(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5922260
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】多層デバイスおよび多層デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 41/297 20130101AFI20160510BHJP
H01L 41/047 20060101ALI20160510BHJP
H01L 41/27 20130101ALI20160510BHJP
H01L 41/293 20130101ALI20160510BHJP
H01L 41/083 20060101ALI20160510BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20160510BHJP
H01G 4/232 20060101ALN20160510BHJP
H01G 4/12 20060101ALN20160510BHJP
【FI】
H01L41/297
H01L41/047
H01L41/27
H01L41/293
H01L41/083
H01G4/30 311E
H01G4/30 311D
H01G4/30 301C
H01G4/30 301B
!H01G4/12 352
!H01G4/12 361
!H01G4/12 364
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-556985(P2014-556985)
(86)(22)【出願日】2013年2月5日
(65)【公表番号】特表2015-513789(P2015-513789A)
(43)【公表日】2015年5月14日
(86)【国際出願番号】EP2013052214
(87)【国際公開番号】WO2013124146
(87)【国際公開日】20130829
【審査請求日】2014年8月19日
(31)【優先権主張番号】102012101351.9
(32)【優先日】2012年2月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】エプコス アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】ゾーミッチュ ディーター
(72)【発明者】
【氏名】リンナー フランツ
【審査官】
境 周一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−072370(JP,A)
【文献】
特表2010−517311(JP,A)
【文献】
特開平05−267743(JP,A)
【文献】
特開2006−203077(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0320255(US,A1)
【文献】
特開平05−243635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 41/00−41/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が活性な積層体またはそのグリーン前駆体の製造方法であって、
複数の交互に続いて重なったセラミック誘電体層および内部電極層(2,2')からなる、積層方向に延在するそれぞれの側面A,B,C,およびDを有する、焼結された、あるいは焼結されていない、積層体(1)を提供するステップであって、ここで前記内部電極層(2,2')は、側面Aおよび側面Cに対して連続して形成されており、また前記側面Bまたは前記側面Dにそれぞれに対して非連続に形成されており、前記内部電極層(2)またはその焼結されていない前駆体の一部分が、前記側面Dでなく、前記側面Bに接続し、前記内部電極層(2')またはその焼結されていない前駆体の他の部分が、前記側面Bでなく、前記側面Dに接続しているステップと、
それぞれの側面に接続している前記内部電極層(2,2')またはその焼結されていない前駆体を、一時的な絶縁領域(3)を有する外部接続部を介して前記側面Bまたは前記側面Dに一緒に一時的に接続するステップであって、前記それぞれの側面が接続している内部電極層が選択的に電気的に駆動され得るステップと、
前記電気的に駆動される内部電極層またはその焼結前駆体を前記側面Aおよび前記側面C上で電気化学的メッキを行うステップと、
前記積層体を個々に分離して、全体が活性な積層体、あるいは前記側面A'および前記側面C'上に電気化学的メッキされた前記内部電極層を有する前記積層体のグリーン前駆体またはその焼結されていない前駆体を個々に分離するステップと、
