(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5922729
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】装置中の腐食した流体伝導部品を溶接によって交換する方法及びそれによって得られる部品
(51)【国際特許分類】
B21C 23/22 20060101AFI20160510BHJP
B21C 37/06 20060101ALI20160510BHJP
B23K 15/00 20060101ALI20160510BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20160510BHJP
【FI】
B21C23/22 Z
B21C37/06 B
B21C37/06 K
B23K15/00 506
!C22F1/00 601
!C22F1/00 612
!C22F1/00 626
!C22F1/00 627
!C22F1/00 630A
!C22F1/00 630C
!C22F1/00 630M
!C22F1/00 640A
!C22F1/00 641A
!C22F1/00 682
!C22F1/00 691B
!C22F1/00 691C
【請求項の数】30
【外国語出願】
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2014-175424(P2014-175424)
(22)【出願日】2014年8月29日
(62)【分割の表示】特願2013-106970(P2013-106970)の分割
【原出願日】2005年7月26日
(65)【公開番号】特開2015-6696(P2015-6696A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2014年9月17日
(31)【優先権主張番号】60/598,228
(32)【優先日】2004年8月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】11/061,355
(32)【優先日】2005年2月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501187033
【氏名又は名称】エイティーアイ・プロパティーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】サザーリン,リチャード・シー
(72)【発明者】
【氏名】ハーブ,ブレット・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】グラハム,ロナルド・エイ
【審査官】
福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2003/033200(WO,A1)
【文献】
特開昭56−148486(JP,A)
【文献】
特開平02−179314(JP,A)
【文献】
特公昭63−021550(JP,B2)
【文献】
特開平02−228468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 23/22
B21C 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管を製造する方法であって:
ニッケル合金の中空の第1の円筒を提供し、該第1の円筒は外部表面を有することと;
鋼の中空の第2の円筒を提供し、該第2の円筒は内部表面を有し、前記第1の円筒は前記第2の円筒内部にはまることができることと;
前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面の間の冶金学的結合を良好にするために前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つを調節することと;
前記第1の円筒を前記第2の円筒内部に配置し、その結果、前記第1の円筒の前記外部表面は前記第2の円筒の前記内部表面と向かい合って、ビレットを提供することと;
前記ビレットを押出す前に550℃〜900℃の範囲の温度に加熱することと;
前記加熱したビレットを押出して、それによって前記第1の円筒の前記外部表面を前記第2の円筒の前記内部表面に冶金学的に結合して、内部層及び外部層を含む壁を含む管を提供することと;
を含む方法。
【請求項2】
鋼が炭素鋼、マルエージング鋼、工具鋼及びステンレス鋼よりなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面の間の冶金学的結合を良好にするために前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つを調節することは、前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つの表面粗さを減少させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つの表面粗さを減少させることは、表面粗さを1.6μmRa以下に減少させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面の間の冶金学的結合を良好にするために前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つを調節することは、前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つの異質の汚染を、前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つに機械的コンディショニング、酸エッチング、溶媒洗浄剤、及びアルカリ洗浄剤のうちの少なくとも1つを使用して減少させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つの異質の汚染を減少させることは、清浄化された表面に洗浄剤残留分を堆積させない清浄化方法を使用して、前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つを清浄化することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面の間の冶金学的結合を良好にするために前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つを調節することは、前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つをアイスブラスティングすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
アイスブラスティングは、前記表面に対して結晶性の水を推進し、それによって前記表面を機械的にスクラビングし、液体フラッシングする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ビレットを加熱し、押出す前に、前記第1の円筒及び前記第2の円筒の末端継手を一緒に溶接して、押出しに適し、前記第1の円筒の向かい合う外部表面と前記第2の円筒の前記内部表面との間に気密の空間を含む多層ビレットを提供することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
末端継手を自己発生融接により一緒に溶接する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
末端継手を電子ビーム溶接により一緒に溶接する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
電子ビーム溶接は末端継手に5mm〜50mmの幅に浸透する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ビレットを押出す前に誘導加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
押出しサイクルの最中、50〜900mm/分の範囲の速度で前進する押出しラムを含む押出装置内でビレットを押出すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
3:1〜30:1の範囲の押出比でビレットを押出すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
内部層及び外部層の間に相互拡散層が無い、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
管が、内部層と外部層との間に形成された冶金学的結合に、実質的な組成勾配、金属間化合物、又は合金化を有しない、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
管を熱処理し、そして
管を冷間加工して管の壁の厚さを減じる
ことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
冷間加工が冷間ピルガリングを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
管を製造する方法であって:
ニッケル合金の中空の第1の円筒を提供し、該第1の円筒は外部表面を有することと;
ニッケル合金と異なる第2の材料の中空の第2の円筒を提供し、該第2の円筒は内部表面を有し、前記第1の円筒は前記第2の円筒内部にはまることができることと;
前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面の表面粗さを減少させることと;
前記第1の円筒を前記第2の円筒内部に配置し、その結果、前記第1の円筒の前記外部表面は前記第2の円筒の前記内部表面と向かい合って、ビレットを提供することと;
前記ビレットを加熱し、押出して、それによって前記第1の円筒の前記外部表面を前記第2の円筒の前記内部表面に冶金学的に結合して、内部層及び外部層を含む壁を含む管を提供することと;
を含み、
管が、内部層と外部層との間に形成された冶金学的結合に、実質的な組成勾配、金属間化合物、又は合金化を有しない、
方法。
【請求項21】
第2の材料が、チタン、チタン合金、ニオブ、ニオブ合金、タンタル、タンタル合金、炭素鋼、マルエージング鋼、工具鋼及びステンレス鋼よりなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面の表面粗さを減少させることは、表面粗さを1.6μmRa以下に減少させることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つの異質の汚染を、前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つに機械的コンディショニング、酸エッチング、溶媒洗浄剤、及びアルカリ洗浄剤のうちの少なくとも1つを使用して減少させることをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つの異質の汚染を減少させることは、清浄化された表面に洗浄剤残留分を堆積させない清浄化方法を使用して、前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つを清浄化することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の円筒の前記外部表面及び前記第2の円筒の前記内部表面のうちの少なくとも1つに対して結晶性の水を推進し、それによって前記表面を機械的にスクラビングし、液体フラッシングすることをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記ビレットを加熱し、押出す前に、前記第1の円筒及び前記第2の円筒の末端継手を一緒に溶接して、押出しに適し、前記第1の円筒の向かい合う外部表面と前記第2の円筒の前記内部表面との間に気密の空間を含む多層ビレットを提供することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
末端継手を電子ビーム溶接により一緒に溶接する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ビレットを押出す前に550℃〜900℃の範囲の温度に加熱することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
押出しサイクルの最中、50〜900mm/分で前進する押出しラムを含む押出装置内でビレットを押出すことを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
管を熱処理し、そして
管を冷間加工して管の壁の厚さを減じる
ことをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、耐食性流体伝導部品、及び1つ以上のこのような部品を含む装置に関する。本開示はまた、装置の物品の1つ以上の流体伝導部品を、改良された耐食性流体伝導部品で交換する方法に関する。本開示はさらに、耐食性流体伝導部品を形成でき冷間加工可能な多層物品に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な工業プロセス及び装置は超高圧及び超高温で稼働する。例えば、世界中で、尿素を合成するための工業的規模のプロセスは、大型高圧反応器中、150℃(302°F)を
超える温度で及び約150bar(15.0MPa)の圧力での、アンモニア及び二酸化炭素の反応を含む。プロセスは周知であり、例えば、米国特許第4,210,600号、同第4,899,813号、同第6,010,669号及び同第6,412,684号において説明されている。プロセスにおいて、一般に過剰であるアンモニア及び二酸化炭素は1つ以上の反応器中で反応し、尿素、尿素に転換されないカルバミン酸アンモニウム、及び合成において使用した過剰のアンモニアを含む水溶液を最終生成物として得る。
【0003】
尿素合成の最中の大部分の腐食性条件は、カルバミン酸アンモニウムがその最高の濃度及び温度にある時に生じる。こうした条件は、プロセスにおいて最も重要な工程で生じるが、比較的に少数の材料のみが、装置故障を生じ得るかなりの腐食を経験せずに条件に耐えることができる。尿素合成装置を製造してきた材料は、部分的には、時間と共に、AISI 316Lステンレス鋼、INOX 25/22/2Cr/Ni/Moステンレス鋼、鉛、チタン、サフレックス(登録商標)(Safurex(登録商標))ステンレス鋼、及びジル
コニウムを含んだ。
【0004】
尿素合成プロセスが最初に開発された時に、“尿素等級”オーステナイト−フェライトステンレス鋼及び他の独占等級(proprietary grade)のステンレス鋼が使用された。合成
