(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記オルガノアルコキシシランが、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジヒドロキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、およびメチルフェニルジメトキシシランからなる群より選択される少なくとも一つである、請求項2に記載の組成物。
前記オルガノアルコキシシランが、メチルトリメトキシシランおよびメチルトリヒドロキシシランからなる群より選択される少なくとも一つである、請求項1に記載の組成物。
UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化チタンからなる群より選択される他のコロイド状金属酸化物、抗酸化剤、染料、流動性改良剤、平滑剤、および粘着防止剤からなる群より選択される少なくとも一つの追加成分をさらに含有する、請求項1に記載の組成物。
成分(a)が全組成物の95から99重量パーセントの範囲の量で存在し、成分(b)が、全組成物の1から5重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
成分(a)が全組成物の98から99重量パーセントの範囲の量で存在し、成分(b)が、全組成物の1から2重量パーセントの範囲の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
前記オルガノアルコキシシランが、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジヒドロキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、およびメチルフェニルジメトキシシランからなる群より選択される少なくとも一つである、請求項16に記載のプロセス。
UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化チタンからなる群より選択される他のコロイド状金属酸化物、抗酸化剤、染料、流動性改良剤、平滑剤、および粘着防止剤からなる群より選択される少なくとも一つの追加成分をさらに含有する、請求項14に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0010】
「水性/有機溶媒シリコーン分散液」という用語は、コロイド状シリカと、これ以降より詳細に定義される少なくとも一つのオルガノアルコキシシランの部分縮合物とを含有する分散液であるとここでは理解される。水性/有機溶媒シリコーン分散液に対するシリル化剤の添加のあと、生じるシリコーンハードコート組成物は、たとえば、ポリエチレンテレフタラート(PET)およびポリカーボネート(PC)基体のようなさまざまな基体へと直接塗布され得、その後に、改善されたフレキシブル性、接着、亀裂への耐性、耐摩耗性、および風化保護を示す、シリコーンハードコート混合物を提供する熱硬化が続く。
【0011】
水性/有機溶媒シリコーン分散液は当分野で既知である。一般に、これらの組成物は、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシランであっても良い)の部分縮合物の脂肪族アルコール/水溶液中のコロイド状シリカの分散液を有する。水溶性コロイド状シリカの分散液は一般的に、直径5から150ナノメートル(ミリミクロン)の範囲の粒径を有している。これらのシリカ分散液は、当分野に周知の方法によって作製され、市販されている。最終コーティング組成物に望まれる固形物のパーセントによって、追加のアルコール、水、もしくは水混和性溶媒を添加する事が出来る。一般に、シラノールの縮合によって作製されるシロキサノールの可溶性を高めるために、溶媒系は、約20から約75重量パーセントのアルコールを含有すべきである。所望なら、さらなる少量の、アセトン、ブチルセロソルブなどのような水混和性極性溶媒を水−アルコール溶媒系へと添加する事が出来る。組成物は、シラノールの部分的な縮合、すなわちシロキサノールの形成を促進するために短い期間の間、熟成される。水性/有機溶媒シリコーン分散液の例は、Clarkへの米国特許第3,986,997号に見られ、pH約3〜6のアルコール−水媒体中のヒドロキシシルセスキオキサンとコロイド状シリカの酸性分散液を記載する。また、Ubersaxへの米国特許第4,177,315号は、約5から50重量パーセントの固形物、約10から70重量パーセントのシリカ、および約90から30重量パーセントの一般式RSi(OH)
3〔ここで、Rはメチル、およびビニル、フェニル、ガンマグリシドキシプロピル、およびガンマ−メタクリロキシプロピルからなる群より選択される約40%のラジカルより選択される〕の部分的に重合した有機シラノール、そして、約95から50重量パーセントの溶媒からなるコーティング組成物を開示し、前記溶媒は約10から90重量パーセントの水と約90から10重量パーセントの低級脂肪族アルコールを含有し、前記組成物は約6.2より大きく約6.5より小さいpHを有する。Vaughnへの米国特許第4,476,281号は、7.1から7.8のpHを有するハードコート組成物を記載する。他の例では、Olsonらへの米国特許第4,239,798号は、式RSi(OH)
