特許第5922312号(P5922312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5922312
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】積層シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20160510BHJP
   B32B 5/24 20060101ALI20160510BHJP
   B32B 15/14 20060101ALI20160510BHJP
   C08J 9/00 20060101ALI20160510BHJP
   E04B 1/66 20060101ALI20160510BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20160510BHJP
   E04D 11/00 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   B32B15/08 D
   B32B5/24 101
   B32B15/14
   C08J9/00 ACES
   E04B1/66 B
   E04B1/76 100D
   E04D11/00 H
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-534713(P2015-534713)
(86)(22)【出願日】2015年3月25日
(86)【国際出願番号】JP2015001697
(87)【国際公開番号】WO2015151460
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2015年7月13日
(31)【優先権主張番号】特願2014-72957(P2014-72957)
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】川島 健治
【審査官】 大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−139305(JP,A)
【文献】 特開2013−076210(JP,A)
【文献】 特開2011−084970(JP,A)
【文献】 特開2014−024988(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/099564(WO,A1)
【文献】 特開平11−348215(JP,A)
【文献】 特開2003−072007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
C08J 9/00− 9/42
E04B 1/66,1/76
E04D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粒子、及び、金属粒子以外の多孔質化用のフィラーを含み、少なくとも一軸方向に延伸されることで前記多孔質化用のフィラーの箇所に空孔が形成された多孔質フィルムと、この多孔質フィルムの少なくとも片面に、その10%以上の面積をいずれの箇所でもほぼ均一に被覆するように設けられた金属印刷層または金属蒸着層と、多孔質フィルムの少なくとも片面に接着される補強用の布帛とからなる積層シートであり、
前記多孔質フィルムと前記補強用の布帛との接着面積が、前記補強用の布帛の全面積あたりの10〜80%であり、
透湿抵抗が0.04〜0.19m2・s・Pa/μgであって、初期状態にて、JIS L 1092(2009)のA法の静水圧法による防水性が10KPa以上、2000nm〜2500nmにおける赤外線反射率が50%以上、かつ赤外線透過率が30%以下であることを特徴とする遮熱性能及び透湿防水性を有する積層シート。
【請求項2】
JIS A 1415(2003)に規定される日射による促進曝露試験を200時間にわたって施し、JIS K 7212(1999)に規定される加熱処理を80℃で28週にわたって施した後であっても、前記防水性が8KPa以上であり、且つ2000nm〜2500nmにおける赤外線反射率が初期値の70%以上であることを特徴とする遮熱性能及び透湿防水性を有する請求項1に記載の積層シート。
【請求項3】
多孔質フィルムに、金属粒子及び塗膜形成性の樹脂を含有する金属インクを、固形分ベースで0.5〜50g/m2塗布することで、金属印刷層が設けられており、金属インク中の金属粒子は、粒子径が0.5〜50μmであり、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、クロム、銀、錫、チタン、鉄、亜鉛、銅、珪素(金属シリコン)、及びマグネシウム、並びにこれらの合金からなる群より選ばれる1種または任意の組み合わせであることを特徴とする請求項1または2に記載の積層シート。
【請求項4】
70℃×90%RH×72hの高温高湿に放置後、CCM(Computer Color Matching)による可視光反射率が初期値から見て70%以上保持され、2000〜2500nmにおける赤外線反射率については初期値から70%以上保持されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の積層シート。
【請求項5】
補強用の布帛は、そのタテ及びヨコのいずれの方向においても、引張強度が、50N/5cm以上であり、繊維の繊度が1〜1000デシテックスであるポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系繊維から構成され、且つ、面積当たりの質量が20〜500g/m2である織物、編物、割布または不織布であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の積層シート。
【請求項6】
多孔質フィルム中に含まれる金属粒子は、粒子径が0.1〜40μm、アスペクト比(粒子径/粒子の厚み)が1.3以上であり、前記多孔質化用のフィラーは、粒子径が0.1〜40μmであり、フィルムの樹脂基材100質量部に対し、前記金属粒子0.10〜30質量部、及び、前記多孔質化用のフィラー10〜70質量部が含まれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の積層シート。
【請求項7】
多孔質フィルムの樹脂基材がオレフィン系樹脂であり、少なくとも一軸方向に1.1〜5倍延伸されることで前記多孔質化用のフィラーの箇所に空孔が形成されたものである請求項1乃至6のいずれかに記載の積層シート。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の積層シートからなる建築下地用の遮熱シート。
【請求項9】
フィルムの樹脂基材に、金属粒子、及び、金属粒子以外の多孔質化用のフィラーを配合した後、少なくとも一軸方向に延伸されることで前記多孔質化用のフィラーの箇所に空孔が形成された多孔質フィルムを得る工程と、
前記多孔質フィルムの少なくとも片面に、その10%以上の面積をいずれの箇所でもほぼ均一に被覆するように金属印刷層または金属蒸着層を設ける工程と、
前記多孔質フィルムの少なくとも片面に、接着面積が補強用の布帛の全面積あたりの10〜80%の面積となるように補強用の布帛を接着する工程と、
を含み、得られる積層シートは、透湿抵抗が0.04〜0.19m2・s・Pa/μg、JIS L 1092(2009)のA法の静水圧法による防水性が10KPa以上、2000nm〜2500nmにおける赤外線反射率が50%以上、かつ赤外線透過率が30%以下であることを特徴とする遮熱性能及び透湿防水性を有する積層シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属粒子を含有する多孔質フィルムの少なくとも片面に、金属表面処理及び補強布のラミネートを行った積層シートに関する。特には、従来の遮熱シートに比べ、高い防食性と長期耐久性を示し、シート全体が透湿防水性及び遮熱性能を有する特徴を持ち、主に建材用途にて使用され、土木、農業、包装、工業用途等でも好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の住宅等の建築物においては、断熱性、透湿性及び防水性を備えたシートを壁面に布設し、外部からの物理的影響を遮断して室内を快適に保つ様々なシートが使用されてきている。
【0003】
従来、壁下地や屋根下地に用いられるシートは、主に家屋外部からの雨水等が内部へ浸入することを防ぎ、木材の腐食を防ぐ目的で使用されている。具体的にはアスファルト系やゴムアスファルト系の防水シート、或いは不織布とポリウレタン等のフィルムを積層した透湿防水シート等が用いられている。
【0004】
また、住宅は更に進化し、省エネルギーやヒートショック等の観点から、魔法瓶の様に気密性を高めた工法が増えているが、前述のアスファルト系やゴムアスファルト系の防水シートでは透湿性がほとんどないため、人体から発生する汗等の水分、調理の際に発生する湯気、蒸気等の水分、暖房で使用する石油ストーブ等の燃焼で発生する水蒸気等、建物内で発生した水分が建物外へ放出されにくい。特に、壁体内や小屋裏、屋根野路板表面等の各部位は結露が発生しやすく、カビの発生や構造体の腐食や劣化が起こる原因となりやすく、住宅の耐久性に影響するおそれがある。さらに、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(2009年6月施工)により、耐久性がより重要視されている。住宅解体・除去による廃棄物発生の抑制のため、構造における対策と劣化しにくい高耐久性材料の開発が望まれている。
【0005】
ポリオレフィンの不織布や不織布とフィルムで積層されてなる透湿防水シート(「ハウスラップ材」とも呼ばれる)は、透湿性と防水性を兼ね添えたシートであり、これらの問題(課題)を解消しているため、現在では普及している。しかし、これらのシートは遮熱性能を有するものではないため、近年の高気密高断熱性をうたう省エネルギー住宅としては十分な対応が出来ない。そのため、次世代の透湿防水シートとして遮熱性能を有した建築用シートの開発が進められている。
【0006】
