(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器、前記燃焼器へ供給する燃料の圧力を調整する圧力調整弁、前記燃焼器へ供給する燃料の流量を調整する流量調整弁、及び前記燃焼器によって生成された燃焼ガスにより駆動するタービンを備えたガスタービンの制御装置であって、
前記流量調整弁を流れる燃料の圧力の計測値と予め定められた圧力の設定値との差分を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された前記差分に基づいて、前記圧力調整弁の開度を制御する圧調弁制御手段と、
前記圧力調整弁の動作確認を行う場合に、前記算出手段に入力される前記圧力の設定値に加算するためのバイアス値を発生させるバイアス発生手段と、
を備え、
前記流量調整弁のCv値を演算し、前記Cv値に基づいて前記流量調整弁の開度を演算すると共に、前記バイアス値が加算された前記圧力の設定値に応じた補正係数を、前記流量調整弁の開度又は前記Cv値に乗算するガスタービンの制御装置。
燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器、前記燃焼器へ供給する燃料の圧力を調整する圧力調整弁、前記燃焼器へ供給する燃料の流量を調整する流量調整弁、及び前記燃焼器によって生成された燃焼ガスにより駆動するタービンを備えたガスタービンの制御方法であって、
前記圧力調整弁の動作確認を行う場合に、バイアス値を発生させる第1工程と、
前記バイアス値が加算された予め定められた圧力の設定値と前記流量調整弁を流れる燃料の圧力の計測値との差分を算出する第2工程と、
算出された前記差分に基づいて、前記圧力調整弁の開度を制御する第3工程と、
を含み、
前記流量調整弁のCv値を演算し、前記Cv値に基づいて前記流量調整弁の開度を演算すると共に、前記バイアス値が加算された前記圧力の設定値に応じた補正係数を、前記流量調整弁の開度又は前記Cv値に乗算するガスタービンの制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているガスタービンの制御装置は、動作確認を行うための弁開度を別途算出する必要があるので構成が複雑となる。
【0006】
また、特許文献1に開示されているガスタービンの制御装置は、圧力調整弁の動作確認を行うための弁開度を圧力調整弁へ直接出力しているため、圧力調整弁の変化を流量調整弁に反映できず、圧力調整弁の変化に伴う流量調整弁の制御に遅れが生じる。このため、特許文献1に開示されているガスタービンの制御装置は、圧力調整弁の動作確認を行う場合において、ガスタービンすなわち発電機の出力の負荷に対する追従性が悪いという問題も有している。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、負荷一定で制御している場合における圧力調整弁の動作確認を簡易な構成で可能とする、ガスタービンの制御装置、ガスタービン、及びガスタービンの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のガスタービンの制御装置、ガスタービン、及びガスタービンの制御方法は以下の手段を採用する。
【0009】
本発明の第一態様に係るガスタービンの制御装置は、燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器、前記燃焼器へ供給する燃料の圧力を調整する圧力調整弁、前記燃焼器へ供給する燃料の流量を調整する流量調整弁、及び前記燃焼器によって生成された燃焼ガスにより駆動するタービンを備えたガスタービンの制御装置であって、前記流量調整弁を流れる燃料の圧力の計測値と予め定められた圧力の設定値との差分を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された前記差分に基づいて、前記圧力調整弁の開度を制御する圧調弁制御手段と、前記圧力調整弁の動作確認を行う場合に、前記算出手段に入力される前記圧力の設定値に加算するためのバイアス値を発生させるバイアス発生手段と、を備える。
【0010】
本構成に係る制御装置は、燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器、燃焼器へ供給する燃料の圧力を調整する圧力調整弁、燃焼器へ供給する燃料の流量を調整する燃料流量調整、及び燃焼器によって生成された燃焼ガスにより駆動するタービンを備えたガスタービンの制御装置である。
