特許第5922269号(P5922269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5922269
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】眼鏡
(51)【国際特許分類】
   G02C 5/00 20060101AFI20160510BHJP
   G02C 1/06 20060101ALI20160510BHJP
   G02C 5/14 20060101ALI20160510BHJP
   A61F 9/02 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   G02C5/00
   G02C1/06
   G02C5/14
   A61F9/02 305
   A61F9/02 374
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-3881(P2015-3881)
(22)【出願日】2015年1月13日
(62)【分割の表示】特願2011-544237(P2011-544237)の分割
【原出願日】2010年11月22日
(65)【公開番号】特開2015-121794(P2015-121794A)
(43)【公開日】2015年7月2日
【審査請求日】2015年2月5日
(31)【優先権主張番号】特願2009-275187(P2009-275187)
(32)【優先日】2009年12月3日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2009-275188(P2009-275188)
(32)【優先日】2009年12月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000179926
【氏名又は名称】山本光学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】三輪 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】喜多 正
【審査官】 藤岡 善行
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−034432(JP,U)
【文献】 実開平07−029523(JP,U)
【文献】 特開平10−062725(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3057709(JP,U)
【文献】 実開平03−041424(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 5/00
G02C 1/06
G02C 5/14
A61F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームのリム及び智と共にテンプルの一部に、眼鏡装着時当該リム、智及びテンプルから顔面方向に突出する、目の周囲を完全には覆わない内方突出庇が一体成形されており、かつ当該内方突出庇が、眼鏡装着時に装着者の顔面に当接することのない3〜15mmの範囲の突出長を有すると共に、当該内方突出庇の突出端部が、半径50〜85mmの円弧状または楕円カーブを呈しており、かつ、当該フレーム及びフレームに形設された当該内方突出庇が、紫外線吸収剤または紫外線散乱剤を含有する合成樹脂で形成されていることを特徴とする眼鏡。
【請求項2】
前記内方突出庇の突出長が、前記リム及び智においてはフレームのブリッジ側からテンプル側に徐々に長寸法となっていると共に、前記テンプルにおいては智側からモダン側に徐々に短寸法になっていることを特徴とする請求項記載の眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は眼鏡、特に花粉症患者用、更には紫外線カット用として好適な眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、眼鏡は装着時、眼鏡上部と顔面との間にかなりのスペースが形成されるため、花粉が目に入り易いと云う問題があった。
そこで、近年花粉の侵入を防止するため、所謂ゴーグルタイプの眼鏡が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、当該ゴーグルタイプの眼鏡は、目の周囲の顔面部に当接して目を完全に覆うものであったため、レンズがくもり易いと共に、当該眼鏡の当接部が軟質材で構成されていた場合であっても、装着者は当接に伴なう圧迫感や不快感を禁じ得ず、時には苦痛さえも与えてしまい、常時着用には不向きなのが実状であった。
【0004】
また、紫外線カット用眼鏡としては、レンズに紫外線吸収剤を含有せしめた眼鏡が既に知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、従来の眼鏡は装着時、眼鏡上部と顔面との間にかなりのスペースが形成されるため、当該眼鏡上方からの紫外線はカットし得ないと云う問題があり、これが将来目の周囲におけるシミ発生の一因となっていたのが実状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−122818号公報
【特許文献2】特開2009−57419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の如き従来の問題と実状に鑑みてなされたものであり、花粉の侵入を大幅に抑制し得ることはもとより、レンズがくもりにくく、しかも何ら不快感等が生じず、通常の眼鏡同様常時着用し得る、花粉症患者用眼鏡として好適な眼鏡を提供することを課題とする。
【0007】
