【実施例1】
【0043】
a)まず、本実施例の燃料電池システムの構成について説明する。
図1に模式的に示す様に、本実施例における燃料電池システム1は、燃料ガス(N)と酸化剤ガス(S)とを用いて発電を行う燃料電池3を備えた燃料電池モジュール5と、燃料電池3によって発電された電力を制御して商用変換系統7に供給するパワーコンディショナー(PC)9と、燃料電池モジュール5やパワーコンディショナー9などの動作を制御するコンピュータを主要とするシステム制御装置11とを備えている。
【0044】
なお、後に詳述するが、燃料電池1は、燃料電池スタック13や補助器15を備えており、燃料電池モジュール5は、燃料電池1以外に起動バーナ17を備えている。
前記パワーコンディショナー9としては、一般的な直流−交流変換器を使用することができる。このパワーコンディショナー9を用いることで、燃料電池3が発電した直流電力を交流電力に変換して、(例えば200Vの)商用電力系統7に供給することができる。
【0045】
従って、このパワーコンディショナー9では、燃料電池3から取り出す直流電力の制御や、パワーコンディショナー9への入出力電流制御などを行うことができる。
前記システム制御装置11は、パワーコンディショナー9からの制御情報(例えば発電量)や、燃料電池スタック13に配置された温度センサ19からの温度情報などを入力する。
【0046】
また、このシステム制御装置11は、燃料電池3に空気を供給する空気供給流路21に設けられた第1制御弁23、改質器25(
図2参照)に原燃料を供給する燃料供給流路29に設けられた第2制御弁31、改質器25に改質水(ka)を供給する改質水供給流路33に設けられた第3制御弁35、起動バーナ17に原燃料及び空気の混合ガス(ko)を供給する混合ガス供給流路37に設けられた第4制御弁39等の動作を制御する。
【0047】
b)次に、燃料電池モジュール5の構成について説明する。
図2に模式的に示す様に、燃料電池モジュール5では、燃料電池3は、燃料ガスと酸化剤ガスとの供給を受けて、例えば700℃程度の高温にて稼働されるために、断熱容器41に収納されている。
【0048】
なお、燃料ガスとしては、例えば原燃料である都市ガス等を改質した燃料ガスを用いることができ、酸化剤ガスとしては、例えば空気(詳しくは空気中の酸素)などを用いることができる。
【0049】
前記燃料電池3は、燃料電池スタック13と、その下方に配置された補助器15とからなり、補助器15は、後述する様に、改質器25と(上側燃焼チャンバー43a及び下側燃焼チャンバー43bを有する)燃焼チャンバー43とからなる。また、補助器15の下方には、燃料電池3の起動時に加熱を行う起動バーナ17が配置されている。
【0050】
ここで、燃料電池3の構成について更に詳しく説明する。
図3に示す様に、燃料電池スタック13は、複数の燃料電池セル45が積層されたものであり、この燃料電池セル45は、いわゆる燃料極支持膜形タイプの燃料電池セル45である。
【0051】
つまり、燃料電池セル45は、周知の様に、金属製のインターコネクタ47の間に、燃料ガスが供給される燃料流路49と、燃料流路49に接する様に配置された燃料極51と、例えばZrO
2系セラミックスからなる固体電解質である固体酸化物体53と、空気が供給される空気流路55と、空気流路55に接する様に配置された空気極57と、燃料流路49と空気流路55とを分離するセパレータ59などを備えている。
【0052】
また、空気極57と一方(同図上方)のインターコネクタ47との間に空気極集電体61を備えるとともに、燃料極51と他方(同図下方)のインターコネクタ47との間に燃料極集電体63を備えている。
【0053】
なお、燃料流路49においては、燃料ガスは、同図左右方向(ここでは同図右側から左側)に流れるように供給され、空気流路55においては、空気は、同図紙面と垂直方向(ここでは紙面裏側から表側)に流れるように供給される。
【0054】
また、前記補助器15は、上側燃焼チャンバー43aと下側燃焼チャンバー43bとの間に改質器25が積層されたものであり、上側燃焼チャンバー43aと下側燃焼チャンバー43bとは連通孔43cにより連通している。