を備え、
前記電気化学的メッキは、電気分解技術を用いて行なわれ、前記内部電極(2,2’)の少なくとも一部が、前記電気化学的メッキの前にバックエッチングされ、かつ前記電気化学的メッキの後に、電気化学的酸化を用いて絶縁性の酸化層に転換される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記積層体(1)は、前記内部電極層(2,2')が前記側面Aおよび前記側面Dと交互に接続される領域を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電気化学的メッキのステップに先行して、前記内部電極層(2,2')の少なくとも一部が、電気化学的摩耗の原理によりバックエッチングされる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
電気分解技術を用いた前記電気化学的メッキの後に陽極酸化によって絶縁性の酸化層に転換される、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記電気化学的メッキは、電気分解技術を用いて行われ、電気メッキ材料として、前記内部電極層の金属とは異なる金属または金属混合物が用いられる、ことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記電気化学的メッキは、水性のNaCl溶液を電解質として、交流電圧を印加して行われる、ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記内部電極層は、銀、銀合金、AgPd、または銅を含む、ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記電気化学的摩耗の原理により、前記内部電極層は1〜10μmバックエッチングされることを特徴とする請求項3乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
全体が活性な多層デバイスの製造方法であって、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の全体が活性な積層体(12)を製造するステップであって、場合によっては前記全体が活性な積層体またはそのグリーン前駆体を焼結するステップと、
前記全体が活性な積層体(12)の側面A'およびC'上に外部電極を取り付けて、前記電気化学的にメッキされた内部電極層またはメッキされていない内部電極層を接続するステップであって、両方の前記外部電極(11)が前記電気化学的にメッキされた内部電極層またはメッキされていない内部電極層(2,2')と電気的に接続されるようにする、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体が活性な多層デバイス、全体が活性な積層体の製造方法、およびこの全体が活性な積層体からなる全体が活性な多層デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
多層デバイスは、(複数の)コンデンサおよびピエゾアクチュータを備え、これらはそれぞれ交互になった誘電体層と内部電極層とを備えている。圧電アクチュエータの場合は、これらの誘電体層が圧電性である。このため、圧電アクチュエータは、圧電素子に属するものである。
【0003】
圧電素子はとりわけ、位置決め素子、超音波変換器、センサ、およびインクジェットプリンタ、また自動車技術における燃料制御素子の駆動のため、たとえばチタン酸ジルコン酸鉛等の圧電セラミック材料が電場作用下で変形を受ける。この圧電素子に電圧が印加されると、これは生成された電場に直角な方向に伸張する(逆圧電効果)。
【0004】
圧電素子の利点は、とりわけその比較的大きな速度、比較的大きな効果、そして圧電アクチュエータとして用いられた場合の比較的小さな移動距離である。
【0005】
しかしながら、この圧電アクチュエータを用いて比較的大きな移動距離が達成される必要がある場合は、たとえば特許文献1に開示されているように、この圧電アクチュエータに多数の連続して交互に重なり合った圧電層と内部電極層とが用いられる。
【0006】
この特許文献1に開示された圧電素子では、これらの内部電極層が、圧電積層体の対向した外面に配設された外部電極と交互に電気的に接続されている。このため、上記の両方の外部電極の1つと電気的に接続されている内部電極層は、この外部電極との電気的接続のために、これらの外部電極が配設されている外面までつながっている。しかしながらこのため、これらの内部電極層はもう一方の外部電極から絶縁されており、これらの内部電極層は、他の外部電極が配設されている圧電積層体の外面まで到達しない。これらの領域では、内部電極層は外面から後退している。これは、この圧電積層体がこれらの領域でシリコン樹脂で充填されたスリットが設けられることによって達成される。
