特許第5923246号(P5923246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5923246
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20160510BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20160510BHJP
   B60L 11/14 20060101ALI20160510BHJP
   B65F 3/00 20060101ALI20160510BHJP
   B65F 3/20 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   E02F9/20 Z
   B60L1/00 L
   B60L11/14
   B65F3/00 L
   B65F3/20 B
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-83915(P2011-83915)
(22)【出願日】2011年4月5日
(65)【公開番号】特開2012-219460(P2012-219460A)
(43)【公開日】2012年11月12日
【審査請求日】2014年2月21日
【審判番号】不服2015-8801(P2015-8801/J1)
【審判請求日】2015年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 優介
(72)【発明者】
【氏名】間橋 利行
【合議体】
【審判長】 中田 誠
【審判官】 小野 忠悦
【審判官】 住田 秀弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−262759(JP,A)
【文献】 特開2001−11888(JP,A)
【文献】 特開2009−191574(JP,A)
【文献】 特開2008−99367(JP,A)
【文献】 特開昭60−36201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20-22
B60L 1/00
B60K 6/20,6/28,6/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの電力または車両走行用のエンジンの動力によって駆動可能に設けられた作業装置を備えた塵芥収集車において、
作業装置の動作に関する入力を行う操作部と、
バッテリの残容量を検出する残容量検出手段と、
走行停止中において作業装置の動作を開始する操作が操作部に対して行われると、残容量検出手段によってバッテリの残容量を検出し、負荷の大小にかかわらず択一的に検出したバッテリの残容量が所定以上の場合にはエンジンの動力を用いることなくバッテリの電力のみによって作業装置を駆動し、検出したバッテリの残容量が所定未満の場合にはバッテリの電力を用いることなくエンジンの動力のみによって作業装置を駆動する動力切換制御手段と、を備えた
ことを特徴とする塵芥収集車
【請求項2】
作業装置は、バッテリの電力によって駆動する電動油圧ポンプと、エンジンの動力によって駆動するエンジン動力油圧ポンプと、電動油圧ポンプまたはエンジン動力油圧ポンプから吐出される作動油によって作動するアクチュエータと、を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の塵芥収集車
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの電力または車両走行用のエンジンの動力によって駆動可能な作業装置を備えた塵芥収集車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の塵芥収集車としては、バッテリの電力または車両走行用のエンジンの動力によって駆動可能な作業装置を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記塵芥収集車では、バッテリの電力によって作業装置を駆動させることで、エンジンの動力によって作業装置を駆動させる場合と比較して、作業装置の駆動中における二酸化炭素の排出量や騒音を低減させることが可能である。また、前記塵芥収集車では、バッテリの電力による作業装置の駆動中にバッテリ切れとなった場合に、エンジンの動力によって作業装置の駆動を継続することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−262759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記塵芥収集車では、バッテリの電力によって作業装置を駆動させるためのバッテリ駆動スイッチと、エンジンの動力によって作業装置を駆動させるためのエンジン駆動スイッチと、を別々に備えている。したがって、作業装置を使用する作業者は、エンジンの動力を用いるかバッテリの電力を用いるかを自身で選択して作業装置を駆動させている。バッテリの電力による作業装置の駆動中にバッテリ切れを起こした場合には、作業装置が停止して作業が中断されるため、エンジン駆動スイッチを操作して作業装置の駆動を再開させなければならず、作業装置による作業が煩雑となる。このため、作業者は、作業装置の作業中にバッテリ切れとなることを防ぐために、バッテリの電力を利用することなくエンジンの動力を常に利用して作業装置を駆動させることとなり、二酸化炭素の排出量や騒音の低減を図ることができなくなる。
【0006】