【0055】
このうち、改質器25は、燃料電池3に供給される原燃料を水素リッチの燃料ガス(改質ガス)に改質する、いわゆる水蒸気改質を行う板状の装置であり、その内部には、例えばRuからなる改質触媒が充填されている。
【0056】
この改質器25の上流側(
図3左側)は、外部から原燃料が供給される燃料ガス供給流路29と、外部から改質水(Ka)が供給される改質水供給流路33とに接続されている。
【0057】
一方、改質器25の下流側は、連結部材65の連結流路67を介して、ボルト69が貫通される(燃料電池スタック13内の燃料ガスの供給用の)貫通流路71に接続されている。
【0058】
また、前記燃焼チャンバー43は、起動時に供給される燃料ガスと空気(即ち酸素)とを反応させ、また、発電後に各燃料電池セル45より排出される残余のガス、即ち発電に使用されなかった残余の燃料ガスと空気とを反応させて燃焼させる板状の装置である。
【0059】
この燃焼チャンバー43の上側燃焼チャンバー43aには、燃料電池スタック13から排出される残余の燃料ガスなどが導入される導入流路73が設けられ、また、下側燃焼チャンバー43bには、燃焼チャンバー43内で燃焼によって生じた排ガス(H)を断熱容器41外に排出する排ガス流路75が設けられている。
【0060】
c)次に、燃料電池システム1の基本的な動作と、それに伴うガスの流れについて説明する。
<起動時>
前記
図2に示す様に、燃料電池システム1の起動時には、混合気が起動バーナ17に供給され、混合気が燃焼することによって、燃料電池3が加熱される。
【0061】
それとともに、空気は、空気供給流路21から燃料電池スタック13(詳しくは各燃料電池セル45の空気流路55内)内に導入される。
また、空気の供給と同時に、原燃料は、燃料供給流路29を介して改質器25に導入されるとともに、改質水は、改質水供給流路33を介して改質器25内に導入される。なお、起動時において、改質器21の温度が高くなるにつれて改質の反応率が高くなる(原燃料の改質が進む)。
【0062】
改質器25から排出された(未改質及び改質後の)燃料ガスは、燃料電池スタック13の各燃料電池セル45の燃料流路49内に導入される。
そして、各燃料電池セル45に導入された燃料ガスと空気とは、燃料電池セル45が所定の温度(一部にて発電が可能な部分発電可能温度:例えば550℃)になっていない場合には、そのまま、それぞれ所定の流路を介して上側燃焼チャンバー43aに導入され、この上側燃焼チャンバー43a内で燃料ガスと空気とが燃焼する。
【0063】
一方、各燃料電池セル45の温度が、部分発電可能温度になっている場合には、その温度になっている箇所で、燃料ガスと空気との反応によって部分的に発電が行われる。そして、部分発電に使用されなかった残余の燃料ガスと空気とが、前記と同様に、上側燃焼チャンバー43aに導入され、この上側燃焼チャンバー43a内で残余の燃料ガスと残余の空気とが燃焼する。
【0064】
なお、上側燃焼チャンバー43aは、連通孔43cを介して下側燃焼チャンバー43bと連通しているので、下側燃焼チャンバー43bにおいても、同様に燃料ガスと空気とが燃焼する。
【0065】
そして、燃料ガスと空気とが燃焼して生じた排ガスは、下側燃焼チャンバー43bの排ガス流路75から、断熱容器41外に排出される。
<通常運転時>
燃料電池3の全ての燃料電池セル45にて発電が可能な温度(定格発電可能温度:例えば700℃)となった場合には、燃料電池3の通常の運転(定格発電)が行われる。
【0066】
具体的には、燃料電池3によって発電を行う場合には、空気は、空気供給流路21から燃料電池スタック13内に導入される。
また、空気の供給と同時に、原燃料は、燃料供給流路29を介して改質器25に導入されるとともに、改質水は、改質水供給流路33を介して改質器25内に導入され、改質器25内にて原燃料の改質が行われる。
【0067】
改質された燃料ガスは、燃料電池スタック13内に導入される。
