(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アクティブ燃料供給装置は、前記給電部によって給電された後、前記接続部を介して前記パッシブ燃料供給装置による前記燃料電池への燃料の供給動作を停止させる制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の燃料電池装置。
前記接続部は、前記パッシブ燃料供給装置による燃料の供給動作を停止させた後、当該パッシブ燃料供給装置による燃料供給の停止状態を維持させることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池装置。
前記接続部は、前記停止状態を維持させた状態で前記燃料電池との接続が遮断された場合、当該燃料電池と再接続されたとき、前記燃料電池と再接続される動作に連動して前記パッシブ燃料供給装置より前記燃料電池に燃料を供給させることを特徴とする請求項5に記載の燃料電池装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、図面に示す実施の形態に基づいて、本発明を詳細に説明する。
(第1実施形態)
(1)燃料電池装置の構成
以下に、
図1に基づいて本発明の燃料電池装置の構成を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかる燃料電池装置を示す概略図である。
図1に示すように、燃料電池装置1は、燃料電池本体2と、燃料容器部3とから構成される。
【0019】
燃料電池本体2は、燃料の供給により発電する燃料電池20と、燃料電池20の出力電圧を所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置21と、燃料容器部3から燃料の供給を受ける本体側連動接続部22と、電圧変換装置21を介して燃料電池20の発電電力を出力する出力端子23及び24から構成される。また、燃料電池20と本体側連動接続部22は電池燃料流路26を介して接続される。また、燃料電池20と電圧変換装置21、電圧変換装置21と出力端子23、24は、それぞれ電気的に接続されている。
【0020】
燃料容器部3は、ポンプなどの電力駆動の補機類を用いず燃料の供給が可能なパッシブ方式で供給するパッシブ燃料供給装置31と、ポンプなどの電力駆動の補機類を用いた燃料供給を行うアクティブ方式で供給するアクティブ燃料供給装置32と、燃料電池20へ燃料を供給する経路を形成する容器側連動接続部33と、燃料電池本体2から電力の供給を受ける受電部(給電部)34とから構成される。
【0021】
パッシブ燃料供給装置31は、燃料電池本体2と接続されていない状態では燃料供給機構が、電力を消費しない制御手段により停止させられており、燃料容器部3から燃料が出ないようになっている。燃料容器部3と燃料電池本体2との接続によって、パッシブ燃料供給装置31の燃料供給を止めていた停止手段が解除され、容器側連動接続部33が動作し、電源が無くても燃料電池20へ燃料の供給が可能になる。例えば、制御手段としては、燃料の入った容器をバネを用いた加圧手段と、当該加圧手段を加圧できない状態にするストッパーとを用いて行うことができる。また、この詳細については、第2実施形態を用いて後述する。つまり、パッシブ燃料供給装置31は、電力を消費しない制御手段によって容器内に収容された燃料を供給可能な、補機類を用いないパッシブ方式の燃料供給装置である。これにより、パッシブ燃料供給装置の動作の開始を燃料電池と燃料容器部の接続に連携することで、燃料電池20へ燃料を確実に供給すると共に、確実に燃料電池を起動することが出来る。
【0022】
アクティブ燃料供給装置32は、図示しないポンプを有しており、電力の供給を受けてポンプを動作させ、容器側連動接続部33を介して燃料電池20に燃料を供給する。なお、ポンプなど燃料を燃料電池に供給する機構は、燃料電池本体2に搭載されていても良い。このように、アクティブ燃料供給装置32は、ポンプやブロアなどの電源を必要とする補機を用いて制御を行う。つまり、アクティブ燃料供給装置32は、電力を消費する制御手段によって容器内に収容された燃料を供給可能なアクティブ方式の燃料供給装置である。また、アクティブ燃料供給装置32は、容器側連動接続部33を、制御信号に基づいて制御する。
【0023】
