【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、植物を防除するのに適した装置を提供し、この装置は、高温液体のためのリザーバと、リザーバに接続された解放手段と、解放手段を通してリザーバに接続された、蒸気を含有する泡の流れを適用するためのノズルとを含み、かつ、車両によって推進され得る車輪付きトロリー又はトレーラー上に取り付けられるか、又は車両上に取り付けられる。車両は、例えば、トラクタ又は四輪バイクとすることができる。
【0007】
高温液体リザーバは、加熱手段を含むリザーバとすることができ、加熱手段は、電気の幹線又はバッテリなどの電源に接続される。従って、リザーバは、加熱された液体を貯蔵するのではなく、要求に応じてのみ、液体を加熱することができる。加熱手段は、典型的には、加熱要素である。装置は、主電源のための入力と、主電源への接続に適した加熱要素とを含むことができる。リザーバが自動車(トラクタなどの)と共に用いられる場合、電力を自動車により生成することができる。装置が電源に接続される場合、関連する加熱要素は、リザーバ内の圧力が大気圧より高くなるまで、液体を加熱するように構成することができる。水の場合、適切な温度は、95℃から105℃までの間である。解放手段は液体の流出を制御及び制限し、一方、高温液体リザーバ内の圧力は、大気圧より高いままである。例えば、圧力は、125kPaから300kPa(絶対)までの間とすることができ、例えば約200kPa又は225kPaのような175kPaから275kPa(絶対)までの間であることが好ましい。
【0008】
高温液体リザーバ内の圧力は、ポンプによってさらに上昇させることができる。例えば、圧力は、最大1.5MPa(15気圧)とすることができ、例えば1000kPa又は500kPaのように最大1.2MPaとすることがより好ましい。
【0009】
随意的に、高温液体リザーバ内の液体は、ガス、ディーゼル又はバイオ燃料などの燃料によって動力供給することができる燃焼器システムにより加熱することができる。このことは、装置が車輪付き装置である場合、又は車両若しくはトレーラー取り付け装置である場合に適用可能である。
【0010】
車輪付きトロリー装置又は車両若しくはトレーラー取り付け装置の高温液体リザーバは、電源又は車両の電力を用いることなしに、液体を、最大1時間、96℃から105℃までの温度に維持することができる容器とすることができる。従って、リザーバは、絶縁することができる。電力又は熱は、電力を生成するための車両のエンジン内のオルタネータから、又は、リザーバ内の液体温度を典型的には1時間又はそれより長く維持するために、車両から熱エネルギーを抽出するように車両に直接接続された熱交換器から、車両又はけん引車両によって与えることができる。
【0011】
車輪付きトロリー取り付け装置のための高温液体リザーバは、典型的には、最大30リットル、好ましくは5リットルから25リットルまで、より好ましくは10リットルから20リットルまでの容積の液体を保持することができる。高温液体リザーバは、装置が必要とする全ての液体を含有することができる。代替的に、装置はまた、周囲温度とすることができる液体のための貯蔵タンクと、液体を、貯蔵タンクから、液体が加熱されるリザーバに供給するための手段とを含むこともできる。この場合、高温液体リザーバの容積は、これが、加熱された液体を貯蔵するのではなく、要求に応じてのみ液体を加熱すればよいため、すぐ使用するのに必要な液体だけを含有すればよいので、より少ないものとすることができる。トレーラー内又は車両上に入れられる装置の総液体容量は、トレーラー又は車両のサイズ及び支持容量に依存するが、2000リットルより多くすることができ、トラクタのような車両については、例えば最大600リットルなど、最大1000リットルであることがより典型的であり、より小さい車両又はトレーラーについては、最大350リットルであることがより好ましく、約100リットルなど、例えば75リットルから125リットルまでなど、最大150リットルであることが典型的である。
【0012】
リザーバに供給される液体は、典型的には、界面活性剤と組み合わされた水である。界面活性剤は、典型的には、最大2%、好ましくは0.05%から2%まで、より好ましくは0.1%から1%まで、より好ましくは約0.1%の濃度で使用される。界面活性剤は、有機であっても無機であってもよい。界面活性剤は、アルキルポリグリコシドなどの生分解性発泡剤であることが好ましく、かつ、天然物であることが好ましい。界面活性剤は、リザーバ内で液体と混合することができ、又は、液体がリザーバから分配されたときに高温液体と混合することができる。
