特許第5923181号(P5923181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5923181
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】HCVNS5Aの阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07K 5/06 20060101AFI20160510BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20160510BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20160510BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20160510BHJP
   C07K 5/083 20060101ALI20160510BHJP
   C07K 5/087 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   C07K5/06
   A61K37/02
   A61P31/14
   A61K45/00
   C07K5/083
   C07K5/087
【請求項の数】17
【全頁数】45
(21)【出願番号】特願2014-546499(P2014-546499)
(86)(22)【出願日】2012年12月13日
(65)【公表番号】特表2015-502360(P2015-502360A)
(43)【公表日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】EP2012075322
(87)【国際公開番号】WO2013087743
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2014年7月25日
(31)【優先権主張番号】61/576,641
(32)【優先日】2011年12月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】ブリンクマン,ジョン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】サラブ,ラーマカント
(72)【発明者】
【氏名】ソ,スン−ソウ
【審査官】 川口 裕美子
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 5/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I〜III:
【化1】
[式中:
それぞれのAは、
【化2】
からなる群より独立して選択され;
それぞれのR及びRは、H、低級アルキル、又はアリールからなる群より独立して選択され;
それぞれのRは、H、低級アルキル、又はC(=O)ORからなる群より独立して選択され;
は、低級アルキルであり;
それぞれのXは、H及びClからなる群より独立して選択され;そして
それぞれのY及びYは、H又はFからなる群より独立して選択される]の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
XがHであり、それぞれのRがHであり、そしてそれぞれのRがC(=O)OCHである、請求項1の化合物。
【請求項3】
Aがビフェニルである、請求項2の化合物。
【請求項4】
がイソプロピルである、請求項3の化合物。
【請求項5】
がHである、請求項4の化合物。
【請求項6】
がHである、請求項5の化合物。
【請求項7】
がFである、請求項4の化合物。
【請求項8】
がHである、請求項7の化合物。
【請求項9】
がFである、請求項4の化合物。
【請求項10】
がFである、請求項9の化合物。
【請求項11】
{(2S,5S)−2−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イル}−カルバミン酸メチルエステル;
{(4S,7S)−4−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−6,10−ジオキソ−オクタヒドロ−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−7−イル}−カルバミン酸メチルエステル;
{(2S,5S)−2−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−4,4−ジフルオロピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イル}−カルバミン酸メチルエステル;
及び
{(2S,5S)−2−[(S)−2−(4’−{5−クロロ−2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イル}−カルバミン酸メチルエステル
からなる群より選択される化合物。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項の化合物の治療有効量を含んでなる、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療に用いる医薬組成物
【請求項13】
免疫系調節薬、又はHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤、又はこれらの組合せとの組合わせにおいて用いる、請求項12の医薬組成物
【請求項14】
免疫系調節薬がインターフェロン又は化学的に誘導体化されたインターフェロンである、請求項13の医薬組成物
【請求項15】
抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCVプライマーゼ阻害剤、HCV融合阻害剤、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項13の医薬組成物
【請求項16】
請求項1〜11のいずれか1項の化合物を含んでなる、細胞においてHCVの複製を阻害するために用いる医薬組成物
【請求項17】
請求項1〜11のいずれか1項の化合物と医薬的に許容される賦形剤を含んでなる組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)NS5Aタンパク質の阻害剤として、HCV複製の阻害剤として、そしてC型肝炎ウイルス感染の治療に有用である、式I〜IIIの非ヌクレオシド化合物とそのいくつかの誘導体を提供する。
【発明の概要】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は、被感染個体の実質数において肝硬変及び肝細胞癌のような慢性肝疾患をもたらす重大な健康問題である。HCV感染への現行の治療法には、組換えインターフェロン−α単独での、又はヌクレオシド類似体のリバビリンとの組合せにおける免疫療法が含まれる。
【0003】
メタロプロテアーゼ(NS2−3)、セリンプロテアーゼ(NS3、アミノ酸残基:1〜180)、ヘリカーゼ(NS3、全長)、NS3プロテアーゼ補助因子(NS4A)、膜タンパク質(NS4B)、亜鉛メタロプロテイン(NS5A)、及びRNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)が含まれる、ウイルスによりコードされるいくつかの酵素は、治療介入の推定標的である。
【0004】
治療介入のために同定された1つの標的は、HCV NS5A非構造タンパク質である。非構造タンパク質であるNS5Aは、ウイルスの複製及び組立てに必須の成分である。NS5A中の既知のリン酸化部位又はその近傍での突然変異は、細胞培養系における高レベル複製の能力に影響を及ぼす可能性があり、ウイルス複製効率におけるNS5Aリン酸化の重要な役割を示唆する。NS5Aのリン酸化の阻害剤は、ウイルスのRNA複製の抑制をもたらす可能性がある。
【0005】
HCV感染の治療に有効な治療薬を開発することへの明瞭で久しく待望されたニーズがある。具体的には、HCV被感染患者を治療するのに有用である化合物とHCVウイルスの複製を選択的に阻害する化合物を開発することへのニーズがある。
【0006】
本出願は、式I〜III:
【0007】
【化1】
【0008】
[式中:
それぞれのAは、
【0009】
【化2】
【0010】
からなる群より独立して選択され;
それぞれのR及びRは、H、低級アルキル、又はアリールからなる群より独立して選択され;
それぞれのRは、H、低級アルキル、又はC(=O)ORからなる群より独立して選択され;
は、低級アルキルであり;
それぞれのXは、H及びClからなる群より独立して選択され;そして
それぞれのY及びYは、H又はFからなる群より独立して選択される]の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【0011】
本出願は、その必要な患者へ式I〜IIIのいずれか1つの化合物の治療有効量を投与することを含んでなる、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療するための方法を提供する。
【0012】
本出願は、式I〜IIIのいずれか1つの化合物と医薬的に許容される賦形剤を含んでなる組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
本明細書で使用する「(1つの)実体(a or an entity)」という句は、その実体の1以上を意味し;例えば、化合物(a compound)は、1以上の化合物又は少なくとも1つの化合物を意味する。このように、「1つ(a)」(又は「1つ(an)」)、「1以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書において交換可能的に使用し得る。
【0014】
「本明細書において上記に定義されるような」という句は、「発明の概要」又は最も広義の特許請求項において提供されるような、各基についての最も広い定義に言及する。下記に提供する他のすべての態様において、それぞれの態様に存在し得て、明白には定義されない置換基は、「発明の概要」に提供される最も広い定義を保持する。
【0015】
本明細書において使用されるように、移行句の中にあっても、特許請求項の本文の中にあっても、「含む」及び「含んでなる」という用語は、制限のない意味を有するものとして解釈されたい。即ち、この用語は、「少なくとも〜を有する」又は「少なくとも〜が含まれる」という句と同義的に解釈されたい。製造法の文脈で使用されるとき、「含んでなる」という用語は、この製造法に少なくとも引用の工程が含まれるが、追加の工程が含まれてよいことを意味する。化合物又は組成物の文脈で使用されるとき、「含んでなる」という用語は、この化合物又は組成物に少なくとも引用される特徴又は成分が含まれるが、追加の特徴又は成分も含まれてよいことを意味する。
【0016】
本明細書に使用するように、他に具体的に示さなければ、「又は(or)」という単語は、「及び/又は」という「包括的な」意味において使用されるのであって、「いずれか/又は」という「排他的な」意味では使用されない。
【0017】
「独立して」という用語は、本明細書において、ある変数が、同じか又は異なる定義を有する同じ化合物内の変数の存在又は非存在に関わることなく、どの例でも適用されることを示すために使用される。従って、R”が2回現れて、「独立して炭素又は窒素」であると定義される化合物では、両方のR”が炭素であっても、両方のR”が窒素であっても、一方のR”が炭素で他方が窒素であってもよい。
【0018】
どの変数も、本発明において利用されるか又は特許請求される化合物を図示して記載するどの部分又は式においても1回より多く出現するとき、それぞれの出現に関するその定義は、他のどの出現でのその定義から独立している。また、そのような化合物が安定した化合物を生じさえすれば、置換基及び/又は変数の複数の組合せが許容される。
【0019】
結合の末端にある「*」という記号、又は結合の中を通って引かれる「------」という記号は、官能基又は他の化学部分のそれが一部である分子の残りへの付加点をそれぞれ意味する。従って、例えば:
【0020】
【化3】
【0021】
(明確な頂点で結合するのではなく)環系の中へ引かれる結合は、その結合が好適な環原子のいずれへも付加してよいことを示す。
本明細書で使用する「任意選択の(optional)」又は「〜であってもよい(optionally)」という用語は、後続に記載される事象又は状況が生じても生じなくてもよいこと、そしてその記載には、その事象又は状況が生じる事例とそれが生じない事例が含まれることを意味する。例えば、「置換されていてもよい」は、置換されていてもよい部分が水素原子又は置換基を取り込み得ることを意味する。
【0022】
「任意選択の結合」という句は、その結合が存在しても存在していなくてもよいこと、そしてその記載には、単結合、二重結合、又は三重結合が含まれることを意味する。ある置換基が「結合」又は「非存在」であると指定されるならば、その置換基へ連結する原子は、直に結合している。
【0023】
「約」という用語は、本明細書において、「概ね」、「〜の範囲において」、「およそ」又は「〜付近」を意味するために使用される。「約」という用語がある数的範囲とともに使用されるとき、それは、示した数値の上及び下の境界を拡げることによってその範囲を修飾する。一般に、「約」という用語は、本明細書において、述べた値の上及び下の数値を20%の分散により修飾するために使用される。
【0024】
ある化合物は、互変異性を明示する場合がある。互変異性の化合物は、2以上の相互変換可能な分子種として存在し得る。プロトトロピック(prototropic)互変異性体は、共有結合した水素原子の2つの原子間での移動より生じる。一般に、互変異性体は、平衡状態で存在するので、個々の互変異性体を単離する試みからは、通常、その化学的及び物理的特性が化合物の混合物と一致している混合物が生成される。平衡の位置は、分子内の化学特性に依存している。例えば、アセトアルデヒドのような、多くの脂肪族アルデヒド及びケトンでは、ケト型が優勢である一方で、フェノール類では、エノール型が優勢である。一般的なプロトトロピック互変異性体には、ケト/エノール(−C(=O)−CH− D −C(−OH)=CH−)、アミド/イミド酸(−C(=O)−NH− D −C(−OH)=N−)、及びアミジン(−C(=NR)−NH− D −C(−NHR)=N−)の互変異性体が含まれる。終わりの2つはヘテロアリール及び複素環の環において特に一般的であって、本発明には、該化合物のすべての互変異性型が含まれる。
【0025】
