(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
細長の板状の第1のセンサ部と該第1のセンサ部の一方の端部から直交する方向に延設された板状の第2のセンサ部とを有するセンサ電極からなり、前記第1のセンサ部の長手方向が液面に対して垂直かつ前記第2のセンサ部が液面に対して下方になるように配置されて使用される静電容量式液面レベルセンサであって、
前記第1のセンサ部は、細長の支持体の長手方向に、帯状の第1及び第2の電極が互いに所定間隔をおいて並列に配置され、かつ帯状の第3及び第4の電極が、前記第1の電極上に、前記第3の電極を挟んで前記第1の電極と前記第4の電極が対向するように、互いに絶縁状態で積層配置されると共に、前記第3の電極が、前記第1及び第4の電極よりも小さい幅を有して前記第1及び第4の電極の幅方向のほぼ中央に配置され、
前記第2のセンサ部は、前記第1のセンサ部から直交する方向に延設された前記支持体に前記第1のセンサ部から直交する方向に延長された前記第1、第3及び第4の電極が配置され、
前記第2のセンサ部における前記第1及び第4の電極のうちの一方は、前記第2のセンサ部における前記第3の電極とほぼ同じ幅に形成され、他方は前記第2のセンサ部の上面側に配置されており、
前記第1及び第4の電極を共通接続したときの液面高さに応じて変化する前記第1及び第4の電極と前記第2の電極間の静電容量で液面レベルを検出すると共に、前記第1及び第4の電極と前記第3の電極間の静電容量で前記液体の誘電率を検出する
ことを特徴とする静電容量式液面レベルセンサ。
【背景技術】
【0002】
静電容量式液面レベルセンサにおいて、静電容量は液体の誘電率によって変化するため、一般的に正確な液面レベルを測定するために、液面レベルを測定する液面レベル測定電極と、液体の比誘電率を測定する誘電率測定電極を設置する必要がある。しかし、誘電率測定電極は、容器の底部に設置しなければならず、また液面レベルの変動によってこの誘電率測定電極の容量値が変化しないことが望ましい。誘電率測定電極の液面レベル変動による容量変化を起こさないためのシールド構造を追加すると、端子数の増加やそれに伴う構成の複雑化を招いてしまう。また、精度良く誘電率を測定しようとする場合、誘電率測定電極は、できるだけ容量変化を大きく検出できることが望ましいが、電極が大きくなるため、液面レベルの測定ができない領域が増えてしまう。
【0003】
図5は、従来の静電容量式液面レベルセンサの構成例を示し、(A)はセンサ部を示す図、(B)はセンサ部の分解斜視図である。
図5に示すように、センサ部2は、細長のフィルム形状を有し、長手方向の一方の基端2aが不図示の測定回路に接続され、先端2bが容器1の底面近傍に位置するように垂直に固定される。さらに、基端2aから先端2bに向かう間で、センサ部2は、その幅が広がっている。この拡幅部分8から先を、液体内に浸漬することが好ましい。センサ部2は、カバーフィルム4と、第一絶縁フィルム5と、第二絶縁フィルム6と、カバーフィルム7とを、この順番に積層させてある。各フィルム4,5,6,7は、ポリエチレンテレフタレート(PET)や、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、液晶ポリマなど、吸水率の低い絶縁部材で製造されている。
【0004】
一側の最外層にあたるカバーフィルム4上には、カバーフィルム4の半分ほどの幅を有するシールド層9がシート状に設けられている。第一絶縁フィルム5は、カバーフィルム4と共にシールド層9を挟むようにカバーフィルム4上に密着されている。この第一絶縁フィルム5には、各々線状の測定電極10と、駆動電極(測定信号供給電極)11と、第一シールド電極12と、参照電極13と、第二シールド電極14とが、第一絶縁フィルム5の長手方向に沿って、各々離間して並列に配設されている。第二絶縁フィルム6は、第一絶縁フィルム5と共に各電極10,11,12,13,14を挟むように、第一絶縁フィルム5上に密着されている。この第二絶縁フィルム6上には、第二絶縁フィルム6の半分ほどの幅を有するシールド層15がシート状に設けられている。そして、カバーフィルム7は、第二絶縁フィルム6と共にシールド層15を挟むように、第二絶縁フィルム6上に密着する。なお、
