(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項3に記載の船上水処理システムであって、前記電解装置(332)の第1の出口が、バラスト水源の出口の下流であって前記電解装置の入口の上流に、流体的に接続されている、船上水処理システム。
請求項4に記載の船上水処理システムであって、前記電解装置(332)の第2の出口が、前記電解装置の入口の下流であって前記バラストタンクの入口の上流に、流体的に接続されている、船上水処理システム。
請求項14に記載の方法であって、前記水源からの前記水の一部の電解が、次亜塩素酸塩及び酸素化種を含有してなる前記殺生剤流れを、発生することを含んでなる、方法。
請求項13に記載の方法であって、電気触媒的に発生する前記バラスト水の消毒に有用な剤が、消毒に用いられる酸化剤濃度よりも低い酸化剤濃度で、船上冷却水システム(CWA)の生物付着の抑制にも使われる、方法。
請求項10に記載の方法であって、更に、海水箱(310)から海水の一部を取り出し、殺生剤源(330)に導入し、そして、海水の残余を濾過して、バラストタンク(320)に導入する工程を含む、方法。
【背景技術】
【0002】
塩素系消毒システムでは、典型的には、乾燥塩素ガス、バルク次亜塩素酸ナトリウム、及び、塩素又は次亜塩素酸ナトリウムをその場で発生させる電解発生器のいずれかが用いられる。海水の電解による塩素生成は、海水を冷却水として利用するシステムのような冷却システムの生物付着を制御するために、陸上産業用途及び海上用途において用いられてきた。自己清浄式管内管電気化学セルが開発された結果、エンジン冷却システムや空気調和装置及びその他の補助システムの生物付着(汚れ)制御といった船上用途において、電気的塩素消毒が用いられるようになった。
【0003】
図1Aには、陸上塩素消毒システムの典型的なシステムレイアウトが概略的に示されている。ポンプ2によって取水口又は水源1から海水が取り込まれ、電解発生器3に通される。殺生剤を含む発生器3からの出口は、貯蔵タンク5に送り込まれる。電源4によって電解塩素発生器3に電流が供給される。
【0004】
貯蔵タンク5には、典型的には、副生水素ガスを安全濃度にまで希釈又は分散する1つ以上の送風機6が装備されている。送風機及びタンクの代わりに、液体サイクロンによって水素を直接除去してもよい。陸上システムは、塩素が約500ppm〜2,000ppmの範囲の比較的高濃度の次亜塩素酸塩溶液を生産することができる。1つ以上の投与ポンプ7を利用して、典型的には、分配装置8によって使用地点に塩素を投与することができる。使用地点は、典型的には、これに限定するわけではないが、冷却ループ9のような、別のプロセスに対して水を供給する取水ベースンである。
【0005】
用途によっては、脱塩素システム及び技術において、飲用水又は冷却水の下流処理のため、その放出又は利用に先立って、亜硫酸水素ナトリウムのような酸化剤中和剤が利用される。
【0006】
船舶は、安定性及び操縦性を得るためにバラスト水タンクを利用する、典型的には、バラストタンクには、一つの港で荷揚げ作業後又は作業中、水が充填される。他の港で荷積みをする場合、バラスト水を放出すればよい。実際上、バラスト水は第1の港から第2の港に移送されるであろうが、第2の港において水生危害種(ANS)を持ち込む恐れがある。ANS移入は、有害な生態学的問題となる可能性がある。
図1Bに略示された船上電気的塩素消毒システムは、典型的には、塩素消毒した水を直接導入することによって塩素排出量が少なくなるように構成されている。船上電気的塩素消毒システムの場合、海水は、典型的には、ブースタポンプ2を利用して、海水箱1又は本管から電解発生器3に供給される。発生器3は、典型的には、電源4によって給電される。発生器3からの生成物流れは、典型的には、分配装置8を介して海水箱1に導入される。船上システムの場合、冷却水は、典型的には、船外Dに放出されるが、供給源11から亜硫酸水素ナトリウムのような中和剤を導入することによって脱塩素して、その塩素濃度を、許容放出レベル、典型的には、0.1ppm未満、にまで低下させることができる。
【0007】
典型的には、塩素分析器を利用して、既処理水中の残留塩素濃度が監視され、維持される。しかしながら、こうしたシステムでは、バラスト作業が行われる可能性のある様々な港において塩素要求量にばらつきがあることが考慮されていない。例えば、塩素要求量は、例えば藻類の繁殖のために、港毎に及び季節毎に、大幅に変動する可能性がある海水中の窒素化合物濃度によって、影響される可能性がある。
図2には、オランダのテセル島沖の北海におけるアンモニウム及び硝酸塩レベルの季節的変動が示されている(Royal Netherlands Institute for Oceanographic Research(NIOZ)提供)。塩素要求量の変動によって、様々な船上システムにおいて、高遊離塩素濃度といった、望ましく又は許容できる濃度よりも高い酸化剤濃度が生じる可能性があり、これによって、バラスト水ポンプ、配管及びタンクばかりでなく、船舶システム及び補助単位操作装置の腐食が加速され又は促進さえされる可能性がある。このばらつきは、消毒副産物(DBP)の生成を促進する可能性もある。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示のいくつかの側面では、とりわけ、ANS分散の可能性を低下させることができ、場合によっては、殺生剤が許容レベルにある放出バラスト水を生成することができる、バラスト水処理システム及び技術を提供する。本開示の他の側面では、移動設備又は固定設備から既処理水を放出する前に、更なる改善サブシステム及び技術を用いずに殺生剤濃度を制御する処理システム及び技術を提供する。本開示の他の側面では、ANSを改善するのに十分な船舶バラスト水中における酸化還元電位値を維持するための処理システム及び技術を提供する。本開示の更に他の側面では、バラスト水の制御された電解処理システム及び技術を提供する。本開示の更に他の側面では、供給量又は要求量の変動を補償するシステム及び技術を提供する。本開示のいくつかの有利な側面では、酸化性殺生剤が過剰か又は望ましくないレベルになる可能性を抑えるシステム及び技術を提供する。本開示の更なる側面では、既存の移動式又は固定式電解水設備の改装又は改修を提供する。本開示の更なる側面は、これまで認識されなかったORP制御範囲を利用した処理システムに有利に依存する。本開示の更なる他の側面は、上述の側面のうちの任意の側面を促進することに関する。
【0015】
例えばある場合には、本発明は、船舶の浮力システムにおけるバラスト水を処理するための、そして、他の船舶システムにおける生物付着の制御又は処理を行うための、消毒システム及び技術に関するものである。この処理システムは、少なくとも部分的に、バラスト水の少なくとも1つの測定特性に基づくことができる。本発明のいくつかの側面は、好ましくは水を収容する構造の腐食を最小限に抑えつつ、それでもなおバラスト水を消毒し又はその消毒を確実なものにさえする、酸化剤のような殺生剤又は殺生性物質の最低レベルを提供し、潜在的危険性のある消毒副産物の生成を最小限に抑える。実施態様によっては、本発明の処理システムは、処理されるべき水又は処理中の水の酸化還元電位に少なくとも部分的に基づくことができる。本発明のいくつかの特定の側面によれば、遊離有効塩素の最低ベルを有利に規定し、又は船舶構造及び補助単位操作装置の腐食を最小限に抑えつつバラスト水の有効な消毒を確実なものにし、更に場合によっては、潜在的に危険性のある消毒副産物の生成を最小限に抑え又は少なくとも減少させる、システム及び技術が提供される。