例えば、特許文献1には、アルミニウム蒸着フィルムと通気性補強材等を積層し、針等で微細孔を設けた建築用シートが開示されている。しかし、これらは建築用シートの貫通部のみが透湿性を有するもので、充分な透湿性能を補うためには、貫通部の面積を増す必要があるが、そうすると防水性及び遮熱性能が低下するおそれがある。
【0007】
特許文献2には、ポリオレフィン系樹脂を含む多孔質フィルムの少なくとも片面に金属を蒸着し金属層を設けた金属化多孔質フィルムが開示されている。しかし、多孔質フィルムに対する遮熱性能の付与は、金属蒸着層のみで行われているのであり、例えば、外部からの摩擦や曲げ折り等により、金属層の脱落や層間剥離等が発生した場合に、充分な遮熱性能を確保出来なくなるおそれがある。
【0008】
特許文献3には、遮光性を完全確保し、物理強度、外観に優れた写真フィルム関係の写真感光材用成形品及び写真感光材料包装材が開示されている。これは、表面被覆材料がアルミニウム粉末と熱可塑性樹脂で形成されるものであり、無透湿、無通気であるため建築資材用途には適さない。
【0009】
特許文献4には、シリカ及び/またはアルミナ(すなわち、これらの少なくともいずれか。以下同様。)で表面処理した酸化チタンを練り込んだポリエチレン系多孔質フィルムに通気性補強材を積層してなる積層シートが開示されている。シリカ及び/またはアルミナで表面処理した酸化チタンを練り込み、また耐候剤を添加することにより、耐候性を向上させているが、遮熱性能は低く最近の高気密高断熱性をうたう省エネルギー住宅に十分な対応は出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平3−9259号公報
【特許文献2】特開2008−105402号公報
【特許文献3】特開平08−022102号公報
【特許文献4】特許第4014993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記の課題を解決するものであり、透湿防水性及び遮熱性能に優れ、高温高湿等の過酷な環境においても耐えうる防食性と長期耐久性を有する多孔質フィルムの少なくとも片面に金属表面処理及び補強布のラミネートを行った積層シートを提供することを目的とする。ここでいう防食性とは、光輝性金属粒子表面の化学変化により、輝度が低下し、反射率が低下し、遮熱性能が低下することを防止する性能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の積層シートは、金属粒子、及び、金属粒子以外の多孔質化用のフィラーを含み、少なくとも一軸方向に延伸し成形された多孔質フィルムにおける少なくとも片面に、その10%以上の面積をいずれの箇所でもほぼ均一に被覆するように設けられた金属印刷層または金属蒸着層と、多孔質フィルムの少なくとも片面に接着される補強用の布帛とからなる積層シートであり、多孔質フィルムと前記補強用の布帛との接着面積が、前記補強用の布帛の全面積あたりの10〜80%であって、以下の性能を有するものである。すなわち、透湿抵抗が0.04〜0.19m2・s・Pa/μgであって、初期状態にて、防水性が10KPa以上、2000nm〜2500nmにおける赤外線反射率の平均値が50%以上、かつ赤外線透過率の平均値が30%以下である。なお、多孔質化は、このためのフィラーを配合して、延伸時にこのフィラーの箇所で空孔が生じるようにすることで行うことができる。また、太陽からの熱線波長は、一般的に750nm〜2500nmの赤外線といわれ、特に2000nm〜2500nmの波長を遮蔽することが遮熱効果において有効である。これより、遮熱効果の指標として、上記の波長における赤外線反射率及び透過率を測定することとする。また、JIS L 1092(2009)のA法の静水圧法によって防水性の評価を行う。
【0013】
また、JIS A 1415(2003)に規定される日射による促進曝露試験を200時間にわたって施し、JIS K 7212(1999)に規定される加熱処理を80℃で28週にわたって施した後であっても、JIS L 1092(2009)に規定されるA法の静水圧法によって得られる防水性が8KPa以上であり、且つ2000nm〜2500nmにおける赤外線反射率が初期値の70%以上であることが好ましい。
【0014】
また、多孔質フィルムに、金属粒子及び塗膜形成性の樹脂を含有する金属インクを、固形分ベースで0.5〜50g/m塗布することで、金属印刷層が設けられており、金属インク中の金属粒子は、粒子径が0.5〜50μmであり、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、クロム、銀、錫、チタン、鉄、亜鉛、銅、珪素(金属シリコン)、及びマグネシウム、並びにこれらの合金からなる群より選ばれる1種または任意の組み合わせであることが好ましい。
【0015】
また、70℃×90%RH×72hの高温高湿に放置後、CCM(Computer Color Matching)による可視光反射率が初期値から見て70%以上保持され、2000〜2500nmにおける赤外線反射率については初期値から70%以上保持されることが好ましい。
【0016】
また、補強用の布帛は、そのタテ及びヨコのいずれの方向においても、引張強度が、50N/5cm以上であり、繊維の繊度が1〜1000デシテックスであるポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系繊維から構成され、且つ、面積当たりの質量が20〜500g/mである織物、編物、割布または不織布であることが好ましい。
【0017】
また、多孔質フィルム中に含まれる金属粒子は、粒子径が0.1〜40μm、アスペクト比(粒子径/粒子の厚み)が1.3以上(N=100の平均)であり、前記多孔質化用のフィラーは、粒子径が0.1〜40μmであり、フィルムの樹脂基材100質量部に対し、前記金属粒子0.10〜30質量部、及び、前記多孔質化用のフィラー10〜70質量部が含まれることが好ましい。ここで、前記金属粒子及び前記多孔質化用のフィラーの粒子径の測定は、例えば、溶媒の表面に浮遊させた状態での画像解析により行うことができる。例えば、レーザー回折・散乱式粒度分析計『マイクロトラックHRA(X−100)(日機装株式会社)』(D50:体積ベースのメディアン径)にて評価することができる。また、金属粒子のアスペクト比の測定は、例えば、電子顕微鏡写真についての、画像解析により行うことができる。
【0018】
また、多孔質フィルムの樹脂基材がオレフィン系樹脂であり、少なくとも一軸方向に1.1〜5倍延伸されることで前記多孔質化用のフィラーの箇所に空孔が形成されたものであることが好ましい。
【0019】
また、本発明の積層シートが建築下地用の遮熱シートであることが好ましい。
【0020】
また、本発明の積層シートの製造方法は、(1)フィルムの樹脂基材に、金属粒子及び多孔質化用のフィラーを配合した後、少なくとも一軸方向に延伸されることで前記多孔質化用のフィラーの箇所に空孔が形成された多孔質フィルムを得る工程と、(2)前記多孔質フィルムの少なくとも片面に、その10%以上の面積をいずれの箇所でもほぼ均一に被覆するように金属印刷層または金属蒸着層を設ける工程と、(3)前記多孔質フィルムの少なくとも片面に、接着面積が補強用の布帛の全面積あたりの10〜80%の面積となるように補強用の布帛を接着する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、従来の遮熱シートに比べ、高い防食性を示し、シート全体が透湿防水性及び遮熱性能、長期耐久性を有する特徴を持つことで、特に壁下地や屋根下地用等の建築用材料として使用され、包装用途、工業用途等でも好適な金属粒子を含有した透湿防水性及び遮熱性能を有する積層シートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の積層シートについて、さらに詳細に説明する。
【0023】
本発明は、金属粒子、及び、金属粒子以外の多孔質化用のフィラーを含み、少なくとも一軸方向に延伸されることで前記多孔質化用のフィラーの箇所に空孔が形成された多孔質フィルムと、この多孔質フィルムの少なくとも片面に、その10%以上の面積を被覆するように設けられた金属印刷層または金属蒸着層と、多孔質フィルムの少なくとも片面に、その10〜80%の面積にて接着される補強用の布帛とからなる積層シートであり、透湿抵抗が0.04〜0.19m・s・Pa/μg、防水性が10KPa以上、2000nm〜2500nmにおける赤外線反射率が50%以上、かつ赤外線透過率が30%以下であることを特徴とする積層シートである。
【0024】
本発明の多孔質フィルムは金属粒子がフィルム形成樹脂基材に練り込まれているため、金属粒子が外部と接触して外界からの物理的な力を受けることはなく、表面処理層が傷つくことがないので、優れた防食性が得られる。
【0025】
フィルム形成樹脂基材は、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体等のポリオレフィン(PO)樹脂、環状ポリオレフィン等の非結晶ポリオレフィン(APO)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系樹脂(PA)、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエ―テルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネ−ト(PC)樹脂、ポリビニルブチラート(PVB)樹脂、ポリアリレート(RAR)樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルギルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフルオロプロピレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体(EPA)等フッ素系樹脂等の中から1種もしくは2種以上を用いることが出来る。本発明においては、経済性や生産性の観点からオレフィン系が好ましい。更に好ましくは、長期耐久性の観点から融点が100〜140℃の範囲であるポリエチレンが好ましい。好ましいオレフィン系樹脂としては、リニアポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び高密度ポリエチレン(HDPE)、並びにポリプロピレン樹脂(PP)が挙げられる。