【0007】
これらの後退した内部電極層により、これらの領域に配設された圧電層はいわゆる不活性ゾーンを形成する。通常これらの不活性ゾーンは、圧電積層体の相毎の製造の際に形成される。プロセス、積層体、分離、脱バインダおよび研磨により、不活性ゾーンを有する圧電積層体が製造される間に、対応する外部電極に対する内部電極層の信頼性のある電気的絶縁の目的のため、比較的大きな、圧電積層体の断面の概ね10%までの不活性ゾーンが形成される。これらの不活性ゾーンは、外部電極あるいは内部電極層に印加される電圧では、低減された電界強度となっており、またこのためこの印加された電圧では、圧電層の他の部分、いわゆる活性ゾーンより小さめに伸張する。これは、とりわけ不活性ゾーンおよびこの不活性ゾーンの縁部領域で機械的ストレスをもたらし、圧電素子のこれらの不活性ゾーンおよび活性ゾーンにおいて、外部電極にも達する、いわゆる分極亀裂をもたらす。この分極亀裂の危険性は、この不活性ゾーンが大きいほど増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平03−174783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、動作時の性能を改善した多層デバイスおよびその製造方法を提示することである。とりわけこの圧電アクチュエータの動作時の圧電セラミックにおける機械的ストレスが低減される圧電アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この本発明の課題は、全体が活性な積層体あるいは棒状体、またはそのグリーン前駆体の製造方法によって解決され、この方法は以下のステップを備える。
−複数の交互に続いて重なったセラミック誘電体層および内部電極層からなる、積層方向に延在するそれぞれの側面A,B,C,およびDを有する、焼結された、あるいは焼結されていない、(初期)積層体を提供するステップであって、ここでこれらの内部電極層は側面Aおよび側面Cに対して連続して形成されており、また側面Bまたは側面Dにそれぞれに対して非連続に形成されており、これらの内部電極層またはその焼結されていない前駆体の一部分が、側面Dでなく、側面Bに接続し、これらの内部電極層またはその焼結されていない前駆体の他の部分が、側面Bでなく、側面Dに接続しているステップ。
−それぞれの側面に接続している内部電極層またはその焼結されていない前駆体を、一時的な絶縁領域(Isozone)を有する外部接続部を介して側面BまたはDに一緒に一時的に接続するステップであって、これらのそれぞれの側面が接続している内部電極層が選択的に電気的に駆動され得るステップ。
−電気的に駆動される内部電極層またはその焼結前駆体を側面Aおよび側面C上で電気化学的メッキを行うステップ。
−この積層体を個々に分離して、全体が活性な積層体、あるいは側面A’および側面C’上に電気化学的にメッキされた内部電極層を有するこの積層体のグリーン前駆体またはその焼結されていない前駆体を個々に分離するステップ。
【0011】
この方法で全体が活性な圧電積層体が生成される場合は、このセラミック誘電体層にはセラミック圧電層が用いられる。好ましくは、この初期積層体は、これらの内部電極層が側面AおよびDそれぞれと交互に接続している。とりわけ好ましくは、この初期積層体においては、全ての内部電極層がこれらの側面AおよびDのそれぞれに交互に接続している。
【0012】
本発明の課題はさらに、上記の方法によって製造された全体が活性な積層体からなる、全体が活性な多層デバイスの製造方法によって解決される。全体が活性な積層体またはそのグリーン前駆体は、ここで個別に上記の方法によって製造され、また適宜焼結される。
次にこの全体が活性な積層体の側面A’およびC’上に外部電極が取り付けられ、これにより上記の電気化学的にメッキされた内部電極またはメッキされていない内部電極と接続し、これら両方の外部電極がこの電気化学的にメッキされた内部電極またはメッキされていない内部電極と電気的に接続されるようにする。
【0013】