容器側連動接続部33は、本体側連動接続部22と接続されることによって、燃料容器部3と燃料電池本体2とを接続する。また、本実施形態においては、容器側連動接続部33と本体側連動接続部22とをあわせたものを接続部とする。パッシブ燃料供給装置31と容器側連動接続部33は、パッシブ燃料流路36を介して接続される。また、アクティブ燃料供給装置32と容器側連動接続部33は、アクティブ燃料流路37を介して接続される。そして、容器側連動接続部33は、パッシブ燃料供給装置31による燃料の供給が開始された後に、アクティブ燃料供給装置32により、任意のタイミングでパッシブ燃料供給装置31を停止するように構成されており、パッシブ燃料供給装置31とアクティブ燃料供給装置32のうち何れか一方或いは双方の燃料供給装置より、燃料電池20に対して燃料を供給する。
【0024】
また、容器側連動接続部33は、本体側連動接続部22へ燃料を供給するための流路の端部(接続端)が開閉自在に構成される。そして、容器側連動接続部33は、本体側連動接続部22と接続されていないとき、燃料容器部3から燃料が出ないように接続端が閉状態の所謂ノーマリークローズドである。
【0025】
受電部34は、出力端子23と接続されてなり、電圧変換装置21を介して燃料電池20により発電された電力を受給することができる。また、受電部34は、アクティブ燃料供給装置32と電気的に接続されている。
【0026】
なお、燃料電池装置1には、パッシブ燃料供給装置31から燃料電池20への燃料の流れを順方向として、パッシブ燃料供給装置31に燃料が逆流することを防止するためにパッシブ燃料供給装置31と容器側連動接続部33の間に逆止弁などの燃料の逆流防止手段を設けることが望ましい。また、燃料電池装置1には、アクティブ燃料供給装置32と容器側連動接続部33の間にも逆流防止手段を設けることが望ましい。また、逆流防止手段は容器側連動接続部33の流路内に形成しても良い。
【0027】
また、燃料電池20は、DMFC(Direct‐Methanol‐Fuel‐Cell)を用いることができる。他に、たとえば、水素−酸素を燃料とするPEFC(Polymer‐Electrolyte‐Fuel‐Cell、固体高分子形燃料電池)やSOFC(Solid‐Oxide‐Fuel‐Cell、固体酸化物形燃料電池)、MCFC(Molten‐Carbonate‐Fuel‐Cell、溶融炭酸塩形燃料電池)、PAFC(Phosphoric‐Acid‐Fuel‐Cell、リン酸形燃料電池)等を用いることができる。また、燃料は、燃料電池20に適用可能な燃料であれば良く、例えば、PEFCの場合、燃料としてメタノールや水素などを用いればよい。
【0028】
また、電圧変換装置21は、電圧変換装置21に入力される電力を所望の出力電圧に変換し、安定化して出力する装置であり、リニア方式やスイッチング方式などのDC−DCコンバータ等を用いることができる。
【0029】
(2)燃料電池装置の動作
次いで、
図2から
図5に基づいて、本発明の燃料電池装置の動作について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態にかかる燃料電池装置の制御手順を示すフローチャートである。
図3は、本発明の第1実施形態にかかる燃料電池装置のパッシブ燃料供給状態を示す概略図である。
図4は、本発明の第1実施形態にかかる燃料電池装置のパッシブ・アクティブ燃料供給状態を示す概略図である。
図5は、本発明の第1実施形態にかかる燃料電池装置のパッシブ・アクティブ燃料供給状態を示す概略図である。
【0030】
燃料電池装置1の初期状態においては、
図1に示した通り、燃料電池本体2と燃料装置3が接続されていない状態である。
はじめに、本燃料電池装置1の使用者が燃料容器部3と燃料電池本体2とを接続する(S1)。
【0031】
そして、燃料容器部3と燃料電池本体2とが接続されると、当該接続動作に連動して容器側連動接続部33が動作し、パッシブ燃料供給装置31の燃料供給動作を制止していた図示しないストッパーが外れる。その結果、パッシブ燃料供給装置31は、燃料電池2への燃料の供給を開始する。このように、パッシブ燃料供給装置は容器側連動接続部33の動作により起動する(S2)。
【0032】
続いて、パッシブ燃料供給装置31からパッシブ燃料流路36及び容器側連動接続部33を介して燃料電池本体2へ燃料が供給される。そして、燃料は本体側連動接続部22及び電池燃料流路26を介して、燃料電池20へ供給される。このときの燃料電池装置1の状態を
図3に示す。
