(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の加熱装置は、鋳造品の伝熱ブロックを用いるものであり、小型化及び軽量化が難しいという問題があった。さらに、熱媒体の加熱は、伝熱ブロックを介して行われるため、早速の暖房要求に対応することができない問題があった。ところで、特許文献1は、電熱線ヒータとして、金属パイプにニクロム線などのコイル状の電熱線を挿入したシーズヒータ(sheathed heater)を使用することが開示されているが、より高いワット密度のセラミックヒータを用いることは開示されていない。また、特許文献2は、セラミックヒータの開示があるが、車両用空調装置に適したものは開示されていない。
【0007】
本発明の目的は、効率的に加熱ができ、小型化及び軽量化された電気発熱式温水加熱装置、それを備える車両用空調装置及び車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電気発熱式温水加熱装置は、車両用空調装置に配置された暖房用熱交換器に、配管を介して熱媒体として温水を供給するための電気発熱式温水加熱装置において、前記熱媒体の流入口、流路及び流出口を有するケースと、前記流路に配置された
第一のセラミックヒータ
及び第二のセラミックヒータと、を備え、前記電気発熱式温水加熱装置は、前記暖房用熱交換器とは別体であり、前記配管は、前記電気発熱式温水加熱装置と前記暖房用熱交換器との間を接続する管であ
り、前記流路が、車両の上下方向に延び、かつ、前記熱媒体の水流方向を上向きとする上向き流路と、車両の上下方向に延び、かつ、前記熱媒体の水流方向を下向きとする下向き流路と、前記上向き流路の下端側と前記下向き流路の下端側とをつなげる横向き流路と、を有し、前記流出口が、前記上向き流路の上端側に設けられ、前記第一のセラミックヒータが、棒状の軸部を有し、かつ、該軸部の軸方向を前記熱媒体の水流方向と一致させた状態で前記上向き流路に配置されており、前記第一のセラミックヒータの前記軸部の一部又は全部が発熱部であり、該第二のセラミックヒータは、棒状の軸部を有し、かつ、該軸部の軸方向を前記熱媒体の水流方向と一致させた状態で前記下向き流路に配置されており、前記第二のセラミックヒータの軸部の一部又は全部が発熱部であることを特徴とする。
流出口を上向き流路の上端側に設けることで、気泡を効率的に排除して熱媒体の加熱をより効率よく行うとともに、気泡による流動音を抑制することができる。また、セラミックヒータの熱衝撃による破損を防止することができる。横向き流路を設けることで、省スペース化を図ることができる。下向き流路を設け、2本のセラミックヒータを有することで、省スペース化を図りつつ、発熱量をより多くすることができる。
【0013】
本発明に係る電気発熱式温水加熱装置では、前記第一のセラミックヒータ及び前記第二のセラミックヒータ
のいずれか一方又は両方は、それぞれ前記軸部の軸方向に延びる中空部と、前記軸部の上端に設けられた先端孔と、前記軸部の側面に設けられた側面孔とを有し、該側面孔はいずれも前記横向き流路側に向けて配置されていることが好ましい。熱媒体をより効率的に加熱することができる。また、熱媒体を流すときの圧力損失を少なくすることができる。
第一のセラミックヒータを筒状とすることで、気泡を効率的に排除して熱媒体の加熱をより効率よく行うとともに、気泡による流動音を抑制することができる。
【0014】
本発明に係る電気発熱式温水加熱装置では、発熱要求量が所定より少ないときは、前記第一のセラミックヒータだけを発熱させ、発熱要求量が所定より多いときは、前記第一のセラミックヒータ及び前記第二のセラミックヒータを発熱させることが好ましい。発熱要求量に応じて発熱量を容易に切り替えることができる。
【0015】
本発明に係る電気発熱式温水加熱装置では、発熱要求量が多いときに前記熱媒体の流量を多くする制御を行う流量制御手段を更に備えることが好ましい。セラミックヒータの熱衝撃による破損を防止することができる。また、熱媒体の温度の均一化を図ることができ、ケースの流入口と流出口とで熱媒体の温度を近づけることができる。
【0016】
本発明に係る電気発熱式温水加熱装置では、前記流路が、車両の上下方向に延び、かつ、前記熱媒体の水流方向を上向きとする上向き流路を有し、前記ケースの内壁が、前記上向き流路の上端側に、上側に向かうにつれて内径を漸次縮径するテーパー部を有することが好ましい。気泡を効率的に排除して熱媒体の加熱をより効率よく行うとともに、気泡による流動音を抑制することができる。
【0017】