【0013】
解放手段は、例えば、開放時に液体がリザーバから出ることを可能にする弁である。1つの実施形態において、弁は、リザーバ内で蓄積される圧力を制限し、弁が解放されたときに液体がノズルから出ていくようにするのを可能にすることができる。装置は、リザーバ内の圧力が高くなりすぎるのを防止するための、圧力センサを含むことができる。しかしながら、上述のように、一部は液体を加熱することにより、及び、一部はポンプにより、リザーバ内の圧力を上昇させ、より高い圧力を達成することができる。
【0014】
リザーバの底部、側部又は上部において、解放手段をリザーバに接続することができる。好ましい実施形態においては、解放手段は、リザーバの底部に接続される。
【0015】
リザーバはまた、界面活性剤のための開口部を有することもできる。これは、例えば、点滴注入部を有する界面活性剤のボトルとしてもよく、又は、グリッドが界面活性剤をリザーバの主要部分から分離する、リザーバへの開口部を有する「タブレット・ホルダ」であってもよい。この実施形態においては、タブレットをグリッド上に置き、キャップを閉じることができる。次に、水をリザーバに加えて加熱し、これによりタブレットがグリッドを通って溶解し、リザーバ内の液体と混合される。
【0016】
ノズルは、単一の孔を有することができる。ノズルは、典型的には、指向性ノズルであるので、装置によって生成された高温泡を植物の上に正確に向けることができる。代替的に、装置には、装置の洗浄を可能にするため、及び、ノズルの幾何学的形状を容易に変更するために、交換可能なノズルを設けることができる。別の実施形態においては、泡の噴射又は噴霧を与えることができるノズルのような、可変の幾何学的形状を有するノズルを設けることもできる。ノズルは、雑草の根元の周りの幾つかの地点に泡を同時に向けるのを可能にする複数の開口部を有することができる。
【0017】
トラクタなどの車両と共に用いるのに適した、又は車両上に取り付けられた実施形態では、幾つかのノズルを含むことができるので、車両を一回通過させるだけで地面の広い面積を処理することができる。
【0018】
ノズルが単一の孔を有する場合、ノズルの孔の直径は、典型的には、最大2mm又は3mmであり、より好ましくは最大1mmである。しかしながら、ノズル孔のサイズは、装置の構成にも依存する。
【0019】
装置は、ノズルのためのシュラウドをさらに含むことができる。従って、ノズルは、シュラウド内若しくはその内側に取り付けることができ、又は、シュラウドによって一方の側を囲うことができる。ノズル及びシュラウドは、単一の品目とすることができ、又は別個の部品で形成することができる。ノズル及びシュラウドが別個の部品から成る場合、シュラウドは、装置から取り外し可能とすることができる。シュラウドは、小さい雑草を覆うようなサイズのものとすることができ、それによって蒸気/泡チャンバを生成し、熱ブランケット効果を与えることができる。関連した車両を移動させる間、ノズル及びシュラウド又は複数のノズル及びシュラウドを用いる場合、各シュラウドは、移動方向に対して、前部及び側部においてそれぞれのノズルを囲み、後部に開口部を残すように配置することができる。
【0020】
1つの実施形態において、各ノズルは、ヒンジを含む支持バーによって支持されるので、装置が地面の上を移動したとき、ノズルが障害物と衝突した場合、ノズルが揺れ戻って障害物をクリアすることができる。
【0021】
好ましい実施形態は、グループで配置された幾つかのノズルを含み、ノズルのグループの配向は、調整可能である。ノズルのグループの各々を、それぞれのシュラウドと関連付けることができる。例えば、ノズルを支持するトレーラーは、水平方向支持要素に沿って離間配置された位置でノズルのグループを支持する水平方向支持要素を含むことができる。各グループ内のノズルの配向を変更することにより、地面の上への泡の分布を変更することができる。例えば、各グループ内のノズルを移動方向に対してほぼ平行に位置合わせし、例えば、作物に影響を与えることなく、作物の列間の間隙に生えている雑草を除去することができる。ノズルのグループの各々が、移動方向に対して横断方向に延びるように回転された場合には、これにより、ノズルのグループの各々によって処理される地面の幅が増大する。ノズルのグループ間の間隔は、この配向において、ノズルのグループにより処理される地面のストライプ間に間隙がないようにされるので、表面積全体を処理することができる。