図3においては、本体側連動接続部22と容器側連動接続部33により燃料電池本体2と燃料容器部3が接続される。また、この際、パッシブ燃料供給装置31の図示しないストッパーが外れているため、燃料供給が可能となる。また、図中の波線矢印は燃料の流れを示している。このように、パッシブ燃料供給装置31は燃料電池2へ燃料供給を開始する(S3)。
【0033】
次いで、パッシブ燃料供給装置31から燃料の供給を受けることによって燃料電池20が発電を開始する(S4)。
次いで、燃料電池20が発電を開始すると、燃料電池20の発電による電力の一部もしくは全てが、電圧変換装置21と出力端子23及び受電部34を介して燃料容器部3のアクティブ燃料供給装置32に供給される(S5)。
【0034】
次いで、アクティブ燃料供給装置32に電力が供給されると、アクティブ燃料供給装置32のポンプやブロアなどの電源を必要とする補機が起動し、燃料電池20への燃料供給を開始する(S6)。これにより、アクティブ燃料供給装置32から燃料電池20へ燃料の供給が行われるので、燃料電池20から大出力が取り出せるようになる。また、このときの燃料電池装置1の状態を
図4に示す。
図4に示す通り、パッシブ燃料供給装置31とアクティブ燃料供給装置32の双方が燃料電池2に燃料を供給している状態である。
【0035】
次いで、アクティブ燃料供給装置32が燃料供給を開始すると、アクティブ燃料供給装置32は、パッシブ燃料供給装置31の燃料供給を停止させる(S7)。このように、アクティブ燃料供給装置32がパッシブ燃料供給装置31の動作を制御することにより、電力の供給を受けたアクティブ燃料供給装置32がパッシブ燃料供給装置31の動作を制御することができる。また、アクティブ燃料供給装置32が、パッシブ燃料供給装置31による燃料供給を停止することで、確実な燃料供給制御を行うことが出来る。このときの燃料電池装置1の状態を
図5に示す。
図5に示す通り、アクティブ燃料供給装置32がパッシブ燃料供給装置31の燃料供給が停止するように図示しない停止手段により制御を行い、燃料電池20への燃料供給はアクティブ燃料供給装置32のみが行っている状態である。この停止手段の具体的な例については、第2実施形態で述べる。なお、アクティブ燃料供給装置32が燃料電池本体2へ燃料供給する工程S6とアクティブ燃料供給装置32がパッシブ燃料供給装置31の燃料供給を停止させる工程S7は、時間をおいて順次行っても良く、同時に行っても良い。
【0036】
次いで、パッシブ燃料供給装置31は、アクティブ燃料供給装置32からの動力を用いることなく燃料供給の停止状態を維持する(S8)。第2実施例にて後述するが、パッシブ燃料供給装置31が燃料供給の停止状態を維持するために、接続部の容器側連動接続部33が作動する。このように、接続部は、パッシブ燃料供給装置の燃料供給を停止した後、パッシブ燃料供給装置の燃料供給停止状態を維持する。これにより、アクティブ燃料供給装置による確実な燃料供給制御を維持することができる。
【0037】
また、接続部の容器側連動接続部33は、燃料電池本体20と燃料容器部3とが再接続されるまで停止状態が維持される。再接続されたときは、接続部の接続時の動作に連動してパッシブ燃料供給装置31が動作する。これにより、燃料容器部3が燃料電池本体2から外された状態で、燃料が外部に漏れ出すことを防止することが出来る。
【0038】
そして、アクティブ燃料供給装置32が使用者により停止され、燃料電池装置1の起動処理が終了する。
このようにして、起動時の燃料供給の手順を踏むことで、アクティブ燃料供給装置32に電源が供給されていない状態でも、燃料電池装置1の起動を行うことが出来る。
【0039】
(第2実施形態)
図6から
図8に基づき、本発明の第2実施形態における燃料電池装置を説明する。
図6は、本発明の第2実施形態にかかる燃料電池装置を示す概略図である。また、
図6は燃料電池本体2と燃料容器部3が接続されていない状態である。
図7は、本発明の第2実施形態にかかる燃料電池装置のパッシブ燃料供給状態を示す概略図である。
図8は、本発明の第2実施形態にかかる燃料電池装置のアクティブ燃料供給状態を示す概略図である。
【0040】
本実施形態の燃料電池装置10は、燃料電池本体2と燃料容器部3とからなる。燃料電池本体2においては、第1実施例と同様であるため、説明を省略する。燃料容器部3は、パッシブ燃料供給装置31aと、容器側連動接続部33と、アクティブ燃料供給装置32と、受電部34からなる。更にパッシブ燃料供給装置31aは、容器310aと加圧装置311aからなる。また、容器側連動接続部33は、停止手段としてストッパー312aを有する。その他の部分については、第1実施例と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
