特許第5922589号(P5922589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッドの特許一覧

特許5922589耐熱封鎖機構を有する注入システムまたは他のシステム、および関連方法
<>
  • 特許5922589-耐熱封鎖機構を有する注入システムまたは他のシステム、および関連方法 図000002
  • 特許5922589-耐熱封鎖機構を有する注入システムまたは他のシステム、および関連方法 図000003
  • 特許5922589-耐熱封鎖機構を有する注入システムまたは他のシステム、および関連方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5922589
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】耐熱封鎖機構を有する注入システムまたは他のシステム、および関連方法
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/02 20100101AFI20160510BHJP
   B67D 7/04 20100101ALN20160510BHJP
【FI】
   B67D7/02 Z
   !B67D7/04 Z
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-552908(P2012-552908)
(86)(22)【出願日】2011年2月4日
(65)【公表番号】特表2013-519597(P2013-519597A)
(43)【公表日】2013年5月30日
(86)【国際出願番号】US2011023670
(87)【国際公開番号】WO2011100160
(87)【国際公開日】20110818
【審査請求日】2014年1月20日
(31)【優先権主張番号】12/704,008
(32)【優先日】2010年2月11日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ファン ベックム,フランク
【審査官】 関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−30546(JP,U)
【文献】 特開昭63−254300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7
F17D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を第1および第2の出口(118、122)に選択的に方向づけるように構成される第1の弁(114)と、
前記第2の出口を遮断するように構成される第2の弁(120)であって、前記第1および前記第2の弁が、前記第1の弁と前記第2の弁との間の体積を有するデッドスペース(126)を画定する、第2の弁(120)と、
前記デッドスペースの中の閉じ込められた材料が膨脹するときに、前記閉じ込められた材料のための付加的な体積を動的にもたらすように構成される圧力補償ユニット(128)とを備える、装置(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記圧力補償ユニットが、前記圧力補償ユニットの空間(130)内で移動するように構成されるピストン(132)を備え、
前記圧力補償ユニットが、前記閉じ込められた材料のための前記付加的な体積をもたらし、前記デッドスペースの中の圧力を閾値より低く維持するために、前記デッドスペースの中の高められた圧力が、前記閉じ込められた材料に前記ピストンを押させるように構成される、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、前記圧力補償ユニットが、
前記ピストンを付勢するように構成されるばね(134)と、
前記閉じ込められた材料が前記ピストンを通り越すことを実質的に防止するように構成される封止体(136)と、の少なくとも一方をさらに備える、装置。
【請求項4】
材料を第1および第2の出口(118、122)に選択的に方向づけるように構成される第1の弁(114)と、前記第2の出口を遮断するように構成される第2の弁(120)と、を備える装置(100)を動作させる方法であって、
前記第1および第2の弁(114、120)を動作させるステップ(302〜308)であって、材料が、前記弁の動作の間に前記第1および前記第2の弁によって画定されるデッドスペース(126)の中に閉じ込められる、ステップと、
前記閉じ込められた材料が膨脹するときに、前記デッドスペースの中の圧力を閾値より低く維持するために、前記閉じ込められた材料が入るための付加的な体積を動的にもたらすステップ(312)とを含み、
前記第1および前記第2の弁を動作させるステップが、
動作の第1のモードにおいて、前記材料を第1の出口(122)に迂回させるように前記第1の弁(114)を動作させるステップ、および前記第1の出口を遮断解除するために前記第2の弁(120)を開くステップと、