【0026】
フィルム形成樹脂基材に練り込まれる金属粒子は、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、クロム、銀、錫、チタン、鉄、亜鉛、銅、珪素(「金属シリコン」;金属とほぼ同等の光反射性及び光遮蔽性を有するので、本願では「金属」に含めることとする。)、マグネシウム等、並びに、これらからなる各種の合金が挙げられ、これらの中から1種もしくは2種以上を用いることが出来る。なお、合金としては、例えば、マグネシウム−アルミニウム合金、黄銅(真鍮)、アルミニウム−錫合金等が挙げられる。本発明においては、高反射率、軽量性、成形性及び経済性等の観点から特にアルミニウムが好ましい。また、金属粒子の表面処理は、水性処理、樹脂皮膜、溶剤置換、干渉被膜等が挙げられ、金属粒子の形状は球体よりもリーフィング効果が得られやすい偏平であることが望まれる。そのため、薄片(フレーク)状、すなわち板状ないし鱗片状であるのが好ましい。薄片状の金属粒子について、ステアリン酸等の脂肪酸により処理することで、成形時や溶媒の揮発時に表面に集まるようにすることにより、リーフィング効果を高めることもできる。
【0027】
金属粒子の粒子径は、0.1〜40μmが好ましい。更には、平滑性や被膜性の観点から1〜25μmが好ましい。粒子径が0.1μm以上であれば、充分な平滑性が得られ、遮熱性能が向上する。また、粒子径が40μm以下であれば、フィルム形成時の破れ等を軽減できる。
【0028】
また、金属粒子の厚みは、低コストで高性能を出すためには、金属粒子を少ない添加量でできるだけ表面に隙間無く、平行かつ均一に配列させる事が重要であることから金属粒子の粒子径はより小さいことが好ましい。更には、アスペクト比(粒子径/粒子の厚み)が1.3以上、好ましくは5以上2000以下である。アスペクト比が1.3以上であれば、充分なリーフィング効果が得られ、遮熱性能が向上する。ここで言う『粒子径』と『粒子の厚み』は、粒子の最大寸法部を『粒子径』、最小寸法部を『粒子の厚み』と定義する。
【0029】
高温高湿等過酷な環境に長時間さらされても、さらに強固な防食性を発現させるには、フィルム形成樹脂基材に練り込まれる金属粒子には、予め、樹脂によりコーティングを行っておくことができる。金属粒子表面に、無機、あるいは有機物の極薄透明の強固な皮膜をつくるならば、空気中の酸素や水分等に直接さらされなくなるため、光輝性を維持しつつ、高い防食性を維持することができる。皮膜層は1層または2層以上であってもよく、要求性能によって適宜処理を行うことができる。一般に、例えばリーフィング効果を求める場合には、表面張力の高いステアリン酸等を用いて皮膜を形成することが好ましく、ノンリーフィング効果を求める場合には表面張力の低いオレイン酸等を用い皮膜を形成することが好ましい。本発明では、高輝度(高反射率)を目的としており、リーフィング効果をもたらすステアリン酸等にて表面皮膜を形成するのが好ましい。更なる要求を満たすための金属粒子の表面処理としては、水性処理(水溶液中でのリン系化合物、モリブデン系化合物、シリカ等による皮膜形成)や樹脂処理(アクリレート系樹脂等による皮膜形成)、溶剤置換(ミネラルスピリットをイソプロピルアルコールやグリコールエーテル等の親水性溶剤に置換)、界面活性剤処理(金属粒子表面に界面活性剤を吸着)、干渉皮膜の形成(金属フレーク表層や金属粒子にめっき処理)等が挙げられ、適宜、これらの処理をいずれか単独または組み合わせて行うことができる。本発明では、金属の防食性が求められるため、上記の水性または油性の樹脂処理が好ましい。
【0030】
金属粒子のコーティングに用いる樹脂は、フィルム形成樹脂基材よりも高融点であるか、または、架橋により流動しにくくなっているものが望ましい。好ましいコーティング用樹脂はアクリレート系樹脂(メタクリレート樹脂を含む)である。金属粒子の被覆(コーティング)に用いる樹脂の量は、例えば、金属粒子の質量の10%以下、特には5%以下である。金属粒子をフィルムの樹脂基材に配合するにあたっては、予め、金属粒子を比較的少量の樹脂基材中に混合して金属内添マスターバッチとするのが好ましい。好ましい一実施形態において、金属粒子に,少量のアクリレート系樹脂によりーコーティングを施した後、少量の低密度ポリエチレン(LDPE)中に練り込み、金属粒子の含量が10〜80質量%の金属内添マスターバッチを作成する。そして、この金属内添マスターバッチ、及び、無機フィラー並びに添加剤を、主たる樹脂基材、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)に練り込む。このように金属内添マスターバッチが、実質上、フィルム基材の一部となる樹脂(例えばLDPE)と、金属粒子と、金属粒子のコーティングのための少量の被覆樹脂(例えばアクリレート系樹脂)とだけからなる。このような金属内添マスターバッチとしては、東洋アルミニウム株式会社の「メタリックコンパウンド『メタックス(商標)』」(アルミフレーク70質量%、残りはLDPE)の各品種、「ステンレスフレーク」の各品種、並びに、東京インキ株式会社の「シルバーマスターバッチ」(アルミフレーク14〜40質量%、残りはLDPE)の各品種を挙げることができる。金属粒子の含量が10〜80質量%であれば、マスタ−バッチが形成しやすくなり、生産性が向上する。
【0031】
フィルム形成樹脂基材(金属内添マスターバッチ中の樹脂を含む)100質量部に対し、金属粒子は、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは1〜10質量部だけ添加される。好ましい実施形態において、金属粒子の含量が70質量%である金属内添マスターバッチを使用する場合、樹脂基材100質量部(金属内添マスターバッチに含まれるものを除く)に対し、好ましくは0.5〜40質量部、より好ましくは1〜10質量部の金属内添マスターバッチが添加される。金属内添マスターバッチの添加量が上記の範囲内であれば、充分な遮熱性能を得ることができ、フィルム形成時に破れ等を軽減できる。
【0032】
本発明に使用する多孔質化用のフィラーとしては、延伸の際に多孔質化に寄与するものであれば特に限定されず、一般に、非繊維状のものであり、特には、アスペクト比が1.5未満、好ましくは1.3未満のものであることが好ましい。1.5未満であれば、フィルム形成樹脂基材に対する分散性が良好となり、多孔質化の均一性が向上する。具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、クレー、ガラス粉、ゼオライト、珪酸白土、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、カ−ボンブラック、炭化珪素、酸化錫、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等が挙げられ、その中から1種もしくは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。なかでも多孔質化の容易さや均一さ、並びに、経済性や生産性の観点から炭酸カルシウムが特に好ましい。
【0033】
多孔質化用のフィラーの粒子径は0.1〜40μmが好ましい。粒子径が0.1μm以上であれば、効率良く多孔質化を得ることができ、生産性が向上する。また、粒子径が40μm以下であれば、フィルム成形時の破れ等を軽減できる。
【0034】
フィルム形成樹脂基材100質量部に対して、多孔質化用のフィラーの添加量は、10〜70質量部が好ましい。更に好ましくは、透湿効果と防水性、製膜性の観点から40〜60質量部が好ましい。樹脂基材100質量部に対して添加量が、10質量部以上であれば、フィルムの延伸の際に充分に多孔質化され、透湿性が向上する。また、70質量部以下であれば、フィルム成形時の破れ等を軽減できる。また、フィルムに含有させるために、多孔質化用のフィラーとして、分散性や安定性向上の観点からアルミニウム、珪素、亜鉛で表面処理した物を用いることが好ましい。このように、多孔質化用のフィラーは、表面層等一部に、比較的少量の金属を含むものであっても良い。
【0035】
本発明における多孔質フィルムの厚み(平均厚みのこと(※N=10の平均))は、5〜150μmが好ましい。更には、生産効率の観点から20〜40μmが好ましい。また、5μm以上であれば、延伸時に、フィルムの破れや強度不足を軽減できる。また、150μm以下であれば、金属粒子はフィルム内の表面近くで隙間無く、平行かつ均一に配列されると、光沢性が向上する。
【0036】
多孔質フィルムには、本発明の目的を阻害しない範囲であれば、必要に応じ、紫外線吸収剤や光安定剤や酸化防止剤等の添加剤を適宜に1種もしくは2種以上を組み合わせて使用することも出来る。
【0037】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリルレート系、ベンゾエート系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ニッケル系等が挙げられる。また、光安定剤としては、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、有機ニッケル系、ヒンダードピペリジン系、ヒンダードアミン系が挙げられる。また、酸化防止剤としては、上記の他に例えばフェノール系、リン系、硫黄系、ブレンド系、ホスファイト系等が挙げられる。また、使用する紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤は、特に種類を限定されるものではない。また、他の添加剤としては難燃剤、熱安定剤、発錆防止剤、耐銅害安定剤、帯電防止剤、顔料、着色剤、可塑剤、未端封鎖剤、滑剤、有機滑剤、塩素捕捉剤、ブロッキング剤、粘度調整剤等も必要に応じて添加してもよい。
【0038】