3のシラノールの縮合産物〔Rは、1から3個の炭素原子のアルキルラジカル、ビニルラジカル、3,3,3−トリフルオロプロピルラジカル、ガンマグリシドキシプロピルラジカル、およびガンマメタクリロキシプロピルラジカル、からなる群より選択される〕である、熱硬化性のシリカ充填剤入りのオルガノポリシロキサントップコートを開示し、ここで少なくとも70重量パーセントのシラノールがCH
3Si(OH)
3である。上述の特許の内容は参照によりここに組み込まれる。
【0012】
本発明のコロイド状シリカ分散液は、以下により詳細に記述されるように、オルガノトリアルコキシシランとジオルガノジアルコキシシランの両方の部分縮合物を含み得、そして、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールのような1から4個の炭素のアルカノール、プロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコール及びグリコールエーテル、その同類のものおよびそれらの混合物のような好適な有機溶媒によって調製され得る。
【0013】
本発明の熱硬化型シリコーンハードコート組成物の理解に重要なことは、水性/有機溶媒シリコーン分散液のT
3:T
2比である。T
3:T
2比は、分散液中の二成分縮合の、
三官能性シラン、すなわちT
2の量に対する三成分縮合の、三官能性シラン、すなわちT
3の量の関係であるとここでは意味する。T
3種は、一つの炭素原子および三つのオキシシリル基と共有結合したケイ素原子、すなわちC−Si(OSi)
3である。T
2種は、一つの炭素原子、二つのオキシシリル基、および一つのヒドロキシ基もしくはオキシカルビル基と共有結合したケイ素原子、すなわちC−Si(OSi)
2OHもしくはC−Si(OSi)
2OCである。T
3:T
2比は、Si
29NMRを用いて樹脂溶液におけるそれぞれの型のケイ素種の量を測定し、そして時間に伴うその変化を観測することによってもっとも簡便に測定される。Si
29NMR分析のための試料は、3.0mLの20〜25%固形物のハードコート樹脂溶液を2.0mLの重水素化アセトン中の0.7%(重量/容量)クロム(III)アセチルアセトンと混合することによって調製される。試料はそれからH−1減結合コンデンサ付きSi−29の無ノイズプローブを備えたBruker DPX−400NMRシステムにおいて分析された。200ppmの掃引幅が、−50ppmのキャリア周波数において用いられた。生データは「zgig」パルスプログラム、ワルツ16ゲートされたH
1減結合、および5秒の遅延時間を用いて得られた。典型的には、優れたシグナル−ノイズ比のデータを得るために、合計3600スキャンが取得された。T
3:T
2比を計算するためにT
3とT
2に対応する共鳴の積分が得られた。時間に伴うT
3:T
2比の変化は、樹脂組成、樹脂分子量、pH、濃度、温度などの多くの因子の関数である。時間に伴うT
3:T
2比の増加は、樹脂の分子量および溶液粘度の増加と相関する。
【0014】
本発明の一実施態様によると、水性/有機溶媒シリコーン分散液、すなわち本発明の成分(a)のT
3:T
2比は、約0.4から約1.3である。本発明の他の実施態様によると、水性/有機溶媒シリコーン分散液のT
3:T
2比は、約0.8から約1.2であり、そしてさらに他の具体的な実施態様において、T
3:T
2比は、約0.85から約1.15である。
【0015】
本発明の一実施態様によると、コロイド状シリカおよび部分縮合物の水性/有機溶媒シリコーン分散液は最初にトリアルコキシシラン、たとえばメチルトリメトキシシランと酢酸とを混合し、その後、コロイド状シリカ、たとえばLudoxAS−40を脱イオン水と共に添加することによって、調製される。生じる混合物は、T
3:T
2比が約0.4から約1.3になるまで、約16時間もしくはそれ以上、熟成され、任意選択で攪拌される。熟成は周囲環境条件で行われ、その間に、イソプロパノール、ブタノール、もしくはそれらの混合物のような適切なアルコールが添加され得る。任意選択で、最初の16時間の期間の後に、約25℃から約65℃の少し上昇した温度が必要なT
3:T
2比を得るための熟成プロセスを促進するために用いられ得る。
【0016】
代替的に、本発明の水性/有機溶媒シリコーン分散液は、例えばメチルトリメトキシシランのようなトリアルコキシシランを、市販のコロイド状シリカの水性分散液へと添加することによって作製され得る。市販のコロイド状シリカの水性分散液の例は、例えば、Grace−Davidson Co.から入手可能なLudoxHS40およびLudoxTM50、Naperville,Ill.のNalco Chemicalから入手可能なNalco1034Aを含み、それらはpHを調整するため氷酢酸によって処理されている。メチルトリメトキシシランの添加後、生じる酸性分散液は、pHが約4.5で安定するまで約1時間置かれる。生じる組成物を、メチルトリメトキシシランの部分縮合物およびシリカメタノール−水分散液のT