そして、制御装置は、流量調整弁を流れる燃料の圧力の計測値と予め定められた圧力の設定値との差分を算出手段によって算出し、該差分に基づいて圧力調整弁の開度を圧調弁制御手段によって制御する。
【0011】
ここで、圧力調整弁の動作確認を行う場合に、バイアス発生手段によって、算出手段に入力される予め定められた圧力の設定値に加算するためのバイアス値が発生される。これにより、ガスタービンの負荷が一定の状態であっても、圧力の設定値が変化することに伴って圧力調整弁の開度が変化するので、圧力調整弁の動作確認が可能となる。
【0012】
従って、本構成によれば、負荷一定で制御している場合における圧力調整弁の動作確認を簡易な構成で可能とする。
【0013】
上記第一態様では、前記バイアス値が加算された前記圧力の設定値に基づいて、前記流量調整弁の開度を制御することが好ましい。
【0014】
本構成は、圧力調整弁の動作確認を行う場合、バイアス値が加算された圧力の設定値に基づいて圧力調整弁の開度を変化させるため、圧力調整弁の開度を直接的に変化させない。すなわち、本構成は、バイアス値が加算された圧力の設定値を流量調整弁の開度の制御に用いることができる。
そして、本構成は、圧力調整弁の動作確認を行う場合、バイアス値が加算された圧力の設定値に基づいて、流量調整弁の開度が制御される。このため、圧力の設定値の変化に基づいて流量調整弁の開度が先行的に補正されるので、本構成は、圧力調整弁の動作確認を行う場合における負荷に対する発電機の出力の追従性を向上できる。
【0015】
上記第一態様では、前記流量調整弁のCv値を演算し、前記Cv値に基づいて前記流量調整弁の開度を演算すると共に、前記バイアス値が加算された前記圧力の設定値に応じた補正係数を、前記流量調整弁の開度又は前記Cv値に乗算することが好ましい。
【0016】
本構成によれば、簡易な構成で、圧力調整弁の動作確認を行う場合における負荷に対する発電機の出力の追従性を向上できる。
【0017】
上記第一態様では、前記バイアス値が加算された前記圧力の設定値に基づいて、前記流量調整弁のCv値を演算することが好ましい。
【0018】
本構成によれば、より簡易な構成で、圧力調整弁の動作確認を行う場合における負荷に対する発電機の出力の追従性を向上できる。
【0019】
上記第一態様では、前記バイアス値が、0から第1所定値まで変化した後に0へ戻り、その後前記第1所定値と符号の異なる第2所定値まで変化した後に0へ戻ることが好ましい。
【0020】
本構成によれば、圧力調整弁の開度が開く方向及び閉じる方向に変化するので、圧力調整弁の動作をより確実に確認でき、かつ動作確認を行うために圧力調整弁の開度を変化させても、再び開度が元に戻るので、圧力調整弁の動作確認に伴う発電機の出力の変動を小さくできる。
【0021】
本発明の第二態様に係るガスタービンは、燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼器へ供給する燃料の圧力を調整する圧力調整弁と、前記燃焼器へ供給する燃料の流量を調整する流量調整弁と、前記燃焼器によって生成された燃焼ガスにより駆動するタービンと、上記記載の制御装置と、を備える。
【0022】
本発明の第三態様に係るガスタービンの制御方法は、燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器、前記燃焼器へ供給する燃料の圧力を調整する圧力調整弁、前記燃焼器へ供給する燃料の流量を調整する流量調整弁、及び前記燃焼器によって生成された燃焼ガスにより駆動するタービンを備えたガスタービンの制御方法であって、前記圧力調整弁の動作確認を行う場合に、バイアス値を発生させる第1工程と、前記バイアス値が加算された予め定められた圧力の設定値と前記流量調整弁を流れる燃料の圧力の計測値との差分を算出する第2工程と、算出された前記差分に基づいて、前記圧力調整弁の開度を制御する第3工程と、を含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、負荷一定で制御している場合における圧力調整弁の動作確認を簡易な構成で可能とする、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係るガスタービンの制御装置、ガスタービン、及びガスタービンの制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るガスタービン10の構成図である。
