特許第5923310号(P5923310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5923310
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】液位測定手段を備えた液体貯溜装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/58 20060101AFI20160510BHJP
   G01F 23/30 20060101ALI20160510BHJP
   E03B 3/03 20060101ALI20160510BHJP
   E03B 11/12 20060101ALI20160510BHJP
   B65D 90/48 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   G01F23/58
   G01F23/30 A
   E03B3/03 B
   E03B11/12
   B65D90/48 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-2697(P2012-2697)
(22)【出願日】2012年1月11日
(65)【公開番号】特開2013-142599(P2013-142599A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129632
【弁理士】
【氏名又は名称】仲 晃一
(74)【代理人】
【識別番号】100090608
【弁理士】
【氏名又は名称】河▲崎▼ 眞樹
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 一正
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−201808(JP,A)
【文献】 実開昭59−25430(JP,U)
【文献】 実公昭41−5424(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F23/30−23/76
B65D90/48
E03B 3/03
E03B11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のフロートを液体貯溜装置の天面から内部に垂下させて配置した液体貯溜装置であって、
フロートの上部に、フロートが液体貯溜装置の内部へ落下するのを防止する落下防止手段が設けられており、
上記落下防止手段よりも下側であって、フロートの下端までの途中に、フロートの上昇を抑止する上昇抑止手段が設けられており、
上記フロートは中空体であって、そのフロートの内部空間を二つに仕切って上側の中空部と下側の中空部を形成すると共に、上側の中空部の側面に入水孔を形成したことを特徴とする液体貯溜装置。
【請求項2】
全長が異なるフロートが複数本配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体貯溜装置。
【請求項3】
落下防止手段から上昇抑止手段までの距離が異なるフロートが複数本配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体貯溜装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置内部の液位を外部から一目で認識することのできる液位測定手段を備えた液体貯溜装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高層住宅等に設置される貯水タンク内部の貯水位を外部から認識できる装置として、タンクの全高と略同じ長さに形成された貯水位検知用のフロートが、タンクを覆蓋する蓋体に取付けられた貯水装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
この特許文献1の貯水装置は、水位の上昇に伴いフロートが蓋体より上方へ突出し、その突出長により、タンク内部の貯水位を外部から認識できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−191785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の貯水装置は、貯水位検知用のフロートがタンクの全高と略同じ長さに形成されているので、満水時には、そのフロートがタンクの全高の略2倍の高さまで上方へ突出してしまい、突出長が長くて邪魔となって美観を損ねるものであった。