3:T
2比が、約0.4から約1.3になるのを確実にするために数日間熟成しても良い。
【0017】
本発明のコロイド状シリカ分散液のさらなるソースは、”The Chemistry of Silica”、Ralph K. Iler, John Wiley&Sons、(1979)、pg.312−461(ISBN 0−471−02404−X)のp312−461に記載の方法によっても作製され得る。
【0018】
本発明の実施態様によると、本発明の水性/有機溶媒シリコーン分散液において用いられるオルガノアルコキシシランは、一般式(1):
(R
9)Si(OR
10)
3 (1)
のオルガノトリアルコキシシランを含み、
ここで、
R
9は1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で、酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含み、そして好ましくは、R
9は、1から4個の炭素のアルキル、ビニル(−CH=CH
2)、アリル(−CH
2CH=CH
2)、もしくは例えばフェニルのような芳香族基であり;そして
R
10の各々は独立して、1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基、水素、ホルミル(−C(=O)H)、もしくはアセチル(−C(=O)CH
3)基である。
【0019】
部分縮合物を生成し得る有用なオルガノトリアルコキシシランは、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリヒドロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリアルコキシシラン(例えば、フェニルトリエトキシシランおよびフェニルトリメトキシシラン)、ならびにそれらの混合物および同類のものを含むがそれらに限定されない。本発明の特定の実施態様によると、本発明の水性/有機溶媒シリコーン分散液を作製するために用いられるオルガノトリアルコキシシランは、メチルトリメトキシシランもしくはメチルトリヒドロキシシラン、またはそれらの混合物である。
【0020】
部分縮合物を提供するために追加のオルガノアルコキシシランを水性/有機溶媒シリコーン分散液へと添加しても良い。他の好適なオルガノアルコキシシランは一般式(2):
(R
11)
2Si(OR
12)
2 (2)
のものを含み、
ここで、R
11の各々は独立して、1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含み、そして好ましくは、R
11は、1から4個の炭素のアルキル、ビニル(−CH=CH
2)、アリル(−CH
2CH=CH
2)、もしくは例えばフェニルのような芳香族基であり;そして
R
12の各々は独立して、1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基、水素、ホルミル(−C(=O)H)、もしくはアセチル(−C(=O)CH
3)基である。
【0021】
有用なジオルガノジアルコキシシランは、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジヒドロキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、およびメチルフェニルジメトキシシラン、ならびにそれらの混合物および同類のものを含むがそれらに限定されない。本発明の特定の一実施態様によると、本発明の水性/有機溶媒シリコーン分散液を作製するために用いられるジオルガノジアルコキシシランはジメチルジメトキシシランもしくはジメチルジヒドロキシシラン、またはそれらの混合物である。
【0022】
本発明の熱硬化型シリコーンハードコート組成物の作製において有用なシリル化剤、すなわち成分(b)は、単官能性シリル化剤であって、一般式(3):
(R
1)
3Si(X) (3)
のものを含み、
ここで、
R
1の各々は独立して、1から約6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含み、そして好ましくは、R
1は、1から4個の炭素のアルキル、ビニル(−CH=CH
2)、アリル(−CH
2CH=CH
2)、もしくは芳香族基であり;そして、
Xは、ハロゲン(例えば−Cl、−Br、−I);アルコキシ(−OR
2)〔式中それぞれのR
2は、1から約6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;ヒドロキシ(−OH);カルボン酸塩(−OC(=O)R
3)〔式中R
3は、水素もしくは1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;スルホン酸塩(−OSO
2R
4)〔式中R
