特許第5922994号(P5922994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5922994
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】DRAM装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8242 20060101AFI20160510BHJP
   H01L 27/108 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   H01L27/10 691
   H01L27/10 621C
   H01L27/10 681A
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-133900(P2012-133900)
(22)【出願日】2012年6月13日
(65)【公開番号】特開2013-258316(P2013-258316A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】水口 一郎
(72)【発明者】
【氏名】古田 博伺
【審査官】 上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−344964(JP,A)
【文献】 特開2006−252636(JP,A)
【文献】 特開2003−289111(JP,A)
【文献】 特開2003−347431(JP,A)
【文献】 特開平11−040680(JP,A)
【文献】 特開平07−142606(JP,A)
【文献】 特開2004−221473(JP,A)
【文献】 特開2012−038978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/8242
H01L 27/108
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型のウエル上に行列状に配置された第2導電型の複数のMISトランジスタと、
前記複数のMISトランジスタのそれぞれに対応して設けられた複数のキャパシタと、
前記複数のMISトランジスタの各行に対応して設けられた複数のワード線と、
前記複数のMISトランジスタの各列に対応して設けられた複数のビット線と、
前記複数のワード線の延伸方向に延在して設けられ、前記ウエルの電位が供給される第1導電型の第1ウエル電位拡散層と、
前記複数のワード線の延伸方向に延在して設けられ、前記ウエルの電位が供給される第1導電型の第2ウエル電位拡散層と、
前記複数のワード線のうち隣接する第1及び第2ワード線間に設けられ、前記ウエルの電位が供給される第1及び第2ダミーワード線と、
前記複数のワード線のうち隣接する第3及び第4ワード線間に設けられ、前記ウエルの電位が供給される第3及び第4ダミーワード線と、を備え、
前記第1ウエル電位拡散層は、前記第1及び前記第2ダミーワード線間に設けられ、
前記第2ウエル電位拡散層は、前記第3及び前記第4ダミーワード線間に設けられる、
DRAM装置。
【請求項2】
前記第1乃至前記第4ダミーワード線と前記複数のワード線とは、それぞれ等間隔で配置されている、請求項に記載のDRAM装置。
【請求項3】
前記第1ワード線と前記第1ダミーワード線との間、前記第2ワード線と前記第2ダミーワード線との間、前記第3ワード線と前記第3ダミーワード線との間、前記第4ワード線と前記第4ダミーワード線との間に、それぞれダミー拡散層をさらに備えた、請求項に記載のDRAM装置。
【請求項4】
前記第1及び前記第2ウエル電位拡散層のそれぞれ端部に前記ウエルの電位が供給される、請求項に記載のDRAM装置。
【請求項5】
前記第1及び前記第2ウエル電位拡散層は、シリサイド化されている、請求項に記載のDRAM装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はDRAM装置に関し、例えばソフトエラーを防止するのに適したDRAM装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等のメモリの情報反転(ソフトエラー)には、大きく分けて、放射線(イオン)入射時に発生したキャリアがノード拡散層に収集されて電位変動が生じるモードと、メモリセルを構成するトランジスタの2つの拡散層と基板とに形成される寄生バイポーラ素子が動作(オン)してノード拡散層電位が変動するモードとの2つがある。近年では、メモリセルを構成するトランジスタの2つの拡散層と基板とに形成される寄生バイポーラ素子の動作を起こりにくくしてソフトエラー耐性を良くすることが求められている。
【0003】
ところで、DRAMでは、SRAMと比較して、セル電圧及び設計基準が同程度であれば、単位ビット当たりのソフトエラー発生率SER(Soft Error Rate)が小さい。その理由は、DRAMでは、SRAMと比較して、記憶ノード側の拡散層(ノード拡散層)の面積が小さいために放射線(イオン)入射時に収集される電荷の量が少ないからであること、及び、キャパシタ(容量素子)の存在でノードに蓄積される電荷量が大きいからである。そのため、これまで、DRAMのソフトエラー対策は積極的に行われていなかった。
【0004】