本明細書において使用する技術及び科学用語は、他に定義されなければ、本発明が関連する技術分野の当業者によって普通に理解される意味を有する。本明細書では、当業者に知られた様々な方法論及び材料が参照される。薬理学の一般原理を説明する標準参考書には、「Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics(グッドマン・ギルマンの薬理書)」第10版、マクグローヒルカンパニー社、ニューヨーク(2001)が含まれる。本発明を実行するにあたっては、当業者に知られたどの好適な材料及び/又は方法も利用することができる。しかしながら、好ましい材料及び方法について記載する。以下の記載及び実施例において参照される材料、試薬、等は、他に述べなければ、市販の供給元より入手可能である。
【0026】
本明細書に記載の定義を付け加えて、「ヘテロアルキルアリール」、「ハロアルキルヘテロアリール」、「アリールアルキルヘテロシクリル」、「アルキルカルボニル」、「アルコキシアルキル」、等のような、化学的に関連した組合せを形成してよい。「アルキル」という用語が、「フェニルアルキル」又は「ヒドロキシアルキル」のように、別の用語に続く接尾辞として使用されるとき、これは、上記に定義されるようなアルキル基が、他の具体的に列挙される基より選択される1〜2の置換基で置換されていることを意味するものである。従って、例えば、「フェニルアルキル」は、1〜2のフェニル置換基を有するアルキル基を意味するので、ベンジル、フェニルエチル、及びビフェニルが含まれる。「アルキルアミノアルキル」は、1又は2のアルキルアミノ置換基を有するアルキル基である。「ヒドロキシアルキル」には、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−(ヒドロキシメチル)、3−ヒドロキシプロピル、等が含まれる。従って、本明細書で使用するように、「ヒドロキシアルキル」という用語は、下記に定義されるヘテロアルキル基の亜集合を明確化するために使用される。−(アル)アルキルという用語は、未置換のアルキル又はアラルキル基のいずれかを意味する。(ヘテロ)アリール又は(ヘト)アリールという用語は、アリール又はヘテロアリール基のいずれかを意味する。
【0027】
本明細書で使用する「スピロシクロアルキル」という用語は、例えば、スピロ[3.3]ヘプタンのようなスピロ環式シクロアルキル基を意味する。本明細書で使用する「スピロヘテロシクロアルキル」という用語は、例えば、2,6−ジアザスピロ[3.3]ヘプタンのようなスピロ環式ヘテロシクロアルキルを意味する。
【0028】
本明細書で使用する「アシル」という用語は、式:−C(=O)R(ここでRは、水素、又は本明細書に定義されるような低級アルキルである)の基を意味する。本明細書で使用する「アルキルカルボニル」という用語は、式:C(=O)R(ここでRは、本明細書に定義されるようなアルキルである)の基を意味する。C1−6アシルという用語は、6個の炭素原子を含有する基:−C(=O)Rを意味する。本明細書で使用する「アリールカルボニル」という用語は、式:C(=O)R(ここでRは、アリール基である)の基を意味し;本明細書で使用する「ベンゾイル」という用語は、Rがフェニルである「アリールカルボニル」基を意味する。
【0029】
本明細書で使用する「エステル」という用語は、式:−C(=O)OR(ここでRは、本明細書に定義されるような低級アルキルである)の基を意味する。
本明細書で使用する「アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子を含有する、非分岐鎖又は分岐鎖、飽和、一価の炭化水素残基を意味する。「低級アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を含有する、直鎖又は分岐鎖の炭化水素残基を意味する。本明細書で使用する「C1−10アルキル」は、1〜10個の炭素より構成されるアルキルを意味する。アルキル基の例には、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、又はペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルが含まれる低級アルキル基と、ヘプチル及びオクチルが含まれる。
【0030】
「アルキル」という用語が、「フェニルアルキル」又は「ヒドロキシアルキル」におけるように、別の用語に続く接尾辞として使用される場合、このことは、上記に定義されるようなアルキル基が、他の具体的に列挙される基より選択される1〜2の置換基で置換されていることを意味すると企図される。従って、例えば、「フェニルアルキル」は、残基:R’R”(ここでR’はフェニル残基であって、R”は本明細書に定義されるようなアルキレン残基である)を意味し、このフェニルアルキル部分の付加点は、アルキレン残基上にあると理解される。アリールアルキル残基の例には、限定されないが、ベンジル、フェニルエチル、3−フェニルプロピルが含まれる。「アリールアルキル」又は「アラルキル」という用語は、R’がアリール残基であること以外は、同様に解釈される。「(ヘト)アリールアルキル」又は「(ヘト)アラルキル」という用語は、R’がアリール残基又はヘテロアリール残基のいずれでもよいこと以外は、同様に解釈される。
【0031】
「ハロアルキル」又は「ハロ低級アルキル」又は「低級ハロアルキル」という用語は、1個以上の炭素原子が1個以上のハロゲン原子で置換されている、1〜6個の炭素原子を含有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素残基を意味する。
【0032】
本明細書で使用する「アルキレン」又は「アルキレニル」という用語は、他に示さなければ、1〜10個の炭素原子の二価で飽和の直鎖炭化水素残基(例、(CH)、又は2〜10個の炭素原子の二価で飽和の分岐鎖炭化水素残基(例、−CHMe−又は−CHCH(i−Pr)CH−)を意味する。メチレンの場合を除き、アルキレン基の開いた原子価は、同じ原子へ付かない。アルキレン残基の例には、限定されないが、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチル−プロピレン、1,1−ジメチル−エチレン、ブチレン、2−エチルブチレンが含まれる。
【0033】
本明細書で使用する「アルコキシ」という用語は、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシのような−O−アルキル基(ここでアルキルは、上記に定義される通りである)を意味して、それらの異性体も含まれる。本明細書で使用する「低級アルコキシ」は、先に定義したような「低級アルキル」基のあるアルコキシ基を意味する。本明細書で使用する「C1−10アルコキシ」は、−O−アルキル(ここでアルキルは、C1−10である)を意味する。
【0034】
「PCy」という用語は、3つの環式部分で三置換されたホスフィンを意味する。
「ハロアルコキシ」又は「ハロ−低級アルコキシ」又は「低級ハロアルコキシ」という用語は、1個以上の炭素原子が1個以上のハロゲン原子で置換された、低級アルコキシ基を意味する。
【0035】
本明細書で使用する「ヒドロキシアルキル」という用語は、異なる炭素原子上の1〜3個の水素原子がヒドロキシル基によって置き換えられている、本明細書に定義されるようなアルキル残基を意味する。
【0036】
本明細書で使用する「アルキルスルホニル」及び「アリールスルホニル」という用語は、式:−S(=O)R(ここでRは、それぞれ、アルキル又はアリールであって、アルキル及びアリールは、本明細書に定義される通りである)の基を意味する。本明細書で使用する「ヘテロアルキルスルホニル」という用語は、本明細書において、式:−S(=O)R(ここでRは、本明細書に定義されるような「ヘテロアルキル」である)の基を意味する。
【0037】
本明細書で使用する「アルキルスルホニルアミノ」及び「アリールスルホニルアミノ」という用語は、式:−NR’S(=O)R(ここでRは、それぞれアルキル又はアリールであり、R’は、水素又はC1−3アルキルであって、アルキル及びアリールは、本明細書に定義される通りである)の基を意味する。
【0038】
本明細書に使用する「シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子を含有する飽和炭素環式環、即ち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はシクロオキシルを意味する。本明細書に使用する「C3−7シクロアルキル」は、炭素環式環中の3〜7個の炭素で構成されるシクロアルキルを意味する。
【0039】
本明細書に使用する「カルボキシ−アルキル」という用語は、1個の水素原子がカルボキシルで置き換えられたアルキル部分を意味して、ヘテロアルキル残基の付加点は、炭素原子を介すると理解される。「カルボキシ」又は「カルボキシル」という用語は、COH部分を意味する。
【0040】
本明細書に使用する「ヘテロアリール」又は「複素芳香族(heteroaromatic)」という用語は、各環に4〜8個の原子を含有する少なくとも1つの芳香族環又は部分不飽和環を有し、1個以上のN、O、又はSヘテロ原子を取り込んで、残る環原子は炭素である、5〜12個の環原子の単環式若しくは二環式の残基を意味し、ヘテロアリール残基の付加点は、芳香族環又は部分不飽和環の上にあると理解される。当業者によく知られているように、ヘテロアリール環は、そのすべてが炭素の対照物より少ない芳香族特性を有する。従って、本発明の目的では、ヘテロアリール基は、ある度合いの芳香族特性を有しさえすればよい。ヘテロアリール部分の例には、5〜6個の環原子と1〜3個のヘテロ原子を有する単環式の芳香族複素環が含まれて、限定されないが、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、4,5−ジヒドロ−オキサゾリル、5,6−ジヒドロ−4H−[1,3]オキサゾリル、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾリン、チアジアゾール、及びオキサジアキソリンが含まれ、これらは、ヒドロキシ、シアノ、アルキル、アルコキシ、チオ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、低級ハロアルキル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、及びジアルキルアミノアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル及びカルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、アルキルカルボニルアミノ、及びアリールカルボニルアミノより選択される1以上の、好ましくは1又は2の置換基で置換されていてもよい。二環式部分の例には、限定されないが、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ナフチリジニル、5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,6]ナフチリジニル、及びベンゾイソチアゾールが含まれる。二環式部分は、いずれの環でも置換されてよいが、付加点は、ヘテロ原子を含有する環の上にある。
【0041】
本明細書に使用する「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルキル」、又は「複素環」という用語は、各環に3〜8個の原子がある、1以上の環、好ましくは1〜2の環(スピロ環式環系が含まれる)からなり、1個以上の環ヘテロ原子(N、O、又はS(=O)0−2より選択される)を取り込む、一価の飽和環式残基を意味し、そしてそれは、他に示さなければ、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、アルキルチオ、ハロ、低級ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、ニトロ、アルコキシカルボニル、アミノ、アルキルアミノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アリールアミノカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、及びこれらのイオン型より選択される1以上、好ましくは1又は2の置換基で独立的に置換されていてもよい。複素環式残基の例には、限定されないが、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ヘキサヒドロアゼピニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、キヌクリジニル、及びイミダゾリニルとこれらのイオン型が含まれる。例は、例えば、3,8−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン、2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン、又はオクタヒドロ−ピラジノ[2,1−c][1,4]オキサジンのように、二環式であってもよい。
【0042】
HCV NS5Aの阻害剤
本出願は、式I〜III:
【0043】
【化4】
【0044】
[式中:
それぞれのAは、
【0045】
【化5】
【0046】
からなる群より独立して選択され;
それぞれのR及びRは、H、低級アルキル、又はアリールからなる群より独立して選択され;
それぞれのRは、H、低級アルキル、又はC(=O)ORからなる群より独立して選択され;
は、低級アルキルであり;
それぞれのXは、H及びClからなる群より独立して選択され;そして
それぞれのY及びYは、H又はFからなる群より独立して選択される]の化合物、又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【0047】
本出願は、Aがビフェニルである、式I〜IIIの化合物を提供する。
本出願は、XがHである、式I〜IIIの化合物を提供する。
本出願は、XがClである、式I〜IIIの化合物を提供する。
【0048】
本出願は、XがHであってAがビフェニルである、式I〜IIIの化合物を提供する。
本出願は、XがClであってAがビフェニルである、式I〜IIIの化合物を提供する。
【0049】
本出願は、それぞれのRがHである、式I〜IIIの化合物を提供する。
本出願は、それぞれのRがC(=O)OCHである、式I〜IIIの化合物を提供する。
【0050】
本出願は、それぞれのRがHであってそれぞれのRがC(=O)OCHである、式I〜IIIの化合物を提供する。