4は、1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;アセトアミド(−NR
5C(=O)R
6)〔式中R
5およびR
6は、水素もしくは1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;アミノ(−NR
72)〔式中それぞれのR
7は独立して、水素もしくは1から6個の炭素原子を含有する一価の炭化水素ラジカルであり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;またはシラザン(−NR
8SiR
13)〔式中R
1の各々は独立して、1から約6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含み、好ましくは、R
1の各々は、1から4個の炭素のアルキル、ビニル(−CH=CH
2)、アリル(−CH
2CH=CH
2)、もしくは芳香族基であり、そしてR
8は、水素もしくは1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕である。
【0023】
本発明の有用な単官能性シリル化剤は、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、トリメチルアセトキシシラン、N−(t−ブチルジメチルシリル)−N−メチルトリフルオロアセトアミド、t−ブチルジメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート、n−ブチルジメチル(ジメチルアミノ)シラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、ジビニルテトラメチルジシラザン、3,3,3−トリフルオロプロピルジメチルメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルヒドロキシシラン、トリエチルメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルジメチルアセトキシシラン、およびトリエチルエトキシシランを含むがそれらに限定されない。
【0024】
本発明の特定の一実施態様によると、ヘキサメチルジシラザンは、熱硬化型シリコーンハードコート組成物を提供するのに使われるシリル化剤である。
【0025】
追加のシリル化剤を本発明の熱硬化型シリコーンハードコート組成物の作製に用いることができ、そして上述のように、ジオルガノジアルコキシシランと、一般式(4):
(R
13)Si(OR
12)
3 (4)
のオルガノトリアルコキシシランとを含み、
ここで、
R
13は、2から約6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で、酸素及びフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含有し、ただしR
13がR
11と同じでないという条件であり;
R
12の各々は独立して、1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基、水素、ホルミル(−C(=O)H)、もしくはアセチル(−C(=O)CH
3)基である。
【0026】
有用なオルガノトリアルコキシシランシリル化剤は、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリアルコキシシラン(例えばフェニルトリエトキシシランおよびフェニルトリメトキシシラン)、ならびにそれらの混合物およびその同類のものを含むがそれらに限定されない。
【0027】
本発明の一実施態様によると、熱硬化型シリコーンハードコート組成物は:
a)コロイド状シリカおよび少なくとも一つのオルガノアルコキシシランの部分縮合物を含有する水性/有機溶媒シリコーン分散液であって、前記分散液が約0.4から約1.3までのT
3:T
2比を有するものと、
b)少なくとも一つの単官能性シリル化剤であって、一価のシリル化剤が一般式(3):
(R
1)
3Si(X) (3)
によって記述されるものと、
を含有し、
ここで、
R
1の各々は独立して、1から約6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含み、そして好ましくは、R
1は、1から4個の炭素のアルキル、ビニル(−CH=CH
2)、アリル(−CH
2CH=CH
2)、もしくは芳香族基であり;そして、
Xは、ハロゲン(例えば−Cl、−Br、−I);アルコキシ(−OR
2)〔式中R
2は、1から約6個の炭素原子を含有する一価の炭化水素ラジカルであり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;ヒドロキシ(−OH);カルボン酸塩(−OC(=O)R
3)〔式中R
3は、水素もしくは1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;スルホン酸塩(−OSO
2R
4)〔式中R