【0022】
装置が1つ又はそれ以上の加熱要素を含む場合には、各加熱要素は、典型的には、液体が要求温度に達したときにヒーターをオフにするのに用いられるサーモスタット(自動温度)調節器又は熱電対に接続される。装置は、液体が加熱要素により連続的に加熱されるように配置された、複数の加熱要素を含むことができる。例えば、リザーバには、各々が同じ量(例えば、25°又は30℃)だけ液体の温度を上昇させるように構成された、
直列の3つの加熱要素があるとすることができ、液体は、液体が要求に応じて加熱されるリザーバ内で、3つの加熱要素を通って順番に流れる。
【0023】
装置は、リザーバ内の圧力を測定するように接続された、蒸気圧力計及びフィードバック・ループを含むことが好ましい。装置が動力源に接続されると、関連する加熱要素は、リザーバ内の圧力が大気圧より高くなるまで水を加熱し、次いで、フィードバック・ループが電力を遮断するように構成することができる。蒸気圧力計及びフィードバック・ループは、加熱を制御して、液体が用いられるときに、液体を沸点に維持し、蒸気圧を大気より高く維持することができる。
【0024】
更に別の実施形態において、本発明の装置を用いて、草木の害虫及び/又は地面の害虫などの害虫を防除することができる。草木の害虫は、ブヨ及びアブラムシを含むことができる。地面の害虫は、ワラジムシ、甲皮を有する他の害虫、ナメクジ及びカタツムリを含むことができる。地面の害虫防除のために、上述の装置を用いることができる。しかしながら、草木の害虫防除のためには、水と界面活性剤が45℃から57℃まで、より好ましくは50℃から57℃までの温度まで加熱されるような可変の温度制御を含むように装置を修正することが好ましい。
【0025】
本発明はまた、植物を防除するための本発明の装置の使用も提供する。
【0026】
本発明はまた、発泡剤として作用する、水と界面活性剤を含む高温泡混合物を準備し、泡を植物の上に向けることを含む、植物を防除するための方法も提供する。好ましい実施形態において、高温泡混合物は、例えば、最大10%の蒸気、又は最大5%の蒸気のような蒸気(これらは、重量比である)をさらに含む。
【0027】
本方法は、発泡剤として作用する、水及び界面活性剤を含む液体を、96℃から105℃まで、好ましくは少なくとも102℃、随意的には、107℃など最大110℃の温度まで加熱することをさらに含むことができる。液体は、電力を用いて加熱することができる。1つの実施形態において、液体は、最初に、主電源を用いて加熱される。さらに、加熱が始まる前に、例えば、家庭用温水蛇口から、温水をリザーバに与えることができる。
【0028】
1つの実施形態において、高温泡混合物は、染料をさらに含み、泡が着色されるか、又は、泡が崩壊したときに残る残留物が着色される。
【0029】
液体が加熱され蒸気が形成されると、解放手段が開放されるたびに、蒸気は、強制的に液体を装置のノズルから出す。液体はノズルから出るときに空気と組み合わされ、典型的には蒸気を含有する高温泡を形成する。水に溶解された空気も、水が加熱されると溶液から出てきて、泡の形成を助ける。例えば、120kPa(18psi)から135kPa(20psi)(絶対圧)までのような大気圧より高い低圧を用いることができるが、最大200kPa又はそれより高いものであってもよい。圧力を上昇させるのにポンプも用いられる場合は、圧力は著しく高くなり得る。
【0030】
高温泡混合物が噴霧された枝葉は、典型的には、1日以内に枯れる。これは、草木のタイプ、及び草木に接触する泡の量によって決まる。非常に蝋の多いコーティングを有する草木は、草木に十分な熱を与えるのに、より多量の泡を必要とし得る。一部の草木は、1時間以内にしおれて色が変化する。
【0031】
本発明の方法はまた、害虫を防除するためにも用いることができる。従って、本発明は、発泡剤及び水を含む高温泡混合物を準備し、泡を害虫に向けることを含む、害虫を防除するための方法を提供する。この方法は、害虫が地面上にいる場所で、水及び発泡剤を含む液体を、96℃から105℃まで、好ましくは少なくとも102℃の温度まで加熱することをさらに含むことができる。この方法は、害虫が草木又は地面上にいる場所で、水及び発泡剤を含む液体を45℃から57℃まで、より好ましくは50℃から57℃までの温度まで加熱することをさらに含むことができる。
【0032】
ここで本発明が、添付図面を参照して、単なる一例として、さらにより具体的に説明される。