【0016】
本発明の1つ以上の側面は、特に、冷却水システム及びバラスト水システムのための船上処理システムを対象とする。この処理システムは、バラスト水、海水、塩化物種を含む水又はそれらの組合せの供給源;バラスト水の酸化還元電位を測定して、それを表わす測定信号を送信するために配置されたセンサ;バラスト水に殺生剤を導入するために配置された殺生剤源;及び、センサからの測定信号を受信するために配置されており、測定信号と約200mV〜約1,000mVの範囲の目標ORP値に少なくとも部分的に基づく出力信号を発生して殺生剤源に送信し、バラスト水への殺生剤の導入速度を調節するように構成された制御装置を備えてなる。場合によっては、殺生剤源は、ハロゲン系殺生剤を発生するように構成された電解装置を備えることもできる。他の場合には、電解装置は、バラスト水、海水、塩化物種を含む水又はそれらの組合せの供給源に流体的に接続された入口を備えていてもよく、また、次亜塩素酸化合物を発生するように構成されていてもよい。電解装置は、バラスト水、海水、塩化物種を含む水又はそれらの組合せの供給源の下流であって且つ電解装置の入口の上流地点において、その供給源の出口に流体的に接続された第1の出口を備えていてもよい。場合によっては、電解装置は、バラストタンク入口の上流であって且つ電解装置入口の下流に流体的に接続された第2の出口を備えることもできる。電解装置は、典型的には、次亜塩素酸化合物及び酸素化種を発生するように構成されている。場合によっては、出力信号は、典型的には、電解装置中の電流密度を少なくとも約1,000アンペア/m
2に調節する。船上水処理システムの更なる実施態様では、目標ORP値が約500mV〜約750mVの範囲内である。更に、目標ORP値は、指示又は規制された消毒要件に基づくことができる。制御装置は、海水箱への殺生剤の導入速度を調節して船上冷却システムに導入される水の目標生物付着制御値を達成するように、構成することもできる。船上水は、更に、電解装置の下流に流体的に接続された脱気タンクを備えていてもよい。バラスト水、海水、塩化物種を含む水又はそれらの組合せの供給源は、船上冷却水システムに流体的に接続されていてもよい海水箱であってもよい。
【0017】
本発明の1つ以上の側面は、バラストタンクに導入される水の処理方法を対象とする。その実施態様のいくつかにおいて、バラストタンクに導入される水の処理方法は、その水に殺生剤を導入し;殺生剤の導入速度を調節して、水中で約200mV〜約1,000mVの範囲に目標の水の酸化還元電位値を達成することを含んでいてもよい。殺生剤の導入は、少なくとも1つのハロゲン化種を含む殺生剤流れを発生させる行為を含んでいてもよい。殺生剤の導入速度の調節は、殺生剤発生器の操作パラメータを調節して、約500mV〜約750mVの範囲に目標の水の酸化還元電位値を達成する1つ以上の行為を含んでいてもよい。バラストタンクに導入される水の処理方法は、更に、殺生剤流れの一部を水源に導入する1つ以上の行為を含んでいてもよい。バラストタンクに導入される水の処理方法は、更に、水源への殺生剤の添加速度を調節して、殺生剤の所望の生物付着制御濃度を達成する行為を含んでいてもよい。いくつかの有利な実施態様では、水処理方法は、電解装置において、水源からの水の一部を電解して殺生剤流れを発生することを含んでいてもよい。水源からの水の一部の電解は、次亜塩素酸塩を含む殺生剤流れ、場合によっては、次亜塩素酸塩及び酸素化種を含有する殺生剤流れ、を発生する1つ以上の行為を含んでいてもよい。水源は、船上冷却システムに流体的に接続された海水箱からなっていてもよい。
【0018】
本発明の1つ以上の側面は、海水源に接続されたバラストタンクを備えるバラスト水システムの改変方法を対象とする。その実施態様のいくつかにおいて、バラスト水システムの改変方法は、電解装置の入口を海水源に接続し、電解装置の出口を脱気タンクの入口に接続し、電解装置及び脱気タンクの出口の下流に配置された酸化還元電位センサに、制御装置を接続することを含んでなるものであってよい。制御装置は、電解装置の操作パラメータを調節して、バラストタンクに導入される海水中で約200mV〜約1,000mVの範囲の目標酸化還元電位値を達成するように、構成するのが望ましい。目標酸化還元電位値は、約500mV〜約750mVの範囲とすることができる。バラスト水システムの改変方法は、更に、バラストタンクの入口に脱気タンクの出口を接続することを含んでなるものであってよい。更に、バラスト水システムの改変方法は、脱気タンクの出口を海水源に接続することを含んでなるものであってよい。この方法は、海水源とバラストタンクとの間に接続されたフィルタの上流に酸化還元電位センサを配置することを含んでなるものであってよい。海水源は、有利には塩化物を含有する水を貯蔵する海水箱又はリザーバからなっていてよい。船上水処理システムは、650ppm〜750ppmの範囲の目標酸化還元電位値を有するものであってよい。センサは、金先端の電極を備えていてもよい。船上水処理システムは、更に、バラストタンク内の水の遊離塩素濃度及び酸化還元電位の少なくとも一方を測定するために配置された第2のセンサを備えていてもよい。船上水処理システムは、バラストタンクから放出されるべき水の遊離塩素濃度、全塩素濃度及び酸化還元電位値のうちの少なくとも1つを測定して、それを表わす第2の測定信号を送信するために配置された第2のセンサを備えていてもよい。船上水処理システムは、更に、第2の測定信号を受信して、第2の測定信号と、目標遊離塩素濃度、目標全塩素濃度及び第2の目標酸化還元電位値のうちの少なくとも1つとに、少なくとも部分的に、基づく第2の出力信号を発生するように構成された制御装置を含んでいてもよい。第2の目標酸化還元電位値は200mV〜500mVの範囲であってよい。
【0019】
本発明の1つ以上の側面は、水域における船舶の船上水処理システムを対象とする。この処理システムには、少なくとも1つの塩化物種を含有する水源と、水源及び水域の少なくとも一方に流体的に接続されたフィルタと、フィルタの下流に流体的に接続されたバラストタンクと、海水の酸化還元電位を測定して、それを表わす測定信号を送信するために配置されたセンサと、バラストタンクに殺生剤を導入するために配置された殺生剤源と、センサから測定信号を受信するために配置され、測定信号と約200mV〜約1,000mVの範囲の目標酸化還元電位値とに少なくとも部分的に基づく出力信号を発生して、殺生剤源に送信し、バラストタンク及びフィルタに導入される水の少なくとも一方への、殺生剤の導入速度を調節するように構成された制御装置とを、備えていてもよい。
【0020】
船上水処理システムを対象とする更なる実施態様は、海水、塩化物種を含む水又はそれらの混合物の供給源を備えていてよく、それは、船舶が海水中にない場合に、海水、塩化物種を含む水又はそれらの混合物を貯蔵するために利用される貯蔵容器であってよい。従って、例えば、海水を1つ以上のリザーバに溜めて保存しておき、船舶が淡水域を通過中の場合に、本書に記載の1つ以上の殺生剤源によって利用することができる。実際、実施態様によっては、2つ以上のバラストタンクを装備した船舶では、いずれかのバラストタンクを利用して海水を貯蔵しておき、その後で、殺生剤源のための塩化物を含む水の供給源として、貯蔵された海水の少なくとも一部を利用することができる。