4は、1から6個の炭素原子を含有する一価の炭化水素ラジカルであり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;アセトアミド(−NR
5C(=O)R
6)〔式中R
5およびR
6は、水素もしくは1から6個の炭素原子を含有する一価の炭化水素ラジカルであり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;アミノ(−NR
72)〔式中R
7は独立して、水素もしくは1から6個の炭素原子を含有する一価の炭化水素ラジカルであり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;またはシラザン(−NR
8SiR
13)〔式中R
1の各々は独立して、1から約6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含み、好ましくは、R
1の各々は、1から4個の炭素のアルキル、ビニル(−CH=CH
2)、アリル(−CH
2CH=CH
2)、もしくは芳香族基であり、そしてR
8は、水素もしくは1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕である。
【0028】
特に有用な単官能性シリル化剤は、N−(t−ブチルジメチルシリル)−N−メチルトリフルオロアセトアミド、N−(トリメチルシリル)−N−メチルトリフルオロアセトアミド、ヘキサメチルジシルアザン、およびジビニルテトラメチルジシリザンからなる群より選択される。
【0029】
発明の組成物は、コロイド状シリカおよび少なくとも一つのオルガノアルコキシシランを含有する水性/有機溶媒シリコーン分散液、例えば、AS4010(Momentive Performance Materialsより入手可能の、メチルトリメトキシシランの部分縮合物、コロイド状シリカ、およびシリル化ジベンゾレゾルシノールであり、共溶媒としてのイソプロパノールおよびn−ブタノールを有する)と、少なくとも一つのシリル化剤、例えばヘキサメチルジシルアザン(HMDZ)との反応を提供し、改良された熱硬化型シリコーン樹脂を生じ、例えばPCもしくはPETのようなポリマー基体上にコートされ、硬化されるとき、曲げられたとき、改善された亀裂耐性および接着性を持つ。
【0030】
本発明の一実施態様によると、水性/有機溶媒シリコーン分散液、すなわち成分(a)は、熱硬化型シリコーンハードコート組成物の約85から約99.9重量パーセントの範囲の量で存在し、シリル化剤、すなわち成分(b)は、熱硬化型シリコーンハードコート組成物の約0.1から約15重量パーセントの範囲の量で存在する。他の実施態様によると、成分(a)は、熱硬化型シリコーンハードコート組成物の約95から約99重量パーセントの範囲の量で存在し、成分(b)は、熱硬化型シリコーンハードコート組成物の約1から約5重量パーセントの範囲の量で存在する。さらに他の実施態様によると、成分(a)は、熱硬化型シリコーンハードコート組成物の約98から約99重量パーセントの範囲の量で存在し、成分(b)は、熱硬化型シリコーンハードコート組成物の約1から約2重量パーセントの範囲の量で存在する。
【0031】
本発明の一実施態様において、本発明は:(a)コロイド状シリカおよび少なくとも一つのオルガノアルコキシシランの部分縮合物を含有する水性/有機溶媒シリコーン分散液を調製するステップであって、前記分散液が約0.4から約1.3までのT
3:T
2比を有するものと、(b)少なくとも一つのシリル化剤を添加するステップと、そして任意選択で、(c)熱硬化型シリコーンハードコート組成物を提供するためにシリル化剤を添加する前に、水性/有機溶媒シリコーン分散液を冷却するステップとを含有する、熱硬化型シリコーンハードコート組成物を作製するプロセスを含む。
【0032】
他の実施態様において、
本発明は:
(a)コロイド状シリカおよび少なくとも一つのオルガノアルコキシシランの部分縮合物を含有する水性/有機溶媒シリコーン分散液を調製するステップであって、前記分散液が約0.4から約1.3までのT
3:T
2比を有するものと、
(b)少なくとも一つのシリル化剤を添加するステップと、そして任意選択で、
(c)熱硬化型シリコーンハードコート組成物を提供するためにシリル化剤を添加する前に、水性/有機溶媒シリコーン分散液を冷却するステップと、
を含有する熱硬化型シリコーンハードコート組成物を作製するプロセスを提供し、
ここで、
単官能性シリル化剤は一般式(3):
(R
1)
3Si(X) (3)
によって記述され、
式中、
R
1の各々は独立して、1から約6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で、酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含み、そした好ましくは、R
1は、1から4個の炭素のアルキル、ビニル(−CH=CH
2)、アリル(−CH
2CH=CH
2)、もしくは芳香族基であり、そして、
Xは、ハロゲン(例えば−Cl、−Br、−I);アルコキシ(−OR