図5(A)に示すように、センサ部2の上部に相当する基端2a側では、第二絶縁フィルム6及びカバーフィルム7が、カバーフィルム4及び第一絶縁フィルム5よりも短くなっており、各電極10,11,12,13,14が、各々所定の長さで露出している。
【0005】
駆動電極11は、所定の線幅及び厚さで第一絶縁フィルム5の面17上に、基端から先端の近傍まで設けられている。この駆動電極11の上端は、センサ部2の基端2a側において付図示の測定回路に接続されており、所定の駆動用の交流信号が入力される。また、駆動電極11の下端(先端)11aは、第一絶縁フィルム5の先端5aよりも、所定の距離r1だけ上方に位置している。測定電極10は、面17上において、駆動電極11から所定距離をおいた位置に設けられている。測定電極10の線幅及び厚さは、駆動電極11と同じである。測定電極10の上端は、センサ部2の基端2a側において不図示の測定回路に接続される。また、測定電極10の下端(先端)10aは、第一絶縁フィルム5の先端5aよりも、所定の距離r1だけ上方に位置している。この測定電極10と駆動電極11とは、容量素子を形成する。その静電容量は、測定電極10及び駆動電極11の表面積と、電極間距離と、電極間の誘電率とで定まる。誘電率は、空気の誘電率に対して液体の誘電率が十分に大きい。したがって、測定電極10と駆動電極11との間の静電容量は、液面に浸漬している表面積、つまり測定電極10及び駆動電極11の下端から、後述する液面レベルまでの長さに略比例する。
【0006】
また、第一シールド電極12は、面17上において、駆動電極11に対して測定電極10と略対称な位置に設けられている。つまり、駆動電極11から測定電極10までの距離と、駆動電極11から第一シールド電極12までの距離は、略同一である。第一シールド電極12の上端は、接地される。また、第一シールド電極12の下端(先端)12aは、第一絶縁フィルム5の先端5aよりも、所定の距離r2だけ上方に位置している。なお、距離r2は、距離r1よりも大きい。参照電極13は、面17上において、駆動電極11から、さらに離間した位置に配置されている。参照電極13の幅及び厚さは、駆動電極11と等しい。参照電極13の上端は、センサ部2の基端側において不図示の測定回路に接続される。また、参照電極13の下端(先端)13aは、第一絶縁フィルム5の先端5aよりも、所定距離r1だけ上方に位置している。第二シールド電極14は、面17上において、第一シールド電極12と共に参照電極13を挟むように配置されている。つまり、参照電極13から第二シールド電極14までの距離は、参照電極13から第一シールド電極12までの距離の略等しい。第二シールド電極14の上端は、接地される。また、第二シールド電極14の下端(先端)14aは、第一絶縁フィルム5の先端5aよりも、所定の距離r2だけ上方に位置している。
【0007】
さらに、シールド層9は、参照電極13、シールド電極12,14及びシールド層15に重なる位置に設けられている。具体的には、シールド層15の幅は、シールド電極12,14の電極間距離に、各シールド電極12,14の幅を加えた値に略等しい。また、シールド層9の下端(先端)は、シールド電極12,14と同様に、第一絶縁フィルム5及び第二絶縁フィルム6の先端よりも、所定の距離r2だけ上方に位置する。ここで、シールド層9は、導電性材料からなる。そして、第一絶縁フィルム5に形成された導電スルーホール部20を介して、第二シールド電極14と電気的に接続されている。なお、導電スルーホール部20は、例えば、第一絶縁フィルム5に形成したスルーホールに導電性材料をメッキして形成する。
【0008】