本出願は、XがHであり、Aがビフェニルであり、それぞれのRがHであり、そしてそれぞれのRがC(=O)OCHである、式I〜IIIの化合物を提供する。
【0051】
本出願は、Rがメチルである、式I〜IIIの化合物を提供する。
本出願は、XがHであり、Aがビフェニルであり、それぞれのRがHであり、そしてそれぞれのRがC(=O)OCHである、式I〜IIIの化合物を提供する。
【0052】
本出願は、Rがイソプロピルである、式I〜IIIの化合物を提供する。
本出願は、両方のRがイソプロピルである、式IIIの化合物を提供する。
本出願は、一方のRがイソプロピルであって他方がフェニルである、式IIIの化合物を提供する。
【0053】
本出願は、両方のRがフェニルである、式IIIの化合物を提供する。
本出願は、XがHであり、Aがビフェニルであり、それぞれのRがHであり、それぞれのRがC(=O)OCHであり、そしてRがイソプロピルである、式I〜IIIの化合物を提供する。
【0054】
本出願は、YがHである、式I〜IIIの化合物を提供する。
本出願は、XがHであり、Aがビフェニルであり、それぞれのRがHであり、それぞれのRがC(=O)OCHであり、YがHであり、そしてRがイソプロピルである、式I〜IIIの化合物を提供する。
【0055】
本出願は、YがHである、式I〜IIIの化合物を提供する。
本出願は、XがHであり、Aがビフェニルであり、それぞれのRがHであり、それぞれのRがC(=O)OCHであり、YがHであり、YがHであり、そしてRがイソプロピルである、式I〜IIIの化合物を提供する。
【0056】
本出願は、YがFである、式I〜IIIの化合物を提供する。
本出願は、XがHであり、Aがビフェニルであり、それぞれのRがHであり、それぞれのRがC(=O)OCHであり、YがFであり、そしてRがイソプロピルである、式I〜IIIの化合物を提供する。
【0057】
本出願は、XがHであり、Aがビフェニルであり、それぞれのRがHであり、それぞれのRがC(=O)OCHであり、YがFであり、YがHであり、そしてRがイソプロピルである、式I〜IIIの化合物を提供する。
【0058】
本出願は、YがFである、式I〜IIIの化合物を提供する。
本出願は、XがHであり、Aがビフェニルであり、それぞれのRがHであり、それぞれのRがC(=O)OCHであり、YがFであり、YがFであり、そしてRがイソプロピルである、式I〜IIIの化合物を提供する。
【0059】
本出願は:
{(2S,5S)−2−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イル}−カルバミン酸メチルエステル;
{(4S,7S)−4−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−6,10−ジオキソ−オクタヒドロ−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−7−イル}−カルバミン酸メチルエステル;
{(2S,5S)−2−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−4,4−ジフルオロピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イル}−カルバミン酸メチルエステル;及び
{(2S,5S)−2−[(S)−2−(4’−{5−クロロ−2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イル}−カルバミン酸メチルエステルからなる群より選択される化合物を提供する。
【0060】
本出願は、その必要な患者へ式I〜IIIのいずれか1つの化合物の治療有効量を投与することを含んでなる、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療するための方法を提供する。
【0061】
本出願は、免疫系調節薬、又はHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤、又はこれらの組合せを投与することをさらに含んでなる、上記の方法を提供する。
本出願は、免疫系調節薬がインターフェロン又は化学的に誘導体化されたインターフェロンである、上記の方法を提供する。
【0062】
本出願は、抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCVプライマーゼ阻害剤、HCV融合阻害剤、及びこれらの組合せからなる群より選択される、上記の方法を提供する。
【0063】
本出願は、式I〜IIIのいずれか1つの化合物を投与することを含んでなる、細胞においてHCVの複製を阻害するための方法を提供する。
本出願は、式I〜IIIのいずれか1つの化合物と医薬的に許容される賦形剤を含んでなる組成物を提供する。
【0064】
本出願は、式I〜IIIのいずれか1つの化合物の、HCVの治療用医薬品の製造における使用を提供する。
本出願は、本明細書に記載されるような化合物、組成物、又は方法を提供する。
【0065】
化合物
本発明によって含まれて、本発明の範囲内にある代表的な化合物の例を以下の表に提供する。以下に続くこれらの実施例及び製法を提供するのは、当業者が本発明をより明確に理解して実践することを可能にするためである。それらは、本発明の範囲を制限するものではなく、単にその例示で代表的なものとみなすべきである。
【0066】
一般に、本出願において使用する命名法は、AUTONOMTMv.4.0(IUPAC系統命名作成用のバイルシュタイン研究所コンピュータ化システム)に基づく。図示される構造とその構造へ付与される名称の間に矛盾があれば、図示した構造がより重視されるべきである。加えるに、ある構造又はある構造の一部の立体化学が、例えば、太線又は破線で示されなければ、その構造又はその構造の部分には、そのすべての立体異性体が含まれると解釈されるべきである。
【0067】
表1は、一般式I〜IIIに従う化合物の例を図示する:
表I
【0068】
【表1-1】
【0069】
【表1-2】
【0070】
合成
一般スキーム
【0071】
【化6】
【0072】
本明細書に記載されるように、Aが:
【0073】
【化7】
【0074】
からなる群より独立して選択され得る式I〜III[それぞれのR及びRは、H、低級アルキル、又はアリールからなる群より独立して選択され得て、それぞれのRは、H、低級アルキル、又はC(=O)ORからなる群より独立して選択され得て、Rは、低級アルキルであり得て、それぞれのXは、HとClからなる群より独立して選択され得て、そしてそれぞれのY及びYは、H又はFからなる群より独立して選択され得る]の化合物は、概して、下記に図示されて記載される一般スキームに従って合成し得る。
【0075】
【化8】
【0076】
式I〜III[式中、イミダゾール上の可変基Xは、Clであり得て、該イミダゾールは、クロロ−イミダゾール部分であり得て、Aは、独立して、ビフェニル、キノリニル、ナフチル、キナゾリニル、又はキナキソリニル、又は先に定義された他のビアリール部分であり、そして構造1及び2中のBは、ヘキサヒドロ−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−6,10−ジオン又は1,2,6,7−テトラヒドロ−5H−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−4−オン又はN−アシルピロリジンであり得る]の化合物は、対応するイミダゾール(1)より、例えば、Journal of Medicinal Chemistry (1986), 29(6), 1065-80; Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and Bio-Organic Chemistry (1972-1999) (1983) (4), 809-11; Eur. Pat. Appl. (1990) EP 365030 A1 19900425; Journal of Heterocyclic Chemistry (1994), 31(5), 1121-3; PCT Int. Appl. (2007), WO 2007070433 に記載されるイミダゾール誘導体の塩素化の標準反応条件を使用して製造することができる(スキーム1)。
【0077】
スキーム2
【0078】
【化9】
【0079】
式1の化合物は、アミン(2)とカルボン酸(3)の標準的なペプチド結合形成反応を介したカップリングより製造することができる。式2の化合物は、式4の化合物より、このアミン基の脱保護化を介して容易に製造することができる(スキーム3)。
【0080】
スキーム3
【0081】
【化10】
【0082】
式4の化合物は、式5の化合物と式6の化合物のカップリングより製造し得て、生じる化合物を酢酸アンモニウムの存在下に、トルエンのような溶媒において加熱することができる(スキーム4)。
【0083】
スキーム4
【0084】
【化11】
【0085】
式5の化合物は、プロリン誘導体より出発して、容易に入手可能である。式6の化合物は、対応するカルボン酸より入手可能であって、これは、下記に示す一般的な反応スキーム(スキーム5)より入手することができる。
【0086】
スキーム5
【0087】
【化12】
【0088】
「B」が三環式のヘキサヒドロ−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−6,10−ジオンである式3の化合物は、市販のFMOC保護化中間体(7)より出発し、式8の中間体の製造を介して製造することができる(スキーム6)。この中間体8を容易に入手可能な適正に保護されたプロリン誘導体とカップリングさせて、中間体3を入手することができる。
【0089】
スキーム6
【0090】
【化13】
【0091】
「B」が二環式の1,2,6,7−テトラヒドロ−5H−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−4−オンである式3の化合物は、(9)(Attwood, M. R et al, Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and Bio-Organic Chemistry (1972-1999) 1986, 1011-19)より出発し、誘導体(10)へのその変換を介して製造することができて、これを適正に保護されたプロリン誘導体が関与する標準的な一連の反応を介して式3の化合物へ変換することができる(スキーム7)。「B」がN−アシルピロリジンである式3の化合物は、対応するプロリン誘導体より容易に入手可能である。
【0092】
スキーム7
【0093】
【化14】
【0094】
医薬組成物と投与
本主題の化合物のいくつかの経路を介した投与用の医薬組成物は、本実施例に記載のように調製した。
【0095】
経口投与用の組成物(A)
【0096】
【表2】
【0097】
諸成分を混合して、カプセルの中へそれぞれ約100mgを含有して分配する;1つのカプセル剤は、一日総投与量に近くなる。
経口投与用の組成物(B)
【0098】
【表3】
【0099】
諸成分を組み合わせて、メタノールのような溶媒を使用して造粒する。次いで、この製剤を乾燥させて、適正な打錠機で錠剤(約20mgの活性化合物を含有する)へ成型する。
【0100】
経口投与用の組成物(C)
【0101】
【表4】
【0102】
諸成分を混合して、経口投与用の懸濁液剤を生成する。
非経口投与用の製剤(D)
【0103】
【表5】
【0104】
有効成分をある分量の注射用水に溶かす。次いで、この溶液を等張にするのに十分な量の塩化ナトリウムを撹拌しながら加える。この溶液を、残りの注射用水で重量調節し、0.2ミクロンの膜フィルターに通して濾過して、無菌条件下に包装する。
【0105】
剤形と投与
本発明の化合物は、多種多様な経口投与剤形及び担体において製剤化することができる。経口投与は、錠剤、被覆錠剤、糖衣錠剤、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、溶液剤、乳液剤、シロップ剤、又は懸濁液剤の形態であり得る。本発明の化合物は、他の投与経路の中でも、連続(静脈内点滴)、局所、非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮(これには、浸透エンハンサーを含めてよい)、頬内、経鼻、吸入、及び坐剤投与が含まれる、他の投与経路によって投与されるときに有効である。一般的には、好ましい投与手段は、苦痛の度合いと有効成分への患者の応答に従って調整することができる、簡便な毎日の投薬レジメンを使用する経口投与である。
【0106】
本発明の単数又は複数の化合物は、その医薬品として使用可能な塩と同様に、1以上の慣用の賦形剤、担体、又は希釈剤と一緒に、医薬組成物及び単位剤形の形態の中へ入れることができる。医薬組成物と単位剤形は、慣用の比率での慣用の成分より、追加の活性化合物又は成分の有り無しで構成されてよくて、単位剤形は、企図される1日投与量範囲に釣り合った有効成分を利用するのに適したどの有効量も含有してよい。医薬組成物は、錠剤又は充填カプセル剤、半固形剤、散剤、持続放出製剤のような固形剤、又は溶液剤、懸濁液剤、乳液剤、エリキシル剤、又は経口使用の充填カプセル剤のような液剤として、又は直腸又は膣内投与用の坐剤の形態で、又は非経口使用のための注射可能な無菌溶液剤の形態で利用してよい。典型的な調製物は、約5〜約95(w/w)%の単数又は複数の活性化合物を含有するものである。「調製物」又は「剤形」という用語には、活性化合物の固体製剤と液体製剤がともに含まれると企図されて、当業者は、標的の臓器又は組織に、そして所望される用量及び薬物動態変数に依存して、有効成分が異なる調製物において存在し得ることを理解されよう。
【0107】
本明細書で使用する「賦形剤」という用語は、医薬組成物を調製するのに有用であり、概して安全、無害で、生物学的にも他の点でも望ましくなくはない化合物を意味して、ヒトの医薬使用だけでなくて、獣医学での使用にも受け容れられる賦形剤が含まれる。本発明の化合物は、単独で投与し得るが、一般的には、企図される投与経路と標準の医薬実践に関連して選択される、1以上の好適な医薬賦形剤、希釈剤、又は担体と混合して投与されるものである。
【0108】
「医薬的に許容される」は、概して安全、無害で、生物学的にも他の点でも望ましくなくはない医薬組成物を調製するときに有用であることを意味して、ヒトの医薬使用だけでなくて、獣医学での使用にも受け容れられることが含まれる。
【0109】