図6に示すように、パッシブ燃料供給装置31aは、容器310aと加圧装置311aからなり、メタノールを封入した可塑性の容器310aを加圧装置311aによって加圧できる状態とした。加圧装置311aは、燃料を燃料電池20へ供給可能な構成で有れば良く、本実施形態では、容器310aを加圧し、容器310aに充填されたメタノールを押し出すことで、燃料を燃料電池20へ供給する構成とした。
【0042】
また、燃料容器部3が燃料電池本体2と接続されていないときは、容器側連動接続部33のストッパー312aによって、加圧装置311aが容器310aを加圧できない状態となっている。そのため、燃料容器部3から燃料のメタノールが燃料容器部3の外に浸出することはない。
【0043】
図7に示す通り、燃料容器部3と燃料電池本体2が接続されると、容器側連動接続部33の接続動作に連動してストッパー312aが外れるようになる。これにより、加圧装置311aが容器310aを加圧することが出来、燃料であるメタノールがパッシブ燃料供給装置31aから押し出され、容器側連動接続部33を介して燃料電池20へ供給される。
【0044】
また、燃料容器部3と燃料電池本体2が接続されると、容器側連動接続部33と本体側連動接続部22が一体化する。また、受電部34と出力端子23も一体化し、電気的に接続される。
次いで、燃料電池20に燃料が供給され燃料電池20が発電を開始すると、燃料電池20からアクティブ燃料供給装置32に、出力端子32と受電部32を介して電力が供給される。
【0045】
次いで、
図8に示すように、アクティブ燃料供給装置32が燃料電池20に燃料の供給を開始すると、アクティブ燃料供給装置32は、パッシブ燃料供給装置31aの燃料供給を停止させるため、容器側連動接続部33に指示を出す。指示を受けた容器側連動接続部33は、加圧装置311aにストッパーをかけるよう作動する。このように、容器310aが加圧されない状態となることで、パッシブ燃料供給装置31aの燃料供給が停止される。なお、ポンプの耐背圧能力が高ければ、パッシブ燃料供給装置31aの燃料供給を停止させなくても良いが、燃料容器部3と燃料電池本体2との接続が解除される際には、接続の解除の動作に連動して、パッシブ燃料供給装置31aの燃料供給を停止させればよい。
【0046】
(第3実施形態)
(1)燃料電池装置の構成
本発明の第3実施形態に係る燃料電池装置100においては、蓄電装置25を備える。以下に、
図9に基づいて本発明の燃料電池装置100の構成を説明する。
図9は、本発明の第3実施形態にかかる燃料電池装置100を示す概略図である。
図9に示すように、燃料電池装置100は、燃料電池本体2と、蓄電装置25と、燃料容器部3とから構成される。
【0047】
燃料電池本体2は、燃料の供給により発電する燃料電池20と、燃料電池20の出力電圧を所望の電圧に変換して出力する電圧変換装置21と、燃料容器部3から燃料の供給を受ける本体側連動接続部22と、電圧変換装置21を介して燃料電池20の発電電力を出力する出力端子23及び24から構成される。また、燃料電池20と本体側連動接続部22は流路を介して接続される。また、燃料電池20と電圧変換装置21、電圧変換装置21と出力端子23、24は、それぞれ電気的に接続されている。更に、電圧変換装置21は蓄電装置25と接続されている。
【0048】
蓄電装置25は、鉛蓄電池やニッケル水素二次電池やリチウムイオン二次電池等に代表される繰り返し充放電が可能な二次電池や、コンデンサやキャパシタや電気二重層コンデンサ等の電圧の印加によって電荷・静電エネルギーを蓄え電気容量を得る蓄電器を用いることが可能である。負荷の動作電圧や最低動作電圧や負荷特性等によって、適切な二次電池あるいは蓄電器の種類を選択し、必要に応じて二次電池あるいは蓄電器を直列接続し負荷へ供給する電圧を調整することが可能である。また、他の部分については第1実施例と同様であるため、説明を省略する。
【0049】
また、蓄電装置25は、上記の通り電圧変換装置21と接続されているため、燃料電池20にて発電された電力により充電可能である。しかも、蓄電装置25は、電圧変換装置21(出力端子23及び受電部34)を介して蓄電された電力をアクティブ燃料供給装置32(補機)に供給出来る。