シールド層15は、導電性材料からなり、シールド層9と同じ形状を有している。また、シールド層15は、第二絶縁フィルム6が第一絶縁フィルム5の面17と密着する面と反対側の面21に形成されている。その下端(先端)は、シールド電極12,13及びシールド層9と同じ位置にある。さらに、このシールド層15は、第二絶縁フィルム6に形成された導電スルーホール部23を介して、第二シールド電極14と電気的に接続されている。シールド層9とシールド層15とは、第一絶縁フィルム5及び第二絶縁フィルム6を介して、参照電極13及びシールド電極12,14を挟む位置に設けられている。したがって、一対のシールド電極12,14と一対のシールド層9,15は、参照電極13を囲むように配置され、かつ電気的に接続される。シールド電極12,14は、前記のように接地されるので、一対のシールド電極12,14と一対のシールド層9,15は、参照電極13の電磁的なシールドとなる。
【0009】
そして、参照電極13の下端13a近傍で、シールドから突出する部分が、参照用測定部25となり、シールドされている部分が信号導通部26とされる。参照用測定部25は、駆動電極11と、容量素子を形成する。その静電容量は、参照用測定部25及び駆動電極11の表面積と、電極間距離と、電極間の誘電率とで定まる。参照用測定部25の長さは、所定の距離r2から所定の距離r1を引いた長さであり、このときの静電容量(誘電率)の値が、液面レベルを測定する際の参照値になる。そして、信号導通部26は、その上端が測定回路3に接続され、参照用測定部25で発生する所定の信号を不図示の測定回路に入力する役割を担う。
【0010】
なお、各電極10,11,12,13,14と、シールド層9,15とは、所定の厚さの導電性材料を貼り付けられたフィルム4,5,6において導電性材料を部分的にエッチングして形成されている。また、センサ部2の拡幅部分8では、各電極10,11,12,13,14の配置間隔も、第一シールド電極12を中心にして長くなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述の従来例では、液面レベルセンサのセンサ部は、誘電率測定電極にシールド構造を加え、液面レベルによる容量変化を防いでいるが、シールド電極12,14(12及び14は共通接続される)と、誘電率測定用の一対の配線(駆動電極11+参照用測定電極13)、液面レベル測定用の一対の配線(駆動電極11+液面レベル測定用電極10)で構成されており、センサ部を測定回路に接続するためには、合計4本(駆動電極は共通)の配線が必要である。
【0013】
そこで、本発明は、端子数が従来に比して少ない単純な構造を持ち、液面レベルを精度良く測定することができる静電容量式液面レベルセンサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するための請求項1記載の発明の静電容量式液面レベルセンサは、
細長の板状の第1のセンサ部(60a)と該第1のセンサ部(60a)の一方の端部から直交する方向に延設された板状の第2のセンサ部(60b)とを有するセンサ電極(60)からなり、前記第1のセンサ部(60a)の長手方向が液面に対して垂直かつ前記第2のセンサ部(60b)が液面に対して下方になるように配置されて使用される静電容量式液面レベルセンサであって、
前記第1のセンサ部(60a)は、細長の支持体(61)の長手方向に、帯状の第1及び第2の電極(62,63)が互いに所定間隔をおいて並列に配置され、かつ帯状の第3及び第4の電極(64,65)が、前記第1の電極(62)上に、前記第3の電極(64)を挟んで前記第1の電極(62)と前記第4の電極(65)が対向するように、互いに絶縁状態で積層配置されると共に、前記第3の電極(64)が、前記第1及び第4の電極(62,65)よりも小さい幅を有して前記第1及び第4の電極(62,65)の幅方向のほぼ中央に配置され、
前記第2のセンサ部(60b)は、前記第1のセンサ部(60a)から直交する方向に延設された前記支持体(61)に前記第1のセンサ部(60a)から直交する方向に延長された前記第1、第3及び第4の電極(62,64,65)が配置され、
前記第2のセンサ部(60b)における前記第1(62)及び第4の電極(65)のうちの一方は、
前記第2のセンサ部(60b)における前記第3の電極(64)とほぼ同じ幅に形成され、他方は前記第2のセンサ部(60b)の上面側に配置されており、
前記第1及び第4の電極(62,65)を共通接続したときの液面高さに応じて変化する前記第1及び第4の電極(62、65)と前記第2の電極(63)間の静電容量で液面レベルを検出すると共に、前記第1及び第4の電極(62,65)と前記第3の電極(64)間の静電容量で前記液体の誘電率を検出する