本発明の課題は、最終的に、複数の誘電体層および内部電極層よりなる全体が活性な積層体と、この圧電積層体の対向する面に配設された2つの外部電極と、を備える多層デバイスを提供することによって解決され、ここで内部電極層の少なくとも一部が電気化学的にメッキされ、これら両方の外部電極はそれぞれ電気化学的にメッキされた内部電極または電気化学的にメッキされていない内部電極と電気的に接続され、これら両方の外部電極の内部電極の一部への電気的接続は、これらの内部電極の上の酸化層で遮断されるか、あるいは内部電極の電気メッキ部を介して形成される。この全体が活性な多層デバイスは、コンデンサおよび圧電アクチュエータを含む。全体が活性な圧電アクチュエータが提供される場合は、これらのセラミック誘電体層はセラミック圧電層である。
【0014】
本発明の1つの特別な実施形態においては、上記の酸化層が、内部電極に含まれる金属とは異なる金属を含み、好ましくは、これらの内部電極に用いられている金属よりも希少性の無い金属を含む。たとえば内部電極が銅を含む場合、この酸化層はアルミニウムを含んでよい。
【0015】
本発明のもう1つの特別な実施形態においては、内部電極の一部へのこれらの外部電極の電気的接続は、これらの内部電極の電気メッキ部を介して形成され、この内部電極の残りの部分の内部電極へのこれらの外部電極の電気的接続は、セラミックからなる幅50〜200μmの、好ましくは幅50〜100μmの狭い絶縁ゾーン(Isozone)によって遮断される。
【0016】
本発明では、全体が活性な積層体とは、内部電極が全体に渡っている、すなわちこの積層体の断面の全面に渡って延在していることを意味している。このように形成することによって、内部電極全体はこの積層体の外面まで達し、このためこの積層体は不活性ゾーンを全く含まない。これにより、この多層デバイスの稼働中の性能が改善され、圧電アクチュエータの場合には、稼働中の圧電セラミックでの機械的ストレスが低減される。
【0017】
この全体が活性な積層体の製造方法で提供される(初期)積層体は、たとえば少なくとも2つの部分積層体を交互に積層することによって製造され、ここでそれぞれの部分積層体は誘電体層とこの上に配設された内部電極層とを備える。この提供される積層体は、この際とりわけ、いわゆるグリーンセラミックシートが、たとえばシルクスクリーン印刷処理で金属性ペーストを用いて印刷されて製造される。この印刷はこの際、この金属性ペーストがセラミックグリーンシートを完全に覆うように行われ、ここで一つの側面で印刷されていない縁部が残されるようにされる。この金属性ペーストは、たとえばAgPd粒子またはCu粒子、溶剤および他の添加剤を含む。次に通常約300〜600枚の、上記の2つの部分積層体からなる、上記のペーストが取り付けられたグリーンセラミックシートが、1つのブロックが生成されるようにが重ね合わされ、このブロックでこれらの金属性中間層が、2つの対向する側面と交互に接続し、全ての1つおきの中間層が印刷されていない縁部に対してが同様に配置される。生成された積層体は、次にプレスされていわゆるグリーンブロックに加工される。続いてこのグリーンブロックは、溶剤の残りを除去するため脱バインダされ場合によっては焼結される。1つのグリーンブロックから分割によって個々の積層体が生成され、場合により複数の(初期)積層体あるいは(初期)棒状体が生成される。
【0018】
この全体が活性な積層体あるいはそのグリーン前駆体の製造方法において、第1のステップで提供される(初期)積層体は、焼結されているかまたはグリーン状態である。この積層体が焼結される場合は、電気化学的メッキを行う時に、この圧電積層体におけるセラミック中間層の損傷の恐れが少ないという利点がある。
【0019】
本発明の1つの実施形態によれば、これらの電気駆動される内部電極の電気化学的メッキは、側面AおよびC上で電気化学的酸化、好ましくは陽極酸化によって行われる。陽極酸化とは、本発明では金属上に酸化層を生成する電解法を意味する。代替として、この電気化学的メッキは、電気分解技術あるいは電気メッキで行われてよい。電気分解技術あるいは電気メッキは、本発明では対象物上の金属層の電気化学的堆積を意味する。
【0020】
本発明の1つの特別な実施形態によれば、上記の電気化学的メッキに先行して、全ての内部電極が、好ましくは電気化学的摩耗の原理(Prinzip des elektrochemischen Abtragens)により、バックエッチング(zuruckgeatzt)される。電気化学的摩耗とは、本発明では電気化学的方法により金属を除去する方法を意味する。
【0021】
本発明の1つの特別な実施形態によれば、電気分解技術を用いた電気化学的メッキの後に、メッキされていない内部電極が絶縁材料で覆われる。この電気分解技術を用いた電気化学的メッキの前にバックエッチングされる場合は、この電気化学的メッキは電気分解技術を用いてエッチング深度以上にされる。
【0022】