【0021】
本発明の1つ以上の側面によれば、船舶用水システムの生物付着制御が可能になる。例えば、消毒に利用される電気触媒的に生成した物質を用いて、典型的には、消毒に用いられる酸化剤濃度より低い酸化剤濃度で、船舶の冷却システムの生物付着を抑制することもできる。
【0022】
塩素要求量は、塩素と反応する無機及び有機化合物の存在に関連し得る。塩素要求量が満たされるまでは、消毒に利用し得る遊離塩素は存在しないであろう。窒素化合物が存在する場合、遊離塩素より弱い殺生剤と考えられるクロラミンが生じ得る。塩素投与量(CD)は、典型的には、全残留塩素(TRC)及び関係式(1)によって表わされる塩素要求量(Demand
chlorine)による。
TRC=Dose
chlorine−Demand
chlorine (1)
【0023】
全残留塩素は関係式(2)によって表わされる。
TRC=[クロラミン]+[遊離塩素] (2)
【0024】
HOClのような遊離塩素は、それが存在する場合、典型的には、関係式(3)に従って解離する。
HOCl→H
++OCl
- (3)
【0025】
次亜塩素酸(HOCl)は、望ましい殺生剤である。しかしながら、TRCを用いて塩素処理の効果の特性を明らかにしても、クロラミン濃度のばらつきによって、有効TRCの範囲が僅か5ppm未満から40ppmにも亘る可能性があるので、消毒効果を、とり
わけ、汚染された港湾から船上に汲みあげたバラスト水の処理に関して、正確に予測するのは不可能である。過剰な遊離塩素を用いて、要求量のばらつきに対応する場合には、結果として、船舶の鉄鋼構造の腐食といった望ましくない腐食の恐れが生じ、更に、トリハロメタン(THM)のような潜在的に毒性の消毒副産物が生成するが、これは、典型的には、塩素要求量及び遊離有効塩素のレベルによって決まる。
【0026】
従って、本発明によれば、例えば、バラスト水を有効に消毒するレベルに、殺生剤の添加又は導入を、確実に制御するシステム及び技術が提供される。実際、本発明のいくつかの側面によれば、過剰塩素消毒の可能性を減らすシステム及び技術が提供される。本発明の更に別の側面は、腐食及び副産物生成の可能性を最小限にし又は低下させる有効殺生剤投与量の選択、監視及び調節を可能にするシステム及び技術に関する。本発明の望ましい側面によれば、塩素要求量、汚染度及びpHといった局所的海水条件とは関係なく、任意の港湾において、バラスト水が有効に消毒されるが、これは、測定ORP即ちレドックス電位によって表わされる十分な殺生剤酸化強度を維持する本開示の側面を利用することによって確実にすることができる。
【0027】
本発明の1つ以上の実施態様において、水の酸化還元電位、即ちレドックス電位、を測定するように構成された少なくとも1つのORPプローブ又はセンサを利用することができる。測定電位は、水中において最も強い活性の酸化剤又は還元剤によって決定され、本発明のいくつかの側面では、典型的には、HOClになるであろう。しかしながら、海水には、典型的には、約50ppm〜60ppmの臭化ナトリウムが含まれているので、塩素を利用する海水消毒は、少なくとも部分的には、式(4)に従って転換された、例えば次亜臭素酸のような、臭素化種によって、実施され得る。
HOCl+NaBr→NaCl+HOBr (4)
【0028】
特定用途に関するレドックス電位E
hは、典型的には、ネルンスト式(5)に基づく。
【0030】
ここで、E
hは反応のレドックス電位であり、E
oは標準電位であり、RT/nFはネルンスト数であり、A
oxは酸化体の活量を表わし、A
redは還元体の活量を表わしている。
【0031】
塩素の標準電位は、典型的には、1,490mVであり、臭素の標準電位は、典型的には、1330mVである。海水の典型的なpH7〜8.4の範囲内において、HOBrの濃度はHOClの濃度よりも安定している。例えば、8.0のpHにおいて、非解離のHOBr種は、約83%であるが、一方、HOCl種は、約28%である。従って、塩素による海水の消毒に必要なORP値は、淡水に関して設定される値とは異なる可能性があると考えられる。
【0032】
バラスト水処理の場合のように海水処理に関して所望の又は目標のレドックス電位値を設定することは、消毒又は生物付着制御を行い、その一方で配管及び他の湿潤船体構造の腐食の可能性を低下させるレベルに塩素濃度を保つことを容易にするのに、好都合と思われる。連続塩素消毒の場合、塩素レベルは、約0.5ppm〜1.0ppmの範囲内、好ましくは、0.1ppm〜0.2ppmの範囲内、に保つことができる、と考えられる。従って、実施態様によっては、目標ORP値の上限は、約1ppmの対応する塩素レベルをもたらすか、又は、許容腐食速度を超えない条件をもたらすように決定され得る。実験
による情報を利用して、ORPレベルと測定腐食速度との関係を、少なくとも部分的に、立することができる。例えば、1年当たり1ミルの鉄鋼腐食速度を許容ガイドラインとして用いて、少なくとも部分的に、目標ORP値の上限を規定することができる。目標ORP値の下限は、所望の不活性化効果を十分に生じる条件になるように決定することができる。例えば、実験による情報を利用して、ORPレベルと不活性化効率との関係を確立することができる。
【0033】
遊離塩素残留技術の殺菌効力に影響し得る要因には、塩素残留濃度、接触時間、pH及び水温が含まれる。pHは、港湾毎に又は季節毎に変わる可能性もある。例えば、海水の高いpHは、季節的な藻類の繁殖によって生じる可能性がある。
図3は、オランダのテセル島沖の北海におけるpH値の季節的変化を示す(やはり、NIOZ提供)。固定塩素排出量に基づく処理システムは、典型的には、最悪の事態の想定、即ち高pH、に対処するように設計されているので、海水のpHがより低い条件下では、バラスト水の過剰塩素消毒が生じ、これに伴って、腐食の可能性が強まり、DBP生成の可能性が高まり得る。
【0034】
塩素濃度を測定するがその消毒強度は測定しない残留塩素分析器とは異なり、ORPセンサは、処理される水の酸化(電子消費)電位又は還元(電子供給)電位の定量表示を行う。
【0035】
下水施設に関するORP制御の特徴が、
図4に再現されたグラフを含む1963年に書かれた論文においてEbba Lundによって、言及されている。このグラフに示すように、ポリオウィルスの不活性化率は、それが存在する水の酸化電位に直接関連している。また、同グラフに示されるように、不活性化率は、用いられる塩素の化学種(即ち、遊離塩素対結合塩素)とは無関係である。ORPが増すにつれて、不活性化率が高くなる。後に、大腸菌、サルモネラ菌及びクリプトスポリジウムのような生物体に対して、実施された研究により、同様の結果が得られた。
【0036】
実験データを更に観察すると、還元体の量が一定の場合、レドックス電位及び残留塩素濃度は、両方とも、不活性化率のパラメータとして用いることができるが、還元体の量が変わる場合、なおレドックス電位だけが利用できることが分かる。
【0037】
本発明の水処理方法は、典型的には、バラスト水として使用可能な回分の海水について実施することができる。こうした場合、塩素のような酸化剤の濃度は、酸化剤が無機物質、有機物質及び生物学的物質と反応するので、典型的には、時間経過につれて低下する。本発明のいくつかの側面では、処理されつつある水における濃度の動態に基づいて、既処理水のORP値を制御する。従って、ORP制御は、典型的には、殺生剤が少なくとも一部の、好ましくはほぼ全ての、ANSを、例えば時間遅延ループによって、不活性化し、その一方で船舶構造の腐食及びDBPの生成という潜在的有害性を最小限に抑えるのに効果を発揮する時間を与えるように工夫されている。