そして、各燃料電池セル45内にて、燃料ガスと空気とを用いて発電が行われ、発電後の残余のガス(残余の燃料ガスと空気)とは、それぞれ所定の流路を介して上側燃焼チャンバー43aに導入され、この上側燃焼チャンバー43a内で残余の燃料ガスと残余の空気とが燃焼する。また、同様に、下側燃焼チャンバー43bにおいても、残余の燃料ガスと残余の空気とが燃焼する。
【0068】
そして、残余の燃料ガスと残余の空気とが燃焼して生じた排ガスは、下側燃焼チャンバー43bの排ガス流路75から、断熱容器41外に排出される。
d)次に、本実施例における制御の原理について説明する。
【0069】
本実施例では、燃料電池3の起動時に、部分発電によって燃料電池3に流れる電流値を求め、この電流値に基づいて、部分発電に使用される燃料ガスの消費量分に対応する原燃料の第1増量を算出し、更に、この第1増量に応じた改質器25における吸熱反応の吸熱量に対応する原燃料の第2増量を算出し、そして、この第2増量を加味して原燃料の供給量を決定する。
【0070】
よって、以下では、起動時に改質器25に供給する原燃料の供給量を決定する原理について説明する。
・まず、使用される原燃料の種類に応じた熱力学データを示す。
【0071】
この熱力学データは、起動時の原燃料の供給量の算出に利用される。
<水蒸気改質の反応熱:700℃>
CH
4+2H
2O(g)→CO
2+4H
2−190.4[kJ/mol]
C
2H
6+4H
2O(g)→2CO
2+7H
2−307.0[kJ/mol]
C
3H
8+6H
2O(g)→3CO
2+10H
2−431.0[kJ/mol]
C
4H
10+8H
2O(g)→4CO
2+13H
2−558.8[kJ/mol]
<燃焼熱:25℃、LHV>
CH
4+2O
2→CO
2+2H
2O(g)+802.3[kJ/mol]
C
2H
6+7/2O
2→2CO
2+3H
2O(g)+1427.8[kJ/mol]
C
3H
8+5O
2→3CO
2+4H
2O(g)+2044.0[kJ/mol]
C
4H
10+13/2O
2→4CO
2+5H
2O(g)+2657.0[kJ/mol]
・次に、起動時の原燃料の供給量の増量分の算出方法について、具体的に説明する。
【0072】
燃料電池3の起動時に、起動バーナ17によって燃料電池3を加熱するとともに、燃料電池3に燃料ガスや空気を供給して燃焼チャンバー43で燃焼させると、燃料電池3の温度が徐々に上昇して、一部の燃料電池セル45にて発電が可能な状態(部分発電が可能な状態)となる。
【0073】
従って、部分発電が可能な温度になった場合に、燃料電池3から電流を取り出すようにすると、部分的に発電が行われ、部分発電の発電量に応じた電流(I)が流れる。
この部分発電の際には、部分発電によってその発電量(即ち電流値)に応じた量の燃料ガスと空気とが消費される。
【0074】
従って、そのままでは、燃焼チャンバー43で燃焼させる燃料ガスと空気の量が減るので、その減少分だけ燃料ガス及び空気を増量する必要がある。なお、通常、空気は十分に供給されるので、実際には燃料ガスのみ増量すればよい。なお、この原燃料の増量分に対応する原燃料の増量を第1増量とする。
【0075】
この第1増量は、下記の様にして算出できる。
部分発電によって得られた電流値がIの場合には、発電で消費される燃料ガスの量、詳しくは、燃料ガスの水素のモル量「Δn」は、ファラデーの法則から、下記式(1)で算出できる。
【0076】
Δn=I/zF ・・・(1)
ここで、I:電流[A]
z:電荷(水素の場合=2)
F:ファラデ−定数(=96485)
例えば、CH
4の場合、水蒸気改質によって、水素は投入するCH
4の4倍発生するので、発電で消費されたCH
4量は、「Δn/4」となり、これが、第1増量である。
【0077】
また、消費された分だけCH
4量(第1増量)を増量する場合は、前記水蒸気改質の反応熱の式より、水蒸気改質の吸熱量は、190.4×Δn/4[kJ/mol]となり、これが第2増量である。
【0078】
従って、発電で消費されるCH
