特許第5922556号(P5922556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5922556
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】溶接検査装置及び溶接検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20160510BHJP
【FI】
   G01N21/88 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-242048(P2012-242048)
(22)【出願日】2012年11月1日
(65)【公開番号】特開2014-92407(P2014-92407A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077816
【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100156524
【弁理士】
【氏名又は名称】猪野木 雄一
(72)【発明者】
【氏名】小西 孝明
(72)【発明者】
【氏名】中野 博之
(72)【発明者】
【氏名】小池 正浩
(72)【発明者】
【氏名】芝原 啓介
【審査官】 奥田 雄介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−324182(JP,A)
【文献】 特開2000−234918(JP,A)
【文献】 特開昭61−107143(JP,A)
【文献】 特開平09−229876(JP,A)
【文献】 実用新案登録第3034897(JP,Y2)
【文献】 特開昭52−042136(JP,A)
【文献】 特開2012−002531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
狭隘な部位にある溶接裏側部分を検査する溶接検査装置において、
前記狭隘な部位に配置可能とし、溶接幅より広い視野と近接領域で裏波ビードの有無の範囲で合焦する被写界深度とを持つ屈析率分布型の対物レンズを用いて、前記溶接裏側部分を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置のスライド方向が溶接線方向に対して平行、前記撮像装置の撮像方向及び回転方向が前記溶接線方向に対して直角となるように、前記撮像装置をスライド可能かつ回転可能に支持する支持部と、
前記撮像装置で撮像された前記溶接裏側部分の画像に対して輝度が予め設定された所定の閾値より低い領域を抽出し、抽出された領域を連結成分毎に分割して各分割領域の長手方向を演算し、演算された各分割領域の長手方向が予め設定された前記溶接線方向であるか否かを判定し、これによって前記溶接裏側部分に開口があるか否かを判定する画像処理装置と、
前記画像処理装置の判定結果及び対応する画像を表示する表示部とを備えたことを特徴とする溶接検査装置。
【請求項2】
狭隘な部位にある溶接裏側部分を検査する溶接検査方法において、
撮像装置のスライド方向が溶接線方向に対して平行、前記撮像装置の撮像方向及び回転方向が前記溶接線方向に対して直角となるように、前記撮像装置をスライド可能かつ回転可能に支持部で支持しつつ、前記狭隘な部位に前記撮像装置を配置し
前記撮像装置により、溶接幅より広い視野と近接領域で裏波ビードの有無の範囲で合焦する被写界深度とを持つ屈析率分布型の対物レンズを用いて、前記溶接裏側部分を撮像し、
画像処理装置により、前記溶接裏側部分の画像に対して輝度が予め設定された所定の閾値より低い領域を抽出し、抽出された領域を連結成分毎に分割して各分割領域の長手方向を演算し、演算された各分割領域の長手方向が予め設定された溶接線方向であるか否かを判定し、
その判定結果及び対応する画像を表示部で表示することを特徴とする溶接検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、狭隘な部位にある溶接裏側部分を検査する溶接検査装置及び溶接検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶接検査方法の一例として、溶接部の表側から外観検査(目視検査)を行うことが知られている。しかし、例えば図12及び図13で示すように、母材100A,100Bの間に形成された開先に片側溶接が行われた溶接部101では、溶接部101の表側(図中上側)からの外観検査だけでなく、溶接部101の裏側(図中下側)からの外観検査も行ったほうがよい。すなわち、図12で示すように溶接の溶け込みが十分である場合は、溶接部101の裏側に裏波ビード102が形成されるものの、図13で示すように溶接の溶け込みが不十分である場合は、溶接部101の裏側に開口(開先)103が残存する可能性がある。
【0003】
