(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被検体をクレードルに載置し、前記クレードルに載置された前記被検体をボア内に移動させた後に、前記被検体を撮影して前記被検体のリアルタイム画像及び複数のスライス面から成る三次元ボリューム画像を再構成する画像再構成部を具備するモダリティと、
前記ボア外で前記被検体を三次元で撮影する外観撮影装置と、
前記モダリティに対して前記クレードルに載置された前記被検体の位置及び医師が保持する模擬術具の位置を検出する位置検出装置と、
前記位置検出装置で検出された前記被検体の位置に基づいて、前記外観撮影装置で撮影された前記被検体及び前記モダリティが撮影した前記三次元ボリューム画像を重ねた合成画像を三次元投影する投影装置と、
前記位置検出装置が前記模擬術具を検出した位置に基づいて、前記模擬術具の移動した距離及び移動方向を計算する位置計測部と、
前記前記位置計測部で計算された距離及び移動方向に基づいて、前記ボア内で前記模擬術具と同じ形状の真の術具をマニュピュレートするマニュピュレータと、
を備える手術支援装置。
前記模擬術具は、前記投影装置に三次元投影された投影画像に、仮想線を照射するためのレーザ光源を有する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の手術支援装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、手術者にとって遠隔操作で三次元空間を二次元のモニタを観察しながら穿刺処置をするには熟練を要する。すなわち、手術支援に利用される二次元の断層像は、手術時に術者の肉眼に映じる患部の切開像等とはまったく印象が異なり、臨場感が乏しく必ずしも十分な手術支援を行うことができない。このため遠隔装置を用いた手術支援方法は、所定の訓練を受けた手術者しか手術支援することができない問題がある。このため、手術者は、より臨場感がある手術支援を受けて、被検者を手術したい要望が強い。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は、臨場感がある画像で、遠隔操作が可能な手術支援装置を提供する。
第1の観点の手術支援装置は、被検体をクレードルに載置し、クレードルに載置された被検体をボア内に移動させた後に、被検体を撮影して被検体のリアルタイム画像及び複数のスライス面から成る三次元ボリューム画像を再構成する画像再構成部を具備するモダリティを有している。さらに、手術支援装置は、ボア外で被検体を三次元で撮影する外観撮影装置と、モダリティに対してクレードルに載置された被検体の位置及び医師が保持する模擬術具の位置を検出する位置検出装置と、位置検出装置で検出された被検体の位置に基づいて、外観撮影装置で撮影された被検体及びモダリティが撮影した三次元ボリューム画像を重ねた合成画像を三次元投影する投影装置と、位置検出装置が模擬術具を検出した位置に基づいて模擬術具の移動した距離及び移動方向を計算する位置計測部と、位置計測部で計算された距離及び移動方向に基づいて、ボア内で模擬術具と同じ形状の真の術具をマニュピュレートするマニュピュレータと、を備える。
【0007】
第2の観点の手術支援装置は、第1の観点に記載の手術支援装置において、スライス面とリアルタイム画像とを二次元表示する二次元表示部をさらに備える。
第3の観点の手術支援装置は、第1の観点から第2の観点の手術支援装置において、モダリティの外周に、基準部材が取り付けてあり、位置検出装置は、基準部材からの距離及び方向を検出してモダリティの三次元座標位置を特定する。
第4の観点の手術支援装置は、第1の観点から第3の観点の手術支援装置において、モダリティがMRI装置、CT装置又は核医学診断装置であり、模擬術具は、赤外線もしくは可視光を発する発光素子(LED)又は光を反射する反射素子(ミラー等の物体)を取り付けており、位置検出装置は光学によって、発光素子又は反射素子の位置を検出する。