動作の第2のモードにおいて、前記材料を第2の出口(118)に迂回させるために前記第1の弁を動作させるステップ、および前記第2の弁を閉じて前記デッドスペースを形成するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に、圧力軽減システムに関する。より詳細には、本開示は、耐熱封鎖機構(anti-thermal lockdown mechanism)を有する注入システムまたは他のシステム、および関連方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]注入システムは、規定量の1つの材料を別の材料に注入するために、多種多様な産業において使用される。例えば、注入システムは、1つまたは複数の添加物を燃料の流れに注入するために、ごく普通に使用される。多くの場合、これらの注入システムは、注入される材料の量が精密に制御されうるように、高度に正確である必要がある。このことを支援するために、注入システムは、多くの場合、誘導弁(diverter valve)および試験ポートを含む。誘導弁は、注入される材料を、注入される材料の量が正確に測定されうる試験ポートに迂回させるために使用されてよい。このようにして、注入システムが適正量の材料を注入しているかどうかを確定することができる。
【0003】
[0003]多くの注入システムでは、試験ポート自体は、多くの場合、試験ポートが使用中でないときに通常は閉じられる弁を含む。それゆえ、材料は、誘導弁と試験ポート弁との間に閉じ込められる可能性がある。注入システムの温度が高くなる場合、このことが、閉じ込められた材料を膨脹させる可能性がある。この膨脹は、実際に、1つまたは複数の弁の中の封止体(seal)を破裂させて、材料を注入システムから漏洩させる可能性がある。特定の例として、このことは、材料が夜間に閉じ込められ、閉じ込められた材料が後になって日中に加熱される場合に生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]通常は、従来型の注入システムは、過剰な圧力を迂回させる逆止弁(check valve)を使用してこの問題に取り組む。残念ながら、このことは、注入システムの複雑さとコストとを高める。また、このことは、漏れが注入システムの中で発生する可能性のある追加の場所をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本開示は、耐熱封鎖機構を有する注入システムまたは他のシステム、および関連方法を提供する。
[0006]第1の実施形態では、装置は、材料を第1および第2の出口に選択的に方向づけるように構成される第1の弁と、第2の出口を遮断するように構成される第2の弁とを含む。第1および第2の弁は、第1の弁と第2の弁との間の体積を有するデッドスペース(dead space)を画定する。また、装置は、デッドスペースの中の閉じ込められた材料が膨脹するときに、閉じ込められた材料のための付加的な体積を動的にもたらすように構成される圧力補償ユニット(pressure compensation unit)を含む。
【0006】
[0007]第2の実施形態では、方法は、第1および第2の弁を動作させるステップを含み、材料は、弁の動作中に、第1および第2の弁によって画定されるデッドスペースの中に閉じ込められる。また、方法は、閉じ込められた材料が膨脹するときに、デッドスペースの中の圧力を閾値より低く維持するために、閉じ込められた材料が入るための付加的な体積を動的にもたらすステップを含む。
【0007】
[0008]第3の実施形態では、装置は、材料が閉じ込められる体積を有するデッドスペースを含む。また、装置は、圧力補償ユニットの空間内で移動するように構成されるピストンを有する圧力補償ユニットを含む。圧力補償ユニットは、閉じ込められた材料のための付加的な体積をもたらすために、デッドスペースの中の高められた圧力が、閉じ込められた材料にピストンを押させるように構成される。
【0008】
[0009]他の技術的な特徴は、以下の図面、説明および特許請求の範囲によって、当業者に容易に理解されよう。
[0010]次に、本開示をより完全に理解するために、添付の図面と併せて以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0011]本開示による耐熱封鎖機構を有する注入システムの一例を示す図である。
図2】[0012]本開示による耐熱封鎖機構を有する注入システムを含む燃料処理システムの一例を示す図である。
図3】[0013]本開示による注入システムまたは他のシステムの中の耐熱封鎖の方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0014]以下に論じられる図1図3、および本特許文書の中で本発明の原理を説明するために使用される種々の実施形態は、例示のためだけであり、発明の範囲を多少なりとも限定するものと解釈されるべきではない。発明の原理は、任意の種類の適切に配列された装置またはシステムにおいて実施されてよいことは、当業者には理解されよう。