そこで、例えば溶接裏側部分が狭隘な部位にあって直視が困難な場合でも、狭隘な部位にカメラを配置して溶接裏側部分を撮像することにより、溶接裏側部分の外観検査を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の従来技術では、カメラで撮像された画像から、溶接裏側部分に裏波ビード若しくは開口があるか否かを、検査者が判定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−324182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術には以下のような改善の余地があった。すなわち、上記従来技術では、カメラで撮像された画像から、溶接裏側部分に裏波ビード若しくは開口があるか否かを、検査者が判定するようになっている。そのため、人的ミスが生じる可能性がある。具体的には、例えば母材表面に形成された傷等を開口と誤認する可能性がある。したがって、検査精度の点で改善の余地があった。
【0006】
本発明の目的は、検査精度を高めることができる溶接検査装置及び溶接検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、狭隘な部位にある溶接裏側部分を検査する溶接検査装置において、前記狭隘な部位に配置可能とし、溶接幅より広い視野と近接領域で裏波ビードの有無の範囲で合焦する被写界深度とを持つ屈析率分布型の対物レンズを用いて、前記溶接裏側部分を撮像する撮像装置と、前記撮像装置のスライド方向が溶接線方向に対して平行、前記撮像装置の撮像方向及び回転方向が前記溶接線方向に対して直角となるように、前記撮像装置をスライド可能かつ回転可能に支持する支持部と、前記撮像装置で撮像された前記溶接裏側部分の画像に対して輝度が予め設定された所定の閾値より低い領域を抽出し、抽出された領域を連結成分毎に分割して各分割領域の長手方向を演算し、演算された各分割領域の長手方向が予め設定された前記溶接線方向であるか否かを判定し、これによって前記溶接裏側部分に開口があるか否かを判定する画像処理装置と、前記画像処理装置の判定結果及び対応する画像を表示する表示部とを備える。
【0008】
このような本発明においては、画像処理装置は、撮像装置で撮像された画像から、溶接裏側部分に開口があるか否かを判定する。したがって、撮像装置で撮像された画像から溶接裏側部分に開口があるか否かを検査者が判定する場合とは異なり、人的ミスが生じず、検査精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検査精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態における溶接検査装置の全体構成を表す概略図である。
図2】本発明の一実施形態における検査対象の溶接部を表す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態における内視鏡の設置状態を表す斜視図である。
図4図3中矢印IV方向から見た側面図である。
図5】本発明の一実施形態における内視鏡の被写体距離及び被写界深度を説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態における内視鏡の対物レンズの特性を説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態における溶接裏側部分の画像の一例を表す図であり、溶接溶け込みが十分である場合を示す。
図8】本発明の一実施形態における溶接裏側部分の画像の他の例を表す図であり、溶接溶け込みが不十分である場合を示す。
図9】本発明の一実施形態における画像処理装置の制御処理内容を表すフローチャートである。
図10】本発明の一変形例における側視アタッチメントの構造を表す図である。
図11】本発明の他の変形例における側視アタッチメントの構造を表す図である。
図12】良好な溶接状態であって溶接裏側部分に溶接ビードが存在する状態を示す断面図である。
図13】不良な溶接状態であって溶接裏側部分に開口が存在する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における溶接検査装置の全体構成を表す概略図である。
【0013】
この図1において、溶接検査装置は、内視鏡1と、この内視鏡1に画像取込ボード2を介して接続された画像処理装置3と、この画像処理装置3に接続された表示部4とを備えている。
【0014】
内視鏡1は、狭隘な部位にある溶接裏側部分を撮像する撮像装置であり、円柱状の本体5と、この本体5の先端側(図中左側)に着脱可能な円筒状の側視アタッチメント6とを有している。側視アタッチメント6には、撮像方向(図中上側)の開口7が形成されており、この開口7からの光(光学像)を本体5の軸方向(図中右方向)に反射させる側視ミラー8が設けられている。本体5には、軸方向に沿う順序で、対物レンズ9、イメージガイド10、結像レンズ11、及びCCD(Charge Coupled Device)センサ12が設けられている。そして、側視ミラー8によって反射された光(光学像)は、対物レンズ9によってイメージガイド10の光入射面に集光され、イメージガイド10を通して伝送され、結像レンズ11によってCCDセンサ12上に結像される。さらに、CCDセンサ12によって光電変換された信号が出力されるようになっている。画像取込ボード2は、CCDセンサ12からの信号に基づき画像データを作成し、この画像データを画像処理装置3に出力するようになっている。なお、イメージガイド10は、例えばファイバイメージガイド等の光伝送方式のものであるが、これに代えて、例えばビデオスコープ等の電気伝送方式のものを用いてもよい。
【0015】