しかしながら、DRAMでは、SRAMと比較して、メモリセルのサイズが小さいため、一つのチップ当たりに搭載される記憶容量が大きい。そのため、DRAMでは、単位ビット当たりのソフトエラー発生率よりも、一つのチップ当たりのソフトエラー発生率の方が問題となる。特に、近年の半導体集積回路の高集積化及び大容量化により、その問題は顕著になってきている。
【0005】
なお、上記した寄生バイポーラ素子の動作を抑制するためには、例えば、ラッチアップ対策などで知られているように、メモリセルを構成するトランジスタが形成されるウエル又は基板(以下、まとめてウエルと称す)の抵抗値を下げる必要がある。
【0006】
関連する技術が特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0007】
特許文献1には、ウエル・ノイズを軽減するために一時的にアレイウエルを所定電位にバイアスするメモリデバイスが開示されている。
【0008】
特許文献2には、α線ソフトエラー対策の埋め込み不純物層を設けたSRAMを有する半導体集積回路装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−20469号公報
【特許文献2】特開2003−100904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1では、所定電位が供給されるアレイウエル上のコンタクトが具体的にどのように配置されるのかについて一切開示されていない。したがって、この従来技術は、寄生バイポーラ素子の動作を抑制することができず、ソフトエラーを効果的に防ぐことができないという問題があった。
【0011】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施の形態によれば、DRAM装置は、ワード線の延伸方向に延在して設けられ、第1導電型のウエルの電位が供給される第1導電型の第1ウエル電位拡散層、を備える。
【発明の効果】
【0013】
前記一実施の形態によれば、ソフトエラーを効果的に防止することが可能なDRAM装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態1にかかるDRAM装置の構成例を示す図である。
図2】メモリセルの構成を示す回路図である。
図3】実施の形態1にかかるDRAM装置の構成例を示す断面図である。
図4】実施の形態1にかかるDRAM装置の構成例を示す図である。
図5A】実施の形態1にかかるDRAM装置の構成例を示す断面図である。
図5B】実施の形態1にかかるDRAM装置の構成例を示す断面図である。
図6】実施の形態2にかかるDRAM装置の構成例を示す図である。
図7】実施の形態2にかかるDRAM装置の構成例を示す断面図である。
図8】実施の形態3にかかるDRAM装置の構成例を示す図である。
図9】実施の形態3にかかるDRAM装置の構成例を示す断面図である。
図10】実施の形態に至る前の構想にかかるDRAM装置の構成を示す図である。
図11】メモリセルの構成を示す回路図である。
図12】実施の形態に至る前の構想にかかるDRAM装置の構成を示す断面図である。
図13】実施の形態に至る前の構想にかかるDRAM装置の課題を説明するための断面図である。
図14】実施の形態に至る前の構想にかかるDRAM装置の課題を説明するための断面図である。
図15】実施の形態に至る前の構想にかかるDRAM装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<発明者らによる事前検討>
実施の形態の説明をする前に、本発明者らが事前検討した内容について説明する。
【0016】
図10は、実施の形態に至る前の構想にかかるDRAM装置500の構成を示す図である。図10に示すDRAM装置では、複数のメモリセルMC51〜MC74にそれぞれ備えられた複数のNチャネルMISトランジスタ(以下、単にトランジスタと称す)Tr51〜Tr74が行列状に配置されている。また、複数のメモリセルMC51〜MC74の各行(紙面の縦方向)に対応して複数のワード線WL51〜WL56が配線されている。
【0017】
なお、図10には示されていないが、実際には、複数のメモリセルMC51〜MC74にそれぞれ備えられたキャパシタC51〜C74と、複数のメモリセルMC51〜MC74の各列(紙面の横方向)に対応して設けられた複数のビット線BL51〜BL56と、がさらに存在する。そのほか、図10には示されていないが、何れかのビット線及びワード線を選択することによりデータの読み出し又は書き込み対象となるメモリセルを選択する選択回路や、データ読み出し時に選択されたビット線の電位を増幅して読み出しデータとして出力する増幅回路等も存在する。
【0018】
ワード線WL51は、トランジスタTr52,Tr54,Tr56のそれぞれのゲート電極でもある。同様に、ワード線WL52は、トランジスタTr51,Tr58,Tr53,Tr60,Tr55,Tr62のそれぞれのゲート電極でもある。ワード線WL53は、トランジスタTr57,Tr59,Tr61のそれぞれのゲート電極でもある。ワード線WL54は、トランジスタTr64,Tr66,Tr68のそれぞれのゲート電極でもある。ワード線WL55は、トランジスタTr63,Tr70,Tr65,Tr72,Tr67,Tr74のそれぞれのゲート電極でもある。ワード線WL56は、トランジスタTr69,Tr71,Tr73のそれぞれのゲート電極でもある。
【0019】