本発明の目的とするところは、作業装置の駆動中にバッテリ切れとなることを防止するとともに、バッテリの電力を有効に利用することのできる塵芥収集車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、バッテリの電力または車両走行用のエンジンの動力によって駆動可能に設けられた作業装置を備えた塵芥収集車において、作業装置の動作に関する入力を行う操作部と、バッテリの残容量を検出する残容量検出手段と、走行停止中において作業装置の動作を開始する操作が操作部に対して行われると、残容量検出手段によってバッテリの残容量を検出し、負荷の大小にかかわらず択一的に検出したバッテリの残容量が所定以上の場合にはエンジンの動力を用いることなくバッテリの電力のみによって作業装置を駆動し、検出したバッテリの残容量が所定未満の場合にはバッテリの電力を用いることなくエンジンの動力のみによって作業装置を駆動する動力切換制御手段と、を備えている。
【0008】
これにより、走行停止中において作業装置の駆動を確実に行うことが可能なバッテリの残容量の場合には、バッテリの電力のみによって作業装置が駆動され、作業装置の駆動中にバッテリ切れを生じる可能性のあるバッテリの残容量の場合には、エンジンの動力のみによって作業装置が駆動されることから、作業装置の駆動中のバッテリ切れを防止することが可能となるとともに、バッテリの電力を最大限用いて作業装置を駆動させることが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、走行停止中において作業装置の駆動中のバッテリ切れを防止することができるので、作業装置を駆動させる作業が煩雑となることはない。また、バッテリの電力を最大限用いて作業装置を駆動させることができるので、作業装置の駆動中における二酸化炭素の排出量や騒音の一層の低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態を示す塵芥収集車の側面図である。
図2】塵芥収集車の概略平面図である。
図3】制御系を示すブロック図である。
図4】動力切換制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図4は、本発明の一実施形態を示すものである。
【0012】
本発明の塵芥収集車1は、図1に示すように、走行するための車両10と、塵芥を収集する作業を行うための塵芥収集装置20と、を備えている。
車両10は、シャシー11と、シャシー11の前部に設けられたキャブ12と、を備えている。シャシー11には、前部および後部のそれぞれに左右一対の車輪11aが設けられている。キャブ12の内部には運転席および助手席が設けられ、キャブ12の左右両側には搭乗者が乗降するためのドア12aが設けられている。
【0013】
塵芥収集装置20は、塵芥を収容するための塵芥収容箱21と、塵芥収容箱21の後方に設けられ、塵芥を塵芥収容箱21に積み込むための作業装置としての塵芥積込装置22と、を備えている。塵芥積込装置22の後面の下部には矩形状の塵芥投入口22aが設けられ、塵芥投入口22aは扉22bによって開閉される。また、塵芥積込装置22の内部には、塵芥投入口22aから投入された塵芥を圧縮して塵芥収容箱21に向かって押し込むための圧縮押込機構23が設けられている。さらに、塵芥積込装置22には、圧縮押込機構23を作動させるための操作部としての操作スイッチ22cが塵芥投入口22aに隣接して設けられている。
【0014】
圧縮押込機構23は、塵芥投入口22aから投入された塵芥を塵芥収容箱21側に掻き揚げるための回転板23aと、回転板23aが掻き揚げた塵芥を塵芥収容箱21に押し込む押込板23bと、を有している。回転板23aはアクチュエータとしての油圧モータ23cによって駆動され、押込板23bはアクチュエータとしての油圧シリンダ23dによって駆動される。
【0015】
また、塵芥収集車1は、図2に示すように、主に車両10を走行させるためのエンジンEと、PTO(Power take off)装置24を介して伝達されるエンジンEの動力によって駆動するエンジン動力油圧ポンプ25と、を備えている。また、塵芥収集車1は、図2に示すように、主に圧縮押込機構23を駆動させるためのバッテリBと、インバータ装置26を介して供給されるバッテリBの電力で回転する電動モータ27によって駆動する電動油圧ポンプ28と、を備えている。油圧モータ23cおよび油圧シリンダ23dは、エンジン動力油圧ポンプ25または電動油圧ポンプ28によって駆動される。
【0016】
また、塵芥収集車1は、塵芥積込装置22の駆動に関する制御を行うためのコントローラ30を備えている。
【0017】
コントローラ30は、CPU、ROM,RAMを有している。コントローラ30は、入力側に接続された装置からの入力信号を受信すると、CPUが、入力信号に基づいてROMに記憶されたプログラムを読み出すとともに、入力信号によって検出された状態をRAMに記憶したり、出力側に接続された装置に出力信号を送信したりする。
【0018】
コントローラ30の出力側には、PTO装置24、電動モータ27、エンジンEが接続されている。コントローラ30は、PTO装置24に対してエンジンEからエンジン動力油圧ポンプ25への動力の伝達に関する信号を送信する。また、コントローラ30は、電動モータ27に対して始動および停止に関する信号を送信する。さらに、コントローラ30は、エンジンEに対して始動および停止に関する信号を送信する。また、コントローラ30の入力側には、バッテリB、操作スイッチ22c、クラッチペダル31が接続されている。コントローラ30には、バッテリBの残容量に関する信号と、塵芥積込装置22の駆動指示手段としての操作スイッチ22cおよびクラッチペダル31からの操作信号が入力される。
【0019】
以上のように構成された塵芥収集車1は、エンジンEの動力によって車両10が走行し、バッテリBの電力またはエンジンEの動力によって塵芥積込装置22を駆動させることが可能である。
コントローラ30は、塵芥積込装置22を、エンジン動力油圧ポンプ25および電動油圧ポンプ28の一方のみによって駆動させるために、動力切換制御処理を行う。このときの、コントローラ30の動作を、図4のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS1)