【0038】
図5には、本発明の少なくとも1つの側面による船上処理システム200の概略が図示されている。処理システム200は、少なくとも1つのバラストタンク120に流体的に接続された海水箱110のような、海水源を備えていてもよい。処理システム200は、塩素投与レベルが既処理水のレドックス電位によって制御される、塩素消毒に基づく水処理システムを対象とし得る。例えば、処理システム200は、塩素投与量のレベルを可変にし、その一方で、処理海水の目標又は所望のレドックス電位を、ANSの有効死亡率をもたらすレベルに保つ、ORP制御システムを備えていてもよい。本発明の特定の側面のいくつかにおいては、処理システム200によって、処理される水の質には関係なく、残留次亜塩素酸(HOCl)を提供し、好ましくは処理海水の消毒を行うのに十分なレベルに保つことができる。例えば、処理システム200は、処理すべき水のpH若しくは汚染度又はその両方を補正する必要をなくすることができる。こうした側面に関連したいくつかの特定の実施態様は、例えば少なくとも1つの殺生剤を導入するかその導入速度を制御することによって実施して、約200mV〜約1,000mVの範囲の所望の又は目標のORP値を達成することができる。目標ORP値は、650mV〜800mVの範囲内にあることが望ましく、650mV〜750mVの範囲内にあることがより望ましい。こうした消毒処理を促進するため、システム200は、バラストタンク120に導入された水の測定特性を示すために配置された少なくとも1つのプローブ又はセンサ210と、プローブ又はセンサ210からの測定特性を表わす測定信号を受信するために配置された少なくとも1つの制御装置又は制御システムCとを備えていてもよい。上述のように、このましい非限定的実施態様には、水のORPレベルを示すことができるセンサ又はプローブが、必要とされる。処理システム200は、更に、少なくとも1つの殺生剤を水中に導入するために配置された、少なくとも1つの消毒剤又は殺生剤の少なくとも1つの供給源220を備えていてもよい。例えば、塩素供給システムを利用して、タンク120に導入された水に少なくとも1つの消毒種を送り込むことができる。概略的に図示されているように、制御フィードバックループを設けて、処理すべき水への殺生剤の導入を調節することができる。少なくとも1つのORPプローブを水配管に直接挿入し、又は、保守を容易にするため循環ループ内に取り付けることができる。他の場合には、ORP監視及び制御システムは、バラスト水供給本管110から支流を取り出すポンプ240を備えていてもよい。ORPプローブと本管とを接続するパイプ及びフランジは、ORPプローブに害を及ぼし又は望まざる電食条件を生じさせる可能性のある迷走電流を防止するため、本管と同じ材料から製作するのが望ましい。少なくとも1つのプローブは、本管と同じ電位を有することが望ましいが、これはプローブを本管に接地することによって実現できる。
【0039】
本発明の他の側面には、ORPに基づく制御システム及び技術、並びに、デバラスト操作において放出される前に、バラスト水のような、既処理水中の残留塩素濃度をなくし又は抑制する中和サブシステム及び方法を含んでいてもよい。しかしながら、望ましい側面によれば、残留塩素の望ましくない排出が廃止され又は廃止が促進され、本発明のとりわけ望ましい側面によれば、脱塩素処理サブシステムのない処理システムが提供され得る。脱塩素処理は、例えば、これらに限定するわけではないが、重亜硫酸ナトリウム、過酸化水素及び第一鉄塩のような、少なくとも1つの還元剤を利用することができる。塩素の中和は、ORP制御装置を、150mV〜350mVの範囲内、好ましくは未処理海水に関して典型的な200mV〜300mVの範囲内、に設定することによって実施できる。他の中和技術は、活性炭、紫外線によるシステム及び金属触媒静置床のいずれかを利用する。
【0040】
選択肢として、ORP設定を適切に変更して、バラスト操作及びデバラスト操作の両方に、同じORP制御装置を用いることができる。例えば、バラスト水、海水、塩化物種を含む水又はそれらの組合せを海水箱110からタンク120に導入して、得られるタンク内の水のORP値が、例えば300mV又は実に100mV未満といった、所望の若しくは許容レベル未満の又はほぼそうしたレベルのORP値になるようにすることができる。
【0041】
本発明のいくつかの側面による処理システム300のもう1つの略図が
図6で示されている。システム300は、船舶内に配置された海水箱310のような海水源を含んでいてもよい。システム300は、更に、典型的には少なくとも1つのバラスト水タンク320を具備する浮力システムを備え又はそれに流体的に接続することができる。特定の実施態様において、システム300には、海水箱310に、できれば少なくとも1つのバラストタンク320に、流体的に接続された少なくとも1つの酸化剤又は殺生剤の供給源330を、備えていてもよい。更なる他の実施態様において、海水箱310は、海水を利用する船舶の少なくとも1つのシステムに流体的に接続される。例えば、海水箱310は、船舶の少なくとも1つの冷却水システムCWSに流体的に接続されて、それに海水を供給することができる。供給源330は、前駆種を少なくとも1つの消毒又は殺生化合物に電気化学的に転換することが可能な電解装置332のような、少なくとも1つの電気的駆動装置を備えていてもよい。供給源330は、更に、装置332に電気エネルギを供給して海水箱310から供給される塩素を含む水の殺生剤への電気触媒的転換を促進するために配置された、少なくとも1つの電源334を備えていてもよい。供給源330は、更に、電気触媒的殺生剤発生プロセス中に生じる水素ガスのような任意のガスの少なくとも1つの換気口Vによる除去を促進する、少なくとも1つの脱気単位操作装置336を備えていてもよい。供給源330の少なくとも1つの出口は、タンク320に接続してもよい。脱気単位操作装置336の出口は、タンク320に流体的に接続されるのが望ましい。望ましい実施態様の場合、供給源330の出口は、更に海水箱310に接続されて、電解装置332及び脱気単位操作装置326のいずれかからの、少なくとも1つの殺生剤を含む、流れを生じさせる。
図6に概略的に図示されているように、システム300は、支流抜き出し技術を利用することが可能であり、このとき、海水箱310から取り出された海水の一部が供給源330に導入され、船舶浮力システム320に導入されるべき海水の残余が少なくとも1つのフィルタ340によって濾過される。
【0042】