本発明の1つの特別な実施形態によれば、電気分解技術(Galvanotechnik)を用いた電気化学的メッキの後に電気化学的酸化、好ましくは陽極酸化によって絶縁性の酸化層に転換される。このため、好ましくは、内部電極の材料と異なる電気メッキ材料が用いられる。好ましくは、この電気メッキ材料は、内部電極の材料より容易に酸化可能なものである。内部電極が銅を含む場合は、たとえば、アルミニウム金属またはアルミニウムを含む金属混合物が用いられてよい。
【0023】
本発明の1つの特別な実施形態によれば、バックエッチング後に再度充填されていない溝は、焼結によって封鎖される。好ましくは、この全体に活性な圧電積層体の製造方法は、ここでは、グリーン圧電積層体から開始される。このようにして、追加的な絶縁材料およびその取り付けステップが省略されるので、とりわけ経済的な方法が可能である。これに加えて、特に狭い、50〜200μm好ましくは50〜100μmの幅の不活性ゾーンあるいは絶縁ゾーン(Isozone)が形成される。
【0024】
本発明の1つの特別な実施形態によれば、電気化学的メッキは、水性の塩化ナトリウム溶液を電界質として行われる。ここで、たとえば50Hzの交流が用いられてよい。内部電極はこのため、好ましくは銀または銀合金から成り、さらに好ましくはAgPdから成る。このようにして、電圧が導入されている電極上に銀酸化層が成長する(学術雑誌Materials and Corrosion (“Werkstoffe und Korrosion”), 第 22巻, 第2号, 143頁以降, 第2冊/1971のBAEWA, W. の論文“Oxidation von Silber durch Wechselstrom von 50 HZ in wassriger Natriumchlorid-losung”を参照)。
【0025】
本発明の実施形態は、添付された概略図に例示的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】積層方向に沿って側面A,B,C,およびDを有する圧電積層体の側面斜視図である。
【
図2】圧電積層体の電気化学的メッキの電解槽を示す図である。
【
図3A】内部電極上に取り付けられた酸化層を示す図である。
【
図3B】内部電極上に取り付けられた酸化層を示す図である。
【
図4】積層方向に沿って側面A’,B’,C’,およびD’を有する、1つの分離された、全体が活性な圧電積層体を示す図である。
【
図5A】電気的に駆動される内部電極の上に取り付けられた電気メッキ部を有する圧電積層体を示す図である。
【
図5B】追加的に取り付けられた絶縁材料を有する圧電積層体を示す図である。
【
図5C】電気メッキ部が露出されるように、さらに研磨工程を行った後の圧電積層体を示す図である。
【
図6A】溝となるようにバックエッチングされた内部電極を有する圧電積層体を示す図である。
【
図6B】部分的に電気メッキを行うことによって再び充填された溝を有する圧電積層体を示す図である。
【
図6C】残った溝を充填しながら追加的に取り付けられた絶縁材料を有する圧電積層体を示す図である。
【
図6D】追加的な研磨工程の後の圧電積層体を示す図である。
【
図6E】最後に外部電極が設けられた、全体が活性な圧電積層体を示す図である。
【0027】
第1の実施形態例におけるプロセス手順は以下の通りである。
a)積層方向に沿って側面A,B,C,およびDを有する焼結された圧電積層体(1)が提供される。この圧電積層体は(一時的な)絶縁ゾーン(Isozone)および外部接続部(3)を有し、これらの外部接続部(3)を介して側面B上の1つおきの内部電極(2)を電気的に駆動することができ、同様に対応する側面D(3’、不図示)上の1つおきの内部電極(2’)を電気的に駆動することができる(
図1参照)。
【0028】
b)この圧電積層体(1)は、一方の側面(側面C)で電界溶液(6)に浸され(
図2参照)、この圧電積層体(1)の側面Bの外部接続部(3)で(正の)電圧が印加され、その対電極(5)は負の電圧が印加されて、数分間電流が流される。この圧電積層体(1)の電圧が導入されている内部電極(2)に、酸化層(4)が形成される(
図2,
図3Aおよび
図3B参照)。ここで上記の陽極酸化の原理が利用されている。
【0029】
c)方法ステップb)は、この圧電積層体(1)の側面Aに対しても同様に行われる。
【0030】
d)このメッキされた内部電極(2,2’)を有する圧電積層体(1)は、全体が活性な圧電積層体(12)に個々に分離される(
図4参照)。
【0031】
e)側面A’およびC’上に導電性接着剤またはメタライジング用ペーストでメタライジングすることによって外部電極(11)が取り付けられ、これらの外部電極は、それぞれ酸化層が設けられていない、対応する側面上に設けられた内部電極、すなわち側面A’上の内部電極(2’)あるいは側面C’上の内部電極と電気的に接続している。上記のステップd)およびe)は、逆の順番で処理されてよい。