第5の観点の手術支援装置は、第1の観点から第3の観点の手術支援装置において、モダリティがCT装置又は核医学診断装置であり、模擬術具は、磁気を発生する磁気発生素子(永久磁石or電磁石)を取り付けており、位置検出装置は磁気によって、磁気発生素子の位置を検出する。
【0008】
第6の観点の手術支援装置は、第1の観点から第5の観点の手術支援装置において、模擬術具がリアルタイム画像の投影を開始する画像連携スイッチを有する。
第7の観点の手術支援装置は、第1の観点から第6の観点の手術支援装置において、模擬術具が真の術具のマニュピュレートを開始する動作連動スイッチを有する。
第8の観点の手術支援装置は、第1の観点から第7の観点の手術支援装置において、模擬術具が投影装置に三次元投影された投影画像に仮想線を照射するためのレーザ光源を有する。
【0009】
第9の観点の手術支援装置は、第1の観点から第6の観点の手術支援装置において、外観撮影装置が複数台のカメラによって三次元の映像及び座標を取得する。
第10の観点の手術支援装置は、第1の観点から第7の観点のいずれか一項に記載の手術支援装置において、投影装置がホログラムなどの手法で三次元画像を投影する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の手術支援装置は、遠隔操作で真の術具を用いる際に、遠隔操作上に三次元で投影された被検体と、二次元のモニタとを観察しながら画像支援治療を行うことが可能である。このため、遠隔操作に熟練していない手術者でも臨場感がある画像で手術することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、発明を実施するための最良の形態について、MRI装置を使った手術支援装置100について説明する。なお、本実施形態の手術支援装置100は、MRI装置を使用した例で説明する。しかし、MRI装置以外にCT装置、SPECT装置、PET装置、またはアンギオ装置などを用いた手術支援装置でも適用できる。
【0013】
<手術支援装置100の構成>
図1は、MRI装置を使用した手術支援装置100の斜視図であり、
図2は、手術支援装置100の構成図、
図3は手術支援装置100の側面図である。
図1ないし
図3に示されるように、手術支援装置100は、主にマグネットシステム10、テーブル11、クレードル12、操作部20、表示部30、演算部40、三次元カメラ装置50、三次元投影装置60、三次元位置計測装置70、及びマニュピュレータ80を有している。なお、図示される三軸は図に示したクレードル12の長軸方向をZ軸方向とし、短軸方向をX軸とし、重力方向をY軸としている。
【0014】
図2で示されるように、マグネットシステム10は、主磁場コイル部15、勾配コイル部16及びRFコイル部17を有している。これら各コイル部は概ね円筒状の形状を有し、概ね円柱状のボア13(検査空間)に互いに同軸状に配置されている。勾配コイル駆動部102が勾配コイル部16に接続され、RFコイル駆動部103及びデータ収集部104が、RFコイル部17に接続される。またパルスシーケンス制御部101が、勾配コイル駆動部102、RFコイル駆動部103及びデータ収集部104に接続されている。
【0015】
主磁場コイル部15は、マグネットシステム10の内部空間に静磁場を形成する。静磁場の方向は、概ね被検者HBの体軸の方向に平行であり水平磁場を形成する。主磁場コイル部15は、通常、超伝導コイルを用いて構成されるが、超伝導コイルに限らず永久磁石等を用いて構成してもよい。
【0016】
勾配コイル部16は、互いに直交する3軸、すなわち、スライス軸、位相軸及び周波数軸の方向において、それぞれ主磁場コイル部15によって形成された静磁場強度に勾配を持たせるための3種の勾配磁場を発生する。このような勾配磁場の発生を可能にするために、勾配コイル部16は、図示しない3系統の勾配コイルを有する。勾配コイル部16に接続された勾配コイル駆動部102は勾配コイル部16に駆動信号を与えて勾配磁場を発生させる。勾配コイル駆動部102は、勾配コイル部16における3系統の勾配コイルに対応して、図示しない3系統の駆動回路を有する。