本発明に係る電気発熱式温水加熱装置では、前記セラミックヒータ又は/及び前記第二のセラミックヒータは、側面に耐振部材を備えることが好ましい。セラミックヒータの振動による破損を防止することができる。
【0018】
本発明に係る電気発熱式温水加熱装置では、前記ケースの内壁が、らせん状のガイドを有することが好ましい。熱媒体の流れを乱して、熱媒体をより効率的に加熱することができる。また、セラミックヒータの熱衝撃による破損を防止することができる。
【0019】
本発明に係る車両用空調装置は、本発明に係る電気発熱式温水加熱装置を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る車両用空調装置では、前記車両が、エンジンと暖房用熱交換器との間で熱媒体としてエンジン冷却水を循環する暖房用回路を備えるハイブリッド車であり、該暖房用回路上に、前記電気発熱式温水加熱装置と、前記エンジンを迂回し、かつ、前記電気発熱式温水加熱装置と前記暖房用熱交換器との間で温水を循環するバイパス回路と、を設け、前記エンジン冷却水の温度が所定より低いときは、前記バイパス回路を開通するバイパス制御手段を備えることが好ましい。熱媒体をより効率的に温めることができ、早速の暖房が可能となる。
【0021】
本発明に係る車両は、本発明に係る電気発熱式温水加熱装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、効率的に加熱ができ、小型化及び軽量化された電気発熱式温水加熱装置、それを備える車両用空調装置及び車両を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照して本発明の一態様を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。本発明の効果を奏する限り、種々の形態変更をしてもよい。
【0025】
図1は、第一実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置を示す縦の破断面図である。図中の上下は車両の上下方向を示す。本実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置100は、熱媒体の流入口31、流路40及び流出口32を有するケース30と、流路40に配置されたセラミックヒータ200と、を備える。
【0026】
ケース30は、内部空間として熱媒体の流路40を有し、熱媒体を流入口31から流路40へ流入させ、流路40を通過させて、流出口32から流出させる。ケース30は、例えば、6,6‐ナイロンなどの耐熱性樹脂からなる。流路40の横断面形状は、例えば、円形、楕円形、長方形、正方形、三角形、多角形である。この中で、円形であることがより好ましい。
【0027】
流路40は、車両の上下方向に延び、かつ、熱媒体の水流方向L1を上向きとする上向き流路41を有することが好ましい。上向き流路41を設けることで、気泡を効率的に排除することができる。ここで、水流方向L1が上向きとは、車両に搭載した時に、上流側が下流側よりも相対的に低いことをいい、
図1に示すような熱媒体の水流方向L1が車両の上下方向に対して完全に一致する形態のほか、熱媒体の水流方向L1が車両の上下方向に対して傾斜する形態を包含する。なお、車両の上下方向は、地面の傾斜によって鉛直方向とは一致しない場合がある。
【0028】
上向き流路41では、ケース30の内壁を上側に向かうにつれて内径を漸次縮径するテーパー部34とすることが好ましい。テーパー部34は、ケース30の内壁の角を取って、気泡が角に溜まるのを防止する。テーパー部34の形状は、
図1に示すような逆碗状の他、例えば、円錐状、ラッパ状である。
【0029】
流路40は、上向き流路41の下端側にてつながる横向き流路42を更に有することが好ましい。流路40がL字形となり、省スペース化を図ることができる。また、流入口31が横向き流路42に設けられることとなり、ケース30の下端にセラミックヒータ200の挿入口33を設けることができるため、メンテナンスが容易になる。ここで、横向きとは、熱媒体の水流方向L2が横向きとなることをいう。水流方向L2が横向きとは、横向き流路42の水流方向L2が上向き流路41の水流方向L1に対して角度をもった状態で交わることをいい、より好ましくは
図1に示すように垂直に交わる。
【0030】
流出口32は、上向き流路41の上端側に設けられることが好ましい。より好ましくは、流出口32は、