2)〔式中R
2は、1から約6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;ヒドロキシ(−OH);カルボン酸塩(−OC(=O)R
3)〔式中R
3は、水素もしくは1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;スルホン酸塩(−OSO
2R
4)〔式中R
4は、1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;アセトアミド(−NR
5C(=O)R
6)〔式中R
5およびR
6は、水素もしくは1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;アミノ(−NR
72)〔式中R
7は、水素もしくは1から6個の炭素原子を含有する一価の炭化水素ラジカルであり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕;またはシラザン(−NR
8SiR
13)〔式中R
1の各々は独立して、1から約6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含み、好ましくは、R
1の各々は、1から4個の炭素のアルキル、ビニル(−CH=CH
2)、アリル(−CH
2CH=CH
2)、もしくは芳香族基であり、そしてそれぞれのR
8は、水素もしくは1から6個の炭素原子を含有する一価のヒドロカルビル基であり、そして任意選択で酸素およびフッ素からなる群より選択される少なくとも一つのヘテロ原子を含む〕である。
【0033】
ステップ(a)から生じる分散液の冷却ステップは、シリル化剤(もしくは複数のシリル化剤)が高い反応性のとき、必須である。例えば、HMDZがシリル化剤として用いられるとき、HMDZの急速な加水分解のために、冷却ステップは必須である。より低い加水分解感受性であるシリル化剤の場合、冷却ステップは必要とされないかも知れない。
【0034】
本発明のシリコーンハードコート組成物の加速された硬化は、種々の触媒によって実施され得る。好適な触媒は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、および酢酸テトラ−n−ブチルアンモニウムのようなカルボン酸塩(米国特許第4,863,520号および米国特許第4,348,431号を参照)、フッ化テトラエチルアンモニウムおよびフッ化テトラブチルアンモニウムのようなフッ化物塩(欧州特許第0576166A2を参照)を含む。前述の特許文献の内容は参照によりここに組み込まれる。
【0035】
本発明の熱硬化型シリコーンハードコート組成物へと添加するのに好適な典型的な接着促進剤は、参照によりその内容をここに組み入れる、米国特許第5,503,935号、米国特許第5,411,807号、および米国特許第5,349,002号に記載されるような、アクリルポリオール、アクリル酸エステル、ポリエステルポリオール、およびその同類のものを含む。
【0036】
UV吸収剤は、全組成物の約2から約20重量パーセントの濃度で使用され得る。好適なUV吸収剤は部分加水分解物を反応し、熱硬化の最中に蒸発しにくいようなものである。例示的なUV吸収剤は、4−[ガンマ−(トリメトキシシリル)プロポキシ]−2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−[ガンマ−(トリエトキシシリル)プロポキシ]−2−ヒドロキシベンゾフェノン、トリアジンと同様の役割をするヒドロキシベンゾフェノンおよびベンゾトリアゾール、シアノアクリレート、およびベンジリデンもしくはそれらの混合物を含む。本発明の他の実施態様によると、熱硬化型シリコーンハードコート組成物の作製に有用なUV吸収剤は、2−[(トリエトキシシリル)プロピル]ジベンジルレゾルシノールである。
【0037】
ヒンダードアミン光安定剤、抗酸化剤、染料、流動性改良剤および平滑剤、もしくは粘着防止剤のような他の添加剤を利用できる。他のコロイド状金属酸化物は、コロイド状シリカを含む水性/有機溶媒分散液の約10重量までで存在でき、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、二酸化チタンのような金属酸化物を含む。
【0038】
生じるシリコーンハードコート組成物は、下塗りされた、もしくは下塗りされていないポリマー基体へと塗布され得、シリコーンハードコート組成物の硬化により、耐候性、フレキシブル性、および熱成形性を示す合成物を作製する。好適な基体は、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホンなど)、金属、木、紙、ガラス、セラミック、および石版を含む。シリコーンハードコート組成物は、General Electric CompanyのLexan(R)ポリカーボネート、およびさまざまな製造元より入手可能なポリエチレンテレフタレートのような芳香族の熱可塑性基体での使用に特によく適している。
【0039】