【0017】
RFコイル部17は、静磁場空間に被検者HBの体内のスピンを励起するための高周波磁場を形成する。高周波磁場を形成することをRF励起信号の送信といい、RF励起信号をRFパルスという。RFコイル部17に接続されたRFコイル駆動部103はRFコイル部17に駆動信号を与え、その駆動信号に基づいてRFコイル部17はRFパルスを送信する。励起されたスピンが生じる電磁波すなわち核磁気共鳴信号は、RFコイル部17によって受信される。RFコイル部17に接続されたデータ収集部104は、RFコイル部17が受信した核磁気共鳴信号をデジタルデータとして収集する。
【0018】
パルスシーケンス制御部101は、操作者が入力した撮影条件、すなわち撮影プロトコルに従い、勾配コイル駆動部102及びRFコイル駆動部103を駆動させる。例えば、パルスシーケンス制御部101は、所望の撮影断面を撮影プロトコルで呼び出されたシーケンス情報に従い勾配コイル駆動部102及びRFコイル駆動部103を制御する。
【0019】
高速撮影の撮影プロトコルが呼び出された場合、パルスシーケンス制御部101は、秒またはミリ秒単位でRFパルスの送信と核磁気共鳴信号の受信とを繰り返し、リアルタイムなMR画像を撮影する。この高速撮影は、被検体HBの体内に刺入針NDが穿刺された場合に、その刺入針NDのリアルタイムの位置を把握することができる。また、高速撮影は、二次元の撮影断面のだけでなく、差分データを用いた三次元の高速撮影を行い、所望の断面をリフォーマットさせて表示する。
【0020】
テーブル11は、上下方向(Y軸方向)に移動する。クレードル12は、テーブル11の上部に設置され、水平方向(Z軸方向)に移動してマグネットシステム10の中心のボア13の内部及び外部へ移動する。
図3に示されるように、被検者HBはクレードル12に載置され、撮影部位に応じて、ボア13内に搬送される。
【0021】
表示部30は、液晶画面又は有機EL画面等で構成されている。表示部30は、演算部40に接続されている。表示部30は、GUIの操作画面、及び核磁気共鳴信号に基づいて画像再構成(リフォーマット)されたMR画像などを表示することができる。一般に、表示部30は、操作者(診療放射線技師又は臨床検査技師)が観察可能な位置、及び手術者が観察可能な位置の2箇所に設置される。操作者は所望の断面及びシーケンスでMR画像が表示されているかを確認する。手術者はMR画像を観察しながら仮想針74の位置及び角度を調節する。
【0022】
操作部20は、ポインティングデバイスを有するキーボード等で構成される。操作部20は演算部40に接続されている。操作部20は、操作者によって表示部30を介して操作される。操作部20は、キーボード等の代わりに表示部30にタッチパネルを配置してもよい。
【0023】
演算部40は、制御部41、記憶部42、二次元画像処理部43、及び三次元画像処理部44を有し、各種データの処理及びプログラムを実行する。
【0024】
制御部41は、データ収集部104から核磁気共鳴信号を受信し、その核磁気共鳴信号を記憶部42に記憶する。また制御部41は、MRI装置のパルスシーケンス制御部101等を制御する。さらに制御部41は、三次元カメラ装置50、三次元投影装置60、三次元位置計測装置70、及びマニュピュレータ80との接続されており、それらを制御する。
【0025】
記憶部42は、MRI装置の各種撮影プロトコル、MRI装置又は三次元カメラ装置50等の各種プログラムを記憶する。また記憶部42は、データ収集部104が収集した核磁気共鳴信号などを画像再構成した二次元及び三次元画像データ、又は三次元カメラ装置50が撮影した三次元外観データを記憶する。
【0026】
二次元画像処理部43は、データ収集部104から送られてきた二次元の任意断面の核磁気共鳴信号に基づいて任意断面の二次元MR画像を画像再構成する。また、データ収集部104から送られてきた三次元ボクセルの核磁気共鳴信号に基づいて、任意断面の二次元MR画像を画像再構成する。
【0027】
