(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記剥離シートから剥離して1分以内の前記粘着剤層の、前記剥離シートと接触していた面における、JIS K7105に準拠して測定した0.125mm、0.25mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmの光学櫛の像鮮明度の合計値は、370%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の剥離シート。
前記第1のポリオレフィン層の前記顔料コート層側とは反対側の表面における粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜は、0.014μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の剥離シート。
前記第1のポリオレフィン層および前記第2のポリオレフィン層を構成するポリオレフィン樹脂は、低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の剥離シート。
前記シリコーン系粘着剤は、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する第1のポリジメチルシロキサンおよび1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する第2のポリジメチルシロキサンから得られる付加反応型シリコーン樹脂と、シリコーンレジンとを含有する付加反応型シリコーン粘着剤であることを特徴とする請求項8に記載の粘着シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の粘着シートでは剥離材として平滑な剥離フィルムを使用しているため、当該粘着シートを枚葉でまたはロール・トゥ・ロールで印刷等の加工に付す場合、平滑な剥離フィルムと透明基材フィルムとの間でブロッキングが発生して、繰り出しや搬送に不具合を生じることがある。
【0007】
さらに、剥離フィルムが透明である場合には、印刷後の粘着シートを複数積層したときに、印刷部分がそれぞれ重なって見えるため、印刷外観の検査、粘着シートの検品が煩雑なものとなる。
【0008】
以上の問題を解決するために、剥離材として、一方の面を剥離処理した剥離紙を使用することが考えられる。剥離材として剥離紙を使用すれば、上記のような加工の際にも、繰り出しが良好なものとなる。また、剥離紙は不透明であるため、印刷した粘着シートの検品は容易である。しかしながら、剥離紙の剥離処理面は、紙繊維に起因する凹凸が大きく、粗面になっているため、当該剥離処理面に接触している粘着剤層の粘着面(被着体に接触する面)に上記の凹凸が転写され、粘着剤層の粘着面がいわゆるゆず肌になってしまう。
【0009】
上記のように粘着面がゆず肌になった粘着シートを被着体に貼付すると、被着体と粘着面との間に空気が入り易く、それによって粘着シートの美観が損なわれてしまう。また、粘着面のゆず肌が粘着シートの表面側に現われ、印刷部分や非印刷部分の透過像が鮮明でなくなってしまう。
【0010】
また、剥離材として、紙基材の一方の面に樹脂をラミネートしたものを使用することも考えられる。しかしながら、かかる剥離材では、剥離材の一方の面側にて樹脂の収縮応力が働き、カールが発生してしまう。
【0011】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、印刷等の加工に適し、かつ粘着剤層の粘着面のゆず肌を防止することができ、さらにはカールが抑制された剥離シート、粘着シートおよび粘着シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、第1に本発明は、シリコーン系粘着剤から構成される粘着剤層が積層され、剥離時には当該粘着剤層から剥離される剥離シートであって、紙基材と、前記紙基材の一方の面側に形成された顔料コート層と、前記顔料コート層の前記紙基材側とは反対側に形成された第1のポリオレフィン層と、前記紙基材の他方の面側に形成された第2のポリオレフィン層とを備え、前記第1のポリオレフィン層の前記顔料コート層側とは反対側の表面は、高平滑処理されており、当該表面に前記粘着剤層が直接積層されることを特徴とする剥離シートを提供する(発明1)。
【0013】
上記発明(発明1)によれば、第1のポリオレフィン層の顔料コート層側とは反対側の表面が高平滑なものとなるため、それに直接積層される粘着剤層の粘着面も高平滑となり、剥離シートの剥離直後から粘着面のゆず肌を防止することができる。また、第2のポリオレフィン層の紙基材側とは反対側の表面(剥離シートの裏面)は、通常、紙基材の凹凸が反映されて粗面になるため、当該裏面にて滑りが効果的に発現され、またブロッキングが発生し難くなり、印刷等の加工に適したものとなる。さらに、紙基材の両側にポリオレフィン層を形成したことで、当該剥離シートは、カールが抑制されている。
【0014】
上記発明(発明1)において、前記第2のポリオレフィン層の前記紙基材側とは反対側の表面の王研式平滑度は、10,000sec以下であることが好ましい(発明2)。
【0015】
上記発明(発明1,2)において、前記剥離シートから剥離して1分以内の前記粘着剤層の、前記剥離シートと接触していた面における、JIS K7105に準拠して測定した0.125mm、0.25mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmの光学櫛の像鮮明度の合計値は、370%以上であることが好ましい(発明3)。
【0016】
上記発明(発明1〜3)において、前記高平滑処理は、鏡面ロールを使用したカレンダー処理であることが好ましい(発明4)。