また、本体5にはライトガイド13が設けられており、このライトガイド13を介して光源装置14からの光が照明として供給されるようになっている。但し、照明が不要であれば、ライトガイド13及び光源装置14を備えなくともよい。
【0016】
図2は、本実施形態における検査対象の溶接部を表す斜視図である。図3は、内視鏡1の設置状態を表す斜視図であり、図4は、図3中矢印IV方向から見た側面図である。
【0017】
これら図2図4において、薄板構造部材15は、薄板16A,16Bが図中上下方向に離間された構造を有している。薄板16Aには、タブ17Aが形成され、薄板16Bには、タブ17Aと対応する位置にタブ17B(図示せず)が形成されている。そして、図4で示すように、タブ17Aの先端部と厚板部材18との間に形成された開先に、表側(図中上側)からの片側溶接が行われている。そのため、このようにして形成された溶接部19の裏側部分は、薄板16Aのタブ17Aと薄板16Bのタブ17Bとの間(言い換えれば、狭隘な部位)にある。なお、同様に、タブ17Bの先端部と厚板部材18との間に形成された開先に片側溶接が行われてもよい。
【0018】
内視鏡1は、治具20(支持部)によってスライド可能かつ回転可能に支持されており、その先端部(言い換えれば、側視アタッチメント6)が薄板16Aのタブ17Aと薄板16Bのタブ17Bとの間に挿入されている。これにより、溶接部19の裏側部分を撮像可能としている。
【0019】
治具20は、薄板構造部材15(詳細には、タブ17A,17Bが形成されていない部分)と厚板部材18との間に挿入可能なブロック部21と、当て板部22とを有している。ブロック部21には、内視鏡1を挿通して内視鏡1をスライド可能かつ回転可能に支持する貫通穴23が形成されている。ブロック部21及び当て板部22は、貫通穴23の貫通方向と平行な当て板面を有している。そして、治具20のブロック部21及び当て板部22を薄板16Aに押し当てて治具20を固定することにより、内視鏡1のスライド方向及び回転方向を固定するようになっている。これにより、内視鏡1のスライド方向が溶接線方向(言い換えれば、開先線方向)に対して平行になり、内視鏡1と溶接部19との間隔を保ちながら内視鏡1をスライド可能としている。また、内視鏡1の撮像方向及び回転方向が溶接線方向に対して直角となる。そして、内視鏡1の根本側(図中下側)には把持部24が取付けられており、検査者が把持部24を把持して内視鏡1をスライド又は回転させて、内視鏡1の撮像範囲を調整可能としている。
【0020】
図5は、内視鏡1の被写体距離及び被写界深度を説明するための図であり、図6は、内視鏡1の対物レンズ9の特性を説明するための図である。
【0021】
図5で示すように、溶接溶け込みが十分であって溶接部19の裏側部分に溶接ビード25が存在する場合は、内視鏡1によって溶接ビード25が撮像される。そのため、内視鏡1の被写体距離は、溶接ビード25までの距離D1となる。一方、溶接溶け込みが不十分であって溶接部19の裏側部分に溶接ビード25が存在しない場合(言い換えれば、開口26が残存する場合)は、内視鏡1によって開口26が撮像される。そのため、内視鏡1の被写体距離は、開口26までの距離D2(但し、D2>D1)となる。したがって、内視鏡1の被写界深度(言い換えれば、焦点の合う範囲)は、距離D2と距離D1との差分ΔDとなる必要がある。
【0022】
内視鏡1の近接領域で被写界深度ΔDを得るために、対物レンズ9は、円柱形状の屈折率分布型のレンズを用いる。このレンズの屈折率は、径方向に変化しており、径方向中心部が最も高く、径方向外側に向かって低下している。そして、図6で示すように、対物レンズ9の円形の入射面27から入射した光は、屈折率の高い中心部に向けて連続的に曲げられ、正弦波状の軌跡で伝搬される。このとき、屈折率の変化量を大きくすることで、光が大きく曲げられる。これにより、対物レンズ9の出射面28において焦点ずれが許容できる許容散乱距離Cに対し、光の入射角許容量(詳細には、入射角θ1と入射角θ2との差分)が大きくなり、ひいては被写界深度ΔDが得られるようになっている。また、溶接幅より広い視野が得られるようになっている。
【0023】
上述の図1に戻り、画像処理装置3は、バッファメモリ30、及び画像処理部31、データ記憶部32を有している。画像処理装置3は、内視鏡1から画像取込ボード2を介して入力した画像を、バッファメモリ30及び画像処理部31を介して表示部4に出力する。これにより、表示部4は、内視鏡1で撮像された溶接裏側部分の画像をリアルタイムで表示するようになっている。図7は、溶接裏側部分の画像の一例を表す図であり、溶接溶け込みが十分である場合を示す。このような場合、溶接裏側部分には溶接ビード25が存在する。一方、図8は、溶接裏側部分の画像の他の例を表す図であり、溶接溶け込みが不十分である場合を示す。このような場合、溶接裏側部分には開口(開先)26が存在する。この開口26は、溶接線方向(言い換えれば、開先線方向)の線状領域として現れ、かつ母材や溶接ビード26よりも輝度が低い線状領域として現れる。
【0024】
そこで、本実施形態の大きな特徴として、画像処理装置3は、溶接裏側部分の画像に対して開口があるか否かを判定する制御を行うようになっている。このような制御の処理手順を、図9を用いて説明する。
【0025】
図9は、本実施形態における画像処理装置3の制御処理内容を表すフローチャートである。
【0026】