また、図示されていないが、ビット線BL51は、トランジスタTr51,Tr57,Tr63,Tr69のそれぞれのソース及びドレインの一方(N拡散層;ビット線側拡散層とも称する)に接続されている。ビット線BL52は、トランジスタTr52,Tr58,Tr64,Tr70のそれぞれのソース及びドレインの一方に接続されている。ビット線BL53は、トランジスタTr53,Tr59,Tr65,Tr71のそれぞれのソース及びドレインの一方に接続されている。ビット線BL54は、トランジスタTr54,Tr60,Tr66,Tr73のそれぞれのソース及びドレインの一方に接続されている。ビット線BL55は、トランジスタTr55,Tr61,Tr67,Tr73のそれぞれのソース及びドレインの一方に接続されている。ビット線BL56は、トランジスタTr56,Tr62,Tr68,Tr74のそれぞれのソース及びドレインの一方に接続されている。なお、図10の例では、トランジスタTr51〜Tr74のそれぞれのビット線側拡散層は、黒丸の箇所に相当する。
【0020】
また、図示されていないが、トランジスタTr51〜Tr74のそれぞれのソース及びドレインの他方(N拡散層;ノード拡散層とも称する)は、それぞれ、キャパシタC51〜C74の一方の電極(下部電極)に接続されている。キャパシタC51〜C74の他方の電極には、例えば、共通のセルプレート電極Cp50が用いられる。このセルプレート電極Cp50は、トランジスタTr51〜Tr74を覆うように設けられている。なお、図10の例では、トランジスタTr51〜Tr74のそれぞれのノード拡散層は、白丸の箇所に相当する。
【0021】
図11は、メモリセルMC51の構成例を示す回路図である。なお、その他のメモリセルMC52〜MC74については、メモリセルMC51と同様の構成であるため、その説明を省略する。図11に示すメモリセルMC51は、トランジスタTr51とキャパシタC51とによって構成される。トランジスタTr51では、ソース及びドレインの一方(ビット線側拡散層)がビット線BL51に接続され、ソース及びドレインの他方(ノード拡散層)がキャパシタC51の一方の電極に接続され、ゲート電極がワード線WL52の一部である。また、キャパシタC51の他方の電極(即ち、セルプレート電極Cp50)には、例えば、電源電圧Vccの約半分の電圧がセルプレート電圧Vcpとして供給される。
【0022】
例えば、メモリセルMC51に記憶されたデータを読み出す場合、ワード線WL52の電位をHレベル(電源電圧Vccレベル)にする。それにより、トランジスタTr51がオンするため、キャパシタC51に記憶されたデータはビット線BL51に伝搬する。そして、後段に設けられた増幅回路は、ビット線BL51の電位に応じた読み出しデータを出力する。一方、メモリセルMC51にデータを書き込む場合、ビット線BL51の電位を書き込みデータに応じた電位にチャージした上で、ワード線WL52の電位をHレベルにする。それにより、トランジスタTr51がオンし、ビット線BL51からキャパシタC51にデータが書き込まれる。
【0023】
図12は、図10におけるP−Q間の断面図である。同図において、ゲート電極(ワード線)W52〜W55やノード拡散層の紙面左右方向の寸法は、図10の平面図と比較して、相対的に大きく記載されている。また、ゲート電極とノード拡散層との寸法関係も模式的に記載されている。特に、ゲート電極の寸法は実際よりも長く記載されている。また、紙面上下方向の寸法も実際の寸法関係を示すものではない。以降の断面図においても同様である。
【0024】
図12に示すように、メモリセルMC66では、Pウエル上に2つのN拡散層(ノード拡散層及びビット線側拡散層)が形成される。さらに、この2つのN拡散層間のPウエル面上にはゲート絶縁膜(不図示)及びゲート電極が順に形成される。このゲート電極はワード線WL54の一部である。また、ビット線側拡散層には、コンタクトプラグを介して、ビット線BL54が接続される。一方、ノード拡散層には、コンタクトプラグを介して、キャパシタC66の一方の電極(下部電極)が接続される。さらに、キャパシタC51〜C74の他方の電極として、共通のセルプレート電極Cp50が設けられている。なお、図12の例では、シリンダ型のキャパシタ構造が採用されている。
【0025】
メモリセルMC66に隣接するメモリセルMC60でも、同様に、Pウエル上に2つのN拡散層が形成される。なお、図12の例では、2つのN拡散層のうち、メモリセルMC66に近接するノード拡散層のみを示している。さらに、この2つのN拡散層間のPウエル面上には、ゲート絶縁膜(不図示)及びゲート電極が形成される。このゲート電極はワード線WL52の一部である。また、ノード拡散層には、コンタクトプラグを介して、キャパシタC60の一方の電極(下部電極)が接続される。メモリセルMC66,MC60のそれぞれのノード拡散層間はSTIによって分離されている。P−Q間の断面ではワード線WL53はSTI上方に位置する。
【0026】
続いて、図13及び図14の断面図を参照して、DRAM装置500に形成された寄生バイポーラ素子について説明する。なお、図13及び図14の断面図の構成については、図12と同様であるため、その説明を省略する。また、図13図14では、説明の都合上、STIは示されていない。
【0027】
なお、本例では、ビット線が電源電圧Vccの約半分の電圧(Vcc/2)にプリチャージされる方式(Vcc/2プリチャージ方式)が採用されている。また、本例では、セルプレート電圧Vcpが電源電圧Vccの約半分の電圧(Vcc/2)を示している。また、本例では、Pウエルの電位が接地電圧GNDレベルを示している。
【0028】