有効成分の「医薬的に許容される塩」型は、非塩型には非存在であった望ましい薬物動態特性を有効成分に初めて付与する場合もあり、有効成分の身体中でのその治療活性に関する薬力学にプラスの影響を及ぼす場合さえある。化合物の「医薬的に許容される塩」という句は、医薬的に許容されて、親化合物の所望の薬理学的活性を保有する塩を意味する。そのような塩には、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、等のような無機酸とともに生成される酸付加塩;又は、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフト酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコ酸、等のような有機酸とともに生成される酸付加塩;又は(2)親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン(例、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアルミニウムイオン)に置き換わるか、又はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン、等のような有機塩基と配位結合するときに生成される塩が含まれる。
【0110】
固体形態の調製物には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散可能な顆粒剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、又は被包化材料としても作用し得る、1以上の物質であり得る。散剤において、担体は、一般に、細分化された有効成分との混合物である、細分化された固形物である。錠剤では、一般的に、必要な結合能力を有する担体と有効成分を好適な比率で混合して、所望される形状及び大きさに圧縮する。好適な担体には、限定されないが、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココア脂、等が含まれる。固形調製物は、有効成分に加えて、着色剤、香味剤、安定化剤、緩衝剤、人工及び天然の甘味料、分散剤、濃化剤、安定化剤、等を含有してよい。
【0111】
液体製剤も経口投与に適していて、液体製剤には、乳液剤、シロップ剤、エリキシル剤、水溶液剤、水性懸濁液剤が含まれる。これらには、使用の直前に液体形態の調製物へ変換されるように企図された固形調製物が含まれる。乳液剤は、溶液剤、例えば、水性プロピレングリコール溶液剤において調製し得るか、又はレシチン、ソルビタンモノオレエート、又はアカシアのような乳化剤を含有してよい。水溶液剤は、有効成分を水に溶かして、好適な着色剤、香味剤、安定化剤、及び濃化剤を加えることによって調製することができる。水性懸濁液剤は、細分化した有効成分を、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び他のよく知られた懸濁剤といった粘稠な材料とともに水に分散させることによって調製することができる。
【0112】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射、例えば、ボーラス注射又は持続点滴による)用に製剤化してよく、アンプル剤、プレ充填シリンジ剤、少量注入剤での単位用量形態において、又は保存剤を加えた多用量容器において提示してよい。この組成物は、油性又は水性の媒体(vehicle)中の懸濁液剤、溶液剤、又は乳液剤、例えば、水性ポリエチレングリコール中の溶液剤のような形態を取り得る。油性又は非水性の担体、希釈剤、溶媒、又は媒体の例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例、オリーブ油)、及び注射可能な有機エステル(例、オレイン酸エチル)が含まれて、保存剤、湿潤剤、乳化剤又は懸濁剤、安定化剤、及び/又は分散剤のような製剤用の薬剤を含有してよい。あるいは、有効成分は、無菌固形物の防腐的な単離によって、又は好適な媒体(例、無菌の発熱性物質除去水)で使用前に構成するための溶液からの凍結乾燥によって入手される粉末形態であり得る。
【0113】
本発明の化合物は、軟膏剤、クリーム剤、又はローション剤として、又は経皮パッチ剤として表皮への局所投与用に製剤化してよい。軟膏剤及びクリーム剤は、例えば、水性又は油性の基剤とともに、好適な濃化剤及び/又はゲル化剤を加えて製剤化してよい。ローション剤は、水性又は油性の基剤とともに製剤化してよくて、一般的には、1以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、濃化剤、又は着色剤も含有する。口腔中での局所投与に適した製剤には、香味基剤(通常は、ショ糖及びアカシア又はトラガカント)に活性薬剤を含んでなる口内錠;ゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアカシアのような不活性基剤に有効成分を含んでなる香錠;及び好適な液体担体に有効成分を含んでなる含嗽剤が含まれる。
【0114】
本発明の化合物は、坐剤としての投与用に製剤化してよい。脂肪酸グリセリド又はココア脂の混合物のような低融点ワックスを最初に融かして、有効成分を、例えば、撹拌によって均質に分散させる。次いで、この融けた均質混合物を簡便な大きさの型の中へ注ぎ、そのまま冷やして、固まらせる。
【0115】
本発明の化合物は、膣内投与用に製剤化してよい。有効成分に加えて、当該技術分野で適正であると知られているような担体を含有する、ペッサリー剤、タンポン剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、又はスプレー剤である。
【0116】
本発明の化合物は、経鼻投与用に製剤化してよい。この溶液剤又は懸濁液剤は、慣用の手段によって、例えば、点滴器、ピペット、又はスプレーで、鼻腔へ直接適用される。この製剤は、単用量又は多用量の形態で提供してよい。後者の点眼器又はピペットの場合、これは、適正な所定量の溶液剤又は懸濁液剤を患者が投与することによって達成され得る。スプレーの場合、これは、例えば、目盛の付いた微粒化スプレーポンプの手段によって達成され得る。
【0117】
本発明の化合物は、特に、気道への鼻腔内投与が含まれる、エアゾール投与用に製剤化してよい。一般に、本化合物は、例えば、5ミクロン以下のオーダーの小さな粒径を有するものである。このような粒径は、当該技術分野で知られた手段によって、例えば、微粒子化によって得ることができる。有効成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、又はジクロロテトラフルオロエタン、又は二酸化炭素又は他の好適なガスのような好適な推進剤付きの加圧パックにおいて提供される。エアゾール剤は、簡便には、レシチンのような界面活性剤も含有してよい。薬物の用量は、目盛付きの栓によって制御され得る。あるいは、有効成分は、乾燥粉末、例えば、乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなデンプン誘導体、及びポリビニルピロリドン(PVP)のような好適な粉末基剤中の化合物の粉末混合物の形態で提供してよい。この粉末担体は、鼻腔中でゲルを生成する。粉末組成物は、例えば、そこからその粉末が吸入器の手段によって投与され得る、例えばゼラチンのカプセル又はカートリッジ、又はブリスターパック中の単位用量形態で提示してよい。
【0118】
所望される場合、製剤は、有効成分の持続又は制御放出投与に適用される腸溶コーティング剤とともに調製することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮又は皮下の薬物送達デバイスにおいて製剤化することができる。これらの送達系は、化合物の持続放出が必要であるとき、そして治療レジメンでの患者コンプライアンスがきわめて重要であるときに有利である。経皮送達系では、化合物を皮膚接着性の固体支持体へ付けることが多い。関心対象の化合物は、浸透エンハンサー、例えばアゾン(1−ドデシルアザ−シクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることもできる。持続放出送達系を、手術又は注射によって皮下層の中へ皮下的に挿入する。この皮下インプラントは、脂溶性の膜(例えば、シリコーンゴム)又は生分解性ポリマー(例えば、ポリ乳酸)の中に化合物を被包化する。
【0119】
好適な製剤については、医薬担体、希釈剤、及び賦形剤とともに、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy(レミントン:製剤の科学及び実践)」E. W. Martin 監修、マック・パブリッシング・カンパニー(1995)、第19版、ペンシルヴェニア州イーストンに記載されている。熟練した製剤科学者は、本明細書の教示内の製剤を変更して、本発明の組成物を不安定にすることも、その治療活性を損なうこともなく、特別な投与経路用に数多くの製剤を提供することができよう。
【0120】
例えば、本発明の化合物を例えば水又は他の媒体により溶けるように修飾することは、当該技術分野の通常技術の範囲内にある、わずかな修飾(塩製剤化、エステル化、等)によって容易に達成することができる。特別な化合物の投与経路や投与レジメンを変更して、本発明の化合物の薬物動態を患者において最大限に有益な効果のために管理することも、当該技術分野の通常の技術の範囲内にある。
【0121】
本明細書で使用する「治療有効量」という用語は、個体の疾患の症状を抑えるのに必要とされる量を意味する。この用量は、それぞれの特別な症例における個々の要件に応じて調整されるものである。その投与量は、治療すべき疾患の重症度、患者の年齢と全般的な健康状態、患者が治療されている他の医薬品、投与の経路及び形態、及び関与する医療従事者の選好及び経験といった数多くの要因に依存して、広い限度内で変動する可能性がある。経口投与では、単独療法において、及び/又は組合せ療法において、1日につき約0.01mg/kg(体重)と約1000mg/kg(体重)の間の1日投与量が適正であるべきである。好ましい1日投与量は、1日につき約0.1mg/kg(体重)と約500mg/kg(体重)の間、より好ましくは、0.1mg/kg(体重)と約100mg/kg(体重)の間、そして最も好ましくは、1.0mg/kg(体重)と約10mg/kg(体重)の間である。従って、70kgのヒトへの投与では、投与量範囲は、1日につき約7mg〜0.7gであろう。1日投与量は、単回投与量として投与しても、分割投与量において、典型的には1日につき1回と5回の間で投与してもよい。一般に、治療は、化合物の最適用量未満である、より少ない投与量で開始される。その後、投与量は、個々の患者への最適効果に達するまで、少量ずつ増加される。当業者は、本明細書に記載の疾患を治療する場合に、過当な実験なしに、そして個人の知識、経験と本出願の開示に依拠して、所与の疾患及び患者への本発明の化合物の治療有効量を確定することができよう。
【0122】
医薬調製物は、好ましくは、単位剤形にある。そのような形態において、調製物は、有効成分の適正量を含有する単位用量へ細分される。単位剤形は、包装された調製物であり得て、この包装品は、パケット錠剤、カプセル剤、及びバイアル又はアンプル中の散剤のように、離散量の調製物を含有する。また、単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、又は口内錠そのものであっても、上記のいずれの適正数が包装形態にあるものであってもよい。
【0123】
適応症と治療法
適応症
本発明の化合物とその異性体型とそれらの医薬的に許容される塩は、HCV感染を治療することと予防することに有用である。
【0124】
本出願は、その必要な患者へ式I〜IIIのいずれか1つの化合物の治療有効量を投与することを含んでなる、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療するための方法を提供する。
【0125】
本出願は、式I〜IIIのいずれか1つの化合物を投与することを含んでなる、細胞においてHCVの複製を阻害するための方法を提供する。
組合せ療法
本発明の化合物とその異性体型とそれらの医薬的に許容される塩は、単独で、又はHCVライフサイクルに関与するウイルス又は細胞の要素又は機能を標的とする他の化合物との組合せにおいて使用するとき、HCV感染を治療することと予防することに有用である。本発明に有用な化合物の群には、限定無しに、HCV抗ウイルス薬のすべての群が含まれる。
【0126】
組合せ療法のために、本発明の化合物と組み合わされるときに有用であり得る薬剤の作用機序の群には、例えば、HCVポリメラーゼのヌクレオシド及び非ヌクレオシド阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、ヘリカーゼ阻害剤、NS4B阻害剤、及び内部リボソーム進入部位(IRES)を機能的に阻害する医療用薬剤と、HCV細胞付着又はウイルス進入、HCV RNA翻訳、HCV RNA転写、複製、又はHCV成熟化、組立て、又はウイルス放出を阻害する他の医薬品が含まれる。本発明に有用な、上記群の具体的な化合物には、限定されないが、テラプラビル(VX−950)、ボセプレビル(SCH−503034)、ナルラプレビル(SCH−900518)、ITMN−191(R−7227)、TMC−435350(TMC−435としても知られる)、MK−7009、BI−201335、BI−2061(シルプレビル)、BMS−650032、ACH−1625、ACH−1095(HCV NS4Aプロテアーゼ補助因子阻害剤)、VX−500、VX−813、PHX−1766、PHX2054、IDX−136、IDX−316、ABT−450 EP−0 13420(及び同種のもの)、及びVBY−376のような、大環状、複素環式、及び直鎖状のHCVプロテアーゼ阻害剤が含まれ;本発明に有用なヌクレオシド性HCVポリメラーゼ(レプリカーゼ)阻害剤には、限定されないが、R7128、PSI−7851、IDX−184、IDX−102、R1479、UNX−08189、PSI−6130、PSI−938、及びPSI−879と、2’−C−メチル修飾ヌクレオシド(チド)、4’−アザ修飾ヌクレオシド(チド)、及び7’−デアザ修飾ヌクレオシド(チド)として誘導されるものを(限定されないが)含めて、様々な他のヌクレオシド及びヌクレオチド類似体とHCV阻害剤が含まれる。本発明に有用な非ヌクレオシド性HCVポリメラーゼ(レプリカーゼ)阻害剤には、限定されないが、HCV−796、HCV−371、VCH−759、VCH−916、VCH−222、ANA−598、MK−3281、ABT−333、ABT−072、PF−00868554、BI−207127、GS−9190、A−837093、JKT−109、GL−59728、及びGL−60667が含まれる。