図1に示すように上向き流路41の上端に設けられる。流出口32を上向き流路41の上端側に設けることで、気泡を効率的に排除して熱媒体の加熱をより効率よく行うとともに、気泡による流動音を抑制することができる。また、セラミックヒータ200の熱衝撃による破損を防止することができる。ここで、熱衝撃によるセラミックヒータ200の破損について説明する。熱媒体がセラミックヒータ200で加熱されると、溶存酸素などが気泡となって発生し、この気泡がセラミックヒータ200の表面に付着する。このとき、セラミックヒータ200の表面に存在するポアの近傍で気泡が大きく成長すると、この大きな気泡が付着した部分では、セラミックヒータ200の表面に熱媒体が接触しないため、セラミックヒータ200の表面の温度が過度に上昇する場合がある。その結果、セラミックヒータ200の表面と熱媒体との間の温度差が大きくなり、大きな気泡がセラミックヒータ200の表面から離脱する時に、低温の熱媒体が高温のセラミックヒータ200の表面に瞬間的に接触して熱衝撃が発生してセラミックヒータ200が破損する。
【0031】
セラミックヒータ200は、軸部210と、軸部210の一端側に設けられた端子部213と、端子部213に接合されたリード線214とを備える。
【0032】
軸部210は、支持体211と支持体の211の側面に埋設された発熱体212とを有する。支持体211は、セラミックスからなる。セラミックスは、例えば、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、炭化珪素である。支持体211は棒状であることが好ましい。棒状とは、部材の幅が長さに対して狭く細長の形状をいい、例えば、柱状、帯状、筒状である。その横断面形状は、例えば、円形、楕円形、長方形、正方形、三角形、多角形である。この中で、円柱状又は円筒状であることがより好ましい。
図1には、支持体211が円柱状の形態を示す。発熱体212は、例えば、タングステン、モリブデン、レニウムなどの高融点金属を主成分とする。発熱体212は、線状であり、通電によって発熱する。軸部210のうち、発熱体212が配置された部分が発熱部となる。発熱体212は、軸部210の軸方向O1の一部又は全部にわたって配置される。発熱体212は、熱媒体と接する部分の全体にわたって配置することがより好ましい。
【0033】
引出線216は、発熱体212と端子部213との間を電気的に接続するものである。引出線216は、支持体の211の側面に埋設されて、一端側が発熱体212に接続される。引出線216の他端側は、軸部210の外表面に出て、軸部210の外表面に設けられた端子部213に接続される。これによって、端子部213と発熱体212とが電気的に接続される。リード線214は、端子部213に、例えばロウ付けで接合される。このリード線214に通電することで、発熱体212が発熱する。
【0034】
セラミックヒータ200は、側面に耐振部材901を備えることが好ましい。耐振部材901は、端子部213を設けた側とは反対の端部側の側面に設けることがより好ましい。耐振部材901は、車両走行時のセラミックヒータ200への振動の伝達を抑制して、セラミックヒータ200の耐振性を向上させる。耐振部材901の材質は、例えば、金属、ゴムである。耐振部材901は、例えば、セラミックヒータ200の外周面にリング状の金属を嵌めて焼成することでセラミックヒータ200と一体に形成するか、又はセラミックヒータ200とは別体としてもよい。また、ケース30の内壁の一部を、耐振部材901に接するように加工してもよい。
【0035】
セラミックヒータ200は、軸部210の軸方向O1を熱媒体の水流方向L1と一致させた状態で、流路40内に配置されることが好ましい。セラミックヒータ200は、流路40のうち、上向き流路41に配置されていることがより好ましい。ここで、軸部210の軸方向O1を熱媒体の水流方向L1と一致させた状態とは、
図1に示すような軸方向O1と水流方向L1とを完全に一致させた形態のほか、セラミックヒータ200をケース30の内壁に接触しない程度に水流方向L1に対して傾斜した状態で配置してもよい。また、セラミックヒータ200は、発熱部の全体が浸漬した状態で配置されることが好ましい。熱媒体をセラミックヒータ200で直接加熱することで、セラミックヒータ200の熱を効率的に熱媒体に伝達し、早速に暖房することができる。さらに、構造が簡素であるため、小型化及び軽量化が可能である。また、セラミックヒータ200は、高いワット密度を有するため、少ない本数であっても高い発熱量を得ることができ、部品点数の削減及び更なる小型化が可能である。
【0036】
セラミックヒータ200のケース30への取付けは、例えば、端子部213側の外周にフランジ215を取付け、ケース30に設けた挿入口33から流路40内に挿入して、Oリングなどのシール部材(不図示)を介在させてフランジ215と挿入口33の内周面とを当接させ、ネジ、クランプなどの固定部材(不図示)で固定することで行うことができる。
