(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
化合物(A1)とアニリンブラック(A2)との合計に対する化合物(A1)の質量比[A1/(A1+A2)]が、0.20以上0.40以下である、請求項1に記載の着色硬化性樹脂組成物。
化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)の合計含有量が、樹脂組成物中3質量%以上40質量%以下であり、分散剤(B)の含有量が、樹脂組成物中0.1質量%以上10質量%以下であり、有機溶媒(C)の含有量が、樹脂組成物中60質量%以上95質量%以下であり、硬化性化合物(D)の含有量が、樹脂組成物中0.3質量%以上10質量%以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一般的にカラーフィルタのBMは、フォトリソグラフィー法により基板上に形成されるが、上記特許文献1に示された組成物では、フォトリソグラフィー工程におけるパターン形成性の点で十分ではなかった。そのため遮光性及びパターン形成性に優れたBM用の着色硬化性樹脂組成物の提供が望まれる。
本発明は、遮光性及びパターン形成性に優れた着色硬化性樹脂組成物、これを用いて形成されるブラックマトリクスを具備するカラーフィルタ、及び分散体の提供を課題とする。
【0007】
本発明者らは、黒色色材として、式(1)の化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)を特定の質量比で含有させることにより、遮光性及びパターン形成性に優れる着色硬化性樹脂組成物が得られることを見出した。
すなわち本発明は、下記の〔1〕〜〔3〕に関する。
〔1〕 式(1)で表される化合物(A1)と、アニリンブラック(A2)と、分散剤(B)と、有機溶媒(C)と、硬化性化合物(D)と、を含有し、化合物(A1)とアニリンブラック(A2)との合計に対する化合物(A1)の質量比[A1/(A1+A2)]が0.10以上0.50以下である着色硬化性樹脂組成物。
【化2】
〔式(1)中、Xは二重結合を示し、幾何異性体としてそれぞれ独立にE体又はZ体であり、R
1は、各々独立に、水素原子、メチル基、ニトロ基、メトキシ基、臭素原子、塩素原子、フッ素原子、カルボキシ基、又はスルホン酸基を示し、R
2は、各々独立に、水素原子、メチル基、又はフェニル基を示し、R
3は、各々独立に、水素原子、メチル基、又は塩素原子を示す。〕
〔2〕 〔1〕に記載の着色硬化性樹脂組成物を用いて形成されるブラックマトリクスを具備する、カラーフィルタ。
〔3〕 式(1)で表される化合物(A1)と、アニリンブラック(A2)と、分散剤(B)と、有機溶媒(C)と、を含有し、化合物(A1)とアニリンブラック(A2)との合計に対する化合物(A1)の質量比[A1/(A1+A2)]が0.10以上0.50以下である分散体。
【0008】
本発明によれば、遮光性及びパターン形成性に優れた着色硬化性樹脂組成物、これを用いて形成されるブラックマトリクスを具備するカラーフィルタ、及び分散体を提供することができる。
【0009】
本発明の着色硬化性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)は、式(1)で表される化合物(A1)(以下「化合物(A1)」ともいう)と、アニリンブラック(A2)と、分散剤(B)と、有機溶媒(C)と、硬化性化合物(D)と、を含有する。
本発明の樹脂組成物は、遮光性及びパターン形成性の観点から、化合物(A1)とアニリンブラック(A2)との合計に対する化合物(A1)の質量比[A1/(A1+A2)]が0.10以上0.50以下である。
本発明によれば、化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)を組み合わせて用いることで、相乗効果を発揮して、遮光性及びパターン形成性に優れる樹脂組成物が得られる。
【0010】
[着色硬化性樹脂組成物]
〔黒色色材〕
<化合物(A1)>
本発明の樹脂組成物は、黒色色材として、遮光性及びパターン形成性の観点から、式(1)で表される化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)を含有する。
【0012】
式(1)中、Xは二重結合を示し、幾何異性体としてそれぞれ独立にE体又はZ体であり、R
1は、各々独立に、水素原子、メチル基、ニトロ基、メトキシ基、臭素原子、塩素原子、フッ素原子、カルボキシ基、又はスルホ基を示し、R
2は、各々独立に、水素原子、メチル基、又はフェニル基を示し、R
3は、各々独立に、水素原子、メチル基、又は塩素原子を示す。
式(1)で表される化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
R
1は、化合物(A1)の製造容易性の観点から、ジヒドロインドロン環の6位に結合することが好ましく、R
3はジヒドロインドロン環の4位に結合することが好ましい。同様の観点から、R
1、R
2、及びR
3は、好ましくは水素原子である。
化合物(A1)は、幾何異性体としてEE体、ZZ体、EZ体を有するが、本発明に用いる化合物は、これらのいずれかの単一の化合物であってもよいし、これらの幾何異性体の混合物であってもよい。
【0013】
上記化合物(A1)は、例えば、国際公開公報WO2000/24736,国際公開公報WO2010/081624に記載された方法により製造することができる。市販の化合物(A1)としては、BASF社製「Irgaphor Black S0100CF」等が挙げられる。
【0014】
<アニリンブラック(A2)>
アニリンブラックとは、アニリンを酸化縮合してつくられる黒色粉末の色素であって、アニリン誘導体等の酸化縮合混合物である。酸化縮合の反応条件により、数種の中間体や副生成物との混合物となるものである。
【0015】
本発明におけるアニリンブラック(A2)の平均粒径は、遮光性の観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.24μm以上、更に好ましくは0.27μm以上、更に好ましくは0.30μm以上、更に好ましくは0.35μm以上であり、パターン形成性の観点から、好ましくは1.5μm以下、より好ましくは1.0μm以下、更に好ましくは0.7μm以下、更に好ましくは0.5μm以下である。アニリンブラックの平均粒径の測定方法は、実施例に記載の方法による。
本発明におけるアニリンブラック(A2)のBET比表面積は、遮光性の観点から、好ましくは34m
2/g以下、より好ましくは17m
2/g以下、更に好ましくは14m
2/g以下、更に好ましくは12m
2/g以下、更に好ましくは11m
2/g以下であり、パターン形成性の観点から、好ましくは2.2m
2/g以上、より好ましくは3.3m
2/g以上、更に好ましくは4.7m
2/g以上、更に好ましくは6.6m
2/g以上である。アニリンブラックのBET比表面積の測定方法は、実施例に記載の方法による。
【0016】
本発明におけるアニリンブラック(A2)は、安全性の観点から、好ましくはクロムフリーである。クロムフリーのアニリンブラックは、例えば、国際公開公報WO2012/099203、国際公開公報WO2012/099204に記載された方法により製造することができる。
市販のアニリンブラックとしては、東京色材工業株式会社製の「Toshiki 5030 conc」、「No.2スーパーブラック」、「No.2アニリンブラック」、「No.25アニリンブラック」、戸田工業株式会社製の「NAB1101」、野間化学株式会社製の「ダイアモンドブラックS」、大東化成株式会社製の「ダイアモンドブラックS」、ICI社製の「モノライトブラック」シリーズの「B」、「BX」、「XBE−HD」、BASF社製の「ダイアモンドブラック#300」、「セグナールライトブラックSNT」、「ターモソリッドスープラブラックSNT」、「ピグメントブラックA」、「パリオトールブラック」シリーズの「D0080」、「K0080」、「L0080」等が挙げられる。
【0017】
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)以外の黒色色材を含んでもよい。他の黒色色材としては、カーボンブラック、チタンブラック、等が挙げられる。本明細書において、化合物(A1)、アニリンブラック(A2)及びその他の黒色色材を総称して、「黒色色材(A)」ともいう。
【0018】
本発明の樹脂組成物において、化合物(A1)とアニリンブラック(A2)との合計に対する化合物(A1)の質量比[A1/(A1+A2)]は、遮光性及び観点から、0.10以上であり、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.24以上、更に好ましくは0.28以上であり、パターン形成性の観点から、0.50以下であり、好ましくは0.40以下、より好ましくは0.35以下、更に好ましくは0.32以下である。
化合物(A1)とアニリンブラック(A2)との合計に対する化合物(A1)の質量比[A1/(A1+A2)]は、顕著なパターン形成性を得る観点から、好ましくは0.28以下、より好ましくは0.26以下、更に好ましくは0.25以下である。
本発明の樹脂組成物に含まれる黒色色材(A)中、化合物(A1)とアニリンブラック(A2)との合計量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%以下であり、更に好ましくは100質量%である。
黒色色材と有機溶媒との親和性を高め、分散性及び保存安定性を高めるという観点から、黒色色材としては、化合物(A1)又はアニリンブラック(A2)の表面に、樹脂や高分子、上記化合物(A1)又はアニリンブラック(A2)の誘導体等により予め表面処理を施したものを用いることもできる。
【0019】
〔分散剤(B)〕
分散剤としては、例えば、主鎖又は側鎖としてポリ(メタ)アクリレート、ポリラクトン、ポリアルキレンオキサイド等を有する、ポリウレタン系分散剤、ポリアミド系分散剤、ポリイミド系分散剤、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(無水)マレイン酸等のポリカルボン酸系分散剤、ポリアミン系分散剤、及びその一部に4級アンモニウム塩等が導入された分散剤が挙げられる。これらの分散剤は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
分散剤は、好ましくは窒素原子数1以上5以下のポリアミン化合物と、平均付加モル数1以上100以下のラクトン鎖、又はアルキレンオキシ鎖を有する4級化剤とを反応させて得られる分散剤(B1)である。
【0020】
市販の分散剤としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製「Disperbyk」シリーズの「161」、「166」、「167」、日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース」シリーズの「55000」、「76500」等のポリウレタン系分散剤;ビックケミー・ジャパン株式会社製「Disperbyk」シリーズの「106」、「110」、「111」、日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース」シリーズの「36000」、「41000」、BASFジャパン株式会社製「EFKA−5060」等のポリカルボン酸系分散剤;ビックケミー・ジャパン株式会社製「Disperbyk」シリーズの「116」、「130」、日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース」シリーズの「24000」、「32000」、「33000」、「J200」、BASFジャパン株式会社製「EFKA−4046」、味の素ファインテクノ株式会社製「アジスパーPB」シリーズの「821」、「822」、「824」、「881」等のポリアミン系分散剤が挙げられる。これらの中でも、分散性の観点から、好ましくはポリアミン系分散剤、より好ましくは「EFKA−4046」及び「ソルスパースJ200」から選ばれる少なくとも1種、更に好ましくは「ソルスパースJ200」である。