【0011】
[0015]図1は、本開示による耐熱封鎖機構を有する注入システム100の一例を示す。図1に示される注入システム100の実施形態は、例示のためだけである。注入システム100の他の実施形態が、本開示の範囲を逸脱することなく使用されてよい。
【0012】
[0016]図1に示されるように、注入システム100は、注入されるべき材料を、入口102を通して受ける。入口102は、パイプまたはチューブなど、中を通って1つまたは複数の材料が、注入システム100に流れることができる任意の適切な構造を含む。また、注入されるべき材料は、1つまたは複数の燃料添加物など、任意の適切な材料を含んでよい。
【0013】
[0017]入口遮断弁(inlet block valve)104が、注入システム100内への材料の流れを許容または遮断するために使用されてよい。例えば、入口遮断弁104は、システム100の中の他の構成要素を洗浄中もしくは交換中に、またはシステム100が使用中でない時間中に、材料が注入システム100に入るのを防止するために閉鎖されてよい。入口遮断弁104は、注入システム100内への材料の流れを遮断または許容するための任意の適切な構造を含む。入口遮断弁104は、例えば、手動弁(manually-operated valve)に相当することができる。
【0014】
[0018]ストリーマ(streamer)106は、弁104を通って流れる材料を受けて、材料を濾過する。例えば、ストリーマ106は、入来する材料から粒子または他の望ましくない汚染物を除去するのを支援することができる。とりわけ、このことは、注入システム100のその他の構成要素を保護することを支援することができる。ストリーマ106は、濾過用バスケット(strain basket)など、任意の適切な濾過構造を含む。
【0015】
[0019]投与弁(dosing valve)108が、注入システム100によって注入される、濾過された材料の量を制御し、投与制御器(dosing controller)110が、投与弁108の動作を制御する。例えば、投与弁108は、より多くの材料が注入される必要があるときは、投与制御器110によって、よりいっそう開かれてよく、または(電磁弁(solenoid valve)が使用されるときは)より頻繁に開かれてよい。投与弁108は、より少ない材料が注入される必要があるときは、投与制御器110によって、よりいっそう閉じられよく、またはより頻繁に閉じられてよい。また、投与弁108は、材料の注入を停止するために完全に閉じられてよい。投与弁108は、材料の流量を制御するために、電磁弁(solenoid-operated valve)など、任意の適切な構造を含む。投与制御器110は、ロードコンピュータ(load computer)、プログラマブル論理制御装置(PLC)、または他の計算装置もしくは制御装置など、投与弁を制御するための任意の適切な構造を含む。
【0016】
[0020]流量計(flow meter)112が、投与弁108によってもたらされる材料の量を測定する。次いで、流量計112は、これらの測定値を投与制御器110にフィードバックすることができる。このようにして、投与制御器110は、流量計112からのフィードバック(帰還)を受けて、投与弁108の動作を調整することができ、それにより、例えば、適量の材料が投与弁108によって供給される。流量計112は、オーバル歯車式ポジティブ流量計(oval gear positive flow meter)または他の流量計など、材料の流量を測定するための任意の適切な構造を含む。
【0017】
[0021]誘導弁114は、注入されている材料が実際に注入システム100を出る場所を制御する。動作の第1のモードの間、誘導弁114は、投与弁108によって供給される材料が、逆止弁116および第1の出口118に供給されるように設定されてよい。動作の第2のモード(試験モードなど)の間、誘導弁114は、投与弁108によって供給される材料を、試験ポート120および第2の出口122に方向転換するように設定されてよい。動作の第3のモードの間、弁104が材料を遮断されてよく、注入システム100は閉止されてよい。
【0018】
[0022]逆止弁116は、誘導弁114と注入システム100の第1の出口118との間に設置される。動作の第1のモードの間、誘導弁114は、材料を第1の出口118に進める逆止弁116に材料を供給する。逆止弁116は、出口圧力が入口圧力を超えるときに、材料の「逆流」を防止する。誘導弁114は、手動弁など、材料の流れを制御するための任意の適切な構造を含む。逆止弁116は、材料の流れを一方向にほぼ限定するための任意の適切な構造を含む。
【0019】