酸化剤供給源330は、電解装置332のような、少なくとも1つの酸化種、これに限定するわけではないが、を生成する、少なくとも1つの電気的駆動装置を備えていてもよい。システム300は、更に、システム300の少なくとも1つの構成要素の少なくとも1つの特性又は性質を示すために配置された少なくとも1つのセンサ又はプローブを備える監視システムを備えていてもよい。例示的に図示されているように、監視システムは、本管路342における海水箱310からの水の少なくとも1つの性質を測定するために配置された少なくとも1つのセンサ352と、浮力システム320の1つ以上のバラストタンク内における水の特性のような、浮力システム320の少なくとも1つの性質を測定するために配置された少なくとも1つのセンサ354と、所望により、1つ以上のバラストタンクから出口又は放出口Dに放出される水の性質を測定するために配置された少なくとも1つのセンサ356を備えている。システム300には、更に、少なくとも1つの制御装置又は制御システムCを備えていてもよい。制御システムCは、システム300の少なくとも1つの操作パラメータを調節又は調整するように構成するのが望ましい。本発明の特定の側面において、制御システムCは、監視システムの少なくとも1つのセンサから、少なくとも1つの入力信号を受信することができる。本発明の更なる特定の側面において、制御システムCは、供給源330及び浮力システムのいずれについても、少なくとも1つの操作パラメータを調節することができる。更なる他の特定の側面において、制御システムCは、バラストタンク320からの排水操作を監視し、制御することができる。
【0043】
バラスト操作、これに限らないが、を始めとする浮力調整操作中、供給源330からの塩素のような酸化剤又は殺生剤を含む流れは、1つ以上の塩素分配装置によって、海水箱310及びバラスト水本管路342に導入することができる。本管路342における塩素処理水のレドックス電位は、ORPセンサであってもよいセンサ352を備える監視システムによって監視することができる。センサ352は、フィルタ340の下流に配置されるように図示されているが、他の実施態様では、海水の特性を指示し又は表示するため、フィルタ340の上流に配置されたセンサ352を、又はフィルタ340の上流又は海水箱310内にある追加センサをさえ、備えることができる。 BR>ァ御システムCは、監視システムからの1つ以上の指示又は表示を受信し、好ましくは少なくとも1つの表示に基づいて、供給源330の操作パラメータのようなシステムの少なくとも1つの操作パラメータを然るべく調整するように構成することができる。例えば、制御システムCは、システム300の単位操作装置のいずれかにおける既処理水のレドックス電位を、事前設定された許容可能な又は望ましい排水限界内に維持するように、構成することができる。所望により、排水操作又はデバラスト操作中に、例えば還元剤又は中和剤の供給源から、少なくとも1つの還元剤又は中和剤を、放出される処理バラスト水に導入することができる。特定の実施態様において、ORPセンサ356は、浮力システムからの排水のORP値又は酸化剤濃度を測定することが可能であり;制御システムCは、好ましくはセンサ356からの測定信号に基づいて、排水中の任意の酸化剤又は殺生剤を、少なくとも部分的に又は許容限度にまで、中和する還元剤の添加速度又は投与量といった酸化剤中和システム360の操作パラメータを、調節することができる。望ましい排水限界は、管轄区域の指示を満たすために、変わり得る。例えば、排水中の許容塩素レベルは、約1mg/L未満、場合によっては約0.5mg/L未満、場合によっては2ppm未満、になり得る。
【0044】
他の補助単位操作装置を利用して、処理システムの操作を促進することもできる。例えば、塩素源が現場電気的塩素消毒を必要とする場合、補助構成要素又はサブシステムは、海水の支流を抜き出して電気化学的発生器332に送り込む少なくとも1つのブースタポンプ、並びに、発生器に電力を供給する少なくとも1つの変圧整流器を含んでいてもよい。更に、送風機を利用して、換気水素ガスレベルを爆発限界未満に低下させることができる。フィルタ340は、沈殿物及び生物相に関連する有機塩素及び生物塩素要求量を減少させるストレーナであってもよい。フィルタ340は、バラスト水ポンプ(図示せず。)の下流においてバラスト水本管に取り付けられた微小篩(ファインスクリーン)自己フラッシングストレーナを備えるのが好ましい。好ましい実施態様において、ORPベースの消毒システムは、塩素要求量を低減させて塩素消毒の有効性を更に高め、その一方で腐食及びDBPの生成の可能性を低下させる、50ミクロン以下の、好ましくは40ミクロンの、フィルタを備える。このフィルタは、動物プランクトン(少なくとも一方向において50ミクロンを超えるサイズを有する有機体)を、流入水から、除去することもできる。フィルタで動物プランクトンを除去することによって、より低い目標ORPレベルにおいて処理システムを有効に運転することが容易になる。もう1つの実施態様では、印加電流システム又はカソード式防食システムを利用して、湿潤構成要素のうちのいずれかにおける迷走電流及び電圧が排除される。ORPセンサは異なるタイプとすることもできるし、又は迷走電流に同様に感応しない構成をとることもできる。更に、ORPセンサのいずれも、海水中の化学的汚染物及び水素に対して感応性が低いと思われる、金又は白金の先端を持つ、作用電極を備えていてよい。市販のORPセンサとしては、これらに限定するわけではないが、オレゴン州ビーバートンのVernier Software & Technology、カリフォルニア州ガーデングローブのSensorex Corporation、及び、カリフォルニア州ゴールドリバーのGlobal Water Instrumentation,INC.によるセンサが含まれる。
【0045】
電気化学的発生器は、双極同心円管電極を備えていてもよい。正帯電電極は、白金コーティングを有し、2,000A/m
2を超える、好ましくは2,000〜3,500A/m
2の範囲内の、電流密度で、又は、海水から混合酸化体溶液を生成するのに有利な条件下で、作動させることができる。発生器の例には、これに限らないが、ニュージャージー州ユニオンのシーメンス ウォーター テクノロジース コーポレイション社からCHLOROPAC(登録商標)として市販されているものが含まれる。
【0046】
配水ポンプによってバラスト水配管に導入される混合酸化体豊富化流れは、少なくとも2つの流路に分割することができる。一方のフロー流は、酸化剤を含む流れを海水箱に送り込み、それによってバラスト水管に給水して、バラスト水管及びストレーナにおける生物付着を抑制することが可能であり、この支流は、約0.4〜0.6mg/Lの範囲内の固定塩素投与量、又は、典型的には、生物付着防止に利用される投与量となるように設計することができる。もう一方の流れは、ストレーナ又はフィルタの下流に送ることができる。電気化学的発生器に給水する支流については、冷却配管から海水を抜き出し、それによって、船舶がバラスト操作を行っていない場合に、処理システムが冷却海水の生物付着制御に利用されるように調整することができる。
【0047】
他の実施態様では、1つ以上の貯蔵タンク(図示せず。)を備えていてもよい供給源330に貯えられた1つ以上の酸化種を関連させてもよい。
【0048】
制御システムCは、
図13に例示されるように1つ以上のコンピュータシステムを用いて実施することができる。制御システムCは、例えば、インテルPENTIUM(登録商標)タイプのプロセッサ、モトローラPowerPC(登録商標)プロセッサ、サンUltraSPARC(登録商標)プロセッサ、ヒューレットパッカードPA−RIS(登録商標)プロセッサ若しくは他の任意のタイプのプロセッサ又はそれらの組合せをベースにしたものといった汎用コンピュータであってよい。代わりに、コンピュータシステムは、特別にプログラムされた専用ハードウェア、例えば、分析システムを対象とする特定用途向け集積回路(ASIC)又は制御装置、を含むこともできる。
【0049】