【0127】
加えて、本発明の化合物は、シクロフィリン及びイムノフィリン拮抗薬(例、限定無しに、DEBIO化合物、NM−811、並びにシクロスポリンとその誘導体)、キナーゼ阻害剤、熱ショックタンパク質(例、HSP90及びHSP70)の阻害剤、限定無しに、Intron(イントロン)−A、Roferon(ロフェロン)−A、Canferon(キャンフェロン)−A300、Advaferon、Infergen、Humoferon、Sumiferon MP、Alfaferone、IFN−β、Feron、等のようなインターフェロン類(−α、−β、−ω、−γ、−λ、又は合成品);PEGインターフェロン−α−2a(Pegasys)、PEGインターフェロン−α−2b(PEGIntron)、ペグ化IFN−α−con1、等のようなポリエチレングリコール誘導体化(ペグ化)インターフェロン化合物;アルブミン融合インターフェロン、Albuferon、Locteron、等のようなインターフェロン化合物の長時間作用型製剤及び誘導体;様々な種類の制御放出系があるインターフェロン類(例、ITCA−638、DUROS皮下送達系によって送達されるω−インターフェロン);レシキモド、等のような、細胞中でのインターフェロンの合成を刺激する化合物;インターロイキン類;SCV−07、等のような、1型ヘルパーT細胞応答の発現を高める化合物;CpG−10101(アクチロン)、イソトラビン、ANA773、等のようなTOLL様受容体作動薬;サイモシンα−1;ANA−245及びANA−246;二塩酸ヒスタミン;プロパゲルマニウム;テトラクロロデカオキシド;アンプリゲン;IMP−321;KRN−7000;シバシル、XTL−6865、等のような抗体、並びに、InnoVacC、HCV E1E2/MF59、等のような予防用及び治療用ワクチンを含めることができる、他の免疫調節剤との組合せにおいて使用することができる。加えて、NS5A阻害剤、I型インターフェロン受容体作動薬(例、IFN−α)及びII型インターフェロン受容体作動薬(例、IFN−γ)を投与することに関連する上記方法のいずれも、有効量のTNF−α拮抗薬の投与によって増強することができる。そのような組合せ療法における使用に適している例示の非限定的なTNF−α拮抗薬には、ENBREL、REMICADE、及びHUMIRAが含まれる。
【0128】
加えて、本発明の化合物は、限定無しに、プロドラッグのニタゾキサニドのような、HCV感染の治療に有効であると考えられている、抗原虫薬や他の抗ウイルス薬との組合せにおいて使用することができる。ニタゾキサニドは、ペグインターフェロンα−2a及びリバビリンのような、HCV感染を治療するのに有用な他の薬剤との組合せにおいてだけでなく、本発明に開示される化合物との組合せにおいても薬剤として使用し得る。
【0129】
本発明の化合物はまた、インターフェロン及びペグ化インターフェロンの代替型、リバビリン又はその類似体(例、タラババリン、レボビロン)、マイクロRNA、低分子干渉RNA化合物(例、SIRPLEX−140−N、等)、ヌクレオチド又はヌクレオシド類似体、免疫グロブリン類、肝臓保護薬、抗炎症剤と他のNS5A阻害剤と共に使用し得る。HCVライフサイクルにおける他の標的の阻害剤には、NS3ヘリカーゼ阻害剤;NS4A補助因子阻害剤;ISIS−14803、AVI−4065、等のようなアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤;ベクターコード化短ヘアピンRNA(shRNA);ヘプタザイム、RPI、13919、等のようなHCV特異的リボザイム;HepeX−C、HuMax−HepC、等のような進入阻害剤;セルゴシビル、UT−231B、等のようなαグルコシダーゼ阻害剤;KPE−02003002とBIVN401及びIMPDH阻害剤が含まれる。他の例示のHCV阻害性化合物には、以下の公表文献:米国特許第5,807,876号;6,498,178号;6,344,465号;及び6,054,472号;PCT特許出願公開公報番号:WO97/40028;WO98/40381;WO00/56331、WO02/04425;WO03/007945;WO03/010141;WO03/000254;WO01/32153;WO00/06529;WO00/18231;WO00/10573;WO00/13708;WO01/85172;WO03/037893;WO03/037894;WO03/037895;WO02/100851;WO02/100846;WO99/01582;WO00/09543;WO02/18369;WO98/17679、WO00/056331;WO98/22496;WO99/07734;WO05/073216、WO05/073195、及びWO08/021927に開示されるものが含まれる。
【0130】
付言すると、例えば、リバビリン及びインターフェロンの組合せは、本発明の化合物の少なくとも1つとの多剤組合せ療法として投与し得る。本発明は、上述の群にも化合物にも限定されず、既知及び新規の化合物と生理活性薬剤の組合せを考慮する。本発明の組合せ療法には、本発明の群の化合物の、本発明群の他の化合物、又は本発明群以外の他の化合物とのあらゆる化学的に適合可能な組合せが、その組合せが本発明群の化合物の抗ウイルス活性も、それ自体の医薬組成物の抗ウイルス活性も消失させない限りにおいて、含まれると企図される。
【0131】
組合せ療法は、連続的であり得る、即ち、1つの薬剤で最初に、次いで第二の薬剤で治療すること(例えば、それぞれの治療が本発明の異なる化合物を含む場合、又は一方の治療が本発明の化合物を含んで、他の治療が1以上の生理活性薬剤を含む場合)、又はそれは、両方の薬剤で同じ時に(同時に)治療することであり得る。連続療法には、第一療法の完了後から第二療法の開始前の妥当な時間が含まれ得る。両方の薬剤で同時の治療は、同じ1日用量であっても、別々の用量でもよい。組合せ療法は、2種の薬剤に限定される必要はなく、3種以上の薬剤を含めてよい。同時的な組合せ療法と連続的な組合せ療法のいずれの投与量も、組合せ療法の成分の吸収、分布、代謝、及び排出の速度、並びに当業者に知られた他の要因に依存するものである。投与量の数値も、緩和すべき状態の重症度に応じて変動するものである。さらに、どの特別な被験者でも、特定の投与レジメン及び計画は、個々のニーズと、組合せ療法を投与するか又はその投与を監視する当業者の判断に応じて経時的に調整してよい。
【0132】
本出願は、その必要な患者へ式I〜IIIのいずれか1つの化合物の治療有効量を投与することを含んでなる、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療するための方法を提供する。
【0133】
本出願は、免疫系調節薬、又はHCVの複製を阻害する抗ウイルス剤、又はこれらの組合せを投与することをさらに含んでなる、上記の方法を提供する。
本出願は、免疫系調節薬がインターフェロン又は化学的に誘導体化されたインターフェロンである、上記の方法を提供する。
【0134】
本出願は、抗ウイルス剤が、HCVプロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCVプライマーゼ阻害剤、HCV融合阻害剤、及びこれらの組合せからなる群より選択される、上記の方法を提供する。
【実施例】
【0135】
略語
通常使用される略語には、アセチル(Ac)、アゾ−ビス−イソブチリルニトリル(AIBN)、気圧(Atm)、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9−BBN又はBBN)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ピロ炭酸ジtert−ブチル又はboc無水物(BOCO)、ベンジル(Bn)、ブチル(Bu)、ケミカル・アブストラクト登録番号(CASRN)、ベンジルオキシカルボニル(CBZ又はZ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)、ジベンジリデンアセトン(dba)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ジクロロメタン(DCM)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL又はDIBAL−H)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、エチル(Et)、酢酸エチル(EtOAc)、エタノール(EtOH)、2−エトキシ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル(EEDQ)、ジエチルエーテル(EtO)、エチルイソプロピルエーテル(EtOiPr)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・ヘキサフルオロリン酸塩(HATU)、酢酸(HOAc)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、イソプロパノール(IPA)、塩化イソプロピルマグネシウム(iPrMgCl)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、液体クロマトグラフィー質量分析法(LSMS)、リチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA)、メタノール(MeOH)、融点(mp)、MeSO−(メシル又はMs)、メチル(Me)、アセトニトリル(MeCN)、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、質量スペクトル(ms)、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、n−ブチルリチウム(nBuLi)、N−カルボキシ無水物(NCA)、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−メチルピロリドン(NMP)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、ジクロロ−((ビス−ジフェニルホスフィノ)フェロセニル)パラジウム(II)(Pd(dppf)Cl)、酢酸パラジウム(II)(Pd(OAc))、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))、ジクロム酸ピリジニウム(PDC)、フェニル(Ph)、プロピル(Pr)、イソプロピル(i−Pr)、重量ポンド毎平方インチ(psi)、ピリジン(pyr)、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1’−(ジtert−ブチルホスフィノ)フェロセン(Q−Phos)、室温(周囲温度、rt、又はRT)、sec−ブチルリチウム(sBuLi)、tert−ブチルジメチルシリル又はt−BuMeSi(TBDMS)、フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAF)、トリエチルアミン(TEA又はEtN)、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)、トリフレート又はCFSO−(Tf)、トリフルオロ酢酸(TFA)、1,1’−ビス−2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−2,6−ジオン(TMHD)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム・テトラフルオロホウ酸塩(TBTU)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、テトラヒドロフラン(THF)、トリメチルシリル又はMeSi(TMS)、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOH又はpTsOH)、4−Me−CSO−又はトシル(Ts)、及びN−ウレタン−N−カルボキシ無水物(UNCA)が含まれる。接頭辞のノルマル(n−)、イソ(i−)、二級(sec−)、三級(tert−)、及びネオ(neo−)が含まれる慣用の命名法は、アルキル部分とともに使用されるときにその通例の意味を有する(J. Rigaudy and D. P. Klesney,「Nomenclature in Organic Chemistry(有機化学の命名法)」IUPAC1979,ペルガモン・プレス、オックスフォード)。
【0136】
全般的な条件
本発明の化合物は、以下の「実施例」セクションに記載する例示の合成反応スキームにおいて図示される多様な方法によって作製することができる。
【0137】
上記の化合物を製造するときに使用する出発材料及び試薬は、一般に、アルドリッチ・ケミカル社のような市販供給業者から入手可能であるか、又は「Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis(フィーザーの有機合成試薬)」ウィリー・アンド・サンズ、ニューヨーク(1991)1-15 巻;「Rodd's Chemistry of Carbon Compounds(ロッドの炭素化合物の化学)」、エルセヴィエ・サイエンス・パブリッシャーズ(1989)1-5 巻、及び補遺;並びに、「Organic Reactions(有機反応)」ウィリー・アンド・サンズ:ニューヨーク(1991)、1-40 巻のような参考文献に示される手順に従って、当業者に知られた方法によって製造する。「実施例」セクションに示す合成反応スキームは、本発明の化合物を合成し得るいくつかの方法を単に例示するのであって、当業者には、本出願に含まれる開示を参考にして、これらの合成反応スキームへの様々な修飾をなし得て、それらが示唆され得ると理解されたい。
【0138】
合成反応スキームの出発材料及び中間体は、所望されるならば、限定されないが、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー、等が含まれる慣用の技術を使用して、単離して精製することができる。このような材料は、物理定数及びスペクトルデータが含まれる、慣用の手段を使用して特性決定することができる。
【0139】
反対に特定されなければ、本明細書に記載の反応は、典型的には、大気圧での不活性な雰囲気下に、約−78℃〜約150℃、しばしば、約0℃〜約125℃の反応温度範囲で、そしてより頻繁で簡便には、ほぼ室温(又は周囲温度)、例えば、約20℃で行う。
【0140】