三次元画像処理部44は、三次元で収集した核磁気共鳴信号に基づいて所望の信号強度における三次元の外観MR画像を画像再構成する。三次元の外観MR画像は、信号強度の閾値を設定することで、被検体HBの内臓器の被検体HBの内蔵の外観を示した三次元画像(以下は三次元臓器画像VNGと称する。
図7を参照。)である。本実施形態の三次元臓器画像VNGは被検体HBの内臓器の表面形状を示している。
【0028】
図2及び
図3に示され三次元カメラ装置50は、三次元カメラ演算部51を有している。三次元カメラ演算部51はクレードル12上の被検体HBの外観を不図示の複数のカメラで撮影することで、被検体HBの外観と輪郭座標を算出する。三次元カメラ演算部51が算出した三次元外観データは、記憶部42に転送される。
【0029】
三次元投影装置60は、三次元投影制御部61を有している。三次元投影制御部61は、三次元カメラ装置50で算出した被検体HBの三次元外観データから、ホログラム等の手法を用いて被検体HBの外観の三次元画像(以下、仮想被検体画像VHBと称する。
図7を参照。)をテーブル11上に等倍で投影する。また、三次元投影装置60は、ホログラム等の手法を用いて三次元画像処理部44で作成された被検体HBの三次元臓器画像VNGも等倍で投影する。仮想被検体画像VHB及び三次元臓器画像VNGは、ともに等倍で投影され、且つ、仮想被検体画像VHBの輪郭座標と、三次元臓器画像VNGとが、一致するように補正される。仮想被検体画像VHBは、三次元臓器画像VNGが観察できるように、半透明に投影される。
【0030】
三次元位置計測装置70は、三次元位置計測部71及び位置検出部73で構成される。三次元位置計測装置70の位置検出部73は、例えば、赤外線カメラを用いた光学式の複眼カメラである。位置検出部73は、基準ツール72、仮想針74及び被検体HBを検出する。
【0031】
基準ツール72は、手術支援装置100の壁面に設置される球体マーカMKであり、三次元位置計測装置70の座標系とマグネットシステム10のボア13内の座標系とをリンクさせるために用いられる。模擬術具である仮想針74は、
図3に示されるように、球体マーカMKが設けられている。被検体に対して、その被検体の一部に球体マーカMKが取り付けられる。
【0032】
位置検出部73は、基準ツール72に設置した球体マーカMK、仮想針74に設置した複数の球体マーカMK及び被検体に取り付けられたマーカMKを検出する。三次元位置計測装置70は、例えばノーザンデジタル社(Northern Digital Inc)で販売されているPOLARISを使用することができ、0.3mm前後のXYZ座標値を計測することができる。
【0033】
三次元位置計測部71は、基準ツール72に設置した球体マーカMKに基づいて基準位置を算出する。また三次元位置計測部71は、位置検出部73が検出した仮想針74に設けられた複数の球体マーカMKに基づいて、仮想針74の先端の三次元座標位置及び仮想針74の先端の向きを算出する。仮想針74の一部には、二次元画像処理部43を同期させ表示部30にリアルタイム画像を表示させる画像連携スイッチ78が取り付けられている。また、仮想針74の一部には、刺入針NDを保持するマニュピュレータ80を連動させる動作連動スイッチ79が取り付けられている。
【0034】
三次元位置計測部71は三次元位置計測装置70の座標系と手術支援装置100の座標系とをリンクさせて、その座標データを演算部40に伝達する。また、三次元位置計測部71は仮想針74の三次元位置及び先端向きの情報を演算部40に伝達する。
【0035】
なお、図示される複数のマーカMKは、赤外線を反射する球体の反射球又は赤外線を発光するLEDなどの発光体などで構成される。例えば、基準ツール72に設置するマーカMKには3個の球体マーカMKを設置し、仮想針74に設置するマーカMKには3個の球体マーカMKを設置する。
【0036】
仮想針74の先端にはレーザ光源75が設置されている。レーザ光源75は、球体マーカMKに使用される発光体と異なる可視光のレーザ光75L(