【0021】
<分散剤(B1)>
分散剤(B1)は、好ましくは、窒素原子数1以上5以下のポリアミン化合物と、平均付加モル数1以上100以下のラクトン鎖、又はアルキレンオキシ鎖を有する4級化剤とを反応させて得られる分散剤であり、例えば、窒素原子数1以上5以下のポリアミン化合物と、平均付加モル数1以上100以下のアルキレンオキシ鎖を有する4級化剤との反応物である分散剤である。
ポリアミン化合物の当量に対する、4級化剤の当量比〔4級化剤当量/ポリアミン当量〕は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.6以上であり、本発明の分散剤の製造容易性の観点から、1.0以下であり、好ましくは0.9以下である。
【0022】
ポリアミン化合物の窒素原子数は、分散性を高める観点、及び分散体の保存安定性を高める観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3以下であり、そして、好ましくは2である。
【0023】
ポリアミン化合物は、好ましくは下記式(B1a)で表される化合物である。
【化4】
〔式中、R
1、R
2、R
4は、同一又は異なっていてもよく、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい炭素数1以上10以下の炭化水素基を示し、R
5は炭素数1以上18以下のアルカンジイル基(ただしR
1と隣接しているR
5は単結合を示す)を示し、n1は平均構造単位数を示し、n1は1以上5以下である。〕
【0024】
R
1,R
2は、炭素数1以上10以下の炭化水素基、又は炭素数2以上6以下のヒドロキシアルキル基が好ましく、炭素数1以上5以下の炭化水素基、又は炭素数3以上6以下のヒドロキシアルキル基がより好ましく、炭素数1以上3以下の炭化水素基、又は炭素数4以上6以下のヒドロキシアルキル基が更に好ましい。
R
4の炭素数は、好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下、更に好ましくは6以下、更に好ましくは1である。R
4は、水酸基で置換されていない炭化水素基が好ましい。R
4は、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシブチル基、及びヒドロキシヘキシル基から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、好ましくは、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはメチル基である。
【0025】
R
5のアルカンジイル基の炭素数は、顔料分散性向上の観点から、1以上であり、好ましくは2以上、顔料分散性向上の観点から、より好ましくは3以上であり、顔料分散性向上の観点から、18以下であり、好ましくは14以下、より好ましくは12以下、更に好ましくは10以下、更により好ましくは6以下である。
R
5のアルカンジイル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、各種プロパンジイル基、各種ヘキサンジイル基、各種オクタンジイル基及び各種ノナンジイル基から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、顔料分散性向上の観点から、好ましくはプロパン−1,3−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、及びノナン−1,9−ジイル基から選ばれる少なくとも1種であり、顔料分散性向上の観点から、より好ましくはプロパン−1,3−ジイル基及びヘキサン−1,6−ジイル基から選ばれる少なくとも1種、更に好ましくはヘキサン−1,6−ジイル基である。
ポリアミン化合物としては、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、窒素原子数2〜4のポリアミングリコール等が挙げられる。
【0026】
ポリアミン化合物は、例えば、Cu−Ni触媒の存在下で、アルキレンジオールと1級アミン又は2級アミンとを反応させる方法、あるいはアルキレンジアミンをアルデヒドにより還元アルキル化する方法、により得られる。
その他、市販品として、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン(花王株式会社製「カオーライザーNo.1」)、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン(花王株式会社製「カオーライザーNo.2」)、ポリアミングリコール(花王株式会社製「カオーライザーP200」)等を用いることができる。
【0027】
4級化剤としては、平均付加モル数1以上100以下のラクトン鎖、又はアルキレンオキシ鎖を有するハロゲン化アルキルエステル化合物が挙げられる。
【0028】
ラクトン鎖は、例えば、ラクトンの開環重合体が好ましい。ラクトンとしては、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、及びδ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。これらを単独で又は2種以上の組み合わせで使用することができる。なお、複数種のラクトンを用いた場合、その配列はランダム、又はブロックのいずれであってもよい。
これらのラクトンの中でもε−カプロラクトンが好ましい。
ポリエステル鎖の平均付加モル数は、分散体の分散性及び保存安定性を向上させる観点、着色組成物の現像性、及び耐熱性を向上させる観点から、2以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは15以上であり、同様の観点から、100以下であり、好ましくは70以下、より好ましくは50以下である。
【0029】
アルキレンオキシ単位の炭素数は、好ましくは2以上であり、そして、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。
アルキレンオキシ鎖は、顔料分散性向上の観点から、下記式(B1b)で示される構造単位であることが好ましい。
【0030】
【化5】
〔式(B1b)中、POはプロピレンオキシド由来の単位を示し、EOはエチレンオキシド由来の単位を示し、b,cは平均付加モル数を示し、bは0〜100であり、cは0〜100であり、b+cは1〜100である。*は結合部位を示す。〕
上記式(B1b)は、該構造単位がブロック重合体であることが好ましく、上記式(B1b)の(PO)末端側はアルコキシ基と結合し、(EO)末端側はハロゲン化アルキルエステルに結合することが好ましい。
【0031】
平均付加モル数bは、顔料分散性及び露光部の定着性向上の観点から、好ましくは10以上、より好ましくは21以上、更に好ましくは25以上であり、非露光部の溶解性及び分散剤(B1)の製造容易性の観点から、好ましくは60以下、より好ましくは50以下、更に好ましくは35以下である。
平均付加モル数cは、顔料分散性及び非露光部の溶解性向上の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは10以上であり、露光部の定着性の観点から、好ましくは95以下、より好ましくは70以下、更に好ましくは50以下、更により好ましくは30以下、更により好ましくは20以下である。
前記bとcの合計(b+c)は、顔料分散性向上の観点から、好ましくは15以上、より好ましくは21以上、更に好ましくは30以上、更により好ましくは40以上であり、好ましくは95以下、より好ましくは70以下、更に好ましくは50以下である。
前記bとcの合計に対するbの割合(b/(b+c))は、顔料分散性及び露光部の定着性向上の観点から、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.5以上であり、非露光部の溶解性及び分散剤(B1)の製造容易性の観点から、好ましくは0.97以下、より好ましくは0.86以下、更に好ましくは0.8以下である。
【0032】
アルキレンオキシ鎖は、好ましくはアルコキシアルキレンオキシ基である。
当該アルコキシ基の炭素数は、顔料分散性向上の観点から、1以上であり、好ましくは6以上、より好ましくは10以上であり、好ましくは18以下であり、より好ましくは16以下、更に好ましくは14以下、更に好ましくは12以下である。
アルコキシ基としては、メチル基、デシル基、ラウリル基、オレイル基、ステアリル基、p−オクチルフェニル基、及びp−ノニルフェニル基から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。アルコキシ基は、顔料分散性向上の観点から、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、より好ましくは、メチル基、デシル基及びラウリル基から選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはラウリル基である。
【0033】
4級化剤としては、好ましくは下記式(B1c−1)又は式(B1c−2)で表される化合物である。
【化6】
〔式中、R
6は炭素数1以上4以下のアルカンジイル基を示し、R
71は炭素数2以上12以下のアルカンジイル基を示し、aは平均付加モル数を示し、1以上100以下であり、R
8Oはアルコキシ基を示し、Y
1は脱離基を示す。〕
【化7】
〔式中、R
6は炭素数1以上4以下のアルカンジイル基を示し、R
72Oは炭素数2以上4以下のアルキレンオキシド基を示し、aは平均付加モル数を示し、1以上100以下であり、R
8Oはアルコキシ基を示し、Y
1は脱離基を示す。〕
Y
1は、分散剤の製造容易性、並びに分散体の分散性及び保存安定性を向上させる観点から、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル硫酸基、アルキルベンゼンスルホニル基、及びアルキルカーボネート基から選ばれる1種、より好ましくはハロゲン原子、更に好ましくは、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子から選ばれる少なくとも1種、更に好ましくは塩素原子である。
【0034】
R
71の炭素数は、分散体の分散性及び保存安定性を向上させる観点から、2以上であり、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上であり、同様の観点から、12以下であり、好ましくは10以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは6以下、更に好ましくは5以下である。
R
71としては、例えば、エチレン基、各種プロパンジイル基、各種ブタンジイル基、各種ペンタンジイル基、各種ヘキサンジイル基、及び各種ヘプタンジイル基から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、分散体の分散性及び保存安定性を向上させる観点から、好ましくはペンタン−1,5−ジイル基である。
【0035】
R
72の炭素数は、分散性、及び保存安定性の観点から、好ましくは4以下、より好ましくは3以下であり、好ましくは2以上である。R
72としては、好ましくはエチレン基及びプロピレン基から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0036】
aは、分散体の分散性及び保存安定性を向上させる観点から、2以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは15以上であり、同様の観点から、100以下であり、好ましくは70以下、より好ましくは50以下である。
【0037】
R
6の炭素数は、本発明の分散剤の製造容易性の観点から、4以下であり、好ましくは3以下、より好ましくは2以下であり、そして、好ましくは1以上であり、更に好ましくは1である。R