4量分(第1増量)だけ増量し、かつ、水蒸気改質の吸熱量を補うだけの熱量を投入しようとすると(即ち吸熱量を補う第2増量分を更に増量しようとすると)、合計の増量(合計増量)は、下記の式(2)で算出される。
【0079】
合計増量=Δn/4+A×(190.4×Δn/4)・・(2)
ここで、「A」とは、改質器の形状や材質によって燃焼熱が改質反応に寄与する度合いを示すパラメータであり、実験等により、予め求めることができる。
【0080】
なお、CH
4以外のガスを利用する場合は、それぞれのガスの比率から吸熱量を算出することができる。
また、この合計増量は、起動時に供給するベースとなる基本的な供給量に対する増分であり、基本的な供給量は、燃料電池モジュール5の形状や特性、どの程度の速度で温度上昇させるか等により異なっており、実験等により予め定めることができる。
【0081】
更に、前記合計増量は、計算によって求まる理想的な理論値であり、実際には、改質器25の上限温度(熱劣化を起こす温度)や下限温度(実質的に改質が起こる下限の温度)にならないように、合計増量を補正する。
【0082】
例えば改質器25の温度をモニタ或いは予測し、改質器25の温度が上限温度を超えて上昇した場合或いは超えることが予想される場合には、合計増量を減少させる。逆に、改質器25の温度が下限温度を超えて下降した場合或いは超えることが予想される場合には、合計増量を増量させる。
【0083】
e)次に、本実施例の燃料電池システム1の制御処理ついて説明する。
図4のフローチャートに示す様に、燃料電池システム1の起動時には、ステップ(S)100にて、混合ガス供給流路37の第4制御弁39を制御して開弁状態とする。これにより、起動バーナ17に混合ガスを供給して燃焼させて、燃料電池3の加熱を行う。
【0084】
また、ステップ110では、空気供給流路21の第1制御弁23、燃料供給流路29の第2制御弁31、改質水供給流路33の第3制御弁35を制御して開弁状態とする。これにより、改質器25に原燃料及び改質水を供給することで改質された燃料ガスと、空気とを燃料電池3に供給する。
【0085】
なお、ステップ100、110の処理は、同時に行ってもよいし、逆の順序でもよい。
そして、ステップ120においては、起動バーナ17による加熱状態と、燃料電池3に対する燃料ガス及び空気の供給状態にて、燃焼チャンバー43における燃料ガスの燃焼と改質器25における水蒸気改質とが行われる。ここで、低温時における燃焼チャンバー43の着火は、着火装置(図示せず)によって行ってもよい。なお、このステップ120は、燃料電池システム1の動作状態を示している。
【0086】
ステップ130では、温度センサ19からの信号に基づいて、燃料電池スタック13の温度が部分発電可能温度に達したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ140に進み、一方否定判断されるとステップ100に戻る。
【0087】
そして、ステップ140においては、起動バーナ17による加熱と、部分発電によるジュール熱での加熱と、改質器25における水蒸気改質と、燃焼チャンバー43における燃料ガスの燃焼が行われる。なお、このステップ140は、燃料電池システム1の動作状態を示している。
【0088】
ステップ150では、部分発電による発電が可能な状態であるので、燃料電池3の電力取り出し用の出力端子(図示せず)に接続されたパワーコンディショナー9の回路(電力取り出し用の回路)をオンし、燃料電池3に流れる電流の電流値を求める。
【0089】
続くステップ160では、上述した演算手法によって、前記演算式(2)を利用して、前記燃料電池3の電流値に基づいて、第1増量及び第2増量から合計増量を算出する。
続くステップ170では、上述した様に、改質器25の温度が上限温度と下限温度との間に収まるように、供給する原燃料の補正(温度用補正)を行う。
【0090】
続くステップ180では、基本的な原燃料の供給量に対して、前記ステップ160の合計増量分を増量する補正を行うとともに、前記ステップ170の温度用補正を行って、実際に供給する原燃料の供給量を算出し、その供給量にて改質器25に原燃料の供給を行う。
