの、当該環状の空間内おいて自由に転がることができる。このように、本実施の形態においても、導電体8の転がりが支持する部材(つまり回転固定軸)を有さない。よって、当該回転固定軸の摩耗が発生することもなく、当該回転固定軸のメンテナンスも不要となる。つまり、構成の簡易化、メンテナンスの容易化、低コスト化に寄与する。
【0149】
また、本実施の形態においても、上記環状の空間内に、複数の導電体8が配置されている。したがって、複数個所において、床面部1とターンテーブル部2との電気的接続が可能となり、床面部1とターンテーブル部2との同電位化の向上を図ることができる。
【0150】
また、本実施の形態においても、導電体8は球体であるので、上記環状の空間内における導電体8の滑らか転がりが可能となり、電磁波測定・試験に対する影響の軽減および導通機構の摩耗の更なる低減が可能となる。
【0151】
また、本実施の形態では、導電体8を把持している、第一の部材1Qおよび第二の部材2Qとで構成される構成体は、隙間3を下方向から覆っている。
【0152】
したがって、モータ4等で発生した電磁波が、空間5から隙間3を通って室内50内に侵入することを抑制できる。つまり、本実施の形態に係る発明では、隙間3における電磁波遮蔽効果が格段に向上する。
【0153】
また、
図10の構成の場合には、第一の部材1Qと第二の部材2Qとにより導電体8が把持されている状態において、第一の部材1Qと第二の部材2Q(より具体的には、把持部22)との間のギャップを極めて小さく設計できる。これは、10m以上の、ターンテーブル部2および床面部1と異なり、第一の部材1Qと第二の部材2Qとの寸法は、数mmから数cm程度であり、導電体8の直径も数mm程度であり、これら小さい部材では加工精度が向上させやすく、当該ギャップを1mm以下程度まで小さくできるからである(つまり、ターンテーブル部2の本体部2P等の大きい部材より、導電体8等の小さい部材の方が、加工精度が向上させやすい)。
【0154】
たとえば、直径10m程度のターンテーブル部2を回転させたとき、床面部1とターンテーブル部2(本体部2P)との接触を防止するためには、ターンテーブル部2(本体部2P)の上記寸法での加工精度の向上のしやすさを考慮すると、隙間3の幅は6〜7mm程度となる。これに対して、数mm程度の球体である導電体8と当該導電体8を把持する部材(数mm程度)とを加工する場合、加工精度が格段に向上させやすく、上記ギャップを1mm以下とすることが可能となる。
【0155】
したがって、
図10の構成では、当該ギャップを小さくできるので、当該ギャップを介した空間5から室内50への電磁波侵入がかなり抑制できる。なお、弾性部材21の付勢力により、当該極小のギャップが拡大することもない。
【0156】
また、
図10に示すように、球体である導電体8および当該導電体8を把持する構成体は、本体部1P,2Pの下方に配置されている。したがって、床面部1とターンテーブル部2との間を、試験体を引きずり(または転がして)移動させたとしても、上記構成体と当該試験体との接触を、完全に防止することができる。
【0157】
また、本実施の形態に係るターンテーブル装置では、弾性部材21の付勢力により、第一の部材1Qと把持部22とによる導電体8の把持を行っている。よって、導電体8と床面部1(より具体的に、第一の部材1Q)との接触、および導電体8とターンテーブル部2(より具体的に、第二の部材2Q)との接触が、安定的となり、ターンテーブル部2を回転させても、持続的に、床面部1とターンテーブル部2との同電位化を確実に維持することができる。
【0158】
また、
図10に示す構成例では、導電体8を第一の窪み25および第二の窪み26により把持する構成を、採用しており、弾性部材21の付勢力により導電体8の把持力を強化している。よって、本実施の形態では、
図10に示す構成・形状に起因にして、当該導電体8を把持する部分に埃等が侵入することもなく、当該埃等による同電位化阻害も防止できる。
【0159】
また、本実施の形態においても、床面部1およびターンテーブル部2の何れか一方側のみに接続されている仕切り部が、窪み25,26から成る環状の空間内に複数配設されており、当該仕切り部の配設により、当該環状の空間は、少なくとも2以上の環状片に区画されている。
【0160】
当該区画された各環状片の空間内に導電体8が夫々配置させることで、ターンテーブル部2を回転させ、当該環状片の空間内において導電体8が転がり移動したとしても、上記環状の空間全体において、導電体8が偏って配置されることを完全に防止できる。
【0161】
なお、本実施の形態では、床面部1の下方において、弾性部材21の付勢を利用して導電部8が把持されている(
図10参照)。しかしながら、ターンテーブル部2の下方において、弾性部材の付勢を利用して導電体8が把持される構成を採用しても良い。当該構成の場合には、第一の部材1Qと同様の部材が、隙間3付近の本体部2P下面に接続され、第二の部材2Qと同様の部材が、隙間3付近の本体部1P下面に接続される。そして、第二の部材2Qと同様の部材は、本体部1Pから本体部2Pに渡って延設され、第二の部材2Qと同様の部材が有する、弾性部材および把持部が、本体部2P側に配設される。
【0162】
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【0163】
たとえば、
図7に示す庇部15の代わりに、
図11に示す樹脂製の庇部15を採用しても良い。
図11に示す構成例では、庇部15はL字状の断面形状であり、当該庇部15は、本体部1Aの上面に接続されており、本体部2Aの上面にかけて延設されている。つまり、
図11の構成例では、庇部15は、完全に、隙間3を上方から覆っている。ここで、
図11に示す構成例では、庇部15は、ターンテーブル部2側とは接続されていない。なお、
図11に示す形態の庇部15は、本体部2A側に接続されていても良い。当該場合には、当該庇部15は、本体部1Aとは接続されない。