6としては、メチレン基が好ましい。
【0038】
R
8の炭素数は、分散体の分散性及び保存安定性を向上させる観点から、1以上であり、好ましくは6以上、より好ましくは10以上であり、同様の観点から、18以下であり、好ましくは16以下、より好ましくは14以下である。R
8は、分散体の分散性及び保存安定性を向上させる観点から、好ましくは脂肪族炭化水素基及び芳香環を有する炭化水素基から選ばれる少なくとも1種、より好ましくは脂肪族炭化水素基、更に好ましくはアルキル基及びアルケニル基から選ばれる少なくとも1種、更に好ましくはアルキル基である。
R
8としては、例えば、メチル基、エチル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、オレイル基、ステアリル基、フェニル基、p−オクチルフェニル基、及びp−ノニルフェニル基から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、分散体の分散性及び保存安定性を向上させる観点から、ラウリル基が好ましい。
【0039】
分散剤(B1)において、上記以外の4級化剤に由来する構成単位を有していてもよい。
【0040】
他の4級化剤としては、脱離基を有する、炭素数1以上10以下の炭化水素化合物が挙げられる。炭化水素化合物の炭素数は、分散体の分散性及び保存安定性を向上させる観点から、10以下であり、好ましくは7以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは2以下であり、そして、1以上である。
脱離基を有する炭化水素化合物としては、硫酸ジアルキル、ハロゲン化アルキル、p−トルエンスルホン酸アルキルから選ばれる少なくとも1種が挙げられ、具体的には、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸、臭化メタン、臭化エタン、臭化プロパン、ヨウ化メタン、ヨウ化エタン、ヨウ化プロパン等が挙げられる。
また分散剤(B1)は、酸で中和されていてもよい。
【0041】
分散剤(B1)の重量平均分子量は、分散性、保存安定性及び再分散性の観点から、好ましくは2,000以上、より好ましくは3,000以上、更に好ましくは3,500以上であり、また、好ましくは35,000以下、より好ましくは20,000以下、更に好ましくは10,000以下である。重量平均分子量の測定方法は実施例に記載の方法による。
【0042】
<分散剤(B1)の製造方法>
分散剤(B1)は、窒素原子数1以上5以下のポリアミン化合物と、4級化剤とを反応させることで得られる。分散剤(B1)を得る反応における反応雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。当該工程における反応の温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上であり、好ましくは100℃以下である。
【0043】
〔有機溶媒(C)〕
有機溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;プロピレングリコール等の多価アルコール;エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル等の他、酢酸エチル、シリコーンオイル、油脂等及び下記式(SL1)で表される化合物等が挙げられる。
【0045】
式(SL1)中、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、水素が炭素数1以上3以下のアルコキシ基と置換していてもよい、炭素数1以上4以下の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R
6は水素原子又はメチル基を示し、nは0以上3以下の整数を示す。
【0046】
式(SL1)において、R
4及びR
5としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、3−メトキシブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基が挙げられ、好ましくはメチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも1種である。
nは1又は2が好ましい。
有機溶媒としては、色材の分散性と、分散剤の溶解性又は分散性の観点から、好ましくはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」ともいう)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはPGMEAである。
上記の有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
〔硬化性化合物(D)〕
硬化性化合物としては、例えば、多官能重合性化合物が挙げられる。
<多官能性重合性化合物>
多官能重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を2個以上有する。
エチレン性不飽和結合を有する部位としては、(メタ)アクリレート基、ビニル基等が挙げられる。
多官能重合性化合物としては、多官能(メタ)アクリレート系化合物が好ましく用いられる。
多官能重合性化合物中に含まれるエチレン性不飽和結合の数は、パターン形成性の観点から、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、更に好ましくは5個以上であり、好ましくは8個以下、より好ましくは7個以下、更に好ましくは6個以下である。
【0048】
この多官能(メタ)アクリレート系化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応物(ウレタン(メタ)アクリレート)、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジメチレンエーテルビス(メタ)アクリルアミド、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレート系化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、好ましくは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種、より好ましくはジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(以下、「DPHA」ともいう)である。
本明細書において「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を意味する。そして、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及びメタクリルアミドから選ばれる少なくとも1種を意味する。
硬化性化合物として、例えば、(メタ)アクリル酸、炭素数1以上18以下の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル等の単官能重合性化合物が含まれていてもよい。
【0049】
本発明の樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(E)、チオール化合物、フッ素化合物、光重合開始剤、光開始助剤等を含有していてもよい。
【0050】
〔アルカリ可溶性樹脂(E)〕
アルカリ可溶性樹脂は、フォトリソグラフィー法によりカラーフィルタを製造する際に、未露光部を現像液に溶解させるために用いられる。アルカリ可溶性樹脂としては、ネガ型レジストに一般的に用いられるものを用いることができ、アルカリ水溶液に可溶性を有するもの、すなわち、0.05質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に20℃で1質量%以上溶解するものであればよい。
本発明で用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体が好ましく用いられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種が挙げられ、好ましくはベンジル(メタ)アクリレート及びメチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種である。すなわち、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体としては、より好ましくはベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体及びメチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体から選ばれる少なくとも1種である。
前記共重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸とのモル比((メタ)アクリル酸エステル/(メタ)アクリル酸)は、好ましくは50/50以上、より好ましくは70/30以上であり、好ましくは90/10以下、より好ましくは80/20以下である。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは5,000以上、より好ましくは7,000以上であり、好ましくは50,000以下、より好ましくは30,000以下である。
本明細書において「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
【0051】
〔チオール化合物〕
BMは、ポリイミド膜形成時にポリイミド前駆体を溶解するN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」ともいう)等の溶剤に浸漬されるため、BMには耐溶剤性が求められる。本発明の樹脂組成物は、耐溶剤性の観点から、チオール化合物を含有してもよい。チオール化合物は、好ましくは多価チオール化合物である。
チオール化合物は、耐溶剤性の観点から、好ましくはメルカプト基を3個以上有する。メルカプト基を3個以上有することで架橋密度が高くなるため、NMP等の溶剤による、硬化後の樹脂組成物の膨潤、黒色色材の溶出等をより抑制できると考えられる。
【0052】
チオール化合物が有するメルカプト基の数は、耐溶剤性の観点から、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上であり、入手容易性の観点から、好ましくは9個以下、より好ましくは8個以下、更に好ましくは7個以下、更により好ましくは6個以下である。
チオール化合物は、脂肪族チオール化合物、複素環又は芳香環等の環状構造を有するチオール化合物が挙げられ、耐溶剤性の観点から、好ましくは脂肪族チオール化合物である。
チオール化合物は、耐溶剤性の観点から、好ましくはメルカプトカルボン酸由来の構造を有する。
【0053】
脂肪族チオール化合物としては、1,2,3−トリス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(2−メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(3−メルカプトプロピルチオ)プロパン、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセタート)、グリセリントリス(2−メルカプトアセタート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセタート)、ジペンタエリスリトールペンタキス(2−メルカプトアセタート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトアセタート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)等が挙げられる。