【0037】
図2は、第二実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置を示す縦の破断面図である。第二実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置101では、ケース50の内壁が、らせん状のガイド54を有することが好ましい。第二実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置101は、その基本的な構成を第一実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置100と同じくするため、ここでは、共通する点についての説明を省略し、相違する点について説明する。
【0038】
らせん状のガイド54は、ケース50の内壁のうち、セラミックヒータ200を配置した流路40の内壁に設けることがより好ましい。らせん状ガイド54は、熱媒体の流れを乱して、熱媒体の熱を効率的に拡散させて、セラミックヒータ200からの距離にかかわらず熱媒体の温度をより均一にすることができる。らせん状のガイド54は、ケース50と一体に形成するか、又はケース50とは別体としてもよい。ここで、らせん状とは、ケース50の内壁に配置された凸部分が、ケース50の内壁の周方向に沿って回転しながら、ケース50の軸方向の上方又は下方へ向う空間曲線を形成する状態をいう。本実施形態では、熱媒体の流れを乱すことができる限りにおいて、らせん状の一部に不連続部分があっても差し支えない。
【0039】
図3は、第三実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置を示す縦の破断面図である。第三実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置102では、セラミックヒータ300は、軸部310の軸方向O1に延びる中空部317と、軸部310の上端に設けられた先端孔318と、軸部310の側面に設けられた側面孔319とを有し、側面孔319は横向き流路42側に向けて配置されていることが好ましい。第三実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置102は、その基本的な構成を第一実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置100と同じくするため、ここでは、共通する点についての説明を省略し、相違する点について説明する。
【0040】
セラミックヒータ300は、軸部310が中空部317と先端孔318と側面孔319とを有する筒状である点以外は、基本的な構成をセラミックヒータ200と同じくする。軸部310は、有底筒状であることが好ましい。軸部310を有底筒状とする方法としては、例えば、セラミックス、耐熱性樹脂などからなる充填部材を用いて底部320を形成する方法がある。また、セラミックヒータ300では、発熱体312及び引出線316は、側面孔319を迂回して支持体311の側面に埋設されており、図中右側(側面孔319を設けた側)の発熱体312は引出線316と電気的に接続されている。
【0041】
中空部317は、熱媒体の流路となる。中空部317の横断面形状は、例えば、円形、楕円形、長方形、正方形、三角形、多角形である。この中で、円形であることがより好ましい。先端孔318は、軸部310の上端に設けられ、中空部317に通じる貫通孔である。先端孔318は、ケース30の流出口32に対して同一直線上に配置することが好ましい。側面孔319は、軸部310の側面に設けられ、中空部317に通じる貫通孔である。側面孔319は、例えば、軸部310の側面の一部をくりぬいた状態で焼成することで形成する。側面孔319は横向き流路42側に向けて配置されていることが好ましい。より好ましくは、側面孔319は横向き流路42と対向して配置される。側面孔319を横向き流路42側に向けて配置することで、熱媒体を流すときの圧力損失を少なくすることができる。
【0042】
第三実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置102では、熱媒体の一部は、側面孔319から中空部317を通過して先端孔318から流出し、残りは、ケース30の内壁とセラミックヒータ300との間を通過する。このように、熱媒体が軸部310の外周面だけでなく、内周面にも接することとなり、熱媒体をより効率的に温めることができる。
【0043】