多孔質フィルムの好ましい製造方法は、上記樹脂基材のマスターバッチ、金属内添マスターバッチ、及び多孔質化用のフィラーを原料として用い、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、及び/または他の添加剤を加えて、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型のミキサー等を用いて混合した後、一軸あるいは二軸スクリュー型押出機を用いて混練してペレット化する。次いで、これらのペレットを樹脂基材の融点+20℃以上、分解温度未満の温度範囲でTダイ成形機、インフレーション成形機、カレンダー法、多層成形法、コンマコーター、ナイフコーター等の公知の成形機を用いて溶融製膜する。場合によっては、ペレット化せず直接押出機で製膜することもできる。
【0039】
製膜されたフィルムは、ロール法、テンター法等の公知の方法により、室温〜樹脂軟化点(JIS K 6760に規定される方法により測定した値)において、少なくとも一軸方向に延伸を行い、樹脂と無機フィラーとの界面剥離を起こさせることにより、多孔質フィルムを製造する。延伸は、多段階に分けて行ってもよい。
【0040】
多孔質フィルムの延伸倍率は、少なくとも一軸方向に1.1〜5倍で、成形性や透湿効果の観点から好ましくは、1.5〜3.5倍である。1.1倍以上であれば、充分に多孔質化され、透湿性が向上する。また、5倍以下であれば、フィルムの延伸の際に破れ等の発生を抑制できる。また、延伸後必要に応じて、得られた開孔の形態を安定させるために、熱固定処理を行ってもよく、熱固定処理としては、樹脂基材の軟化点以上、融点未満の温度において、0.1〜300秒間熱処理する方法が挙げられる。
【0041】
以上により得られた多孔質フィルムの少なくとも片面に、金属印刷層または金属蒸着層を、多孔質フィルムに対して10%以上の面積で被覆するように設けることで、優れた遮熱性能と長期耐久性を発揮させることができる。より優れた耐久性、生産性を有するという点で金属印刷層が好ましく用いられる。以下、多孔質フィルムの表面積(孔部も含む)に対する金属印刷層または金属蒸着層が占める割合を『カバー率』と呼ぶこととする。
【0042】
金属印刷層または金属蒸着層が多孔質フィルムの表面にあることで、紫外線や赤外線反射率が向上し、紫外線や熱による多孔質フィルムの劣化を抑制することができる。また、金属印刷層または金属蒸着層のない多孔質フィルムの場合、金属は熱を吸収しやすいことから、多孔質フィルムに練込まれている金属粒子が吸熱し、この金属粒子はまわりを樹脂に覆われ放熱し難いことから、樹脂の劣化を促進させ、多孔質フィルムの耐久性を侵すことが懸念される。しかし、多孔質フィルム表面に金属印刷層または金属蒸着層を設けることにより、多孔質フィルム内の樹脂や金属粒子に溜まった熱を、金属印刷層または金属蒸着層を介して放熱することができ、劣化促進を抑制することができる。以上の作用により、多孔質フィルムの劣化が著しく改善し、長期耐久性を実現することができる。
【0043】
金属印刷層の場合においては、金属印刷で用いられる金属インク(メタリック・インク)は、塗膜形成性の樹脂組成物、及び、金属粒子を含み、水及び有機溶剤の少なくとも一方を含む。塗膜形成性の樹脂組成物は、好ましくは、熱硬化性または光硬化性である。すなわち、好ましくは、フィルムの熱軟化点より低い温度の熱処理により硬化されるか、または、紫外線または青色光の照射により硬化可能なものである。塗膜形成性の樹脂組成物は、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系、ポリオレフィン系、エポキシ系等の合成樹脂等を主成分とするエマルションまたは溶液であり、通常、水、有機溶剤、または水と有機溶剤との混合物を媒体とする。金属インクは、例えば、金属粒子を有機溶剤や水からなる媒体中に高濃度で分散させた金属ペーストと、塗膜形成性の樹脂組成物とを混合して得られるものである。または、金属ペースト及び樹脂組成物とともに、適宜、有機溶剤または水を加えて混合したものである。好ましい一実施形態において、塗膜形成性の樹脂は、ウレタンプレポリマーからなる一液性のウレタン樹脂であり、好ましくは、硬化により多孔質型または無孔型の透湿防水膜を形成するものである。また、好ましい実施形態において、塗膜形成性の樹脂は、水性ウレタン樹脂等の水系溶媒に分散可能な硬化性樹脂である。例えば、DIC株式会社の「ハイドラン」シリーズや、大日精化工業株式会社の「ハイムレン」シリーズのものを適宜用いることができる。一方、金属ペースト等の形で溶媒中に高濃度で分散された金属粒子は、非耐食性の金属である場合、予めコーティング等の耐食処理を行っておく。特には、アルミニウム粒子である場合、白化等を防ぐための処理を行っておく。このような金属ペーストとしては、例えば、有機溶媒中にアルミニウム粒子を高濃度で分散させた、東洋アルミニウム株式会社の「水性アルペースト」の各シリーズのものを用いることができる。「水性アルペースト」には、(1)「EMRシリーズ」(「アルミニウムフレークの表面を密度の高いシリカでコーティングしたタイプ」、溶媒はプロピレングリコールモノメチルエーテル)、(2)「WLシリーズ」(「アルミニウムの表面をモリブテン系化合物により水性(防錆)処理したタイプ」)、及び、(3)「WXMシリーズ」(「アルミニウムの表面をリン系化合物により水性(防錆)処理したタイプ」)が含まれる。なお、耐食性の金属粒子を高濃度で分散させた金属ペーストとしては、東洋アルミニウム株式会社の「RFAシリーズ」(「高品質のステンレス(SUS316L)をフレーク化」して溶媒中に分散させたもの)等を用いることができる。
【0044】
金属印刷層等の表面層に配置される金属粒子としては、赤外線反射金属であるアルミニウム、ニッケル、ステンレス、クロム、銀、錫、チタン、鉄、亜鉛、銅、珪素(「金属シリコン」)、マグネシウム等、並びに、これらからなる各種の合金が用いられるが、中でも赤外線反射性と経済性で最も優れるアルミニウムを主成分とする印刷層が好ましい。なお、合金としては、例えば、マグネシウム−アルミニウム合金、黄銅(真鍮)、アルミニウム-錫合金等が挙げられる。印刷に用いる金属インクの金属粒子径は特に限定されるものではないが、汎用的な範囲として平均粒径(上述の体積ベースのメディアン径)0.5〜50μmのものが好ましい。金属インクに用いる金属粒子のアスペクト比は、特に限定されないが、フィルム形成樹脂基材に練り込まれる金属粒子のアスペクト比として既に説明したものと同程度とすることで、リーフィング効果を得ることができる。但し、アスペクト比が1に近いもの、すなわち真球状に近いものでも良い。なお、本願において、金属粒子とほぼ同等の光反射率と、所要の程度の光遮蔽性を有するパール顔料も、便宜上、金属粒子に含めることとし、このようなパール顔料からなるインクや印刷も、金属インク及び金属印刷と呼ぶこととする。上述の、金属を主成分とする「真の」金属粒子と、金属を主成分として含まないパール顔料とを含んでいても良い。ここで、金属粒子に含めることとするパール顔料は、太陽光に含まれる赤外線に対する反射率が、例えば、厚み10μmの樹脂膜中に25重量%で含まれる場合に、40%以上または50%以上のものとすることができる。また、ここでのパール顔料としては、典型的なパール顔料(天然の雲母(ケイ酸塩鉱物)に酸化チタン、酸化鉄等の金属酸化物をコートしたもの)のみならず、合成雲母に同様のコートを行ったものを用いることができ、場合によっては、ガラスベースのものや、オキシ塩化ビスマスをベースとするもの、酸化チタンの多結晶フレーク等を用いてもよい。
【0045】
金属印刷層を形成する方法としては、特に限定されないが、コンマコーター、ナイフコーター、グラビアコーター等のコーティング法や、フレキソ印刷等を用いた方法が好ましい。この他、(フラット)スクリーンプリント、ロータリー(スクリーン)プリント、インクジェット、スプレー、Tダイ等を用いた方法も挙げられる。
【0046】
金属印刷層を形成する金属インク(金属粒子及び樹脂を含む固形分)の塗布量としては、0.5〜50g/mが好ましい。より好ましくは、2〜25g/mであり、この場合、金属印刷層の膜厚は、塗膜の密度を例えば1.25と仮定した場合、1.6〜20μmである。塗布量は、さらに好ましくは3〜15g/mで、一層好ましくは4〜10g/mである。0.5g/m以上であれば、遮熱性能が向上し、また、50g/m以下であれば、充分な柔軟性が得られ、施工性が向上する。なお、ここでの塗布量は、金属印刷層による被覆部分、すなわち、実際に塗布が行われた面積あたりの固形分の量である。
【0047】
金属印刷層のカバー率は、10〜80%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、さらに好ましくは30〜80%、特に好ましくは40〜70%である。カバー率が10%以上であれば、遮熱性能を向上させることができる。また、80%以下であれば透湿性を向上させることができる。金属印刷は、いずれの箇所でも、カバー率がほぼ均一になるように行われる。すなわち、例えば、ドット状、ストライプ状、格子状等の印刷層パターンがほぼ均等に分布するように行われる。一具体例において、角を丸めた矩形状や、円形、楕円形といったドットパターンが、均等に分布するものであり、各ドットパターンの幅(最小径)またはストライプや格子の線状部分の幅が、例えば、50μm〜0.5cmである。しかし、この印刷において、柄(がら;印刷層パターンの形状及び配列様式)については特に限定されるものではない。コンマコーターやナイフコーターを用いて印刷を行う場合にも、コーターに所定間隔で粘着テープを貼り付ける等の手法により、スジ状に塗布を行うことで、所望のカバー率とすることもできる。また、例えば、金属インク中に、ほぼ一定の径の気泡を含ませることで、ドット状の非印刷部分が、ほぼ均一に設けられるようにすることができる。なお、金属印刷層により覆われている箇所であっても、金属印刷層をなす塗膜の厚みが、開孔の径より充分に小さく、例えば60%以下であるならば、開孔がふさがれない。そのため、金属印刷層の領域内でも透湿性に充分に寄与することができる。なお、金属印刷層中における金属粒子の含量(重量%)は、好ましくは5〜35%である。
【0048】
また、金属蒸着層の場合においては、金属蒸着で用いられる金属は赤外線反射金属であるアルミニウム、ニッケル、ステンレス、錫、銀、クロム等が用いられるが、中でも赤外線反射性と経済性で最も優れるアルミニウムを主成分とする金属蒸着層が好ましい。
【0049】