また、本発明は、装着時眼鏡上方からの紫外線をもカットすることができる眼鏡を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく種々研究を重ねた結果、目の周囲を完全には密閉せずとも、眼鏡のフレーム上部に、顔面側すなわち内方に突出する庇を設ければ、レンズがくもりにくく、しかも装着感に悪影響を与えることなく、花粉の侵入を大幅に抑制することができることを見い出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、フレームのリム及び智あるいは更にフレームのテンプルの一部に、内方突出庇を設けたことを特徴とする眼鏡により上記課題を解決したものである。
【0010】
また、本発明者は、フレームに内方突出庇を形成し、レンズのみならず、フレーム及び当該内方突出庇を、紫外線吸収剤または紫外線散乱剤を含有する合成樹脂で形成すれば、花粉の侵入を大幅に抑制できることはもとより、装着時眼鏡上方からの紫外線もカットできることを見い出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、レンズ、フレーム及びフレームに形設された内方突出庇が、紫外線吸収剤または紫外線散乱剤を含有する合成樹脂で形成されていることを特徴とする眼鏡により上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の眼鏡は、フレームのリム及び智あるいは更にフレームのテンプルの一部に、内方突出庇が設けられているので、これを装着すれば、眼鏡上部と顔面との間に殆ど隙間が生じないので、花粉の侵入を大幅に抑制することができる。
【0013】
しかも、目の周囲を当接により完全には覆っていないので、装着時レンズがくもることなく、しかも不快感等は何ら生じないので、常時着用することができ、特に花粉症患者用眼鏡として好適である。
【0014】
また、特に本発明の眼鏡において、レンズのみならず、フレーム及びフレームに形設された内方突出庇にも紫外線吸収剤または紫外線散乱剤を含有せしめて実施すれば、装着時眼鏡上方からの紫外線もカットでき、目の周囲におけるシミ発生の予防も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明眼鏡の概略斜視説明図。
図2】本発明眼鏡の概略平面説明図。
図3】本発明眼鏡のレンズ部中央縦断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1図3において、Pは本発明の眼鏡で、フレーム10とレンズ30から構成されている。フレーム10はブリッジ11、リム12、智13、テンプル14及びモダン15から成り、そのリム12及び智13には内方突出庇20aが形成されている。内方突出庇はリム12及び智13のみに形成しても良いが、更にそのテンプル14の一部、特に智13側寄りの一部にも突出庇20bを形成するのが花粉侵入防止効果上より有利である。
【0017】
当該フレーム10、内方突出庇20a,20b及びレンズ30は何れも合成樹脂で形成されている。
ここで合成樹脂としては特に限定されないが、例えばポリカーボネート樹脂が好適なものとして挙げられる。
更に目的に応じて、当該フレーム10、内方突出庇20a,20b及びレンズ30の何れも紫外線吸収剤または紫外線散乱剤を含有する合成樹脂で形成することもできる。
ここで紫外線吸収剤としては特に限定されないが、例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サルチレート系などの有機系紫外線吸収剤、酸化鉄などの無機系紫外線吸収剤等が挙げられ、紫外線散乱剤としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0018】
内方突出庇20a,20bの突出長は、眼鏡装着時内方突出庇20a,20bの突出端部が顔面には当接しない寸法とするのが、当接による不快感等を防止する上で望ましく、具体的には3〜15mm、特に5〜10mm範囲で装着者の顔面及び側頭部形状に対応せしめて適宜選択するのが好ましい。尚、内方突出庇20a,20bの厚さは特に限定されないが、通常1.5〜3mm程度で十分である。
【0019】
内方突出庇20a,20bは、全体が同一の突出長であっても良いが、リム12においてはブリッジ11側から智13側に徐々に長寸法としつつ、智13のところで最長寸法となるようにすると共に、テンプル14においては智13側からモダン15側に徐々に短寸法とし、内方突出庇20a,20b全体を装着者の顔面及び側頭部の形状に対応せしめるのが、装着時にフレーム10上部と顔面との間に形成される隙間を極力少なくすることができ、その結果花粉の侵入をより効果的に抑制できるので有利である。
【0020】
この場合、内方突出庇20a,20bの突出長は直線的に変化せしめても良いが、内方突出庇20a,20bの突出端部が、半径50〜85mmの円弧状または楕円カーブを呈するように曲線的に変化せしめるのが、装着時より顔面及び側頭部の形状に対応し、しかも外観的にもスマートでファッション性に優れた眼鏡とすることができるので望ましい。
【0021】
内方突出庇20a,20bは、別部材として成形した後、リム12、智13及びテンプル14に取り付けて一体化しても良いが、内方突出庇20aはリム12及び智13と共に一体成形、また内方突出庇20bはテンプル14と一体成形するのが、花粉の侵入をより効果的に抑制し得ると共に、生産効率性にも優れるので望ましい。
【0022】
同様に、レンズ30もブリッジ11、リム12及び智13と一体成形するのが、紫外線のカット効果及び花粉侵入抑制効果並びに生産効率上望ましい。
【符号の説明】
【0023】
P:眼鏡
10:フレーム
11:ブリッジ
12:リム
13:智
14:テンプル
15:モダン
20a:内方突出庇
20b:内方突出庇
30:レンズ
図1
図2
図3