図4は、第四実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置を示す縦の破断面図である。第一実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置100は、セラミックヒータを1本設ける形態であるが、更に大きな発熱量を必要とするときは、1本目のセラミックヒータ(第一のセラミックヒータ)200に、更に2本目のセラミックヒータ(第二のセラミックヒータ)200aを追加してもよい。セラミックヒータを2本有する形態例として、第四実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置103について、
図4を参照しながら説明する。
【0044】
第四実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置103は、第一実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置100と同一の構造部分(
図4の左側の部分である。)を含み、第一実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置100と同一の構造部分の横に、第二のセラミックヒータ200aを配置するための追加ユニット100a(
図4の右側の部分である。)を増設した構造を有する。したがって、
図4では、便宜上、第一実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置100と共通する構造部分では、第一実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置100と共通の符号を付した。
【0045】
追加ユニット100aは、省スペース化の点で、
図4に示すように第一実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置100と同一の構造部分の横に並列に配置することが好ましい。このとき、追加ユニット100aでは、流路40は、下向き流路43である。ここで、水流方向L3が下向きとは、車両に搭載した時に、上流側が下流側よりも相対的に高いことをいい、熱媒体の水流方向L3が車両の上下方向に対して完全に一致する形態のほか、熱媒体の水流方向L3が車両の上下方向に対して傾斜する形態を包含する。第四実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置103では、流入口61は下向き流路43の上端側に設けられる。熱媒体は、流入口61から流入して下向き流路43を通過し、横向き流路42、上向き流路41の順に流れ、上向き流路41の上端側に設けられた流出口32から流出する。
【0046】
下向き流路43には、第二のセラミックヒータ200aが配置されている。第二のセラミックヒータ200aは、第一のセラミックヒータ200と同一の構造を有する。第二のセラミックヒータ200aは、軸部210aの軸方向O2を熱媒体の水流方向L3と一致させた状態で配置されている。第一のセラミックヒータ200と第二のセラミックヒータ200aとは、発熱量を同一とするか、又は発熱量を異なるものとしてもよい。
【0047】
第四実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置103では、流路40がU字形であるため、省スペース化を図りつつ、流路40を長くすることができる。さらに、2本のセラミックヒータを有するため、発熱量をより多くすることができる。
【0048】
図5は、第五実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置を示す縦の破断面図である。セラミックヒータを2本有する別の形態例として、第五実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置104について、
図5を参照しながら説明する。第五実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置104は、第三実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置102と同一の構造部分(
図5の左側の部分である。)を含み、第三実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置102と同一の構造部分の横に、第二のセラミックヒータ300aを配置するための追加ユニット102a(
図5の右側の部分である。)を増設した構造を有する。なお、