【0006】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題は、液体貯溜装置が満水になっても液位測定手段の露出が少ない体裁の良い液位測定手段を備えた液体貯溜装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る液位測定手段を備えた液体貯溜装置は、長尺のフロートを液体貯溜装置の天面から内部に垂下させて配置した液体貯溜装置であって、フロートの上部に、フロートが液体貯溜装置の内部へ落下するのを防止する落下防止手段が設けられており、上記落下防止手段よりも下側であって、フロートの下端までの途中に、フロートの上昇を抑止する上昇抑止手段が設けられており、上記フロートは中空体であって、そのフロートの内部空間を二つに仕切って上側の中空部と下側の中空部を形成すると共に、上側の中空部の側面に入水孔を形成したことを特徴とするものである。
尚、ここでいう液体貯溜装置の天面とは、液体貯溜装置を覆う蓋体も含む概念であり、また、フロートの下端までの途中とは、フロートの下端面は含まない概念である。
【0008】
本発明の液位測定手段を備えた液体貯溜装置においては、全長が異なるフロートが複数本配置されていることが好ましく、落下防止手段から上昇抑止手段までの距離が異なるフロートが複数本配置されていることがより好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液位測定手段を備えた液体貯溜装置は、装置内部の液位が上昇するに伴い、液体貯溜装置の天面から内部に垂下させて配置した長尺のフロートが、浮力によって液体貯溜装置の天面から突出するので、その突出長によって外部から一目で装置内部の液位を認識することができるものである。
そして、本発明は、フロートが液体貯溜装置の内部へ落下するのを防止する落下防止手段よりも下側であって、フロートの下端までの途中に、フロートの上昇を抑止する上昇抑止手段を設けることで、液位上昇に伴うフロートの突出長を任意の長さに設定することができるようにしている。
即ち、フロートの全長と、落下防止手段から上昇抑止手段までの距離を状況に応じて変更することにより、フロートの突出長と認識できる装置内部の液位が変化するのである。
具体的には、フロートの全長を液体貯溜装置の全高の50%の長さに設定し、落下防止手段から上昇抑止手段までの距離を液体貯溜装置の全高の25%(フロートの全長の50%)に設定すると、フロートが貯溜装置の天面から突出していない状態では、貯溜装置内部の液位が50%未満であることがわかる。そして、フロートの上昇を抑止する上昇抑止手段が貯溜装置天面の裏側に当接するまでフロートが突出すると、貯溜装置内部の液位が75%以上になっていることがわかる。このように、フロートの全長と落下防止手段から上昇抑止手段までの距離を設定すると、フロートの突出長を液体貯溜装置の全高の25%に抑えることができるので、装置天面から外部への突出長を減らしたい場合に好適である。
また、フロートの全長を液体貯溜装置の全高の25%の長さに設定し、落下防止手段から上昇抑止手段までの距離を液体貯溜装置の全高の20%に設定すると、フロートが貯溜装置の天面から突出していない状態では、貯溜装置内部の液位が75%未満であることがわかると共に、フロートの上昇を抑止する上昇抑止手段が貯溜装置天面の裏側に当接するまでフロートが天面より突出すると、貯溜装置内部の液位が95%以上になっていることがわかる。この範囲にフロートの全長と落下防止手段から上昇抑止手段までの距離を設定すると、フロートの突出長を液体貯溜装置の全高の20%に抑えることができるので、フロートの突出長をより短くしたい場合に好適である。
更に、より細かく装置内部の液位を知りたい場合は、フロートの全長を液体貯溜装置の全高の75%の長さに設定し、落下防止手段から上昇抑止手段までの距離を液体貯溜装置の全高の50%に設定すると、フロートが貯溜装置の天面から突出していない状態では、貯溜装置内部の液位が25%未満であることがわかり、フロートの上昇を抑止する上昇抑止手段が貯溜装置天面の裏側に当接するまでフロートが天面より突出すると、貯溜装置内部の液位が75%以上になっていることがわかる。このような範囲に、フロートの全長と落下防止手段から上昇抑止手段までの距離を設定すると、フロートの突出長を液体貯溜装置の全高の50%に抑えることができると共に、より細かく装置内部の液位を知ることができる。
このように、本発明の液体貯溜装置は、フロートの全長と落下防止手段から上昇抑止手段までの距離を任意に設定することで、フロートの突出長を短くすることができ、装置の美観を損なわずに外部から一目で装置内部の液位を知ることができるものである。また、フロートが中空体であり、そのフロートの内部空間を二つに仕切って上側の中空部と下側の中空部を形成すると共に、上側の中空部の側面に入水孔を形成しているため、入水孔からフロート内部に液体が流入することで、フロートに過度の浮力が発生するのが抑えられて、装置の天面への負荷を軽減することができる。
【0010】