装置は、尿素プロセス媒質が分解し、凝縮する垂直管束を有するストリッパーを含む。尿素プロセス媒質は管の内部体積を通って流れ、一方、飽和した蒸気は循環し、管の外側表面で凝縮する。凝縮する蒸気は、管内部の過剰のアンモニア及びカルバミン酸アンモニウムを尿素及び水に分解するのに必要なエネルギーを提供する。ストリッパー中の管同士の間隔は、管が通る円形の穴を含む管板によって維持され、個々の管はまた耐力溶接部によって管板の表面に接合される。
【0005】
少数の材料が、時間と共にかなりの腐食及び/または浸食を経験せずに、ストリッパー管がさらされる内部及び外部条件に耐えることができる。ストリッパー管において使用されるステンレス鋼の耐食性は主として、ステンレス鋼をパッシベーションする(溶液がパッシベーション酸素の一部分を提供する)ように、管中の尿素溶液が管表面に均一に及び一様に分布するかどうかに依存する。管の内部表面が十分に及び連続的に湿潤してない場合、ステンレス鋼は腐食する。従って、処理ユニットが定常状態条件で及び比較的に高容量で稼働する場合、ステンレス鋼管は十分機能しよう。ユニットがより低容量で稼働する場合、しかしながら、ストリッパー管中の尿素プロセス媒質の分布は一様でないことがあるか、または、管は完全にパッシベーションされない湿潤してない内部表面を含むことがあり、腐食をもたらす。従って、現在入手可能なステンレス鋼は、尿素合成プロセスにおいて使用するための信頼性の高いストリッパー管材料であるとは見い出されなかった。
【0006】
ステンレス鋼の場合に経験される腐食の問題に取り組むために、30年以上前に、チタン
から製造された尿素合成装置が開発された。この設計において、チタン被覆ストリッパーは、チタン被覆管板に接合した固体チタン管を含む。この設計が使用中の状態に置かれた時に、垂直配置ストリッパー管は、管をストリッパー管板に融合する耐力溶接部の近くの領域において腐食及び浸食にさらされた。浸食及び腐食はまた、管の最初の1メートル(39.4インチ)の長さ以内に認められた。この領域においてカルバミン酸アンモニウムは最高の濃度及び温度にあり、分解し、凝縮しており、この領域における流体方向、流体衝突の突然の変化、または突然の蒸発が理由となって浸食/腐食は生じると仮定される。チタンストリッパー管の腐食/浸食の性質が特定された後、装置は再設計され、その結果、ストリッパーユニットはエンドツーエンドで動くことができ、それによって、管の交換が必要となる前にストリッパー管の両端表面で浸食/腐食が生じることに対処した。これはストリッパー管の運用寿命をほぼ2倍にしたが、ユニットの腐食の問題の永久の解決ではなく、チタンストリッパー管を用いて製造された尿素処理ユニットの多くが、ある程度の浸食/腐食の問題を経験した。
【0007】
尿素ストリッパーにおいて経験された浸食及び腐食の問題にさらに取り組むために、米国特許第4,899,813号において説明されているように、ジルコニウムを使用して製造された
ストリッパー管が導入された。ジルコニウムはチタン及びステンレス鋼よりも高価なので、初期のジルコニウムを備えたストリッパー管は、ステンレス鋼外部管(一般に2mm(0.8インチ)の最小厚さ)及びステンレス鋼管内部に機械的に結合した(すべりばめ(snug fit))ジルコニウムの比較的に薄い管状内部ライナー(一般に0.7mm(0.03インチ)の最小厚さ)を含むように設計された。ジルコニウムライナーを適所に保持するために必要な機械的結合は、ステンレス鋼外部管内部にすべりばめするようにジルコニウムライナーの内径を広げることによって実現した。得られたすべりばめ二重層管類のステンレス鋼外部管は、機械的強度を提供し、また固体ジルコニウム管類と比較して管類のコストを低減した。比較的に薄いジルコニウムライナーは、改良された耐食性を提供する。ジルコニウムは、高度腐食性、高圧、高温環境中で優れた耐食性を示すので、この用途のために選択された。
【0008】
前述のステンレス鋼/ジルコニウムすべりばめ二重層ストリッパー管類は、非常にきつい機械的はめあいをより良好に確保するために、厳しい要件下で製造された。それにもかかわらず、層の機械的結合は、長い運用寿命を意図した管においてトラブルの源であることが判明した。耐食性ジルコニウムライナーとステンレス鋼外部管との間の冶金学的結合の欠如が理由となって、ジルコニウム内部ライナーとステンレス鋼外部管との間にわずかなギャップが存在する。このギャップは、部分的には、ジルコニウム及びステンレス鋼の異なる機械的及び物理的性質から生じる。例えば、材料は非常に異なる熱膨張率を有し、加熱した時に、ステンレス鋼はジルコニウムよりも大きな程度に膨張しよう。また、材料の異なる性質が理由となってこれらは一緒に融接できず、管をステンレス鋼管板に融接するためにジルコニウムライナーの一部分をストリッパー管末端から除去することが必要になった。いかに申し分なくステンレス鋼管及びジルコニウムライナーが製造され、いかにきつく管構成要素が一緒に機械的にはめあわされたかにかかわらず、時間と共に腐食性尿素プロセス媒質はステンレス鋼とジルコニウムとの間の小さなギャップにしみ込むことができ、すきま腐食、最終的にステンレス鋼外部管の貫通をもたらすことが見い出された。この設計を有する幾つかの尿素ストリッパーにおいては、管はこの理由で破損し始め、問題を正すために尿素合成装置の停止を必要とし、かなりの保全費をもたらす。
【0009】
さらに別に、最近の開発は、固体ジルコニウムストリッパー管、ジルコニウム被覆管板、及び全ての内部の湿潤した表面にある爆発結合した(explosive bonded)ジルコニウムクラッディング層を含む尿素合成ストリッパー管束のための設計である。しかしながら、尿素合成装置のコストを考えると、一般的に、既存の装置の腐食した部品を修理することは、装置をこの新たな耐食性設計で置き換えることよりも費用がかからない。部品交換は、
固体ジルコニウムストリッパー管、ジルコニウム被覆管板、及び湿潤した表面のジルコニウムクラッディングを含むストリッパー装置にとっては費用効果的な選択肢かもしれないが、改良された耐食性を有するストリッパー管を用いてチタン被覆ストリッパーユニットが製造されれば、有利であると思われる。というのは、チタン被覆ストリッパーユニットは、ジルコニウム被覆ユニットよりも製造するのにかなり費用がかからない傾向があるからである。
【0010】
従って、尿素合成装置のストリッパー管のための改良された設計を提供することは有利であると思われる。また、ストリッパーの既存の管板を利用しながら、尿素合成装置のための既存のストリッパーを、耐食性交換ストリッパー管の形態を用いて改造する方法を提供することは有利であると思われる。
【0011】
より一般に、腐食を助長する条件下で稼働する装置の物品のための耐食性流体伝導部品のための改良された設計を提供することは有利であると思われる。尿素合成装置のストリッパーユニットに加えて、上述の装置の物品は、例えば、他の化学処理装置、凝縮器ユニット、及び熱交換器装置を含む。また、装置の既存の摩耗した及び/または腐食しやすい部品を、耐食性交換部品を用いて改造する方法を提供することは有利であると思われ、ここで、交換部品は、耐食材料、例えば、ジルコニウム、ジルコニウム合金、チタン、チタン合金、及びステンレス鋼から製造される。
【発明の開示】
【0012】
上記に言及した利点を提供するために、本開示の1態様によれば、取り付け領域を有する装置の物品の少なくとも1つの流体伝導部品を交換する第1の方法が提供される。第1の方法は、耐食性の第1の材料を含む流体伝導第1の領域、及び取り付け領域の材料と同一のまたは実質的に同一の第2の材料を含む流体伝導第2の領域を含む交換部品を提供することを含む。第1の領域及び第2の領域は、直接的に及び間接的にのうちの1つで固相接合によって接合され、その結果、単一の流体伝導交換部品を形成する。交換部品の第2の領域の第2の材料を装置の物品の取り付け領域に固定することを含むプロセスによって、交換部品を装置の物品に固定する。
【0013】
第1の方法の特定の非限定具体例においては、交換部品は、円筒形部品、管、パイプ、ノズル、スタブエンド、管コネクタ、パイプコネクタ、ストリッパー管、伝熱管、及び流体伝導部品から選択される。
【0014】
第1の方法の特定の非限定具体例においては、装置の物品は尿素合成装置のストリッパーユニットであり、交換部品はストリッパー管であり、取り付け領域はストリッパー管板の領域である。
【0015】
第1の方法の特定の非限定具体例においては、交換部品の第2の領域の第2の材料を装置の物品の取り付け領域に溶接することを含むプロセスによって、交換部品を装置の物品に固定する。第1の方法の特定の非限定具体例においては、第2の領域の第2の材料を取り付け領域に固定することは、例えば、アセチレン溶接(autogenous welding)及び溶加材を使用する融接から選択される溶接技術を使用して行われる。
【0016】
第1の方法の特定の非限定具体例においては、第1の領域を直接的に及び間接的にのうちの1つで第2の領域に固相接合することは、冷間圧接、拡散溶接、爆発溶接、鍛接、摩擦圧接、フライホイール式摩擦圧接、熱間圧接、ロール圧接、及び超音波溶接から選択される固相接合技術を含む。
【0017】
第1の方法の特定の非限定具体例においては、第1の領域は単一の材料でできており、第
2の領域は単一の材料でできている。第1の方法の特定の非限定具体例においては、耐食性の第1の材料は、ジルコニウム、ジルコニウム合金、チタン、チタン合金、ニオブ、及びニオブ合金から選択される少なくとも1つの材料である。第1の方法の特定の非限定具体例においては、第2の材料は、チタン、チタン合金、及びステンレス鋼からなる群から選択される。
【0018】
第1の方法の特定の非限定具体例においては、第2の領域は、耐食材料の内部層及び第2の材料の外部層を含む。第1の方法の特定の非限定具体例においては、内部層及び外部層を融合することを含むプロセスは、第2の領域を形成する。内部及び外部層を融合するために使用してよい技術の1非限定例は、押出し結合(extrusion bonding)である。第1
の方法の特定の非限定具体例においては、第2の領域の内部層及び外部層を冶金学的に結合することは、第2の領域を形成する。このような冶金学的結合プロセスは、例えば、押出し結合、爆発結合、熱間静水圧成形、及び遠心鋳造から選択される少なくとも1つの冶金学的結合技術を実行することを含んでよい。特定の非限定具体例においては、内部層は、ジルコニウム及びジルコニウム合金からなる群から選択される材料でできており、外部層は、チタン及びチタン合金からなる群から選択される材料でできている。
【0019】
第1の方法のさらに別の非限定具体例によれば、装置の物品は尿素合成装置のストリッパーユニットであり、交換部品はストリッパー管であり、取り付け領域は管板の領域であり、交換部品の第1の領域はジルコニウムであり、交換部品の第2の領域は、ジルコニウム及びジルコニウム合金からなる群から選択される材料の内部層、並びにチタン及びチタン合金からなる群から選択される材料の外部層を含む。
【0020】
第1の方法の特定の具体例においては、装置の物品は尿素合成装置のストリッパーユニットであり;交換部品はストリッパー管であり;取り付け領域は管板の領域であり;交換部品の第1の領域はジルコニウムであり;交換部品の第2の領域は、ジルコニウム及びジルコニウム合金から選択される材料の内部層、並びにチタン及びチタン合金から選択される材料の外部層を含む。こうした具体例の幾つかにおいては、例えば、押出し結合、爆発結合、熱間静水圧成形、及び遠心鋳造から選択される少なくとも1つの技術を含んでよいプロセスによって、内部層を外部層に冶金学的に結合する。こうした具体例の幾つかにおいては、第1の領域を直接的に及び間接的にのうちの1つで第2の領域に固相接合することによって形成される溶接領域は、第1の材料及び第2の材料を組み合わせる合金が実質的に無い。第1の領域を間接的に第2の領域に固相接合する具体例においては、少なくとも1つの第3の材料を第1の領域と第2の領域との間に配置してよい。このような少なくとも1つの第3の材料は、例えば、チタン、チタン合金、バナジウム、バナジウム合金、タンタル、タンタル合金、ハフニウム、ハフニウム合金、ニオブ、及びニオブ合金から選択してよい。
【0021】
本開示の別の態様によれば、第2の方法が提供される。第2の方法は、尿素合成ユニットのストリッパー中のストリッパー管を、交換ストリッパー管で交換するためのものである。第2の方法は、耐食性の第1の材料を含む流体伝導第1の領域、及びストリッパーの管板を構成する材料と同一及び実質的に同一のうちの1つである第2の材料を含む流体伝導第2の領域を含む交換ストリッパー管を提供することを含む。第1の領域及び第2の領域を直接的にまたは間接的に固相接合によって接合して、単一の流体伝導交換部品を形成する。交換ストリッパー管をストリッパーに固定するために、第2の領域の第2の材料を管板の同一のまたは実質的に同一の材料に溶接する。このような溶接プロセスは、例えば、アセチレン溶接及び溶加材を使用する溶接から選択される融接技術としてよい。
【0022】
第2の方法の特定の非限定具体例においては、耐食性の第1の材料は、ジルコニウム及びジルコニウム合金からなる群から選択される少なくとも1つの材料である。可能なジルコ
ニウム合金の非限定例は、Zr700(UNS R60700)、Zr702(UNS R60702)、Zr705(UNS R60705)、及びジルカロイズ(Zircaloys)を含む。第2の方法の特定の非限定具体例においては、第2の材料は、チタン及びチタン合金からなる群から選択される。
【0023】
第2の方法の特定の非限定具体例においては、第1の領域を直接的に及び間接的にのうちの1つで第2の領域に固相接合することは、フライホイール式摩擦圧接、熱間圧接、ロール圧接、及び超音波溶接を含む、冷間圧接、拡散溶接、爆発溶接、鍛接、摩擦圧接から選択される固相接合技術によって実行される。第2の方法の特定の非限定具体例においては、第1の領域を直接的に及び間接的にのうちの1つで第2の領域に固相接合することによって形成される溶接領域は、耐食性の第1の材料及び第2の材料の合金が実質的に無い。
【0024】
第2の方法の特定の非限定具体例においては、交換ストリッパー管の第1の領域は単一の材料でできており、第2の領域は単一の材料でできている。他に、第2の方法の特定の具体例においては、第2の領域は耐食材料の内部層及び第2の材料の外部層を含む。他の第2の方法の特定の具体例においては、第2の領域は押出し結合によって形成され、その結果、第2の領域の内部層及び外部層は融合される。他の第2の方法の特定の具体例においては、第2の領域は、ジルコニウム及びジルコニウム合金から選択される材料の内部層、並びにチタン及びチタン合金から選択される材料の外部層を含む。
【0025】
第2の方法の特定の非限定具体例においては、第1の領域を間接的に第2の領域に固相接合し、その結果、少なくとも1つの第3の材料が第1の領域と第2の領域との間に配置される。このような非限定具体例において第1の領域と第2の領域との間に配置される少なくとも1つの第3の材料の非限定例は、バナジウム、バナジウム合金、タンタル、タンタル合金、ハフニウム、ハフニウム合金、ニオブ、及びニオブ合金を含む。
【0026】