ことを特徴とする。
【0015】
上述した課題を解決するための請求項2記載の発明は、請求項1記載の静電容量式液面レベルセンサにおいて、共通接続された前記第1及び第4の電極(62.65)を接地電位に接続し、シールド電極としたことを特徴とする。
【0016】
上述した課題を解決するための請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の静電容量式液面レベルセンサにおいて、前記第2のセンサ部(60b)における前記第4の電極(65)の幅は、前記第1のセンサ部(60b)における前記第4の電極(65)の幅よりも大きく形成されていることを特徴とする。
【0017】
上述した課題を解決するための請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の静電容量式液面レベルセンサにおいて、前記センサ電極(60)が可撓性を有することを特徴とする。
【0018】
なお、上述の課題を解決するための手段の説明におけるかっこ書きの参照符号は、以下の、発明を実施するための形態の説明における構成要素の参照符号に対応しているが、これらは、特許請求の範囲の解釈を限定するものではない。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、静電容量式液面レベルセンサは、細長の板状の第1のセンサ部と該第1のセンサ部の一方の端部から直交する方向に延設された板状の第2のセンサ部とを有するセンサ電極からなり、前記第1のセンサ部の長手方向が液面に対して垂直かつ前記第2のセンサ部が液面に対して下方になるように配置されて使用される静電容量式液面レベルセンサであって、第1のセンサ部は、細長の支持体の長手方向に、帯状の第1及び第2の電極が互いに所定間隔をおいて並列に配置され、かつ帯状の第3及び第4の電極が、前記第1の電極上に、第3の電極を挟んで第1の電極と第4の電極が対向するように、互いに絶縁状態で積層配置されると共に、第3の電極が、第1及び第4の電極よりも小さい幅を有して第1及び第4の電極の幅方向のほぼ中央に配置され、第2のセンサ部は、第1のセンサ部から直交する方向に延設された支持体に第1のセンサ部から直交する方向に延長された第1、第3及び第4の電極が配置され、第2のセンサ部における第1及び第4の電極のうちの一方は、第3の電極とほぼ同じ幅に形成され、他方は第2のセンサ部の上面側に配置されており、第1及び第4の電極を共通接続したときの液面高さに応じて変化する第1及び第4の電極と第2の電極間の静電容量で液面レベルを検出すると共に、第1及び第4の電極と第3の電極(64)間の静電容量で液体の誘電率を検出するので、液面レベルセンサの端子は3本で済むため、従来より配線が容易であり、液体の液面レベル及び誘電率を測定することができる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、共通接続された第1及び第4の電極を接地電位に接続し、シールド電極としたので、液面レベルの変化によって誘電率センサの静電容量が変化しないため、液体の誘電率を精度良く測定することができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、第2のセンサ部における第4の電極の幅は、第1のセンサ部における第4の電極の幅よりも大きく形成されているので、第2のセンサ部における第4の電極の表面積がより大きくなり、第1及び第4の電極と第3の電極間の静電容量がより大きくなるため、液体の誘電率をより精度良く測定することができる。また、第4の電極を接地電位に接続した場合のシールド効果が向上する。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、センサ電極が可撓性を有するので、センサ電極を容易に折り曲げることができ、センサ電極を保持具に組み付ける作業が簡単になる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の静電容量式液面レベルセンサの一実施形態を示し、(A)は斜視図、(B)は展開図、(C)は右側面図である。