複素環を有するチオール化合物としては、トリス[(3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル]イソシアヌレート、トリス[(3−メルカプトブチリルオキシ)−エチル]イソシアヌレート、(1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジアン−2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン)、トリス[(3−メルカプトプロピオニロキシ)−メチル]イソシアヌレート等が挙げられる。
芳香環を有するチオール化合物としては、1,2,3−トリメルカプトベンゼン、1,2,4−トリメルカプトベンゼン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、1,2,3−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,4−トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、1,2,3,4−テトラメルカプトベンゼン等が挙げられる。
【0054】
上記のチオール化合物の中でも、好ましくはペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス(3−メルカプトプロピオン酸)トリメチロールプロパン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)及びトリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレートから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、及びジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)から選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)である。
【0055】
〔フッ素化合物〕
本発明の樹脂組成物は、耐溶剤性の観点から、フッ素化合物を含有してもよい。フッ素化合物としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤、フッ素系オリゴマー、並びに、フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤としては、市販品として、住友スリーエム株式会社製「フロリナート FC」シリーズの「430」、「431」、DIC株式会社製「メガファック」シリーズの「F142D」、「F171」、「F172」、「F173」、「F177」、「F183」、「F554」、「R30」、三菱マテリアル電子化成株式会社製「エフトップ EF」シリーズの「301」、「303」、「351」、「352」、AGCセイミケミカル株式会社製「サーフロン」シリーズの「S−381」、「S−382」、「SC−101」、「SC−105」、株式会社ダイキンファインケミカル研究所製「E5844」等が挙げられる。
フッ素系オリゴマーとしては、市販品として、AGCセイミケミカル株式会社製「サーフロンS−611」、「サーフロンS−651」等が挙げられる。
フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、DIC株式会社製「メガファックRS−72−K」、「メガファックRS−75」、「メガファックRS−76−E」等が挙げられる。
フッ素化合物としては、耐溶剤性の観点から、好ましくはフッ素系オリゴマー、並びに、フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはフルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物である。フッ素系オリゴマーは、分子量が高く溶剤に対するフッ素化合物の溶解度が低いため、耐溶剤性に優れると考えられる。フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物は、硬化時に硬化性化合物(D)と共重合するため、硬化膜の耐溶剤性により優れると考えられる。
フッ素系オリゴマーの中では、「サーフロンS−611」、「サーフロンS−651」が好ましい。フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物の中では、「メガファックRS−72−K」、「メガファックRS−75」、「メガファックRS−76−E」が好ましい。
本発明に用いられるフッ素化合物は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
【0056】
〔光重合開始剤〕
光重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができ、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ヨードニウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルと2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルとの混合物、フェニルグリコレート、ベンゾフェノン等が好ましい。市販の光重合開始剤としては、例えば、BASFジャパン株式会社製「IRGACURE」シリーズの「OXE02」、「369」、「907」、「651」、「2959」、「184」、「250」、「754」;「DAROCUR」シリーズの「MBF」、「BP」、「1173」が好ましく挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0057】
(光開始助剤)
この光重合開始剤に、光開始助剤を組み合わせてもよい。
光開始助剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン等が挙げられる。これらの光開始助剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0058】
〔各成分量〕
樹脂組成物中の化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)の合計含有量は、遮光性及び生産性の観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、分散性及び耐溶剤性の観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
【0059】
樹脂組成物中の化合物(A1)の含有量は、遮光性の観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは2.5質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上、更に好ましくは4.0質量%以上である。樹脂組成物中の化合物(A1)の含有量は、パターン形成性及び耐溶剤性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは3.5質量%以下、更に好ましくは2.8質量%以下である。
【0060】
樹脂組成物中のアニリンブラック(A2)の含有量は、パターン形成性及び耐溶剤性の観点から、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上、更に好ましくは7.0質量%以上、更に好ましくは7.8質量%以上である。樹脂組成物中のアニリンブラック(A2)の含有量は、遮光性の観点から、好ましくは36質量%以下、より好ましくは27質量%以下、更に好ましくは18質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは9.0質量%以下、更に好ましくは8.0質量%以下、更に好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは5.5質量%以下である。
【0061】
樹脂組成物中の分散剤(B)の含有量は、分散性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、遮光性及び耐溶剤性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
樹脂組成物における化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)の合計100質量部に対する分散剤(B)の含有量は、分散性の観点から、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、更により好ましくは15質量部以上であり、遮光性及び耐溶剤性の観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、更に好ましくは25質量部以下である。
【0062】
樹脂組成物中の有機溶媒(C)の含有量は、作業性及び分散性の観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上であり、生産性の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
【0063】
樹脂組成物中の硬化性化合物(D)の含有量は、耐溶剤性及び良好な膜硬度を得る観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上であり、遮光性及び現像性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
樹脂組成物における化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)の合計100質量部に対する硬化性化合物(D)の含有量は、耐溶剤性及び良好な膜硬度を得る観点から、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは6質量部以上であり、遮光性及び現像性の観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
【0064】
樹脂組成物中のアルカリ可溶性樹脂(E)の含有量は、パターン形成性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、耐溶剤性及び良好な膜強度を得る観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下である。
樹脂組成物における化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)の合計100質量部に対するアルカリ可溶性樹脂(E)の含有量は、パターン形成性の観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上であり、耐溶剤性及び良好な膜強度を得る観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。
【0065】
本発明の樹脂組成物がチオール化合物を含有する場合、樹脂組成物中のチオール化合物の含有量は、耐溶剤性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更により好ましくは0.4質量%以上であり、分散安定性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0066】
本発明の樹脂組成物がフッ素化合物を含有する場合、樹脂組成物中のフッ素化合物の含有量は、絶縁性及び耐溶剤性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更により好ましくは0.35質量%以上であり、塗膜の物性の観点から、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0067】