【0032】
この第1の実施形態例の変形例では、水性のNaCl溶液が電解質として用いられ、その外部接続部(3)を介して内部電極(3)が駆動される圧電積層体(1)と対電極(5)との間に交流電圧が印加される。この変形例においては、これらの内部電極は銀または銀合金、たとえばAgPdから成り、これにより電圧が導入されている電極上に銀酸化層が成長する(学術雑誌Materials and Corrosion (“Werkstoffe und Korrosion”), 第 22巻, 第2号, 143頁以降, 第2冊/1971のBAEWA, W. の論文“Oxidation von Silber durch Wechselstrom von 50 HZ in wassriger Natriumchlorid-losung”を参照)。
【0033】
第1の実施形態のもう1つの変型例においては、メッキされた内部電極(2,2’)は、まず電気化学的摩耗の原理により、好ましくは1〜5μmで、深さ方向に除去され、これによって電気化学的にバックエッチングされた溝(9)が生成される。続いて場合によっては、電解質を交換することにより、陽極酸化のプロセスが実行される。これによりさらにデバイスの深くまで達し、またこうして良好な絶縁を保証する酸化層を得ることができる。
【0034】
第2の実施形態例においては、以下のようにしてプロセスが実行される。
a)側面の(一時的な)絶縁ゾーンおよび外部接続部(3)を有する、焼結された圧電積層体(1)が提供される(
図1参照)。
【0035】
b)この部品の側面Cは、電解メッキ槽に浸され、内部電極(2)は、外部電極(3)を介してこの圧電積層体(1)の側面Bに負の電圧を印加する。ここで電圧が導入されている内部電極(2)(カソード)に、数μmの厚さの金属層(通常10〜20μm)が堆積される(電解技術プロセス)。
【0036】
c)ここで側面Aに対して、この方法ステップb)が同様に繰り返される。
【0037】
d)この圧電積層体のパターニングされた表面(
図5A参照)が、ここで絶縁材料(8)によって平坦化される(
図5B参照)。好ましくは、絶縁材料として、ガラスまたは有機ワニスが用いられる。
【0038】
e)この棒状体の表面AおよびCは研磨され、外部に向いた電気メッキされた電極(7)をさらにメタライジングするために十分開放されまた加工される(たとえばスパッタ,研磨等)。深部にある電極は、これらの洗浄工程によっても、表面から絶縁されたままである。
【0039】
f)ここで側面AおよびC上に外部メタライジング部が取り付けられ、この外部メタライジング部は、全体が活性な圧電積層体に個々に分離され、さらに加工される。
【0040】
第3の実施形態例におけるプロセス手順は以下の通りである(
図6A〜6E参照)。
a)側面の(一時的な)絶縁ゾーンおよび外部接続部(3)を有する、焼結された圧電積層体(1)が提供される(
図1参照)。
【0041】
b)圧電積層体(1)は、一方の面(側面C)で適合した電解質溶液に浸され(
図2参照)、この圧電積層体(1)はその内部電極(2)に、側面B上の外部接続部(3)を介して、また同時に図示されていない側面D上の外部電極(3’)を介して、内部電極(2’)に(正の)電圧が印加され、対電極(5)が負の電圧に印加され、数分間電流が流される。これにより全ての電極は、電気化学的摩耗の原理によって1〜10μm、好ましくは1〜5μmバックエッチングされる。
【0042】
c)続いてこの圧電積層体(1)の側面Cは、電気メッキ槽に浸され、内部電極(2)は、この圧電積層体(1)の側面B上の外部接続部(3)を介して、負の電位に設定される。ここで電圧が導入されている内部電極(2)(カソード)では、エッチングされた溝(9)が導電性材料で再び充填される。
【0043】
d)ここで側面Aに対して、上記の方法ステップb)およびc)が同様に繰り返される。
【0044】
e)溝(9)は、ここで絶縁性材料で充填される(たとえばガラス化され、または有機ワニスで封止される)。
【0045】
f)この圧電積層体(1)の表面AおよびCは洗浄され、外部に向いた電極の表面は、さらなるメタライジングを行うために十分開放されまた加工される(たとえばスパッタ,研磨等)。深部にある電極は、これらの洗浄工程によっても、表面から絶縁されたままである。
【0046】
g)ここで側面AおよびC上に外部メタライジング部が取り付けられ、この圧電積層体(1)は、全体が活性な圧電積層体(12)に個々に分離され、さらに加工される。
【0047】