【0050】
この構成により、アクティブ燃料供給装置32に電力の供給が無くても、燃料を供給可能なパッシブ燃料供給装置31により確実に燃料供給を行うことができる。また、燃料電池装置100に搭載された蓄電装置25から出力が得られない状態であっても、迅速、かつ確実に燃料電池装置100を起動することが出来る。
【0051】
(2)燃料電池装置の動作
次いで、
図10から
図14に基づいて、本発明の燃料電池装置の動作について説明する。
図10は、本発明の第3実施形態にかかる燃料電池装置の蓄電装置が使用不可な場合の制御手順を示すフローチャートである。
図11は、本発明の第3実施形態にかかる燃料電池装置の蓄電装置が使用可能な場合の制御手順を示すフローチャートである。
図12は、本発明の第3実施形態にかかる燃料電池装置のパッシブ燃料供給状態を示す概略図である。
図13は、本発明の第3実施形態にかかる燃料電池装置のパッシブ・アクティブ燃料供給状態を示す概略図である。
図14は、本発明の第3実施形態にかかる燃料電池装置のパッシブ・アクティブ燃料供給状態を示す概略図である。
【0052】
(A)蓄電装置が充電されていない場合の燃料電池装置の動作
燃料電池装置100の初期状態においては、
図9に示した通り、燃料電池本体2と燃料装置3が接続されていない状態である。
図10を用いて、蓄電装置が充電されておらず、使用不可な場合の燃料電池装置100の制御手順を説明する。
はじめに、本燃料電池装置1の使用者が燃料容器部3と燃料電池本体2とを接続する(S11)。
【0053】
そして、燃料容器部3と燃料電池本体2とが接続されると、当該接続動作に連動して容器側連動接続部33が動作し、パッシブ燃料供給装置31の燃料供給動作を制止していた図示しないストッパーが外れる。その結果、パッシブ燃料供給装置31は、燃料電池2への燃料の供給を開始する。このように、パッシブ燃料供給装置は容器側連動接続部33の動作により起動する(S12)。
【0054】
続いて、パッシブ燃料供給装置31からパッシブ燃料流路36及び容器側連動接続部33を介して燃料電池本体2へ燃料が供給される。そして、燃料は本体側連動接続部22及び電池燃料流路26を介して、燃料電池20へ供給される。このときの燃料電池装置100の状態を
図12に示す。
図12においては、本体側連動接続部22と容器側連動接続部33により燃料電池本体2と燃料容器部3が接続される。また、この際、パッシブ燃料供給装置31の図示しないストッパーが外れているため、燃料供給が可能となる。また、図中の波線矢印は燃料の流れを示している。このように、パッシブ燃料供給装置31は燃料電池2へ燃料供給を開始する(S13)。
【0055】
次いで、パッシブ燃料供給装置31から燃料の供給を受けることによって燃料電池20が発電を開始する(S14)。
次いで、燃料電池20が発電を開始すると、燃料電池20の発電による電力の一部もしくは全てが、電圧変換装置21と出力端子23及び受電部34を介して燃料容器部3のアクティブ燃料供給装置32に電力が供給される(S15)。
【0056】
次いで、アクティブ燃料供給装置32に電力が供給されると、アクティブ燃料供給装置32のポンプやブロアなどの電源を必要とする補機が起動し、燃料電池20への燃料供給を開始する(S16)。これにより、アクティブ燃料供給装置32から燃料電池20へ燃料の供給が行われるので、燃料電池20から大出力が取り出せるようになる。また、このときの燃料電池装置100の状態を
図14に示す。
図14に示す通り、パッシブ燃料供給装置31とアクティブ燃料供給装置32の双方が燃料電池2に燃料を供給している状態である。
【0057】
次いで、アクティブ燃料供給装置32が燃料供給を開始すると、燃料電池20から電圧変換装置21を介して蓄電装置25へ電力が供給され、蓄電装置25が充電を開始する(S17)。なお、蓄電装置25は所定の電力量が蓄電されると、充電を終了する構造となっている。蓄電装置25を充電することにより、次回燃料電池装置100を起動させる際、蓄電装置25からアクティブ燃料供給装置32に電力を供給することができる。よって、より迅速に燃料電池装置100を起動させることができる。
【0058】
次いで、アクティブ燃料供給装置32が燃料供給を開始すると、アクティブ燃料供給装置32は、パッシブ燃料供給装置31の燃料供給を停止させる(S18)。このときの燃料電池装置100の状態を
図14に示す。