本開示のさらに別の態様によれば、装置の物品のための第1の部品が提供される。第1の部品は、耐食性の第1の材料を含む流体伝導第1の領域、及び第2の材料を含む流体伝導第2の領域を含む。第1の領域及び第2の領域は直接的に及び間接的にのうちの1つで固相接合によって接合して、単一の流体伝導部品を形成する。第1の部品は例えば、装置の物品のための交換部品または元の部品としてよい。第1の部品が提供されてよい可能な形態の非限定例は、円筒形部品、管、パイプ、ノズル、スタブエンド、管コネクタ、パイプコネクタ、ストリッパー管、伝熱管、及び流体伝導部品を含む。装置の物品の非限定例は、化学処理装置、ストリッパーユニット、凝縮器ユニット、及び熱交換器を含む。
【0027】
直接的に及び間接的にのうちの1つで第1の部品の第1の領域を第2の領域に固相接合するために使用されてきたかもしれない固相接合技術の非限定例は、冷間圧接、拡散溶接、爆発溶接、鍛接、摩擦圧接、フライホイール式摩擦圧接、熱間圧接、ロール圧接、及び超音波溶接を含む。第1の部品の特定の非限定具体例においては、耐食性の第1の材料は、ジルコニウム合金、チタン、チタン合金、ニオブ、及びニオブ合金から選択される材料である。可能なジルコニウム合金の非限定例は、Zr700(UNS R60700)、Z
r702(UNS R60702)、Zr705(UNS R60705)、及びジルカロイズ(原子力用のジルコニウム等級)である。また、第1の部品の特定の非限定具体例においては、第2の材料は、チタン、チタン合金、及びステンレス鋼からなる群から選択される。
【0028】
第1の部品の特定の非限定具体例においては、第1の領域を間接的に第2の領域に固相接合し、その結果、少なくとも1つの第3の材料が第1の領域と第2の領域との間に配置される。このような非限定具体例において第1の領域と第2の領域との間に配置される少なくとも1つの第3の材料の非限定例は、バナジウム、バナジウム合金、タンタル、タンタ
ル合金、ハフニウム、ハフニウム合金、ニオブ、及びニオブ合金を含む。
【0029】
特定の非限定具体例においては、第1の部品の第2の領域は、耐食材料の内部層及び第2の材料の外部層を含む。特定の非限定具体例においては、第1の部品の第2の領域は、ジルコニウム及びジルコニウム合金から選択される材料の内部層、並びにチタン及びチタン合金から選択される材料の外部層を含む。第2の領域の内部及び外部層を、例えば、直接的にまたは間接的に一緒に冶金学的に結合してよい。1具体例においては、押出し結合(共押出し)、爆発結合、熱間静水圧成形、及び遠心鋳造から選択されるプロセスによって、内部及び外部層を直接的に冶金学的に結合する。特定の具体例においては、直接的に冶金学的に結合した内部と外部層との間に形成される任意の実質的な相互拡散層の欠如は、流体伝導部品を製造するプロセスの最中に物品が容易に冷間加工されることを可能にする。
【0030】
本開示のさらなる態様によれば、第3の方法が提供される。第3の方法は、尿素合成ユニットのストリッパー中のストリッパー管を、交換ストリッパー管で交換するためのものである。第3の方法は、尿素合成ユニットの既存のストリッパー管を、上記の第1の部品の設計を有する耐食性ストリッパー管で交換するすることを含む。
【0031】
本開示のさらに別の態様によれば、第1の装置の物品が提供される。装置の物品は、第1の部品の設計を有する部品を含む。特定の非限定具体例によれば、第1の装置の物品は、化学処理装置、ストリッパーユニット、凝縮器ユニット、及び熱交換器のうちの1つである。また、特定の非限定具体例によれば、第1の装置の物品中に含まれる第1の部品は、円筒形部品、管、パイプ、ノズル、スタブエンド、管コネクタ、パイプコネクタ、ストリッパー管、伝熱管、及び流体伝導部品のうちの1つである。
【0032】
本開示のさらなる態様によれば、第4の方法が提供される。第4の方法は、流体伝導通路を取り囲む耐食材料の内部層、及び異なる材料の外部層を含む流体伝導部品を製造するためのものである。第4の方法の特定の具体例においては、流体伝導部品は、チタンまたはチタン合金の層に直接的に冶金学的に結合されたジルコニウムまたはジルコニウム合金の第1の層を含む物品から形成され、ここで、結合した第1と第2の層との間にかなりの拡散中間層は存在しない。
【0033】
本開示のさらに別の態様によれば、第5の方法が提供される。第5の方法は、取り付け領域を有する装置の物品の少なくとも1つの流体伝導部品を交換するためのものである。第5の方法は、流体伝導部品を通る流体伝導通路を取り囲む耐食性の第1の材料の内部層、及び第2の材料の外部層を含む交換流体伝導部品を提供することを含む。内部層は、直接的に及び間接的にのうちの1つで外部層に冶金学的に結合する。第5の方法において層を直接的にまたは間接的に冶金学的に結合するために使用してよい技術の非限定例は、押出し結合、爆発結合、熱間静水圧成形、及び遠心鋳造を含む。
【0034】
第5の方法の特定の非限定具体例においては、交換部品の外部層を装置の物品の取り付け領域に固定することを含むプロセスによって、交換部品を装置の物品に固定する。第5の方法において外部層を取り付け領域に固定するために有用な方法の非限定例は、溶接、融接、アセチレン溶接、及び溶加材を使用する融接を含む。第5の方法の特定の非限定具体例においては、取り付け領域は、交換部品の第2の材料と同一及び実質的に同一のうちの1つである第3の材料を含み、交換部品を装置の物品に固定することは、外部層の領域を取り付け領域の第3の材料に固定することを含む。
【0035】
前述の第5の方法の流体伝導部品は、例えば、円筒形部品、管、ストリッパー管、伝熱管、パイプ、及びノズルから選択してよい。また、第5の方法の特定の非限定具体例におい
ては、耐食性の第1の材料は、ジルコニウム及びジルコニウム合金、(例えば、Zr700(UNS R60700)、Zr702(UNS R60702)、Zr705(UNS
R60705)、及びジルカロイズ)から選択される。また、第5の方法の特定の非限
定具体例においては、第2の材料は、チタン及びチタン合金からなる群から選択される。
【0036】
第5の方法の特定の非限定具体例においては、押出し結合、爆発結合、熱間静水圧成形、及び遠心鋳造からなる群から選択される少なくとも1つの技術を含むプロセスによって、内部層及び外部層を直接的に及び間接的にのうちの1つで冶金学的に結合する。また、第5の方法の特定の非限定具体例においては、直接的に及び間接的にのうちの1つで内部及び外部層を冶金学的に結合した時に、実質的な相互拡散層は生成しない。このような場合には、得られた部品を、例えば冷間引抜きまたは冷間管減少(cold tube reducing)を使用することによって容易に冷間加工できる。
【0037】
前述の第5の方法の特定の非限定具体例においては、装置の物品は尿素合成装置のストリッパーユニットであり、交換部品はストリッパー管であり、取り付け領域は管板の領域である。また、第5の方法の特定の非限定具体例においては、装置の物品は尿素合成装置のストリッパーユニットであり;交換部品はストリッパー管であり;取り付け領域は管板の領域であり;交換部品の内部層は、ジルコニウム及びジルコニウム合金から選択され;交換物の外部層は、チタン及びチタン合金から選択される。
【0038】
第5の方法の特定の非限定具体例においては、交換部品を装置の物品に固定することは、外部層の第2の材料の領域を取り付け領域の第3の材料に融接することを含み、その結果、それによって形成される溶接領域は、第1の材料及び第2の材料と比較してかなり低減した耐食性を有する合金が実質的に無い。
【0039】
第5の方法の特定の非限定具体例においては、内部層を直接的に外部層に冶金学的に結合する。第5の方法の特定の他の非限定具体例においては、内部層は間接的に外部層に冶金学的に結合し、その結果、第1の材料及び第2の材料と異なる第3の材料を含む少なくとも1つの層が、内部層と外部層との間に配置される。
【0040】
本開示のさらに追加の態様によれば、第6の方法が提供される。第6の方法は、尿素合成ユニットのストリッパー中のストリッパー管を、交換ストリッパー管で交換するためのものである。第6の方法は、ストリッパー管を通る流体伝導通路を取り囲む耐食性の第1の材料の内部層、及び第2の材料の外部層を含む交換ストリッパー管を提供することを含み、ここで、内部層は直接的に及び間接的にのうちの1つで外部層に冶金学的に結合し、第2の材料は、ストリッパーの管板を構成する材料と同一及び実質的に同一のうちの1つである。外部層の第2の材料を、管板の同一のまたは実質的に同一の材料に固定する。
【0041】
第6の方法の特定の非限定具体例においては、耐食性の第1の材料は、ジルコニウム及びジルコニウム合金(例えば、Zr700(UNS R60700)、Zr702(UNS R60702)、Zr705(UNS R60705)、及びジルカロイズ)から選択さ
れる少なくとも1つの材料である。第6の方法の特定の非限定具体例においては、第2の材料は、チタン及びチタン合金から選択される。
【0042】
第6の方法の特定の非限定具体例によれば、外部層の第2の材料を管板の同一のまたは実質的に同一の材料に固定することは、外部層の第2の材料を管板の実質的に同一の材料に溶接することを含む。使用してよい溶接技術の非限定例は、アセチレン溶接及び溶加材を使用する融接を含む。第6の方法の特定の具体例においては、外部層の第2の材料を管板の同一のまたは実質的に同一の材料に溶接することによって形成される溶接領域は、第2の材料と比較してかなり低減した耐食性を有する合金が実質的に無い。
【0043】
第6の方法の特定の非限定具体例においては、押出し結合、爆発結合、熱間静水圧成形、及び遠心鋳造から選択される少なくとも1つの技術を含むプロセスによって、ストリッパー管の内部層及び外部層を直接的に及び間接的にのうちの1つで冶金学的に結合する。また、第6の方法の特定の非限定具体例においては、内部層を直接的に外部層に冶金学的に結合し、特定の具体例においては、内部層を外部層に冶金学的に結合した時に、実質的な相互拡散層は生成しない。第6の方法の特定の他の非限定具体例においては、内部層を間接的に外部層に冶金学的に結合し、その結果、第1の材料及び第2の材料と異なる材料を含む少なくとも1つの層が、内部層と外部層との間に配置される。
【0044】
本開示のさらに追加の態様によれば、装置の物品のための第2の部品が提供される。第2の部品はストリッパー管及び伝熱管から選択され、流体伝導部品を通る流体伝導通路を取り囲む耐食性の第1の材料の内部層、及び第2の材料の外部層を含み、ここで、内部層を直接的に及び間接的にのうちの1つで外部層に冶金学的に結合する。第2の部品は、装置の物品のための交換部品及び元の部品のうちの1つとしてよい。第2の部品がストリッパー管である場合、装置の物品は、例えば、尿素合成装置のためのストリッパーユニットとしてよい。
【0045】
説明するように、第2の部品においては、内部層を直接的に及び間接的にのうちの1つで外部層に冶金学的に結合する。直接的に及び間接的にのうちの1つで層を冶金学的に結合するために使用してよい技術の非限定例は、押出し結合、爆発結合、熱間静水圧成形、及び遠心鋳造を含む。
【0046】
第2の部品の特定の非限定具体例においては、第2の部品の内部層を直接的に外部層に冶金学的に結合する。このような具体例の幾つかにおいては、実質的な相互拡散層は、直接的に冶金学的に結合した内部と外部層との間に存在せず、得られた部品が、例えば、冷間引抜きまたは冷間管減少によって容易に冷間加工されることを可能にする。第2の部品のさらに他の非限定具体例においては、内部層を間接的に外部層に冶金学的に結合し、その結果、第1の材料及び第2の材料と異なる第3の材料を含む少なくとも1つの層が、内部層と外部層との間に配置される。
【0047】
本開示のさらに別の態様によれば、第7の方法が提供される。第7の方法は、流体伝導通路を取り囲む耐食性の第1の材料の内部層、及び第2の材料の外部層を含む流体伝導部品を製造するためのものである。第7の方法は、内部層と外部層との間に任意の実質的な相互拡散層を生成すること無しに、内部層及び外部層を冶金学的に結合することを含む。
【0048】
第7の方法の特定の具体例においては、内部層及び外部層を冶金学的に結合することによって製造される部品は容易に冷間加工されることができ、このような場合には、方法は、中間部品を冷間加工することをさらに含んでよい。部品を冷間加工するために使用してよい可能な技術の非限定例は、冷間引抜き、冷間管減少、内部及び外部ロールを用いる管ローリング(tube rolling)、並びに流動成形(flow forming)を含む。
【0049】
第7の方法の特定の非限定具体例においては、耐食性の第1の材料は、ジルコニウム及びジルコニウム合金(例えば、Zr700(UNS R60700)、Zr702(UNS R60702)、Zr705(UNS R60705)、及びジルカロイズ)からなる群
から選択される少なくとも1つの材料である。また、第7の方法の特定の具体例においては、第2の材料はチタン及びチタン合金から選択される。
【0050】
本開示のさらに追加の態様によれば、第8の方法が提供される。第8の方法は、尿素合成ユニットのストリッパー中のストリッパー管を交換ストリッパー管で交換するためのもの
である。第8の方法は、尿素合成ユニットの既存のストリッパー管を、第2の部品の設計を有する尿素耐食性ストリッパー管で交換することを含む。
【0051】
本開示のさらなる態様によれば、装置の物品が提供され、ここで、装置の物品は第2の部品を含む。装置の物品の可能な非限定例は、化学処理装置、ストリッパーユニット、凝縮器ユニット、及び熱交換器を含む。
【0052】
読者は、本開示の方法、物品及び部品の特定の非限定具体例の以下の詳細な説明を検討することによって、前述の詳細及び利点並びに他のものを了解できよう。また、読者は、本明細書において説明する方法、物品、及び部品を実行するかまたは使用することによって、上述の追加の利点及び詳細を理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本開示に従うストリッパー管の1具体例を示し、ここで、管は、ジルコニウムから製造され、フライホイール式摩擦圧接または別の固相接合技術によって、チタンから製造された第2の流体伝導領域に接合された第1の流体伝導領域を含む。
【
図2】
図1のストリッパー管をストリッパー管板のチタン被覆表面に取り付けるための、及び多層流体伝導管末端の使用を含む配置を示す。
【
図3】多層流体伝導部品を製造するためのプロセスの具体例を概略で示す。
【
図4】
図3のプロセスにおいて中間物品として製造された溶接された二層ビレットの末端を概略で示す。
【
図5】本開示に従う多層管末端を含むストリッパー管の具体例をストリッパー管板のチタン被覆表面に取り付けるための配置を示す。
【
図6】チタン管区画にフライホイール式摩擦圧接したジルコニウム管区画の切断して区画にしていない及び切断して区画にした試料を表す。
【
図7】チタン管区画にフライホイール式摩擦圧接したジルコニウム管区画の2つの試料を表し、ここで、得られたジルコニウム/チタン流体伝導管は機械加工されて、ばりを除去されている。
【
図8】フライホイール式摩擦圧接した試料の管壁におけるジルコニウム−チタン溶接界面の断面の写真である。