まず、図13を参照すると、ビット線BL54が電圧Vcc/2にプリチャージされ、キャパシタC66の一方の電極(下部電極)がLレベル(接地電圧GNDレベル)を示す場合、Pウエルをベース、ノード拡散層をエミッタ、ビット線側拡散層をコレクタとした寄生バイポーラ素子が形成される。この寄生バイポーラ素子は、CE間電圧がVcc/2、BE間電圧が0Vであるため、オンしやすい。そのため、ソフトエラーが発生してしまう可能性がある。
【0029】
なお、キャパシタC66の一方の電極(下部電極)がHレベル(電源電圧Vccレベル)を示している場合、Pウエルをベース、ビット線側拡散層をエミッタ、ノード拡散層をコレクタとした寄生バイポーラ素子が形成される。しかしながら、この寄生バイポーラ素子は、ベース電圧がエミッタ電圧よりVcc/2だけ低いため、オンしにくい。そのため、ソフトエラーが発生する可能性は低い。
【0030】
次に、図14を参照すると、メモリセルMC66のキャパシタC66の一方の電極(下部電極)がHレベルを示し、隣接するメモリセルMC60のキャパシタC60の一方の電極(下部電極)がLレベルを示す場合、Pウエルをベース、メモリセルMC60側のノード拡散層をエミッタ、メモリセルMC66側のノード拡散層をコレクタとした寄生バイポーラ素子が形成される。この寄生バイポーラ素子は、CE間電圧がVcc、BE間電圧が0Vであるため、オンしやすい。そのため、ソフトエラーが発生してしまう可能性がある。
【0031】
また、メモリセルMC66のキャパシタC66の一方の電極(下部電極)がLレベルを示し、隣接するメモリセルMC60のキャパシタC60の一方の電極(下部電極)がHレベルを示す場合でも、Pウエルをベース、メモリセルMC66側のノード拡散層をエミッタ、メモリセルMC60側のノード拡散層をコレクタとした寄生バイポーラ素子が形成される。この寄生バイポーラ素子も、CE間電圧がVcc、BE間電圧が0Vであるため、オンしやすい。そのため、ソフトエラーが発生してしまう可能性がある。
【0032】
これら寄生バイポーラ素子の動作を抑制してソフトエラーの発生を防止するには、Pウエルの抵抗値を下げるのが効果的である。Pウエルの抵抗値を下げる方法として、例えば、Pウエルの不純物濃度を高くすることが考えられる。しかしながら、Pウエルの不純物濃度を高くすると、N拡散層(ノード拡散層及びビット線側拡散層)のリーク電流が増大してしまう可能性がある。そこで、Pウエルの抵抗値を下げる他の方法として、Pウエルの電位が供給されるP拡散層(以下、ウエル電位拡散層と称す)をPウエル上に設けることが考えられる。
【0033】
図15は、実施の形態に至る前の構想にかかるDRAM装置600の構成を示す図である。図15に示すDRAM装置600では、図10に示すDRAM装置500と比較して、ウエル電位拡散層K50がさらに設けられる。このウエル電位拡散層K50は、Pウエルの電位が供給されるP拡散層であって、ワード線WL51〜WL56の配線方向(延伸方向)に直交する方向に延在して設けられている。ウエル電位拡散層K50を設けることにより、Pウエルの抵抗値を低下させ、寄生バイポーラ素子の動作を抑制している。
【0034】
しかしながら、図15の例では、ウエル電位拡散層K50が複数のワード線WL51〜WL56によって分断されてしまうため、分断された複数のウエル電位拡散層K50のそれぞれにPウエルの電位を供給しなければならいという問題がある。他方、ウエル電位拡散層K50の分断を回避するために、ウエル電位拡散層K50をN拡散層やワード線よりも先に形成しようとすれば、プロセス工程が増加してしまうという問題がある。そのほか、ワード線が、N拡散層(ノード拡散層及びビット線側拡散層)及びP拡散層(ウエル電位拡散層)上を通過しているため、N拡散層からP拡散層に向けてリーク電流が発生してしまう可能性がある。
【0035】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として実施の形態の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0036】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0037】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0038】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかるDRAM装置100の構成例を示す図である。本実施の形態にかかるDRAM装置100は、ワード線の延伸方向に延在して設けられ、第1導電型のウエルの電位が供給される第1導電型の拡散層(ウエル電位拡散層)を備える。それにより、本実施の形態にかかるDRAM装置100は、寄生バイポーラ素子の動作を抑制してソフトエラーを効果的に抑制することができる。以下、具体的に説明する。
【0039】
図1に示すDRAM装置100では、複数のメモリセルMC1〜MC24にそれぞれ備えられた複数のNチャネルMISトランジスタ(以下、単にトランジスタと称す)Tr1〜Tr24が行列状に配置されている。また、複数のメモリセルMC1〜MC24の各行(紙面の縦方向)に対応して設けられた複数のワード線WL1〜WL6と、ダミーワード線DWL1,DWL2と、ウエル電位拡散層K1と、が設けられる。なお、図1には示されていないが、実際には、複数のメモリセルMC1〜MC24にそれぞれ含まれる複数のキャパシタC1〜C24と、複数のメモリセルMC1〜MC24の各列(紙面の横方向)に対応して設けられた複数のビット線BL1〜BL6と、がさらに存在する。そのほか、図1には示されていないが、何れかのビット線及びワード線を選択することによりデータの読み出し又は書き込み対象となるメモリセルを選択する選択回路や、データ読み出し時に選択されたビット線の電位を増幅して読み出しデータとして出力する増幅回路等も存在する。