【0027】
ガスタービン10は、タービン12、圧縮機14、及び燃焼器16を備える。
【0028】
圧縮機14は、回転軸18により駆動されることで、空気取込口から取り込まれた空気を圧縮して圧縮空気を生成する。圧縮機14の入口には、圧縮機14に導かれる空気の流量を制御する入口案内翼(Inlet Guide Vane:IGV)20が設けられている。
【0029】
燃焼器16は、圧縮機14から導入された圧縮空気に燃料を噴射して高温・高圧の燃焼ガスを発生させる。
【0030】
タービン12は、燃焼器16で発生した燃焼ガスによって回転駆動する。
【0031】
なお、タービン12、圧縮機14、及び発電機30は、回転軸18によって連結され、タービン12に生じる回転駆動力は、回転軸18によって圧縮機14及び発電機30に伝達される。そして、発電機30は、タービン12の回転駆動力によって発電する。
【0032】
また、燃焼器16には、パイロットノズル及びメインノズルが設けられている。メインノズルは、パイロットノズルを取り囲むように複数(例えば8本、図示省略)設けられている。パイロットノズルには、圧力調整弁34Pで流量調整弁36P前後の差圧が調整され、流量調整弁36Pで流量が調整されたパイロット燃料が供給される。一方、メインノズルには圧力調整弁34Mで流量調整弁36M前後の差圧(以下、「流調弁差圧」という。)が調整され、流量調整弁36Mで流量が調整されたメイン燃料が供給される。
そして、燃焼器16は、パイロットノズルから供給されたパイロット燃料と圧縮空気とを混合させて燃焼させると共に、メインノズルから供給されたメイン燃料と圧縮空気とを混合して燃焼させる。
【0033】
なお、以下の説明において、圧力調整弁34P,34Mを区別しない場合は、符号の末尾であるP,Mを省略し、流量調整弁36P,36Mを区別しない場合は、符号の末尾であるP,Mを省略する。
【0034】
本第1実施形態に係るガスタービン10は、流調弁差圧を圧力計測部38により計測し、計測した流調弁差圧に基づいて圧力調整弁34の開度を制御(以下、「差圧調制御」という。)する。なお、
図1では、圧力調整弁34Pに対する制御のみを図示しているが、圧力調整弁34Mも同様である。
【0035】
圧力調整弁34の弁開度(以下、「圧調弁開度」という。)の制御、及び流量調整弁36の弁開度(以下、「流調弁開度」という。)の制御は、
図2に示される制御装置50で行われる。なお、
図2では、圧調弁開度及び流調弁開度を演算するためのブロック図が一系統しか示されていないが、制御装置50は、圧力調整弁34Pと流量調整弁36Pとの組み合わせ、圧力調整弁34Mと流量調整弁36Mとの組み合わせ毎に、同様の構成を備えている。
【0036】
制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等から構成されており、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。
【0037】
制御装置50は、流量調整弁36の開度を制御するための流調弁開度演算部52、及び圧力調整弁34の開度を制御するための圧調弁開度演算部54を備えている。
【0038】
流調弁開度演算部52は、ガスタービン10に関する状態量を入力信号として取得し、該入力信号に基づいて燃焼器22に供給する燃料流量を制御するためのCSO(Control Signal Output:燃料制御信号)を算出する。
具体的には、負荷制御演算部56が、負荷に応じたCSOを演算して低値選択部62へ出力し、回転数制御演算部58がタービン12の回転数に応じたCSOを演算して低値選択部62へ出力し、温度制御演算部60がタービン12の排ガス温度及びブレードパス温度に応じたCSOを演算して低値選択部62へ出力する。なお、CSOを演算する手段である負荷制御演算部56、回転数制御演算部58、及び温度制御演算部60は一例であり、他の手段を用いてCSOを演算してもよいし、これらの一部を用いてCSOを演算してもよい。
【0039】