【
図10】
図9に示した溶接界面領域の一部分の高倍率像である。
【
図11】多層流体伝導部品または部品区画を製造するための本開示に従うプロセスの具体例の工程の略図である。
【
図12】多層流体伝導部品または部品区画を製造するための本開示に従うプロセスの具体例の工程の略図である。
【
図13】
図12に含まれるプロセス工程のうちの1つにおいて中間物品として製造された溶接された二層ビレットの端面図を示す。
【
図14】本開示に従う方法の具体例によって製造された、熱処理された多層管の冶金学的結合領域の顕微鏡写真である。
【0054】
本方法の特徴及び利点は、添付図面を参照することによってより良く理解できよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
本開示において提供する特定の具体例は、新規な耐食性流体伝導部品、1つ以上のこのような部品を含む装置、及び腐食性及び/または浸食性条件にさらされる装置の流体伝導部品を耐食性流体伝導交換部品で交換する方法を含む。流体の例は、気体、液体、または気体/液体混合物を含む。新規な部品の非限定具体例は、例えば、円筒形または他の形状を有する部品、管、パイプ、ノズル、スタブエンド、管コネクタ、パイプコネクタ、及び他の流体伝導部品を含む。流体伝導部品の特定の非限定具体例は、少なくとも1つの耐食材
料、例えば、ジルコニウム、チタン、タンタル、ニオブ、こうした金属のいずれかの合金、または別の耐食性金属または合金から製造された少なくとも1つの第1の流体伝導領域を含む。部品はまた、部品を取り付けるべき装置の既存の取り付け領域を形成する材料と組成的に同一のまたは組成的に実質的に同一の材料を含む少なくとも1つの第2の流体伝導領域を含む。耐食性の第1の領域を固相接合によって第2の領域に直接的にまたは間接的に接合して、単一の流体伝導部品、例えば、管またはパイプを形成する。第2の領域の同様の材料及び装置の取り付け部品を一緒に溶接することによって、このような部品を装置の物品に固定してよい。例えば、アセチレン溶接または溶接用溶加材(welding filler
metal)の使用によって、腐食をかなり助長するであろう融接に近い条件を生じることなく、同様の材料を融接してよい。
【0056】
本開示において説明されている部品及び方法を、様々なタイプの化学処理及び他の装置と共に使用するために適合させてよい。このような装置及び本開示に従って構成してよいこのような装置の特定の流体伝導部品の非限定具体例は、尿素ストリッパー、カルバメート凝縮器、及びバイメタルストリッパーのための管類、並びに化学及び石油化学プロセスのための熱交換器管類及びパイプを含む。
本明細書において説明する特定の非限定具体例は、尿素合成装置における腐食した及び/または浸食したチタンストリッパー管を、管内部の尿素プロセス媒質の腐食性/浸食性の影響に対して高度に耐性があると思われる耐食性金属または合金領域、例えばジルコニウムまたはジルコニウム合金領域を含む交換管で交換する方法である。方法は、ストリッパーの既存のチタン被覆管板及び交換器ヘッドを再使用することを可能にし、従ってストリッパーユニット全体を交換する必要がない。方法は、(i)例えば、ジルコニウムまたは耐食性ジルコニウム合金から製造された管状耐食性領域と、(ii)例えば、腐食または浸食をかなり助長する融接に近い条件を生じることなくストリッパーのチタン被覆管板に融接してよいチタンまたは別の金属または合金から製造された少なくとも1つの管状取り付け領域とを有する交換ストリッパー管を提供することを含む。耐食性領域及び取り付け領域を直接的にまたは間接的に固相接合技術によって接合して、流体伝導交換部品を形成する。
【0057】
図1は、本開示に従って構成したストリッパー管10の1非限定具体例の切断して区画にした図である。管10は、例えば、ストリッパーユニットの元の部品として提供されてよく、または、上記に検討したように、既存のストリッパーユニットを改造するために交換ストリッパー管として使用されてよい。ストリッパー管10は、連続壁13によって規定される円筒形通路12を含む。管10の連続壁13の中央部分は耐食性ジルコニウム管14である。ある長さのチタン管類16を、ジルコニウム管14の各末端表面でフライホイール式摩擦圧接する。異種ジルコニウム−チタン融接を生じること無く、チタン管末端16をストリッパーユニット中の既存のチタン被覆管板に融接できる。
図2は、管板20中の管穴を通してストリッパー管10を固定するための管−管板溶接のための1つの可能な配置を示す。
図2に示す形状を取り付けることは、ストリッパーを最初に製造した時に使用してよく、または、使用中である既存のストリッパー中のストリッパー管を交換する時に使用してよいことは理解されよう。領域17でジルコニウム管領域14にフライホイール式摩擦圧接したチタン管末端16を含む管10を、管板20のチタンクラッダーシート(titanium cladder sheet)24中のボアを通して配置する。領域26は、管板20の炭素鋼またはステンレス鋼領域である。チタン管末端16及びチタンクラッダーシート24の接合でのチタン耐力溶接部28によって、管10を管板20に固定する。従って、融接領域は完全にチタンでできており、チタン及びジルコニウムを組み合わせる合金は融接領域において生じない。
【0058】
下記に検討するように、異種金属(dissimilar metal)を融接した時に溶接領域において形成された合金、例えばジルコニウム及びチタンを融接した時に形成されたジルコニウム
−チタン合金は、腐食性物質及び/または条件にさらされた時に腐食する性質を有すると考えられている。固相接合は、しかしながら、いかなる有意な量でも合金を生じない。従って、装置の取り付け部品と同一のまたはさもなければ取り付け部品に融接した時に腐食しやすい合金を生成しない材料を含む領域に固相接合した高度耐食性領域を有する流体伝導部品を提供することによって、本方法は、腐食を助長する条件を生じることなく、耐食性部品を用いて装置を製造するかまたは改造することを可能にする。
【0059】
本明細書において使用する固相接合は、ろうを加えること無く、本質的に接合される基材の融点未満の温度で融合を生じる溶接プロセスの群を指す。圧力は、様々な固相接合プロセスの最中に使用してもしなくてもよい。本明細書において開示する方法の具体例において使用してよい固相接合技術の非限定例は、例えば、冷間圧接、拡散溶接、爆発溶接、鍛接、摩擦圧接(フライホイール式摩擦圧接を含む)、熱間圧接、ロール圧接、及び超音波溶接を含む。こうした技術は他の用途において長年使用されてきており、当業者には周知である。従って、当業者が本方法を実施することを可能にするためにこのような接合技術の長い検討を本明細書において提出する必要は無い。
【0060】
固相接合は融接と基本的に異なり、ここでは、接合するべき材料は接合プロセスの最中に溶解する。融接した材料が同一でない場合、融接領域は、必然的に、接合した材料の合金を含む。ジルコニウムを直接的にチタンに融接することは、例えば、溶接領域の近くで腐食/浸食速度を上昇させる合金を生成すると思われる。ジルコニウム及びチタンの融接はまた、得られた溶接部における固溶硬化を生じ、これは次に、溶接延性を低減し、溶接硬さをかなり増大させる。ジルコニウム−チタン溶接継手にわたって得られた合金混合物は、ある範囲のジルコニウム−チタン合金混合物(100%チタン〜100%ジルコニウムの、及び中間的な全ての組合せ)を含む。異種ジルコニウム−チタン溶接部において見い出される合金組成物は、溶接プロセスの最中に正確に制御することが不可能な異なる機械的性質及び腐食性質を有しよう。機械的には、ジルコニウム及びチタンの合金は非常に高強度であり、非常に高い硬さを有することができ、純金属単独のどちらかの最高2倍まで硬くなることができる。融接によって影響されることがある他の機械的性質は、切欠き感度及び成形性である。従って、ジルコニウム/チタン融接の特定の領域は、装置内部にかなりの圧力が生じた場合、許容可能ではない機械的性質を示すことがある。特定の合金組成物(溶接混合物の領域)は、非常に高い酸化及び腐食速度を経験しよう。
【0061】
一般に、異種金属に溶接した金属の得られた耐食性は、どちらかの純金属単独のものよりもはるかに低い耐食性を有しようし、ジルコニウム及びチタンの融接においてはこれは事実である。たとえ純ジルコニウムまたはチタン溶加材を使用しても、溶接部において、どちらかの純金属単独と比較して低い耐食性を有するジルコニウム−チタン合金が存在する区域が存在しよう。ヒューイ腐食試験は、材料が硝酸及び/または尿素と接触する用途において使用する材料のための標準的な腐食スクリーニング試験である。ヒューイ腐食試験において、例えば、ジルコニウム−チタン融接部は腐食の高い速度を示すであろうが、チタン−チタンまたはジルコニウム−ジルコニウム溶接部は非常に低い腐食速度を示すであろうということが決定された。
【0062】
従って、ジルコニウム及びチタン流体伝導領域を一緒に固相接合し、チタン管領域のうちの1つ以上を管板のチタンクラッディングに融接することによって、本明細書において説明する前述の非限定具体例は、異種材料(dissimilar material)の融接を避ける。これ
は、その結果として、尿素合成装置のストリッパー内部で尿素プロセス媒質及び他の腐食助長条件にさらされた時に比較的に高い腐食/浸食速度を有する溶接領域内部の合金を生成することを避ける。新たに製造されたかまたは改造されたストリッパーの運用寿命のかなりの向上が生じるはずである。
【0063】
管状及び円筒形部材を融合するための再現性及び即座の適合を考えると、フライホイール式摩擦圧接を、本明細書において説明する新規な部品の具体例を形成するために容易に適用できる。当分野において周知のように、フライホイール式摩擦圧接は、接合するべき材料を、材料を溶解することなく一緒に鍛造するタイプの摩擦圧接である固相接合技術である。フライホイール式摩擦圧接においては、溶接部を作製するために必要なエネルギーは主に、溶接機の貯蔵された回転運動エネルギーによって供給される。2つの工作物のうちの1つを、特定の質量のフライホイールに取り付けた回転可能なスピンドル表面に保持する。他の工作物をチャッキング装置中に保持し、回転を阻む。フライホイールを予め定められた回転速度に加速し、次に切り離し、その結果、回転構成要素は、特定の運動エネルギーを有して自由に回転できる。フライホイール駆動モータを停止した時に、工作物は、幾つかの技術においては溶接サイクルの最中に増大することがある軸方向に加えられる圧力(axially applied pressure)を用いて一緒に押し付けられる。回転するフライホイール中に貯蔵された運動エネルギーは、溶接界面での工作物同士の間の摩擦による熱として消散し、この大きな局在化エネルギーが工作物同士を結合する。回転する質量中のエネルギーの全てが溶接部において消散するまで軸圧力を維持し、それによって回転を止める。溶接サイクルの最中、界面にある材料は、消散した摩擦熱の結果として可塑性になり、溶接部から鍛造される。残りの可塑化した材料を一緒に熱間加工して、溶接を成し遂げる。力を加え、可塑化した材料が接触区域から押し出される時に工作物の長さに生じた損失を“アプセット”と呼ぶ。ある長さの管類を形成するために管状要素をフライホイール式摩擦圧接する際に、得られた管の内径及び外径の両方は、アプセットから生じるばりを有しよう。ばりを、仕上げ作業技術を使用して除去してよい。フライホイール式摩擦圧接によって接合した材料はプロセスの最中に溶解しないので、かなりの合金化は生じず、それによって、合金形成が溶接帯域における機械的及び腐食性質に及ぼす悪影響を避ける。
【0064】
フライホイール式摩擦圧接を、通常共存できるとみなされない金属の組合せ、例えば、アルミニウム−鋼、銅−アルミニウム、チタン−銅、及びニッケル合金−鋼を接合するために使用してよい。一般に、鍛造可能な任意の金属材料を、例えばフライホイール式摩擦圧接によって摩擦圧接でき、これは、マルエージング鋼、工具鋼、合金鋼及びタンタルを含む。フライホイール式摩擦圧接プロセスは一般に融接よりもはるかに速く、プロセスは主に装置によって制御され、それによってヒューマンエラーを無くし、その結果、得られた溶接部は操作員の熟練に無関係である。また、かなりの溶接継手の調節の必要がなく、溶接ワイヤも溶接材料も必要としない。
【0065】
爆発溶接は、異種材料を接合するための周知の固相接合技術であり、技術は一般に文献を通じて説明されている。このような説明の例は、"Explosion Welding", Volume 6, ASM Handbook, Welding. Brazing and Soldering (ASM Intern. 1993), pages 705-718; and A. Nobili, et al., "Recent Developments in Characterizations of Titanium-Steel Explosion Bond Interface", 1999 Reactive Metals in Corrosive Applications Conference Proceedings, September 12-16, 1999 (Sunriver, Oregon) pages 89-98を含む。爆発溶接においては、起爆用爆薬の制御されたエネルギーを使用して、2つ以上の同様のまたは異種の金属材料の間に冶金学的結合を生じる。材料の高速度衝突の最中、適切な条件下でジェットが材料の間に形成され、汚染物表面膜を掃くように除去する。材料は、ジェット作用によって表面膜を掃除され、衝突箇所の近くで得られる超高圧の影響下で内部箇所で接合する。
【0066】
本明細書において使用する“冶金学的結合”は、圧力及び/または温度の適用によって実現する、合わされた金属表面の間の結合を指す。材料の拡散は爆発溶接の最中に生じず、従って問題のある合金は生じない。この技術は、汚染物表面膜は、材料の高圧衝突の結果として基材からジェットによって塑性的に除去される冷間圧接プロセスである。
【0067】
尿素合成ストリッパー管を製造するための前述の具体例においては、例えば、爆発圧着した溶接継手は、交換ストリッパー管のチタンとジルコニウムセグメントとの間に形成される可能性がある。このようなプロセスの1具体例においては、例えば、ジルコニウム及びチタンは一緒に爆発結合すると思われ、小さな管はプレートから機械加工されると思われる。管は、ジルコニウム側及びチタン側で構成されると思われる。ジルコニウムは次にジルコニウム管部分に融接されると思われ、チタンはチタン管部分に融接されると思われる。爆発圧着した管中間継手は現在製造されているが、本願発明者は、ジルコニウム−チタン金属の組合せを有するこのような管を認識していない。
【0068】
