特許第5922587号(P5922587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許59225876−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンマレイン酸塩
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  • 特許5922587-6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンマレイン酸塩 図000021
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5922587
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンマレイン酸塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 473/34 20060101AFI20160510BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20160510BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20160510BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20160510BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20160510BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20160510BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20160510BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20160510BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   C07D473/34 321
   C07D473/34CSP
   A61K31/522
   A61P37/08
   A61P29/00
   A61P11/02
   A61P11/06
   A61K39/39
   A61P31/00
   A61P35/00
【請求項の数】14
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2012-552369(P2012-552369)
(86)(22)【出願日】2011年2月8日
(65)【公表番号】特表2013-519645(P2013-519645A)
(43)【公表日】2013年5月30日
(86)【国際出願番号】EP2011051830
(87)【国際公開番号】WO2011098452
(87)【国際公開日】20110818
【審査請求日】2014年2月5日
(31)【優先権主張番号】61/303,010
(32)【優先日】2010年2月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509329523
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(72)【発明者】
【氏名】ギボン,ロバート ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス,アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】ハーミテイジ,スティーブン アンドリュー
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5529867(JP,B2)
【文献】 特表2011−530563(JP,A)
【文献】 特表2011−506598(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/078798(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/114008(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/018133(WO,A1)
【文献】 Journal of Pharmaceutical Sciences,1977年,Vol.66, No.1,p.1-19
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンである化合物:
【化1】


【請求項2】
レイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンである化合物を含む治療用組成物
【請求項3】
レイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンである化合物を含む、アレルギー性疾患および他の炎症状態、感染症ならびに癌の治療用組成物
【請求項4】
レイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンである化合物を含む、アレルギー性鼻炎の治療用組成物
【請求項5】
レイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンである化合物を含む、喘息の治療用組成物
【請求項6】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンである化合物を含んでなる、ワクチンアジュバント。
【請求項7】
抗原または抗原組成物と、マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンである化合物とを含んでなる、免疫原性組成物。
【請求項8】
抗原または抗原組成物と、マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンである化合物とを含んでなる、ワクチン組成物。
【請求項9】
疾患の治療または予防のための請求項7に記載の免疫原性組成物
【請求項10】
疾患の治療または予防のための請求項8に記載のワクチン組成物
【請求項11】
レイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンである化合物を含む、アレルギー性疾患および他の炎症状態、感染症ならびに癌の治療のための薬剤
【請求項12】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンである化合物を含む、アレルギー性鼻炎の治療のための薬剤
【請求項13】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンである化合物を含む、喘息の治療のための薬剤
【請求項14】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンである化合物と、1つまたは複数の薬学上許容される希釈剤または担体とを含んでなる、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物、それらの調製のための方法、それらを含んでなる組成物に関し、様々な障害、特にアレルギー性疾患および他の炎症状態(例えばアレルギー性鼻炎および喘息)、感染症、癌の治療におけるそれらの使用、ならびにワクチンアジュバントとしてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎動物は、微生物の侵入によって絶えず脅かされ、伝染性病原体を除去するために免疫防御の機構を発展させてきた。哺乳類において、この免疫系は2つの支流(先天性免疫および後天性免疫)を含む。宿主側防御の最前線は先天性免疫系であり、マクロファージおよび樹状細胞によって媒介される。後天性免疫は、感染の後期段階での病原体の排除に関与しており、免疫記憶の生成も可能にする。後天性免疫は、遺伝子再構成が行われた抗原特異的受容体を持つリンパ球の莫大なレパートリーに起因して、非常に特異的である。
【0003】
先天性免疫応答はもともと非特異的であると考えられていたが、自己と様々な病原体を区別することが現在知られている。先天性免疫系は、複数の重要な特徴を有する、生殖細胞系列にコードされた限られた数のパターン認識受容体(PRR)を介して微生物を認識する。
【0004】
トール様受容体(TLR)はヒトにおいて記載される10のパターン認識受容体のファミリーである。TLRは先天性免疫細胞によって優先的に発現され、そこでのそれらの役割は、感染の兆候について環境を監視し、活性化に際しては侵入病原体の排除を目的とした防御機構を動員することである。TLRが引き起こした早期の先天性免疫応答は感染の伝播を限定し、その一方でそれらが誘導する炎症誘導性のサイトカインおよびケモカインは、抗原提示細胞、B細胞およびT細胞の動員および活性化をもたらす。TLRは適応的免疫応答の性質を修飾して、樹状細胞活性化およびサイトカイン放出を介する適切な保護を提供することができる(Akira S.,et al,Nat.Immunol.,2001:2,675−680)。異なるTLRアゴニストから見られる応答のプロファイルは、活性化された細胞タイプに依存する。
【0005】
TLR7は、非自己核酸の検出に特殊化された細胞のエンドソームコンパートメント中に局在するTLRのサブグループ(TLR3、7、8および9)のメンバーである。TLR7は1本鎖RNAの認識を介して抗ウイルス防御において重要な役割を果たす(Diebold S.S.,et al,Science,2004:303,1529−1531;Lund J.M.,et al,PNAS,2004:101,5598−5603)。TLR7はヒトにおいて限定された発現プロファイルを有しており、B細胞および形質細胞様樹状細胞(pDC)によって優先的に発現され、単球によってより低い程度で発現される。形質細胞様DCは、リンパ系由来の樹状細胞のユニークな集団であり(末梢血単核細胞(PBMC)のうちの0.2〜0.8%)、これはウイルス感染に応答して高レベルインターフェロンα(IFNα)およびインターフェロンβ(IFNβ)を分泌する主要なI型インターフェロン産生細胞である(Liu Y−J,Annu.Rev.Immunol.,2005:23,275−306)。
【0006】
アレルギー性疾患は、Th2に偏ったアレルゲンに対する免疫応答と関連する。Th2応答はIgEレベルの上昇と関連し、それは肥満細胞に対する効果を介して、アレルゲンに対する過敏性を促進して、例えばアレルギー性鼻炎において見られる症状をもたらす。健康な個人において、アレルゲンに対する免疫応答は、Th2/Th1および調節性T細胞の混合された応答により、よりうまく平衡が保たれる。TLR7リガンドは、インビトロでTh2サイトカインを減少させTh1サイトカイン放出を促進すること、およびインビボでアレルギーの肺モデルにおいてTh2タイプ炎症性応答を寛解することが示さている(Fili L.,et al,J.All.Clin.Immunol.,2006:118,511−517;Moisan J.,et al,Am.J.Physiol.Lung Cell Mol.Physiol.,2006:290,L987−995;Tao et al,Chin. Med.J.,2006:119,640−648)。したがって、TLR7リガンドにはアレルギー患者において見られる免疫応答の平衡を再び保ち、疾患緩和をもたらす可能性がある。
【0007】
哺乳類において効果的な先天性免疫応答の生成の中心となるのは、細胞に作用して複数の効果を誘導するインターフェロンおよび他のサイトカインの誘導を引き起こす機構である。これらの効果は、抗感染性遺伝子発現の活性化、強い抗原特異的免疫を推進するための細胞の抗原提示の活性化、および食細胞におけるファゴサイトーシスの促進を含むことができる。
【0008】
インターフェロンは、ウイルス感染から細胞を保護できる物質として最初に記載された(Isaacs & Lindemann,J.Virus Interference.Proc.R.Soc.Lon.Ser.B.Biol.Sci.1957:147,258−267)。ヒトにおいて、I型インターフェロンは、第9染色体上の遺伝子によってコードされ、少なくとも13個のアイソフォームのインターフェロンα(IFNα)、および1個のアイソフォームのインターフェロンβ(IFNβ)をコードする関連タンパク質のファミリーである。組換えIFNαは最初に承認された生物学的治療剤であり、ウイルス感染および癌における重要な治療法となった。細胞に対する直接的抗ウイルス活性に加えて、インターフェロンは免疫系の細胞に対して作用する強力な免疫応答修飾物質であることが知られている。
【0009】
C型肝炎ウイルス(HCV)疾患のための第一選択療法として、インターフェロンの組み合わせは、ウイルス負荷の軽減に、およびある被験体におけるウイルス複製の消去に、非常に効果的であり得る。しかしながら、多くの患者で持続的なウイルス応答を示すことは不成功であり、これらの患者においてウイルス負荷は制御されない。加えて、インターフェロンの注射による治療法は、コンプライアンスに影響を与えることが示される複数の望まれない有害作用と関連する可能性がある(Dudley T.,et al,Gut.,2006:55(9),1362−3)。
【0010】
I型インターフェロンおよび他のサイトカインの活性化を含む先天性免疫応答を刺激することができる低分子化合物の投与は、ウイルス感染を含むヒト疾患の治療または予防のための重要な戦略になり得る。このタイプの免疫修飾戦略には、感染症だけでなく、癌(Krieg.,Curr.Oncol.Rep.,2004:6(2),88−95)、アレルギー性疾患(Moisan J.,et al,Am.J.Physiol.Lung Cell Mol.Physiol.,2006:290,L987−995)、過敏性大腸疾患等の他の炎症状態(Rakoff−Nahoum S.,Cell.,2004,23,118(2):229−41)において、およびワクチンアジュバント(Persing et al.,Trends Microbiol.,2002:10(10 Suppl),S32−7)としても有用かもしれない化合物を同定する可能性がある。
【0011】
動物モデルにおいて、イミキモドの局所的なアジュバント活性(Adams S.,et al,J.Immunol.,2008,181:776−84;Johnston D.,et al,Vaccine,2006,24:1958−65)、または全身的なアジュバント活性(Fransen F.et al,Infect.Immun.,2007,75:5939−46)が実証された。レシキモドおよび他の関連するTLR7/8アゴニストもアジュバント活性を提示することが示された(Ma R.et al,Biochem.Biophys.Res.Commun.,2007,361:537−421;Wille−Reece U.,et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2005,102:15190−4;Wille−Reece U.,et al、US2006045885 A1)。
【0012】
I型インターフェロンの誘導をもたらす機構は部分的にしか理解されていない。多くの細胞タイプにおいてインターフェロンの誘導をもたらすことができる1つの機構は、RNAヘリカーゼRIG−IおよびMDA5による二本鎖ウイルスRNAの認識である。この機構は、センダイウイルスの細胞感染によってインターフェロンが誘導される一次機構であると考えられる。
【0013】
インターフェロンの誘導のためのさらなる機構はTLR依存性シグナル伝達事象を介するものある。ヒトにおいて、形質細胞様樹状細胞(pDC)は専門のインターフェロン産生細胞であり、例えばウイルス感染に応答して多量のインターフェロンを生じることができる。これらのpDCはTLR7およびTLR9を優先的に発現し、ウイルスのRNAまたはDNAによるこれらの受容体の刺激はそれぞれインターフェロンαの発現を誘導できることが示される。
【0014】
動物およびヒトにおいて、これらの細胞タイプからのインターフェロンαを誘導することができる、TLR7およびTLR9のオリゴヌクレオチドアゴニスト、ならびにTLR7の低分子のプリンベースのアゴニストが記載されている(Takeda K.et al,Annu.Rev.Immunol.,2003:21,335−76)。TLR7アゴニストは、イミキモドおよびレシキモド等のイミダゾキノリン化合物、オキソアデニンアナログ、ならびにさらにインターフェロンαを誘導することが長年知られているロキソリビンおよび7−チア−8−オキソグアノシン等のヌクレオシドアナログを含む。国際公開第2008/114008号(AstraZeneca AB/Dainippon Sumitomo Pharma Co.Ltd.)は、TLR7修飾物質として9−置換−8−オキソアデニン化合物を開示する。
【発明の概要】
【0015】
公知の誘導物質の分子標的が同定されていないので、低分子プリン様化合物がI型インターフェロンおよび他のサイトカインをどのように誘導できるのかは不明瞭なままである。しかしながら、化合物による初代ヒトドナー細胞の刺激に基づいてヒトインターフェロンIFNαの低分子誘導物質を(機構に関係なく)特徴づけるアッセイ戦略が開発されており、本明細書において開示される。
【0016】
本発明の簡単な説明
化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンは、国際出願PCT/EP2009/060265号中で開示され、WO2010/018133として公開されており、この化合物はヒトインターフェロンの誘導物質であることが示され、ヒトインターフェロンの既知の誘導物質に関して改善されたプロファイル(例えば促進された力価)を保持する可能性があり、およびTNFαに関してIFNαの選択性の促進を示し得る。マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンは、より容易に製剤化および/または加工および/または操作されることが期待される。例えば、6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの純度は、マレイン酸塩の形成および/もしくは再結晶を介して改善され得、ならびに/またはその安定性は遊離塩基と比べて改善され得る。ヒトインターフェロンを誘導する6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、様々な障害の治療、例えばアレルギー性疾患および他の炎症状態(例えばアレルギー性鼻炎および喘息)の治療、感染症および癌の治療において有用であり得、ワクチンアジュバントとしても有用であり得る。マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンが類似の薬理学的特性を有するであろうことが期待される。
【0017】
6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンは、強力な免疫修飾物質であるので、その取り扱いにおいて注意しなくてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の態様において、化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オン
【化1】
【0019】