金属蒸着層は膜の厚みが10〜100nmであることが好ましい。より好ましくは20〜80nmである。10nm以上であれば、充分に赤外線を反射でき、遮熱性能が向上する。100nm以下であれば、充分な透湿性が得られ、さらには生産性も向上する。金属蒸着層の厚みが上記範囲内であれば、多孔質フィルムに、多孔質化用のフィラーの粒子径に対応するサイズに形成されている開孔部が、埋まらずに保持されると考えられる。
【0050】
金属蒸着層を形成する方法としては、通常の真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)等を用いることもできる。但し生産性を考慮すれば、真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式とすることが好ましく、薄膜と基材の密着性及び薄膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。
【0051】
前述した金属印刷層または金属蒸着層の劣化による剥がれや脱落を防止するために、金属印刷層または金属蒸着層を、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、アクリル系、エポキシ系等の合成樹脂からなる保護層で被覆し、さらにフッ素系やシリコーン系、パラフィン系等の撥水剤を付与することが好ましい。保護層を構成する合成樹脂量は固形分で0.05〜5g/mであることが好ましく、さらに0.1〜1g/mであることが好ましい。0.05g/m以上であれば、保護層としての強度が向上する。また、5g/m以下であれば、充分な透湿性を得ることができる。また、保護層の耐久性を高めるために、腐食防止剤(界面活性剤等)や酸化防止剤(フェノール系、アミン系の一次酸化防止剤、リン系、硫黄系の二次酸化防止剤等)を使用することが好ましい。また、紫外線吸収剤(メトキシケイヒ酸オクチルやオキシベンゾン等)、光安定剤(ヒンダードアミン系等)、架橋剤(イソシアネート系、エポキシ系)を併用するとより好ましい。保護層の付与方法は、薄膜が形成できて均質に被覆が可能であれば、特に限定されないが、コンマコーター、ナイフコーター、グラビアコーター等のコーティング法や、フレキソ印刷等を用いた方法が好ましい。この他、パディング(ディップ/ニップ)、スクリーンプリント、ロータリープリント、インクジェット、スプレー、Tダイ等を用いた方法も挙げられる。
【0052】
また、前述した金属印刷層または金属蒸着を積層することとなる上記多孔質フィルムに、予め、金属印刷層または金属蒸着層の密着性を向上する目的で、プライマー処理や、フィルムの表面改質処理を行ってもよい。プライマーコート処理は、例えば、溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等の、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系、ポリオレフィン系、エポキシ系等の合成樹脂等を主成分とした樹脂組成物を、コンマコーター、ナイフコーター、グラビアコーター等のコーティング法や、フレキソ印刷等を用いて付与する方法が好ましく用いられるが、この他、パディング(ディップ/ニップ)、キスコーター、スクリーンプリント、ロータリープリント、インクジェット、スプレー、Tダイ等を用いて付与することもできる。また、表面改質法としては、コロナ放電処理、オゾン処理、アルゴンガス、酸素ガス、もしくは窒素ガス等を用いたプラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等が挙げられる。この様な処理を行うことにより、金属層の密着性と表面平滑性を向上させることができ、脱落防止性を向上させることができる。
【0053】
以上により得られた金属印刷層または金属蒸着層を積層する多孔質フィルムの、少なくとも片面に、必要な物理的特性(強度)を得るために1層または2層以上の補強布とラミネート加工等を実施した積層品であることが有効である。
【0054】
この補強布としては、例えば、織物、編物、割布、不織布等が挙げられ、公知のものでよい。なかでも強度確保の点で、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系等の繊維から構成されることが好ましい。繊維の繊度は、1〜1000デシテックスが好ましい。1デシテックス以上であれば、強度が向上し、1000デシテックス以下であれば、充分な柔軟性が得られ、施工性が向上する。また、面積あたりの質量(目付)は、20〜500g/mが好ましい。20g/m以上であれば、充分な強度を得ることができる。また、500g/m以下であれば軽量であるため、施工時の作業性が向上する。さらに引張強度が、タテ、ヨコ共に50N/5cm以上であることが好ましい。50N/5cm以上であれば、施工の際の破れ、裂け等を軽減することができる。
【0055】
補強布が不織布の場合、その製造方法は、ケミカルボンド、スパンレース、スパンボンド、メルトブロー等の公知のものを使用する。また積層については二層に限定されるものではなく、目的や用途に応じ、強度や張りコシの観点で複数構造の多層にしてもよい。例えば、金属印刷層または金属蒸着層を設けた多孔質フィルムの両面に、それぞれ補強用の布帛を貼り付けることができ、また、多孔質フィルムの片面に貼り付けることもできる。この際、補強用の2枚の布帛を、これらのタテ方向が交差するようにして貼り付けることができる。
【0056】
本発明のフィルムと補強布の積層方法としては、ドライラミネート、ウェットラミネート、熱ラミネート、ホットラミネート等の一般的な方法を用いる事ができ、施工中及び使用中に剥離し難いように積層されておればよく、積層に使用される接着剤も、溶剤系、水系、エマルジョン系の接着剤等が挙げられるが、特にこだわることなく、限定されない。例えば、有機溶剤系であって一液湿気硬化型または二液硬化型の食品包装フィルム用ドライラミネート接着剤(例えば、三洋化成工業株式会社製の「ユーノフレックス」シリーズ)や、ウレタン系の反応硬化型で無溶剤型の食品包装フィルム用ラミネート接着剤(例えば、DICグラフィックス株式会社製の「ディックドライ」シリーズもの)、または、ホットメルト系の食品包装フィルム用ドライラミネート接着剤(例えば、旭化学合成株式会社製の「アサヒメルト」シリーズのもの(エチレン-酢酸ビニル系))を用いることができる。また、積層時のフィルムと補強布の間の接着箇所の総面積は、重ね合わされて貼り合わされる全面積の10〜80%である。10%未満であると、十分な接着性が得られなく、層間で剥離するおそれがあり、80%を超えると開孔部が接着剤で埋まり、通気性が損なわれるおそれがある。例えば、上記のような食品包装フィルム用ドライラミネート接着剤をローラーで補強布に適度に薄く塗布してから、多孔質フィルムに重ね合わせるならば、接着箇所の面積比率を、容易に30〜70%とすることができる。また、補強布に、接着剤をスプレー塗布するならば、細かいドット状(例えば径が10μm〜0.1cm)に塗布を行うことができ、また、接着箇所の面積比率を、例えば10〜50%、特には10〜30%とすることができる。
【0057】
以上のことより得られる積層シートの透湿抵抗は、0.04〜0.19m・s・Pa/μgであり、且つ、初期状態において、JIS L 1092(2009)に規定されるA法の静水圧法によって得られる防水性は10KPa以上である。透湿抵抗が0.04m・s・Pa/μg未満では、防水性が損なわれるおそれがある。また、0.19m・s・Pa/μgを超えると、実際の使用上において室内の湿気が外に逃げにくく、柱等の木材や建材にカビが発生するおそれがあり、更には快適性が損なわれる可能性があり好ましくない。防水性が10kPa未満では、実使用において防水性があるとは言い難い。そして、太陽光の熱線波長域である2000〜2500nmにおいて、赤外線反射率の平均値が50%以上及び赤外線透過率の平均値が30%以下である。赤外線反射率の平均値が50%未満、及び/または、赤外線透過率の平均値が30%超であると、実使用において遮熱効果があるとは言い難い。
【0058】
また、JIS A 1415(2003)に規定される日射による促進曝露試験を200時間にわたって施し、JIS K 7212(1999)に規定される加熱処理を80℃で28週にわたって施した後において、JIS L 1092(2009)に規定されるA法の静水圧法によって得られる防水性が8KPa以上であり、且つ2000nm〜2500nmにおける赤外線反射率を初期値の70%以上保持していることが好ましい。保持率が70%以上であれば、長期にわたる施工においても遮熱性能を向上することができる。
【実施例】
【0059】
以下、本発明について具体的に例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもその実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例における各物性は次の方法にて測定した。
(1)成形性
フィルム成形状態を目視確認し、下記のように評価した。
○:不具合なく、成形可能
×:破れや亀裂を生じ、成形不可能
(2)透湿抵抗
評価機は、株式会社 大栄科学精器製作所製 DH−400を使用し、JIS A 6111(2004)に準じて測定を行った。得られた数値が小さいほど、湿気が多く屋外に放出される。
(3)防水性
評価機は、株式会社 大栄科学精器製作所製のWP−100Kを使用し、JIS L 1092(2009)に規定するA法に準じて測定を行った。初期の防水性の評価基準は、10KPa以上保持しておれば、実際の使用上において問題とならないと判断した。
【0060】
(4)赤外線反射率、透過率
赤外線反射率、透過率は、紫外・可視・近赤外線分光光度計(株式会社島津製作所製 UV−3600)を使用し、試験片の表側面(施工時の外壁側面)を計測波長2000〜2600nmの条件下で赤外線反射率及び透過率を測定した。
(5)腐食処理(高温高湿処理)後の赤外線反射率の保持率
試験片を恒温乾燥機(ADVANTEC製 FC−612)70℃×90%RHの環境に72時間放置する。その後、紫外・可視・近赤外線分光光度計(株式会社島津製作所製 UV−3600)を使用し、試験片の表側面(施工時の外壁側面)を計測波長2000〜2600nmの条件下で赤外線反射率を測定し、次の式にて保持率を算出した。