低値選択部62は、入力されたCSOのうち、最も小さいCSOを選択して燃料流量演算部64へ出力する。
【0040】
燃料流量演算部64は、例えばCSOと燃料流量との関係を予め示したデータに基づいて、入力されたCSOに応じた燃料流量の値をCv値演算部66へ出力する。
【0041】
Cv値演算部66は、入力された燃料流量の値、燃料温度、及び流調弁圧力に基づいてCv値(弁容量を示す数値)を予め定められた演算式を用いて算出し、弁開度演算部68へ出力する。なお、流調弁圧力は、圧力計測部38で計測された流調弁差圧でもよいし、流調弁差圧の設定値でもよい。
【0042】
弁開度演算部68は、例えばCv値と流量調整弁36の弁開度との関係を予め示したデータに基づいて、入力されたCv値に応じた弁開度(%)を流量調整弁36へ出力する。
【0043】
一方、圧調弁開度演算部54は、減算部70、圧調弁制御部72、及びバイアス発生部74を備える。
【0044】
減算部70は、流量調整弁36を流れる燃料の圧力の計測値(以下、「流調弁圧力計測値」という。)と予め定められた圧力の設定値(以下、「流調弁圧力設定値」という。)との差分を算出する。なお、本第1実施形態では、圧力計測部38によって計測された流調弁差圧が流調弁圧力計測値となる。
【0045】
圧調弁制御部72は、減算部70によって算出された差分に基づいて、圧力調整弁34の弁開度(%)を制御(例えばPI制御)する。すなわち、本第1実施形態に係る圧調弁制御部72は、PI制御により弁開度を演算し、圧力調整弁34へ出力する。
【0046】
バイアス発生部74は、圧力調整弁34の動作確認が行われる場合に、減算部70に入力される流調弁圧力設定値に加算するためのバイアス値を発生させる。すなわち、圧力調整弁34の動作確認が行われる場合、流調弁圧力設定は、加算部76によってバイアス値が加算された後に減算部70に入力される。
【0047】
図3は、バイアス発生部74の構成図の一例である。
バイアス発生部74は、関数発生部80、0値発生部82、押ボタンスイッチ84、及び出力部86を備える。
【0048】
関数発生部80は、バイアス値を発生させる。
図4は、関数発生部80から発生されるバイアス値を示すグラフの一例である。
図4に示されるように、バイアス値は、0から第1バイアス値まで変化した後に0へ戻り、その後第1バイアス値と符号の異なる第2バイアス値まで変化した後に0へ戻る。
なお、
図4の例では第1バイアス値は、符号がマイナスであり、第2バイアス値は符号がプラスであり、第1バイアス値と第2バイアス値の絶対値は同じ値であるが、これに限らず、第1バイアス値の符号がプラスで第2バイアス値の符号がマイナスであり、第1バイアス値と第2バイアス値の絶対値が異なってもよい。
【0049】
0値発生部82は、0(零)値を発生させる。
【0050】
押ボタンスイッチ84は、出力部86から出力させる値を関数発生部80からのバイアス値又は0値発生部82からの0値をとする。すなわち、押ボタンスイッチ84が操作され、ON状態となるとバイアス値が出力部86から出力され、OFF状態となると0値が出力部86から出力される。
【0051】
次に、ガスタービン10が負荷一定で制御されている場合に、圧力調整弁34の動作確認を行うための制御装置50の動作について説明する。
従来、ガスタービン10が負荷一定で制御されている場合であって燃料供給圧力が一定であれば、圧力調整弁34の開度は一定であり、圧力調整弁34が正常に機能しているか判断できない。そこで、本第1実施形態に係る制御装置50は、以下に説明するように圧力調整弁34の動作確認を行う。
【0052】
流調弁開度演算部52は、圧力調整弁34の動作確認を行う場合、操作者によって押ボタンスイッチ84が押圧されて出力部86がON状態となる。これにより、関数発生部80は、例えば
図4に示されるようバイアス値を発生し、バイアス発生部74がバイアス値を加算部76へ出力する。
なお、押ボタンスイッチ84が押圧されるまで、すなわち圧力調整弁34の動作確認を行わない場合、出力部86はOFF状態であるため、バイアス発生部74は0値を出力するので、流調弁圧力設定値にバイアス値が加算されない。
【0053】
加算部76によって流調弁圧力設定値にバイアス値が加算されると、減算部70から出力される流調弁圧力設定値と流調弁圧力計測値との差分も変化し、これに伴い圧調弁制御部72から出力される圧調弁開度も変化するので、圧力調整弁34の開度が変化する。