は、マレイン酸塩の形態で提供される。
【0020】
さらに、6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンがマレイン酸塩の形態で提供され、そこでは6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オン:マレイン酸塩アニオンの比は1:1である。
【0021】
したがって、本発明のさらなる態様として、療法における使用のために、化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンが、マレイン酸塩の形態で提供される。
【0022】
それゆえ、アレルギー性疾患および他の炎症状態、感染症ならびに癌の治療における使用のためにも、化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンがマレイン酸塩の形態で提供される。
【0023】
それゆえ、アレルギー性鼻炎の治療における使用のためにも、化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンがマレイン酸塩の形態で提供される。
【0024】
それゆえ、喘息の治療における使用のためにも、化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンがマレイン酸塩の形態で提供される。
【0025】
それゆえ、マレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンを含んでなるワクチンアジュバントも提供される。
【0026】
抗原または抗原組成物およびマレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンを含んでなる免疫原性組成物も提供される。
【0027】
抗原または抗原組成物およびマレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンを含んでなるワクチン組成物も提供される。
【0028】
疾患を患っているかまたは疾患に感受性のあるヒト被験体に対する、抗原または抗原組成物およびマレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンを含んでなる免疫原性組成物の投与を含んでなる、疾患を治療または予防する方法も提供される。
【0029】
疾患を患っているかまたは疾患に感受性のあるヒト被験体に対する、抗原または抗原組成物およびマレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンを含んでなるワクチン組成物の投与を含んでなる、疾患を治療または予防する方法も提供される。
【0030】
疾患の治療または予防のための抗原または抗原組成物を含んでなる免疫原性組成物の製造のための、マレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの使用も提供される。
【0031】
疾患の治療または予防のための抗原または抗原組成物を含んでなるワクチン組成物の製造のための、マレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの使用も提供される。
【0032】
アレルギー性疾患および他の炎症状態、感染症ならびに癌の治療のための薬剤の製造のための、マレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの使用も提供される。
【0033】
アレルギー性鼻炎の治療のための薬剤の製造のための、マレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの使用も提供される。
【0034】
喘息の治療のための薬剤の製造のための、マレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの使用も提供される。
【0035】
アレルギー性疾患および他の炎症状態、感染症ならびに癌の治療方法であって、それを必要とするヒト被験体に対する、治療有効量のマレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの投与を含んでなる方法も提供される。
【0036】
アレルギー性鼻炎の治療方法であって、それを必要とするヒト被験体に対する、治療有効量のマレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの投与を含んでなる方法も提供される。
【0037】
喘息の治療方法であって、それを必要とするヒト被験体に対する、治療有効量のマレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの投与を含んでなる方法も提供される。
【0038】
本発明は、さらなる態様において、少なくとも1つの他の治療的に活性のある薬剤と共に、マレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンを含んでなる組み合わせを提供する。
【0039】
マレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンと、1つまたは複数の薬学上許容される希釈剤または担体とを含んでなる、医薬組成物も提供される。
【0040】
1つまたは複数の薬学上許容される希釈剤または担体と共に、マレイン酸塩の形態の化合物6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンを混合することを含んでなる、医薬組成物を調製する方法も提供される。
【0041】
6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンおよびその塩は、WO2010/018133として公開された米国仮出願第61/087777号および国際出願第PCT/EP2009/060265号中で記載される方法論によって調製することができ、参照として本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの代表的なXRPDディフラクトグラムを示す図である。
図2】6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの代表的なDSCサーモグラムを示す図である。
図3】6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンマレイン酸塩の代表的なXRPDディフラクトグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
多くの有機化合物は溶媒と複合体を形成し、溶媒中で有機化合物が反応するか、または溶媒から有機化合物が沈殿または結晶することが認識されるだろう。これらの複合体は「溶媒和物」として公知である。例えば、水との複合体は「水和物」として公知である。水、エタノール、イソプロピルアルコールおよび−メチルピロリジノン等の、高沸点を持つ溶媒および/または水素結合を形成する高い傾向を持つ溶媒を使用して、溶媒和物を形成することができる。溶媒和物の同定のための方法はNMRおよび微量分析を含むが、これらに限定されない。マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの溶媒和物は本発明の範囲内である。
【0044】
6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンは主として−異性体の形態で存在するが、少量、例えば5%未満、または3%未満、および好ましくは1%未満、または好ましくは0.5%未満の−異性体を含み得ることが認識されるだろう。これらの混合物のマレイン酸塩が本発明の範囲内で検討されることが認識されるだろう。
【0045】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは互変異性形態で存在することができる。本発明は、マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンのすべての互変異性体を、個々の互変異性体またはその混合物としても、包含することが理解されるだろう。
【0046】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンは、結晶形態または非晶形態であり得る。さらに、マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンの結晶形態のいくつかは、多形体として存在することができ、これらは本発明の範囲内に含まれる。熱力学的に最も安定した多形形態(複数可)は特に興味深い。
【0047】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンの多形形態は、X線粉末回折(XRPD)、赤外分光法(IR)、ラマン分光法、示差走査熱量測定法(DSC)、熱重量分析(TGA)および固体核磁気共鳴(ssNMR)を含むが、これらに限定されない複数の従来の分析技術を使用して、特徴づけおよび識別が行われる。
【0048】
本発明の範囲内に含まれるものは、マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンの溶媒和物、水和物、異性体および多形形態であることが、前述したことから認識されるだろう。
【0049】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンが、有益な効果を有する可能性のある疾患状態の例は、アレルギー性疾患および他の炎症状態(例えばアレルギー性鼻炎および喘息)、感染症ならびに癌を含む。マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、ワクチンアジュバントとしても役に立つ可能性がある。
【0050】
免疫応答の修飾物質として、マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、独立したものとして、またはアジュバントとして組合わせて、喘息、アレルギー性鼻炎および鼻炎結膜炎、食物アレルギー、過敏性肺疾患、レフレル症候群、遅延型過敏性障害、アテローム性動脈硬化症、膵臓炎、胃炎、大腸炎、骨関節炎、乾癬、サルコイド症、肺線維症、呼吸窮迫症候群、毛細気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、副鼻腔炎、嚢胞性繊維症、紫外線角化症、皮膚異形成症、慢性蕁麻疹、湿疹、ならびにすべてのタイプの皮膚炎等の炎症性疾患またはアレルギー性疾患を含むが、これらに限定されない免疫介在性障害の治療および/または予防にも有用であり得る。
【0051】
マレイン酸塩の形態6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、気道のウイルス性増悪および扁桃腺炎を含むが、これらに限定されない呼吸器感染に対する反応の治療および/または予防にも有用であり得る。マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、シェーグレン病、強直性脊椎炎、硬皮症、皮膚筋炎、糖尿病を含むが、これらに限定されない自己免疫性疾患、移植片対宿主病を含む移植片拒絶、クローン病および潰瘍性大腸炎を含むが、これらに限定されない炎症性腸疾患の治療および/または予防にも有用であり得る。
【0052】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、肝炎ウイルス(例えばB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス)、ヒト免疫不全ウイルス、パピロマウイルス、ヘルペスウイルス、呼吸系ウイルス(例えばインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、メタ肺炎ウイルス、パラインフルエンザウイルス、SARS)、および西ナイルウイルスによって引き起こされたものを含むが、これらに限定されない感染症の治療にも有用であり得る。マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、例えば細菌、真菌または原虫類によって引き起こされる微生物感染の治療にも有用であり得る。これらは、結核、細菌性肺炎、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、カンジダ症、ニューモシスチス症、レプラ、クラミジア、クリプトコックス疾患、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、リーシュマニア、マラリアおよびトリパノソーマ症を含むが、これらに限定されない。
【0053】
マレイン酸塩の形態6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、様々な癌の治療、特に免疫療法に対して応答性である癌であり、腎細胞癌、肺癌、乳癌、結腸直腸癌、膀胱癌、黒色腫、白血病、リンパ腫および卵巣癌を含むが、これらに限定されない既知の癌の治療にも有用であり得る。
【0054】
治療または治療法に対する本明細書の参照は、既存の病態の治療に加えて、状態に依存して予防処置にも拡張できることが、当業者によって認識されるだろう。
【0055】
本明細書において言及されるように、マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンは治療剤として有用であり得る。
【0056】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、任意の都合のよい方法において投与のために製剤化することができる。
【0057】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、例えば経口投与、局所投与、吸入投与、鼻腔内投与、頬腔投与、非経口投与(例えば、静脈内投与、皮下投与、皮内投与または筋肉内投与)または直腸投与のために製剤化することができる。一態様において、マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは経口投与のために製剤化される。さらなる態様において、マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、局所投与(例えば鼻腔内投与または吸入投与)のために製剤化される。
【0058】
経口投与のための錠剤およびカプセルは、結合剤(例えばシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガント、デンプン漿剤、セルロースまたはポリビニルピロリドン);充填剤(例えばラクトース、微結晶性セルロース、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウムまたはソルビトール);潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカ);崩壊剤(例えばジャガイモデンプン、クロスカルメロースナトリウムまたはデンプングリコール酸ナトリウム);またはラウリル硫酸ナトリウム等の湿潤剤等の従来の賦形剤を含むことができる。錠剤は当該技術分野において周知の方法に従ってコートすることができる。
【0059】