本発明の化合物上の様々な置換基は、出発化合物に存在し得るか又は、既知の置換又は変換反応の方法によって、中間体のいずれへ付加しても、最終生成物の形成の後で付加してもよい。置換基それ自体が反応性であるならば、置換基それ自体を当該技術分野で知られた技術に従って保護することができる。当該技術分野では多様な保護基が知られていて、利用することができる。Green et al. による「Protective Groups in Organic Synthesis(有機合成の保護基)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(1999)には、可能な基の多くの例を見出すことができる。例えば、ニトロ化によってニトロ基を付加することができて、そのニトロ基は、還元によってアミノのような他の基へ、そしてこのアミノ基のジアゾ化とジアゾ基のハロゲンでの置換によってハロゲンのような他の基へ変換することができる。フリーデル・クラフツアシル化によってアシル基を付加することができる。次いで、このアシル基は、ウォルフ・キッシュナー還元とクレメンゼン還元が含まれる様々な方法によって、対応するアルキル基へ変換することができる。アミノ基をアルキル化して、モノ及びジアルキルアミノ基を生成し得て、メルカプト基とヒドロキシ基をアルキル化して、対応するエーテルを生成することができる。一級アルコールを当該技術分野で知られた酸化剤によって酸化してカルボン酸又はアルデヒドを生成し得て、二級アルコールを酸化して、ケトンを生成することができる。このように、置換又は改変の諸反応を利用して、出発材料、中間体、又は最終生成物(単離生成物が含まれる)の分子を通して多様な置換基を提供することができる。
【0141】
製造の実施例
実施例1
{(2S,5S)−2−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イル}−カルバミン酸メチルエステル
【0142】
【化15】
【0143】
(S)−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボン酸(2.00g,9.29ミリモル)、4−ブロモアニリン(1.60g,9.29ミリモル)、HATU(3.53g,9.29ミリモル)、及びDMF(15ml)の不均質な混合物へN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(3.60g,27.90ミリモル)を室温で滴下した。滴下が完了した後で、この反応物を室温で16時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈して、水、1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮して、2−(4−ブロモフェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボン酸(S)−tert−ブチル(3.40g,99%)を灰白色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C16H21BrN2O3[M+] の計算値:369, 実測値:370 [M+H+]。
【0144】
メタノール(20ml)中の2−(4−ブロモフェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボン酸(S)−tert−ブチル(3.40g,9.21ミリモル)及び4.0M HCl/ジオキサン溶液(15ml)の混合物を室温で4時間撹拌した。この反応物を真空で濃縮して、(S)−N−(4−ブロモフェニル)ピロリジン−2−カルボキサミド塩酸塩(2.78g,99%)を淡褐色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C11H13BrN2O HCl [M+] の計算値:305.5, 実測値:270 [M+H+](遊離塩基)。
【0145】
(2S,5S)−5−(((9H−フルオレン−9−イル)メトキシ)カルボニルアミノ)−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−2−カルボン酸(300mg,640ミリモル)、(S)−N−(4−ブロモフェニル)ピロリジン−2−カルボキサミド塩酸塩(196mg,640ミリモル)、HATU(243mg,640ミリモル)、及びDMF(15ml)の不均質な混合物へN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(248mg,1.92ミリモル)を室温で滴下した。滴下が完了した後で、この反応物を室温で16時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈して、水、1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮して、(2S,5S)−2−((S)−2−(4−ブロモフェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イルカルバミン酸(9H−フルオレン−9−イル)メチル(438mg,95%)を淡褐色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C39H35BrN4O5[M+] の計算値:719, 実測値:720 [M+H+]。
【0146】
(2S,5S)−2−((S)−2−(4−ブロモフェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イルカルバミン酸(9H−フルオレン−9−イル)メチルの20%ピペリジン/DMF(10ml)溶液を室温で1時間撹拌した。この反応物を真空で濃縮して、(S)−1−((2S,5S)−5−アミノ−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−2−カルボニル)−N−(4−ブロモフェニル)ピロリジン−2−カルボキサミド(170mg,57%)を黄色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C24H25BrN4O3[M+] の計算値:497, 実測値: 498 [M+H+]。
【0147】
DMF(10ml)中の(S)−1−((2S,5S)−5−アミノ−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−2−カルボニル)−N−(4−ブロモフェニル)ピロリジン−2−カルボキサミド(160mg,322ミリモル)の氷冷溶液へ炭酸ナトリウム(41mg,386ミリモル)とクロロギ酸メチル(33mg,354ミリモル)を加えた。この添加が完了した後で氷浴を外して、この反応物を室温で1時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈して水と飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮した。入手した粗生成物をISCOフラッシュクロマトグラフィー(Teledyne Isco RediSep Flash Column 40g;(0%〜100%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、(2S,5S)−2−((S)−2−(4−ブロモフェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イルカルバミン酸メチル(64mg,36%)を白色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C26H27BrN4O5[M+] の計算値:555, 実測値:556 [M+H+]。
【0148】
密封管において、1,2−ジメトキシエタン(6ml)及び水(1ml)中の(2S,5S)−2−((S)−2−(4−ブロモフェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イルカルバミン酸メチル(200mg,360ミリモル)、(S)−3−メチル−1−オキソ−1−((S)−2−(5−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−イミダゾール−2−イル)ピロリジン−1−イル)ブタン−2−イルカルバミン酸メチル(179mg,360ミリモル)、及び重炭酸ナトリウム(91mg,1.08ミリモル)の混合物へ1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−二塩化パラジウム(II)(26mg,36マイクロモル)を加えた。この反応混合物に窒素を流し、蓋をして、油浴(80℃)において16時間加熱した。この反応混合物を濃縮して20%メタノール/塩化メチレンと水の間で分配して、水相を20%メタノール/塩化メチレンで抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮した。入手した粗生成物を、アセトニトリル/水(30%〜100%)で溶出させる50g Polaris C18Aカラムを使用する逆相HPLCによって精製して、{(2S,5S)−2−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イル}−カルバミン酸メチルエステル(65mg,21%)を白色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C46H52N8O8[M+] の計算値:844, 実測値:845 [M+H+];1H NMR (DMSO-d6) d: 11.76 (br. s., 1H), 10.08 (br. s., 1H), 7.75 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 7.60-7.70 (m, 5H), 7.43-7.53 (m, 2H), 7.21-7.33 (m, 1H), 6.91-7.15 (m, 3H), 5.32 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.07-5.25 (m, 1H), 4.43-4.75 (m., 1H), 4.02-4.14 (m, 1H), 3.32-3.80 (m, 8H), 2.89-3.17 (m, 6H), 1.85-2.30 (m, 12H), 0.79-0.96 (m, 6H)。
【0149】
実施例2
{(4S,7S)−4−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−6,10−ジオキソ−オクタヒドロ−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−7−イル}−カルバミン酸メチルエステル
【0150】
【化16】
【0151】
9−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−6,10−ジオキソオクタヒドロ−1H−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−1−カルボン酸(1S,9S)−tert−ブチル(2.00g,4.68ミリモル)のエタノール(10ml)溶液へヒドラジン(180mg,5.61ミリモル)を加えた。この反応物を室温で3時間撹拌した。このエタノールと過剰のヒドラジンを真空で濃縮して、残渣をエタノールと同時蒸発させて、9−アミノ−6,10−ジオキソオクタヒドロ−1H−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−1−カルボン酸(1S,9S)−tert−ブチル(1.63g,100%)を白色の粉末として得た:ESI-LRMS m/e の計算値: C14H23N3O4 [M+] 297, 実測値:298 [M+H+]。
【0152】
DMF(15ml)中の9−アミノ−6,10−ジオキソオクタヒドロ−1H−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−1−カルボン酸(1S,9S)−tert−ブチル(1.50g,5.04ミリモル)の氷冷溶液へ炭酸ナトリウム(642mg,6.05ミリモル)に続いてクロロギ酸メチル(524mg,5.55ミリモル)を加えた。この添加が完了した後で氷浴を外して、この反応物を室温で2時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈して、水、2N塩酸溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮して、9−(メトキシカルボニルアミノ)−6,10−ジオキソオクタヒドロ−1H−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−1−カルボン酸(1S,9S)−tert−ブチル(1.28g,71%)を白色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C16H25N3O6 [M+] の計算値:355, 実測値:356 [M+H+]。
【0153】
塩化メチレン(10ml)へ溶かした9−(メトキシカルボニルアミノ)−6,10−ジオキソオクタヒドロ−1H−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−1−カルボン酸(1S,9S)−tert−ブチル(1.25g,3.52ミリモル)の溶液へトリフルオロ酢酸(10ml)を加えた。この反応物を室温で1時間撹拌して、真空で濃縮した。トルエン(5ml)を加えて、この反応物を真空で濃縮して、(1S,9S)−9−(メトキシカルボニルアミノ)−6,10−ジオキソオクタヒドロ−1H−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−1−カルボン酸(587mg,68%)を白色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C12H17N3O6 [M+] の計算値:299, 実測値:300 [M+H+]。
【0154】