図14に示す通り、アクティブ燃料供給装置32がパッシブ燃料供給装置31の燃料供給が停止するように図示しないストッパーをかけ、燃料電池20への燃料供給はアクティブ燃料供給装置32のみが行っている状態である。なお、アクティブ燃料供給装置32が燃料電池本体2へ燃料供給する工程(S16)と、蓄電装置25が充電を開始する工程(S17)、アクティブ燃料供給装置32がパッシブ燃料供給装置31の燃料供給を停止させる工程(S18)は、時間をおいて順次行っても良く、同時に行っても良い。
【0059】
次いで、パッシブ燃料供給装置31は、アクティブ燃料供給装置32からの動力を用いることなく燃料供給の停止状態を維持する(S19)。
その後、アクティブ燃料供給装置32が使用者により停止され、燃料電池装置100の起動処理が終了する。
このようにして、起動時の燃料供給の手順を踏むことで、アクティブ燃料供給装置32に電源が供給されていない状態でも、燃料電池装置100の起動を行うことが出来る。
【0060】
(B)蓄電装置が充電された状態での燃料電池装置の動作
次いで、ステップS17にて充電された状態にある使用可能な蓄電装置25を用いて、再度燃料電池装置100を起動させる場合の、燃料電池装置100の動作について、
図11を用いて説明する。なお、
図11に示すステップS13〜S19までの処理は、
図10に示すステップS13〜S19までの処理と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
はじめに、本燃料電池装置1の使用者が燃料容器部3と燃料電池本体2とを接続する(S11)。
【0061】
そして、燃料容器部3と燃料電池本体2とが接続されると、当該接続動作に連動して容器側連動接続部33が動作し、パッシブ燃料供給装置31の燃料供給動作を制止していた図示しないストッパーが外れる。その結果、パッシブ燃料供給装置31は、燃料電池2への燃料の供給を開始する。このように、パッシブ燃料供給装置は容器側連動接続部33の動作により起動する(S12)。
ここでパッシブ燃料供給装置31が正常に作動した場合、それ以降のステップは
図10に示すステップS13〜S19までの処理と同様に行う。
【0062】
パッシブ燃料供給装置31が正常に作動しなかった場合においては、使用者において図示しない状態切り替え部にて切り替えを行い、パッシブ燃料供給装置31からアクティブ燃料供給装置32で燃料を供給する。状態切り替え部は、燃料電池と接続された時点で、パッシブ燃料供給装置より燃料電池に燃料を供給させる第1の状態と、アクティブ燃料供給装置より燃料電池に燃料を供給させる第2の状態と、を切り替える。また、状態切り替え部は接続部に有していても良い。
【0063】
以下にパッシブ燃料供給装置31が正常に作動しなかった場合の手順を示す。
まず、充電された状態にある使用可能な蓄電装置25からアクティブ燃料供給装置32へ電力が供給される(S20)。
これにより、アクティブ燃料供給装置32から燃料電池20へ燃料が供給され、燃料電池20が発電を行う(S21)。
【0064】
次いで、燃料電池本体2からアクティブ燃料供給装置32に電力が供給される(S22)。
次いで、電力が供給されたアクティブ燃料供給装置32のポンプやブロアなどの補機が起動し、燃料電池20へ燃料を供給する(S23)。
【0065】
次いで、蓄電装置25は燃料電池20が発電した電力を用いて充電を行う(S24)。なお、蓄電装置25は所定の電力量が蓄電されると、充電を終了する構造となっている。また、アクティブ燃料供給装置32を起動させる際に消費した分の電力を充電するようにしても良い。
その後、アクティブ燃料供給装置32が使用者により停止され、燃料電池装置100の起動処理が終了する。
【0066】
以上により、本実施形態に係る燃料電池装置100によると、アクティブ燃料供給装置32に電力が供給されていない状態でも、パッシブ燃料供給装置31を用いることで燃料電池装置100の起動を行うことが出来る。また、一旦燃料電池20が発電すると、蓄電装置25は、燃料電池2の発電時の電力を用いて充電できる。そのため、蓄電装置25が充電された状態で燃料電池装置100を起動させる場合、例えば、パッシブ燃料供給装置31内の燃料が枯渇した、或いはパッシブ燃料供給装置31による燃料供給機構が作動しなくなった、等の事態が生じても、当該蓄電装置25の電力を用いてアクティブ燃料供給装置32による燃料電池20への燃料供給を行うことができる。換言すると、本実施形態に係る燃料電池装置100は、パッシブ燃料供給装置31とアクティブ燃料供給装置32とを燃料電池装置100の起動時における相互補完の関係にならしめることができるので、一層確実な燃料電池装置の起動処理を実現することができる。