樹脂組成物における硬化性化合物(D)100質量部に対する光重合開始剤の含有量は、良好な膜硬度を得る観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは100質量部以上、更により好ましくは120質量部以上であり、好ましくは300質量部以下、より好ましくは250質量部以下、更に好ましくは200質量部以下である。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
樹脂組成物における硬化性化合物(D)100質量部に対する光開始助剤の含有量は、良好な膜硬度を得る観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
【0068】
[製造方法]
本発明の樹脂組成物の製造方法は、下記工程を有することが好ましい。
工程1:化合物(A1)、アニリンブラック(A2)、分散剤(B)及び有機溶媒(C)と、必要に応じてアルカリ可溶性樹脂(E)とチオール化合物とを含む分散体を得る工程
工程2:上記工程で得られる分散体と、硬化性化合物(D)と、必要に応じてアルカリ可溶性樹脂(E)とフッ素化合物と光重合開始剤と光開始助剤とを混合する工程
【0069】
〔工程1〕
上記製造方法の工程1は、下記の工程1a、又は、工程1b−1から1b−3を有する。
工程1a:化合物(A1)、アニリンブラック(A2)、分散剤(B)及び有機溶媒(C)、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂(E)、チオール化合物を分散し、分散体を得る工程
工程1b−1:化合物(A1)、分散剤(B)及び有機溶媒(C)、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂(E)、チオール化合物を分散し、分散体b1を得る工程
工程1b−2:アニリンブラック(A2)、分散剤(B)及び有機溶媒(C)、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂(E)、チオール化合物を分散し、分散体b2を得る工程
工程1b−3:分散体b1及びb2を混合して、分散体を得る工程
本発明の樹脂組成物では、黒色色材として少なくとも化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)の二種類を用いる。これらの化合物(A1)、アニリンブラック(A2)は、共に分散してもよいし(上記工程1a)、それぞれ別々に分散してもよい(工程1b−1〜1b−3)。これらの中でも、遮光性、及びパターン形成性の観点から、化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)を共に分散すること(工程1a)が好ましい。
【0070】
工程1の分散で用いる混合分散機は、公知の種々の分散機を用いることができる。例えば、ホモミキサー等の高速撹拌混合装置、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモジナイザー等の高圧式分散機、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせて使用することもできる。
これらの中では、黒色色材を有機溶媒中に均一に混合させる観点から、ホモミキサー等の高速撹拌混合装置、ペイントシェーカーやビーズミル等のメディア式分散機が好ましい。市販のメディア式分散機としては、寿工業株式会社製「ウルトラ・アペックス・ミル」、浅田鉄工株式会社製「ピコミル」等が挙げられる。
メディア式分散機を用いる場合に、分散工程で用いるメディアの材質としては、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料、金属等が好ましく、摩耗性の観点からジルコニアが好ましい。メディアの直径としては、黒色色材中の凝集粒子を解砕する観点から、好ましくは0.003mm以上、より好ましくは0.01mm以上であり、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.4mm以下である。
分散時間は、黒色色材を十分に微細化する観点から、0.3時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、分散体の製造効率、過分散による再凝集抑制の観点から、50時間以下が好ましく、10時間以下がより好ましい。
【0071】
本発明の分散体は、化合物(A1)と、アニリンブラック(A2)と、分散剤(B)と、有機溶媒(C)と、を含有する。なお、本発明の分散体は、化合物(A1)とアニリンブラック(A2)の分散体、すなわち黒色色材分散体である。
【0072】
分散体中の化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)の合計含有量は、遮光性及び生産性の観点から、好ましくは6質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは16質量%以上であり、分散性及び耐溶剤性の観点から、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
分散体中の化合物(A1)の含有量は、遮光性の観点から、好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは4.0質量%以上、更に好ましくは5.0質量%以上、更に好ましくは6.0質量%以上、更に好ましくは8.0質量%以上である。分散体中の化合物(A1)の含有量は、パターン形成性及び耐溶剤性の観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは7.0質量%以下、更に好ましくは5.5質量%以下である。
分散体中のアニリンブラック(A2)の含有量は、パターン形成性及び耐溶剤性の観点から、好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは14質量%以上、更に好ましくは16質量%以上である。分散体中のアニリンブラック(A2)の含有量は、遮光性の観点から、好ましくは54質量%以下、より好ましくは36質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは18質量%以下、更に好ましくは16質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは11質量%以下である。
【0073】
分散体中の分散剤(B)の含有量は、分散性の観点から、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、遮光性及び耐溶剤性の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
分散体における、化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)の合計100質量部に対する分散剤(B)の含有量の好ましい範囲は、上記樹脂組成物における含有量の好ましい範囲と同様である。
分散体中の有機溶媒(C)の含有量は、作業性及び分散性の観点から、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、生産性及び樹脂組成物の配合自由度の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
本発明の分散体は、例えば、上記工程1a、又は、工程1b−1〜1b−3により、得られる。
【0074】
〔工程2〕
工程2では、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂(E)、チオール化合物、フッ素化合物、光重合開始剤、光開始助剤、等の任意成分を混合する。
工程2の混合方法は、特に制限はないが、例えば、ローラー式攪拌機による攪拌が挙げられる。攪拌時間は、5分以上が好ましく、15分以上がより好ましく、製造効率の観点から、10時間以下が好ましく、1時間以下がより好ましい。
【0075】
[カラーフィルタ]
本発明の樹脂組成物は、好ましくは、カラーフィルタの製造のために使用され、より好ましくはカラーフィルタのブラックマトリクス形成のために使用される。
本発明の樹脂組成物を用いて形成されるブラックマトリクスを具備するカラーフィルタの製造方法は、本発明の樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥、光硬化、現像を行い、塗膜を得る工程(a)と、前記工程(a)で得た塗膜を200〜300℃に加熱して硬化膜よりなるブラックマトリクスを形成する工程(b)と、前記硬化膜上に樹脂の有機溶剤溶液を塗工して樹脂膜を形成する工程(c)を有することが好ましい。
【0076】
工程(a)の塗布後には、有機溶媒を乾燥させ、塗膜の平滑性や生産性の観点から加熱、或いは減圧することが好ましい。
上記光硬化は、例えば、塗膜に紫外線を照射して、樹脂組成物中の多官能モノマーが架橋反応し、塗膜を硬化させる。光硬化は続く現像でガラス基板上にパターンを残すために行い、現像で除去する部分には紫外線を防ぐフォトマスクを載せて硬化させないことが好ましい。
上記現像は、例えば、光硬化後の硬化塗膜をアルカリ水溶液中に浸漬し、更に水でリンスして未硬化部分を除去する。
工程(b)は、ポストベイク工程であり、本工程を行うことにより、硬度に優れた硬化膜を形成することができる。
工程(c)の樹脂は例えばポリイミドである。工程(c)の有機溶剤は例えばNMPである。
【0077】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の樹脂組成物、カラーフィルタ、分散体、及びこれらの製造方法等を開示する。
【0078】
〔1〕 下記式(1)で表される化合物(A1)と、アニリンブラック(A2)と、分散剤(B)と、有機溶媒(C)と、硬化性化合物(D)とを含有し、化合物(A1)とアニリンブラック(A2)との合計に対する化合物(A1)の質量比[A1/(A1+A2)]が0.10以上0.50以下である着色硬化性樹脂組成物。
【化9】
〔上記式(1)中、Xは二重結合を示し、幾何異性体としてそれぞれ独立にE体又はZ体であり、R
1は、各々独立に、水素原子、メチル基、ニトロ基、メトキシ基、臭素原子、塩素原子、フッ素原子、カルボキシ基、又はスルホン酸基を示し、R
2は、各々独立に、水素原子、メチル基、又はフェニル基を示し、R
3は、各々独立に、水素原子、メチル基、又は塩素原子を示す。〕
【0079】
〔2〕 R
1が、好ましくはジヒドロインドロン環の6位に結合する、〔1〕に記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔3〕 R
3が、好ましくはジヒドロインドロン環の4位に結合する、〔1〕又は〔2〕に記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔4〕 R
1、R
2、及びR
3が、好ましくは水素原子である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔5〕 アニリンブラック(A2)の平均粒径が、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.24μm以上、更に好ましくは0.27μm以上、更に好ましくは0.30μm以上、更に好ましくは0.35μm以上であり、好ましくは1.5μm以下、より好ましくは1.0μm以下、更に好ましくは0.7μm以下、更に好ましくは0.5μm以下である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔6〕 アニリンブラック(A2)のBET比表面積が、好ましくは34m
2/g以下、より好ましくは17m
2/g以下、更に好ましくは14m
2/g以下、更に好ましくは12m
2/g以下、更に好ましくは11m
2/g以下であり、好ましくは2.2m
2/g以上、より好ましくは3.3m
2/g以上、更に好ましくは4.7m
2/g以上、更に好ましくは6.6m