経口液体調製物は、例えば水性懸濁もしくは油性懸濁物、溶液、乳化物、シロップまたはエリキシルの形態であってもよいし、または使用前の構成のための乾燥製品として水もしくは他の好適な媒質と共に提供されてもよい。かかる液体調製物は、懸濁化剤(例えばソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲルまたは水素添加食用脂);乳化剤(例えばレシチン、モノオレイン酸ソルビタンまたはアラビアゴム);非水性媒質(食用油を含み得る)(例えばアーモンドオイル、分留ヤシ油、油状エステル、プロピレングリコールまたはエチルアルコール);または防腐剤(例えばメチル、p−オキシ安息香酸プロピルまたはソルビン酸)等の従来の添加物を含むことができる。調製物は、緩衝塩、着香剤、着色剤および/または甘味剤(例えばマンニトール)も必要に応じて含むことができる。鼻腔内投与のための組成物は、小滴によってまたは加圧されたポンプによって鼻に投与する水性組成物を含む。好適な組成物はこの目的のための希釈剤または担体として水を含む。
【0060】
肺または鼻に対する投与のための組成物は1つまたは複数の賦形剤(例えば1つまたは複数の懸濁化剤、1つまたは複数の防腐剤、1つまたは複数の界面活性剤、1つまたは複数の等張性調整剤、1つまたは複数の共溶媒)を含み、組成物(例えば緩衝系)のpHを制御する成分を含むことができる。さらに、組成物は、抗酸化剤(例えばメタ重亜硫酸ナトリウム)および矯味剤等の他の賦形剤を含むことができる。組成物は噴霧化によって鼻または呼吸器管の他の領域にも投与することができる。マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、水性鼻腔内溶液製剤としての提供のために十分な可溶性および安定性を供することができる。
【0061】
鼻腔内組成物は、マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンが鼻腔(標的組織)のすべての領域に送達されることを可能にし、さらに活性化合物をより長い期間の間に標的組織に接触させておくことを可能にできる。鼻腔内組成物のための好適な投薬レジームは、鼻腔を清浄にした後に鼻を介して徐々に吸入する患者のためのものである。吸入の間に、組成物は1つの鼻孔に投与されるが、他の鼻孔は手で圧迫される。次いでこの手順を他の鼻孔について反復する。典型的には、1つの鼻孔あたり1または2スプレーを、上記の手順によって、毎日1、2または3回、理想的には毎日1回投与される。特に興味深いのは毎日1回の投与に好適な鼻腔内組成物である。
【0062】
懸濁化剤(複数可)は、含まれていれば、組成物の全重量に基づいて、0.1〜5%(w/w)(1.5%〜2.4%(w/w)等)の量で典型的には存在する。薬学上許容される懸濁化剤の例は、Avicel(登録商標)(微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ビーガム、トラガント、ベントナイト、メチルセルロース、キサンタンガム、カーボポールおよびポリエチレングリコールを含むが、これらに限定されない。
【0063】
肺または鼻に対する投与のための組成物は1つまたは複数の賦形剤を含み、1つまたは複数の防腐剤の含有によって微生物または真菌の汚染および増殖から保護することができる。薬学上許容される抗微生物剤または防腐剤の例は、第四アンモニウム化合物(例えば塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、セトリミド、塩化セチルピリジウム、塩化ラウラルコニウムおよびミリスチル塩化ピコリニウム)、水銀剤(例えば硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀およびチメロサール)、アルコール剤(例えばクロロブタノール、フェニルエチルアルコールおよびベンジルアルコール)、抗菌性エステル(例えばp−ヒドロキシ安息香酸のエステル)、エデト酸2ナトリウム(EDTA)等のキレート剤、ならびにクロルヘキシジン、クロロクレゾール、ソルビン酸およびその塩(ソルビン酸カリウム等)およびポリミキシン等の他の抗微生物剤を含むが、これらに限定されない。薬学上許容される抗真菌剤または防腐剤の例は、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、プロピオン酸ナトリウム、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンおよびブチルパラベンを含むが、これらに限定されない。防腐剤(複数可)は、含まれていれば、組成物の全重量に基づいて、0.001〜1%(w/w)(0.015%〜0.5%(w/w)等)の量で存在することができる。
【0064】
組成物(例えば少なくとも1つの化合物が懸濁されている場合)は、組成物の水相中で薬剤粒子の溶解を促進するように機能する1つまたは複数の界面活性剤を含むことができる。例えば、使用される界面活性剤の量は混合の間に発泡を引き起こさない量である。薬学上許容される界面活性剤の例は、ポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン(ポリソルベート80)、マクロゴールエーテルおよびポロキサマー等の脂肪族アルコール、エステルおよびエーテルを含む。界面活性剤は、組成物の全重量に基づいて、約0.01〜10%(w/w)(0.01〜0.75%(w/w)等)の間で、例えば約0.5%(w/w)の量で存在することができる。
【0065】
体液(例えば鼻腔液)との等張性を達成して刺激レベルの低下をもたらす、1つまたは複数の等張性調整剤(複数可)が含まれ得る。薬学上許容される等張性調整剤の例は、塩化ナトリウム、デキストロース、キシリトール、塩化カルシウム、グルコース、グリセリンおよびソルビトールを含むが、これらに限定されない。等張性調整剤は、存在するならば、組成物の全重量に基づいて、0.1〜10%(w/w)(4.5〜5.5%(w/w)等)、例えば約5.0%(w/w)の量で含まれ得る。
【0066】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、クエン酸ナトリウム、クエン酸、トロメタモール、リン酸水素2ナトリウム(例えば十二水和物、七水和物、二水和物および無水形態)またはリン酸ナトリウム等のリン酸塩およびその混合物等の好適な緩衝剤の添加によって緩衝することができる。
【0067】
緩衝剤は、存在するならば、組成物の全重量に基づいて、0.1〜5%(w/w)、例えば1〜3%(w/w)の量で含まれ得る。
【0068】
矯味剤の例は、スクラロース、スクロース、サッカリンまたはその塩、フルクトース、デキストロース、グリセロール、コーンシロップ、アスパルテーム、アセスルファム・ケィ、キシリトール、ソルビトール、エリトリトール、グリチルリチン酸アンモニウム、タウマチン、ネオテーム、マンニトール、メントール、ユーカリ油、ショウノウ、天然着香剤、人工着香剤およびその組合わせを含む。
【0069】
1つまたは複数の共溶媒(複数可)は、医薬化合物(複数可)および/または他の賦形剤の可溶性を支援するために含まれ得る。薬学上許容される共溶媒の例は、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、グリセロール、エタノール、ポリエチレングリコール(例えばPEG300またはPEG400)およびメタノールを含むが、これらに限定されない。一実施形態において、共溶媒はプロピレングリコールである。
【0070】
共溶媒(複数可)は、存在するならば、組成物の全重量に基づいて、0.05〜30%(w/w)(1〜25%(w/w)等)、例えば1〜10%(w/w)の量で含まれ得る。
【0071】
吸入投与のための組成物は、加圧されたポンプまたは吸入器(例えばリザーバー乾燥粉末吸入器、単位用量乾燥粉末吸入器、前定量された多重用量の乾燥粉末吸入器、鼻吸入器または加圧されたエアロゾル吸入器)、噴霧器または通気器によって、呼吸器管へ投与される、水性混合物、有機混合物または水性/有機混合物、乾燥粉末または結晶性組成物を含む。好適な組成物はこの目的のための希釈剤または担体として水を含み、緩衝剤等の従来の賦形剤、等張性修飾剤および同種のものと共に提供され得る。水性組成物は噴霧化によって鼻および呼吸器管の他の領域へも投与され得る。かかる組成物は、好適な液化された噴射剤の使用により、加圧されたパック(定量された用量の吸入器等)から送達された水性の溶液もしくは懸濁物またはエアロゾルであり得る。
【0072】
鼻(例えば鼻炎の治療のため)または肺への局所的な投与のための組成物は、加圧されたエアロゾル組成物、および加圧されたポンプによって鼻腔に送達される水性組成物を含む。加圧されていない鼻腔への局所的な投与のために好適な組成物は、特に興味深い。好適な組成物はこの目的のための希釈剤または担体として水を含む。肺または鼻への投与のための水性組成物は、緩衝剤、等張性修飾剤および同種のもの等の従来の賦形剤と共に提供され得る。水性組成物は噴霧化によっても鼻へ投与することができる。
【0073】
液体分注器は、典型的には鼻腔への液体組成物の送達に使用することができる。液体組成物は水性または非水性であり得るが、典型的には水性であり得る。かかる液体分注器は、液体分注器のポンプ機構に対してユーザー適用力の適用に際して、定量された用量の液体組成物が分注される分注ノズルまたは分注オリフィスを有することができる。かかる液体分注器は、概して液体組成物の定量された多重用量(連続的ポンプ作動に際して分注できる用量)のリザーバーを備えて提供される。分注ノズルまたは分注オリフィスは、鼻腔の中への液体組成物のスプレー分注のために、ユーザーの鼻孔の中への挿入用として構成することができる。前記のタイプの液体分注器は国際公開第WO2005/044354号(Glaxo Group Limited社)中に記載および図示される。分注器は、液体組成物を含有するための容器上に据え付けられた圧搾ポンプを有する液体発射装置を格納する筺体を有する。筺体は指で操作可能な少なくとも1つのサイドレバーを有し、サイドレバーは、カムによって筺体中で容器を上方へ移動させるように筺体に対して内に向かって移動可能であり、ポンプを圧縮させ、筺体の鼻腔ノズルを介してポンプステムから定量された用量の組成物をポンプで送り込む。一実施形態において、液体分注器はWO2005/044354の図30〜40中に図示される一般的なタイプである。
【0074】
6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンをマレイン酸塩の形態で含む水性組成物は、国際公開第WO2007/138084号(Glaxo Group Limited社)中で開示されるような、例えばその図22〜46に関して開示されたような、または英国特許出願第GB0723418.0号(Glaxo Group Limited社)中で開示されたような、例えばその図7〜32に関して開示されたようなポンプによっても送達することができる。GB0723418.0の図1〜6中で開示されるような作動器はポンプを作動させることができる。
【0075】
吸入による肺への局所送達のための乾燥粉末組成物は、吸入器または通気器における使用のために、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジ、または例えば薄くのばされたアルミホイルのブリスター中で例えば提供することができる。粉末ブレンド組成物は、概して6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンのマレイン酸塩、および単糖、二糖または多糖(例えばラクトースまたはデンプン)等の好適な粉末基剤(担体/希釈剤/賦形剤の物質)の吸入のための粉末混合物を含む。乾燥粉末組成物は、薬物および担体に加えて、さらなる賦形剤(例えば糖エステル(例えばセロビオースオクタアセタート)、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の三成分剤)も含むことができる。
【0076】
一実施形態において、吸入投与のための好適な組成物は、好適な吸入装置の内側に据え付けた薬剤パック(複数可)で提供される複数の密封用量容器の中へ組み込むことができる。容器はひとつずつ破裂、剥離、または他の方法で開口することができ、当該技術分野において公知であるように、乾燥粉末組成物の用量は吸入装置の口金に対する吸入によって投与される。薬剤パックは複数の異なる形態(例えばディスク形状または細長い小片)であり得る。代表的な吸入装置はGlaxoSmithKline社によって販売されるDISKHALER(商標)およびDISKUSTM装置である。
【0077】
乾燥粉末の吸入可能な組成物は吸入装置中でバルクリザーバーとしても提供され、そして装置はリザーバーから吸入チャンネルへの組成物の用量の定量のための定量機構を備えて提供され、定量された用量は装置の口金で患者が吸入することによって吸入され得る。このタイプの例示的な販売された装置は、TURBUHALER(商標)(AstraZeneca社)、TWISTHALER(商標)(Schering社)およびCLICKHALER(商標)(Innovata社)である。
【0078】
乾燥粉末の吸入可能な組成物のためのさらなる送達方法は、典型的には患者によって吸入装置の中へ需要に応じて充填されるカプセル(1個のカプセルあたり1用量)において提供される、組成物の定量された用量のためのものである。装置はカプセルを破裂、貫通または他の方法で開口する手段を有し、その結果、用量が装置の口金で吸入されるときに、患者の肺の中へ流入することができる。かかる装置の販売例としては、ROTAHALER(商標)(GlaxoSmithKline)およびHANDIHALER(商標)(Boehringer Ingelheim社)がある。
【0079】
吸入のために好適な加圧されたエアロゾル組成物は懸濁物または溶液のいずれかであり得、6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンのマレイン酸塩、およびフルオロカーボンもしくは水素含有クロロフルオロカーボンまたはその混合物、特にヒドロフルオロアルカン、さらに特に1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロ−n−プロパンまたはその混合物等の好適な噴射剤を含み得る。エアロゾル組成物は、例えばWO94/21229およびWO98/34596(Minnesota Mining and Manufacturing社)中で記載されているような、界面活性剤(例えばオレイン酸、レシチン、オリゴ乳酸またはその誘導体)等の当該技術分野において周知のさらなる組成物賦形剤および共溶媒(例えばエタノール)を任意で含むことができる。加圧された組成物は、概してキャニスター(例えばアルミニウムキャニスター)中に保持され、弁(例えば定量弁)により閉鎖され、口金を備えて提供される作動器の中へ取り付けられる。
【0080】
軟膏、クリームおよびゲルは、例えば好適な増粘剤および/またはゲル化剤および/または溶媒の添加により水性基剤または油性基剤を用いて製剤化することができる。したがってかかる基剤は、例えば水および/または油(液体パラフィン、または落花生油もしくはヒマシ油等の植物油等)または溶媒(ポリエチレングリコール等)を含み得る。基剤の性質に応じて使用できる増粘剤およびゲル化剤は、軟パラフィン、ステアリン酸アルミニウム、セトステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、羊毛脂、ミツロウ、カルボキシポリメチレンおよびセルロース誘導体、および/またはモノステアリン酸グリセリンおよび/または非イオン性乳化剤を含む。
【0081】
ローションは水性基剤または油性基剤により製剤化され、1つまたは複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤または増粘剤も含む。
【0082】