[0023]この例では、注入システム100は、材料を第1の出口118を通して射出する。出口118は、パイプまたはチューブなど、中を通って1つまたは複数の材料が注入システム100から流出することができる任意の適切な構造を含む。出口118を通って流れる材料は、任意の他の材料に注入されてよい。具体的な例として、注入システム100は、入口102を通して1つまたは複数の燃料添加物を受けて、出口118を通して燃料添加物を、ガソリン、ディーゼル燃料、またはジェット燃料など、ベース製品(base product)に注入することができる。
【0020】
[0024]動作の第2のモードの間、誘導弁114は、材料を、誘導弁114と第2の出口122との間に設置される試験ポート120に供給する。試験ポート120は、第2の出口122を通って流れる材料を収集する試験装置に接続されてよい。試験ポート120は、材料を試験装置に供給するための任意の適切な構造を含む。試験ポート120は、通常は、試験が発生していないときに第2の出口122を遮断する小型弁を含む。第2の出口122は、パイプまたはチューブなど、中を通って1つまたは複数の材料が注入システム100から流出することができる任意の適切な構造を含む。
【0021】
[0025]この例では、第2の出口122から流出する材料は、ビーカー124に供給される。ビーカー124は、分注された材料を収集し、その量を正確に測定する。このようにして、担当者が、規定時間の間に分注された材料を収集し、次いで、収集された材料の量を目標の量と比較することができる。このことが、注入システム100が適正量の材料を注入しているかどうかを、担当者が試験することを可能にする。ビーカー124を試験の一部として使用することは、例示のためだけであり、他の技術が、分注された材料の量を測定するため、またはそうでなければ、注入システム100を試験するために使用されてよいことに留意されたい。
【0022】
[0026]動作の第1のモードの間、通常は、誘導弁114が試験ポート120への経路を遮断し、試験ポート120の中の弁が、通常閉じられる。このことが、注入システム100のデッドスペース126内に材料を閉じ込める。一般に、デッドスペース126は、空間からの出口のそれぞれが封止されるときに、材料が閉じ込められうる体積を意味する。上述のように、従来型の注入システムでは、材料は、その温度が高くなると膨脹する。このことは、ことによると、誘導弁114の中または試験ポート120の中の封止体を破裂させて、材料の漏れを引き起こす可能性がある。
【0023】
[0027]本開示によれば、注入システム100は、注入システム100のデッドスペース126の中の圧力を軽減するために使用されてよい、圧力補償ユニット128を含む。この例では、補償ユニット128は、デッドスペース126からの材料が入ることができる空間130を含む。また、補償ユニット128は、空間130内で移動可能なピストン132を含む。ピストン132は、ばね134を使用して付勢され、1つまたは複数の封止体136を使用して、空間130の1つまたは複数の縁部に対して封止される。
【0024】
[0028]動作の一態様では、ばね134は、ピストン132を、前方方向に(デッドスペース126により接近して)付勢する。図1において、デッドスペース126の中の閉じ込められた材料は、ピストン132に接触することができるが、一般に、封止体136が、材料がピストン132を超えて移動してピストン132の左側の空間130の部分を満たすのを防止する。図1において、このことが、空間130の左側の部分にエアポケットを、効果的に生み出す。
【0025】
[0029]デッドスペース126の中の材料が、膨脹せず、または収縮しないとき、ピストン132は、一般に安定な位置に留まることができる。デッドスペース126の中の材料が熱くなると、材料は膨脹し、材料をピストン132に押しつけさせる。このことが、ピストン132を反対方向に(ばね134に向かって)移動させ、閉じ込められた材料が占有する空間を増加させて、大きな圧力がデッドスペース126内で高まるのを防止する。デッドスペース126の中の材料が冷えると、材料は収縮し、ばね134は、ピストン132を前方方向に押すことができる。効果的に、圧力補償ユニット128が、閉じ込められた材料によって占有される体積を動的に調整するために使用することができ、そのことが、デッドスペース126の中の圧力を調整する。
【0026】
[0030]このようにして、圧力補償ユニット128は、デッドスペース126内の圧力を、いずれかの封止体が破裂する可能性のある閾値の点より低く維持するように支援することができる。このことは、デッドスペース126の中の閉じ込められた材料の膨脹によって引き起こされる、注入システム100の中の漏れを縮減または防止するように支援することができる。さらに、この補償は、追加の漏洩箇所を導入することなく、かつ試験ポート120が使用されるときに行われる試験測定の精度を妨げることなく、実行されうる。加えて、この手段は、なんらかの過剰圧力をデッドスペース126から迂回させるために逆止弁を使用する必要性を回避し、そのことが、漏れが発生する可能性のある追加の箇所をなくす。
【0027】