(S)−N−(4−ブロモフェニル)ピロリジン−2−カルボキサミド塩酸塩(200mg,654ミリモル)、(1S,9S)−9−(メトキシカルボニルアミノ)−6,10−ジオキソオクタヒドロ−1H−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−1−カルボン酸(196mg,654ミリモル)、HATU(249mg,654ミリモル)、及びDMF(10ml)の不均質な混合物へN,N−ジイソプロピルエチルアミン(254mg,1.96ミリモル)を室温で滴下した。この滴下が完了した後で、この反応混合物を室温で16時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈して、水、1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮して、(4S,7S)−4−((S)−2−(4−ブロモフェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボニル)−6,10−ジオキソオクタヒドロ−1H−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−7−イルカルバミン酸メチル(150mg,42%)を白色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C23H28BrN5O6[M+] の計算値:550, 実測値:551 [M+H+]。
【0155】
密封管において、1,2−ジメトキシエタン(6ml)及び水(1ml)中の(4S,7S)−4−((S)−2−(4−ブロモフェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボニル)−6,10−ジオキソオクタヒドロ−1H−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−7−イルカルバミン酸メチル(150mg,273ミリモル)、(S)−3−メチル−1−オキソ−1−((S)−2−(5−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−イミダゾール−2−イル)ピロリジン−1−イル)ブタン−2−イルカルバミン酸メチル(135mg,273ミリモル)、及び重炭酸ナトリウム(69mg,818ミリモル)の混合物へ1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−二塩化パラジウム(II)(20mg,27マイクロモル)を加えた。この反応混合物に窒素を流し、蓋をして、油浴(80℃)において16時間加熱した。この反応混合物を濃縮して、20%メタノール/塩化メチレンと水の間で分配して、水相を20%メタノール/塩化メチレンで抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮した。入手した粗生成物を、アセトニトリル/水(30%〜100%)で溶出させる50g Polaris C18Aカラムを使用する逆相HPLCによって精製して、{(4S,7S)−4−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−6,10−ジオキソ−オクタヒドロ−ピリダジノ[1,2−a][1,2]ジアゼピン−7−イル}−カルバミン酸メチルエステル(58mg,25%)を白色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C43H53N9O9[M+] の計算値:839, 実測値:840 [M+H+]; 1H NMR (DMSO-d6) d: 11.75 (br. s., 1H), 10.07 (s, 1H), 7.75 (br. s., 2H), 7.59-7.66 (m, 6H), 7.40 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 5.26 (t, J = 5.5 Hz, 1H), 5.08 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 4.27-4.51 (m, 4H), 4.07 (t, J = 8.3 Hz, 1H), 3.60-3.85 (m, 2H), 3.54 (s, 3H), 3.30 (s, 3H), 2.89-3.17 (m, 2H), 1.53-2.35 (m, 18H), 0.87 (dd, J = 18.9, 6.4 Hz, 6H)。
【0156】
実施例3
{(2S,5S)−2−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−4,4−ジフルオロピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イル}−カルバミン酸メチルエステル
【0157】
【化17】
【0158】
(2S,5S)−5−(メトキシカルボニルアミノ)−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−2−カルボン酸(2.49g,8.18ミリモル)、(S)−N−(4−ブロモフェニル)ピロリジン−2−カルボキサミド塩酸塩(2.50g,8.18ミリモル)、HATU(3.11g,8.18ミリモル)、及びDMF(10ml)の不均質な混合物へN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.17g,24.5ミリモル)を室温で滴下した。この滴下が完了した後で、この反応混合物を室温で4時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈して、水、1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮した。入手した粗生成物をISCOフラッシュクロマトグラフィー(Teledyne Isco RediSep Flash Column 80g;0%〜100%メタノール/塩化メチレン)によって精製して、(2S,5S)−2−((S)−2−(4−ブロモフェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イルカルバミン酸メチル(3.40g,75%)を淡褐色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C26H27BrN4O6[M+] の計算値:555, 実測値:556 [M+H+]。
【0159】
密封管において、1,2−ジメトキシエタン(6ml)及び水(1ml)中の4,4−ジフルオロ−2−(5−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−イミダゾール−2−イル)ピロリジン−1−カルボン酸(S)−tert−ブチル(300mg,631ミリモル)、(2S,5S)−2−((S)−2−(4−ブロモフェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イルカルバミン酸メチル(351mg,631ミリモル)、及び重炭酸ナトリウム(159mg,1.89ミリモル)の混合物へ1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−二塩化パラジウム(II)(46mg,63マイクロモル)を加えた。この反応混合物に窒素を流し、蓋をして、油浴(80℃)において16時間加熱した。この反応混合物を濃縮して、20%メタノール/塩化メチレンと水の間で分配して、水相を20%メタノール/塩化メチレンで抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮した。入手した粗生成物をISCOフラッシュクロマトグラフィー(Teledyne Isco RediSep Flash Column 40g;0%〜100%メタノール/塩化メチレン)によって精製して、4,4−ジフルオロ−2−(5−(4’−((S)−1−((2S,5S)−5−(メトキシカルボニルアミノ)−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−2−カルボニル)ピロリジン−2−カルボキサミド)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)ピロリジン−1−カルボン酸(S)−tert−ブチル(150mg,29%)を白色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C44H47F2N7O7[M+] の計算値: 823, 実測値:824 [M+H+]。
【0160】
メタノール(15ml)中の4,4−ジフルオロ−2−(5−(4’−((S)−1−((2S,5S)−5−(メトキシカルボニルアミノ)−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−2−カルボニル)ピロリジン−2−カルボキサミド)ビフェニル−4−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)ピロリジン−1−カルボン酸(S)−tert−ブチル(150mg,182ミリモル)及び4.0M HCl/ジオキサン溶液(10ml)の混合物を室温で3時間撹拌した。この反応物を真空で濃縮して、(2S,5S)−2−((S)−2−(4’−(2−((S)−4,4−ジフルオロピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イルカルバミン酸メチル塩酸塩(135mg,98%)を淡黄色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C39H39F2N7O5 HCl [M+] の計算値:760.5, 実測値:724 [M+H+](遊離塩基)。
【0161】
(2S,5S)−2−((S)−2−(4’−(2−((S)−4,4−ジフルオロピロリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボニル)−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イルカルバミン酸メチル塩酸塩(135mg,178ミリモル)、(S)−2−(メトキシカルボニルアミノ)−3−メチルブタン酸(31mg,178ミリモル)、HATU(68mg,178ミリモル)、及びDMF(5ml)の不均質な混合物へN,N−ジイソプロピルエチルアミン(69mg,533ミリモル)を室温で滴下した。この滴下が完了した後で、この反応混合物を室温で4時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈して、水、1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮した。入手した粗生成物を、アセトニトリル/水(30%〜100%)で溶出させる50g Polaris C18Aカラムを使用する逆相HPLCによって精製して、{(2S,5S)−2−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−4,4−ジフルオロピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イル}−カルバミン酸メチルエステル(42mg,27%)を白色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C46H50F2N8O8[M+] の計算値:880, 実測値:881 [M+H+]; 1H NMR (DMSO-d6) d: 11.96 (br. s., 1H), 10.09 (s, 1H), 7.36-7.81 (m, 10H), 7.12 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.03 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.90-6.98 (m, 1H), 5.23-5.35 (m, 1H), 4.39-4.57 (m, 2H), 4.05-4.29 (m, 2H), 3.93 (t, J = 8.3 Hz, 1H), 3.74-3.84 (m, 1H), 3.55 (s, 6H), 2.87-3.17 (m, 6H), 1.82-2.28 (m, 10H), 0.73-0.90 (m, 6H)。
【0162】
実施例4
{(2S,5S)−2−[(S)−2−(4’−{5−クロロ−2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イル}−カルバミン酸メチルエステル
【0163】
【化18】
【0164】
DMF(5ml)へ溶かした{(2S,5S)−2−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イル}−カルバミン酸メチルエステル(200mg,237ミリモル)の溶液へN−クロロスクシンイミド(38mg,284ミリモル)を加えた。この反応物を50℃で16時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈して、水と飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮した。入手した粗生成物をISCOフラッシュクロマトグラフィー(Teledyne Isco RediSep Flash Column 40g;(0%〜100%メタノール/塩化メチレン)によって精製して、{(2S,5S)−2−[(S)−2−(4’−{5−クロロ−2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−4−オキソ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−アゼピノ[3,2,1−hi]インドール−5−イル}−カルバミン酸メチルエステル(152mg,73%)を灰白色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C46H51ClN8O8[M+]の計算値:879, 実測値:880 [M+H+]; 1H NMR (DMSO-d6) d: 12.55 (s, 1H), 10.12 (s, 1H), 7.74 (s, 4H), 7.64 (d, J = 3.0 Hz, 4H), 7.44 (dd, J = 16.4, 8.2 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.03 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 6.92-6.98 (m, 1H), 6.84 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.32 (dd, J = 10.9, 2.9 Hz, 1H), 4.95-5.04 (m, 1H), 4.44 (dd, J = 8.0, 4.5 Hz, 1H), 4.00-4.15 (m, 2H), 3.78 (d, J = 5.3 Hz, 3H), 3.58-3.71 (m, 1H), 3.54 (d, J = 7.3 Hz, 7H), 2.90-3.18 (m, 3H), 1.88-2.26 (m, 10H), 0.81-0.90 (m, 6H)。