【0025】
静電容量式液面レベルセンサ1は、保持具30、隔離板40、検出回路基板50及びセンサ電極60から構成される。保持具30は、絶縁性の硬い樹脂からなり、
図2に示すように、2本の細長い板状の第1の保持部30aと、この第1の保持部40aの一端部(
図1では下方の端部)から直交する方向に延設された2本の板状の第2の保持部30bとがL字状に形成されると共に、第1の保持部30aと第2の保持部30bの2つの連結部間に桟部30eが設けられて、一体形成されている。第1の保持部30a両側端部には、複数の保持片30cが一体形成され、第2の保持部30bの両側端部には、複数の保持片30dが一体形成されている。保持片30c及び30dは、後述するようにセンサ電極60を組み付ける際に変形できる弾性を有している。第1の保持部30aの他端(
図1では上方の端部)には隔離板40が取り付けられ、隔離板40の上面には検出回路基板50が取り付けられている。
【0026】
センサ電極60は、細長の板状の第1のセンサ部60aとこの第1のセンサ部60aの一端部(
図1では下方の端部)から直交する方向に延設された板状の第2のセンサ部60bがL字状に一体形成されている。
【0027】
図3は、
図1の液面レベルセンサにおけるセンサ電極の構成を示し、(A)は展開図、(B)はI−I線断面図、(C)はII−II線断面図、(D)はIII−III線断面図である。なお、
図3(A)は展開図であるが、
図3(B)〜(D)に示される4つの電極62〜65は絶縁体61中に積層されているので、これらの位置関係が明確になるように、各電極が透視図的に示されている。
【0028】
図3に示すように、センサ電極60は、支持体としての細長の絶縁体61で支持された4つの帯状の電極62、63、64、65で構成される。絶縁体61は、絶縁フィルムなどの可撓性のある絶縁材料(例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、ポリイミド等)からなる。各電極は、ステンレス箔、銅箔、アルミ箔等の可撓性のある帯状の導電性材料からなり、絶縁体61中に封入されている。電極62、64,65は、絶縁体61の一方の側端部(
図3では左側端部)付近に積層配置され、電極64が電極62と電極65間に挟まれている。電極63は、絶縁体61の他方の側端部(
図3では右側端部)付近に配置されている。センサ電極60の製造方法は、一般的なホットメルトラミネート法や接着剤を用いたラミネート法等の手法を用いて作製することができる。
【0029】
電極62は、絶縁体61の一方の側端部側に配置され、絶縁体61の長手方向に延びると共に一方の側端部が絶縁体61の一方の側端部(
図3では左側端部)にほぼ一致しそこから所定幅(
図3では絶縁体61の幅の約1/3の幅)を有する帯状部62aと、帯状部62aの他方の側端部から長手方向に間隔をおいて直交方向に延設された櫛歯部62bと、帯状部62aの長手方向の一方の端部から絶縁体21の他方の側端部へ直交方向に延設され、櫛歯部62bとほぼ同じ形状の櫛歯部62cとを有する。
なお、本明細書において「幅」とは、絶縁体61の細長の面における長手方向と直交する方向(幅方向、すなわち、図1(B)における紙面左右方向)における寸法を示す。
【0030】
電極63は、絶縁体61の長手方向に伸びると共に一方の側端部が絶縁体61の一方の側端部(
図3では右側端部)にほぼ一致し所定幅(
図3では絶縁体61の幅の約1/10の幅)を有する帯状部63aと、帯状部63aの他方の側端部から長手方向に間隔をおいて直交方向に延設された、電極62の櫛歯部62bと同じ形状を有する櫛歯部63bとを有する。
【0031】
電極64は、絶縁体61の長手方向に伸びると共に所定幅(
図3では絶縁体61の幅の約1/10の幅)を有する帯状部64aと、帯状部64aの長手方向の一方の端部から絶縁体61の他方の側端部
へ延設され、電極62の櫛歯部62cの間に位置する櫛歯部64
bとを有する。帯状部64aは、電極62の帯状部62aの幅方向のほぼ中央に位置している。
また、帯状部64aの長手方向における櫛歯部64bの寸法は、帯状部64aの幅方向における帯状部64aの寸法と同じである。