外部適用のための粉末は、任意の好適な粉末基剤(例えばタルク、ラクトースまたはデンプン)の補助により形成することができる。小滴は、1つまたは複数の分散剤、可溶化剤、懸濁化剤または防腐剤も含む、水性基剤または非水性基剤により製剤化することができる。
【0083】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、例えば、皮膚の中へ活性成分を送達する貼付剤または他の装置(例えば加圧気体装置)用の組成物による経皮送達のために製剤化することができる。
【0084】
頬腔投与のために、組成物は、従来の様式で製剤化された錠剤またはロゼンジの形態をとることができる。
【0085】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、例えばカカオバターまたは他のグリセリド等の従来の坐剤基剤を含む坐剤としても製剤化することができる。
【0086】
例えば、マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンはボーラス注入または持続点滴による非経口投与のためにも製剤化され、例えばアンプル、バイアル、小体積の点滴または充填済みシリンジとして単位用量形態で、または防腐剤を添加して複数用量容器で提供され得る。組成物は、水性媒質または非水性媒質中の溶液、懸濁物または乳化物としてかかる形態をとり、抗酸化剤、緩衝液、抗菌剤および/または等張性調整剤等の製剤化剤を含むことができる。あるいは、活性成分は、使用前に好適な媒質(例えば滅菌されたパイロジェン不含有水)による構成のための粉末形態であり得る。乾燥固体状態は、個々の滅菌容器の中へ滅菌粉末を無菌的に充填することによって、または各々の容器の中へ滅菌溶液を無菌的に充填し凍結乾燥することによって調製できる。
【0087】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、ワクチンの活性を修飾するアジュバントとしてもワクチンと共に製剤化できる。かかる組成物は、アルミニウム塩、油と水の乳化物、熱ショックタンパク質、リピドA調製物および誘導体、糖脂質、CpG DNAもしくは類似薬剤等の他のTLRアゴニスト、GM−CSFもしくはIL−12等のサイトカインまたは類似薬剤を含むが、これらに限定されないアジュバント活性を持つ1つまたは複数の成分と共に、タンパク質、DNA、生細菌もしくは死細菌および/またはウイルスもしくはウイルス様粒子を含むが、これらに限定されない抗体(複数可)もしくは抗体断片(複数可)または抗原成分を含むことができる。
【0088】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、単独でまたは他の治療剤と組み合わせて用いることができる。マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンおよび他の薬学的に活性のある薬剤(複数可)は、ともにまたは個別に投与することができ、個別に投与した場合、投与は任意の順序で同時にまたは連続して起こり得る。マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンおよび他の薬学的に活性のある薬剤(複数可)の量および投与の相対的なタイミングは、所望される組合せ療法効果を達成するために選択される。マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの他の治療剤との組合わせ投与は、両方の化合物を含む一体型の医薬組成物での投与、または化合物の1つを各々に含む分離した医薬組成物での投与を併用することによってもよい。あるいは、組合わせは、1つの治療剤を第一におよび他のものを第二に投与するか、またはその逆に投与する連続型様式で個別に投与することができる。かかる連続投与は時間が接近または時間が隔たっていてもよい。
【0089】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、ウイルス感染の予防または治療において有用な1つまたは複数の薬剤と組み合わせて使用することができる。かかる薬剤の例は以下を含むが、これらに限定されない。ポリメラーゼ阻害剤(WO2004/037818−A1中で開示されたものに加えて、WO2004/037818およびWO2006/045613中で開示されたもの等);JTK−003、JTK−019、NM−283、HCV−796、R−803、R1728、R1626に加えて、WO2006/018725、WO2004/074270、WO2003/095441、US2005/0176701、WO2006/020082、WO2005/080388、WO2004/064925、WO2004/065367、WO2003/007945、WO02/04425、WO2005/014543、WO2003/000254、EP1065213、WO01/47883、WO2002/057287、WO2002/057245中で開示されたものおよび類似薬剤;複製阻害剤(アシクロビル、ファムシクロビル、ガンシクロビル、シドフォビル、ラミブジンおよび類似薬剤等);プロテアーゼ阻害剤(HIVプロテアーゼ阻害剤サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、ブレカナビル、アタザナビル、チプラナビル、パリナビル、ラシナビル、およびHCVプロテアーゼ阻害剤BILN2061、VX−950、SCH503034等);および類似薬剤;ヌクレオシドおよびヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤(ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、アバカビル、スタビジン(stavidine)、アデフォビル、アデフォビル・ジピボキシル、フォジブジン、トドキシル(todoxil)、エムトリシタビン、アロブジン、アムドキソビル、エルブシタビンおよび類似薬剤等);非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(ネビラピン、デラビルジン、エファビレンツ、ロビリド、イムノカル、オルチプラズ、カプラビリン、TMC−278、TMC−125、エトラビリンおよび類似薬剤等)(イムノカル、オルチプラズなどの耐酸化活性を有する薬剤を含む);侵入阻害剤(エンフビルチド(T−20)、T−1249、PRO−542、PRO−140、TNX−355、BMS−806、5−ヘリックスおよび類似薬剤等);インテグラーゼ阻害剤(L−870、180および類似薬剤等);出芽阻害剤(PA−344およびPA−457、および類似薬剤等);ケモカイン受容体阻害剤(ビクリビロク(SchC)、Sch−D、TAK779、マラビロク(UK−427,857)、TAK449に加えて、WO02/74769、WO2004/054974、WO2004/055012、WO2004/055010、WO2004/055016、WO2004/055011およびWO2004/054581中で開示されたもの、ならびに類似薬剤等);ノイラミニダーゼ阻害剤(CS−8958、ザナミビル、オセルタミビル、ペラミビルおよび類似薬剤等);イオンチャネルブロッカー(アマンタジンまたはリマンタジンおよび類似薬剤等);および干渉RNAおよびアンチセンスオリゴヌクレオチド(ISIS−14803および類似薬剤等);決定されてない作用機序の抗ウイルス剤(例えばWO2005/105761、WO2003/085375、WO2006/122011中で開示されたもの、リバビリンおよび類似薬剤)。
【0090】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、ウイルス感染の予防または治療、例えば免疫療法において有用であり得る1つまたは複数の他の薬剤(例えばインターフェロンまたは他のサイトカイン/ケモカイン、サイトカイン/ケモカイン受容体修飾物質、サイトカインアゴニストまたはアンタゴニストおよび類似薬剤);ならびに治療用ワクチン、抗線維化剤、コルチコステロイドまたはNSAID(非ステロイド性抗炎症剤)等の抗炎症剤および類似薬剤と組み合わせても使用することができる。
【0091】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、アレルギー性疾患、炎症性疾患、自己免疫性疾患の予防または治療、例えば;抗原免疫療法(抗ヒスタミン、ステロイド、NSAID、気管支拡張剤(例えばβ2アゴニスト、アドレナリン作動性アゴニスト、抗コリン作動剤、テオフィリン)、メトトレキサート、ロイコトリエン修飾物質および類似薬剤);モノクローナル抗体療法(抗IgE、抗TNF、抗IL−5、抗IL−6、抗IL−12、抗IL−1および類似薬剤等);受容体療法(例えばエンタネルセプトおよび類似薬剤);抗原非特異的免疫療法(例えばインターフェロン、他のサイトカイン/ケモカイン、サイトカイン/ケモカイン受容体修飾物質、サイトカインアゴニストまたはアンタゴニスト、TLRアゴニストおよび類似薬剤)において有用であり得る1つまたは複数の他の薬剤と組み合わせて使用することができる。
【0092】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、癌の予防または治療、例えば化学療法(アルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、抗代謝剤、抗分裂剤、キナーゼ阻害剤および類似薬剤等);モノクローナル抗体療法(トラスツズマブ、ゲムツズマブおよび他の類似薬剤等);およびホルモン療法(タモキシフェン、ゴセレリンおよび類似薬剤等)において有用であり得る1つまたは複数の他の薬剤と組み合わせて使用することができる。
【0093】
本発明に記載の医薬組成物は、単独でも、または他の治療法上の分野(例えば胃腸疾患)における少なくとも1つの他の治療剤と組み合わせて使用することもできる。本発明に記載の組成物は遺伝子組み換え療法と組み合わせて使用することもできる。
【0094】
本発明は、さらなる態様において、少なくとも1つの他の薬学上活性のある薬剤と共に、マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンを含む組合わせを含む。
【0095】
上で参照された組合わせは医薬組成物の形態での使用に便利なように提供することができ、したがって、少なくとも1つの薬学上許容されるその希釈剤または担体と共に上で定義されるような組合わせを含む医薬組成物は本発明のさらなる態様を示す。
【0096】
マレイン酸塩の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの治療有効量は複数の因子に依存するだろう。例えば、レシピエントの種、年齢および体重、治療を必要とする正確な状態およびその重症度、組成物の性質、ならびに投与経路は、すべて検討すべき因子である。治療有効量は、最終的に付き添いの医師の裁量によるべきである。それとは関係なく、衰弱しているヒトの治療のための、6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンのマレイン酸塩の効果的な量は、一般的には1日あたり0.0001〜100mg/kgレシピエントの体重の範囲であるべきだ。通常は、効果的な量は、1日あたり0.001〜10mg/kg体重の範囲であるべきだ。したがって、70kgの成人にとって、1日あたりの実際の量の1つの例は通常は7〜700mgであろう。鼻腔内投与経路および吸入投与経路については、70kgの成人のための典型的な用量は1日あたり1マイクログラムから1mgの範囲であるべきだ。この量は、1日あたり単一用量、または1日あたり幾つかのサブ用量(2、3、4、5、またはそれ以上等)で全体の用量が同じであるように与えることができる。類似の投薬量は本明細書において参照される他の状態の治療に適切であるべきだ。
【0097】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは任意の適切な頻度(例えば1週間あたり1〜7回)でも投与することができる。正確な投薬レジメンは、治療指標、患者の年齢および状態、ならびに選ばれた特定の投与経路等の因子にもちろん依存するだろう。
【0098】
医薬組成物は、単位用量あたりの所定の量の活性成分を含む単位用量形態で提供することができる。かかる単位は、非限定的例として、治療されている状態、投与経路ならびに患者の年齢、体重および状態に依存して、0.5mg〜1gの6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンのマレイン酸塩を含むことができる。好ましい単位投与量組成物は、活性成分の、用量またはサブ用量(本明細書において上で列挙されたように)、またはその適切な一部を含むものである。かかる医薬組成物は、製薬技術における任意の周知の方法によって調製することができる。
【0099】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オン、および1つまたは複数の薬学上許容される希釈剤または担体を含む医薬組成物がしたがってさらに提供される。任意で、医薬組成物は少なくとも1つの他の薬学上活性のある薬剤をさらに含むことができる。
【0100】
1つまたは複数の薬学上許容される希釈剤または担体と共に、マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンを混合することを含む、かかる医薬組成物を調製する方法がさらに提供される。
【0101】
マレイン酸アニオン(例えば好適な溶媒中の例えばマレイン酸)のソースと6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンを反応させて、マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンを産生することを含む、6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンのマレイン酸塩を調製する方法がさらに提供される。一態様において、上記方法は、1:1の比のマレイン酸アニオン:6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンを産生する。
【0102】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンは、以下に記述される方法論によって調製することができる。
【0103】
略称
以下のリストは、本明細書において使用される特定の略称の定義を提供する。リストが網羅的ではないことは認識されるが、以下に本明細書で定義されないこれらの略称の意味は当業者に容易に明らかになるだろう。
【0104】
DMF N,N’−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
MDAP HPLC 2つの溶媒勾配を使用するC18カラムでの逆相HPLCおよびエレクトロスプレー質量分析法による画分の分析。
【0105】
SPE 固相抽出
min 分
ストリップする 減圧下で溶媒を除去する
TFA トリフルオロ酢酸
rt 室温
vol 体積
BSA N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド
CPME シクロペンチルメチルエーテル
TBME tert−ブチルメチルエーテル
MeTHF 2−メチルテトラヒドロフラン
NMP N−メチルピロリジノン
DCM ジクロロメタン
6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンおよびそのマレイン酸塩を作製する合成プロセスはスキーム1中に要約される。
【0106】
スキーム1
【化2】
【0107】