図6を参照)が使用される。レーザ光源75から発光されるレーザ光75Lは仮想針74が向けられた延長線上を示し、手術者が目視可能となっている。
【0037】
仮想針74の三次元位置及び先端の向き情報は、取得済みの三次元のMR画像の画像再構成、または、リアルタイムのMR画像の断面をMRI撮影する際に利用される。また、仮想針74の三次元位置及びその先端向きの情報は、マニュピュレータ80に設置された刺入針NDとの同期に利用される。
【0038】
本実施形態の手術支援装置100は、MRI装置を使用しているため、光学式の位置検出部73を用いている。しかし、CT装置、SPECT装置、PET装置、またはアンギオ装置を使用する手術支援装置であれば、磁場方式の位置受信部を用いることができる。
【0039】
マニュピュレータ80は、
図1又は
図3に示されるようにマグネットシステム10の筐体又は天井に取り付けられている。マニュピュレータ80は、マニュピュレータ制御部81及び多関節の駆動腕82で構成される。マニュピュレータ制御部81は、三次元位置計測装置70で計測された仮想針74の位置情報及び先端の向きに同期して、駆動腕82を制御する。そして刺入針NDが、駆動腕82の先端に取り付けられる。刺入針NDは、仮想針74の三次元位置及び先端の向きに合致し、さらに仮想針74が移動するとその移動に同期する。
【0040】
マニュピュレータ80は、手術者が仮想針74に設けられた動作連動スイッチ79(
図3を参照。)を押した際に、仮想針74の操作と駆動腕82とが連動する。つまり、動作連動スイッチ79を押した後、刺入針NDが仮想針74の動きと同期する。なお、本実施形態では、模擬術具として仮想針74を用い、真の術具として刺入針NDを用いたが、他の処置、治療用具であってもよい。例えば、模擬術具及び真の術具としてピンセット、鉗子又はメス等にも適用できる。
【0041】
図4は、表示部30に表示されたMR画像の任意断面を示した図である。二次元画像処理部43は、二次元の高速なMR撮影又は事前に撮影した三次元のMR撮影に基づいて、二次元の任意断面を画像再構成する。表示部30に表示された4つの断面図は、仮想針74に垂直なXY面、仮想針74に水平なOB面、被検体HBの体軸に垂直なYZ面、及び被検体HBの体軸に平行なXZ面である。これら被検体HBのXY面、OB面、YZ面、XZ面は、腫瘍などのターゲットTGを含んだ面である。
【0042】
特に、刺入針NDが仮想針74の動きと同期する際には、仮想針74を操作する手術者が、被検体HBのどこに刺入針NDがあるかを確認するため、
図4に示されるように、二次元の高速なMR撮影によりリアルタイムで、表示部30に4つの断面図又は少なくとも水平なOB面を表示するようにすることが好ましい。仮想針74は、画像連携スイッチ78又は動作連動スイッチ79がオンされることで、二次元画像処理部43が二次元の高速なMR撮影を開始する。
【0043】
図4の表示部30には、実際に被検体HBに挿入された刺入針NDが映し出されている。また、事前の診断等でターゲットTGの位置が特定されているため、
図4に示されるように、リアルタイムで表示される4つの断面図にターゲットTGを色付けで重ねて表示してもよい。
【0044】
<手術支援装置100のフローチャート>
図5は画像支援治療を行う手術支援装置100のフローチャートである。
【0045】
ステップS11において、操作者はMR装置のクレードルに被検体HBを載置する。操作者は寝台を上昇させて載置された被検体HBを所定の高さ(Y軸位置)に配置する。被検体HBの長軸方向(Z軸方向)は、所望の処置範囲が仮想中心VP(
図3を参照。)の近傍になるよう配置する。仮想中心VPはレーザポインターなどで基準のZ軸位置を示す。
【0046】
ステップS12において、操作者は三次元カメラ装置50で被検体HBを撮影する。三次元カメラは被検体HBの外観を撮影し(
図3を参照)、三次元外観データは仮想被検体画像VHBとして記憶部42に保存される。なお、