【0040】
さらに、複数のワード線WL1〜WL6のうち隣接するワード線(第1及び第2ワード線)WL3,WL4間に、ダミーワード線(第1及び第2ダミーワード線)DWL1,DWL2が配線されている。図1の例では、複数のワード線WL1〜WL6及びダミーワード線DWL1,DWL2は、ダミーワード線DWL1,DWL2間を除き、等間隔で配線されている。なお、ダミーワード線DWL1,DWL2の間隔は、ワード線WL1,WL3の間隔と同程度である。また、ダミーワード線DWL1,DWL2には、Pウエル(第1導電型のウエル)の電位(接地電圧GNDレベルの電位)が供給されている。
【0041】
さらに、ダミーワード線DWL1,DWL2間に、ウエル電位拡散層K1が設けられている。このウエル電位拡散層K1は、Pウエルの電位が供給されるP拡散層であって、ワード線WL1〜WL6の配線方向(延伸方向)に延在して設けられている。例えば、ウエル電位拡散層K1の端部にPウエルの電位が供給されている。なお、ウエル電位拡散層K1の幅(紙面の横方向)は、ワード線WL1,WL3に挟まれる領域の幅と同程度である。
【0042】
さらに、ダミーワード線DWL1とそれに隣接するワード線WL3との間、及び、ダミーワード線DWL2とそれに隣接するワード線WL4との間には、複数のダミー拡散層D1が設けられている。複数のダミー拡散層D1は、フローティング状態又はPウエルの電位が供給されるN拡散層である。
【0043】
ワード線WL1は、トランジスタTr2,Tr4,Tr6のそれぞれのゲート電極でもある。同様に、ワード線WL2は、トランジスタTr1,Tr8,Tr3,Tr10,Tr5,Tr12のそれぞれのゲート電極でもある。ワード線WL3は、トランジスタTr7,Tr9,Tr11のそれぞれのゲート電極でもある。ワード線WL4は、トランジスタTr14,Tr16,Tr18のそれぞれのゲート電極でもある。ワード線WL5は、トランジスタTr13,Tr20,Tr15,Tr22,Tr17,Tr24のそれぞれのゲート電極でもある。ワード線WL6は、トランジスタTr19,Tr21,Tr23のそれぞれのゲート電極でもある。
【0044】
また、図示されていないが、ビット線BL1は、トランジスタTr1,Tr7,Tr13,Tr19のそれぞれのドレイン及びソースの一方(N拡散層;ビット線側拡散層とも称する)に接続されている。ビット線BL2は、トランジスタTr2,Tr8,Tr14,Tr20のそれぞれのドレイン及びソースの一方に接続されている。ビット線BL3は、トランジスタTr3,Tr9,Tr15,Tr21のそれぞれのドレイン及びソースの一方に接続されている。ビット線BL4は、トランジスタTr4,Tr10,Tr16,Tr22のそれぞれのドレイン及びソースの一方に接続されている。ビット線BL5は、トランジスタTr5,Tr11,Tr17,Tr23のそれぞれのドレイン及びソースの一方に接続されている。ビット線BL6は、トランジスタTr6,Tr12,Tr18,Tr24のそれぞれのドレイン及びソースの一方に接続されている。なお、図1の例では、トランジスタTr1〜Tr24のそれぞれのビット線側拡散層は、黒丸の箇所に相当する。
【0045】
また、図示されていないが、トランジスタTr1〜Tr24のそれぞれのドレイン及びソースの他方(N拡散層;ノード拡散層とも称する)は、それぞれ、キャパシタC1〜C24の一方の電極(下部電極)に接続されている。キャパシタC1〜C24の他方の電極には、例えば、共通のセルプレート電極Cpが用いられる。このセルプレート電極Cpは、トランジスタTr1〜Tr24を覆うように設けられている。なお、図1の例では、トランジスタTr1〜Tr24のそれぞれのノード拡散層は、白丸の箇所に相当する。
【0046】
図2は、メモリセルMC1の構成例を示す回路図である。なお、その他のメモリセルMC2〜MC24については、メモリセルMC1と同様の構成であるため、その説明を省略する。図2に示すメモリセルMC1は、トランジスタTr1とキャパシタC1とによって構成される。トランジスタTr1では、ドレイン及びソースの一方(ビット線側拡散層)がビット線BL1に接続され、ドレイン及びソースの他方(ノード拡散層)がキャパシタC1の一方の電極に接続され、ゲートがワード線WL2に接続される。また、キャパシタC1の他方の電極(即ち、セルプレート電極Cp)には、例えば、電源電圧Vccの約半分の電圧がセルプレート電圧Vcpとして供給される。
【0047】
例えば、メモリセルMC1に記憶されたデータを読み出す場合、ワード線WL2の電位をHレベル(電源電圧Vccレベル)にする。それにより、トランジスタTr1がオンするため、キャパシタC1に記憶されたデータはビット線BL1に伝搬する。そして、後段に設けられた増幅回路は、ビット線BL1の電位に応じた読み出しデータを出力する。一方、メモリセルMC1にデータを書き込む場合、ビット線BL1の電位を書き込みデータに応じた電位にチャージした上で、ワード線WL2の電位をHレベルにする。それにより、トランジスタTr1がオンし、ビット線BL1からキャパシタC1にデータが書き込まれる。