ステップS1においてCPUは、クラッチペダル31が操作されたか否かを判定する。クラッチペダル31が操作されたと判定した場合にはステップS2に処理を移し、クラッチペダル31が操作されたと判定しない場合には動力切換制御処理を終了する。
(ステップS2)
ステップS1においてクラッチペダル31が操作されたと判定した場合に、ステップS2においてCPUは、操作スイッチ22cに対して作業開始の操作が行われたか否かを判定する。操作スイッチ22cに対して作業開始の操作が行われたと判定した場合にはステップS3に処理を移し、操作スイッチ22cに対して作業開始の操作が行われたと判定しなかった場合には動力切換制御処理を終了する。
(ステップS3)
ステップS2において操作スイッチ22cに対して作業開始の操作が行われたと判定した場合に、ステップS3においてCPUは、バッテリBの残容量が所定容量以上か否かを判定する。バッテリBの残容量が所定容量以上と判定した場合にはステップS4に処理を移し、バッテリBの残容量が所定容量以上と判定しなかった場合にはステップS5に処理を移す。
(ステップS4)
ステップS3においてバッテリBの残容量が所定容量以上と判定した場合に、ステップS4においてCPUは、電動モータ27を駆動させて、電動油圧ポンプ28を駆動させる。
(ステップS5)
ステップS3においてバッテリBの残容量が所定容量以上と判定しなかった場合に、ステップS5においてCPUは、PTO装置24を介してエンジンEの動力を伝達させ、エンジン動力油圧ポンプ25を駆動させる。
このとき、エンジンEは停止しているため、エンジンEを始動させた後に、エンジンEの動力をPTO装置24を介してエンジン動力油圧ポンプ25に伝達させている。
(ステップS6)
ステップS6においてCPUは、操作スイッチ22cに対して作業終了の操作が行われたか否かを判定する。操作スイッチ22cに対して作業終了の操作が行われたと判定した場合にはステップS7に処理を移し、操作スイッチ22cに対して作業終了の操作が行われたと判定しなかった場合には動力切換制御処理を終了する。
(ステップS7)
ステップS6において操作スイッチ22cに対して作業終了の操作が行われたと判定した場合に、ステップS7においてCPUは、駆動しているエンジン動力油圧ポンプ25または電動油圧ポンプ28を停止して動力切換制御処理を終了する。
【0020】
このように、本実施形態の塵芥収集車1によれば、操作スイッチ22cに対して圧縮押込機構23の動作を開始する操作が行われると、バッテリBの残容量を検出し、検出したバッテリBの残容量が所定以上の場合にはエンジンEの動力を用いることなくバッテリBの電力によって塵芥積込装置22を駆動し、検出したバッテリBの残容量が所定未満の場合にはバッテリBの電力を用いることなくエンジンEの動力によって塵芥積込装置22を駆動している。これにより、塵芥積込装置22の駆動を確実に行うことが可能なバッテリBの残容量の場合には、バッテリBによって塵芥積込装置22を駆動させる。また、塵芥積込装置22の駆動中にバッテリ切れを生じる可能性のあるバッテリBの残容量の場合には、エンジンEの動力によって塵芥積込装置22を駆動させる。したがって、塵芥積込装置22の駆動中のバッテリ切れを防止することができるので、塵芥積込装置22を駆動させる作業が煩雑となることはない。また、バッテリBの電力を最大限用いて塵芥積込装置22を駆動させることができるので、塵芥積込装置22の駆動時における騒音や二酸化炭素の排出量の一層の低減を図ることが可能となる。さらに、1つの操作スイッチ22cによって塵芥積込装置22の操作を行うことができるので、操作性を向上させることが可能となる。
【0021】
塵芥積込装置22は、バッテリBの電力によって駆動する電動油圧ポンプ28と、エンジンEの動力によって駆動するエンジン動力油圧ポンプ25と、電動油圧ポンプ28またはエンジン動力油圧ポンプ25から吐出される作動油によって作動する油圧モータ23cおよび油圧シリンダ23dと、を有している。これにより、バッテリBの電力またはエンジンEの動力によって駆動可能な複雑な機構の油圧ポンプを必要としないため、製造コストの低減を図ることが可能となる
【0022】
た、前記実施形態では、油圧によって作業装置を駆動するようにしたものを示したが、エンジンの動力またはバッテリの電力によって駆動可能な作業装置であれば、油圧によって駆動する作業装置に限られない。
【0023】
また、前記実施形態では、バッテリBの電力によって駆動する電動油圧ポンプ28と、エンジンEの動力によって駆動するエンジン動力油圧ポンプ25と、を別々に設けるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、バッテリBの電力またはエンジンEの動力によって駆動可能な一台の油圧ポンプを用いても、前記実施形態と同様に、塵芥積込装置22を駆動させる作業が煩雑となることはなく、塵芥積込装置22の駆動時における騒音や二酸化炭素の排出量の一層の低減を図ることが可能となる。
【0024】
また、塵芥積込装置22の駆動指示手段として、クラッチペダル31の操作の有無を検出するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、サイドブレーキの操作の有無を塵芥積込装置22の駆動指示手段としてもよいし、操作スイッチ22cの操作の有無のみを塵芥積込装置22の駆動指示手段としてもよい。
【0025】
また、圧縮押込機構23の駆動を塵芥積込装置22に設けられた操作スイッチ22cの操作によって行うようにしたものを示したが、車両10のキャブ12内に設けられた操作スイッチ等の操作部の操作によって行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1…塵芥収集車、10…車両、20…塵芥収集装置、22…塵芥積込装置、22c…操作スイッチ、23…圧縮押込機構、23c…油圧モータ、23d…油圧シリンダ、25…エンジン動力油圧ポンプ、28…電動油圧ポンプ、B…バッテリ、E…エンジン。
図1
図2
図3
図4