前述の特定の具体例は、ストリッパー管はジルコニウム領域及び1つ以上のチタン領域を含む尿素合成ユニット内部のストリッパー管の使用に関するが、本明細書において説明する部品及び方法はそのように限定されないことは理解されよう。例えば、本開示に従う方法を、他のタイプの化学処理装置、並びに他のタイプの装置のための元のまたは交換流体伝導部品を提供するために適合させてよく、ここで、部品は、直接的にまたは間接的に第2の領域に固相接合技術によって接合した耐食材料を含む第1の領域を含み、その結果、得られた溶接領域は、第1及び第2の材料と比較してかなり低減した機械的及び/または腐食性質という難点がない。第2の領域内部の材料を、共存できる材料から製造された化学処理または他の装置の領域に融接することによって固定できるように選択してよい。“共存できる”とは、融接プロセスは、かなり劣化した機械的及び腐食性質を有する溶接領域における合金を生成しないということを意味する。1例は、熱交換器のための元のまたは交換管であり、ここで、管は、今説明したように耐食性領域及び第2の領域で製造される。
【0069】
さらに、上記の非限定の特定の具体例は、ジルコニウム及びチタンを含む別個の領域を有する固相接合した流体伝導部品を含むが、本方法をまた、耐食性領域が1つ以上のジルコニウム合金または他の耐食材料を含む及び/または第2の領域がチタン合金または他の材料を含む場合に適用してよい。可能なジルコニウム合金の非限定例は、例えば、Zr700(UNS R60700)、Zr702(UNS R60702)、Zr705(UNS
R60705)、及びジルカロイズ(例えば、Zr−4、Zr−2、及びZr2.5N
bを含む)を含む。非限定例として、本開示に従って構成された部品を装置において使用してよく、ここで、流体伝導部品が融合される既存の構造はチタン合金またはステンレス鋼であり、この場合、部品の対応する領域はそれぞれ同様のまたは実質的に同様のチタン合金またはステンレス鋼から製造されてよいと予測されている。このような部品を構成する際に、チタン合金またはステンレス鋼を含む領域を直接的にまたは間接的にジルコニウム、ジルコニウム合金、及び/または別の金属または合金の別の領域に固相接合して、所望の機械的、腐食及び/または他の性質を提供する。
【0070】
本開示の方法の上記の具体例の別の可能な修正は、流体通路を取り囲む耐食性内部層及び別の材料の外部層を含む多層流体伝導末端または領域を提供することである。本明細書において使用する“多層”は、参照した構造において冶金学的に結合した異なる材料の2つ以上の層の存在を指す。内部層の耐食材料は、例えば、ジルコニウム、ジルコニウム合金、または別の耐食性金属または合金としてよい。多層末端または領域を、任意の適切な方法によって、例えば、押出し結合としても周知であり、当業者は容易に熟知できる管類を形成する方法であり、また本明細書においてさらに検討する共押出しによって形成してよい。多層流体伝導末端または領域を、例えばフライホイール式摩擦圧接によって、ジルコニウムまたは別の耐食材料から形成された耐食性流体伝導領域に固相接合してよい。このようにして、流体伝導部品の全内部長さに沿って、高度耐食性金属または合金が提供される。多層末端または領域の外部層がチタンで形成される場合、例えば、これを、溶接部の近くの材料の機械的及び腐食性質をかなり損なうことなくストリッパーユニット管板のチタンクラッディングに融接してよい。
【0071】
多層管類の設計は、燃料ペレットを含むための原子力用クラッディング用に周知である。特許文献は、この特定の用途のためのジルコニウムに基づく合金の層を冶金学的に結合する周知の方法を含む。例えば、原子力用クラッディング管のための薄い純ジルコニウム内部ライナーは、米国特許第4,200,492号において説明されている。ジルコニウムライナー
は、応力腐食割れからの亀裂発生及び伝搬を阻害する。合金化ジルコニウムのはるかに厚い外部層は、クラッディングの基材を構成し、適切な耐食性及び機械的性質を提供する。追加の特許、例えば、米国特許第5,383,228号、同第5,524,032号及び同第5,517,540号は
、多層核燃料ペレットクラッディングのための化学、層の積み重ね、及び処理の選択肢の変形例を説明している。1配置においては、薄い外部ライナーが、クラッディングの水際耐食性(water-side corrosion resistance)を改良するために燃料ペレットクラッディ
ングのために利用されてきた。本願発明者らは、多層核燃料クラッディングの特定の態様を、多層流体伝導部品配置を含む本開示の流体伝導部品の具体例に適合させることを考えた。本流体伝導部品の特定の具体例とは異なり、しかしながら、前述の特許は、核燃料クラッディングと、同様のジルコニウムに基づく合金の層を結合することとに関し、例えば、異種反応性金属、例えばチタン及びジルコニウムを冶金学的に結合することは教示も示唆もしていない。
【0072】
本明細書において言及するように、異種反応性金属の例えばチタン及びジルコニウム合金は、例えば、熱膨張特性の差、結晶格子のサイズの差、及び材料を結合する時の溶接健全性(weld integrity)における欠陥が理由となって、接合するのが困難である。爆発溶接は、異種合金を冶金学的に結合するために使用されてきたが、この技術は周知の欠点という難点がある。例えば、結合した層の局在化変形または薄くなることは、爆発力の変化が理由となって生じ得る。従って、結合後機械加工が使用されてきたが、これは、機械加工の最中に内部ライナー厚さを正確に制御するのが困難となり得る。また、爆発溶接の最中に生じた圧力は、金属を粘性流体のようにふるまわせ、結合した材料の間の波状の境界線を生じ得る。境界線の波状の性質は、正確なライナー厚さを維持するのを困難かまたは不可能にし、というのは境界線の範囲はかなり変化し得るからである。特定の周知の爆発結合した設計においては、例えば、結合した材料の間の波状の境界線は、0.5mm〜1mm(0.0197インチ〜0.0394インチ)ピークツーピークで変化する。結合するべき部品の幾何学的形状もまた、爆発溶接を使用する時の制限的な束縛である。特定の爆発溶接技術においては、外部構成要素は爆薬によって取り囲まれて、ある箇所を越えて内部へ崩壊するのを防ぐためのロッドを用いて支持されている異種材料の内部ライナーの上に爆縮する。このような技術においては、外部構成要素の壁の厚さ及び強度は限定要因である。他の技術においては、爆薬をライナー構成要素の内径内部に置き、爆発力は内部ライナーを外部構成要素の内部表面の上に拡張する。このような場合には、内径は、十分な爆薬を含むのに十分大きくなければならず、これは、例えば高圧熱交換器において使用されている小さな内径の厚壁管及び他の流体伝導部品を製造する際にこの技術を使用することを妨げるかもしれない。
【0073】
幾つかの他の方法は、異種金属及び合金を冶金学的に結合するために周知である。例えば、米国特許第4,518,111号は、ジルコニウム及び鋼構成要素を結合するための2工程プロ
セスを提供している。最初の工程においては、爆発溶接を使用して、2つの構成要素を冶金学的に結合してビレットにする。第2の工程においては、鋼の第3の層を、ビレットを共押出しすることによって冶金学的に結合し、従って3つの結合した層を提供する。もちろん、爆発溶接の使用は、上記に検討した制限を有し、層を結合する2工程プロセスの使用は、最終生成物のコストを増大させる。米国特許第5,259,547号はまた、爆発溶接の工
程、続いてプロファイルドマンドレルの上に、結合したビレットを拡張させて、層をしっかりと冶金学的に結合することを含む2工程プロセスを説明している。本発明の範囲内の多層流体伝導部品は、多工程製造方法を使用して製造してよいが、1工程結合方法の例え
ば本明細書において詳細に説明するものに関連してかなりのコストの利点があるかもしれない。
【0074】
異種金属または合金を冶金学的に結合するための別の周知のアプローチは、押出しによる固相結合の前に円筒形構成要素を前結合するための熱間静水圧成形(HIP)の使用である。米国特許第6,691,397号は、15,000psigを超える圧力及び2000°Fを超える温度を用いる少なくとも2時間〜最高24時間までのHIPingを利用している。HIPingは異種金属の間に冶金学的結合を生じ、管への熱間押出しの最中に異なる流れ応力の材料が健全性を維持することを可能にする。もちろん、上記に検討したように、2工程結合プロセスは、単一工程プロセスと比較してコストを付け加えるかもしれない。また、HIPingによって材料の間に冶金学的結合を最初に形成することは、圧力下及び温度でかなりの時間を必要とする。異種材料はその界面で脆い拡散層を形成し得、または長時間加熱する最中に過度の結晶粒成長を経験し得る。押出管をそれに続いて冷間加工する予定である場合、どちらの特性も望ましくない。
【0075】
異種金属または合金の間に冶金学的結合を形成するためのさらに別のアプローチは、米国特許第5,558,150号において説明されており、ここで、外部合金層を内部層の上に遠心鋳
造する。複合鋳物の層を、冷却直後に冶金学的に結合する。この特許のプロセスは、鋼及び反応性金属を結合するために設計されており、鋳造を真空中で行って、酸素及び窒素汚染を雰囲気から排除することを必要とする。加えて、鋳造素材の結晶粒構造は微細化されておらず、それに続く冷間加工を妨げる。
【0076】
円筒形ジルコニウム/チタン多層流体伝導部品または部品部分が本開示において有用となる方法の1非限定具体例は、下記にさらに説明するように、一般に
図3に示す工程を含む。
【0077】
図3の方法の第1の工程においては、一緒に結合するべきの個々の中空円筒形チタン及びジルコニウム構成要素が適切な形態で提供され、円筒形ジルコニウムライナー構成要素は、円筒形チタンベース構成要素の内径内部にはまるようなサイズである。例として、ベース部品はチタン等級3(ASTM呼称)としてよく、ジルコニウムライナー部品はジルカダイン702
TM(Zircadyne 702
TM)(Zr702)合金としてよい。一緒に結合す
るべき部品の表面を適切に調節して、構成要素の間の満足な冶金学的結合をより良好に確保する。一緒に結合するべき表面を機械加工し、表面コンディショニングし、清浄化することは有利である。例えば、本願発明者らは、冶金学的に結合する前にチタン及びジルコニウムを調節する場合、各々が約63マイクロ−インチ(0.0016mm)RA以下の表面粗さを有するように、結合するべき表面を調節することは有利であることを決定した。このような表面仕上げを有する表面を提供することは、表面粗さプロファイルのピーク及び谷における十分な清浄化をより良好に確保すると考えられている。また、深い溝及びスクラッチの欠如は、例えば、デラミネーション無しに表面の間の連続的な冶金学的結合を維持するのを助けると考えられている。
【0078】
また、結合するべき表面から異質の汚染物、例えば、汚れ及び油を掃除し、その結果、高品質冶金学的結合を生じることは有利である。反応性金属の表面を清浄化するために使用してよい1方法の例は、アイスブラスティングであり、米国特許第5,483,563号において
説明されている。アイスブラスティング技術は、清浄化するべき金属または合金表面に対して結晶性の水を推進し、機械的スクラビング及び液体フラッシングの両方をもたらすことを含む。アイスブラスティングは、従来の表面清浄化方法と比較して、表面同士の間の冶金学的結合の改良された健全性をもたらすことができ、というのは、アイスブラスティングは、清浄化された表面に洗浄剤残留分を堆積させないからである。このような残留分の例は、フッ化水素酸−硝酸を用いてエッチングした表面に残されることがある残留フッ
化物である。他の表面清浄化技術の非限定例は、機械的コンディショニング、酸エッチング、及び溶媒またはアルカリ洗浄剤の使用を含む。他の適切な表面清浄化技術は、当業者には周知であろう。
【0079】
図3における方法の第2の工程においては、構成要素を組立て、それによってジルコニウムライナー構成要素をチタンベース構成要素内部に適切に設置し、構成要素の間の末端継手を溶接し、その結果、押出しに適した多層ビレットを提供する。多層ビレット110の略端面図を
図4に示し、ここで、114は円筒形チタン外部基材であり、116は円筒形ジルコニウム内部ライナーであり、118は基材とライナーとの間の溶接された末端継手である。溶接は、例えば、自己発生融接(autogenous fusion weld)としてよく、この場合、溶接部はチタン−ジルコニウム混合物を含む。先に説明したように、異種反応性金属の融接は、典型的に個々の金属と比較してより低い強度及び延性を有する溶接帯域における合金を生成する。ビレットの末端継手を接合する溶接部の健全性は、しかしながら、次の工程におけるビレットの押出しの前のビレットの予熱の最中に、雰囲気が構成要素の界面を汚染するのを防ぐために重要である。加えて、溶接部は、押出しの最中に非常に大きな応力にさらされる。押出しの最中の溶接部破損は、押出しの最中のベース及びライナー構成要素の雰囲気汚染または不均一な減少をもたらし得る。
【0080】
図3の方法の1具体例においては、他の技術、電子ビーム溶接、を使用して、ベースとライナー構成要素との間の末端継手を溶接してビレットを提供する。電子ビーム溶接は、許容可能な溶接部浸透及び溶接幅を提供し、界面の間の雰囲気汚染からの十分な保護を提供することが見い出された。好ましくは、溶接部は、末端継手に、5〜50mm(0.197〜1.97インチ)(溶接された表面の平面において測定した)並びにベース及びライナー構成要素の向かい合う表面を雰囲気からシールするのに十分な幅浸透する。アセチレン溶接または充填材溶接(filler weld)を提供する適切な他の技術は、反応性金属を溶接
する当業者には周知であろう。
【0081】
図3に示す方法の第3の工程において、前の工程において形成されたビレットを加熱し、押出して、実質的に均一なライナー厚さを有する異種金属の冶金学的に結合した継目無管を形成する。方法の1具体例においては、チタン/ジルコニウムビレットを550℃〜900℃(1022°F〜1652°F)の範囲内の温度に誘導加熱する。他に、例えば、押出しの前にガスまたは電気炉を使用してビレットを加熱してよいが、このような加熱技術は、誘導加熱と比較してかなりより長い時間を要し、ビレット表面により多い表面汚染を生じる。
【0082】
加熱したビレットを、ビレットから同心管を製造するための適切な工具類を有する押出しプレス中に装填する。方法の1具体例においては、押出しラムは、押出しサイクルの最中、実質的に一定の50〜900mm/分(1.969〜35.4インチ/分)で前進して、押出管のライナー厚さにおける許容不可能な変動を避ける。押出しから生じる冶金学的結合の品質に影響を与える要因は、温度、ある温度での時間、圧力、及び表面清浄度を含む。本非限定具体例においては、例えば、押出し比は、ベース及びライナー構成要素を冶金学的に結合するために十分な圧力をより良好に確保するために、3:1〜30:1の範囲にわたってよい。
【0083】
ビレットを誘導加熱し、次にビレットを押出して層を冶金学的に結合するかなりの利点は、ビレットを押出し温度に加熱し、これで保持する時間を非常に制限できるという点である。押出し温度での時間が短い場合、冶金学的結合が押出しの最中に形成される時にチタンとジルコニウム層との間にほとんどまたは全く相互拡散が生じない。相互拡散、または単に“拡散”、層は典型的に、冶金学的に結合された異種金属の層の間に存在する。拡散層は、個々の合金よりも硬質であるかまたはより脆い金属間化合物または組成勾配を含む