【0048】
図3は、図1におけるT−U間の断面図である。図3に示すように、メモリセルMC16では、Pウエル上に2つのN拡散層(ノード拡散層及びビット線側拡散層)が形成される。さらに、この2つのN拡散層間のPウエル面上には、ゲート絶縁膜(不図示)及びゲート電極が順に形成される。このゲート電極はワード線WL4の一部である。また、ビット線側拡散層には、コンタクトプラグを介して、ビット線BL4が接続される。一方、ノード拡散層には、コンタクトプラグを介して、キャパシタC16の一方の電極(下部電極)が接続される。さらに、キャパシタC1〜C24の他方の電極として、共通のセルプレート電極Cpが設けられている。なお、図3の例では、シリンダ型のキャパシタ構造が採用されている。
【0049】
また、メモリセルMC10では、メモリセルMC16と同様に、Pウエル上に2つのN拡散層が形成される。さらに、この2つのN拡散層間のPウエル面上には、ゲート絶縁膜(不図示)及びゲート電極が順に形成される。このゲート電極はワード線WL2の一部である。また、ビット線側拡散層には、コンタクトプラグを介して、ビット線BL4が接続される。一方、ノード拡散層には、コンタクトプラグを介して、キャパシタC10の一方の電極(下部電極)が接続される。
【0050】
また、メモリセルMC10,MC16間では、Pウエル上に、N拡散層であるダミー拡散層D1と、P拡散層であるウエル電位拡散層K1と、が形成される。メモリセルMC10側のノード拡散層と、ダミー拡散層D1と、の間のPウエル面上には、他の列のメモリセル(例えば、メモリセルMC7)のゲート電極でもあるワード線WL3が配線される。また、ダミー拡散層D1と、ウエル電位拡散層K1と、の間のPウエル面上には、ダミーワード線DWL1が配線される。ウエル電位拡散層K1と、メモリセルMC16側のノード拡散層と、の間のPウエル面上には、ダミーワード線DWL2が配線される。
【0051】
続いて、図5A及び図5Bは、それぞれ図4に示すDRAM装置100におけるX−Y間及びA−B間の断面図である。なお、図5A及び図5Bでは、チップ面上のワード線、ビット線、キャパシタ等は省略されている。
【0052】
まず、図5Aに示すX−Y間の断面図は、2つのワード線間のチップ領域の断面を示したものである。この断面図では、Pウエル上に複数のN拡散層が等間隔で形成されるとともに、それらのN拡散層の間にSTI(Shallow Trench Isolation)が形成されている。このようにして、異なる列の複数のN拡散層は、電気的に分離されている。
【0053】
次に、図5Bに示すA−B間の断面図は、ワード線とダミーワード線との間のチップ領域の断面を示したものである。この断面図では、Pウエル上にダミー拡散層及びN拡散層が交互に等間隔で形成されるとともに、それらの間にSTIが形成されている。このようにして、異なる列のダミー拡散層及びN拡散層は、電気的に分離されている。
【0054】
このように、本実施の形態にかかるDRAM装置100は、ワード線の配線方向(延伸方向)に延在して設けられ、Pウエルの電位が供給されるP拡散層のウエル電位拡散層K1を備える。それにより、本実施の形態にかかるDRAM装置100は、Pウエルの抵抗値を低くすることができるため、寄生バイポーラ素子の動作を抑制してソフトエラーを抑制することができる。なお、本実施の形態にかかるDRAM装置100では、ウエル電位拡散層K1が無い場合と比較して、わずかにビット線方向に2セル分、面積が増大しているのみである。
【0055】
また、本実施の形態にかかるDRAM装置100では、図15に示すDRAM装置600の場合と異なり、ウエル電位拡散層が複数のワード線によって分断されない。そのため、Pウエルの電位を生成する電源は、電源配線を介して、ウエル電位拡散層K1の少なくとも一箇所に接続されれば良い。そのため、設計が容易である。例えば、Pウエルの電位を生成する電源は、電源配線を介して、ウエル電位拡散層K1の端部に接続される。もちろん、Pウエルの電位を出力する電源は、電源配線を介して、ウエル電位拡散層K1の任意の箇所に複数接続されても良い。それにより、ウエル電位拡散層K1の全領域を一定の電位に保ちやすくなる。さらに、ウエル電位拡散層K1の表面をシリサイド化することにより、Pウエルの抵抗値をさらに低くすることができる。
【0056】
また、本実施の形態にかかるDRAM装置100では、図15に示すDRAM装置600の場合と異なり、ウエル電位拡散層が複数のワード線などによって分断されることなく、ウエル電位拡散層が広範囲に形成される。それにより、本実施の形態にかかるDRAM装置100は、Pウエルの抵抗値を効果的に低くして、効率良くソフトエラーを抑制することができる。
【0057】
また、本実施の形態にかかるDRAM装置100では、図15に示すDRAM装置600の場合と異なり、ワード線がN拡散層及びP拡散層上を通過する構成ではないため、リーク電流の発生も抑制される。
【0058】
なお、ダミーワード線DWL1,DWL2は、必ずしも設けられる必要はない。ただし、ダミーワード線DWL1,DWL2を設けることにより、PウエルにP型不純物を注入(セルフアライン注入)してウエル電位拡散層K1を形成する場合に、目ずれなどでP型不純物がN拡散層領域に混入することを防止することができる。なお、ダミーワード線DWL1,DWL2にPウエルの電位を供給しておけば、表面反転層が形成されないため、N拡散層からのリーク電流の発生が抑制される。
【0059】