【0165】
実施例5
((S)−1−{(S)−2−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−ピロリジン−1−カルボニル}−2−メチル−プロピル)−カルバミン酸メチルエステル
【0166】
【化19】
【0167】
密封管において、1,2−ジメトキシエタン(6ml)及び水(1ml)中の(S)−1−((S)−2−((S)−2−(4−ブロモフェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボニル)ピロリジン−1−イル)−3−メチル−1−オキソブタン−2−イルカルバミン酸メチル(211mg,403ミリモル)、(S)−3−メチル−1−オキソ−1−((S)−2−(5−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−イミダゾール−2−イル)ピロリジン−1−イル)ブタン−2−イルカルバミン酸メチル(200mg,403ミリモル)、及び重炭酸ナトリウム(102mg,1.21ミリモル)の混合物へ1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−二塩化パラジウム(II)(30mg,40マイクロモル)を加えた。この反応混合物に窒素を流し、蓋をして、油浴(80℃)において16時間加熱した。この反応混合物を濃縮して、20%メタノール/塩化メチレンと水の間で分配して、水相を20%メタノール/塩化メチレンで抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮した。入手した粗生成物を、アセトニトリル/水(30%〜100%)で溶出させる50g Polaris C18Aカラムを使用する逆相HPLCによって精製して、((S)−1−{(S)−2−[(S)−2−(4’−{2−[(S)−1−((S)−2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−ピロリジン−2−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−ビフェニル−4−イルカルバモイル)−ピロリジン−1−カルボニル]−ピロリジン−1−カルボニル}−2−メチル−プロピル)−カルバミン酸メチルエステル(83mg,25%)を灰白色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C43H56N8O8[M+] の計算値:812, 実測値:813 [M+H+]; 1H NMR (DMSO-d6) d: 11.70 (s, 1H), 10.30 (s, 1H), 7.65-7.95 (m, 9H) , 7.35- 7.45 (m, 2H), 5.20-5.30 (m, 1H), 4.55-4.65 (m, 1H), 4.10-4.30 (m, 3H), 3.70-3.85 (m, 4H), 3.60 (s, 6H), 3.30-3.50 (m, 2H), 1.60-2.35 (m, 14H), 0.80-0.95 (m, 12H)。
【0168】
実施例6
[(S)−1−((S)−2−{5−[4’−({(S)−1−[(S)−1−((R)−2−メトキシカルボニルアミノ−2−フェニル−アセチル)−ピロリジン−2−カルボニル]−ピロリジン−2−カルボニル}−アミノ)−ビフェニル−4−イル]−1H−イミダゾール−2−イル}−ピロリジン−1−カルボニル)−2−メチル−プロピル]−カルバミン酸メチルエステル
【0169】
【化20】
【0170】
水酸化ナトリウム(1.32g,33.10ミリモル)及び(R)−2−アミノ−2−フェニル酢酸(5.00g,33.10ミリモル)の水(25ml)溶液へ炭酸ナトリウム(2.10g,19.80ミリモル)を加えた。この溶液を氷浴中で冷やして、クロロギ酸メチル(3.44g,36.40ミリモル)を15分にわたり滴下した。この添加が完了した後で氷浴を外して、この反応物を室温で3時間撹拌した。この反応混合物をエーテルで洗浄して、水相を濃HClで1〜2のpHへ酸性化した。水相を塩化メチレンで抽出して水と飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮して、(R)−2−(メトキシカルボニルアミノ)−2−フェニル酢酸(4.35g,63%)を白色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C10H11NO4[M+] の計算値:209, 実測値:210 [M+H+]。
【0171】
(S)−N−(4−ブロモフェニル)−1−((S)−ピロリジン−2−カルボニル)ピロリジン−2−カルボキサミド塩酸塩(500mg,1.24ミリモル)、(R)−2−(メトキシカルボニルアミノ)−2−フェニル酢酸(260mg,1.24ミリモル)、HATU(472mg,1.24ミリモル)、及びDMF(10ml)の不均質な混合物へN,N−ジイソプロピルエチルアミン(481mg,3.72ミリモル)を室温で滴下した。この滴下が完了した後で、この反応混合物を室温で3時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈して、水、1N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮して、(R)−2−((S)−2−((S)−2−(4−ブロモフェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボニル)ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−1−フェニルエチルカルバミン酸メチル(640mg,93%)を黄色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C26H29BrN4O5[M+] の計算値:557, 実測値:558 [M+H+]。
【0172】
密封管において、1,2−ジメトキシエタン(6ml)及び水(1ml)中の(R)−2−((S)−2−((S)−2−(4−ブロモフェニルカルバモイル)ピロリジン−1−カルボニル)ピロリジン−1−イル)−2−オキソ−1−フェニルエチルカルバミン酸メチル(225mg,403ミリモル)、(S)−3−メチル−1−オキソ−1−((S)−2−(5−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)−1H−イミダゾール−2−イル)ピロリジン−1−イル)ブタン−2−イルカルバミン酸メチル(200mg,403ミリモル)、及び重炭酸ナトリウム(102mg,1.21ミリモル)の混合物へ1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン−二塩化パラジウム(II)(30mg,40マイクロモル)を加えた。この反応混合物に窒素を流し、蓋をして、油浴(80℃)において16時間加熱した。この反応混合物を濃縮して、20%メタノール/塩化メチレンと水の間で分配して、水相を20%メタノール/塩化メチレンで抽出した。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮した。入手した粗生成物を、アセトニトリル/水(30%〜100%)で溶出させる50g Polaris C18Aカラムを使用する逆相HPLCによって精製して、[(S)−1−((S)−2−{5−[4’−({(S)−1−[(S)−1−((R)−2−メトキシカルボニルアミノ−2−フェニル−アセチル)−ピロリジン−2−カルボニル]−ピロリジン−2−カルボニル}−アミノ)−ビフェニル−4−イル]−1H−イミダゾール−2−イル}−ピロリジン−1−カルボニル)−2−メチル−プロピル]−カルバミン酸メチルエステル(120mg,31%)を灰白色の固形物として得た:ESI-LRMS m/e C46H54N8O8[M+] の計算値:846, 実測値:847 [M+H+]; 1H NMR (DMSO-d6) d: 11.70 (s, 1H), 10.30 (s, 1H), 7.25-8.25 (m, 14H), 5.20-5.30 (m, 2H), 4.55-4.65 (m, 1H), 4.10-4.30 (m, 2H), 3.70-3.85 (m, 5H), 3.60 (s, 6 H), 3.30-3.50 (m, 2H), 1.60-2.35 (m, 14H), 0.80-0.95 (m, 6H)。
【0173】
生物学の実施例
レプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイを使用する、化合物のHCV GT1bレプリコン阻害活性の決定
2209−23細胞系は、先に記載のように、ヘパトーマ細胞系Huh−7のGT−1b Con1サブゲノムバイシストロニックレプリコンでの安定したトランスフェクションによってロシュ社で開発された。R. Bartenschlager より入手した治癒(cured)Huh7細胞においてサブゲノムレプリコン細胞系を確立した(J Virol. 2003 Mar; 77 (5):3007-19)。GT−1a H77サブゲノムレプリコンベクターのpRLuc H77 1b 75 S/Iは、GT−1b Con1株に由来するNS3タンパク質の最初の75アミノ酸を除くGT−1b Con1サブゲノムレプリコンの非構造領域をH77株のそれで置き換えることによって創出した(J Virol. 2001 77:5352-59)。GT−1a pRLuc H77 1b 75 S/Iサブゲノムレプリコン細胞系は、R. Bartenschlager より入手した治癒Huh7細胞において確立した(J Virol. 2003 Mar; 77 (5):3007-19)。
【0174】
いずれのサブゲノムレプリコン細胞系も、ダルベッコ改良イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle Medium)(DMEM−GlutamaxTM−I;Invitrogen カタログ番号:10569-010)において培養した。この培地には、10%胎仔ウシ血清(Invitrogen カタログ番号:10082-147)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Mediatech カタログ番号:30-002-CI)と500μg/mlのG418(Mediatech カタログ番号:30-234-CI)を補充した。加湿した5% CO雰囲気において37℃で細胞を維持した。
【0175】
2209−23細胞を、96ウェルプレート(Becton Dickinson カタログ番号:353296)中に5000個の細胞/ウェルの細胞密度でプレート培養した。細胞を90μlのダルベッコ改良イーグル培地(DMEM−GlutamaxTM−I;Invitrogen カタログ番号:10569-010)においてプレート培養して、培地には、5%胎仔ウシ血清(Invitrogen カタログ番号:10082-147)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Mediatech カタログ番号:30-002-CI)を補充した。pRluc H77 1b 75 S/I細胞は、90μlの最終容量に5% FBSと1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含有するDMEM−GlutamaxTM−I中3000個の細胞/ウェルで、96ウェルプレートにおいてプレート培養した。細胞をそのまま37℃及び5% COで24時間平衡化して、その時点で化合物を加えた。化合物(又は対照としての培地)は、プレート培養後24時間で、10μl容量中1%の最終DMSO濃度での3倍希釈液で加えた。化合物の添加から72時間後に Renilla ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega,カタログ番号:E2820)を使用して、Renilla ルシフェラーゼレポーターシグナルを読み取った。EC50値は、化合物の非存在下での対照試料と比較してウミシイタケ(renilla)ルシフェラーゼレポーターレベルの50%低下が観測される化合物濃度として定義されて、化合物用量−応答データの非線形適合法によって決定した。EC50は、最大阻害百分率が90%未満で70%より高ければ、近似値とした。
【0176】
細胞生存度試験のために、WST1 2209−23細胞を透明な平底96ウェルプレート(Becton Dickinson,カタログ番号:35 3075)において5000個の細胞/ウェルの細胞密度でプレート培養した。WST−1細胞増殖アッセイ(Roche Diagnostic,カタログ番号:11644807001)を使用して、細胞生存度を決定した。レプリコンアッセイと同じフォーマットでアッセイプレートを設定した。製造業者の説明書に従って、3日間の化合物インキュベーションの後で、各ウェルへ10μlのWST−1試薬を37℃及び5% COで2時間加えた。MRX Revelation マイクロタイタープレートリーダー(Lab System)を使用して、450nmでの吸光度読取り値(650nmでの基準フィルター)を決定した。CC50値は、化合物の非存在下での無処置対照に比較して細胞生存度を50%低下させるのに必要とされる化合物濃度として定義されて、化合物用量−応答データの非線形適合法によって決定した。下記の表IIには、代表的なアッセイデータを見出すことができる:
表II
【0177】
【表6】
【0178】
上述の発明について、明確化と理解の目的で、例示と実施例によりやや詳しく記載してきた。当業者には、付帯の特許請求項の範囲内で種々の変更及び修飾を実践し得ることが明らかであろう。故に、上記の記載は、例示であることを企図するのであって、限定することを企図しないと理解されたい。故に、本発明の範囲は、上記の記載を参照して決定してはならず、むしろ、以下の付帯の特許請求項、並びにそのような特許請求項により権利化される均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。
【0179】
本出願で引用されるすべての特許、特許出願、及び公表文献は、それぞれ個別の特許、特許出願、又は公表文献がそのように個別に示されるのと同じ程度で、すべての目的のために、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。