【0017】
上記発明(発明1〜4)において、前記第1のポリオレフィン層の前記顔料コート層側とは反対側の表面における粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜は、0.014μm以下であることが好ましい(発明5)。
【0018】
上記発明(発明1〜5)において、前記第1のポリオレフィン層および前記第2のポリオレフィン層を構成するポリオレフィン樹脂は、低密度ポリエチレンであることが好ましい(発明6)。
【0019】
上記発明(発明1〜6)において、前記第1のポリオレフィン層の厚さ(t1)は、10〜50μmであり、前記第2のポリオレフィン層の厚さ(t2)は、10〜50μmであり、前記第2のポリオレフィン層の厚さ(t2)に対する前記第1のポリオレフィン層の厚さ(t1)の比(t1/t2)は、0.5〜2.0であることが好ましい(発明7)。
【0020】
第2に本発明は、基材と、シリコーン系粘着剤から構成される粘着剤層と、前記剥離シート(発明1〜7)とを備え、前記剥離シートにおける前記第1のポリオレフィン層の前記顔料コート層側とは反対側の表面に、前記粘着剤層が直接積層されていることを特徴とする粘着シートを提供する(発明8)。
【0021】
上記発明(発明8)において、前記シリコーン系粘着剤は、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する第1のポリジメチルシロキサンおよび1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する第2のポリジメチルシロキサンから得られる付加反応型シリコーン樹脂と、シリコーンレジンとを含有する付加反応型シリコーン粘着剤であることが好ましい(発明9)。
【0022】
上記発明(発明9)において、前記付加反応型シリコーン樹脂100質量部に対する前記シリコーンレジンの配合比は、1〜30質量部であることが好ましい(発明10)。
【0023】
上記発明(発明8〜10)に係る粘着シートは、前記剥離シートを有する粘着シートの状態で印刷に付されることが好ましい(発明11)。
【0024】
上記発明(発明8〜11)に係る粘着シートは、前記剥離シートを有する粘着シートの状態で枚葉加工に付されることが好ましい(発明12)。
【0025】
第3に本発明は、前記粘着シート(発明8〜12)を製造する方法であって、前記粘着剤層を構成する粘着性材料を前記基材の一方の面側に塗布し、前記塗布した粘着性材料を硬化させて粘着剤層とし、前記剥離シートにおける前記第1のポリオレフィン層の前記顔料コート層側とは反対側の表面が前記粘着剤層に直接接触するように、前記剥離シートと前記粘着剤層とを積層することを特徴とする粘着シートの製造方法を提供する(発明13)。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る剥離シートおよび粘着シートは、印刷等の加工に適し、かつ粘着剤層の粘着面が高平滑であり、剥離シートの剥離直後から粘着面のゆず肌を防止することができる。また、本発明に係る剥離シートおよび粘着シートは、カールが抑制されている。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔剥離シート〕
本実施形態に係る剥離シート1は、
図1に示すように、紙基材11と、紙基材11の一方の面側(
図1では上側)に形成された顔料コート層12と、顔料コート層12の紙基材11側とは反対側(
図1では上側)に形成された第1のポリオレフィン層13と、紙基材11の他方の面側(
図1では下側)に形成された第2のポリオレフィン層14とから構成される。
【0029】
本実施形態に係る剥離シート1においては、第1のポリオレフィン層13の顔料コート層12側とは反対側の表面(
図1では上側の表面)が剥離面Rとなり、その剥離面Rに粘着剤層が直接積層される。剥離時には、その剥離面Rにて、剥離シート1と粘着剤層とが分離される。
【0030】
紙基材11としては、例えば、上質紙、クラフト紙、グラシン紙等を使用することができ、中でも、上質紙が好ましい。上質紙は、環境の影響によるカールの度合いが小さいという利点がある。
【0031】
紙基材11の坪量は、50〜200g/m
2であることが好ましく、特に60〜120g/m
2であることが好ましい。
【0032】
紙基材11は不透明であるため、印刷後の粘着シートを複数積層したときでも、各粘着シートの印刷部分がそれぞれ重なって見えるようなことがなく、印刷外観の検査、粘着シートの検品を容易に行うことができる。
【0033】
上記紙基材11上に形成される顔料コート層12は、紙基材11の紙繊維に起因する凹凸を埋める(目止めする)役割を有する。したがって、この顔料コート層12の紙基材11側とは反対側の表面の粗さは、紙基材11の表面の粗さよりも小さいものとなっている。
【0034】
顔料コート層12は、顔料、バインダー、溶媒、および所望により添加剤を含有する塗布液を上記紙基材11の一方の面に塗布することにより形成される。顔料としては、例えば、クレー、酸化チタン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸カルシウム、酸化亜鉛、アルミナ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、プラスチックピグメント、合成シリカ等が挙げられる。これらは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を混合して使用することもできる。
【0035】