また、ダミー拡散層D1は、必ずしも設けられる必要はない。その場合、ダミー拡散層D1は、STIに置き換えられる。ただし、ダミー拡散層D1を設けてN拡散層の形成パターンを一定に保つことにより、N拡散層(特にダミー拡散層D1に隣接するN拡散層)の加工精度の低下を抑制できる。
【0060】
また、ウエル電位拡散層K1の幅は、図1の場合に限定されない。チップサイズが許せば、ウエル電位拡散層K1の幅はさらに大きくしても良い。ただし、その場合でも、複数のワード線WL1〜WL6及びダミーワード線DWL1,DWL2は、ダミーワード線DWL1,DWL2間を除き、等間隔で配線されていることが好ましい。
【0061】
また、N拡散層の加工精度を向上させるため、ウエル電位拡散層K1に隣接してダミーのメモリセルがさらに設けられても良い。例えば、ダミーのメモリセルは、ビット線方向に1、2個程度設けられても良い。
【0062】
<実施の形態2>
図6は、実施の形態2にかかるDRAM装置200の構成例を示す図である。図6に示すDRAM装置200では、図1に示すDRAM装置100と異なり、ワード線WL1〜WL6及びダミーワード線DWL1,DWL2が等間隔で配線されている。それに伴い、ウエル電位拡散層K2(ウエル電位拡散層K1に対応)の幅は、他のN拡散層(ノード拡散層及びビット線側拡散層)と同程度となっている。DRAM装置200のその他の構成及び動作については、DRAM装置100と同様であるため、各要素に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図7は、図6におけるR−S間の断面図である。図7からも明らかなように、ウエル電位拡散層K2の幅は、他のN拡散層と同程度となっている。
【0064】
このように、本実施の形態にかかるDRAM装置200では、ワード線WL1〜WL6及びダミーワード線DWL1,DWL2が等間隔で配線される。換言すると、ワード線ピッチが一定である。そのため、ウエル電位拡散層K2の存在のために特別な加工を要することなく、通常通りのワード線の配線が可能である。ただし、図1に示すDRAM装置100は、ウエル電位拡散層をより広範囲に形成しているため、Pウエルの抵抗値をより低下させる点で有利である。それ以外では、本実施の形態にかかるDRAM装置200は、実施の形態1にかかるDRAM装置100と同様の効果を奏することができる。
【0065】
なお、本実施の形態にかかるDRAM装置200では、ウエル電位拡散層K2が無い場合と比較して、わずかにビット線方向に1.5セル分、面積が増大しているのみである。
【0066】
<実施の形態3>
図8は、実施の形態3にかかるDRAM装置300の構成例を示す図である。図8に示すDRAM装置300では、図1に示すDRAM装置100と異なり、複数のウエル電位拡散層K3,K4が設けられる。
【0067】
具体的には、複数のワード線WL1〜WL6のうち隣接するワード線WL3,WL4間に、ダミーワード線DWL1〜DWL3が配線されている。図8の例では、複数のワード線WL1〜WL6及びダミーワード線DWL1〜DWL3は、等間隔で配置されている。ダミーワード線DWL1〜DWL3には、Pウエルの電位(接地電圧GNDレベルの電位)が供給されている。
【0068】
そして、ダミーワード線DWL1,DWL3間に、ウエル電位拡散層K3が設けられている。ダミーワード線DWL3,DWL2間に、ウエル電位拡散層K4が設けられている。ウエル電位拡散層K3,K4は、何れもPウエルの電位が供給されるP拡散層であって、ワード線WL1〜WL6の配線方向(延伸方向)に延在して設けられている。例えば、ウエル電位拡散層K3,K4のそれぞれの端部にPウエルの電位が供給されている。なお、ウエル電位拡散層K3,K4の幅(紙面の横方向)は、他のN拡散層と同程度である。
【0069】
なお、ウエル電位拡散層K3,K4は、それぞれ第1及び第2ウエル電位拡散層とも称する。第1ウエル電位拡散層(K3)を挟むダミーワード線DWL1,DWL3は、それぞれ第1及び第2ダミーワード線とも称する。第2ウエル電位拡散層(K4)を挟むダミーワード線DWL3,DWL2は、それぞれ第3及び第4ダミーワード線とも称する。第1及び第2ダミーワード線(DWL1,DWL3)を挟むワード線WL3,WL4は、それぞれ第1及び第2ワード線とも称する。第3及び第4ダミーワード線(DWL3,DWL2)を挟むワード線WL3,WL4は、それぞれ第3及び第4ワード線とも称する。
【0070】
DRAM装置300のその他の構成及び動作については、DRAM装置100と同様であるため、各要素に同一の符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図9は、図8におけるV−S間の断面図である。図9からも明らかなように、ウエル電位拡散層K3,K4の幅は、他のN拡散層と同程度となっている。
【0072】
このように、本実施の形態にかかるDRAM装置300では、ワード線WL1〜WL6及びダミーワード線DWL1〜DWL3が等間隔で配線されるため、特別な加工を要することなく通常通りのワード線の配線が可能である。それ以外では、本実施の形態にかかるDRAM装置300は、実施の形態1にかかるDRAM装置100と同様の効果を奏することができる。
【0073】
なお、本実施の形態にかかるDRAM装置300では、ウエル電位拡散層K3,K4が無い場合と比較して、わずかにビット線方向に2セル分、面積が増大しているのみである。
【0074】