また、全長が異なるフロートが複数本配置されている液位測定手段を備えた液体貯溜装置は、例えば、落下防止手段から上昇抑止手段までの距離を一定にし、フロートの全長を、1本はフロートの全長を液体貯溜装置の全高の75%の長さに、1本はフロートの全長を液体貯溜装置の全高の50%の長さに、1本はフロートの全長を液体貯溜装置の全高の25%の長さに設定すると、いずれかのフロートがどれだけ突出しているのかを見ることで装置内部の液位が25%〜100%であることを認識できるので、より細かく外部から液位を知ることができる。
【0011】
特に、落下防止手段から上昇抑止手段までの距離が異なるフロートが複数本配置されている液位測定手段を備えた液体貯溜装置は、液位の上昇に伴い、落下防止手段から上昇抑止手段までの距離が長いフロートがより高く突出するので、感覚的に装置内部の液位を知ることができ、装置外観のアクセントにもなって視覚的に楽しむこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の参考形態に係る液体貯溜装置を示す正面図である。
図2】同貯溜装置の断面図である。
図3】同貯溜装置のフロートを示すものであって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
図4】同貯溜装置の説明図である。
図5】同貯溜装置の部分拡大図である。
図6本発明の一実施形態に係る液体貯溜装置のフロートを示すものであって、(a)は斜視図、(b)は断面図である。
図7】同フロートを用いた本発明の一実施形態に係る液体貯溜装置の説明図である。
図8】同貯溜装置の部分拡大図である。
図9】本発明の他の参考形態に係る液体貯溜装置の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0015】
図1に示す本発明の参考形態に係る液体貯溜装置1(以下、単に貯溜装置1という。)は、貯溜装置1内部の液位を外部から一目で認識することのできる液位測定手段を備えたものであって、高層住宅に設置される貯水タンク等、様々な分野に実施可能な技術であり、本参考形態では、近年の都市型洪水対策として注目を浴びている雨水を貯溜・有効利用するための雨水タンクにその技術が採用されている。
尚、貯溜装置1の内部に貯溜される液体は水だけに限定されるものではない。
【0016】
この貯溜装置1は、図1図2に示すように、雨水を貯溜するタンク本体1aと、該タンク本体1aの上部開口を覆う蓋体1bと、該タンク本体1aを載置する基台部1cと、液位を認識するためのフロート2と、を備えた合成樹脂製の雨水タンクであって、家屋(不図示)に配設された竪樋3の近傍に設置される。この竪樋3の経路途中には集水継手4が設置されており、その集水継手4で集水された雨水が流入管5へ流入し、タンク本体1aの内部に導入されるようになっている。そして、蛇口1fを捻るとタンク本体1aに貯溜された雨水が排出されて、植物の水やりや洗車等、様々な用途に有効活用できるようになっている。
尚、集水継手4は、竪樋3を流下してきた雨水を効率良く集水できるものであればどのようなタイプの継手でも構わず、図示はしないが、本参考形態では、その内部周面に、流下してきた雨水を集水する環状の溝部が形成されたものが用いられている。
【0017】
タンク本体1aは、図1図2に示すように、雨水を貯溜する容積が50〜400リットルの上部が開口した筐体で、外面はレンガ調に形成されて、家屋の外観と調和するように装飾されている。そして、タンク本体1aの一側面(左側面)の上部には、雨水をタンク本体1aの内部に導入するための流入口1eが形成されていると共に、その前面下部には、タンク本体1aの内部に貯溜した雨水を排水(使用)するための蛇口1fが設けられている。
【0018】
上記タンク本体1aの上部開口は、図2に示すように、断面形状が逆凹型の蓋体1bにより覆われている。この蓋体1bの天面には、次に説明するフロート2を挿通するための円形の挿通孔1dが3つ形成されている。
【0019】
上記蓋体1bの挿通孔1dに挿通されるフロート2は、図3の(a),(b)に示すように、その上端及び下端が閉口したプラスチック製の中空の円筒体であって、貯溜装置1内部の水位上昇に伴い、浮力によって蓋体1bの天面より上方へ突出するようになっている。従って、その中空部分を含めた平均比重は1未満のものであって、上端面には、貯溜装置1の内部へ落下するのを防止する落下防止手段2aが設けられていると共に、該落下防止手段2aの下側には、フロート2が上昇して蓋体1bから抜け出すのを抑止する上昇抑止手段2bが設けられている。また、図5に示すように、落下防止手段2aから上昇抑止手段2bまでの円筒部分には、フロート2が突出した際に、貯溜装置1内部の具体的な貯溜率が認識できるように目盛が附されている。この目盛は、フロート2が下から上に上昇すると共に貯溜率が大きくなるように附された(通常とは逆パターン)もので、本参考形態のように、パーセント表示ではなく、実際の貯溜量(○○リットル等)を示すようにしてもよいし、少、中、多など感覚的に認識できるように附してもよい。また、この目盛をフロート2に附すのではなく、蓋体1bの挿通孔1d近傍のフロート2横に例えば25〜50%などと附してもよいし、フロート2と共に附してもよい。