第4の実施形態例におけるプロセス手順は以下の通りである。
a)側面の(一時的な)絶縁ゾーンおよび外部接続部(3)を有する、焼結された圧電積層体(1)が提供されるステップ(
図1参照)。
【0048】
b)この圧電積層体(1)は、その側面Cで電界槽に浸され、内部電極(2)は、側面B上の外部接続部(3)を介して電圧が印加され、電気化学的バックエッチングの原理により、1〜10μm、好ましくは1〜5μmバックエッチングされる。
【0049】
c)続いてこの部品の側面Cが、電気メッキ槽に浸され、内部電極(2)は、この圧電積層体(1)の側面B上の外部接続部(3)を介して、負の電圧が印加される。ここで電圧が導入されている内部電極(2)(カソード)に、数μmの厚さの金属層が堆積され、好ましくはエッチング溝を越えて堆積される(電解技術プロセス)。好ましくは、ここで内部電極(2)の材料と異なる材料が用いられる。さらに好ましくは、内部電極の金属よりも希少でない金属または金属混合物が用いられる。たとえばアルミニウムが用いられてよい。
【0050】
d)続いて側面C上の電気メッキは陽極酸化によって酸化される。このようにして、とりわけ有効な絶縁部を形成することができる。
【0051】
e)上記のステップb)〜d)は、この棒状体の側面Aに対して同様に繰り返される。
【0052】
f)この部品は個々に分離される。
【0053】
g)ここで側面AおよびC上に外部メタライジング部が取り付けられる。
【0054】
これらのステップf)およびg)は、逆の順番で実施されてよい。
【0055】
第5の実施形態例におけるプロセス手順は以下の通りである。
a)側面の(一時的な)絶縁ゾーンおよび外部接続部(3)を有する、焼結された圧電積層体(1)が提供される(
図1参照)。
【0056】
b)この圧電積層体(1)の側面Cは、電気メッキ槽に浸され、内部電極(2)は、この圧電積層体(1)の側面B上の外部接続部(3)を介して、負の電位に設定される。ここで電圧が導入されている内部電極(2)(カソード)に、数μmの厚さの金属層(通常10〜20μm)が堆積される(電解技術プロセス)。
【0057】
c)続いてこの電気メッキは、陽極酸化によって、酸化層に転換される。
【0058】
d)ここで側面Aに対して、上記の方法ステップb)およびc)が同様に繰り返される。
【0059】
e)この部品は個々に分離される(
図4参照)。
【0060】
g)側面AおよびC上に外部メタライジング部が取り付けられる。
【0061】
これらのステップe)およびf)は、逆の順番で処理されてよい。
【0062】
第6の実施形態例におけるプロセス手順は以下の通りである。
a)側面の(一時的な)絶縁ゾーンおよび外部接続部(3)を有する、グリーン圧電積層体(1)が提供される(
図1参照)。
【0063】
b)この圧電積層体(1)は1つの側面(側面C)で、適合した電解質溶液に浸され、内部電極(2)は、この圧電積層体(1)の側面BおよびD上の外部接続部(3)を介して、(正)の電圧が印加され、数分間電流が流される。これにより全ての内部電極(2,2’)が、電気化学的摩耗の原理によりバックエッチングされる。
【0064】
c)続いてこの部品の側面Cは、電気メッキ槽に浸され、内部電極(2)は、この圧電積層体(1)の外部接続部(3)を介して、負の電圧が印加される。ここで電圧が導入されている内部電極(2)(アノード)では、エッチングされた溝(9)が導電性材料で再び充填される。
【0065】
d)ここで側面Aに対して、上記の方法ステップb)およびc)が同様に繰り返される。
【0066】
e)このグリーン圧電積層体(1)は焼結され、この際充填されていない溝(9)は封鎖焼結(zugesintert)される。
【0067】
f)この圧電積層体(1)の表面AおよびCは洗浄され、電気メッキされた内部電極(2)の表面は、さらなるメタライジングを行うために十分開放されまた加工される(たとえばスパッタ,研磨等)。深部にある内部電極(2’)は、これらの洗浄工程によっても、表面から絶縁されたままである。
【0068】
g)ここで側面AおよびC上に外部メタライジング部が取り付けられ、この焼結された圧電積層体(1)は、全体が活性な圧電積層体(12)に個々に分離され、さらに加工される。
【符号の説明】
【0069】
A,B,C,D : 積層方向における圧電積層体の側面
1 : 圧電積層体
2,2’ : 内部電極
3 : 一時的絶縁ゾーンを有する外部接続部
4 : 内部電極の上の酸化層
5 : 対電極
6 : 電解質溶液
7 : 電気メッキ層
8 : 絶縁材料
9 : 電気化学的にバックエッチングされた溝
10 : 電気メッキで充填された溝
11 : 外部電極
12 : 全体が活性な圧電積層体