コーティング組成物は、スプレー噴射、ディッピング法、ロール塗布およびその同類のような周知の方法によって基体へと塗布され得る。それは、詳細には約70℃から約150℃の範囲の温度で、より詳細には約80℃から約140℃の範囲の温度で、もっとも詳細には約130℃の温度で、詳細には約1から約120分間の、より詳細には約10から約90分間の、熱により硬化でき、または赤外線もしくはマイクロ波の使用によっても硬化できる。
【0040】
本発明によって作製される製品および/もしくは合成物は、自動車のヘッドランプ、自動車の車体パネルおよび装飾品、プラスチックの建設用ガラス処理、自動車のための保護フィルム、建設用ガラスの設置およびその同類のもののような用途に用いる事ができる。
【0041】
当業者が本発明をよりよく実施することができるように、以下の実施例が、限定のためでなく説明のために提供される。すべての部は重量による。
【実施例】
【0042】
比較例1’および
2’、ならびに比較例1および2は以下のように作製された:それぞれの例は、20℃以下に冷却された100gのAS4010(メチルトリメトキシシランの部分縮合物、コロイド状シリカ、およびシリル化ジベンゾレゾルシノールであり、共溶媒としてのイソプロパノールおよびn−ブタノールを有する)によって作製された。冷却された溶液(すなわちAS4010)に対し、表1に示される1.0gのシリル化剤が添加された(すなわち、
比較例1’および
2’はそれぞれ、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、フェニルトリエトキシシラン(PhSi(OEt)
3)、そして、比較例1および2ではそれぞれ、シリル化剤無しおよびオルトけい酸テトラエチル(TEOS))。約1時間混合した後、例は室温で約3日間置かれた。
比較例1’〜
2’および比較例1〜2は、その後、アクリルの下塗りでコートされた76.2マイクロメーター(0.003’’)厚のPETフィルム(Madico、Inc.Woburn、MAから入手可能)へと流し塗りによって塗布された。コートされた試料はその後、揮発性の溶媒を蒸発させるため約20分間、20℃で、40%の相対湿度で置かれ、その後、90℃で2時間硬化された。
【0043】
冷却後、
比較例1’〜
2’および比較例1〜2の亀裂耐性が試験された。2.54センチメートル(1’’)×10.16 センチメートル(4’’)のストリップのコートされたPETフィルムは、涙滴形のループへとコート面を外側にしてやさしく折りたたまれ、既知のサイズのギャップ(ピンチギャップ)を介して引っ張られた。ピンチギャップはコーティングが亀裂を示すまで減少された。ピンチギャップ、フィルム厚、およびコーティング厚は、コーティングに亀裂が生じた時のパーセント歪みを計算するために用いられた。臨界歪みの結果は表2に示される。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
表3に示されるような様々なT
3:T
2比を持つAS4010ハードコート溶液を含む実施例3〜7および比較例3〜9が調製され、上述のようにPETフィルムへと塗布された。実施例3〜7および比較例3〜9のコーティング溶液は、アクリルの下塗りで予め塗装された3.175ミリメートル(0.125’’)のポリカーボネートパネルへと流し塗りによって塗布された。コートされたポリカーボネート試料は、揮発性の溶媒を蒸発させるために約20分間、20℃で40%の相対湿度で置かれ、125℃で1時間硬化された。パネルを冷却した後、コーティング試料の耐摩耗性が
ASTM D1003/D1044(Taber磨耗)を用いて測定された。PETにコートされた実施例3〜7および比較例3〜9は臨界歪み分析へと供され、そしてPCにコートされた実施例3〜7および比較例3〜9はTaber磨耗試験を受けた。結果は表4に示される。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
表4に示されるデータは、ハードコート樹脂をシラン処理することの亀裂への臨界歪みに対する効果を説明する。データは、PETフィルムへ塗布されるAS4010ハードコート樹脂溶液へのHMDZの添加が臨界歪みを向上させる一方、熟成期間を減少させることを示している(たとえば、実施例3および4ならびに比較例5および6を参照のこと)。
【0050】