【0067】
(第4実施形態)
図15から
図17に基づき、本発明の第4実施形態における燃料電池装置を説明する。
図15は、本発明の第4実施形態にかかる燃料電池装置を示す概略図である。また、
図15は燃料電池本体2と燃料容器部3が接続されていない状態である。
図16は、本発明の第4実施形態にかかる燃料電池装置のパッシブ燃料供給状態を示す概略図である。
図17は、本発明の第4実施形態にかかる燃料電池装置のアクティブ燃料供給状態を示す概略図である。
【0068】
本実施形態の燃料電池装置200は、燃料電池本体2と燃料容器部3と蓄電装置25からなる。燃料容器部3においては、第2実施例と同様であるため、説明を省略する。燃料電池本体2は、電圧変換装置21と接続された蓄電装置25を有する。燃料電池本体2の他の部分に関しては、第1実施例と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態において、燃料電池装置200は、燃料電池20として、メタノール−酸素を燃料とするDMFCを用い、燃料容器部3には、燃料としてメタノールを封入した。
【0069】
図15に示すように、パッシブ燃料供給装置31aは、容器310aと加圧装置311aからなり、メタノールを封入した可塑性の容器310aを加圧装置311aによって加圧できる状態とした。加圧装置311aは、燃料を燃料電池20へ供給可能な構成で有れば良く、本実施形態では、容器310aを加圧し、容器310aに充填されたメタノールを押し出すことで、燃料を燃料電池20へ供給する構成とした。
【0070】
また、燃料容器部3が燃料電池本体2と接続されていないときは、容器側連動接続部33のストッパー312aによって、加圧装置311aが容器310aを加圧できない状態となっている。そのため、燃料容器部3から燃料のメタノールが燃料容器部3の外に浸出することはない。
【0071】
図16に示す通り、燃料容器部3と燃料電池本体2が接続されると、容器側連動接続部33の接続動作に連動してストッパー312aが外れるようになる。これにより、加圧装置311aが容器310aを加圧することが出来、燃料であるメタノールがパッシブ燃料供給装置31aから押し出され、容器側連動接続部33を介して燃料電池20へ供給される。
【0072】
次いで、燃料電池20に燃料が供給され燃料電池20が発電を開始すると、燃料電池20からアクティブ燃料供給装置32に、出力端子32と受電部32を介して電力が供給される。
【0073】
アクティブ燃料供給装置32は、図示しないポンプを有しており、電力の供給を受けてポンプを動作させ、容器側連動接続部33を介して燃料電池20に燃料を供給する。なお、ポンプなど燃料を燃料電池に供給する機構は、燃料電池本体2に搭載されていても良い。
【0074】
また、アクティブ燃料供給装置32によって燃料電池20への燃料の供給が開始された後に、蓄電装置25は燃料電池20から電圧変換装置21を介して電力が供給される。これにより、蓄電装置25が充電を開始する。なお、蓄電装置25は所定の電力量が蓄電されると、充電を終了する構造となっている。
【0075】
次いで、
図17に示すように、アクティブ燃料供給装置32が燃料電池20に燃料の供給を開始すると、アクティブ燃料供給装置32は、パッシブ燃料供給装置31aの燃料供給を停止させるため、容器側連動接続部33に指示を出す。指示を受けた容器側連動接続部33は、加圧装置311aにストッパーをかけるよう作動する。このように、容器310aが加圧されない状態として、パッシブ燃料供給装置31aの燃料供給を停止する。なお、ポンプの耐背圧能力が高ければ、パッシブ燃料供給装置31aの燃料供給を停止させなくても良いが、燃料容器部3と燃料電池本体2との接続が解除される際には、接続の解除の動作に連動して、パッシブ燃料供給装置31aの燃料供給を停止させればよい。
【0076】
また、蓄電装置25を充電することにより、次回燃料電池装置200を起動させる際、蓄電装置25からアクティブ燃料供給装置32に電力を供給することができる。電力は、蓄電装置25から電圧変換装置21、出力端子23、受電部34を介してアクティブ燃料供給装置32に供給される。よって、より迅速に燃料電池装置200を起動させることができる。