図5では、便宜上、第三実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置102と共通する構造部分では、第三実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置102と共通の符号を付した。第五実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置104は、第一のセラミックヒータ300及び第二のセラミックヒータ300aが筒状の軸部310,310aを有する以外は、第四実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置104と共通の構造を有する。
【0049】
第二のセラミックヒータ300aは、第一のセラミックヒータ300と同一の構造を有する。第一のセラミックヒータ300及び第二のセラミックヒータ300aは、側面孔319,319aをいずれも横向き流路側42に向けて配置されていることが好ましい。より好ましくは、側面孔319,319aは横向き流路42と対向して配置される。側面孔319,319aを横向き流路42側に向けて配置することで、熱媒体を流すときの圧力損失を少なくすることができる。第一のセラミックヒータ300と第二のセラミックヒータ300aとは、発熱量を同一とするか、又は発熱量を異なるものとしてもよい。
【0050】
第五実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置104では、流路40がU字形に配置されているため、省スペース化を図りつつ、流路40を長くすることができる。さらに、2本のセラミックヒータを有し、これらが筒状であるため、より効率的に大きな発熱量を得ることができる。
【0051】
図4及び
図5では、第一のセラミックヒータ200,300と第二のセラミックヒータ200a,300aとが同じ種類のものである形態を示したが、第一のセラミックヒータ200,300と第二のセラミックヒータ
200a,300aとが異なる種類ものである変形形態としてもよい。このような変形形態例としては、(1)第一のセラミックヒータとして柱状のセラミックヒータを用い、第二のセラミックヒータとして筒状のセラミックヒータを用いる形態、(2)第一のセラミックヒータとして筒状のセラミックヒータを用い、第二のセラミックヒータとして柱状のセラミックヒータを用いる形態である。
【0052】
次に、
図5を参照して、2本のセラミックヒータの切替機構を説明する。第五実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置104では、発熱要求量が所定より少ないときは、第一のセラミックヒータ300だけを発熱させ、発熱要求量が所定より多いときは、第一のセラミックヒータ300及び第二のセラミックヒータ300aを発熱させることが好ましい。なお、ここでは、第五実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置104を例にとって説明するが、第四実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置103についても同様に適用できる。
【0053】
切替機構120は、例えば、リレーを用いた制御機構である。リレーを用いることで、簡易な機構で切り替えを容易に行うことができる。切替機構120は、例えば、第一のリレー121及び第二のリレー122と、これらのリレーを制御するコントロールユニット123とを有する。
【0054】
第一のリレー121及び第二のリレー122は、それぞれ励磁コイル121a,122aと、励磁コイル121a,122aへの通電によって閉じる接点121b,122bとを有する。各励磁コイル121a,122aは、一端が電源124に接続され、他端がコントロールユニット123に接続されている。コントロールユニット123は、各励磁コイル121a,122aへの通電又は非通電を制御する。
【0055】
第一のリレー121及び第二のリレー122は、電源124に対して並列に設けられており、第1のリレー121の接点121bは、第1のセラミックヒータ300と直列に接続されている。接点121bが励磁コイル121aの通電によって閉じられると、第1のセラミックヒータ300への通電が開始される。また、第2のリレー122の接点122bは、第2のセラミックヒータ300aと直列に接続されている。接点122bが励磁コイル122aの通電によって閉じられると、第2のセラミックヒータ300aへの通電が開始される。
【0056】