制御システムCは、典型的には、例えばディスクドライブメモリ、フラッシュメモリ素子、RAMメモリ素子又はデータを記憶するための他のデバイスのうちの任意の1つ以上を備えてなる1つ以上のメモリ素子710に接続された1つ以上のプロセッサ705を含んでいてもよい。メモリ710は、典型的には、処理システム及び/又は制御システムCの作動中にプログラム及びデータを記憶するために用いられる。例えば、メモリ710は、動作データ並びに一定期間に亘るパラメータに関連した履歴データを記憶するために用いることができる。本発明の実施態様を実施するプログラミングコードを始めとするソフトウェアは、コンピュータで読み出し及び/又は書込み可能な不揮発性記録媒体に記憶し、典型的には、更に後でプロセッサによる実行が可能なメモリにコピーすることができる。こうしたプログラミングコードは、例えば、Java(登録商標)、Visual Basic、C、C#、又は、C++、Fortran、Pascal、Eiffel、Basic、COBALといった複数のプログラミング言語の任意の1つ、又は、それらの様々な組合せのいずれかによって書くことができる。
【0050】
制御システムの構成要素は、1つ以上のバス(例えば同じデバイス内に集積された構成要素間)及び/又はネットワーク(独立した個別デバイスに存在する構成要素間)を始めとする相互接続機構730によって結合することができる。相互接続機構は、典型的には、システムの構成要素間における通信(例えば、データ、命令)の交換を可能にする。
【0051】
制御システムは、1つ以上の入力装置730、例えば、入力信号i
1、i
2、i
3、...,i
nを生じる、監視システムのセンサ、キーボード、マウス、トラックボール、マイクロフォン及びタッチスクリーンのいずれか、並びに、1つ以上の出力装置740、例えば、出力信号s
1、s
2、s
3、...、s
iを生じることが可能な、印刷装置、ディスプレイスクリーン又はスピーカ、を備えることもできる。更に、コンピュータシステムは、(システムの構成要素の1つ以上によって形成可能なネットワークに加えて又はその代替物として)コンピュータシステムを通信ネットワークに接続することが可能な1つ以上のインタフェース(図示せず。)を含んでいてもよい。
【0052】
本発明の1つ以上の実施態様によれば、1つ以上の入力装置は、パラメータを測定するためのセンサを備えていてもよい。代わりに、センサ、絞り弁及び/又はポンプ乃至これらの構成要素の全てを、有効にコンピュータシステムに結合された通信ネットワークに、接続することもできる。例えば、センサ352、354及び356は、コンピュータシステムに直接接続される入力装置として構成してもよく;絞り弁及び/又はポンプは、コンピュータシステムに接続される出力装置として構成してもよく、上記の任意の1つ以上を別のコンピュータシステム又は構成要素に結合して、通信ネットワークを介してそれらとの通信を行うようにすることもできる。こうした構成によれば、センサの1つをもう1つのセンサからかなりの距離に配置することが可能となり、任意のセンサを任意のサブシステム及び/又は制御装置からかなりの距離に配置することが可能になり、それでもなお、それらの間でデータのやりとりを行える。
【0053】
制御システムは、本発明の様々な側面を実施することが可能なコンピュータシステムの1タイプとして例示されているが、本発明は、例示されたソフトウェア又はコンピュータシステムによる実施に限定されるものではないことを理解すべきである。実際、例えば汎用コンピュータシステムで実施するのではなく、代わりに、制御装置又はその構成要素若しくはサブセクションは、専用システムとして又は専用プログラマブルロジック制御装置(PLC)として又は分散型制御システムにおいて、実施することができる。更に、本発明の1つ以上の特徴又は側面は、ソフトウェア、ハードウェア若しくはファームウェア又はそれらの任意の組合せによって実施することができることを理解すべきである。例えば、制御装置上で実行可能なアルゴリズムの1つ以上のセグメントは、個別コンピュータによって実施することができ、次いで、1つ以上のネットワークを介して次々に通信ができる。
【0054】
同時係属の2007年8月15日に提出された「バラスト水の消毒方法(PROCESS FOR DISINFECTION OF BALLAST WATER)」と題する米国特許出願第60/956,057号及び2008年4月10日に提出された「バラスト水を処理するための方法及びシステム(METHOD AND SYSTEM FOR TREATING BALLAST WATER)」と題する米国特許出願第61/043,795号が、あらゆる目的にかなうように本書において参考までにそっくりそのまま援用されている。
【0055】
実施例
本発明のこれら及びその他の実施態様の機能及び利点については、下記の例から更によく理解することができる。しかし、これらは、本発明の1つ以上のシステム及び技術の便益及び/又は利点を説明するが、本発明の全範囲を例証するものではない。
【0056】
実施例1
図7には、20日に亘る観測期間中にLNG運搬船から排出された冷却水のORPのグラフが示されている。冷却水は、シーメンス ウォーター テクノロジース コーポレイション社製のCHLOROPAC(登録商標)電解発生器によって生じた塩素で処理された。冷却水に用いられた塩素投与量は、0.6mg/Lの範囲内に設定された。未処理水のORP(ORP基準線)を測定するため、塩素発生は、毎日真夜中に2時間に亘って、中断された。
【0057】
観測期間中、LNG運搬船はそれぞれ約5日間続く数回の航海を行った。
図7のグラフには、時間経過につれてORP値がどのように変化したかが示されている。運搬船が外洋にある時は、ORP値が約725〜750mVにも達することが観測された。この観測ORP値は、運搬船の入港又は出港時には、より低くなり、運搬船が港に停泊している時は約400〜450mVの範囲内のレベルにまで降下することが観測された。運搬船の所在位置によって左右されるORP値のこの差異は、異なる環境における運搬船周囲の水の塩素要求量及び汚染度の変化を反映している。例えば、外洋に比べてより汚染されている可能性のある港又は港湾の水域に運搬船がある間、一定の塩素投与量について、より低いORP値が観測された。
【0058】
塩素発生器が、海上又は港湾内のいずれかにおいて、早朝の時間に非活動状態にある場合、観測ORP値は約200mVで安定化したが、これは未処理の淡水又は海水の典型的なORP電位である。
【0059】
この例は、0.6mg/Lの範囲の低塩素残留レベルにおいて、既処理水のORP値は750mVにもなり得ることが示されている。従って、比較的低い遊離塩素残留レベルに関連した、有効な消毒ORPに基づくアプローチの実現ができる。
【0060】
例1には、海水の連続塩素消毒の結果が提示されている。水処理プロセスは、典型的には、バッチモードとして知られている方法で実施され、塩素濃度は、無機物質、有機物質及び生物学的物質との反応のために、時間経過につれて減少することが理解できる。従って、既処理水のORP値の制御には、既処理水の塩素濃度の動態を考慮すべきである。換言すれば、ORPに基づく制御は、好ましくは、殺生剤がANSの不活性化に有効になるのに十分な時間を与え、それと同時に船舶構造の腐食及びDBP生成の潜在的有害性を最小限に抑えるように構成する。
【0061】
実施例2
図8は、ORPレベルと貯蔵水の遊離塩素濃度及びpHとの関係を表わしたチャートを示している。約7.5単位のpHにおいて、約0.2mg/Lの遊離塩素で約700mVのORP電位を達成することができる。8.5のpHで同じ電位を得るには、3ppmの遊離塩素が必要になるであろう。従って、