図3では被検体HBの全身を撮影しているが、おおよそ処置範囲を撮影する方法でもよい。また、操作者は三次元位置計測装置70で被検体HBの位置を確認する。
【0047】
ステップS13において、操作者は仮想中心VPが撮影中心RPに来るようクレードルを移動させ、ボア13内の撮影中心RPでMRI撮影を行う(
図3を参照)。クレードルの移動量は決まっているため、操作者は、移動スイッチ(不図示)を一度押すことで仮想中心VPを撮影中心RPになるよう移動させる。このMRI撮影により、三次元画像処理部44は、被検体HBの内臓器の被検体HBの内蔵の外観を示した三次元臓器画像VNGを画像再構成する。その三次元臓器画像VNGは記憶部42に保存される。
【0048】
図6は、撮影中心RPでMRI撮影を行ったプレMRIデータPMDから三次元投影する方法と、二次元表示する方法を示した図である。プレMRIデータPMDは記憶部42に保存される。プレMRIデータは三次元臓器画像VNGの作成、または二次元の複数断面の画像再構成に利用される。三次元臓器画像VNGは三次元投影装置60で投影される。また、二次元画像処理部43は、表示部30にプレMRIデータPMDから画像再構成した複数断面の画像を表示する。
【0049】
ステップS14において、三次元投影装置60は、仮想中心VPを中心とした位置にステップS12で撮影した仮想被検体画像VHB及びステップS12で撮影した三次元臓器画像VNGの外観を投影する。
【0050】
ここで、
図7を使って三次元投影装置60で投影される仮想被検体画像VHB(破線で表示)と、プレMRIデータPMDから作成された被検体HBの三次元臓器画像VNG(実線で表示)とについて説明する。
【0051】
三次元投影装置60の三次元投影制御部61は、仮想被検体画像VHB、及び三次元臓器画像VNGが実寸大になるよう補正して投影する。また、三次元投影制御部61は、三次元位置計測装置70で測定された被検体HBの位置に基づいて、仮想被検体画像VHBの仮想中心VPが三次元カメラ装置50で取得した仮想中心VPと重なるよう補正する。さらに、撮影中心RPで撮影された三次元臓器画像VNGも仮想中心VPに重なるように投影される。被検体HBはボア13内に移動しているが、仮想中心VPに仮想被検体画像VHBと三次元臓器画像VNGとが投影されている。このため、手術者は臨場感がある状態で仮想被検体画像VHBを観察できることができ、さらに臓器の状態も観察できる。
【0052】
次にステップS15において、手術者が仮想針74を手に取ると、その仮想針74の位置や仮想針74の向きが三次元位置計測装置70で計測される。そして、手術者が仮想被検体画像VHBの体表面に仮想針74を移動させ、画像連携スイッチ78をオンすることで仮想針74の座標と二次元画像処理部43とを同期させる。
【0053】
図4で示されたように、手術者は、ターゲットTGを中心とした被検体HBのYZ面、及びXZ面からターゲットTGを確認し、仮想針74の座標と連動して画像再構成されるXY面、及びOB面がターゲットTGと重なるよう仮想針74を動かす。仮想針74は三次元位置計測装置70で座標と角度とが計測され、リアルタイムに二次元画像処理部43に伝達される。二次元画像処理部43は、仮想針74の延長線である仮想線76及び任意断面を画像再構成し、表示部30に表示させる。
【0054】
ステップS16において、仮想針74は、先端のレーザ光源75を点灯させ、仮想針74が向けられた延長線上にレーザ光75Lを投影する。手術者は仮想被検体画像VHBに向かって輝くレーザ光75Lを確認することができ、被検体HBの刺入点を確認することができる(
図7を参照)。また、手術者はレーザ光75Lが三次元臓器画像VNGのターゲットTGに向いているかを確認することができる。なお、三次元画像処理部44はプレMRIデータPMDの信号強度の閾値を変化させて三次元臓器画像VNGの外観だけでなくターゲットTGの外観を表示することも可能である。
【0055】
ステップS17において、手術者は最適な仮想針74の位置及び角度を確認する。例えば、複数のリフォーマット画像は、