【0032】
電極65は、絶縁体61の一方の側端部側に配置され、電極62の帯状部62aと同じ
形状を有する帯状部65aと、帯状部62aの長手方向の一方の端部から絶縁体61の他
方の側端部へ延設され、帯状部65aより幅広(例えば、絶縁体61の幅よりやや小さい
幅)の四角形のシールド部65bとを有する。シールド部65bは、電極62の櫛歯部6
2c及び電極64の櫛歯部64
bと積層方向で重なっている。
【0033】
電極62及び電極65は、電極64を挟んで対向する電極であり、共通接続されてシールド電極として働き、電極63は液面レベル測定用の電極、電極64は液体の誘電率測定用の電極として働く。液面レベルは、電極63と電極62,65間の静電容量に基づいて検出され、液体の誘電率は、電極64と電極62,65間の静電容量値に基づいて検出される。
【0034】
次には、センサ電極60の作製方法について説明する。なお、ここでは接着剤を用いたラミネート法で作製される場合を説明する。
【0035】
まず、1枚の細長の絶縁フィルム上に、その長手方向に帯状の電極62及び電極63を間隔をおいて並列に配置し、接着剤を使用して貼り合わせる。次に電極62上に、電極62よりも少し大きいサイズの2枚目の絶縁フィルムを配置して接着剤で貼り合わせる。次に、2枚目の絶縁フィルム上に電極64を電極62の帯状部62aの幅方向のほぼ中央位置に帯状部64aが位置するように配置して接着剤で貼り合わせる。次に、電極64上に2枚目と同じサイズの3枚目の絶縁フィルムを配置して接着剤で貼り合わせる。次に、3枚目の絶縁フィルム上に電極65を電極62と積層上の同じ位置になるように配置して接着剤で貼り合わせる。次に、電極65と3枚目の絶縁フィルムとの上に1枚目と同じサイズの4枚目の絶縁フィルムを配置して接着剤で貼り合わせる。
【0036】
次に、上記の方法で作製された加工前のセンサ電極60は、絶縁体61の他方の端部に各電極のリード端子を露出させるように加工される。すなわち、センサ電極60の上端近傍から上端までの絶縁体61を剥がして除去し、電極62、63、64、65の一部を露出させ、露出した電極部分をそれぞれリード端子となる形状にカットする。
【0037】
このようにして作製されたセンサ電極60は、細長の可撓性のある絶縁体61に、その長手方向に可撓性のある電極62,63が互いに間隔をおいて並列に配置されると共に、電極62上に、可撓性のある電極64,65が互いに絶縁状態で順次積層配置されており、全体で可撓性のあるものとなっている。また、絶縁体61の一方の端部(
図3では下方の端部)付近におけるセンサ電極62の櫛歯部62cが延設される帯状部62aの端部と電極65のシールド部65bが延設される帯状部65aの端部は積層方向で同じ位置にあり、この端部位置が、後述する液面レベルのE(エンプティレベル)点になり、絶縁体61の他方の端部(
図3では上方の端部)付近におけるセンサ電極62の最も端に位置する櫛歯部62bの上方の側部が、後述する液面レベルのF(フルレベル)点になる。
【0038】
次に、センサ電極60を保持具30に組み付ける方法について説明する。まず、センサ電極60を第1のセンサ部60aと第2のセンサ部60bの境となるE点の場所で第1のセンサ部60aと第2のセンサ部60bとが互いに直交する方向になるように折り曲げる。折り曲げる方向は、第2のセンサ部60bにおける電極65のシールド部65bが第1のセンサ部60aの上面側に近づく方向である。折り曲げ後のセンサ電極60は、第2のセンサ部60bにおける電極65が第2のセンサ部60bの上面側になる。このとき、センサ電極60を構成する絶縁体61、電極62〜65は、全て可撓性の材料からなるので、センサ電極60を容易に90度まで折り曲げることができる。また、折り曲げても、第1のセンサ部60aの電極62,64,65から延長された第2のセンサ部60bの電極62,64,65のE点での断線は発生しないように各材料が選択されている。
【0039】
次に、折り曲げた状態のセンサ電極60を保持具30に近づけ、センサ電極60の第1のセンサ部60aの横方向一側(