図8に示すように、pH補正をしなければ、遊離塩素制御に基づく処理システムは、許容できない塩素消毒過剰又は塩素消毒不足状態をもたらすであろう。固定塩素排出量に基づく処理システムは、典型的には、最悪事態シナリオ、即ち高pH、に対処するように設計されているので、バラスト水の過剰塩素消毒が生じ、併せて、腐食の可能性が強まり、DBP生成の公算が高まる可能性がある。
【0062】
実施例3
水道水を用いて、2mg/Lの尿素を含む場合と含まない場合の塩化ナトリウム(20g/L)及び臭化ナトリウム(60mg/L)の水溶液を用意して、米国環境保護庁及び米国沿岸警備隊による環境技術検証プロトコル(Environmental Technology Verification protocol)草案に記載の、水処理シ
ステムの評価に用いられる技術と同様の方法で、窒素化合物濃度が低い場合及び高い場合
の典型的な沿岸海水の模擬物を作成した。
【0063】
用意した1リットルの水溶液を、琥珀色のガラスビーカーに入れて、連続撹拌した。既処理水溶液のORP及び残留遊離塩素濃度を監視しながら、投与量レベルを増しつつ、塩素がビーカーに添加された。
【0064】
図9に提示されたグラフは、尿素を添加しない場合及び2mg/L添加した場合の2つの試験について、模擬バラスト水の遊離塩素残留濃度とレドックス電位の動態とを表わしている。
【0065】
データが示すように、模擬バラスト水に尿素を添加しなかった場合、約1.6mg/Lの塩素投与量レベルでORP電位は、700mVに達した。模擬海水中に約2mg/Lの尿素が存在する場合、同じ電位に達するのに、5.2mg/Lの塩素投入量が必要になった。
【0066】
固定塩素排出システムは、典型的には、最悪事態シナリオ(高窒素化合物レベル)に合せて設計されている。従って、港湾内にあるか又は塩素要求量の低い状態にある場合、同じシステムによって過剰塩素消毒状態を生じることになり、望ましくない腐食条件及びDBP生成率をもたらすことになる。
【0067】
実施例4
典型的な沿岸海水の類似物を作成するため、尿素を1mg/L添加した塩化ナトリウム(20g/L)及び臭化ナトリウム(60mg/L)の水溶液が水道水を用いて用意された。用意した1リットルの水溶液を、琥珀色のガラスビーカーに入れて、連続撹拌した。水溶液のORP及びTRC並びに残留遊離塩素レベルを監視しながら、0.5mg/Lの塩素が、ビーカーに添加された。滞留結合塩素濃度が、TRCと滞留遊離塩素濃度との差に基づいて計算された。同様の試験が、1.0mg/L、1.5mg/L、2.0mg/L及び3.0mg/Lの塩素投与量レベルを用いて実施された。
【0068】
図10には、塩素投与10分後のこれら全ての試験に関する全残留塩素、遊離塩素及び結合塩素のORP読取り値及び濃度が提示されている。このデータが示すように、1mg/Lの尿素が存在する場合、投与10分後に、約700mVのORPレベルに達し、約1.25mg/Lの塩素を生じた。この投与量レベルでは、遊離塩素濃度が約0.5mg/Lになり、これは、鋼の腐食を促進しない条件内である。結合塩素濃度は約0.2mg/Lであることが分かった。しかしながら、3mg/Lの投与量レベルでは、遊離塩素濃度が腐食条件となり得る約1.5mg/Lになり、更に、約1ppmの結合塩素濃度を生じることも観測された。これは、1.25mg/Lの投与量レベルについて観測された結合塩素レベルに比べて約5倍のレベルである。この結果は塩素投与量の影響を示している。
【0069】
実施例5
2008年1月にオランダのテセル島沖の北海から採取した海水試料を砂濾過器で濾過
して、浮遊物質を除去した。海底堆積物試料も採集され、約60℃で熱的に消毒された。
【0070】
堆積物のない、堆積物が約100mg/Lの、及び、堆積物が約200mg/Lの、各試料1リットルが用意された。各試料は、処理溶液中で約700mVのORP値を達成するように塩素処理された。堆積物のない試料の場合、約0.96mg/Lの塩素を投与することによって約700mVのORP値が達成された。100mg/Lの堆積物を含む試料の場合、約3.1mg/Lの塩素を投与することによって約700mVのORP値が達成された。200mg/Lの堆積物を含む試料の場合、約4.2mg/Lの塩素を投与することによって約700mVのORP値が達成された。
【0071】
2008年4月の季節的な藻類の繁殖中に採集された同じ水源からの海水によって同様の試験が実施された。海水は、50ミクロンのナイロン製メッシュフィルタで濾過された。堆積物のない試料における700mVのORP電位達成には、約2.5mg/Lの塩素を投与する必要があった。
【0072】
この例が示すように、700mVの典型的なORP値の達成に必要な塩素投与量は、全浮遊物質(TSS)レベル及び塩素要求量の季節的変化といったいくつかの要因によって影響され得る。
【0073】
実施例6
2008年1月にオランダのテセル島沖の北海から採取した海水試料を砂濾過器で濾過して、浮遊物質を除去した。1リットルの試料が用意され、10mg/L、5mg/Lの塩素投与量で、及び、処理溶液中で約750mVのORP値を生じさせるのに十分な塩素投与量で、処理された。
【0074】
処理後5日間、試料のORP、遊離塩素、結合塩素及びDBPレベルが測定された。その結果が
図11A〜11C及び表1に示されている。
【0076】
示された結果から明らかなように、海水の水質によって要求される塩素の実際の必要量を考慮せずに、10mg/L又は5mg/Lの塩素投与量で海水を消毒すると、いくつかの望ましくない影響を生じ得る。10mg/L及び5mg/Lの塩素で処理した試料の場合、ORP値は、5日間の全試験期間に亘って約700mVを超えたままであった。これは、その試験期間に亘って、試料中で高レベルの残留塩素が存在し続けたことを示している。塩素化物種の大部分が反応性の高い遊離塩素として存在し続けたので、外洋航行船のバラストタンクでこうした投与計画を実行した場合には、これによって、重大な、危険ではないにしても、潜在的腐食問題並びにDBPの生成が生じることになったであろう。
【0077】
これに対して、目標ORP値を達成する塩素の投与を利用するシステムでは、これらの問題の可能性を低下させるのが容易になる。ORPを利用して、最適な塩素投与量レベルを選択すると、DBPを5〜9分の1に減少させ、残留塩素レベルを100〜1,000分の1に減少させるのが容易になる。ORPを利用して、望ましい塩素投与量レベルを選択するシステムの場合、デバラスト操作中における脱塩素処理の必要は、ほとんどなく或いは全くないことさえある。
【0078】
実施例7
2008年6月にオランダのテセル島沖の北海で50リットルの海水試料が4つ採集された。
【0079】
2つの試料は50ミクロンのフィルタを用いて濾過され、これらの試料の一方は対照試料(FC)として保存され、他方の試料(F)は、約700mVのORPレベルを達成するため塩素処理された。残りの2つの試料は、未濾過のままにしておかれた。未濾過試料の一方は、対照試料(UFC)として用いられ、他方の試料(UF)は、約700mVのORPレベルを達成するため処理された。4つの試料全てが、5日間、温度制御環境内に置かれ、約15℃〜約18℃のそれらの元の温度を維持した。5日後、動物プランクトン(サイズが50ミクロンを超える有機体)及び植物プランクトン(サイズが50ミクロン未満の有機体)について、試料を試験した。両方の対照試料FC及びUFCにおいて、多数の植物プランクトンが認められたが、処理試料F及びUFには、生存する植物プランク