ここで、RZ=
【化3】
【0108】

n=2、m=5およびX=Cl。
【0109】
スキーム1の各合成ステップのための典型的な反応条件は、以下に提供される。
【0110】
A: ジヒドロピラン/パラトルエンスルホン酸、例えば50℃で3〜6時間。
【0111】
A1: ジヒドロピラン/パラトルエンスルホン酸、例えば50℃で1時間、次いでアンモニア/イソプロパノール、例えば60℃で4時間、次いで水を添加し周囲温度まで12〜18時間にわたり冷却する。
【0112】
A2: アセトニトリル中のBSA、還流、0℃に冷却、次いでアセトニトリル中のテトラヒドロピランアセテート、10℃に暖め、次いで水性炭酸水素ナトリウム。
【0113】
B: アンモニア/イソプロパノール、例えば50℃で5時間、次いで周囲温度で12〜18時間、次いで50℃で9時間。
【0114】
C: Z=O、R=C1−6アルキル:RONa/ブタノール/ジメトキシエタン、例えば93〜110℃で12〜18時間。
【0115】
C1: ジクロロメタン中の−ブロモスクシンイミド、例えば0〜5℃で30分間、次いで周囲温度で0.5〜1時間、次いで例えばナトリウムメトキシド/メタノール、窒素下/60−70℃/12〜18時間、次いでTFA/メタノール例えば周囲温度で18〜65時間。
【0116】
D: ジクロロメタン中の−ブロモスクシンイミド、例えば0〜5℃で30分間、次いで周囲温度で36〜48時間、またはクロロホルム中の−ブロモスクシンイミド、5℃未満で4〜6時間。
【0117】
E: ナトリウムメトキシド/メタノール、例えば4〜6時間の還流。
【0118】
F: TFA/メタノール、例えば周囲温度で18〜65時間、またはTFA/メタノール、例えば周囲温度で70〜74時間。
【0119】
G: 炭酸カリウム/DMF、次いで50℃で1〜1.5時間、次いで(VI)を添加、40分間撹拌、次いで(IV)/トリエチルアミンを添加、次いで周囲温度で18時間。
【0120】
G1: 炭酸カリウム/DMF、次いで窒素下50℃で30分間、次いで周囲温度、(VI)を添加、20時間撹拌。
【0121】
G2: N,N’−ジイソプロピルエチルアミン含有DMFの溶液、次いで50℃で48時間、次いでより多くの(IV)を添加、次いでさらに50℃で48時間。
【0122】
H: 塩化水素/メタノール、次いで周囲温度で18時間。
【0123】
式(IV)、(VI)、(XIA)、(XII)、(XIII)、(XIV)および(XV)の化合物は、文献で公知あるかもしくは例えばSigma−Aldrich社(UK)から商業的に入手可能であるか、または公知の手順(例えばJ. March,Advanced Organic Chemistry、第6版(2007)、WileyBlackwell社、またはComprehensive Organic Synthesis(Trost B.M.およびFleming I.(編)、Pergamon Press社、1991年)等の合成方法論の標準参考テキストで開示されたものであり、各々はかかる手順に関連して参照として本明細書に援用される)との類似性によって調製することができる。
【0124】
マレイン酸塩の形態の6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンは、好適な溶媒(例えばイソプロピルアルコール)中のマレイン酸アニオンのソースと、6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンを反応させることによっても、より一般的に調製することができる。マレイン酸アニオンの好適なソースはマレイン酸またはマレイン酸塩である。
【0125】
本明細書において記述された合成経路で用いることができる他の保護基およびそれらの除去のための手段の例は、T.W.Greene「Protective Groups in Organic Synthesis」(第4版)、J.Wiley and Sons社、2006年(かかる手順に関連して参照として本明細書に援用される)中で見出すことができる。
【0126】
上文に記述された反応またはプロセスのいずれかのための、加熱および冷却の従来の方法、例えば、温度調節オイルバスまたは温度調節ホットブロック、および氷/塩バスまたはドライアイス/アセトンバスをそれぞれ、用いることができる。単離の従来の方法、例えば水性溶媒または非水性溶媒からの、またはそれらの中への抽出を使用することができる。無水硫酸マグネシウムもしくは無水硫酸ナトリウムと共に振盪すること、または疎水性フリットを通過させること等の、有機溶媒、溶液または抽出物を乾燥する従来の方法を用いることができる。精製の従来の方法、例えば結晶およびクロマトグラフィー(例えばシリカクロマトグラフィーまたは逆相クロマトグラフィー)を、必要に応じて使用することができる。結晶は、酢酸エチル、メタノール、エタノールまたはブタノール等の従来の溶媒、またはその水性混合物を使用して行うことができる。反応モニタリング技法、例えば薄層クロマトグラフィーおよびLC−MSによって具体的な反応時間、温度が典型的には決定できることが認識される。
【0127】
必要に応じて、6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの個々の異性体は、偏左右異性誘導体の分別結晶またはキラル高速液体クロマトグラフィー(キラルHPLC)等の従来の手順を使用して、個々の異性体として調製することができる。
【0128】
化合物の絶対立体化学はX線結晶解析等の従来の方法を使用して決定することができる。
【0129】
全般的な実験の詳細
化合物は、Advanced Chemistry Developments社(Toronto, Ontario, M5H2L3, Canada)からのACD/Name PRO 6.02化学命名ソフトウェアを使用して命名した。
【0130】
本明細書において参照されるLCMSシステムB〜Dの実験の詳細は、以下の通りである。
【0131】
システムB
カラム: 30mm×4.6mm、ID、3.5μm Sunfire C18カラム
流速: 3mL/分
温度: 30℃
UV検出範囲: 210〜350nm
質量スペクトル:代替スキャンの正および負のモードのエレクトロスプレーイオン化を使用して、質量分析計で記録した
溶媒: A:水中の0.1%v/vのギ酸溶液
B:アセトニトリル中の0.1%v/vのギ酸溶液
勾配:時間(分) A% B%
0 97 3
0.1 97 3
4.2 0 100
4.8 0 100
4.9 97 3
5.0 97 3
システムC
カラム: 50mm×2.1mm、ID、1.7μm Acquity UPLC BEH C18
流速: 1mL/分
温度: 40℃
UV検出範囲: 210〜350nm
質量スペクトル: 代替スキャンの正および負のモードのエレクトロスプレーイオン化を使用して、質量分析計で記録した
溶媒: A:アンモニア溶液によりpH10に調節した水中の10mM重炭酸アンモニウム
B:アセトニトリル
勾配:時間(分) A% B%
0 99 1
1.5 3 97
1.9 3 97
2.0 0 100
システムD
カラム: 50mm×4.6mm、ID、3.5μm XBridge C18カラム
流速: 3mL/分
温度: 30℃
UV検出範囲: 210〜350nm
質量スペクトル: 代替スキャンの正および負のモードのエレクトロスプレーイオン化を使用して、質量分析計で記録した。
【0132】
溶媒: A:アンモニア溶液によりpH10に調節した水中の10mM重炭酸アンモニウム
B:アセトニトリル
勾配:時間(分) A% B%
0 99 1
0.1 99 1
4.0 3 97
5.0 3 97
クロマトグラフィー精製は、典型的にはプレパックシリカゲルカートリッジを使用して行った。Flashmaster IIは、Argonaut Technologies社から入手可能な自動化マルチユーザーフラッシュクロマトグラフィーシステムであり、使い捨ての順相固相抽出(SPE)カートリッジ(2g〜100g)を利用する。これには、勾配法の実行を可能にする四元オンライン溶媒混合が提供されている。サンプルを、多機能オープンアクセスソフトウェア(溶媒、流速、勾配プロファイルおよび採取条件を管理する)を使用して待機させる。システムは、Knauer社波長変更可能UV検出器、ならびに自動化ピークカッティング、採取およびトラッキングを可能にする2個のGilson社FC204フラクションコレクターを装備する。
【0133】
窒素気流を使用する溶媒除去を、Radleys Discovery Technologies社(Saffron Walden、Essex、CB11 3AZ、UK)から入手可能なGreenHouse Blowdownシステムで30〜40℃で行った。
【0134】
H NMRスペクトルは、すべて400MHzで作動する、Bruker DPX 400またはBruker Avance DRXまたはVarian Unity 400分光計のいずれかで、CDClまたはDMSO−dのいずれかにおいて記録した。使用される内部標準は、CDClについて7.25ppmまたはDMSO−dについて2.50ppmで、テトラメチルシランまたは残存するプロトン化された溶媒のいずれかであった。
【0135】
質量分析による自動分取HPLCは、以下で与えられた条件下で行った。UV検出は210nm〜350nmの波長からの平均化されたシグナルであり、質量スペクトルは代替スキャンの正および負のモードのエレクトロスプレーイオン化を使用して質量分析計で記録した。
【0136】
方法A
方法Aは、XBridge C18カラム(典型的には、150mm×19mm、内径5μmのパッキングした直径)で周囲温度で行った。用いられた溶媒は以下の通りであった。
【0137】
A=アンモニア溶液によりpH10に調整した10mM重炭酸アンモニウム水溶液。
【0138】
B=アセトニトリル。
【0139】
中間体
中間体1:2,6−ジクロロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン
【化4】
【0140】