図1においては左側)を、先端側(隔離板40が取り付けられる側)から後端(第2のセンサ部60bとの連結部)まで、保持具30の第1の保持部30aの表面と横方向一側にある係合片30cとの間に差し込み、続いて、第2のセンサ部60bの同じ側を、同様に、保持具30の第2の保持部30bの表面と横方向一側にある係合片30dとの間に差し込む。次に、センサ電極60の全体を差し込んだ係合片30c,30dの奥に押し込むと共に、センサ電極60の全体を、保持具30の第1の保持部30a及び第2の保持部30bの各表面に接触させる。
【0040】
続いて、センサ電極60の横方向他側(
図1においては右側)を、保持具30の第1の保持部30aの表面と横方向他側にある係合片30cの間及び第2の保持部30bの表面と横方向他側にある係合片30dの間に差し込む。以上の作業により、センサ電極60は、保持具30の第1の保持部30aと第2の保持部30bの表面に係合片30cおよび30dの弾性により保持され、保持具30へのセンサ電極60の組み付けが完了する。
【0041】
センサ電極60は、E点を境として、保持具30の第1の保持部30aに保持されている第1のセンサ部60aが液面レベルを測定するための液面レベル測定領域となり、保持具30の第2の保持部30bに保持されている第2のセンサ部60bが液体の誘電率を測定するための誘電率測定領域となる。その後、センサ電極60を組み付けた保持具30に隔離板40を取り付け、隔離板上の検出回路基板50とセンサ電極60のリード端子との電気的接続をリード線等を使用して行うことで、静電容量式液面レベルセンサ1が完成する。
【0042】
完成した静電容量式液面レベルセンサ1は、液体を入れるタンク(図示しない)の内部に、センサ電極60の第2のセンサ部60bがタンクの底部に位置し、かつセンサ電極60の第1のセンサ部60aの長手方向が液面に対して垂直になるように固定されて使用される。検出回路基板50が、隔離板40上に設置されており、液体が検出回路に触れないような構造になっている。
【0043】
ここで、電極64を挟んで対向する電極62と電極65は共通接続され、接地電位に接続されて使用されるので、以降、電極62と電極65をまとめて電極Aと称する。また、電極63を電極Bとし、電極64を電極Cとする。さらに、電極Aと電極Bとの間の静電容量をC
A-Bとし、電極Aと電極Cとの間の静電容量をC
A-Cとする。電極Aと電極Bとは、液面レベルに対して水平方向に電極の一部が延びる櫛歯型となっており、液面レベルの変化に対して静電容量の変化が大きく取れるような構造となっている。また、液体の液面レベル測定可能範囲の最下点をE(エンプティレベル)点とし、最上点をF(フルレベル)点とする。
【0044】
電極Aとなる電極62及び電極65は、電極Cを挟むように配置され、電極Cよりも十分に幅を広くしているので、電極Cに対するシールド電極として働き、E点からF点までの間における静電容量C
A-Cが外部空間の誘電率変化の影響を受けないようにすることができる。液体の液面レベルが上昇した場合、静電容量C
A-Bは、空気と液体の誘電率差によって増加するので、電極Aと電極Bとを液面レベルセンサとして使用することができる。また、静電容量C
A-Cは、E点よりも液面レベルが高い場合においては常に一定の値を持つ。すなわち、電極Cが常に液体に浸漬されている状態では、静電容量C
A-Cは、液体の誘電率のみで変動するため、電極Aと電極Cとを液体の誘電率センサとして使用することができる。
【0045】
また、誘電率センサの静電容量C
A-Cは、電極65のシールド部65bがなければ、電極CとE点よりも上側の電極Bとが静電結合する懸念があり、E点に液面レベルがある時の静電容量に対して、E点よりも上部に液面レベルがある時の静電容量の方が大きくなってしまう。液面レベルがE点よりも十分に高い位置にある時の静電容量の変化は僅かであるためあまり問題にはならないが、液面レベルがE点付近にある時の変化は大きくなり、誘電率測定の誤差になる場合がある。そこで、本発明ではセンサ電極60をE点で折り曲げ、誘電率センサの領域において、電極Cの上部に電極65のシールド部65bが配置されるように構成することにより、シールド部65bによって電極Cと電極Bとの静電結合が遮断されるので、E点よりも上部の液面レベルの変化にかかわらず、静電容量C