例えば検査者が操作部(図示せず)を操作して制御開始の指令が入力されると、ステップ50にて、バッファメモリ30は、内視鏡1から画像取込ボード2を介して入力した溶接裏側部分の画像を一次記憶する。その後、ステップ51に進み、画像処理部31は、バッファメモリ30に記憶された画像を読込み、その画像に対して、例えばカラー画像からモノクロ画像への変換処理や二値化処理(あるいは、同様の結果が得られる別の処理)を行って、輝度が予め設定された所定の閾値より低い領域を抽出する。その後、ステップ52に進み、画像処理部31は、輝度が所定の閾値より低い領域が抽出されたか否かを判定する。例えば輝度が所定の閾値より低い領域が抽出されなかった場合は、ステップ52の判定が満たされず、ステップ53に進み、溶接裏側部分に開口がないものと判定する。
【0027】
一方、例えば輝度が所定の閾値より低い領域が抽出された場合は、ステップ52の判定が満たされ、ステップ54に移る。ステップ54では、画像処理部31は、抽出された領域を連結成分毎に分割してラベリングし、各分割領域の長手方向を演算する。詳細には、例えば、各分割領域に楕円を当てはめ、楕円の長径方向を演算する。但し、別の方法で演算してもよい。そして、ステップ55に進み、演算された各分割領域の長手方向が予め設定された溶接線方向(本実施形態では、図7及び図8で示すように画像の横方向である。但し、検査者が操作部で予め入力設定してもよい。)であるか否かを判定する。例えば全ての分割領域の長手方向が溶接線方向でない場合は、ステップ55の判定が満たされず、ステップ53に進み、溶接裏側部分に開口がないものと判定する。
【0028】
一方、例えばいずれかの分割領域の長手方向が溶接線方向である場合は、ステップ55の判定が満たされ、ステップ56に進み、溶接裏側部分に開口があるものと判定する。その後、ステップ57に進み、画像処理部31は、溶接裏側部分に開口があると判定された画像をデータ記憶部32に出力して、データ記憶部32に記録・保存させる。これと同時に、若しくは例えば検査者が操作部を操作して開口画像表示の指令が入力されると、画像処理部31は、溶接裏側部分に開口があると判定された画像を表示部4に出力する。これにより、表示部4は、前述した画像を表示するとともに、例えば開口有りのメッセージを表示するようになっている。なお、データ記憶部32又は表示部4は、前述した画像とともに、例えば検査者が操作部で入力した溶接部の位置情報等を記録又は表示してもよい。
【0029】
以上のように構成された本実施形態においては、画像処理装置3は、内視鏡1で撮像された画像から、溶接裏側部分に開口があるか否かを判定する。したがって、内視鏡1で撮像された画像から溶接裏側部分に開口があるか否かを検査者が判定する場合とは異なり、人的ミスが生じず、検査精度を高めることができる。
【0030】
なお、上記一実施形態においては、特に説明しなかったが、内視鏡1の側視アタッチメント6を交換することにより、側視ミラー8に代えて、例えば図10で示すプリズム29a又は図11で示すプリズム29bを取付けてもよい。また、側視ミラー8及びプリズム29a,29bのうちのいずれかを着脱可能としないで内視鏡1に固定してもよい。これらの場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0031】
また、上記一実施形態においては、内視鏡1で撮像された1枚の画像をバッファメモリ30に一次記憶し、この1枚の画像に開口があるか否かを判定する処理を画像処理部31が行う場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、内視鏡1の移動と撮像を繰り返して複数枚の画像をバッファメモリ30に一次記憶した後、各画像に開口があるか否かを判定する処理を画像処理部31が行ってもよい。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0032】
また、上記一実施形態においては、内視鏡1をスライド可能かつ回転可能に支持する治具20を有し、検査者が把持部24を把持して内視鏡1をスライド又は回転させる場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲内で様々な変形が可能である。すなわち、例えば、内視鏡1のスライド可能に支持するとともに、ステッピングモータの駆動等によって内視鏡をスライドさせるスライド機構を設けてもよい。さらに、例えば、内視鏡1を回転可能に支持するとともに、ステッピングモータの駆動等によって内視鏡を回転させる回転機構を設けてもよい。これらの場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【0033】
また、上記一実施形態においては、表示部4は、内視鏡1で撮像された溶接裏側部分の画像をリアルタイムで表示する場合を例にとって説明したが、これに限られず、内視鏡1で撮像された溶接裏側部分の画像をリアルタイムで表示しなくともよい。すなわち、例えば溶接裏側部分に開口があると判定された場合だけ、その画像を表示してもよい。この場合も、上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 内視鏡(撮像装置)
3 画像処理装置
4 表示部
9 対物レンズ
19 溶接部
20 治具(支持部)
25 溶接ビード
26 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13