2,6−ジクロロプリン(例えばAldrich社から商業的に入手可能)(25.0g)に、酢酸エチル(260mL)、続いて−トルエンスルホン酸(0.253g)を添加した。混合物を50℃に加熱し、次いで3,4−ジヒドロ−2−ピラン(例えばAldrich社から商業的に入手可能)(16.8g)を添加した。次いで反応混合物を50℃で4時間加熱した。反応混合物を真空下で蒸発させて黄色固体として表題化合物を得た(36.9g)。
【0141】
H NMR(CDCl):8.35(1H,s),5.77(1H,dd),4.20(1H,m),3.79(1H,m),2.20−1.65(6H,m).
中間体1A
【化5】
【0142】

酢酸(1.2L、1当量)およびピリジニウムp−トルエンスルホネート(530g、0.1当量)を、ジクロロメタン(6L)中に溶解した。溶液を0℃に冷却した。ジクロロメタン(2.5L)中のジヒドロピラン(2.52L、1.35当量)の溶液を、5℃未満の温度の維持しながら少なくとも15分間かけて慎重にチャージした。一旦添加が完了したならば、溶液を20℃まで暖め、一晩撹拌した。水(5.0L)をチャージし、生じた両相を強く撹拌してから、水層を除去した。次いで有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(5.0L)で洗浄し、硫酸マグネシウムの上で乾燥した。50℃で20mbarまで圧力を低下させてDCMおよび過剰なジヒドロピランの除去を確実にしながら、乾燥した有機相を回転蒸発装置で濃縮した。無色〜わずかに黄色の液体として産物を得た(2.61kg、95%理論収率)。
【0143】
中間体2:2−クロロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−アミン
【化6】
【0144】

2,6−ジクロロ−9−(テトラヒドロ−2−ピラン−2−イル)−9−プリン(36.9g)(例えば、中間体1のために調製された)を、イソプロパノール(250mL)中の2Mアンモニアと共に50℃で5時間加熱した。周囲温度で一晩に放置した後、イソプロパノール(100mL)中の2Mアンモニアをさらに添加して、生じたケーキを破壊し、反応が完了するまで反応混合物をさらに9時間加熱した。反応混合物に水(70mL)を添加し、濾過して黄色固体が残った。固体をイソプロピルアルコール:水(5:1(v/v)、60mL)で洗浄し、次いで吸引下で空気乾燥して第1の産物を得た。濾液を一晩放置して沈殿を単離した後に再濾過し、両固体を真空下で乾燥した。第1の産物は純粋であり、第2の産物物質は非常にマイナーな不純物(第1の産物において見られない分離した広範囲のシグナル3.5ppm)を示したが、他の点では同一であった。固体第1の産物(28.4g)、固体第2の産物(3.42g)。
【0145】
H NMR(CDCl):8.01(1H,s),5.98(2H,broads),5.70(1H,dd),4.16(1H,m),3.78(1H,m),2.15−1.60(6H,overlapping m).
中間体2(代替方法):2−クロロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−アミン
【化7】
【0146】

無水酢酸エチル(200mL)中の2,6−ジクロロプリン(例えばAldrich社から商業的に入手可能)(25g)の溶液に、p−トルエンスルホン酸一水和物(例えばAldrich社から商業的に入手可能)(235mg)を添加した。反応を50℃に加熱し、3,4−ジヒドロ−2−ピラン(例えばAldrich社から商業的に入手可能)(18.1ml)を一気に添加した。反応を50℃で1時間撹拌したままにし、溶媒を減圧下で除去した。これにより黄色固体を得た。イソプロパノール(460mL)中の2.0Mアンモニア中のこの固体(〜36g)の懸濁物を窒素下で付属のコンデンサーにより60℃で4時間加熱した。反応物を水(50mL)の中に注ぎ、一晩放置して冷却した。沈殿を濾過し、回転蒸発装置(60℃)で30分間乾燥して、灰白色固体として表題化合物を31gを得た(93%、2ステップ)。
【0147】
(C1012ClNO)についてのMS計算値=254,256
MS実測値(エレクトロスプレー):(M)=254,256(3:1)
H NMR((CDSO):δ8.43(1H,s),7.82(2H,s),5.55(1H,dd),4.00(1H,m),3.69(1H,m),2.21(1H,m),1.95(2H,m),1.74(1H,m),1.56(2H,m).
中間体3:2−フルオロ−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−アミン
【化8】
【0148】

10Lの制御可能ラボリアクター中で、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(975mL、3.988mol)を、無水アセトニトリル(4L)中の2−フルオロ−1−プリン−6−アミン(例えばAlliedSignal社から商業的に入手可能)(200g、1.306mmol)の撹拌懸濁物に添加し、もたらされた混合物を加熱還流し、2時間その温度で維持した。次いでサーキュレーターを0℃に再プログラムし、反応混合物を冷却した。次いで、無水アセトニトリル(500mL)中のテトラヒドロピラニルアセタート(Tetrahedron Letters,2006,47(27),4741中に記載されており、中間体1A中にも記載される調製)(282g、1.959mol)の溶液を、滴下漏斗を介して徐々に添加し、続いてトリメチルシリルトリフルオロメタンスルフォナートを滴下漏斗を介して1滴ずつ添加した。有意な発熱は観察されなかった。サーキュレーター温度を再び10℃に調節し、撹拌をさらに1時間維持した。次いで混合物に1M炭酸ナトリウム(4L)を添加してクエンチした。固体沈殿が観察され、pHが塩基性であることをチェックした。追加の水を懸濁物(1L)に添加し、放置し、層を有意な固体無機物を含む水層と分離した。大部分の水溶性固体および無機固体が分離された。有機層はまだ有意に固体を含み、撹拌しながら0℃まで冷却して沈殿を促進した。固体を濾過によって回収し、パッドを水で非常によく洗浄し、次いで真空下で40℃で一晩乾燥して、クリーム色固体として表題化合物を得た(152.8g)。
【0149】
LCMS(System D):tRET=1.71min;MH=238
中間体4:2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−アミン
【化9】
【0150】

方法A
ナトリウムtert−ブトキシド(48.5g、505mmol)を、()−2−ペンタノール(例えばJulich Chiral Solutions社から商業的に入手可能)(185ml)に室温で少量ずつ添加し、均質になるまで撹拌した(注:反応は発熱性である)。2−クロロ−9−(テトラヒドロ−2−ピラン−2−イル)−9−プリン−6−アミン(32g、126mmol)(例えば、中間体2のために調製された)を添加し、反応混合物を70℃で72時間加熱した。反応物を室温まで冷却し、酢酸エチル(500mL)と水(500mL)との間で分配した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させた。残留物をエーテルで粉砕し、固体物質を濾過した。沈殿をエーテルで再び洗浄し、濾液を合わせて蒸発させた。粗製物質(約30g)をDMSO:メタノール(1:1)中で溶解し、8カラム体積にわたるアセトニトリル(+0.1%TFA)−水(+0.1%TFA)の25〜65%の勾配を使用する逆相(C18)カラム(330g)でのクロマトグラフィーによって精製し、画分を飽和炭酸ナトリウム水溶液で直ちに中和した。適切な画分を合わせ、ジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間で分配した。有機相を疎水性フリットを介する通過によって乾燥し、濾過し、蒸発させて、薄いクリーム色泡として表題化合物を得た(14.97g)。
【0151】
LCMS(System B):tRET=2.21min;MH 306
方法B
ナトリウムtert−ブトキシド(206g、2.144mol)を、2Lの丸底フラスコ中の()−2−ペンタノール(例えばJulich Chiral Solutions社から商業的に入手可能)(720mL、6.58mol)に添加した。ナトリウムtert−ブトキシドがすべて溶解するまで、混合物を50℃で撹拌した。次いで2−フルオロ−9−(テトラヒドロ−2−ピラン−2−イル)−9−プリン−6−アミンを5分間にわたり小分けにして添加した。3時間後に、LCMS分析により出発物質の消費が完了したことが示され、混合物を氷/水(3L)の中に注ぎ、次いでメチルtert−ブチルエーテルで抽出した。これは乳化物形成をもたらし、混合物をセライトを通して濾過し、有機相を分離した。次いで水層を固体NaClで処理し、次いでメチルtert−ブチルエーテルで再抽出した。有機抽出物を合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムの上で乾燥し、濾過し、次いで蒸発させて、薄茶色ゴムとして表題化合物を得た(158.59g)。
【0152】
LCMS(System D):tRET=2.65min;MH 306
中間体5:8−ブロモ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−アミン
【化10】
【0153】

N−ブロモスクシンイミド(12.16g、68.3mmol)を、クロロホルム(80mL)中の2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−(テトラヒドロ−2−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−アミン(14.9g、48.8mmol)(例えば、中間体4のために調製された)の撹拌溶液に、窒素雰囲気下で5℃未満で5分間にわたり少量ずつ添加した。反応混合物を5℃未満で5時間撹拌し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム溶液(80mL)次いで水(80mL)で洗浄した。泡をジクロロメタン(50mL)中に溶解し、水(50mL)次いでブライン(50mL)で洗浄した。合わせた水相をジクロロメタン(50mL)で洗浄した。合わせた有機層を疎水性フリットを通して乾燥し、溶媒を真空下で除去してオレンジ色泡として表題化合物を得た(18.5g)。
【0154】
LCMS(System D):tRET=3.06min;MH 384/386
中間体5(代替方法):8−ブロモ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−アミン
【化11】
【0155】

2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−(テトラヒドロ−2−ピラン−2−イル)−9−プリン−6−アミン(1050g)をDCM(10.5L)中に溶解し、黄色/オレンジ色の溶液を得て、それを0℃に冷却した。N−ブロモスクシンイミド(922g、1.5当量)を3等分して20分間隔でチャージし、生じた反応混合物を0〜5℃で4時間撹拌した。次いで反応を、5.0Lの水中の500gのチオ硫酸ナトリウム五水和物の溶液の添加によってクエンチした。生じた両相を20℃で完全に混合し、次いで相を分離した。有機相を5.0Lの水中の500gのチオ硫酸ナトリウム五水和物の溶液、次いで5.0Lの水中の500gのリン酸2カリウム、および最後に5.0Lの水で再び洗浄した。有機相を硫酸マグネシウム(822g)の上で乾燥し、発泡して続行できなくなるまで回転蒸発装置で蒸発させた。次いで、十分なDCMが除去されるまで(NMRによって確認されるように)、メタノールを繰り返し添加および除去することによって、混合物の溶媒をメタノールへと交換した。産物は同伴溶媒を含む赤色/茶色のゴムとして得られた(溶媒について補正して1.28kg、96%理論収率)。
【0156】
中間体6:2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−8−(メチルオキシ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−9H−プリン−6−アミン
【化12】
【0157】