A-Cが一定の値になる。
【0046】
図4は、液面レベルと静電容量変化の特性を示す特性図である。C
A-B及びC
A-Cは、それぞれ、液面レベルセンサの静電容量及び誘電率センサの静電容量を示す。液面レベルは、E点がエンプティレベル(0cm)を示し、F点がフルレベル(測定可能な最高液面レベル)を示し、E点より低いレベルは液面レベルとして採用しない。また、2種類の異なる誘電率を持つ液体L1及びL2の測定結果を、それぞれ、C1,C2で示してある。誘電率の関係は、L1>L2である。
【0047】
C1
A-B及びC2
A-Bは、空気と液体の誘電率差によってE点よりも高い液面レベルにおいて直線的に増加する。また、C1
A-C及びC2
A-Cは、対向する電極65のシールド部65bが電極Cに対するシールドとして働き、E点よりも上部の共通電極Aとの静電結合を防ぐため、E点よりも高い液面レベルでは一定の容量値を保つ。
【0048】
検出回路では、液面レベル測定電極の静電容量C
A-Bを、CV(容量−電圧)変換やCF(容量−周波数)変換等の手法で取得して、基準となる液体(例えば、L2)で求めた近似式を用いて液面レベルを算出する。
【0049】
また、誘電率測定電極の静電容量C
A-Cを同様の方法で取得し、基準となる液体の静電容量値を予め記憶させ、誘電率測定電極で測定している液体の静電容量との比を算出する。液体の誘電率(例えば、L1)が基準となる液体(例えば、L2)の誘電率より低い場合、誘電率補正をしないと、液面レベルは実際よりも高い値が算出されてしまうが、誘電率測定電極による静電容量値により容量比を求め、誘電率補正後の実際の液面レベルを求めることができる。
【0050】
以上説明したように、本発明によれば、以下の効果を奏する。
(1)液面レベルセンサの端子は3本で済むため、従来より配線が容易である。
(2)スルーホールを必要としないため、ラミネート工程が簡略化できる。
(3)精度良く誘電率センサの出力が得られ、液面レベルが底部付近まで測定できる。
(4)誘電率測定用電極64を挟んで対向する電極62及び電極65がシールド電極として働くため、液面レベルの変化によって誘電率センサの静電容量が変化しないため、誘電率補正の計算が容易である。
【0051】
以上の通り、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。かかる変形、応用によってもなお本発明の静電容量式液面レベルセンサの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇にふくまれるものである。
【0052】
例えば、上述の実施形態では、第2のセンサ部において、第1の電極62は櫛歯部62cを有し、第5の電極65はシールド部65bを有しているが、第1の電極62は、櫛歯部62cに代えてシールド部65bと同一形状のシールド部を有し、第5の電極65は、シールド部65bに代えて櫛歯部62cと同一形状の櫛歯部を有するようにしてもよい。この場合は、第1の電極62のシールド部が第2のセンサ部の上面側になるように配置される。
【0053】
また、センサ電極60の第1のセンサ部60aである液面レベルセンサ領域において、電極65は、帯状部65aの側端部に電極62の櫛歯部62bと同様の櫛歯部を設けてもよい。
【0054】
また、センサ電極60の第2のセンサ部60bである誘電率センサ領域において、電極の表面積を大きくするために、電極64は櫛歯部64bが設けられているが、さらに表面積を大きくするために、例えば、櫛歯部64bに代えて、電極65のシールド部65bと同様の形状でより小さいサイズの電極部を設けてもよい。また、電極62及び電極65が共通接続される場合は、電極64の櫛歯部64bと電極65のシールド部65bとの間でも液体の誘電率を測定することができるため、電極62の櫛歯部62cの全部または一部を削除してもよい。
【0055】
また、センサ電極60は、上述の実施形態では、その全体が保持具30で保持されているが、自立性を保つことが可能な硬さがある場合は、支持部材で一部を支持してもよく、または、液体タンクの内壁に直接取り付けるようにしてもよい。