ことがある。ビレットを誘導加熱し、次にビレットを押出して層を冶金学的に結合する時にかなりの相互拡散の欠如があるので、ジルコニウム及びチタン層と比較して脆く、高強度を有する材料は有意な量形成されない。これは、最終流体伝導部品を製造することが必要ならば、押出多層部品が、例えば、冷間引抜きまたは冷間管減少によって容易に冷間加工されることを可能にする。従って、本明細書において説明する方法の特定の具体例の1つの重要な態様は、層の間の任意の実質的な相互拡散層の形成無しに、異種の冶金学的に結合した層を含む部品を製造することである。得られた冶金学的に結合した多層構造を例えば冷間引抜きまたは冷間管減少によって容易に冷間加工することができる場合、実質的な相互拡散層は、押出し、焼なまし、または他の結合プロセスからの熱暴露の最中に形成されていないと決定することができる。
【0084】
図3に示す方法の任意の第4の工程においては、冷間加工の適用の前に、押出多層管類を熱処理して、材料内部の応力を除去及び/または材料を再結晶する。好ましくは、熱処理技術は、反応性の冶金学的に結合した層の間の相互拡散層の発達を最小にする。相互拡散層の発達をより良好に阻害するために、熱処理を、好ましくは、最小の必要な温度及び時間を使用して、多層管類の構成材料における所望の応力除去及び/または再結晶を実現するように適応させる。例として、本具体例によって製造されたチタン/ジルコニウム多層管類を500℃〜750℃(932℃〜1382℃)の範囲内の温度で1〜12時間焼なましして、相互拡散層の発達を制限してよい。熱処理技術における当業者であれば、本開示に従って製造される特定の多層流体伝導部品のための適切な熱処理計画を容易に作ることができる。
【0085】
図3の方法の第5の工程においては、多層管類を冷間加工する。反応性金属を冷間加工することは、有益な特性の例えば改良された結晶粒構造、機械的性質、寸法、及び表面仕上げを提供することができる。上記に言及したように、脆い相互拡散層が生じることを制限する、管類を製造する方法は好ましい。本開示に従って製造される多層管類のために有用な可能な冷間加工技術は、例えば、冷間引抜き、冷間管減少、並びに内部及び外部ロールを用いる管ローリングを含み、例えば流動成形による。本開示に従って製造される多層流体伝導部材を適切に冷間加工する他の技術は、本開示を検討すれば当業者には明白であろう。
【0086】
冷間管減少(また“ピルガリング(pilgering)”として周知である)は、本開示の方法
の本具体例に関連して特に有利な冷間加工技術であることが見い出された。冷間管減少は、管の上を縦方向に圧延し、同時に、材料をテーパ付きマンドレルの上にプレスする、溝付きでテーパ付きのダイを用いる。溝の断面積を徐々に減少することは、管壁を対応するテーパ付きマンドレルの上に圧縮する。管を長手方向にダイ中に供給し、長手方向の軸の周りを回転させ、その結果、円周全体は寸法が均一に減少する。反応性金属の管状部材を冷間管減少する際に実現する典型的な減少は、20%〜90%の範囲内である。
【0087】
図3に示し、上記に説明した方法の具体例は、チタンベース構成要素及びジルコニウムライナーを利用するが、他の材料をベース及びライナー構成要素のために使用してよいことは理解されよう。例えば、また、いかなる点でも本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、チタン外部ベース及びニオブ内部ライナー;またはタンタル外部ライナー及びチタン内部ベースを用いてよい。他の材料の組合せは管類を適合させる用途に基づいて選択してよく、このような組合せは、本開示を検討すれば当業者には明白であろう。
【0088】
本開示に従って製造される多層流体伝導部品または部品部分は、
図3に略述する方法を使用して製造する必要は無いことは理解されよう。例えば、他の方法が本明細書において開示されている。また、当業者であれば、本開示を読めば、このような多層部品または部品部分を提供する他の方法を容易に設計することができる。
【0089】
さらに、本説明は、多層部品及び部品部分を参照するが、2つを超える層をこのような部品または部品部分中に提供してよい。例えば、部品は希望に応じて3つ以上の層を含んでよく、二重層部品に関して一般に上記に説明したようにビレットに組立て、処理して流体伝導部品にしてよい。従って、本発明の範囲は、部品を通る流体伝導通路を取り囲む耐食性内部層またはライナー、外部層、及び内部と外部層との間の1つ以上の中間層を含む3つ以上の層を含む流体伝導部品を含むことは理解されよう。このような場合には、内部及び外部層は本明細書において“間接的に”結合されると呼ばれ、内部及び外部層が互いに直接的に結合する場合とは対照的である。各場合において、しかしながら、多層構造におけるすぐ接する層を一緒に冶金学的に結合する。言及したように、このような多層流体伝導部品及び部品部分は、当業者の知識と一緒に本明細書における教示を使用して製造できる。
【0090】
多層管末端に固相接合された単層管区画を有する元のまたは交換ジルコニウム/チタンストリッパー管を管板に固定するための1配置を
図5に断面で示す。
図5に示す二層管末端を例えば共押出しによって製造して、チタンの外部管及び耐食性ジルコニウム内部ライナーを提供してよい。
図5に関して、ストリッパー管210は、管状壁213によって規定される中央円筒形通路212を含む。管状ジルコニウム領域214を、溶接領域217で二層管状末端領域216に固相接合する。二層末端領域216は、管状ジルコニウム内部ライナー219bに冶金学的に結合した管状チタン外部領域219aを含む。管板220は、炭素またはステンレス鋼領域226に結合したチタンクラッダーシート224を含む。チタン耐力溶接部228は、チタン外部領域219aをチタンクラッダーシート224に融接することによって形成される。同様の材料が融接されてストリッパー管210を管板220に固定するので、低減した耐食性を有する問題のある合金は生成せず、溶接帯域の近くの材料の機械的性質はかなり損なわれることはないとは理解されよう。
【0091】
上記に説明したものに対する修正において、管は、ジルコニウム、ジルコニウム合金、または別の耐食材料の耐食性管状領域、及びステンレス鋼を含む管状領域を含んでよく、2つの領域は直接的にまたは間接的にフライホイール式摩擦圧接または別の固相接合技術によって接合されて、単一の管を形成する。このようにして製造されたストリッパー管を、ステンレス鋼管板を含む新たに製造されたストリッパーにおいて元の装置として使用してよく、または、ステンレス鋼管板を含むストリッパーを改造するための交換管として使用してよい。ストリッパー管のステンレス鋼を、管が融合される管板ステンレス鋼と実質的に同一となるように選択する。耐力溶接部は管ステンレス鋼及び管板ステンレス鋼の接合で形成されて、管をストリッパーユニットに固定する。もちろん、ストリッパー管に関して本明細書において説明する可能な材料の組合せ及び設計のいずれでもまた、特定のストリッパー設計における元のまたは交換ストリッパー管として有用であろう。
【0092】
本明細書において説明する部品及び方法に対するさらに別の可能な修正は、固相接合によって接合される部品の1つ以上の材料中間領域を含むことである。このような中間材料を用いて接合された領域を、本明細書において固相接合によって“間接的に”接合されたと呼んでいる。ジルコニウムまたはジルコニウム合金の第1の領域をチタンまたはチタン合金の第2の領域に固相接合する場合には、例えば、第1と第2の領域との間に配置される可能な材料は、例えば、低酸素チタン、バナジウム、タンタル、ハフニウム、ニオブ、及びこうした材料の合金のうちの1つ以上を含む。こうした中間材料は、融接を使用した場合に問題があると思われるが、フライホイール式摩擦圧接によって他の材料に適切に接合してよい。
【0093】
以下の実施例は、本明細書において説明する部品及び方法の具体例の特性をさらに示す。
【実施例】
【0094】
実施例1−固相接合継手及び融接継手の比較研究
本明細書において開示する方法に関連して、ジルコニウム−チタン融接継手の機械的及び腐食特性を、固相接合によって作製された溶接継手と比較して評価した。ジルコニウム及びチタンを、例えばティグ溶接、金属ガスアーク溶接、プラズマ溶接、及び抵抗溶接のような技術を使用して融接して、高強度溶接継手を作製できることは周知である。上記に言及したように、しかしながら、融合によって異種材料を接合することによって作製された溶接部は腐食によって影響され得、溶接帯域の硬さ及び強度をかなり増大させ得る固溶硬化にさらされる。ジルコニウム−チタンの自己発生(すなわち、溶加材の使用無しで)融接においては、溶接帯域において生成したジルコニウム−チタン合金は100%ジルコニウムから100%チタンまで変化しよう。この合金化の影響は、ジルコニウムまたはチタン溶加材の使用によって幾分減少し得る。溶加材の使用の場合でさえも、溶接部の領域は様々なジルコニウム−チタン合金組成物で構成されようし、このような合金領域はかなり損なわれた耐食性及び機械的性質を有するかもしれない。管状区画の固相接合を、溶接の最中の接合した材料の溶解及び溶接帯域における問題のある合金の生成を避けるための手段として調べた。
【0095】
実験手順
幾つかの溶接試料を、ジルコニウム管区画をチタン管区画にフライホイール式摩擦圧接して単一の管を生じることによって作製した。
図6は、切断して区画にしていないフライホイール式摩擦圧接試料及び切断して区画にしたフライホイール式摩擦圧接試料の両方を表し、ここで、ジルコニウム管区画(より暗色の材料)はチタン管区画にフライホイール式摩擦圧接されており、内径及び外径表面にばりを生じる。ばりは、溶接サイクルの最中に生じるアプセットによって溶接区域から押された。溶接プロセスは最終溶接継手において熱応力を生じることがあるので、フライホイール式摩擦圧接した試料の幾つかを目標550℃(1022°F)で約1/2時間応力除去して、溶接応力を除去した。応力除去熱処
理を使用した溶接した試料において、試料を熱処理の前及び後の両方で評価した。
図7は、ばりを除去された2つの十分に機械加工されたフライホイール式摩擦圧接試料を示す。
【0096】
比較のために、チタンプレート区画に融接したジルコニウムプレート区画の幾つかの試料を作製し、評価した。自己発生融接した試料及び溶加材を使用して融接した試料の両方を作製した。機械的試験、硬さ試験、金属組織学、走査型電子顕微鏡法、及び腐食試験を使用して、溶接試料を評価し、比較した。
【0097】
機械的及び硬さ試験の結果
下位サイズ試料を、室温で、標準的な引張試験を使用して試験して、溶接継手の機械的強度を決定した。引張標本を、引張ゲージ標本の中央における溶接帯域の中央を用いて機械加工した。標本を、ASTM E−8に従って試験した。表1は、幾つかの異なる試料溶
接部に関する引張試験の結果を提供する。結果は、フライホイール式摩擦圧接試料は、融接試料よりも高い極限強さ及びわずかに低い降伏強さを有したことを示す。上記に説明したひずみ取り焼なましをフライホイール式摩擦圧接試料に適用することは、試料の機械的強度をわずかに低下させたのみだった。実際の引張試験手順を観察した際に、溶接した試料の全て(フライホイール式摩擦圧接した及び融接したの両方)はチタン母材において破損し、溶接区域においてはそうではないことが分かった。
【0098】
【表1】
【0099】
表1はまた、チタン等級2、チタン等級3、及びZr702のためのASTM要件を列記する。試験した試料溶接部において、フライホイール式摩擦圧接した管(応力除去した状態)の各々の機械的性質は、Zr702等級のための要件に適合した。
【0100】
溶接した試料の硬さを、ジルコニウム母材から始め、溶接部にわたって、チタン母材まで評価した。硬さ試験を行って、ジルコニウム−チタン融接部及びフライホイール式摩擦圧接部における固溶硬化の程度を決定した。表2は、硬さ試験の結果を提供する。合金化溶接金属はフライホイール式摩擦圧接の最中に生じないことを考えて、“N/A”をこのような試料の場合の溶接金属の硬さとして列記する。結果は、融接試料において溶接金属の硬さはどちらか一方の母材の2倍を超えたことを示す。これは融接部の非常に不満足な曲げ延性の一因となると思われ、溶接部の早期破損をもたらす可能性がある。それに反して、試験したフライホイール式摩擦圧接試料の熱影響部の硬さは、すぐ接する母材と比較してわずかに高くなったのみだった。この対比は、融接帯域における合金の固有の生成から生じる機械的不利益を証明する。
【0101】
【表2】
【0102】
試料溶接部を、標準的なヒューイ試験環境(118℃(244°F)の沸点で65%硝酸
)においてASTM規格A−262に従って耐食性に関して試験した。ヒューイ試験は、硝酸または尿素環境にさらされるであろう材料の耐食性を評価するために一般に使用される。5回の48時間の試験期間があり、新たな硝酸を各試験期間後に使用した。硝酸を取り替え、というのは、Ti
+4イオンの酸試験溶液への浸出及び溶解は、試験試料におけるチタンの見掛けの腐食速度(apparent corrosion rate)を減少させるであろうからで
ある。さらに、酸溶液の取り替えは、酸を連続的に補給される装置の例えば熱交換器中で生じる動的条件をより良好にシミュレートする。ジルコニウムの腐食の速度は、しかしながら、硝酸溶液中のチタンまたはジルコニウムイオンの存在によって影響されない。
【0103】
溶接試料を、予め定められた時間試験溶液にさらし、次に標準的な腐食速度計算を使用して重量損失に関して評価した。腐食試料を目視で及び金属組織学的に検査して、溶接区域は優先的に攻撃されるかどうか決定した。表3は、腐食試験の結果を提供する。示すように、融接した試料の腐食速度は、自己発生試料及びチタン溶加材を用いて作製された試料の両方の場合に15ミル/年(mpy)(0.39mm/年)を超えた。ジルコニウム溶加材
を用いて作製された融接した試料は、かなりより低い5.7mpy(0.15mm/年)の平
均腐食速度を示したが、溶接界面の検査は、溶接部の止端の近くの区域における優先的攻撃を示した。
【0104】
【表3】
【0105】
一般に、表3における結果は、融接した試料は、融接した試料の比較的に高い腐食速度が理由となって、高温/高圧状態においては、フライホイール式摩擦圧接した試料よりも適切ではないと思われることを示す。アセチレン溶接部を有する融接した腐食試料の目視検査は、チタン母材表面の白色の腐食膜の存在を示し、これは容易に除去された。重い白色の酸化物も溶接部のチタン側表面に認められ、最初は容易に除去されたが、試験期間が増大するにつれてより離れなくなった。全面腐食は、アセチレン溶接区域の領域にわたって見い出され、ここでは、白色の酸化物は見い出されなかった。ジルコニウム溶加材を用いて形成された融接した腐食試料の目視検査は、溶接部は外見上、変色した酸化膜によって影響されていないことを示した。チタン側は濃い灰色であり、溶接部の融合線においては細い白色の線だった。より強度の腐食は、溶接部のジルコニウム側表面の融合線表面に見い出された。チタン溶加材を使用した融接した腐食試料の目視検査は、溶接区域は硬質の白色の層(酸化物)堆積物によって完全に覆われていることを示した。溶接堆積物のチタン側は灰色だったが、ジルコニウム側よりも色が薄かった。チタンは、試験期間の各々にわたって、試料表面の容易に除去される薄灰色/白色の膜を形成した。計算された平均腐食速度は、2つの試験試行の間でかなり異なった。