このように、圧力調整弁34の動作確認を行う場合、流調弁圧力設定値にバイアス値が加算されるので、ガスタービン10の負荷が一定の状態であっても、流調弁圧力設定値が変化し、圧力調整弁34の開度が変化するので、圧力調整弁34の動作確認が可能となる。
【0054】
また、バイアス値は、
図4の例に示されるように時間と共に増減して符号が逆転する。これにより、圧力調整弁34の開度が開く方向及び閉じる方向に変化するので、圧力調整弁34の動作をより確実に確認できる。また、バイアス値は、0から変化して再び0へ戻るため、動作確認を行うために圧力調整弁34の開度を変化させても、再び開度が元に戻るので、圧力調整弁34の動作確認に伴う発電機30の出力の変動を小さくできる。
【0055】
一方、流調弁開度演算部52は、負荷制御演算部56、回転数制御演算部58、及び温度制御演算部60により演算したCSOのうち、低値選択部62によって選択されたCSOに基づいて燃料流量を算出する。そして、流調弁開度演算部52は、Cv値演算部66によって、燃料流量、燃料温度、及び流調弁圧力に基づいてCv値を演算し、演算したCv値に基づいて流量調整弁36の弁開度を算出し、流量調整弁36へ出力する。このような本第1実施形態に係る流調弁開度演算部52の動作は、圧力調整弁34の動作確認の有無にかかわらず同様である。
すなわち、圧力調整弁34の動作確認が行われると、バイアス値が流調弁圧力設定値に加算されることに伴って圧力調整弁34の開度が変化するので、燃焼器16に供給される燃料量が変化し、負荷も変化する。このため、負荷を一定にするために、流調弁開度演算部52が備える負荷制御演算部56、回転数制御演算部58、及び温度制御演算部60から出力されるCSOが変化する。そして、CSOの変化に応じて流量調整弁36の開度が制御されることとなる。
【0056】
以上説明したように、本第1実施形態に係るガスタービン10の制御装置50は、流調弁圧力計測値と流調弁圧力設定値との差分を算出する減算部70と、減算部70によって算出された差分に基づいて、圧力調整弁34の開度を制御する圧調弁制御部72と、圧力調整弁34の動作確認を行う場合に、減算部70に入力される圧力の設定値に加算するためのバイアス値を発生させるバイアス発生部74と、を備える。
従って、本第1実施形態に係る制御装置50は、負荷一定で制御している場合における圧力調整弁34の動作確認を簡易な構成で可能とする。
【0057】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0058】
なお、本第2実施形態に係るガスタービン10の構成は、
図1に示す第1実施形態に係るガスタービン10の構成と同様であるので説明を省略する。
【0059】
ここで、上述した第1実施形態に係る制御装置50は、流調弁開度演算部52の動作が圧力調整弁34の動作確認の有無にかかわらず同様であるため、圧力調整弁34の動作確認を行うための流調弁圧力設定値の変化に伴う発電機30の出力の変動に対しては、負荷制御に頼ることとなる。
また、上述した第1実施形態に係る制御装置50は、圧力調整弁34の動作確認を行う場合、バイアス値が加算された流調弁圧力設定値に基づいて圧力調整弁34の開度を変化させるため、圧力調整弁34の開度を直接的に変化させない。すなわち、制御装置50は、バイアス値が加算された流調弁圧力設定値を流量調整弁36の開度の制御に用いることができる。
【0060】
そこで、本第2実施形態及び後述する第3実施形態に係る流調弁開度演算部52は、圧力調整弁34の動作確認を行う場合、バイアス値が加算された流調弁圧力設定値に基づいて、流量調整弁36の開度を制御する。このため、流調弁圧力設定値の変化に基づいて流量調整弁36の開度が先行的に補正されるので、本第2実施形態及び後述する第3実施形態に係るガスタービン10は、圧力調整弁34の動作確認を行う場合における負荷に対する発電機30の出力の追従性を向上できる。
【0061】
図5は、本第2実施形態に係る制御装置50の構成を示す。なお、
図5における
図2と同一の構成部分については
図2と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0062】