[0031]圧力補償ユニット128は、閉じ込められた空間の中の材料が膨脹するのを許容するなんらかの適切な構造を含む。この例示的実施形態では、空間130は、材料が入ることができ、補償ユニット128の他の構成要素が動作できる、任意の適切な体積を含む。空間130は、例えば、円筒形の体積に相当することができる。空間130は、なんらかの適切な方式でデッドスペース126と合体してよいことに留意されたい。図1は、これらの空間を接続する小さい流路(channel)を示すが、より大きな開口が使用されてよい。ピストン132は、空間内を移動する任意の適切な構造を含む。ピストン132は、例えば、円筒形の空間130の直径より小さいかまたはほぼ等しい直径を有する円筒構造に相当することができる。
【0028】
[0032]ばね134は、ピストン132を付勢するための任意の適切な構造を含む。ばね134は、正常動作状態の間の最低の圧力において、ばね134が作動されないように選択されてよい。ばね134は、圧力補償ユニット128の中で使用されうる付勢機構のうちの一例に過ぎないことに留意されたい。他の実施形態では、抗力(counter-force)として、圧縮または非圧縮のガスまたは空気が使用されてよい。ガスまたは空気が空間130に注入されてよく、ピストン132および封止体136が、ガスまたは空気を空間130の中に閉じ込めてよい。次いで、このガスまたは空気がピストン132を押して、ピストン132を前方方向に付勢することができる。
【0029】
[0033]各封止体136は、空間130の部分を実質的に封止するためのなんらかの適切な構造を含む。任意の数の封止体136が、使用されてよい。各封止体136は、例えば、Oリングに相当してよい。また、ピストン132および封止体136は、単一の一体化ユニットとして形成されてよいことに留意されたい。例えば、ピストン132および封止体136は、一片のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から形成されてよい。
【0030】
[0034]いくつかの実施形態では、図1に示される構成要素の多くが、一体構造または単体構造において形成されてよく、または使用されてよい。例えば、構造138は、一片の固体金属または他の材料から機械加工または鋳造されてよい。この単体構造138は、他の構成要素が構造138内に挿入されうる領域に沿って、図1に示される多くの流路および空間を含んでよい。この構造138を形成した後、システム100の中の構成要素の多くが、機械加工され、構造138内に挿入されてよい。このことが、システム100の中で必要とされる封止体の数を縮減または最小化するように支援することができ、そのことが、システム100の中で可能性のある漏洩箇所の数を、大幅に縮減することができる。
【0031】
[0035]図1は、耐熱遮断機構を有する注入システム100の一例を示すが、種々の変更が図1に対してなされてよい。例えば、注入システム100は、任意の適切な配列において任意の他の、または追加の構成要素を有してよい。一般に、圧力補償ユニット128は、デッドスペース内の圧力が制御または軽減される必要のある任意の注入システムまたは他のシステムの中で使用されてよい。
【0032】
[0036]図2は、本開示による耐熱封鎖機構を有する注入システム100を含む燃料処理システム200の一例を示す。図2に示される燃料処理システム200の実施形態は、例示のために過ぎない。燃料処理システム200の他の実施形態が、本開示の範囲を逸脱することなく使用されてよい。
【0033】
[0037]図2に示されるように、燃料処理システム200は、燃料を貯蔵室(storage)(貯蔵タンクなど)から受ける入口202を含む。遮断弁(isolation valve)204が、システム200への燃料の流れを制御し、濾過器(strainer)206が、システム200に入る燃料を濾過する。2つの遮断弁208a−208bが、2つの電動機/ポンプユニット210a−210bそれぞれへの濾過された燃料の流れを制御する。電動機/ポンプユニット210a−210bは、逆止弁212a−212bおよび遮断弁214a−214bのそれぞれを通して濾過された燃料をポンプで汲み出す(pump)。各逆止弁212a−212bは、濾過された燃料が実質的に一方向に流れることを確実にするのを支援し、各遮断弁214a−214bは、ポンプ出口遮断弁216への濾過された燃料の流れを制御する。一般に、ポンプ出口遮断弁216は、ポンプで汲み出される濾過された燃料の流れを制御または遮断する。
【0034】