コントロールユニット123は、中央演算処理装置としてのCPUを含むECU(Electronic Control Unit)である。コントロールユニット123は、乗員が行う操作パネル(不図示)からの設定温度の信号又は水温センサ125、外気温度センサ、車室内温度センサ若しくは日射量センサなどの各種センサからのセンサ信号を入力し、予め与えられた所定のプログラムにしたがってこの信号を演算処理し、励磁コイル121a,122aの通電を制御する。水温センサ125は、電気発熱式温水加熱装置104に流入及び/又は流出する熱媒体の温度を検出する。
【0057】
発熱要求量が所定より少ないときは、第一のセラミックヒータ300だけを発熱させる。発熱要求量が所定より少ないときとは、例えば、乗員が早速の暖房を要求していない時であって、車室内の温度と空調の目標吹出温度とが近いとき又は熱媒体の温度が所定の温度以上であって、流入口31と流出口62とで熱媒体の温度差が小さいときである。このとき、コントロールユニット123は、第1のリレー121の励磁コイル121aを通電、第2のリレー122の励磁コイル122aを非通電とし、第1のセラミックヒータ300だけを発熱させる。
【0058】
発熱要求量が所定より多いときは、第一のセラミックヒータ300及び第二のセラミックヒータ300aを発熱させる。発熱要求量が所定より多いときとは、例えば、車室内の温度が低く、乗員が早速の暖房を要求しているときであって、熱媒体の温度が低いときである。このとき、コントロールユニット123は、第1のリレー121の励磁コイル121a及び第2のリレー122の励磁コイル122aをともに通電し、第1のセラミックヒータ300及び第二のセラミックヒータ300aを発熱させる。
【0059】
また、HV車においてエンジン6の排熱で熱媒体が温められて所定の温度以上であり、電気発熱式温水加熱装置104による加熱が不要なときには、コントロールユニット123は、第1のリレー121の励磁コイル121a及び第2のリレー122の励磁コイル122aをともに非通電とし、エンジンの排熱だけを利用することが好ましい。
【0060】
次に、本実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置1を備える車両について説明する。
図6は、車両用空調装置の暖房用回路の第一例を示す概略図であり、車両がHV車である形態を示す。
図7は、車両用空調装置の暖房用回路の第二例を示す概略図であり、車両がEV車である形態を示す。本実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置1は、車両用空調装置15,16に配置された暖房用熱交換器(以降、ヒーターコアという。)3に、配管5を介して熱媒体として温水を供給するものである。
【0061】
車両用空調装置15,16は、HVAC(Heating,Ventilation,and Air Conditioning)ユニット24と、冷凍サイクル(不図示)と、暖房用回路10a,10bとを有する。
【0062】
HVACユニット24は、通常、ブロワ(不図示)と、エバポレータ(不図示)と、ヒーターコア3とを有し、車室22内に空調した空気を送風する。ヒーターコア3は、内部を流通する温水と外部を通過する冷たい空気とを熱交換して温風を作る。HVACユニット24は、通常、車室22内に配置される。車室22は、エンジンルーム21と壁(例えば、ファイヤウォール又はトーボード)23で隔てられている。
【0063】
冷凍サイクル(不図示)は、HVACユニット24内のエバポレータ(不図示)に低温の冷媒を供給する。冷凍サイクル(不図示)は、通常、エンジンルーム21内に配置される。
【0064】
暖房用回路10a,10bは、HVACユニット24内のヒーターコア3に熱媒体として温水を供給する。
図6に示すように車両がHV車であり、エンジン6を有する場合には、暖房用回路10aは、ウォーターポンプ13と、エンジン6と、電気発熱式温水加熱装置1と、ウォーターバルブ2と、ヒーターコア3とを有する。ウォーターポンプ13は、熱媒体としてのエンジン冷却水を暖房用回路10a及びエンジン冷却回路20に循環させる。エンジン6は、内部で燃料を燃焼させて動力を作る機関である。電気発熱式温水加熱装置1は、例えば、電気発熱式温水加熱装置100,101,102,103,104である。ウォーターバルブ2は、ヒーターコア3に流入する熱媒体の流量を制御する。
【0065】
図6に示す暖房用回路10aでは、熱媒体はエンジン冷却水である。エンジン冷却水は、ウォーターポンプ13の駆動によって、エンジン6から電気発熱式温水加熱装置1に送られる。エンジン冷却水は、エンジン6の排熱又は/及び電気発熱式温水加熱装置1で加熱される。この加熱されたエンジン冷却水は、ウォーターバルブ2で流量調整されてヒーターコア3に流入し、ヒーターコア3を通過する冷たい空気と熱交換した後、エンジン6に戻る。