【0106】
チタン溶加材を使用したジルコニウム−チタン融接試料(またはアセチレン溶接試料)と比較して、ジルコニウム溶加材を使用したジルコニウム−チタン融接試料の場合の腐食試験の結果のかなりの差は、主として、チタン合金の耐性と比較してジルコニウム合金のより高い耐食性が理由となっていると考えられている。また、ジルコニウム溶加材は溶接した区域の大部分を覆った。従って、5.7mpy(0.15mm/年)の腐食速度は少なくと
も部分的には、溶接領域における合金化が起きた溶接部の止端の区域が原因となっていた。
【0107】
実験室においては浸食特性を評価するのが困難である。一般に、しかしながら、チタンは、ジルコニウムよりも浸食耐性がないことが周知である。従って、チタンではなく主にジルコニウムから製造された元のまたは交換流体伝導部品を有する装置を提供することは、
または他の層に加えてジルコニウム内部層を含むことは、本開示の1態様によるように、浸食を妨げるはずである。加えて、上記に説明したように、管末端がジルコニウム管部分に固相接合されジルコニウムの内部ライナーを含む共押出し多層管を提供することは、ストリッパー管の全長を浸食及び腐食の両方から保護すると思われる。
【0108】
金属組織学的及び顕微鏡的検査
金属組織学を使用して、ジルコニウム−チタン溶接界面の特性を検査した。
図8は、フライホイール式摩擦圧接した試料の管壁におけるジルコニウム−チタン溶接界面の断面である。ばり材料は、溶接継手から掃くように除去されることが示されるが、異種金属の間の界面は輝いており、別個である。
図9は、同じ溶接界面の高倍率の図である。溶接継手に隣接する金属の各々の暗色化した帯域は、熱影響部である。暗色化は、結合界面での熱入力によって生じ、合金化にはよらない。高倍率でさえも、ジルコニウムとチタン金属との間の界面は輝いており、別個であり、合金化の証拠を示さない。
【0109】
フライホイール式摩擦圧接部の溶接界面をより良好に特徴付けるために、走査型電子顕微鏡法(SEM)を使用した。SEMを使用して、界面領域において合金化が何らかの規模で生じるかどうかをより良好に調べ、2つの金属が完全に結合しない任意の区域が存在するかどうか評価した。
図10は、先に金属組織学的に検査した界面領域の高倍率SEM像である。合金化した領域は、像において明瞭ではない。同じ試料の界面のエネルギー分散型X線分析は、フライホイール式摩擦圧接界面内部の合金化した領域の欠如を確認した。その代わりに、2つの金属の間の結合領域は、純ジルコニウム及び純チタンの機械的混合物、またはスワールを含んだ。
【0110】
試験からの一般的な観察
従って、上記の試験結果は、ジルコニウム−チタンフライホイール式摩擦圧接した試料は、機械的性質及び耐食性の点で、融接した試料よりもはるかに良好に機能し、フライホイール式摩擦圧接した試料は、溶接帯域内部に合金化した領域が実質的に無いようだったことを示す。融接した試料において見られたような明瞭な腐食性攻撃は、フライホイール式摩擦圧接した試料において認められたなかった。融接した試料は、硝酸及び尿素環境における耐食性を評価するために行った試験において、15mpy(0.38mm/年)を超える
高い腐食速度を有したが、フライホイール式摩擦圧接は、2mpy(0.05mm/年)未満
の腐食速度を示した。
【0111】
実施例2−多層管の製造
異種反応性金属、例えば、チタン及びジルコニウムを冶金学的に結合して、多層管状流体伝導部材を形成するための1具体例は、3つの別個のプロセス経路を含む。第1のプロセス経路は、外部ビレット、またはベース構成要素を製造することに関する。第2のプロセス経路は、内部ライナー構成要素を製造することに関する。第3のプロセス経路においては、ベース構成要素及びライナー構成要素を組み合わせて、組立てられたビレットにし、ビレットを次に押出し、冷間加工し、熱処理して、多層管を提供する。以下の節においては、チタン等級3(UNS R50550)外部ベース及びジルカダイン702
TM(Z
r702)(UNS R60702)内部ライナーを含む多層管類の製造において特に適
用されるように、3つのプロセス経路をより詳細に説明する。Zr702合金は、ATIワー・チャン、オールバニー、オレゴン(ATI Wah Chang, Albany, Oregon)から入手可
能であり、以下の化学(総合金重量の重量%で)を有する:99.2min.ジルコニウム+ハフニウム;4.5max.ハフニウム;0.2max.鉄+クロム;0.005max.水素;0.25max.窒素;0.05max.炭素;及び0.16max.酸素。
【0112】
第1のプロセス経路中に含まれる工程を、
図11の左側に概略で示す。従来の消耗電極真
空アーク溶解技術を使用して、チタン等級3(TiGr3)を鋳造してインゴットにした。インゴットをベータ−相場において加熱し、鍛造して中間直径にし、続いて、その後アルファ及びアルファ+ベータ相場において減少させて、直径約210mm(8.27インチ)を有する円筒形鍛造物を提供した。鍛造物を鋸で切って個々のビレットにした。各ビレットを機械加工して、外径201mm(7.91インチ)及び内径108mm(4.26インチ)のおおよその寸法を有する中空円筒形ビレットを提供した。円筒形TiGr3ビレットとジルコニウム内部ライナーとの間の許容可能な冶金学的結合をより良好に確保するために、TiGr3ビレットの内径を、表面粗さ63マイクロ−インチ(0.0016mm)RA最大に機械加工した。比較的に滑らかな表面仕上げは、表面粗さプロファイルのピーク及び溝における十分な清浄化をより良好に確保する。表面のかなりの溝及びスクラッチの欠如は、デラミネーションという難点がないベースとライナー構成要素との間の連続的な冶金学的結合の形成をより良好に確保する。
【0113】
第2のプロセス経路における工程を、
図11の右側に概略で示す。この経路は、多層管のZr702合金内部ライナーを製造することに関する。Zr702合金を鋳造してインゴットにし、上記のTiGr3合金と同様の仕方で鍛造した。ライナーを、直径115mm(4.53インチ)の円筒形鍛造物から機械加工した。(1非限定の他の配置においては、ライナーを、オーバーサイズ管を押出し、次にその後の機械加工のために個々のライナーを鋸で切ることによって形成してよい。)機械加工したZr702合金ライナーは、外径約108mm(4.26インチ)×内径54mm(2.13インチ)であり、外径表面粗さは63マイクロ−インチ(0.0016mm)RA最大だった。外径表面粗さを、TiGr3円筒形ビレット内径の表面粗さに関して上述した目的で、このような制限の範囲内に維持した。TiGr3ビレット内部に滑るように、ライナーを正確な許容差で整合機械加工した(match machined)。ベースの内径とライナーの外径との間のギャップのための好ましい許容差は、約0.25mm(約0.010インチ)である。
【0114】
図12に概略で示す第3のプロセス経路においては、TiGr3外部構成要素及びZr702合金ライナー構成要素をビレットに組立て、次に冶金学的に結合し、より小さな直径の多層管類に減少させた。組立ての前に、外部構成要素及びライナー構成要素をアイスブラスティングによって清浄化して、異質の汚染、例えば汚れ及び油を除去した。清浄な表面は、高品質冶金学的結合のために重要である。
【0115】
清浄化され、乾燥したビレット及びライナー構成要素を一緒に滑らせて、組立てられたビレットにした。ビレットの末端継手を、少なくとも1×10
−3torr(0.133Pa)の真空中で電子ビーム銃を使用して溶接した。電子ビームを、末端継手に焦点を合わせて、ビレット中への10〜40mmの浸透及び少なくとも5mmの溶接幅で溶接部を作製した。溶接健全性は、組立てられたビレットの押出しの最中に雰囲気が汚染するのを防ぎ、冶金学的結合の形成を阻害するために重要である。
図13は、溶接した組立てられたビレット310の端面図を概略で示し、ここで、312はTiGr3外部ベース構成要素であり、314はZr702合金内部ライナー構成要素であり、316はチタン及びジルコニウムを含む混合物を含む溶接帯域であり、318は、ビレットを通る円筒形流体伝導空隙である。
【0116】
いかなる溶接スプラッターも、溶接した組立てられたビレットから研磨除去した。ビレットを次に、円筒コイル中、目標700℃(1292℃)で650〜775℃(1202〜1427°F)に誘導加熱し、3500トンのロンバード液圧押出しプレスに移した。ビ
レットを円筒形容器中に置き、マンドレルをライナー構成要素の内径中に挿入して、押出内径サイズを確立した。押出しプレス上のステムは、アプセット圧力約1500トン(8.896×10
3N)を使用して円錐型のダイを通してビレットを押して、ビレットを継
目無多層管に押出した。押出し伸び比は約11:1であり、目標は、外径3.100±0
.010インチ(78.74±0.254mm)及び壁の厚さ約0.525インチ(13.4mm)を有する押出管を提供することだった。プロセス温度、ある温度での時間、圧力、及び合う表面の清浄度を含む条件の結果として、異種金属は相互作用し、押出し直後に冶金学的に結合した。冶金学的に結合した多層押出品の数インチのリードエンド及びテールエンドを鋸で切ることによって除去して、残りの部分における均一なライナー厚さを確保した。
【0117】
押出管を、HF/硝酸中、0.001〜0.002インチ(0.0254〜0.508mm)/壁を除去するのに十分な時間酸洗いした。管をピルガーミル上で次に冷間加工して、管直径及び壁の厚さをさらに減少させた。ピルガーミル中で、管を、同様にテーパの付いたマンドレル上で材料を加圧する溝付きでテーパ付きのダイによって縦方向に圧延した。管をダイ中に供給し、その長手方向の軸の周りに回転させて、ミルの各行程の最中に管の円周全体を実質的に均一に減少させた。多層管を、ピルガーミル上で第1のパスを使用して、外径44.5mm(1.75インチ)及び壁の厚さ6.3mm(0.25インチ)の中間サイズに減少させた。揺動した管を、アルカリ洗浄剤、水濯ぎ、及び70%硝酸中の酸洗い液を使用して清浄化し、次に真空焼なましによって熱処理して、再結晶し、材料を軟化させた。熱処理は、管を621±28℃(1150±50°F)の温度で1〜2時間焼な
ましすることを含んだ。他の可能な焼なまし計画は、500℃(932°F)〜750℃
(1382°F)の範囲内の他の温度で1〜12時間加熱することを含む。熱処理は、ベ
ース及びライナー合金よりも硬質でより脆い金属間粒子または組成勾配の成長を最小にするように適合されるべきである。脆い及び/または広い拡散帯域は、管層のデラミネーションを生じ得る。
【0118】
焼なましに続いて、管を70%硝酸中で酸洗いして、いかなる真空焼なましステインも除去し、次に回転矯正した(rotary straightened)。管を次に再加熱し、第2のピルガー
パスにさらして、管を外径27.0mm(1.06インチ)及び壁の厚さ3.5mm(0.138mm)の最終寸法に減少させた。最終ジルコニウムライナー厚さは約0.9mm(0.035インチ)だった。
図14は、プロセスによって製造された多層管のうちの1つの冶金学的結合領域の顕微鏡写真である。像は、微細な結晶粒構造(実質的に均一な機械的性質を提供するはずである)及びチタンとジルコニウム層との間の連続的な冶金学的結合を示す。冶金学的結合は、周知の機械的に結合した(すべりばめ)管設計において見られるタイプのすきま腐食を防ぐ。
【0119】
この実施例におけるプロセスを使用して製造されたTiGr3/Zr702合金多層管の機械的強度を評価し、TiGr3単一管の性質と比較した。各管タイプの外径27.0mm×内径3.5mmの試料の性質を下記の表4に示す。機械的性質は同様であり、ジルカダイン(登録商標)702ライナーは、TiGr3基材の評価した機械的性質を大きく劣化させないことを示す。
【0120】
【表4】
【0121】
本実施例において説明されている方法によって形成された管の一部分を、ジルコニウムまたはある他の耐食性金属または合金で構成されたある長さの流体伝導管の末端に固相接合して、尿素合成装置のストリッパーを改造する際に使用するのに適した複合管を形成することができる。このような場合には、上記に説明したように、外部層を管板に融接することが、溶接領域の耐食性のかなりの低減をもたらさないように、多層管の外部層の材料を選択してよい。例えば、本実施例において製造されたTiGr3/Zr702合金多層管は、チタン被覆管板を含むストリッパーを改造する際に使用するために特に有利であると思われる。
【0122】
本実施例によって製造された多層管及び他の流体伝導部品はまた、単層流体伝導部品に固相接合することなく使用してよい。このような具体例においては、材料を装置の管板または他の取り付け部分に融接した時に、管/部品または取り付け部分の耐食性、機械的、または他の重要な性質に実質的にマイナスに影響を及ぼすと思われる問題のある合金が生成されないように、多層管または他の部品の外部層の材料を選択してよい。
【0123】
もちろん、本検討は、ストリッパー装置中の本実施例において形成された多層管類の使用に焦点を合わせてきたが、管類はまた、本明細書において言及するものを含む他の装置中の流体伝導部品として使用してよいことは理解されよう。
【0124】
本説明が、本開示の明確な理解に適した態様を示すことは理解できるはずである。当業者には明白であり、従ってより良い理解を促進しないような特定の態様は、本開示を簡略化するために提出していない。本開示を特定の具体例に関連して説明してきたが、当業者であれば、前述の開示を検討することにより、多くの修正及び変形例を用いることができることを認識できよう。前述の説明及び請求の範囲は、全てのこのような変形例及び修正を包含することを意図されている。
[発明の態様]
[1]
取り付け領域を有する装置の物品の少なくとも1つの流体伝導部品を交換する方法であって:
耐食性の第1の材料を含む流体伝導第1の領域、及び前記取り付け領域の材料と同一及び実質的に同一のうちの1つである第2の材料を含む流体伝導第2の領域を含む交換部品を提供し、前記第1の領域及び前記第2の領域は、直接的に及び間接的にのうちの1つで固相接合によって接合されて、単一の流体伝導交換部品を形成することと;
前記交換部品の前記第2の領域の前記第2の材料を前記装置の物品の前記取り付け領域に固定することを含むプロセスによって、前記交換部品を前記装置の物品に固定することと;
を含む方法。
[2]
前記交換部品は、円筒形部品、管、パイプ、ノズル、スタブエンド、管コネクタ、パイプコネクタ、尿素処理装置のためのストリッパー管、伝熱管、及び流体伝導部品からなる群から選択される、1に記載の方法。
[3]
前記耐食性の第1の材料は、ジルコニウム、ジルコニウム合金、チタン、チタン合金、ニオブ、及びニオブ合金からなる群から選択される少なくとも1つの材料であり、前記第2の材料は、チタン、チタン合金、及びステンレス鋼からなる群から選択される、1に記載の方法。