[0038]種々の構成要素が、ポンプで汲み出された燃料の圧力を監視し、制御し、かつ軽減するために使用される。例えば、遮断弁220に接続された圧力計(pressure gauge)218が、ポンプで汲み出された燃料の圧力を表示することができる。また、バイパス安全弁(bypass relief valve)222が、ポンプで汲み出された燃料を出口224を通して供給することができる。このことは、例えば、ポンプで汲み出された燃料の圧力が高すぎるときに、ポンプで汲み出された燃料のいくぶんかを貯蔵室に戻すように供給するためになされてよい。加えて、圧力センサ226が、ポンプで汲み出された燃料の圧力を測定し、圧力測定値を圧力制御器228に送ることができる。圧力制御器228は、圧力測定値を使用して、電動機/ポンプユニット210a−210bの動作を制御可能な電動機制御器230を制御することができる。例えば、圧力制御器228は、測定された圧力が、最大圧力閾値を超えるかまたは最小圧力閾値より低下するときに、電動機制御器230に信号を伝えることができる。次いで、電動機制御器230は、ポンプ速度を増加もしくは減少させること、または電動機/ポンプユニット210a−210bを遮断することなどによって、電動機/ポンプユニット210a−210bの動作を調整することができる。
【0035】
[0039]ポンプ出口遮断弁216を通って流れる、ポンプで汲み出された燃料は、放出逆止弁(discharge check valve)234および熱安全弁(thermal relief valve)236を含むポンプ排出バイパス安全キット(pump discharge bypass relief kit)232に供給される。排出バイパス安全キット232を通過する燃料は、オーバーヘッド添加線(overhead additive line)238に入る。オーバーヘッド添加線238は、遮断弁240および栓(plug)242を有するハイポイント抽気(high point bleed)に接続される。オーバーヘッド添加線238は、1つまたは複数の材料(1つまたは複数の添加物など)を燃料に注入する注入システム100に、燃料を供給する。上述の通り、注入システム100は、注入システム100の中のデッドスペース126内の圧力を調整するのを支援することができる圧力補償ユニット128を含む。このことが、注入システム100の中の漏れを回避するのを支援することができる。
【0036】
[0040]注入された材料を有する燃料が、逆止弁246への流れを制御する遮断弁244に供給される。逆止弁246は、注入された材料を有する燃料を、タンカートラックもしくは他の貯蔵車両、または貯蔵構造など、任意の適切な目的地に供給する。
【0037】
[0041]図2に示される構成要素のそれぞれは、説明された機能を実施するためのなんらかの適切な構造を含む。
[0042]図2は、耐熱封鎖機構を有する注入システム100を含む燃料処理システム200の一例を示すが、種々の変更が、図2に対してなされてよい。例えば、図2は、燃料処理システムの配列の一例を示す。燃料は、任意の他の適切な方式で処理されてよい。材料は、より大きな燃料処理システム内の任意の数の場所において、任意の数の注入システム100を使用して、燃料に注入されてよい。また、図1に示され、上で説明された圧力補償ユニット128は、システムが燃料の処理または注入に関連するか否かにかかわらず、任意の適切なより大きなシステムの中で使用されてよい。特定の例として、注入システム100は、船舶用燃料に添加物を注入する海洋用途、ジェット燃料に除氷(de-icing)もしくは他の添加物を注入する航空用途、またはバイオ燃料に添加物を注入するかもしくはディーゼルもしくは他の燃料にバイオ燃料を注入するバイオ燃料用途において使用されてよい。
【0038】
[0043]図3は、本開示による注入システムまたは他のシステムにおける耐熱封鎖の方法300の一例を示す。図3に示される方法300の実施形態は、例示のために過ぎない。方法300の他の実施形態が、本開示の範囲を逸脱することなく使用されてよい。また、説明を容易にするために、方法300は、図1の注入システム100に関して説明される。しかし、方法300は、任意の他の適切なシステムと共に使用されてよい。
【0039】
[0044]図3に示されるように、ステップ302で弁が第1の位置に移動され、ステップ304で材料が第1の出口に送られる。ステップ306で弁が第2の位置に移動され、ステップ308で材料が第2の出口に送られる。弁が第2の位置に移動されると、材料はデッドスペースの中に閉じ込められる。このことの特定の例として、これらのステップは、注入システム100における誘導弁114を試験位置に移動させるステップと、次いで誘導弁114を正常動作位置に移動させるステップとを含んでよい。このことは、注入システム100のデッドスペース126の中に材料を閉じ込めることができる。
【0040】
[0045]いくつかの数の理由(雰囲気温度の上昇など)によって生じる可能性があるステップ310で、閉じ込められた材料が加熱される。このことは、ステップ312で、閉じ込められた材料を膨脹させて、圧力補償ユニットの中に押し入れる。このことは、例えば、閉じ込められた材料がピストン132を空間130の中に押し入れ、閉じ込められた材料が空間130を部分的に満たすのを許容することを含む。結果として、ステップ314で、閉じ込められた材料の圧力が、閾値より低く維持される。より具体的には、デッドスペース126内の圧力を、そうでなければ注入システム100の中の封止体を破裂させる可能性のある圧力より低く維持するために、閉じ込められた材料が、必要に応じて空間130の中に膨脹することができる。