図4で示された仮想針74とターゲットTGを基準とした2断面と、ターゲットTGを中心とした2断面とが表示される。仮想針74とターゲットTGを基準とした2断面においてはレーザ光75Lが示す仮想線76の色を変えて描画する。これにより、手術者は、仮想針74の位置及び角度を確認し易い。仮想針74とターゲットTGを基準とした1断面で説明すると、
図8で示されるように、二次元画像処理部43は仮想針74aとターゲットTGとを基準としたXY1断面と仮想線76aとを描画する。仮想針74aがXY1断面上の仮想針74bの位置に移動した場合、二次元画像処理部43は仮想線76bを描画して仮想針74bの刺入方向を示す。また、仮想針74aが仮想針74cの位置に移動した場合、二次元画像処理部43は仮想針74cとターゲットTGとを基準としたXY2断面と、仮想線76cとを描画して仮想針74cの刺入方向を示す。
【0056】
ステップS18において、手術者は刺入位置、及び刺入角度を決定すると、マニュピュレータ80との動作連動スイッチ79をオンにする。動作連動スイッチ79がオンになると、マニュピュレータ80が駆動して仮想針74の動きと刺入針NDの動きとが同期する。マニュピュレータ80の駆動は被検体HBの侵襲が伴うため、三次元投影装置60で投影された仮想被検体画像VHBの体表面の位置情報と、三次元位置計測装置70で計測された仮想針74の先端の位置情報とから、仮想針74の先端が仮想被検体画像VHBの体表面に侵入する際には警告音、または許可スイッチなどの安全装置を設置し、誤動作による被検体HBの不用意な侵襲を防止させる。
【0057】
ステップS19において、仮想針74が刺入点に到達すると、パルスシーケンス制御部101は、秒またはミリ秒単位でRFパルスの送信と核磁気共鳴信号の受信とを繰り返し、リアルタイムなMR画像を撮影する。所定断面は、手術者または操作者が決定し、手術支援装置100は仮想針74を基準とした断面で高速撮影する。表示部30は、仮想線76とともに刺入針NDの表示も行う。
【0058】
ステップS20において、手術者はリアルタイムのMR画像を確認しながら仮想針74をターゲットTGまで進める。仮想針74の動作と同期して刺入針NDが被検体HBの体内に刺入される。通常、手術者は刺入針NDの刺入の際に被検体HBに息止めをしてもらう。手術者は、被検体HBの息止めで、高速撮影で表示された断面にターゲットTGが適切な位置に来た場合に刺入を開始する。
図9は高速撮影された一断面(XY断面)のMR画像の経時変化を図示した図である。
図9(a)で示されるように、刺入針NDが体表面に接触すると、体表面は歪む。
図9(b)で示されるように、刺入針NDが臓器に接触すると、その臓器も歪む。臓器によっては、歪むだけでなくターゲットTGのZ軸方の位置、及び距離がずれたりする。このため、手術者はリアルタイムのMR画像を確認し、仮想針74の進入方向を調節しながら、
図9(c)に示されるように、ターゲットTGまで仮想針74を進める。仮想針74がターゲットTGまで到達すると、刺入針NDもターゲットTGまで到達している。
【0059】
ステップS21において、手術者は連動スイッチをオフにしてマニュピュレータ80の連動を解除する。連動の解除後、操作者はマニュピュレータ80が固定している刺入針NDの固定を解除する。操作者は被検体HBをボア13の外に排出し、手術者は所望の処置を行う。例えば、所望の処置は薬剤の注入、組織の吸引などである。手術者は処置を行った後は刺入針を抜く。
【0060】
以上、本発明の最適な実施形態について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において実施形態に様々な変更・変形を加えて実施することができる。例えば、本実施形態ではステップS19において、仮想針74が刺入点に到達してからリアルタイムなMR画像を撮影した。しかし、ステップS18において、手術者動作連動スイッチ79をオンにしたらすぐに、リアルタイムなMR画像を撮影してもよい。またステップS15において画像連携スイッチ78をオンしたらすぐに、リアルタイムなMR画像を撮影してもよい。