図5に示されるように、本第2実施形態に係る制御装置50は、バイアス値が加算された流調弁圧力設定値に応じた補正係数を出力する補正部90を備える。
補正部90は、圧力調整弁34の動作確認を行う場合(押ボタンスイッチ84が押圧された場合)、例えば、流調弁圧力設定値と補正係数との関係を予め示したデータ(補正係数マップ)に基づいて、流調弁圧力設定値に応じた補正係数を出力する。
【0063】
また、本第2実施形態に係る流調弁開度演算部52は、Cv値演算部66と弁開度演算部68との間に乗算部92を備える。
乗算部92は、補正部90から出力された補正係数をCv値演算部66から出力されたCv値に乗算し、弁開度演算部68へ出力する。
【0064】
これにより、本第2実施形態に係る流調弁開度演算部52は、圧力調整弁34の動作確認を行う場合、バイアス値が加算された流調弁圧力設定値に応じた補正係数が乗算されたCv値に基づいて、流量調整弁36の開度を演算する。
なお、流調弁圧力設定値が小さいほど、補正係数は大きくなる。すなわち、バイアス値の符号がマイナスの場合において流量調整弁36の開度は、より開く方向へ変化する。燃料の圧力の下降に応じて、燃料の流量を増加させてガスタービン10の出力を一定とするためである。一方、バイアス値の符号がプラスの場合において流量調整弁36の開度は、より閉じる方向へ変化する。燃料の圧力の上昇に応じて、燃料の流量を下降させてガスタービン10の出力を一定とするためである。
【0065】
このように、本第2実施形態に係る制御装置50は、簡易な構成で、圧力調整弁34の動作確認を行う場合における負荷に対する発電機30の出力の追従性を向上できる。
【0066】
なお、本第2実施形態に係る制御装置50は、補正係数をCv値演算部66から出力されたCv値に乗算する形態について説明したが、これに限らず、補正係数を弁開度演算部68から出力された弁開度に乗算する形態としてもよい。
【0067】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について説明する。
【0068】
なお、本第3実施形態に係るガスタービン10の構成は、
図1に示す第1実施形態に係るガスタービン10の構成と同様であるので説明を省略する。
【0069】
図6は、本第3実施形態に係る制御装置50の構成を示す。なお、
図6における
図2と同一の構成部分については
図2と同一の符号を付して、その説明を省略する。
本第3実施形態に係る制御装置50は、バイアス値が加算された流調弁圧力設定値に基づいて、流量調整弁36のCv値を演算する。
すなわち、Cv値演算部66がCv値を演算するために用いる流調弁圧力として、バイアス値が加算された流調弁圧力設定値が用いられる。
これにより、Cv値演算部66によるCv値の演算において、バイアス値が加算されることによる流調弁圧力設定値の変化が反映されることとなり、流量調整弁36の開度が先行的に補正される。
【0070】
従って、本第3実施形態に係る制御装置50は、第2実施形態に係る制御装置50のように新たな構成を追加する必要が無いため、より簡易な構成で、圧力調整弁34の動作確認を行う場合における負荷に対する発電機30の出力の追従性を向上できる。
【0071】
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0072】
例えば、上記各実施形態では、CSOに基づいて演算された燃料流量の値、燃料温度、及び圧力計測部38で計測された差圧に基づいて、Cv値演算部66がCv値を演算する形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、燃料流量の値、燃料温度、及び予め設定された差圧に基づいて、Cv値演算部66がCv値を演算する形態としてもよい。
【0073】
また、上記各実施形態では、圧力調整弁34P,34Mの弁開度の制御を差圧調制御により行う形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、
図7に示されるように、流量調整弁36P,36Mに対して共通の圧力調整弁34を備え、圧力計測部96によって計測される流量調整弁36P,36Mの上流側の圧力(以下、「流調弁前圧」という。)に基づいて、圧力調整弁34の弁開度を制御する全圧制御を行う形態としてもよい。すなわち、この形態の場合では流調弁前圧が、減算部70に入力される流調弁圧力計測値となる。