赤外反射率の保持率=(耐久処理後の赤外反射率/初期の赤外反射率)×100
(6)腐食処理(高温高湿処理)後の変色判定
試験片を恒温乾燥機(ADVANTEC製 FC−612)70℃×90%RHの環境に72時間放置する。その後、CCM(コニカミノルタセンシング株式会社製 CM−3700A、CM−S100W)を用いて、可視光(400〜700nm)の反射率を測定し、その積分値を求めた
防食性の変色判定は、初期値を基準として下記のように評価した。
○:腐食処理後の値が初期値の70%以上である
×:腐食処理後の値が初期値の70%未満である
【0061】
(7)耐久処理(20年相当の促進曝露処理)後の防水性
JIS A 6111(2004)透湿防水シートの耐久性における処理内容に基づき、日射に促進曝露試験JIS A 1415(2013)に準じて、試験片にサンシャインウェザーメ−ター((SWM):スガ試験機株式会社製 WEL−SUN−MCH,B型)を使用し、2時間/サイクルを100サイクルで照射し、その後、JIS K 7212(1999)に準じ加熱処理を行った。処理の温度と時間は、80±2℃で28週間とした。このようにして、20年相当の促進曝露処理を行った後、防水性の評価を、JIS L 1092(2009)に規定するA法の静水圧法によって行った。ただし、水圧の加圧面は試験片の表面(施工時の外壁面)とした。耐久処理後の防水性の評価基準は、8KPa以上保持しておれば、実際の使用上において問題とならなく、耐久性があると判断した。
【0062】
(8)耐久処理(20年相当の促進曝露処理)後の赤外線反射率の保持率
上記(7)と全く同様にして、20年相当の促進曝露処理を行った後、紫外・可視・近赤外線分光光度計(株式会社島津製作所製 UV−3600)を使用し、試験片の表側の面(施工時の外壁側の面)について、計測波長2000〜2500nmの条件下で赤外線反射率を測定し、次の式にて保持率を算出した。
赤外反射率の保持率=(耐久処理後の赤外反射率/初期の赤外反射率)×100
そして、この平均値が試験前の70%以上であることを確認する。
(9)引張強伸度
JIS L 1906に基づく引っ張り試験により、積層シートの引張強度及び引張伸度を測定し、全ての実施例及び比較例にて裏打ちに用いたポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡株式会社製 3701A)のものと、ほぼ同一となっていることを確認した。すなわち、不織布のタテ方向(不織布製造時における帯状シート送り出し方向)にて、いずれも、269N/5cm前後の強度、及び27%前後の伸びが見られ、不織布のヨコ方向(不織布製造時における帯状シートの幅方向)にて、104N/5cm前後の強度、及び33%前後の伸びが見られることを確認した。これらの結果は、表中には記載していない。
(10)カバー率及び接着面積率
所定のカバー率となっていることを、走査型電子顕微鏡を使用し拡大倍率300倍での撮像後、画像解析により確かめた。また、ドライラミネート時の接着面積率は、不織布を多孔質フィルムから引き剥がした後、多孔質フィルム上における、不織布の繊維が付着している箇所、及び、繊維が剥離した跡がある箇所の総面積が全体の面積に占める比率について、実体顕微鏡で観察することにより、10%単位で判定したものである。これらの結果も、表中には記載していない。
【0063】
[実施例1]
樹脂基材のポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックHD、HF560;フィルム用高密度ポリエチレン樹脂、融点128℃、密度0.963、メルトフローレート7.0)100質量部に対し、粒子径が1μm、粒子の厚み0.05μm、アスペクト比が20のアルミニウムマスターバッチ(東京インキ株式会社製、PEX496Silver AL;32質量%がアルミニウム粒子、残りは低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、及び少量のコーティング材としてのアクリレート樹脂)を25質量部、粒子径が40μmの無機フィラー(重質炭酸カルシウム;白石カルシウム株式会社製、BF−400)を25質量部、紫外線吸収剤(チバ・ジャパン株式会社製、TINUVIN 120)を2質量部、光安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、CHIMASSORB 2020 FDL)を2質量部、酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製、IRGANOX 1098)を2質量部添加し同方向回転二軸押出機で温度210℃により溶解させ混練して均一化した。次いで、Tダイにより厚み30μmのフィルムを押し出した。その後、フィルム形成(長さ)方向に、1.1倍延伸を行い、厚み27μmの多孔質フィルムを得た。さらに、このフィルムの片面(表面)に処方1のアルミニウム印刷を固形分で5g/mとなるようにグラビアコーティング法により付与し(直径0.3cm円のドット柄。カバー率65%)、送風定温乾燥機中にて80℃で30秒熱処理した。加えて、上記印刷面とは反対の面に、目付け70g/mのポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡株式会社製 3701A、引張強度(伸度)タテ269N/5cm(27%)、ヨコ104N/5cm(33%))をドライラミネート法により接着しハウスラップ材を得た。なお、ポリエチレン透湿防水性フィルムに対する不織布の接着においては、ホットメルト系の食品包装フィルム用ドライラミネート接着剤(旭化学合成株式会社製のアサヒメルトK1217)を230度で溶解し、スプレー法により塗布し、不織布に塗布されたドライラミネート接着剤の量が、その固形分換算で、5g/mとなるようにし、接着面積が不織布の全面積あたりの50%となるようにした。そして一対のローラー間で圧締を行った。評価結果を表1に示す。
〔処方1〕
ハイドランHW−201 50質量部
(エーテル系ポリウレタン樹脂 固形分35% DIC株式会社製)
イソプロピルアルコール 15質量部
水 100質量部
EMR―D3422 10質量部
(アルミニウムペースト、金属含有量60%、平均粒子径22μm、東洋アルミニウム株式会社製)
【0064】
[実施例2]
樹脂基材のポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックHD、HF560;フィルム用高密度ポリエチレン樹脂、融点128℃、密度0.963、メルトフローレート7.0)100質量部に対し、粒子径が0.1μm、粒子の厚み0.01μm、アスペクト比が10のアルミニウムマスターバッチ(東京インキ株式会社製、PEX526Silver;40質量%がアルミニウム粒子、残りは低密度ポリエチレン樹脂、及び少量のコーティング材としてのアクリレート樹脂)を40質量部、粒子径が0.1μmの無機フィラー(合成炭酸カルシウム;白石カルシウム株式会社製、ソフトン23000)を10質量部、紫外線吸収剤(チバ・ジャパン株式会社製、TINUVIN 120)を2質量部、光安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、CHIMASSORB 2020 FDL)を2質量部、酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製、IRGANOX 1098)を2質量部添加し同方向回転二軸押出機で温度210℃により溶解させ混練して均一化した。次いで、Tダイにより厚み7.5μmのフィルム形成した。その後、フィルム形成(長さ)方向に、1.5倍延伸を行い、厚み5μmの多孔質フィルムを得た。さらに、実施例1と同様にフィルムの片面にアルミニウム印刷を、もう一方の面に不織布の積層処理を行った。評価結果を表1に示す。
【0065】
[実施例3]
樹脂基材のポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックHD、HF560;フィルム用高密度ポリエチレン樹脂、融点128℃、密度0.963、メルトフローレート7.0)100質量部に対し、粒子径が10μm、粒子の厚み7.6μm、アスペクト比が1.32のアルミニウムマスターバッチ(東洋アルミニウム株式会社製、NME010T6B;70質量%がアルミニウム粒子、残りは低密度ポリエチレン樹脂、及びポリエチレンワックス、少量のコーティング材としてのアクリレート樹脂)を20質量部、粒子径が5μmの無機フィラー(重質炭酸カルシウム;白石カルシウム株式会社製、BF−200)を50質量部、紫外線吸収剤(チバ・ジャパン株式会社製、TINUVIN 120)を2質量部、光安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、CHIMASSORB 2020 FDL)を2質量部、酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製、IRGANOX 1098)を2質量部添加し同方向回転二軸押出機で温度210℃により溶解させ混練して均一化した。次いで、Tダイにより厚み135μmのフィルム形成した。その後、フィルム形成(長さ)方向に、5倍延伸を行い、厚み27μmの多孔質フィルムを得た。さらに、実施例1と同様にフィルムの片面にアルミニウム印刷を、もう一方の面に不織布の積層処理を行った。評価結果を表1に示す。
【0066】
[実施例4]
樹脂基材のポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックHD、HF560;フィルム用高密度ポリエチレン樹脂、融点128℃、密度0.963、メルトフローレート7.0)100質量部に対し、粒子径が10μm、粒子の厚み0.5μm、アスペクト比が20のアルミニウムマスターバッチ(東洋アルミニウム株式会社製、NME010T6;70質量%がアルミニウム粒子、残りは低密度ポリエチレン樹脂、及びポリエチレンワックス、少量のコーティング材としてのアクリレート樹脂)を20質量部、粒子径が5μmの無機フィラー(重質炭酸カルシウム;白石カルシウム株式会社製、BF−200)を70質量部、紫外線吸収剤(チバ・ジャパン株式会社製、TINUVIN 120)を2質量部、光安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、CHIMASSORB 2020 FDL)を2質量部、酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製、IRGANOX 1098)を2質量部添加し同方向回転二軸押出機で温度210℃により溶解させ混練して均一化した。次いで、Tダイにより厚み60μmのフィルム形成した。その後、フィルム形成(長さ)方向に、5倍延伸を行い、厚み12μmの多孔質フィルムを得た。さらに、実施例1と同様にフィルムの片面にアルミニウム印刷を、もう一方の面に不織布の積層処理を行った。評価結果を表1に示す。