【0091】
続くステップ190では、温度センサ19からの信号に基づいて、燃料電池スタック13の温度が定格発電可能温度に達したか否かを判定する。ここで肯定判断されるとステップ200に進み、一方否定判断されるとステップ140に戻る。
【0092】
ステップ200では、定格発電が可能な状態であるので、通常の必要が発電量に対応した発電が可能な通常運転を行い、一旦本処理を終了する。
f)次に、本実施例の効果を確認するために行った実験例について説明する。
【0093】
本実験例では、本実施例の燃料電池システム1を用いて、起動時に上述した制御(即ち第1増量及び第2増量による合計増量を供給する制御)を行った。
そして、この実験では、燃料電池システム1における起動時から定格発電時において、燃料電池スタック13の温度と改質器25の温度とを測定した。その結果を、
図5に示す(実施例は実線A参照)。なお、
図6は、部分発電開始後の原燃料の増加の状態を模式的に示したものである。
【0094】
なお、この実験例における基本的な運転条件は、下記の通りとした。
周囲温度:室温(25℃)
原燃料 :CH
4
なお、
図5において、上限とは、改質器25が熱劣化する上限温度(1000℃)を示しており、下限とは、改質器25による改質が実質的に可能な反応率(例えば60%)となる下限温度(600℃)を示している。
【0095】
また、実施例以外に、比較例1〜3についても、同様に起動時の実験を行った。
このうち、比較例1(
図5、
図6の破線B参照)は、部分発電の際に、必要量以上の燃料増量を行った例、具体的には、第1増量×3の増量を行ったものである。
【0096】
比較例2(
図5、
図6の一点鎖線C参照)は、部分発電の際に、発電で消費した消費量分の燃料増量を行った例、具体的には、第1増量の増量を行ったものである。
比較例3(
図5の二点鎖線D参照)は、部分発電を行わなかったものである。
【0097】
図5の実線Aから明らかな様に、本実施例の燃料電池システム1においては、部分発電が開始されると、上述の合計増量による燃料増量の制御が行われるので、速やかに定格発電を開始することができる。また、この制御によって、改質器25の吸熱量が補われるので、改質器25の温度が下限を下回ることはなく、好適に改質を行うことができる。しかも、過度に燃料増量を行うことがないので、改質器25の温度が上限を上回ることがなく、よって、改質器25の熱劣化を防止できる。
【0098】
それに対して、
図5の破線Bから明らかな様に、比較例1の燃料電池システムにおいては、部分発電が開始されると、多くの原燃料の増量を行うので、定格発電は早く開始できるが、改質器の温度が過度に上昇し、熱劣化が生じるので、好ましくない。
【0099】
また、
図5の一点鎖線Cから明らかな様に、比較例2の燃料電池システムにおいては、部分発電が開始されると、僅かな原燃料の増量しか行わないので、本実施例に比べて定格発電の開始が遅く、また、改質器の温度が過度に下降し十分な改質が行われないので、好ましくない。
【0100】
更に、
図5の二点鎖線Dから明らかな様に、比較例3の燃料電池システムにおいては、部分発電を行わないので、定格発電の開始が最も遅く、好ましくない。
g)次に、本実施例の作用効果について説明する。
【0101】
本実施例では、上述した様に、燃料電池システム1の起動時には、部分発電による燃料ガスの消費分に対応する原燃料の増量補正(第1増量の補正)を行うとともに、改質器25における吸熱反応による吸熱量を考慮して、供給する原燃料の補正(第2増量の補正)を行う。
【0102】
つまり、原燃料の第1増量を行うとともに、その第1増量に応じて(吸熱量に対応する)原燃料を増量する第2増量を加味し、その合計増量に基づいて原燃料の増量を行う。
これにより、起動時における燃料電池3や改質器25の温度上昇を、速やかに且つ精度良く所望の範囲に制御できるので、短時間で燃料電池3の定格運転を開始することができるとともに、改質器25が過度に温度上昇することによる熱劣化を防止することができる。