【0020】
上記フロート2の落下防止手段2a及び上昇抑止手段2bは、フロート2の円筒部分よりも拡径されたフランジ状のもので、その直径は、蓋体1bの挿通孔1dの直径よりも大きくなるように形成されている。そして、この落下防止手段2aから上昇抑止手段2bまでの距離Dやフロート2の全長Lを様々に変更することによって、フロート2の突出長を変更したり貯溜装置1内部の貯溜率がどれくらいであるかを知ることができる。本参考形態では、フロート2の全長L及び落下防止手段2aから上昇抑止手段2bまでの距離Dが異なる3本のフロート2,2,2が蓋体1bに配置されている。
尚、上昇抑止手段2bは、図3の(b)に示す、落下防止手段2aよりも下側であって、フロート2の下端までの途中領域Aに設けるものであり、フロート2の下端面2dに設けるものではない。
【0021】
図4の(a)に示すように、左側に配置されたフロート2は、その全長Lが一番長く、落下防止手段2aから上昇抑止手段2bまでの距離Dが一番短く設定されている。また、右側のフロート2は、その全長Lが一番短く、落下防止手段2aから上昇抑止手段2bまでの距離Dが一番長く設定されており、真ん中に配置されたフロート2は、その中間に設定されている。
具体的には、左側のフロート2の全長Lは、タンク本体1aの全高(内部の高さ)の約75%に、真ん中のフロート2の全長Lは、タンク本体1aの全高の約50%に、右側のフロート2の全長Lは、タンク本体1aの全高の約25%に設定されており、落下防止手段2aから上昇抑止手段2bまでの距離Dは、左側からタンク本体1aの全高の約15%、約20%、約25%に設定されている。
【0022】
本発明の参考形態に係る貯溜装置1は、上記の範囲に全長L及び距離Dが設定されたフロート2,2,2によって、貯溜装置1内部の貯溜率がわかるようになっている。
即ち、図4の(a)に示す状態である貯溜装置1(タンク本体1a)内部の貯溜率が25%未満の場合は、3本のフロート2,2,2は水に接触していないので、蓋体1bより上方へ突出することがない。従って、3本のフロート2,2,2が蓋体1bより上方へ突出していない状態では、タンク本体1aの貯溜率が25%未満であることがわかる。
【0023】
次に、タンク本体1aの貯溜率が25%になると、一番全長Lの長い左側のフロート2が水と接触し、その浮力によって蓋体1bの上方へ突出し、そのままタンク本体1aの貯溜率が上昇していくと、フロート2の上昇抑止手段2bが蓋体1bの裏面に当接してフロート2の上昇が抑制される。タンク本体1aの貯溜率が50%、即ち、図4の(b)に示す状態までは、真ん中のフロート2と右側のフロート2は水と殆ど接触していないので、蓋体1bより上方へ突出することがない。従って、左側のフロート2だけが上方へ突出している状態では、タンク本体1aの貯溜率が25%以上50%未満であることが一目でわかり、左側のフロート2の突出長のみによって、タンク本体1aの貯溜率がわかる(目盛で認識可能)。
【0024】
また、タンク本体1aの貯溜率が50%〜75%になると、真ん中のフロート2も水と接触し、その浮力によって蓋体1bの上方へ突出してくる。そして、図4の(c)に示す状態、即ち、タンク本体1aの貯溜率が75%までは、右側のフロート2は水と殆ど接触していないので、蓋体1bより上方へ突出することがなく、左側のフロート2及び真ん中のフロート2だけが上方へ突出している状態では、タンク本体1aの貯溜率が50%以上75%未満であることがわかり、真ん中のフロート2の突出長によって、タンク本体1aの貯溜率がわかる。
【0025】
更に、タンク本体1aの貯溜率が75%を超えると、右側のフロート2も水と接触し、その浮力によって蓋体1bの上方へ突出してきて、図4の(d)に示すように、右側のフロート2が蓋体1bより完全に突出した状態となると、タンク本体1aの貯溜率が100%であることがわかる。
【0026】
このように、本発明の参考形態に係る貯溜装置1は、蓋体1bより突出しているフロート2の本数、及び、その突出長によって貯溜装置1内部の貯溜率を認識することができるものである。そして、フロート2の突出長をタンク本体1aの全高の約25%程度に抑えることができるので、フロート2の突出長が長くて美観を損ねることはない。また、本参考形態の貯溜装置1は、タンク本体1aの貯溜率が上昇していくに伴い、フロート2,2,2が徐々に右肩上がりに突出していくので、感覚的に装置内部の貯溜率を知ることができ、貯溜装置1の外観のアクセントにもなって視覚的に楽しむこともできる。
尚、フロート2の全長L及び落下防止手段2aから上昇抑止手段2bまでの距離Dや、その本数、比重を変更することにより、突出長を更に短くすることもできるし、より細かい範囲で貯溜装置1内部の貯溜率を知ることもできる。
また、フロート2の太さ(例えば、貯溜率が高まるにつれ、太いフロートが上昇するなど)、色(例えば、貯溜率が高まるにつれ、より濃い色のフロートが上昇するなど)、柄(貯溜率が高まるにつれ、植物が成長していく柄を描く。例えば、一番短いフロートに双葉の柄、真ん中に蕾、一番長いフロートに花が咲いた柄など)を変更することで、より感覚的に貯溜装置1内部の貯溜率を認識することもできる。