本実施の形態では、2つのウエル電位拡散層K3,K4がダミーワード線DWL3を挟んで隣接して形成された場合を例に説明したが、これに限られない、2つ以上の任意の数のウエル電位拡散層が形成されても良い。
【0075】
以上のように、上記実施の形態1〜3にかかるDRAM装置は、ワード線の配線方向(延伸方向)に延在して設けられ、Pウエルの電位が供給されるP拡散層のウエル電位拡散層を備える。それにより、上記実施の形態1〜3にかかるDRAM装置は、Pウエルの抵抗値を低下させることができる。その結果、上記実施の形態1〜3にかかるDRAM装置は、寄生バイポーラ素子の動作を抑制してソフトエラーを効果的に抑制することができる。
【0076】
上記実施の形態1〜3では、メモリセルの一部を構成するトランジスタがNチャネルMISトランジスタである場合を例に説明したが、これに限られず、PチャネルMISトランジスタが用いられても良い。この場合、PチャネルMISトランジスタは、Nウエル上にP拡散層(ノード拡散層及びビット線側拡散層)を形成して設けられる。
【0077】
また、上記実施の形態1〜3では、メモリセルの一部を構成するキャパシタの構造がシリンダ(スタック)型である場合を例に説明したが、これに限られず、トレンチ型であっても良い。
【0078】
また、上記実施の形態1〜3では、24個のメモリセルが行列状に配置された場合を例に説明したが、これに限られず、任意の数のメモリセルが配置されていても良い。上記実施の形態1〜3で示したウエル電位拡散層及びダミーワード線の構成を、一つのセルアレイ内の複数の箇所に一定間隔で形成することにより、Pウエルの全体の抵抗値を低下させることができる。単純に言えば、N(Nは自然数)本のウエル電位拡散層が一定間隔で形成された場合、あるMISトランジスタから見たPウエルの抵抗値は1/(N+1)程度に低下する。
【0079】
また、上記実施の形態1〜3では、メモリセルの一部を構成するトランジスタの拡散層が、ワード線の配線方向(延伸方向)に直交する方向に配置された場合を例に説明したが、これに限られず、斜めに配置されていても良い。
【0080】
また、上記実施の形態1〜3では、Pウエルの電位は接地電圧GNDレベルでも接地電圧GNDレベルよりも低い負電位であっても良い。この場合、ウエル電位拡散層やダミーワード線にも当該負電位が供給される。Pウエルの電位が接地電圧GNDレベルよりも低い負電位の場合には、当該負電位を生成する負電圧生成回路が設けられる。
【0081】
また、上記したように、ウエル電位拡散層の表面はシリサイド化されてもよい。それにより、Pウエルの抵抗値をさらに低くすることができる。
【0082】
また、上記実施の形態1〜3では、ビット線がキャパシタの上部にあるCUB(Capacitor Under Bit line)構造の場合を例に説明したが、これに限られない。ビット線がキャパシタの下部にあるCOB(Capacitor Over Bit line)構造であっても良い。なお、何れの構造の場合も、セルプレート電極(キャパシタ上部電極)は、メモリセルの一部を構成するトランジスタを覆うように設けられている。そのため、ウエル電位拡散層の任意の箇所にPウエル電位を供給することは比較的困難である。しかし、上記実施の形態1〜3では、ウエル電位拡散層が分断されることなくワード線の配線方向(延伸方向)に延在して設けられているため、少なくともウエル電位拡散層の端部にPウエル電位を供給すれば足りる。なお、図1の場合のようにウエル電位拡散層の形成範囲(表面積)が大きければ、セルプレート電極を中抜きにすることで、ウエル電位拡散層の任意の箇所にPウエル電位を供給することが可能となる。
【0083】
上記実施の形態1〜3は、FLASHやMRAMなどのメモリよりも、主としてDRAM装置に対して有効なものである。
【0084】
(従来との差異)
なお、特許文献1に開示されたメモリデバイスは、ウエル・ノイズを軽減するために一時的にアレイウエルを所定の電位にバイアスするものであり、そもそも寄生バイポーラ素子の動作を抑制するためのものではない。また、特許文献1には、所定電位が供給されるアレイウエル上のコンタクトが具体的にどのように配置されるのかについて開示されていない。要するに、特許文献1には、ウエル電位拡散層をどのように設ければ効果的に寄生バイポーラ素子の動作を抑制できるのかについて開示されていない。一方、上記実施の形態1〜3にかかるDRAM装置は、ワード線の配線方向(延伸方向)に延在して設けられ、Pウエルの電位が供給されるP拡散層のウエル電位拡散層を備える。それにより、上記実施の形態1〜3にかかるDRAM装置は、寄生バイポーラ素子の動作を抑制してソフトエラーを効果的に抑制することができる。
【0085】
また、特許文献2等のSRAMの場合、PウエルとNウエルが交互に存在するため、ウエル電位拡散層をワード線の配線方向(延伸方向)に延在して設けることは困難である。したがって、特許文献2等のSRAMからは、上記実施の形態1〜3を容易に想到し得ない。
【0086】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0087】
100,200,300 DRAM装置
BL1〜BL6 ビット線
C1〜C24 キャパシタ
Cp セルプレート電極
D1 ダミー拡散層
DWL1〜DWL3 ダミーワード線
K1〜K4 ウエル電位拡散層
MC1〜MC24 メモリセル
Tr1〜Tr24 トランジスタ
WL1〜WL6 ワード線
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15