【0067】
[実施例5]
樹脂基材のポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックHD、HF560;フィルム用高密度ポリエチレン樹脂、融点128℃、密度0.963、メルトフローレート7.0)100質量部に対し、粒子径が20μm、粒子の厚み0.05μm、アスペクト比が400のアルミニウムマスターバッチ(東洋アルミニウム株式会社製、NME020T2;70質量%がアルミニウム粒子、残りは低密度ポリエチレン樹脂、及びポリエチレンワックス、少量のコーティング材としてのアクリレート樹脂)を1質量部、粒子径が8μmの無機フィラー(重質炭酸カルシウム;白石カルシウム株式会社製、BF−300)を60質量部、紫外線吸収剤(チバ・ジャパン株式会社製、TINUVIN 120)を2質量部、光安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、CHIMASSORB 2020 FDL)を2質量部、酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製、IRGANOX 1098)を2質量部添加し同方向回転二軸押出機で温度210℃により溶解させ混練して均一化した。次いで、Tダイにより厚み60μmのフィルム形成した。その後、フィルム形成(長さ)方向に、1.5倍延伸を行い、厚み40μmの多孔質フィルムを得た。さらに、実施例1と同様にフィルムの片面にアルミニウム印刷を、もう一方の面に不織布の積層処理を行った。評価結果を表1に示す。
【0068】
[実施例6]
樹脂基材のポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックHD、HF560;フィルム用高密度ポリエチレン樹脂、融点128℃、密度0.963、メルトフローレート7.0)100質量部に対し粒子径が40μm、粒子の厚みが0.04μm、アスペクト比が1000のSUSマスターバッチ(東洋アルミニウム株式会社製、RFA−3000;70質量%がステンレス(SUS316L)粒子、残りは低密度ポリエチレン樹脂、及びポリエチレンワックス、少量のコーティング材としてのアクリレート樹脂)を1質量部、粒子径が5μmの無機フィラー(重質炭酸カルシウム;白石カルシウム株式会社製、BF−200)を50質量部、紫外線吸収剤(チバ・ジャパン株式会社製、TINUVIN 120)を2質量部、光安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、CHIMASSORB 2020 FDL)を2質量部、酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製、IRGANOX 1098)を2質量部添加し高速で同方向回転二軸押出機で温度210℃により溶解させ混練して均一化した。次いで、Tダイにより厚み450μmのフィルム形成した。その後、フィルム形成(長さ)方向に、3倍延伸を行い、厚み150μmの多孔質フィルムを得た。さらに、実施例1と同様にフィルムの片面にアルミニウム印刷を、もう一方の面に不織布の積層処理を行った。評価結果を表1に示す。
【0069】
[実施例7]
樹脂基材のポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックHD、HF560;フィルム用高密度ポリエチレン樹脂、融点128℃、密度0.963、メルトフローレート7.0)100質量部に対し粒子径が10μm、粒子の厚みが1μm、アスペクト比が10のアルミニウムマスターバッチ(東洋アルミニウム株式会社製、NME010T6;70質量%がアルミニウム粒子、残りは低密度ポリエチレン樹脂、及びポリエチレンワックス、少量のコーティング材としてのアクリレート樹脂)を5質量部、粒子径が5μmの無機フィラー(重質炭酸カルシウム;白石カルシウム株式会社製、BF−200)を50質量部、マスターバッチ化した紫外線吸収剤(チバ・ジャパン株式会社製、TINUVIN 120)を2質量部、光安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、CHIMASSORB 2020 FDL)を2質量部、酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製、IRGANOX 1098)を2質量部添加し高速で同方向回転二軸押出機で温度210℃により溶解させ混練して均一化した。次いで、Tダイにより厚み60μmのフィルム形成した。その後、フィルム形成(長さ)方向に、2倍延伸を行い、30μmの多孔質フィルムを成形した。さらに、このフィルムの片面(表面)に処方2のステンレス印刷を固形分で0.5g/mとなるようにグラビアコーティング法により付与し(直径2.5cm円のドット柄。カバー率80%)、80℃で30秒熱処理した。加えて、上記印刷面の反対面に、実施例1と同様に不織布の積層処理を行った。評価結果を表1に示す。
〔処方2〕
ハイムレンT−21−1 100質量部
(エーテル系ポリウレタン樹脂、固形分25%、大日精化工業株式会社製)
IPA 15質量部
RFA−4000 10質量部
(SUSフレーク、金属含有量60%、平均粒子径30μm、東洋アルミニウム株式会社製)
【0070】
[実施例8]
樹脂基材のポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックHD、HF560;フィルム用高密度ポリエチレン樹脂、融点128℃、密度0.963、メルトフローレート7.0)100質量部に対し粒子径が40μm、粒子の厚みが0.04μm、アスペクト比が1000のSUSマスターバッチ(東洋アルミニウム株式会社製、RFA−3000;70質量%がステンレス(SUS316L)粒子、残りは低密度ポリエチレン樹脂、及びポリエチレンワックス、少量のコーティング材としてのアクリレート樹脂)を1質量部、粒子径が5μmの無機フィラー(重質炭酸カルシウム;白石カルシウム株式会社製、BF−200)を50質量部、マスターバッチ化した紫外線吸収剤(チバ・ジャパン株式会社製、TINUVIN 120)を2質量部、光安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、CHIMASSORB 2020 FDL)を2質量部、酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製、IRGANOX 1098)を2質量部添加し高速で同方向回転二軸押出機で温度210℃により溶解させ混練して均一化した。次いで、Tダイにより厚み450μmのフィルム形成した。その後、フィルム形成(長さ)方向に、3倍延伸を行い、150μmの多孔質フィルムを成形した。さらに、このフィルムの片面(表面)に処方2のステンレス印刷を固形分で50g/mとなるようにグラビアコーティング法により付与し(直径0.5cm円のドット柄。カバー率10%)、90℃で30秒熱処理した。加えて、上記印刷面の反対面に、実施例1と同様に不織布の積層処理を行った。評価結果を表1に示す。
【0071】
[実施例9]
実施例7と同様にフィルムを成形し、さらに、実施例1と同様にフィルムの片面にアルミニウム印刷を、もう一方の面に不織布の積層処理を行った。評価結果を表1に示す。
【0072】
[実施例10]
実施例7と同様にフィルムを成形し、さらに、このフィルムの片面(表面)に処方2のステンレス印刷を固形分で5g/mとなるようにグラビアコーティング法により付与し(直径0.3cm円のドット柄。カバー率65%)、80℃で30秒熱処理した。加えて、上記印刷面の反対面に、実施例1と同様に不織布の積層処理を行った。評価結果を表1に示す。
【0073】
[実施例11]
実施例7と同様にフィルムを成形し、さらに、このフィルムの片面(表面)に処方2のステンレス印刷を固形分で2g/mとなるようにグラビアコーティング法により付与し(直径0.5cm円のドット柄。カバー率15%)、80℃で30秒熱処理した。加えて、上記印刷面の反対面に、実施例1と同様に不織布の積層処理を行った。評価結果を表2に示す。
【0074】
[実施例12]
実施例7と同様にフィルムを成形し、さらに、このフィルムの片面(表面)に処方2のステンレス印刷を固形分で8g/mとなるようにグラビアコーティング法により付与し(直径0.5cm円のドット柄。カバー率73%)、80℃で30秒熱処理した。加えて、上記印刷面の反対面に、実施例1と同様に不織布の積層処理を行った。評価結果を表2に示す。
【0075】
[実施例13]
実施例7と同様にフィルムを成形し、さらに、実施例10と同様にフィルムの片面にステンレス印刷処理を行った。加えて、上記印刷面の反対面に、目付け70g/mのポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡株式会社製 3701A、引張強度(伸度)タテ269N/5cm(27%)、ヨコ104N/5cm(33%))をドライラミネート法により接着しハウスラップ材を得た。なお、ポリエチレン透湿防水性フィルムに対する不織布の接着においては、ホットメルト系の食品包装フィルム用ドライラミネート接着剤(旭化学合成株式会社製のアサヒメルトK1217)を230度で溶解し、スプレー法により塗布し、不織布に塗布されたドライラミネート接着剤の量が、その固形分換算で、4g/mとなるようにし、接着面積が不織布の全面積あたりの17%となるようにした。そして一対のローラー間で圧締を行った。評価結果を表2に示す。
【0076】
[実施例14]