2/g以上である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔7〕 化合物(A1)とアニリンブラック(A2)との合計に対する化合物(A1)の質量比[A1/(A1+A2)]が、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.20以上、更に好ましくは0.24以上、更に好ましくは0.28以上であり、好ましくは0.40以下、より好ましくは0.35以下、更に好ましくは0.32以下である、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔8〕 化合物(A1)とアニリンブラック(A2)との合計に対する化合物(A1)の質量比[A1/(A1+A2)]が、好ましくは0.28以下、より好ましくは0.26以下、更に好ましくは0.25以下である、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
【0080】
〔9〕 分散剤(B)が、ポリウレタン系分散剤、ポリアミド系分散剤、ポリイミド系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤、ポリアミン系分散剤、及びその一部に4級アンモニウム塩等が導入された分散剤から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔10〕 分散剤(B)が、好ましくは窒素原子数1以上5以下のポリアミン化合物と、平均付加モル数1以上100以下のラクトン鎖、又はアルキレンオキシ鎖を有する4級化剤とを反応させて得られる分散剤(B1)である、〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔11〕 ポリアミン化合物の当量に対する、4級化剤の当量比〔4級化剤当量/ポリアミン当量〕が、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.6以上であり、1.0以下であり、好ましくは0.9以下である、〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔12〕 有機溶媒(C)が、好ましくはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである、〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔13〕 硬化性化合物(D)が、好ましくは多官能重合性化合物である、〔1〕〜〔12〕に記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔14〕 多官能重合性化合物が、好ましくは多官能(メタ)アクリレート系化合物である、〔13〕に記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔15〕 多官能重合性化合物中に含まれるエチレン性不飽和結合の数が、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、更に好ましくは5個以上であり、好ましくは8個以下、より好ましくは7個以下、更に好ましくは6個以下である、〔13〕又は〔14〕に記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔16〕 多官能重合性化合物が、好ましくは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種、より好ましくはジペンタエリスリトールヘキサアクリレートである、〔13〕〜〔15〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
【0081】
〔17〕 好ましくはアルカリ可溶性樹脂(E)を更に含有する、〔1〕〜〔16〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔18〕 アルカリ可溶性樹脂(E)が、好ましくは(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体である、〔17〕に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【0082】
〔19〕 好ましくはチオール化合物、より好ましくは多価チオール化合物を更に含有する、〔1〕〜〔18〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔20〕 チオール化合物が有するメルカプト基の数が、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上であり、好ましくは9個以下、より好ましくは8個以下、更に好ましくは7個以下、更により好ましくは6個以下である、〔19〕に記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔21〕 チオール化合物が、好ましくは脂肪族チオール化合物、複素環又は芳香環等の環状構造を有するチオール化合物であり、より好ましくは脂肪族チオール化合物である、〔19〕又は〔20〕に記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔22〕 チオール化合物が、好ましくはペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス(3−メルカプトプロピオン酸)トリメチロールプロパン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)及びトリス−[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)−エチル]−イソシアヌレートから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、及びジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)から選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)である、〔19〕〜〔21〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
【0083】
〔23〕 好ましくはフッ素化合物を含有する、〔1〕〜〔22〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔24〕 フッ素化合物が、好ましくはフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤、フッ素系オリゴマー、並びに、フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物等から選ばれる少なくとも1種である、〔23〕に記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔25〕 フッ素化合物が、好ましくはフッ素系オリゴマー、並びに、フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはフルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物である、〔23〕又は〔24〕に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【0084】
〔26〕 好ましくは光重合開始剤を更に含有する、〔1〕〜〔25〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔27〕 好ましくは光開始助剤を更に含有する、〔26〕に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【0085】
〔28〕 樹脂組成物中の化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)の合計含有量が、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である、〔1〕〜〔27〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔29〕 樹脂組成物中の化合物(A1)の含有量が、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、更に好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは2.5質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上、更に好ましくは4.0質量%以上である、〔1〕〜〔28〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔30〕 樹脂組成物中の化合物(A1)の含有量が、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは3.5質量%以下、更に好ましくは2.8質量%以下である、〔1〕〜〔29〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔31〕 樹脂組成物中のアニリンブラック(A2)の含有量が、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上、更に好ましくは7.0質量%以上、更に好ましくは7.8質量%以上である、〔1〕〜〔30〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔32〕 樹脂組成物中のアニリンブラック(A2)の含有量が、好ましくは36質量%以下、より好ましくは27質量%以下、更に好ましくは18質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、更に好ましくは9.0質量%以下、更に好ましくは8.0質量%以下、更に好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは5.5質量%以下である、〔1〕〜〔31〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
【0086】
〔33〕 樹脂組成物中の分散剤(B)の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である、〔1〕〜〔32〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔34〕 樹脂組成物における化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)の合計100質量部に対する分散剤(B)の含有量が、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、更により好ましくは15質量部以上であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下、更に好ましくは25質量部以下である、〔1〕〜〔33〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔35〕 樹脂組成物中の有機溶媒(C)の含有量が、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である、〔1〕〜〔34〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
【0087】