トンは認められなかった。動物プランクトンに関する結果は異なり、表2に提示されている。
【0081】
これらの結果が示すように、海水試料には、1リットル当り約256の生存動物プランクトンが含まれていた。50ミクロンのフィルタを用いて、ほぼ全ての動物プランクトンを水から除去し、塩素で処理した。未濾過試料UFへの塩素の添加直後に、生存動物プランクトンの数は1リットル当り256から約11の有機体にまで減少した。これは、塩素の有利な酸化力及び動物プランクトンを取り除くその潜在力を例証している。しかしながら、5日後でさえ、UF試料中には、まだ3つの生存有機体が存在した。これは、ある種の有機体には、破壊すべき外皮に有効に作用する高塩素レベル−曝露時間、高塩素投与量レベル若しくは長接触触媒時間又はその両方が必要になることを示している。
【0082】
濾過され、約700mVのORP値を達成するために塩素処理されたF試料には生存有機体は認められなかった。更に留意すべきは、5日後、F試料中の残留塩素は約0.1mg/Lであり、その約半分は遊離塩素−、これは、典型的には、腐食又はDBPの懸念を引き起こすことにはならないレベル−であったということである。
【0083】
しかしながら、5日後、濾過された対象試料FCに生存有機体がいくつか現れた。最も考えられるのは、試験前のサイズが50ミクロン未満で、50ミクロンフィルタによって除去されなかった或る動物プランクトン種が成長したためである。しかし、F試料中における生物活性の欠如が示唆するように、塩素処理によってそれらの成長は抑制された。
【0084】
実施例8
人工海水の2つの試料(20g/LのNaCl及び0.06g/LのNaBrの水溶液)が用意された。一方の試料には、1ppmの尿素が添加され、他方の試料には、1ppmのグリシンが添加された。2つの試料に異なるレベルの塩素を投与して、約60分の期間に亘って監視した。各試料の遊離塩素濃度及びORP値が、白金先端のORPセンサプローブを用いて、約5分〜10分毎に測定された。その結果として得られたデータが
図12A及び12Bに図示されている。
図12Cは、グリシンを投与した試料について、ORPと、全塩素濃度、遊離塩素濃度及び結合塩素濃度の経時変化とが図示されている。
【0085】
このデータが示すように、尿素を投与した試料では、測定ORP値が遊離塩素濃度に対応する。対照的に、グリシンを投与した試料におけるORP/塩素関係は変動する。これは、様々な還元体に関して、ORP値が塩素投与量によって様々に変動することを明らかにしている。
【0086】
図12A及び12Bのデータが示すように、ORPに基づく処理システムを利用すると、安定な酸化環境レベルを生じることが可能になるが、一方、塩素濃度に基づく制御により、酸化種のレベルが望ましくないほど低くなる可能性がある。
【0087】
図12Cの場合、白金先端のORPセンサプローブに加えて金先端のORPセンサプローブも用いて、3mg/Lの塩素で処理した後のグリシンを投与した(1mg/L)人工海水のレベルが監視された。
図12Cのデータが示すように、ORPレベル及び遊離塩素レベルの両方とも、還元体を含む試料中への最初の塩素投与後、時間経過につれて変化する可能性があり、これは、バラスト水におけるORPレベルの頻繁な、絶え間なくとはいかないまでも、監視が望ましいことを明らかにしている。
図12Cのデータは、従来の白金先端のセンサプローブに対する金先端のセンサプローブを利用することの優位性も明らかにしている。というのは、データが示すように、金先端のセンサプローブからの読取り値は、時間経過につれて低下する遊離塩素レベルに追従し続けるが、白金先端のセンサプローブからの読取り値は、約60分以上経った時点において、試料中に存在する遊離塩素が低レベルのときに、横ばいになり始めるからである。
【0088】
従って、ORP制御を利用して、殺生剤の最低有効濃度を維持することが可能になり、ひいては、バラスト水の完全消毒が確保され、それと同時に腐食及びDBP生成の可能性が抑えられる。
【0089】
塩素消毒によれば、コスト効果的な高いバラスト水処理(BWT)が可能になる。しかしながら、塩素消毒は、腐食問題を生じ、デバラスト操作中における環境影響又は損害を防止し又は抑制するために、脱塩素システムを必要とする。塩素消毒に基づくバラスト水処理を対象とした研究では、典型的には、塩素要求量が塩素濃度の有効性に及ぼす影響が強調されている。従って、その結果は、典型的には、塩素投与量と残留塩素又は全残留塩素(TRC)基準で表わされる。
【0090】
ここまで本発明のいくつかの例証となる実施態様について解説してきたが、当該技術者には当然明らかなように、上記は単なる例証であって、限定するものではなく、ほんの一例として提示されただけのものである。多くの改変及び他の実施態様が通常の当該技術者の範囲内であり、本発明の範囲内に含まれるものと考えられる。即ち、本書で提示されている例の多くは、方法の行為及びシステム要素の特定の組合せを必要とするが、もちろん、それらの行為及びそれらの要素を、別のやり方で組み合わせて、同じ目的を実現することができる。
【0091】
当該技術者には当然明らかなように、本書に記載のパラメータ及び構成は典型的なものであり、実際のパラメータ及び/又は構成は、本発明のシステム及び技術が利用される特定の用途によって決まる。当該技術者であれば、単なる日常的な実験を利用するだけで本発明の特定の実施態様の相当物を認識するか、確認することも可能になるはずである。従って、理解しておくべきは、本書に記載の実施態様は例証のためだけに提示されたものであり、付属の請求項及びその等価物の範囲内において、本発明を具体的な説明とは異なるように実施することができるという点である。
【0092】
更に、やはり当然明らかなように、本発明は、本書に記載の各特徴、システム、サブシステム又は技術と、本書に記載の2つ以上の特徴、システム、サブシステム又は技術の任意の組み合わせを対象とするものであり、こうした特徴、システム、サブシステム及び技法が互いに矛盾しなければ、2つ以上の特徴、システム、サブシステム及び/又は方法の任意の組合せは、請求項において具体化された本発明の範囲内にあるものとみなされる。更に、1つの実施態様に関してのみ論じられたステップ、要素及び特徴が、他の実施態様における同様の役割から排除されるように意図されているわけではない。
【0093】
本書において用いられる限りにおいて、「複数の」という用語は、2つ以上の項目又は構成要素を表わしている。「含む」、「含有する」、「持っている」、「備える」「具備する」、及び、「伴う」といった用語は、明細書又は請求項等において、非限定的用語である、即ち、「〜を含むが、それに限定されない」ことを表わしている。従って、こうした用語の利用は、その後に列挙される項目及びその等価物並びに追加項目も包含するように意図されている。「から構成される」及び「ほぼ〜から構成される」という移行句だけが、それぞれ請求項に関して限定又は半限定移行句である。請求要素を修飾する「第1の」、「第2の」、「第3の」等のような請求項における序数用語の使用は、それ自体、ある請求要素の別の請求要素に対する優先順位、序列若しくは順序又は方法のステップが実施される時間的順序を暗示するものではなく、請求要素を識別するために、ただ単にある特定の名前を持つ請求要素の1つを同じ名前を持つ(序数用語の使用を除けば)もう1つの請求要素から識別する標識として用いられているだけである。