実施例7と同様にフィルムを成形し、さらに、実施例10と同様にフィルムの片面にステンレス印刷処理を行った。加えて、上記印刷面の反対面に、目付け70g/mのポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡株式会社製 3701A、引張強度(伸度)タテ269N/5cm(27%)、ヨコ104N/5cm(33%))をドライラミネート法により接着しハウスラップ材を得た。なお、ポリエチレン透湿防水性フィルムに対する不織布の接着においては、ホットメルト系の食品包装フィルム用ドライラミネート接着剤(旭化学合成株式会社製のアサヒメルトK1217)を230度で溶解し、スプレー法により塗布し、不織布に塗布されたドライラミネート接着剤の量が、その固形分換算で、8g/mとなるようにし、接着面積が不織布の全面積あたりの76%となるようにした。そして一対のローラー間で圧締を行った。評価結果を表2に示す。
【0077】
[実施例15]
実施例7と同様にフィルムを成形し、さらに、このフィルムの片面に処方3のプライマー処理用溶液を乾燥固形分で0.5g/mとなるようにグラビアコーティング法により付与し、80℃で30秒熱処理した。次にフィルムのプライマー処理面に450±50Åの膜厚となるようアルミニウム蒸着加工を行った(カバー率98%)。さらに、この蒸着面に下記処方4の水溶液を乾燥固形分で1.0g/mとなるようにナイフコーティング法により付与し、80℃で30秒熱処理して、膜厚1.0μmの保護層を形成した。加えて、フィルムの上記処理面とは反対面に、目付け70g/mのポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡株式会社製 3701A、引張強度(伸度)タテ269N/5cm(27%)、ヨコ104N/5cm(33%))をドライラミネート法により接着しハウスラップ材を得た。なお、ポリエチレン透湿防水性フィルムに対する不織布の接着においては、ホットメルト系の食品包装フィルム用ドライラミネート接着剤(旭化学合成株式会社製のアサヒメルトK1217)を230度で溶解し、スプレー法により塗布し、不織布に塗布されたドライラミネート接着剤の量が、その固形分換算で、4.5g/mとなるようにし、接着面積が不織布の全面積あたりの30%となるようにした。そして一対のローラー間で圧締を行った。評価結果を表2に示す。
〔処方3〕
パーマリンUA−99 10重量部
(エーテル系ポリウレタン樹脂 固形分20% 三洋化成工業株式会社製)
水 100重量部
〔処方4〕
ハイドランHW−201 100重量部
(エーテル系ポリウレタン樹脂 固形分35% DIC株式会社製)
コロミンW 1重量部
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル 固形分10% 花王株式会社製)
シャインガードF−70 1重量部
(脂肪族アミン誘導体 固形分10% センカ株式会社製)
ドライポン600E 2重量部
(シリコーン活性剤 固形分54% 日華化学株式会社製)
IPA 30重量部
水 100重量部
【0078】
[比較例1]
樹脂基材のポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックHD、HF560)100質量部に対し、粒子径が5μmの無機フィラー(重質炭酸カルシウム;白石カルシウム株式会社製、BF−200)を50質量部、マスターバッチ化した紫外線吸収剤(チバ・ジャパン株式会社製、TINUVIN 120)を2質量部、光安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、CHIMASSORB 2020 FDL)を2質量部、酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製、IRGANOX 1098)を2質量部添加し同方向回転二軸押出機で温度210℃により溶解させ混練して均一化した。次いで、Tダイにより厚み135μmのフィルム形成した。その後、フィルム形成(長さ)方向に、5倍延伸を行い、27μmの多孔質フィルムを成形した。さらに、実施例10と同様にフィルムの片面にアルミニウム印刷を、もう一方の面に実施例1と同様に不織布の積層処理を行った。評価結果を表2に示す。
【0079】
[比較例2]
樹脂基材のポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、ノバテックHD、HF560)100質量部に対し、粒子径が10μm、粒子の厚み6.5μm、アスペクト比が1.54のアルミニウムマスターバッチ(東洋アルミニウム株式会社製、NME010T6;70重量%がアルミニウム粒子、残りは低密度ポリエチレン樹脂、及びポリエチレンワックス、少量のコーティング材としてのアクリレート樹脂)を20質量部、紫外線吸収剤(チバ・ジャパン株式会社製、TINUVIN 120)を2質量部、光安定剤(チバ・ジャパン株式会社製、CHIMASSORB 2020 FDL)を2質量部、酸化防止剤(チバ・ジャパン株式会社製、IRGANOX 1098)を2質量部添加し同方向回転二軸押出機で温度210℃により溶解させ混練して均一化した。次いで、Tダイにより厚み135μmのフィルム形成した。その後、フィルム形成(長さ)方向に、5倍延伸を行い、27μmの多孔質フィルムを成形した。さらに、実施例10と同様にフィルムの片面にアルミニウム印刷を、もう一方の面に実施例1と同様に不織布の積層処理を行った。評価結果を表2に示す。
【0080】
[比較例3]
実施例7と同様にフィルムを成形し、さらに、このフィルムの片面(表面)に処方1のアルミニウム印刷を固形分で20g/mとなるようにグラビアコーティング法により付与し(直径1.5cm円のドット柄。カバー率8%)、80℃で30秒熱処理した。加えて、上記印刷面の反対面に、実施例1と同様に不織布の積層処理を行った。評価結果を表2に示す。
【0081】
[比較例4]
実施例7と同様にフィルムを成形し、さらに、実施例10と同様にフィルムの片面にステンレス印刷処理を行った。加えて、上記印刷面の反対面に、目付け70g/mのポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡株式会社製 3701A、引張強度(伸度)タテ269N/5cm(27%)、ヨコ104N/5cm(33%))をドライラミネート法により接着しハウスラップ材を得た。なお、ポリエチレン透湿防水性フィルムに対する不織布の接着においては、ホットメルト系の食品包装フィルム用ドライラミネート接着剤(旭化学合成株式会社製のアサヒメルトK1217)を230度で溶解し、スプレー法により塗布し、不織布に塗布されたドライラミネート接着剤の量が、その固形分換算で、2.5g/mとなるようにし、接着面積が不織布の全面積あたりの8%となるようにした。そして一対のローラー間で圧締を行った。評価結果を表2に示す。
【0082】
[比較例5]
実施例7と同様にフィルムを成形し、さらに、実施例10と同様にフィルムの片面にステンレス印刷処理を行った。加えて、上記印刷面の反対面に、目付け70g/mのポリエステルスパンボンド不織布(東洋紡株式会社製 3701A、引張強度(伸度)タテ269N/5cm(27%)、ヨコ104N/5cm(33%))をドライラミネート法により接着しハウスラップ材を得た。なお、ポリエチレン透湿防水性フィルムに対する不織布の接着においては、ホットメルト系の食品包装フィルム用ドライラミネート接着剤(旭化学合成株式会社製のアサヒメルトK1217)を230度で溶解し、スプレー法により塗布し、不織布に塗布されたドライラミネート接着剤の量が、その固形分換算で、11g/mとなるようにし、接着面積が不織布の全面積あたりの83%となるようにした。そして一対のローラー間で圧締を行った。評価結果を表2に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
表1〜2の結果から知られるように、実施例1〜15により、優れた透湿防水性、及び、優れた赤外線遮蔽性、及びそれらの長期耐久性が得られた。特に、実施例5では、少量の金属粒子の添加により、特に優れた赤外線遮蔽能、及びその耐久性が得られた。実施例5では、少量の添加であるものの、粒径及びアスペクト比が好適な範囲内であるため、良好なリーフィング効果が得られたものと考えられる。一方、表2に結果を示す、実施例9〜10及び12〜14は、特に好ましい条件のものであり、初期の赤外線反射率が85%以上であって、その保持率が、いずれの耐久性試験でも90%を超える値となった。実施例11では、金属印刷の塗布量(膜厚)及びカバー率がいずれも少なめであるため、初期の赤外線の反射率及び透過率において、少し劣る結果となった。また、実施例9と実施例10との比較から知られるように、金属印刷層に、ステンレス粒子及び透湿防水膜を用いた実施例10にて、アルミニウム粒子及び非透湿性のウレタン膜を用いた実施例9よりも、透湿性が高く、耐久性も優れていた。しかし、初期の赤外線反射率は、アルミニウムを用いた実施例9の方が高かった。なお、金属印刷層に、アルミニウム粒子及び透湿防水膜を用いた実施例は示していないが、透湿性及び耐久性において実施例10とほぼ同等であり、初期の赤外線反射率においては、実施例9とほぼ同等であることが、予備的な実験により確かめられている。
【0086】
実施例10と同様の条件で、金属印刷の塗布量(膜厚)及びカバー率をいずれも大きくした実施例12では、透湿性は低下したが、初期の赤外線の反射率及び透過率、並びに2つの試験による耐久性は、いずれも、非常に優れていた。また、実施例10とほぼ同様の条件で、補強布との接着面積率を17%と小さくした実施例13では、実施例10に比べ、透湿性が少し向上したが、他の性能に影響は見られなかった。このことから、接着面積率は、小さい方が好ましく、例えば10〜30%が好ましいと考えられた。一方、補強布との接着面積率を73%と大きくした実施例14では、赤外線の透過率が少し向上したものの、透湿性が低下した。しかし、他の点では、特に影響が見られなかった。また、実施例15では、金属蒸着層を設けると、耐久性は低下したが、初期の赤外線の反射率及び透過率、並びに透湿性はいずれも、非常に優れていた。なお、詳細な結果は省くが、いずれかの条件が、好適な範囲から外れると、成形性、透湿防水性、赤外線遮蔽性、及びその耐久性のうちのいずれかが劣る結果となった。