〔36〕 樹脂組成物中の硬化性化合物(D)の含有量が、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である、〔1〕〜〔35〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔37〕 樹脂組成物における化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)の合計100質量部に対する硬化性化合物(D)の含有量が、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは6質量部以上であり、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である〔1〕〜〔36〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
【0088】
〔38〕 樹脂組成物中のアルカリ可溶性樹脂(E)の含有量が、樹脂組成物中の固形分量に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下である、〔17〕又は〔18〕に記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔39〕 樹脂組成物における化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)の合計100質量部に対するアルカリ可溶性樹脂(E)の含有量は、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上であり、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である、〔17〕、〔18〕及び〔38〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔40〕 樹脂組成物中のチオール化合物の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更により好ましくは0.4質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、〔19〕〜〔22〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔41〕 樹脂組成物中のフッ素化合物の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更により好ましくは0.35質量%以上であり、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である、〔23〕〜〔25〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔42〕 樹脂組成物における硬化性化合物(D)100質量部に対する光重合開始剤の含有量が、好ましくは1質量部以上、より好ましくは50質量部以上、更に好ましくは100質量部以上、更により好ましくは120質量部以上であり、好ましくは300質量部以下、より好ましくは250質量部以下、更に好ましくは200質量部以下である、〔26〕又は〔27〕に記載の着色硬化性樹脂組成物。
〔43〕 樹脂組成物における硬化性化合物(D)100質量部に対する光開始助剤の含有量が、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である、〔27〕に記載の着色硬化性樹脂組成物。
【0089】
〔44〕 下記工程を有する、着色硬化性樹脂組成物の製造方法。
工程1:化合物(A1)、アニリンブラック(A2)、分散剤(B)及び有機溶媒(C)と、を含む分散体を得る工程
工程2:上記工程で得られる分散体と、硬化性化合物(D)と、必要に応じてアルカリ可溶性樹脂(E)とフッ素化合物とを混合する工程
【0090】
〔45〕 工程1において、好ましくはアルカリ可溶性樹脂(E)を更に含む、〔44〕に記載の着色硬化性樹脂組成物の製造方法。
〔46〕 工程1において、好ましくはチオール化合物を更に含む、〔44〕又は〔45〕に記載の着色硬化性樹脂組成物の製造方法。
〔47〕 工程2において、好ましくはアルカリ可溶性樹脂(E)を更に混合する、〔44〕〜〔46〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物の製造方法。
〔48〕 工程2において、好ましくはフッ素化合物を更に混合する、〔44〕〜〔47〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物の製造方法。
〔49〕 工程2において、好ましくは光重合開始剤を更に混合する、〔44〕〜〔48〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物の製造方法。
〔50〕 工程2において、好ましくは光開始助剤を更に混合する、〔44〕〜〔49〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物の製造方法。
〔51〕 工程1が、好ましくは下記の工程1a、又は、工程1b−1から1b−3を有する、〔44〕〜〔50〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物の製造方法。
工程1a:化合物(A1)、アニリンブラック(A2)、分散剤(B)及び有機溶媒(C)、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂(E)、チオール化合物を分散し、分散体を得る工程
工程1b−1:化合物(A1)、分散剤(B)及び有機溶媒(C)、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂(E)、チオール化合物を分散し、分散体b1を得る工程
工程1b−2:アニリンブラック(A2)、分散剤(B)及び有機溶媒(C)、必要に応じて、アルカリ可溶性樹脂(E)、チオール化合物を分散し、分散体b2を得る工程
工程1b−3:分散体b1及びb2を混合して、分散体を得る工程
〔52〕 工程1が、好ましくは上記工程1aである、〔51〕に記載の着色硬化性樹脂組成物の製造方法。
【0091】
〔53〕 下記式(1)で表される化合物(A1)と、アニリンブラック(A2)と、分散剤(B)と、有機溶媒(C)とを含有し、化合物(A1)とアニリンブラック(A2)との合計に対する化合物(A1)の質量比[A1/(A1+A2)]が0.10以上0.50以下である分散体。
【化10】
〔上記式(1)中、Xは二重結合を示し、幾何異性体としてそれぞれ独立にE体又はZ体であり、R
1は、各々独立に、水素原子、メチル基、ニトロ基、メトキシ基、臭素原子、塩素原子、フッ素原子、カルボキシ基、又はスルホン酸基を示し、R
2は、各々独立に、水素原子、メチル基、又はフェニル基を示し、R
3は、各々独立に、水素原子、メチル基、又は塩素原子を示す。〕
【0092】
〔54〕 分散体中の化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)の合計含有量が、好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは16質量%以上であり、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である、〔53〕に記載の分散体。
〔55〕 分散体中の化合物(A1)の含有量が、好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは4.0質量%以上、更に好ましくは5.0質量%以上、更に好ましくは6.0質量%以上、更に好ましくは8.0質量%以上である、〔53〕又は〔54〕に記載の分散体。
〔56〕 分散体中の化合物(A1)の含有量が、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは7.0質量%以下、更に好ましくは5.5質量%以下である、〔53〕〜〔55〕のいずれかに記載の分散体。
〔57〕 分散体中のアニリンブラック(A2)の含有量が、好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは14質量%以上、更に好ましくは16質量%以上である、〔53〕〜〔56〕のいずれかに記載の分散体。
〔58〕 分散体中のアニリンブラック(A2)の含有量が、好ましくは54質量%以下、より好ましくは36質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは18質量%以下、更に好ましくは16質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは11質量%以下である、〔53〕〜〔57〕のいずれかに記載の分散体。
〔59〕 分散体中の分散剤(B)の含有量が、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である、〔53〕〜〔58〕のいずれかに記載の分散体。
〔60〕 化合物(A1)及びアニリンブラック(A2)の合計100質量部に対する分散剤(B)の含有量が、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、更により好ましくは15質量部以上であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは25質量部以下である、〔53〕〜〔59〕のいずれかに記載の分散体。
〔61〕 分散体中の有機溶媒(C)の含有量が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である、〔53〕〜〔60〕のいずれかに記載の分散体。
〔62〕 好ましくは〔2〕〜〔18〕に記載の限定事項を有する、〔53〕〜〔61〕のいずれかに記載の分散体。
【0093】
〔63〕 〔1〕〜〔43〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物の、カラーフィルタの製造のための使用。
〔64〕 〔1〕〜〔43〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物の、カラーフィルタのブラックマトリクス形成のための使用。
【0094】
〔65〕 〔1〕〜〔43〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物を用いて形成されるブラックマトリクスを具備する、カラーフィルタ。
〔66〕 〔1〕〜〔43〕のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥、光硬化、現像を行い、塗膜を得る工程(a)と、前記工程(a)で得た塗膜を200〜300℃に加熱して硬化膜よりなるブラックマトリクスを形成する工程(b)と、前記硬化膜上に樹脂の有機溶剤溶液を塗工して樹脂膜を形成する工程(c)を有する、カラーフィルタの製造方法。
【実施例】
【0095】
遮光性及びパターン形成性の評価、重量平均分子量、固形分及びアニリンブラックのBET比表面積と平均粒径の測定は以下の方法により行った。
【0096】
(1)遮光性の評価
10cm×10cmのガラス基板上に、樹脂組成物をスピンコーター(株式会社アクティブ製「ACT−220DII」)で塗布した。基板を水平台にて5分間静置し、120℃のホットプレート上で10分間静置し、更に230℃のクリーンオーブン内で20分間処理して、片面に塗膜を有する基板を得た。前記塗膜の厚さは1〜2μmとなるようにした。卓上式透過濃度計(X−Rite社製「モデル361T」、測定波長550nm)を用い、基板の吸光度を測定し、測定値をOD
Rとした。吸光度を測定した部位の塗膜の厚さT(μm)を、株式会社東京精密製「SURFCOM 1500DX」で測定した。塗膜の厚さ1μm当たりの光学濃度を「OD」とし、以下の式により算出した。
OD=OD
R/T(μm)
このODが大きいほど、遮光性が良好である。
【0097】
(2)パターン形成性の評価