8−ブロモ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−(テトラヒドロ−2−ピラン−2−イル)−9−プリン−6−アミンを無水メタノール(70mL)中に溶解し、メタノール(8mL)中のナトリウムメトキシド(25%)の溶液を窒素雰囲気下で1滴ずつ添加した。溶液を窒素の雰囲気下で90℃で4時間加熱還流した。メタノール中のナトリウムメトキシド(25%の溶液、3mL)を追加で添加し、反応物を60℃でさらに16時間撹拌した。メタノール中のナトリウムメトキシドの追加の小分け(25%の溶液、5mL)を添加し、反応を90℃でさらに7時間撹拌した。溶媒を回転蒸発装置で除去し、粗製産物を酢酸エチル(75mL)と飽和塩化アンモニウム溶液(75mL)との間で分配した。有機層をブライン(75mL)で洗浄した。溶媒を回転蒸発装置で除去して、薄いオレンジ色の泡として表題化合物を産出した(6g)。
【0158】
LCMS(System C):tRET=1.14min;MH 336,337
中間体7:2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−8−(メチルオキシ)−9H−プリン−6−アミン、トリフルオロ酢酸塩
【化13】
【0159】

2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−8−(メチルオキシ)−9−(テトラヒドロ−2−ピラン−2−イル)−9−プリン−6−アミン(6g、17.89mmol)(例えば、中間体6のために調製された)をメタノール(50mL)中に溶解した。トリフルオロ酢酸(20.67mL、268mmol)を1滴ずつ添加し、混合物を窒素雰囲気下で20℃で72時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、もたらされた固体を酢酸エチルで洗浄し、濾過した。濾液をストリップし、残留物を酢酸エチルで洗浄した。合わせた固形残留物を真空オーブン中で2時間乾燥して、灰白色固体として表題化合物を得た(5.3g)。
【0160】
LCMS(System C):tRET=0.76min;MH 252,253
中間体7(代替方法):2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−8−(メチルオキシ)−9H−プリン−6−アミン、トリフルオロ酢酸塩
8−ブロモ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−(テトラヒドロ−2−ピラン−2−イル)−9−プリン−6−アミン(1.26kg、残留溶媒について補正した)を無水メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)(11.4L)中で溶解し、メタノール(2.65L、3.5当量)中の25%ナトリウムメトキシドを添加した。生じた反応混合物を65±5℃まで3時間加熱した。完了した反応を室温まで冷却し、20%w/v塩化アンモニウム水溶液(2×6.3L)およびブライン(6.3L)で洗浄した。有機相をMgSO(1.8kg)で乾燥し、濾過し、MeTHF(6.3L)で洗浄した。合わせた有機相を真空蒸留によって6.3Lまで蒸発させた。MeOH(2.5L)およびTFA(1.26L、5当量)を添加し、混合物を60℃まで1.5時間加熱した。シクロペンチルメチルエーテル(CPME)(6.3L)を添加し、混合物を真空蒸留によって6.3Lまで減少させた。固体が沈殿した場合、CPME(6.3L)を再び添加し、反応物をさらに6.3Lまで濃縮した。スラリーを10℃まで冷却し、次いで30分間エージングさせた。産物を濾過し、BME(2×3.8L)で洗浄し、真空下で40℃で乾燥して、白色固体を得た(886g、74%理論収率)。
【0161】
中間体8:9−(5−クロロペンチル)−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−8−(メチルオキシ)−9H−プリン−6−アミン
【化14】
【0162】

2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−8−(メチルキシ)−9−プリン−6−アミン、トリフルオロ酢酸塩(600mg、1.642mmol)(例えば中間体7のために調製された)および炭酸カリウム(567mg、4.11mmol)を、窒素下で60℃でDMF(10mL)中で1時間撹拌した。1−ブロモ−5−クロロペンタン(例えばAldrich社から商業的に入手可能)(0.216mL、1.642mmol)およびトリエチルアミン(0.343mL、2.464mmol)を添加したときに、反応物を室温まで冷却し、混合物を窒素下で20℃で16時間撹拌した。次いで混合物を水(10mL)およびブライン(10mL)で希釈し、ジクロロメタン(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を蒸発させ、残留物をジクロロメタン中で溶解し、40分にわたる0〜100%のシクロヘキサン中の酢酸エチルの勾配でFlashmaster II(70gアミノプロピルカートリッジ)を使用するカラムクロマトグラフイーによって精製した。適切な画分を合わせ、真空下で蒸発させて、黄色ゴムとして表題化合物を得た(430mg)。
【0163】
LCMS(System D):tRET=4.15min;MH=356,358
中間体8(硫酸塩としての代替方法):9−(5−クロロペンチル)−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−8−(メチルオキシ)−9H−プリン−6−アミン、硫酸塩
水酸化ナトリウム(2M、2.52L、2.3当量)を、NMP(3.08L)中の2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−8−(メチルオキシ)−9−プリン−6−アミン、トリフルオロ酢酸塩(800g、1.0当量)の溶液に添加した。1−ブロモ−5−クロロペンタン(432mL、1.5当量)を添加した。反応混合物を50℃まで6時間加熱した。反応混合物を20〜25℃まで冷却した。酢酸エチル(8.0L)、続いて水(1.6L)を添加した。10分間の撹拌後に、相を分離し、次いで有機相を水(1.6L)で洗浄した。酢酸エチル相を酢酸エチル(4.0L)でさらに希釈し、50℃に加熱した。硫酸(117mL、1当量)を1滴ずつ添加した。反応混合物を1.5時間にわたって10℃まで冷却し、30分間エージングさせた。産物を濾過によって白色固体として単離し、フィルター上で酢酸エチル(2.4L)で洗浄し、減圧下で40℃で乾燥した(570g、57%理論収率)。
【0164】
中間体9:2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−8−(メチルオキシ)−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−9H−プリン−6−アミン
【化15】
【0165】

9−(5−クロロペンチル)−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−8−(メチルオキシ)−9H−プリン−6−アミン(例えば中間体8のために調製された)(80mg、0.225mmol)、トリエチルアミン(0.031mL、0.225mmol)およびピペリジン(0.045mL、0.45mmol)を、DMF(3mL)中に懸濁し、混合物を70℃まで18時間加熱した。溶媒を除去し、残留物をジクロロメタン(4mL)と飽和炭酸水素ナトリウム(4mL)との間で分配した。水相をさらにジクロロメタンで再抽出し、合わせた有機抽出物を濃縮し、残留物を1:1メタノール:DMSO(1mL)中に溶解し、MDAPによって精製した(方法A)。産物含有画分を合わせ、窒素気流下で蒸発させて、表題化合物を得た(47.2mg)。
【0166】
LCMS(System D):tRET=3.11min;MH=405
【実施例】
【0167】
参考実施例1:6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
【化16】
【0168】

ジオキサン(4M、0.71mL)中の塩化水素の溶液を、メタノール(3mL)中の2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−8−(メチルオキシ)−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−9−プリン−6−アミン(例えば中間体9のために調製された)(0.046g、0.126mmol)の溶液に添加した。生じた混合物を室温で一晩放置し、次いで窒素下で送風した。残留物をメタノール中に溶解し、2gのアミノプロピルSPEカートリッジ(メタノールで前調整した)上にロードし、メタノールで溶出し、生じた溶液を窒素下で送風して、黄色固体として表題化合物を得た(40.97mg)。
【0169】
LCMS(System D):tRET=2.70min;MH+=391
同様に調製したサンプル(1.7g)を酢酸エチル(約50mL)から再結晶した。結晶を回収し、氷冷酢酸エチル(15mL)で洗浄し、真空下で50℃で3時間乾燥し、クリーム色結晶性固体として表題化合物を得た(1.33g)。
【0170】
融点開始(DSC):207.4℃(図2を参照されたい)。
【0171】
XRPD:(図1および表1を参照されたい)。
【0172】
参考実施例1:(代替方法):6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン
9−(5−クロロペンチル)−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−8−(メチルオキシ)−9−プリン−6−アミン、硫酸塩(254g、1.0当量)を、DMSO(1.27L)およびピペリジン(280mL、5当量)中に溶解した。反応混合物を70±3℃まで15.5時間加熱した。反応混合物を20±3℃まで冷却した。トルエン(2.5L)、続いて水(1.25L)を添加した。10分間の撹拌後に、相を分離し、上部トルエン相を水(0.5L)で洗浄した。水(1.5L)中の塩酸溶液(2.24mol)を添加した。混合物を10分間撹拌し、次いで分離させて、下の(水溶性)相を保存した。水溶液を50±3℃まで17時間加熱し、次いで20±3℃まで冷却した。溶液がpH10〜11になるまで、水酸化ナトリウム水溶液(2M、約840mL)を1滴ずつ添加した。もたらされた懸濁物を10±3℃まで冷却し、さらに30分間エージングさせ、次いで濾過した。ケーキを水(7.6L)で洗浄し、産物を一定の重量まで窒素ブリードにより60℃で減圧下で乾燥した(207g、95%理論収率)。
【0173】
多形
X線粉末回折(XRPD)および示差走査熱量測定法(DSC)を、以下の方法に従って、6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンに対して行った。
【0174】
XRPD
XRPDデータは、X’Celerator検出器を装備したPANalytical X’Pert Pro粉末回折計で取得した。取得状態は以下のとおりであった。放射線:Cu Kα、発生装置電圧:40kV、発生装置電流:45mA、開始角度:2.0°2θ、終了角度:40.0°2θ、ステップサイズ:0.0167°2θ。1ステップあたりの時間は31.750秒であった。数ミリグラムのサンプルをSiウェーハ(ゼロバックグラウンド)プレート上にマウントし、粉末の薄い層にすることによって、サンプルを調製した。
【0175】
特徴的なピーク位置および計算されたd−間隔を表1中に要約する。これらはHighscoreソフトウェアを使用して、生データから計算された。ピーク位置における実験誤差は約±0.1°2θである。相対的なピーク強度は好ましい配向に起因して変動するだろう。
【0176】
表1
6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オンの固体状態1型について特徴的なXRPDピーク位置
【表1】
【0177】

6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの代表的なXRPDディフラクトグラムを図1中に示す。
【0178】
DSC
DSCサーモグラムをTA装置熱量計を使用して得た。サンプルをアルミニウムパンの中に計量し、パンの蓋を上部に置き、パンを密封しないように軽く圧着した。実験は10℃/分の加熱速度を使用して行った。
【0179】
6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンの代表的なDSCサーモグラムを図2中に示す。
【0180】
実施例2:6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン、マレイン酸塩
【化17】
【0181】