【0066】
ところで、エンジン冷却水は、エンジン冷却回路20にも循環する。
図6にエンジン冷却回路20の一例を示す。このエンジン冷却回路20は、ウォーターポンプ13と、エンジン6と、サーモスタット11と、ラジエータ12とを有する。エンジン冷却回路20では、エンジン冷却水の温度が所定の温度以上(例えば80℃以上)のときは、サーモスタット11が開き、エンジン冷却水は、ラジエータ12に流入し、ラジエータ12を通過する空気と熱交換した後、エンジン6に戻る。また、エンジン冷却水の温度が所定の温度より低いときは、サーモスタット11が閉じ、エンジン冷却水は、ラジエータ12を迂回する通路14を通過してエンジン6に戻る。
【0067】
図7に示すように車両がEV車であり、エンジンを有さない場合には、暖房用回路10bは、電気発熱式温水加熱装置1と、ウォーターバルブ2と、ヒーターコア3とを有する。この暖房用回路10bでは、熱媒体は、例えば、水、不凍液である。熱媒体は、
図7に示すように、電気発熱式温水加熱装置1で加熱されて流出し、次いでウォーターバルブ2で流量調整されてヒーターコア3に流入し、ヒーターコア3を通過する冷たい空気と熱交換した後、電気発熱式温水加熱装置1に戻る。
【0068】
電気発熱式温水加熱装置1は、安全性の点で、エンジンルーム21内に配置されることが好ましい。配管5は、エンジンルーム21内に配置された電気発熱式温水加熱装置1と車室22内に配置されたヒーターコア3とを直接又は間接に接続する。電気発熱式温水加熱装置1は、HVACユニット24とは別ユニットであり、分離して配置することができるため、HVACユニット24として従来のものを採用できる。
【0069】
本実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置1では、発熱要求量が多いときに熱媒体の流量を多くする制御を行う流量制御手段4を更に備えることが好ましい。発熱要求量が多いときとは、例えば、車室内の温度が低く、乗員が早速の暖房を要求してときであって、熱媒体の温度が低いときである。流量制御手段4は、例えば、ウォーターバルブである。第四実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置103又は第五実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置104のようにセラミックヒータを2本有する形態では、流量制御手段4は、切替機構120が第一のセラミックヒータ200,300及び第二のセラミックヒータ200a,300aを発熱させる時に同期して流速を多くする制御を行うことが好ましい。
【0070】
図8は、HV車両用空調装置の暖房用回路を示す概略図であり、エンジン冷却水の温度が所定より低いときを説明するための図である。本実施形態に係る車両用空調装置では、車両が、エンジン6とヒーターコア3との間で熱媒体としてエンジン冷却水を循環する暖房用回路10aを備えるハイブリッド車であり、暖房用回路10a上に、本実施形態に係る電気発熱式温水加熱装置1と、エンジン6を迂回し、かつ、電気発熱式温水加熱装置1とヒーターコア3との間で温水を循環するバイパス回路70と、を設け、エンジン冷却水の温度が所定より低いときは、バイパス回路70を開通するバイパス制御手段9を備えることが好ましい。
【0071】
バイパス回路70は、エンジン6を迂回するエンジン迂回路7を設け、電気発熱式温水加熱装置1とヒーターコア3との間で温水を循環する。バイパス制御手段9は、例えば、三方バルブである。バイパス制御手段9は、エンジン冷却水の温度に応じて、熱媒体の通路をエンジン迂回路7又はエンジン6に通じる通路8のいずれかに切り換える。バイパス制御手段9は、エンジン冷却水の温度が所定より低いときは、エンジン迂回路7を開とし、エンジン6に通じる通路8を閉として、バイパス回路70を開通する。このとき、熱媒体は、熱源として電気発熱式温水加熱装置1による熱だけで温められる。そして、バイパス回路70を循環する熱媒体の量は、エンジン6を通過する暖房用回路10aを循環する熱媒体の量よりも少ないので熱媒体をより効率的に温めることができ、早速の暖房が可能となる。
【0072】
エンジン冷却水の温度が所定以上のときは、
図6に示すように、エンジン迂回路7を閉とし、エンジン6に通じる通路8を開として、暖房用回路10aを開通する。このとき、熱媒体は、主熱源としてエンジン排熱で温められ、電気発熱式温水加熱装置1による熱は補助熱源として利用される。