10cm×10cmのガラス基板上に、樹脂組成物をスピンコーター(株式会社アクティブ製「ACT−220DII」)を用いて塗布し、基板を100℃のホットプレート上で2分間静置し、片面に塗膜を有する基板を得た。前記塗膜の厚さは1μmとなるようにした。基板の、樹脂組成物を塗布した面に、基板から0.5mm離してフォトマスクを設置した。前記フォトマスクは、幅(単位μm)10,20,30,40,50,60,70,80,90,及び100のスリットを有する。株式会社モリテックス製紫外線ファイバースポット照射装置「MUV−202U」を用い、前記フォトマスクを介して、基板に紫外線を100mJ/cm
2照射した。フォトマスクを外し、基板を、0.04質量%KOH水溶液に2分間浸漬し、純水でリンスし、230℃のクリーンオーブンで20分間熱処理した。光学顕微鏡を用い、前記フォトマスクによって現像された基板上の細線を観察し、基板上に残存する最も細い線幅の細線を残存細線幅とした。残存細線幅が小さいほど、パターン形成性に優れる。
【0098】
(3)重量平均分子量の測定
<条件1>
ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)を用いた。溶離液として、リン酸濃度60mmol/L、臭化リチウム濃度50mmol/LのN,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」ともいう)溶液を用いた。試料をDMFで希釈して、固形分0.3質量%の溶液とし、その0.1mLを、GPC〔装置:東ソー株式会社製「HLC−8120GPC」、カラム:東ソー株式会社製「TSK−GEL、α−M」×2本、流速:1mL/min〕にて測定した。
<条件2>
クロロホルムに、ジメチルドデシルアミン(花王株式会社製「ファーミン DM20」)を1mmol/Lとなるように溶解した液を溶離液として、ゲルクロマトグラフィー法(GPC法、装置:東ソー株式会社製「HLC−8320GPC」、検出器:装置に付属の示差屈折計、カラム:昭和電工株式会社製「K−804L」×2、流速:1.0mL/min、カラム温度:40℃)により測定した。標準物質として、下記の単分散ポリスチレンを用いた。
条件1及び条件2ともに、標準物質としては、東ソー株式会社製標準ポリスチレン「A−500(Mw=5.0×10
2)」、「A−2500(Mw=2.63×10
3)」、「F−1(Mw=1.02×10
4)」、「F−10(Mw=9.64×10
4)」を用いた。
【0099】
(4)固形分の測定
シャーレにガラス棒と乾燥無水硫酸ナトリウム10gを入れ、そこに試料2gを量り採り、ガラス棒で混合し、105℃の減圧乾燥機(圧力8kPa)で2時間乾燥した。乾燥後の質量を量り、次式より得られた値を試料の固形分とした。
固形分(質量%)=[〔乾燥後の質量−(シャーレ+ガラス棒+無水硫酸ナトリウムの質量)〕/試料の質量]×100
【0100】
(5)アニリンブラックのBET比表面積と平均粒径の測定
比表面積測定装置(株式会社島津製作所製「フローソーブIII2310」)を用い、測定ガスとして窒素を使用して、BET比表面積S
m(単位:m
2/g)を測定した。
得られたBET比表面積の値を用いて、次式より得られるR(単位:nm)を、平均粒径とした。
R=6000/(d×S
m)
d:真密度(g/cm
3) S
m:比表面積(m
2/g)
【0101】
合成例1〔化合物A1−1の合成〕
撹拌装置、温度計、窒素吹き込み管、ディーンスターク管、ジムロート管を装着した5Lの四つ口フラスコに、2,5−ジヒドロキシベンゼン−1,4−二酢酸(和光純薬工業株式会社製)115g、イサチン(東京化成工業株式会社製)150g、p−トルエンスルホン酸一水和物35g、トルエン3750gの混合液を110℃に加熱し、脱水しながら7時間攪拌し、更に110℃で14時間攪拌した。この混合液を室温まで冷却し、黒色の懸濁液を濾紙No.2(アドヴァンテック東洋株式会社)で濾過した。この濾過残分をメタノール5Lで洗浄し、60℃/104Paで乾燥し、236gの下記式(A1−1)の化合物A1−1(黒色物質)を得た。
【0102】
この黒色物質をDMFに溶解し、液体クロマトグラフィー質量分析法によるESI/MS測定を行い分子量448.07であることを確認した。
【化11】
【0103】
合成例2〔アルカリ可溶性樹脂(ベンジルメタクリレートとメタクリル酸との共重合体)の合成〕
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管及び温度計を取り付けたセパラブルフラスコに、メタクリル酸(以下、「MAA」ともいう)3.6g、ベンジルメタクリレート(以下、「BzMA」ともいう)36.4g、3−メルカプトプロピオン酸0.56g、及びPGMEA 40gを仕込み、攪拌しながら窒素置換を行った。
フラスコ内を攪拌しながら78℃まで昇温し、MAA 14.4g、BzMA 145.6g、3−メルカプトプロピオン酸2.2g、PGMEA 160g、及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製「V−65」(以下、「V−65」ともいう)) 2.0gを混合して得られた溶液を、3時間かけて滴下した。滴下終了後、V−65 2.0gとPGMEA 10.0gとの混合溶液を加え、78℃で1時間撹拌した。更に、V−65 1.0gとPGMEA 10.0gとの混合溶液を加え、78℃で1時間撹拌した。PGMEA 100gを加え、撹拌しながら冷却し、BzMAとMAAとの共重合体(以下、「共重合体1」ともいう)のPGMEA溶液を得た。固形分は40質量%、共重合体1の重量平均分子量は10900(<条件1>による測定値)であった。
【0104】
(クリアレジスト液の調製)
合成例2で得られた固形分40.0質量%の共重合体1の溶液 42.2g、DPHA 6.64g、光重合開始剤(BASFジャパン株式会社製「IRGACURE OXE02」) 11.07g、PGMEA 80g及びシクロヘキサノン 60gを均一に混合し、クリアレジスト液を得た。
【0105】
合成例3−a1[ポリエステルa1:ラウリルオキシポリ(ε−カプロラクトン)(21)の合成]
撹拌装置、温度計、窒素吹き込み管を取り付けた10Lのフラスコに、ラウリルアルコール(花王株式会社製「カルコール2098」) 350g(1.89モル)、ε−カプロラクトン(東京化成工業株式会社製) 4,500g(39.4モル)、オルトチタン酸テトラブチル 0.0606gを仕込み、撹拌を開始した。フラスコ内を窒素置換し、150℃で2時間反応させ、更に170℃で5時間反応させた。その後、室温まで冷却し、ラウリルオキシポリ(ε−カプロラクトン)(21)(ポリエステルa1)を得た。
【0106】
合成例3−b1[クロロアセテートb1:ラウリルオキシポリ(ε−カプロラクトン)(21)モノクロロアセテートの合成]
撹拌装置、温度計、窒素吹き込み管、冷却管を取り付けた10Lのフラスコに、合成例3−a1で得たポリエステルa1 4,790g、モノクロロ酢酸(和光純薬工業株式会社製、特級試薬) 199g、p−トルエンスルホン酸・一水和物(キシダ化学株式会社製、特級試薬) 17.5gを仕込み、撹拌を開始した。フラスコ内を窒素置換し、140℃、大気圧で2時間反応させ、更に、窒素を吹き込みながら、140℃、−0.1MPaG(ゲージ圧)の減圧条件下で21時間反応させた。その後、窒素で大気圧に戻し、80℃まで冷却して、ハイドロサルタイト(協和化学工業株式会社製「キョーワード500SH」) 131.8gを添加し、80℃で3時間撹拌した。得られた液を80℃に保ち、濾紙(アドバンテック東洋株式会社製「No.5A」)で濾過し、ラウリルオキシポリ(ε−カプロラクトン)(21)モノクロロアセテート(クロロアセテートb1)を得た。
【0107】
合成例3[分散剤B−2:N,N,N’,N’−テトラメチル−N,N’−ビス[ラウリルオキシポリ(ε−カプロラクトン)(21)カルボニルメチレン]−プロパンジアンモニウムクロライドの合成]
還流冷却器、温度計、窒素導入管、撹拌装置を取り付けた500mLのセパラブルフラスコに、合成例3−b1で得たクロロアセテートb1 200g、N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン(花王株式会社製「カオーライザーNo.2」) 5.04gを仕込み、撹拌を開始した。フラスコ内を窒素置換し、80℃で20時間反応させた。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) 300gを添加し、80℃で1時間撹拌後、室温まで冷却して、分散剤B−2:N,N,N’,N’−テトラメチル−N,N’−ビス[ラウリルオキシポリ(ε−カプロラクトン)(21)カルボニルメチレン]−プロパンジアンモニウムクロライドのPGMEA溶液を得た。該溶液の固形分は39.8質量%であり、重量平均分子量は9,800(<条件2>による測定値)であった。
【0108】
実施例1(分散体1の製造)
合成例1で得た化合物A1−1 15.0g、アニリンブラックA2−1(東京色材工業株式会社製「Toshiki 5030 conc」、BET比表面積:10.9m
2/g、真密度:1.42g/cm
3、平均粒径:388nm)15.0g、分散剤として日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパ−スJ−200」5.3g、有機溶媒としてPGMEA 109.1g、及びφ0.3mmのジルコニアビーズ(ニッカトー製「YTZボール」)300gを容量500mLのポリエチレン製容器に入れ、浅田鉄工株式会社製「ペイントシェーカー」にて、640rpmで3時間撹拌した。得られた分散液から、ジルコニアビーズを濾過にて除去し、合成例2で得られた共重合体1のPGMEA溶液5.6gを加えて混合し、分散体1を得た。
(樹脂組成物1の調製)
分散体1 11.2gと、クリアレジスト液10.1gとを容量30mLのガラス製容器に入れ、密栓した。ローラー式攪拌機(アズワン株式会社製「ミックスローターバリアブル VMR−5R」)を用い、50rpmで20分間混合し、樹脂組成物1を得た。
【0109】
実施例2〜12,51〜52
(分散体2〜12,51〜52の製造)
表1に記載の配合に代えた以外は、実施例1と同様の方法により、分散体2〜12,51〜52を得た。なお、製造に用いた原料は、下記の通りである。
(樹脂組成物2〜12,51〜52の調製)
表2に記載の配合に代えた以外は、実施例1と同様の方法により、樹脂組成物2〜12,51〜52を得た。
【0110】
A1−1:化合物A1−1(合成例1)
A2−1:アニリンブラック(東京色材工業株式会社製「Toshiki 5030 conc」、BET比表面積:10.9m
2/g、真密度:1.42g/cm
3、平均粒径:388nm)
A2−2:アニリンブラック(A2−1の微粒タイプ、BET比表面積:13.6m
2/g、真密度:1.47g/cm
3、平均粒径:300nm)
A2−3:アニリンブラック(A2−1の微粒タイプ、BET比表面積:15.7m
2/g、真密度:1.51g/cm
3、平均粒径:253nm)
B−1:日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパースJ200」
B−2:分散剤B−2(合成例3)
C−1:PGMEA
【0111】
【表1】
【表2】
【0112】
得られた樹脂組成物を用いて、各種評価を行なった。結果を表3に示す。
【0113】
【表3】
【0114】
実施例1〜12によれば、本発明の樹脂組成物により、遮光性及びパターン形成性に優れた着色硬化性樹脂組成物が得られることがわかる。
〔1〕下記式(1)で表される化合物(A1)と、アニリンブラック(A2)と、分散剤(B)と、有機溶媒(C)と、硬化性化合物(D)とを含有し、化合物(A1)とアニリンブラック(A2)との合計に対する化合物(A1)の質量比[A1/(A1+A2)]が0.10以上0.50以下である着色硬化性樹脂組成物、〔2〕前記〔1〕に記載の着色硬化性樹脂組成物を用いて形成されるブラックマトリクスを具備する、カラーフィルタ、〔3〕下記式(1)で表される化合物(A1)と、アニリンブラック(A2)と、分散剤(B)と、有機溶媒(C)とを含有し、化合物(A1)とアニリンブラック(A2)との合計に対する化合物(A1)の質量比[A1/(A1+A2)]が0.10以上0.50以下である分散体。