調製例1
6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オン(例えば参考実施例1のために調製された)(0.384g、0.98mmol)をイソプロピルアルコール(4.6mL、12容積)中に溶解し、40℃まで加熱した。マレイン酸(0.114g、0.98mmol)を添加した。清澄な溶液を得た。室温まで冷却する間に沈殿が生じた。スラリーを濾過し、イソプロピルアルコール(5mL)で洗浄し、一定の重量まで減圧下で40℃で乾燥した。6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オン、マレイン酸塩(0.305g、61%理論収率)を白色固体として得た。
【0182】
H NMRにより、マレイン酸:6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オンが1:1比であることを確認する。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm,9.85(1H,s,(CHNHCO),8.85(1H,brs,NH),6.39(2H,s,NH),6.02(2H,s,HOC(CH)),5.00(1H,m,J=6.2Hz,CHCH),3.68(2H,t,J=6.8,HzNCH),3.40(2H,m,NCH),2.98(2H,m,J=8.1HzNCH),2.82(2H,brs,NCH),1.85−1.24(16H,m,8×CH),1.21(3H,d,J=6.1Hz,CHCH),0.89(3H,t,J=7.3Hz,CHCH),2.5(溶媒(DMSO)).
調製例2
イソプロピルアルコール(14.6mL、10容積)中の6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オン(例えば参考実施例1のために調製された)(1.46g、3.74mmol)の溶液を清澄化し(BondElutカートリッジを介して室温で濾過した)、次いで約50℃まで加熱した。イソプロピルアルコール(2.9mL、2容積)中のマレイン酸(0.434g、3.74mmol)の溶液を添加した。次いでもたらされた溶液を種形成させ、45℃まで冷却した。さらなる種を添加した。もたらされたスラリーを室温まで冷却し、一晩(約16時間)維持し、次いで氷/ウォーターバス中で30分間冷却した。スラリーを濾過し、イソプロピルアルコール(4.5mL、3容積および次いで3mL、2容積)で洗浄した。産物を一定の重量まで減圧下で40℃で乾燥して、6−アミノ−2−{[(1)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8−プリン−8−オン、マレイン酸塩(1.305g、69%理論収率)を得た。
【0183】
XRPDによる分析(図3)から、このサンプルは結晶質であることが示された。
【0184】
生物学的データ
参考実施例1の化合物を、以下のアッセイまたは類似のアッセイに従って、インビトロ生物学的活性について試験した。
【0185】
凍結保存されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)を使用する、インターフェロン−αの誘導のためのアッセイ
化合物調製
参考実施例1の化合物をDMSO中に溶解した。DMSOにより連続的な2倍希釈を調製し、0.25μlを384ウェルの透明なGreiner社ポリプロピレンプレートの中へ分注した。
【0186】
PBMCの調製
最大200mLの血液サンプルを健康なヒトドナーから得た。25mL体積の全血をLeucosepチューブ中の15mLフィコール勾配上に重層し、1000gで20分間遠心分離した。血漿/histopaque界面のバンドの細胞を慎重に取り出し、PBSで2回洗浄した(400gで5分間遠心分離して採取した)。最終的なペレットを、凍結培地(90%非動化血清、10%DMSO)中で4×10細胞/mLの細胞濃度に再懸濁した。次いで再懸濁した細胞を速度制御フリーザーを使用して凍結保存(凍結)し、最大4か月間−140℃で保存した。
【0187】
インキュベーションおよびインターフェロン−αについてのアッセイ
アッセイの直前に、凍結保存(凍結)したPBMCのバイアルを37℃のウォーターバス中で迅速に解凍した。1:10で希釈したトリパンブルー中の細胞を調製しカウントした。次いでPBMCを、増殖培地[10%ウシ胎仔血清(Invitrogen社)、ペニシリン+ストレプトアビジン(Gibco社カタログ番号25030−024、1:50)、L−グルタミン2mM、および1000単位/mL組換えヒトIFN−γ(Preprotech社カタログ番号300−02)を含むRPMI 1640]中で、1×10細胞/mLの密度に希釈し、0.25μLのDMSO、または0.25μLのDMSO中の試験化合物を含む384ウェルの透明なGreiner社ポリプロピレンプレートに50μL/ウェルで分注した。化合物の最終的な最高濃度は、典型的には50μMまたは5μMであった(高活性化合物に適する曲線を得るために)。プレートを5% CO中で37℃で24時間インキュベーションした。
【0188】
マルチアイソフォームイムノアッセイを使用して、PBMC上清中のIFN−αを定量した。ヒトIFN−αに対するウサギポリクローナル抗体(カタログ番号31101、Stratech Scientific社)を、アッセイ緩衝液(10%のウシ胎仔血清(Invitrogen社)を含むRPMI 1640)中で1:10000で希釈し、20μLを、MSD社(Meso−Scale Discovery社)single small−spot 384ウェルGAR(ヤギ抗ウサギ抗体がコートされた)プレートの各ウェルに添加した。プレートを激しく振盪しながら室温で1時間インキュベーションした。PBSによる3回の洗浄に続いて、20μLの細胞上清をプレートの各ウェルに添加した。次いでプレートを激しく振盪しながら室温で1時間インキュベーションした。IFN−αに対する1対のモノクローナル抗体(カタログ番号21100および21112、Stratech Scientific社)をsulfo−TAG(MSD社)で標識し、アッセイ緩衝液中で1:1000に希釈し、20μLをプレートの各ウェルに添加した。プレートを激しく振盪しながら室温で1時間さらにインキュベーションした。PBSによる3回の洗浄に続いて、30μlの2倍T緩衝液(MSD社)を各ウェルに添加し、プレートをMSD Sector 6000プレートリーダーで読み取った。
【0189】
データを、1μMレシキモド(n=16)およびDMSO(n=16)の内部プレート対照に対して正規化した。pEC50値は、ActivityBaseにおけるIRLSによる4−パラメータの曲線フィットによって、11点の試験化合物の2倍連続希釈から導き出した。
【0190】
結果
参考実施例1は、>8.3の平均pEC50であった。
【0191】
新鮮ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を使用するインターフェロン−αおよびTNF−αの誘導についてのアッセイ
化合物調製
参考実施例1の化合物をDMSO中で溶解し連続希釈し、Biomek 2000を使用して必要とされる100倍の濃度範囲を提供した。1μLの試験化合物をBiomek FXを使用して96ウェル組織培養プレートの中へ移した。各化合物は、各ドナーについて二重でアッセイした。各プレートはスタンダードとしてTLR7/8アゴニストレシキモドの希釈系列を含み、11カラムは1μLの200μMレシキモド(2μMの最終濃度を提供し、レシキモドに対するおよその最大反応を定義するのに使用した)を含んでいた。
【0192】
PBMCの調製
2名のヒトドナーからの血液サンプルをヘパリンナトリウム(10U/mL)の中へ回収した。25mL体積の全血をLeucosepチューブ中の15mL Histopaque上に重層し、800gで20分間遠心分離し、血漿/histopaque界面のバンドを慎重に取り出した。回収した細胞を2500rpmで10分間遠心分離し、ペレットを10mLの培地(10%v/vウシ胎仔血清(FCS、低エンドトキシン)、100U/mLペニシリンG、100μg/mLストレプトマイシン、10mM L−グルタミンおよび1×非必須アミノ酸を補足したRPMI 1640(低エンドトキシン))中で再懸濁した。1:20希釈の細胞をトリパンブルーを使用して調製し、細胞を血球計数器を使用してカウントした。PBMCを希釈して1mLあたり2×10の最終濃度にし、100μLのこの細胞懸濁物を1μLの希釈した試験化合物を含むウェルへ添加した。
【0193】
インキュベーションならびにインターフェロン−αおよびTNF−αについてのアッセイ
細胞調製物を24時間インキュベーションし(37℃、95%空気、5% CO)、その後上清のサンプルをBiomek FXを使用して取り出し、MSD社(Mesoscale Discovery社)電気化学ルミネセンスアッセイプラットフォームを使用してFN−αおよびTNF−αの両方についてアッセイした。IFN−αアッセイは上記のものと同様に行った。TNF−αアッセイはキット説明書(カタログ番号K111BHB)の通り行った。
【0194】
放出されたサイトカインを、2μMレシキモドの対照(11カラム)のパーセンテージとして表現した。このパーセンテージを化合物濃度に対してプロットし、応答に対するpEC50を非線形最小二乗曲線のフィッティングによって決定した。IFN−α応答について、一般的には4−パラメータロジスティックモデルを選択した。明らかに最大の応答が得られた(すなわち、応答において明確なプラトーが観察された)TNF応答については、一般的には4−パラメータモデルを使用した。曲線の上部漸近線が明確でなかったならば、曲線のフィッティングは、一般的には100%の最大反応に対して(すなわち2μMレシキモドへの応答に対して)または試験した最高濃度の応答がレシキモド応答を超えたならばこの濃度の応答に対して制約された。いくつかの曲線は1つのまたは両方のサイトカインについてベル型であり、ベル型応答の下に向かう斜面(すなわち最大反応を与える濃度より上の濃度)でのサイトカインデータは、一般的にはフィットから除外したが、通常ピーク応答のすぐ上の濃度は例外とした。したがって曲線のフィッティングは用量応答曲線の上に向かう斜面に集中した。
【0195】
結果
参考実施例1は、IFN−αおよびTNF−αの誘導についての平均pEC50が、それぞれ≧9および≦6.5であることを示した。
【0196】
アトピーのボランティアからの新鮮なヒト末梢血単核細胞(PBMC)を使用する、アレルゲン誘導性サイトカインアッセイ
アトピーのヒトドナーに由来する末梢血単核細胞(PBMC)のアレルゲンおよび試験化合物との共培養に基づくアッセイが開発された。5〜6日の培養後に、細胞上清をサイトカインの範囲についてアッセイした。
【0197】
化合物調製
参考実施例1の化合物をDMSO中に溶解し、次いで増殖培地(100U/mLペニシリンG、100μg/mLストレプトマイシン、10mM L−グルタミンを補足したRPMI 1640培地)中で連続的に希釈して、0.04%のDMSOの存在下で必要とされる4倍の濃度範囲にした。各化合物はすべての濃度で三重でアッセイした。
【0198】
PBMCの調製
オオアワガエリに対するアレルギーがあることが知られているボランティアからの脱線維素ヒト血液を、2500rpmで15分間遠心分離した。血清の上部層を回収し、56℃で30分間非動化した(HI−自己血清)。細胞の下部層を50mLのPBS(+Ca、+Mg)中に再懸濁し、25mLの希釈血液を50mlのチューブ中の20mLのLymphoprep上に重層し、次いで2500rpmで室温で20分間遠心分離した。血清/Lymphoprep界面のバンドを慎重に取り出した。回収した細胞をPBSで洗浄し、HI自己血清含有増殖培地中で1mLあたり4×10で再懸濁した。PBMCを、10ug/mLのオオアワガエリ抗原(Alk Abello社)および適切な濃度の試験化合物の存在下で、1ウェルあたり0.4×10細胞で、平底の96ウェルプレート中に全体積200μLで播種した。
【0199】
インキュベーションおよびサイトカインのアッセイ
プレートを最大6日間5%のCOで37℃でインキュベーションした。各ウェルから細胞培地を採取し、分析前に−20℃で保存した。上清中のサイトカインおよびケモカインを、ヒトTH1/Th2サイトカインのためのMeso Scale Discovery社10スポットプレートを使用して検出した。
【0200】
上記のアッセイにおいて、3名のアレルギーのドナーからのPBMCを用いた個別の研究からのデータにより、参考実施例1は、用量応答性の様式でTh2サイトカインIL−5およびIL−13の生産を減少させ、アレルゲン対照と比較して、0.04μMで≧50%減少が観察されることが示された。
【0201】
参考実施例1は以下のモデルにおけるインビボの生物学的活性についても試験された。
【0202】
マウスにおける鼻腔内投薬後のインターフェロン−αの誘導についてのアッセイ
参考実施例1の化合物を食塩水中の0.2%のツイーン80中に溶解し、全身麻酔下でメスBALB/cマウス(n=6)に鼻腔内に(両鼻孔で合計で5μL)投与した。動物を投薬の2時間後に安楽死させ、端末血液サンプルを採取し、インターフェロン−αの血清レベルをELISAアッセイを使用して測定した。
【0203】
このモデルにおいて、参考実施例1は21029pg/mLのインターフェロン−αの平均血清レベルを示した。媒質処理の対照において、インターフェロン−αは検出されなかった。
【0204】
安定性試験
6−アミノ−2−{[(1S)−1−メチルブチル]オキシ}−9−[5−(1−ピペリジニル)ペンチル]−7,9−ジヒドロ−8H−プリン−8−オン、マレイン酸塩は、日米EU医薬品規制調和国際会議(International Conference for Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)(ICH)によって規定された、品質に関するガイドライン(Quality Guidelines)Q1A(R2)(安定性試験ガイドライン(Stability Testing of New Drug Substances and Products))およびQ1B(新原薬および新製剤の光安定性試験ガイドライン(Photostability Testing of New Drug Substances and Products))において指定された状態下で有意な分解を示さなかった。
図1
図2
図3