【0027】
図6本発明の一実施形態に係る液体貯溜装置のフロートを示すものであって、(a)は斜視図、(b)は断面図、図7は同フロートを用いた本発明の一実施形態に係る液体貯溜装置の説明図である。
【0028】
上記のように、本発明の参考形態に係る貯溜装置1は、水位の上昇に伴いフロート2が上方へ突出していき、最終的には上昇抑止手段2bが蓋体1bの裏面に当接する。従って、タンク本体1a内部の水を使用しなければ、常にフロート2の浮力がそのまま蓋体1bの裏面に作用するため、蓋体1bの裏面やフロート2の上昇抑止手段2bが傷んだりする恐れがある。このような場合に、図6に示すフロート20を使用すれば蓋体1bやフロート20の損傷を防ぐことができる。
【0029】
図6に示すフロート20は、前述したフロート2と同様に、その上端及び下端が閉口したプラスチック製の中空の円筒体であって、その上端面には落下防止手段2aが、該落下防止手段2aの下側には上昇抑止手段2bがそれぞれ設けられていると共に、図8に示すように、落下防止手段2aから上昇抑止手段2bまでの円筒部分には、フロート20が突出した際に、貯溜装置1内部の具体的な貯溜率が認識できるように目盛が附されている。そして、図6の(b)に示すように、その内部空間を仕切板2eによって二つに仕切ることで、上側の中空部2fと下側の中空部2gが形成されており、上側の中空部2fの側面には入水孔2cが形成されている。
【0030】
このフロート20は、下側の中空部2gによって浮力を発生させると共に、入水孔2cより上側の中空部2fに水が流入することでフロート20に作用する過度の浮力を抑制し、蓋体1bの裏面及びフロート20の上昇抑止手段2bを保護するものである。従って、仕切板2eは、上昇抑止手段2bよりも下側であって、下側の中空部2gによってフロート20が必要分上昇することができるだけの浮力を確保できる位置に設けられており、入水孔2cも仕切板2eより余り距離を開けずに若干上側に形成してある。
【0031】
上記構成のフロート20は、図7に示すように、その全長Lがタンク本体1aの全高の約50%に設定され、落下防止手段2aから上昇抑止手段2bまでの距離Dがタンク本体1aの全高の約20%に設定されている。従って、このフロート20を用いた貯溜装置10は、その貯溜率が50%未満のときは、フロート20が蓋体1bより突出しない。貯溜率が50%を超えると、浮力によってフロート20が蓋体1bの上方へ突出し、貯溜率が75%を超えると、入水孔2cより上側の中空部2fに水が流入するように設定しているので、その浮力が抑制されて、蓋体1b裏面を保護することができるようになっている。
尚、前述した参考形態と同様に、フロート20の全長Lや落下防止手段2aから上昇抑止手段2bまえの距離Dを変更したり、本数を増やすことでより細かい貯溜率を知ることができるようになることは言うまでもない。
【0032】
図9は本発明の他の参考形態に係る液体貯溜装置の説明図である。
【0033】
図9に示す貯溜装置11は、3本のフロート21,21,21を用いるものである。この3本のフロート21,21,21は、それぞれ全長Lが異なるものであるが、落下防止手段2aから上昇抑止手段2bまでの距離Dは同寸法に設定されている。具体的には、左側のフロート21の全長Lは、タンク本体1aの全高の約75%に、真ん中のフロート21の全長Lは、タンク本体1aの全高の約50%に、右側のフロート21の全長Lは、タンク本体1aの全高の約25%に設定されており、落下防止手段2aから上昇抑止手段2bまでの距離Dは、一律にタンク本体1aの全高の約15%に設定されている。
【0034】
このようなフロート21を用いた貯溜装置11は、図9に示すように、貯溜率が25%〜100%まで知ることができるにも拘わらず、フロート21の蓋体1bからの突出長を、タンク本体1aの全高の約15%と非常に短く抑えることができる。
【0035】
以上、種々の参考形態及び実施形態を詳述してきたが、本発明の液位測定手段を備えた液体貯溜装置10はこれらに限定されるものではなく、フロート20の本数やその全長L及び落下防止手段2aから上昇抑止手段2bまでの距離Dを変更することで、更に細かく水位を知ることもできるし、突出長をより抑えることもでき、周囲の美観を損なわずに外部から一目で内部の液位を知ることができる優れた装置である。
【符号の説明】
【0036】
1,10,11 液体貯溜装置
1a タンク本体
1b 蓋体
1c 基台部
1d 挿通孔
1e 流入口
1f 蛇口
2,20,21 フロート
2a 落下防止手段
2b 上昇抑止手段
2c 入水孔
2d 下端面
2e 仕切板
2f 上側の中空部
2g 下側の中空部
3 竪樋
4 集水継手
5 流入管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9