【0041】
[0046]図3は、注入システムまたは他のシステムの中の耐熱封鎖の方法300の一例を示すが、種々の変更が、図3に対してなされてよい。例えば、図3は、ひと続きのステップを示すが、方法300の中の種々のステップが重なってよく、並列に発生してよく、異なる順序で発生してよく、または複数回発生してよい。また、同一かまたは類似の方法が、デッドスペース内の圧力が軽減される必要のある任意のシステムの中で使用されてよい。
【0042】
[0047]本特許文書を通して使用される、いくつかの単語および句の定義を説明することは好都合である。用語「含む(include)」および「備える(comprise)」ならびにそれらの派生語は、限定なしに含むことを意味する。用語「または(or)」は、および/またはの意味を含む。
【0043】
[0048]本開示は、いくつかの実施形態および一般的に関連する方法を説明したが、これらの実施形態および方法の変形および置換は、当業者には明らかであろう。したがって、例示的実施形態に対する上の説明は、本開示を定義または制約するものではない。また、他の変更、置換、および変形が、以下の特許請求の範囲によって定義されるように、本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく可能である。
[形態1]
材料を第1および第2の出口(118、122)に選択的に方向づけるように構成される第1の弁(114)と、
前記第2の出口を遮断するように構成される第2の弁(120)であって、前記第1および前記第2の弁が、前記第1の弁と前記第2の弁との間の体積を有するデッドスペース(126)を画定する、第2の弁(120)と、
前記デッドスペースの中の閉じ込められた材料が膨脹するときに、前記閉じ込められた材料のための付加的な体積を動的にもたらすように構成される圧力補償ユニット(128)とを備える、装置(100)。
[形態2]
形態1に記載の装置において、
前記圧力補償ユニットが、前記圧力補償ユニットの空間(130)内で移動するように構成されるピストン(132)を備え、
前記圧力補償ユニットが、前記閉じ込められた材料のための前記付加的な体積をもたらすために、前記デッドスペースの中の高められた圧力が、前記閉じ込められた材料に前記ピストンを押させるように構成される、装置。
[形態3]
形態2に記載の装置において、前記圧力補償ユニットが、
前記ピストンを付勢するように構成されるばね(134)をさらに備える、装置。
[形態4]
形態3に記載の装置において、前記圧力補償ユニットが、
前記閉じ込められた材料が前記ピストンを通り越して前記ばねに接触するのを実質的に防止するように構成される封止体(136)をさらに備える、装置。
[形態5]
形態1に記載の装置において、前記圧力補償ユニットが、前記デッドスペースの中の圧力を閾値より低く維持するために、前記閉じ込められた材料のいくぶんかを前記付加的な体積の中に受けるように構成される、装置。
[形態6]
第1および第2の弁(114、120)を動作させるステップ(302〜308)であって、材料が、前記弁の動作の間に前記第1および前記第2の弁によって画定されるデッドスペース(126)の中に閉じ込められる、ステップと、
前記閉じ込められた材料が膨脹するときに、前記デッドスペースの中の圧力を閾値より低く維持するために、前記閉じ込められた材料が入るための付加的な体積を動的にもたらすステップ(312)とを含む、方法。
[形態7]
形態6に記載の方法において、前記付加的な体積を動的にもたらすステップが、
ピストン(132)を、圧力補償ユニット(128)の空間(130)内で移動させるステップを含む、方法。
[形態8]
形態7に記載の方法において、
前記閉じ込められた材料が収縮するときに、前記ピストンを使用して、前記閉じ込められた材料を前記付加的な体積から押し出して、前記デッドスペースの中に戻すステップをさらに含む、方法。
[形態9]
形態6に記載の方法において、前記第1および前記第2の弁を動作させるステップが、
動作の第1のモードにおいて、前記材料を第1の出口(122)に迂回させるように前記第1の弁(114)を動作させるステップ、および前記第1の出口を遮断解除するために前記第2の弁(120)を開くステップと、
動作の第2のモードにおいて、前記材料を第2の出口(118)に迂回させるために前記第1の弁を動作させるステップ、および前記第2の弁を閉じて前記デッドスペースを形成するステップとを含む、方法。
[形態10]
材料が閉じ込められる体積を含むデッドスペース(126)と、
圧力補償ユニットの空間(130)内を移動するように構成されるピストン(132)を備える圧力補償ユニット(128)とを備え、前記閉じ込められた材料のための付加的な体積をもたらすために、前記デッドスペースの中の高められた圧力が、前記閉じ込められた材料に前記ピストンを押させるように、前記圧力補償ユニットが構成される、装置(100)。
図1
図2
図3