[4]
前記装置の物品は尿素合成装置のストリッパーユニットであり、前記交換部品はストリッパー管であり、前記取り付け領域はストリッパー管板の領域である、3に記載の方法。
[5]
前記第1の領域を直接的に及び間接的にのうちの1つで前記第2の領域に固相接合することは、フライホイール式摩擦圧接、熱間圧接、ロール圧接、及び超音波溶接を含む、冷間圧接、拡散溶接、爆発溶接、鍛接、摩擦圧接からなる群から選択される固相接合技術を含む、1に記載の方法。
[6]
前記第2の領域は、耐食材料の内部層及び前記第2の材料の外部層を含む、1に記載の方法。
[7]
前記第2の領域は押出し結合によって形成され、その結果、前記第2の領域の前記内部層及び前記外部層は融合される、6に記載の方法。
[8]
前記第2の領域は、ジルコニウム及びジルコニウム合金からなる群から選択される材料の内部層、並びにチタン及びチタン合金からなる群から選択される材料の外部層を含む、1に記載の方法。
[9]
前記第2の領域は、前記第2の領域の前記内部層及び前記外部層を冶金学的に結合することを含むプロセスによって形成される、8に記載の方法。
[10]
前記第2の領域の前記内部層及び前記外部層を冶金学的に結合することは、押出し結合、爆発結合、熱間静水圧成形、及び遠心鋳造からなる群から選択される少なくとも1つの技術を含む、9に記載の方法。
[11]
前記装置の物品は尿素合成装置のストリッパーユニットであり;
前記交換部品はストリッパー管であり;
前記取り付け領域は管板の領域であり;
前記交換部品の前記第1の領域はジルコニウムであり;
前記交換部品の前記第2の領域は、ジルコニウム及びジルコニウム合金からなる群から選択される材料の内部層、並びにチタン及びチタン合金からなる群から選択される材料の外部層を含む、1に記載の方法。
[12]
前記内部層は、直接的に及び間接的にのうちの1つで前記外部層に冶金学的に結合される、11に記載の方法。
[13]
前記第1の領域を直接的に及び間接的にのうちの1つで前記第2の領域に固相接合することによって形成された溶接領域は、前記第1の材料及び前記第2の材料を組み合わせる合金が実質的に無い、12に記載の方法。
[14]
前記第1の領域は間接的に前記第2の領域に固相接合され、その結果、少なくとも1つの第3の材料は前記第1の領域と前記第2の領域との間に配置される、11に記載の方法。[15]
尿素合成ユニットのストリッパー中のストリッパー管を交換ストリッパー管で交換する方法であって:
耐食性の第1の材料を含む流体伝導第1の領域、及び前記ストリッパーの管板を構成する材料と同一及び実質的に同一のうちの1つである第2の材料を含む流体伝導第2の領域を含む交換ストリッパー管を提供し、前記第1の領域及び前記第2の領域は、直接的に及び間接的にのうちの1つで固相接合によって接合されて、単一の流体伝導交換部品を形成することと;
前記第2の領域の前記第2の材料を、前記管板の同一のまたは実質的に同一の材料に融接することと;
を含む方法。
[16]
前記耐食性の第1の材料は、ジルコニウム及びジルコニウム合金チタン、チタン合金、ニオブ、及びニオブ合金からなる群から選択される少なくとも1つの材料であり、前記第2の材料は、チタン、チタン合金及びステンレス鋼からなる群から選択される少なくとも1つの材料である、16に記載の方法。
[17]
前記第1の領域を直接的に及び間接的にのうちの1つで前記第2の領域に固相接合することは、冷間圧接、拡散溶接、爆発溶接、鍛接、摩擦圧接、フライホイール式摩擦圧接、熱間圧接、ロール圧接、及び超音波溶接からなる群から選択される固相接合技術によって実行される、15に記載の方法。
[18]
前記第1の領域は、単一の材料でできており、前記第2の領域は、単一の材料でできている、15に記載の方法。
[19]
前記第2の領域は、耐食材料の内部層及び前記第2の材料の外部層を含む、15に記載の方法。
[20]
前記第2の領域は、ジルコニウム及びジルコニウム合金からなる群から選択される材料の内部層、並びにチタン及びチタン合金からなる群から選択される材料の外部層を含む、19に記載の方法。
[21]
前記第2の領域は押出し結合によって形成され、その結果、前記第2の領域の前記内部層及び前記外部層は融合される、20に記載の方法。
[22]
前記第1の領域を直接的に及び間接的にのうちの1つで前記第2の領域に固相接合することによって形成された溶接領域は、前記耐食性の第1の材料及び前記第2の材料の合金が実質的に無い、15に記載の方法。
[23]
前記第1の領域は間接的に前記第2の領域に固相接合され、その結果、少なくとも1つの第3の材料は前記第1の領域と前記第2の領域との間に配置される、15に記載の方法。[24]
装置の物品のための部品であって:
耐食性の第1の材料を含む流体伝導第1の領域と;
第2の材料を含む流体伝導第2の領域と;を含む部品において、
前記第1の領域及び前記第2の領域は直接的に及び間接的にのうちの1つで固相接合によって接合されて、単一の流体伝導部品を形成する、部品。
[25]
前記部品は、円筒形部品、管、パイプ、ノズル、スタブエンド、管コネクタ、パイプコネクタ、尿素処理装置のためのストリッパー管、伝熱管、及び流体伝導部品からなる群から選択される、24に記載の部品。
[26]
前記耐食性の第1の材料は、ジルコニウム及びジルコニウム合金;チタン、チタン合金、ニオブ、及びニオブ合金からなる群から選択される少なくとも1つの材料であり、前記第2の材料は、チタン、チタン合金、及びステンレス鋼からなる群から選択される、24に記載の部品。
[27]
前記第1の領域を直接的に及び間接的にのうちの1つで前記第2の領域に固相接合することは、冷間圧接、拡散溶接、爆発溶接、鍛接、摩擦圧接、フライホイール式摩擦圧接、熱間圧接、ロール圧接、及び超音波溶接からなる群から選択される固相接合技術によって実行された、24に記載の部品。
[28]
前記第2の領域は、耐食材料の内部層及び前記第2の材料の外部層を含む、24に記載の部品。
[29]
前記第2の領域の前記内部層及び前記外部層は一緒に押出し結合される、28に記載の部品。
[30]
前記第2の領域は、ジルコニウム及びジルコニウム合金からなる群から選択される材料の内部層、並びにチタン及びチタン合金からなる群から選択される材料の外部層を含む、28に記載の部品。
[31]
前記第1の領域を直接的に及び間接的にのうちの1つで前記第2の領域に固相接合することによって形成された前記溶接領域は、前記耐食性の第1の材料及び前記第2の材料の合金が実質的に無い、24に記載の部品。
[32]
前記第1の領域は間接的に前記第2の領域に固相接合され、その結果、少なくとも1つの第3の材料は前記第1の領域と前記第2の領域との間に配置される、24に記載の部品。[33]
装置の物品中の流体伝導部品を交換流体伝導部品で交換する方法であって:
前記装置の物品の既存の流体伝導部品ストリッパー管を、24に記載の設計を有する流体伝導部品で交換することを含む方法。
[34]
前記流体伝導部品は、円筒形部品、管、パイプ、ノズル、スタブエンド、管コネクタ、パイプコネクタ、尿素処理装置のためのストリッパー管、伝熱管、及び流体伝導部品からなる群から選択される、33に記載の方法。
[35]
前記装置の物品は、化学処理装置、ストリッパーユニット、凝縮器ユニット、及び熱交換器からなる群から選択される、33に記載の方法。
[36]
24に記載の部品を含む装置の物品。
[37]
取り付け領域を有する装置の物品の少なくとも1つの流体伝導部品を交換する方法であって:
流体伝導部品を通る流体伝導通路を取り囲む耐食性の第1の材料の内部層、及び第2の材料の外部層を含む交換流体伝導部品を提供し、前記内部層は、直接的に及び間接的にのうちの1つで前記外部層に冶金学的に結合されることと;
交換部品の外部層を前記装置の物品の前記取り付け領域に固定することを含むプロセスに
よって、前記交換部品を前記装置の物品に固定することと;
を含む方法。
[38]
前記取り付け領域は、前記交換部品の前記第2の材料と同一及び実質的に同一のうちの1つである第3の材料を含み、さらに、前記交換部品を前記装置の物品に固定することは、前記外部層の領域を前記取り付け領域の前記第3の材料に固定することを含む、37に記載の方法。
[39]
前記交換部品を前記装置の物品に固定することは、前記外部層の領域を前記取り付け領域の前記第3の材料に溶接することを含む、37に記載の方法。
[40]
前記耐食性の第1の材料は、ジルコニウム及びジルコニウム合金からなる群から選択される少なくとも1つの材料であり、前記第2の材料は、チタン及びチタン合金からなる群から選択される、37に記載の方法。
[41]
前記装置の物品は尿素合成装置のストリッパーユニットであり、前記交換部品はストリッパー管であり、前記取り付け領域はストリッパー管板の領域である、37に記載の方法。[42]
前記内部層及び前記外部層は、押出し結合、爆発結合、熱間静水圧成形、及び遠心鋳造からなる群から選択される少なくとも1つの技術を含むプロセスによって、直接的に及び間接的にのうちの1つで冶金学的に結合される、37に記載の方法。
[43]
前記装置の物品は尿素合成装置のストリッパーユニットであり;
前記交換部品はストリッパー管であり;
前記取り付け領域は管板の領域であり;
前記交換部品の内部層は、ジルコニウム及びジルコニウム合金からなる群から選択され;交換物の外部層は、チタン及びチタン合金からなる群から選択される、37に記載の方法。
[44]
前記交換部品を前記装置の物品に固定することは、前記外部層の前記第2の材料の領域を前記取り付け領域の前記第3の材料に融接することを含み、それによって形成された前記溶接領域は、前記第1の材料及び前記第2の材料と比較してかなり低減した耐食性を有する合金が実質的に無い、37に記載の方法。
[45]
前記内部層は、直接的に前記外部層に冶金学的に結合される、及び間接的に前記外部層に冶金学的に結合されるのうちの1つであり、その結果、前記第1の材料及び前記第2の材料と異なる第3の材料を含む少なくとも1つの層は前記内部層と前記外部層との間に配置される、37に記載の方法。
[46]
尿素合成ユニットのストリッパー中のストリッパー管を交換ストリッパー管で交換する方法であって:
ストリッパー管を通る流体伝導通路を取り囲む耐食性の第1の材料の内部層、及び第2の材料の外部層を含む交換ストリッパー管を提供し、前記内部層は、直接的に及び間接的にのうちの1つで前記外部層に冶金学的に結合され、前記第2の材料は、前記ストリッパーの管板を構成する材料と同一及び実質的に同一のうちの1つであることと;
前記外部層の前記第2の材料を、前記管板の同一のまたは実質的に同一の材料に固定することと;
を含む方法。
[47]
前記耐食性の第1の材料は、ジルコニウム及びジルコニウム合金からなる群から選択され
、前記第2の材料は、チタン及びチタン合金からなる群から選択される、46に記載の方法。
[48]
前記外部層の前記第2の材料を前記管板の前記同一のまたは実質的に同一の材料に固定することは、前記外部層の前記第2の材料を前記管板の前記実質的に同一の材料に溶接することを含む、46に記載の方法。
[49]
前記ストリッパー管の前記内部層及び前記外部層は、押出し結合、爆発結合、熱間静水圧成形、及び遠心鋳造からなる群から選択される少なくとも1つの技術を含むプロセスによって、直接的に及び間接的にのうちの1つで冶金学的に結合される、46に記載の方法。[50]
前記外部層の前記第2の材料を前記管板の前記実質的に同一の材料に固定することは、前記外部層の前記第2の材料の領域を前記管板に融接することを含み、それによって形成された前記溶接領域は、前記第2の材料と比較してかなり低減した耐食性を有する合金が実質的に無い、46に記載の方法。
[51]
前記内部層は直接的に前記外部層に冶金学的に結合され、実質的な相互拡散層は生成されない、46に記載の方法。
[52]
前記内部層は、間接的に前記外部層に冶金学的に結合され、その結果、前記第1の材料及び前記第2の材料と異なる材料を含む少なくとも1つの層は前記内部層と前記外部層との間に配置される、46に記載の方法。
[53]
装置の物品のための部品であって、ストリッパー管及び伝熱管から選択され、流体伝導部品を通る流体伝導通路を取り囲む耐食性の第1の材料の内部層、及び第2の材料の外部層を含む部品において、前記内部層は、直接的に及び間接的にのうちの1つで前記外部層に冶金学的に結合される、部品。
[54]
前記部品は、前記装置の物品のための交換部品及び元の部品のうちの1つである、53に記載の部品。
[55]
前記耐食性の第1の材料は、ジルコニウム及びジルコニウム合金からなる群から選択される少なくとも1つの材料であり、前記第2の材料は、チタン及びチタン合金からなる群から選択される、53に記載の部品。
[56]
前記装置の物品は尿素合成装置のストリッパーユニットであり、前記交換部品はストリッパー管である、53に記載の部品。
[57]
前記内部層及び前記外部層は、押出し結合、爆発結合、熱間静水圧成形、及び遠心鋳造からなる群から選択される少なくとも1つの技術を含むプロセスによって、直接的に及び間接的にのうちの1つで冶金学的に結合される、53に記載の部品。
[58]
前記内部層は直接的に前記外部層に冶金学的に結合される、53に記載の部品。
[59]
前記内部層と前記外部層との間に実質的な相互拡散層は存在しない、58に記載の部品。[60]
前記内部層は、間接的に前記外部層に冶金学的に結合され、その結果、前記第1の材料及び前記第2の材料と異なる第3の材料を含む少なくとも1つの層は前記内部層と前記外部層との間に配置される、53に記載の部品。
[61]
流体伝導通路を取り囲む耐食性の第1の材料の内部層、及び第2の材料の外部層を含む流体伝導部品を製造する方法であって、前記内部層と前記外部層との間に任意の実質的な相互拡散層を生成すること無しに、前記内部層及び前記外部層を冶金学的に結合することを含む方法。
[62]
前記内部層と前記外部層との間に任意の実質的な相互拡散層を生成すること無しに、前記内部層及び前記外部層を冶金学的に結合することは、容易に冷間加工されてよい中間部品を提供し、前記方法は前記中間部品を冷間加工することをさらに含む、61に記載の方法。
[63]
前記中間部品を冷間加工することは、冷間引抜き、冷間管減少、内部及び外部ロールを用いる管ローリング、並びに流動成形からなる群から選択される少なくとも1つの技術によって前記中間部品を加工することを含む、62に記載の方法。
[64]
前記耐食性の第1の材料は、ジルコニウム及びジルコニウム合金からなる群から選択され、前記第2の材料は、チタン及びチタン合金からなる群から選択される、62に記載の方法。
[65]
前記内部層及び前記外部層は、押出し結合を含むプロセスによって冶金学的に結合される、62に記載の方法。
[66]
尿素合成ユニットのストリッパー中のストリッパー管を交換ストリッパー管で交換する方法であって:
前記尿素合成ユニットの既存のストリッパー管を、53に記載の設計を有する耐食性ストリッパー管で交換することを含む方法。
[67]
68に記載の設計を有する部品を含む装置の物品。
[68]
前記装置の物品は、化学処理装置、ストリッパーユニット、凝縮器ユニット、及び熱交換器からなる群から選択される、67に記載の装置の物品。