比較例10は以下のように作製された:350mLのガラス製反応容器へ164.5gのメチルトリメトキシシランおよび、4.0gの酢酸を充填し、反応容器の内容物の攪拌を開始した。混合物は10分間、20℃の温度へと冷却され、その後、5.4gのヘキサメチルジシラザン(HMDZ)が、反応容器の内容物に対して添加された。HMDZの添加の直後、ゆるやかな発熱が観察され、反応混合物の温度がおおよそ25℃に上昇した。さらに、リアクターの溶液が濁り、結晶性の固体が反応容器の壁部に形成され、混合物が濁った。20分後、容器の内容物がおおよそ20℃に冷えて戻り、2.0gの酢酸が反応混合物へと添加された。101.6gのLudox AS40コロイド状のシリカおよび30.4gの脱イオン水の混合物が、15分の時間をかけて反応容器へと添加された。コロイド状のシリカ/水の混合物の最初の数グラムの添加の際、リアクターの濁りと結晶性の固体は消失した(溶解した)。コロイド状のシリカ/水の混合物の添加の開始から5分以内に、発熱が観察され、反応混合物の温度をおおよそ24℃へと上昇させた。反応混合物は60分以内に20℃へと冷えて戻り、混合物は約20時間、攪拌され続けた。反応容器の内容物は分離され、295.0gの反応産物を得た(95.8%収量)。86.6gのn−ブタノール、86.6gのイソプロパノール、18.0gの酢酸、および48.41gの1−メトキシ−2−プロパノール中32重量パーセントの2−(トリエトキシシリルプロピル)−4,6−ジベンジルレゾルシノールが反応産物へと添加された。試料はよく振られ、0.9というT
3:T
2を持つまで置かれた。全量534.6gのコーティング溶液が作製された。
【0051】
比較例10のコーティング溶液はその後、上に記載されたのと同じ方法でPETフィルムおよびポリカーボネートパネルへと塗布された。臨界歪み試験(すなわちPETにコートされた)およびTaber磨耗試験(すなわちPCにコートされた)からのデータは表5に示される。
【0052】
比較例11は以下のように作製された:350mLのガラスの反応容器へ、164.5gのメチルトリメトキシシランと4.0gの酢酸とを充填し、反応容器の内容物の攪拌を開始した。混合物は10分間、20℃の温度へと冷却され、その後、16.2gのフェニルトリエトキシシランが反応容器の内容物へとすぐに添加された。その後、101.6gのLudox AS40のコロイド状シリカと30.4gの脱イオン水の混合物が15分間かけて反応容器へと添加された。コロイド状シリカ/水の混合物の添加開始の5分以内に、発熱が観察され、それは反応混合物の温度をおおよそ24℃に上昇させた。反応混合物は60分以内に20℃まで冷えて戻り、混合物はおおよそ20時間、攪拌し続けられた。反応容器の内容物分離され、298.3g(94.2%収量)の反応産物を得た。反応産物へ、88.5gのn−ブタノール、88.5gのイソプロパノール、18.4gの酢酸、および、48.3gの1−メトキシ−2プロパノール中32重量%の2−(トリエトキシシリルプロピル)−4,6−ジベンジルレゾルシノールとが添加された。比較例8はよく振られ、0.75というT
3:T
2を持つまで置かれた。全量542.0gの比較例11のコーティング溶液が作製された。
【0053】
比較例11のコーティング溶液はその後、上に記載されたのと同じ方法でPETフィルムおよびポリカーボネートパネルへと塗布された。臨界歪み試験およびTaber磨耗試験からのデータは表5に示される。
【0054】
比較例12は以下のように作製された:350mLのガラスの反応容器へ、164.6gのメチルトリメトキシシランと4.0gの酢酸とを充填し、反応容器の内容物の攪拌を開始した。混合物は10分間、20℃の温度へと冷却された。その後、101.7gのLudox AS40のコロイド状シリカと30.4gの脱イオン水の混合物が15分間かけて反応容器へと添加された。コロイド状シリカ/水の混合物の添加開始の5分以内に、発熱が観察され、それは反応混合物の温度をおおよそ24℃に上昇させた。反応混合物は60分以内に20℃まで冷えて戻り、混合物はおおよそ20時間、攪拌し続けられた。反応容器の内容物分離され、293.8g(97.7%収量)の反応産物を得た。反応産物へ、88.5gのn−ブタノール、88.5gのイソプロパノール、18.4gの酢酸、および、48.3gの1−メトキシ−2プロパノール中32重量%の2−(トリエトキシシリルプロピル)−4,6−ジベンジルレゾルシノールとが添加された。比較例9はよく振られ、0.93というT
3:T
2を持つまで置かれた。全量537.5gの比較例12のコーティング溶液が作製された。
【0055】
比較例12のコーティング溶液はその後、上に記載されたのと同じ方法でPETフィルムおよびポリカーボネートパネルへと塗布された。臨界歪み試験およびTaber磨耗試験からのデータは表5に示される。
【0056】
【表5】
【0057】
表2(ここではシリル化剤が、予め作製された樹脂溶液、すなわちAS4010へと添加された)と表5(ここではシリル化剤が、予め作製された樹脂の添加より前にシランモノマーの混合物へと添加された)からの臨界歪みの比較は、本発明にとって、シリル化剤の添加のタイミングが決定的に重要な意味を持つことを説明する。
比較例1’および比較例10は同じHMDZ顔料(1%)を持つが、
比較例1’における、HMDZを予め作製された樹脂溶液へ添加することが、HMDZを樹脂作製の前に樹脂モノマーへと添加すること(臨界歪みはたったの1.7%)と比較して、有意に向上したフレキシブル性性能(臨界歪み3.3%)という結果になる。
【0058】
本発明の他の実施態様は、この明細書の考察もしくはここに記載された発明の実施から当業者に明らかであろう。明細書および実施例は説明のためのみとして理解されるべきで、本発明の真の範囲および精神は以下の請求項によって定義されるということを強調する。