上記顔料の中でも、クレーが特に好ましい。クレーによれば、紙基材11の目止めを効果的に行うことができる。クレーとしては、例えば、カオリン、タルク、ベントナイト、バーミキュライト、マイカ、雲母、緑泥石、木節粘土、ガイロメ粘土、スメクタイト、ハロイサイト等が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。上記クレーの中でも、紙基材11の目止めをより効果的に行うことのできる、カオリンおよび/またはタルクを使用することが好ましい。
【0036】
バインダーとしては、例えば、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリル系ラテックス酢酸ビニル系ラテックス等のラテックス類;デンプン、変性デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシエチルエーテル化デンプン、リン酸エステル化デンプン等のデンプン類;カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カゼイン、ゼラチンなどが挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0037】
添加剤としては、例えば、顔料分散剤、消泡剤、発泡防止剤、粘度調整剤、潤滑剤、耐水化剤、保水剤、紫外線吸収剤、着色剤等を適宜使用することができる。溶媒としては、通常、水やアルコール等が用いられる。
【0038】
上記塗布液の塗布は、例えば、バーコーター、ダイコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ブレードコーター等の塗工機を用いて行うことができる。
【0039】
顔料コート層12の乾燥塗布質量は、5〜40g/m
2であることが好ましく、特に10〜30g/m
2であることが好ましい。顔料コート層12の乾燥塗布質量が上記の範囲にあることで、紙基材11の目止めを必要十分に行うことができる。
【0040】
なお、あらかじめ紙基材11の一方の面に顔料コート層12が形成されたものとして、クレーコート紙を使用することもできる。
【0041】
第1のポリオレフィン層13は、顔料コート層12の第1のポリオレフィン層側の表面の凹凸をカバーし、剥離シート1の剥離面Rを平滑化する役割を有する。一方、第2のポリオレフィン層14は、剥離シート1のカールを抑制する役割を有する。すなわち、ポリオレフィン層が紙基材11の両面に積層されることにより、剥離シート1の一方の面側および他方の面側に生じる応力がつり合い、剥離シート1にカールが発生し難くなる。また、ポリオレフィン層が紙基材11の両面に積層されることにより、紙基材11中の水分が外部に移動し難くなるため、含水量の変化に起因する剥離シート1のカールを防止することができる。さらに、第2のポリオレフィン層14は、必要に応じて、剥離シート1の剥離面Rとは反対側の面(裏面B;第2のポリオレフィン層14の紙基材11側とは反対側の表面に該当)の平滑度を、所望の度合いに調整する役割も有する。
【0042】
第1のポリオレフィン層13および第2のポリオレフィン層14を構成するポリオレフィン樹脂としては、例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE,密度:880kg/m
3以上、910kg/m
3未満)、低密度ポリエチレン(LDPE,密度:910kg/m
3以上、930kg/m
3未満)、中密度ポリエチレン(MDPE,密度:930kg/m
3以上、942kg/m
3未満)、高密度ポリエチレン(HDPE,密度:942kg/m
3以上)等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン−ポリプロピレン共重合体、オレフィン系エラストマー(TPO)、シクロオレフィン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合体などが挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。第1のポリオレフィン層13のポリオレフィン樹脂と第2のポリオレフィン層14のポリオレフィン樹脂とは同一であってもよいし、異なっていてもよい。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。
【0043】
上記ポリオレフィン樹脂の中でも、ポリエチレン樹脂、特に低密度ポリエチレンが好ましい。ポリエチレン樹脂によれば、シリコーン系粘着剤からなる粘着剤層を剥離することが可能となる。また、特に低密度ポリエチレンは弾性率が低く、剥離力が小さくなるため、当該低密度ポリエチレンによれば、シリコーン系粘着剤からなる粘着剤層を容易に剥離することが可能となる。
【0044】
第1のポリオレフィン層13の厚さ(t1)は、10〜50μmであることが好ましく、特に15〜30μmであることが好ましい。第1のポリオレフィン層13の厚さ(t1)が10μm以上であることで、顔料コート層12の第1のポリオレフィン層13側の表面の凹凸を十分にカバーし、剥離シート1の剥離面Rを所望のレベルまで平滑化することが可能となる。第1のポリオレフィン層13の厚さ(t1)は、50μmあれば十分であり、それよりも厚くなると、剥離シート1が不必要に厚くなって嵩むとともに、経済的にも不利になる。
【0045】
第2のポリオレフィン層14の厚さ(t2)は、10〜50μmであることが好ましく、特に15〜25μmであることが好ましい。第2のポリオレフィン層14の厚さ(t2)が10μm未満であると、例えば第1のポリオレフィン層13の厚さ(t1)が50μmであったときに、当該第1のポリオレフィン層13の厚さ(t1)との差が大きくなり、剥離シート1のカールを十分に防止することができないおそれがある。また、第2のポリオレフィン層14の厚さ(t2)が10μm以上であると、剥離シート1の裏面Bの粗さを、所望の度合いに調整することが可能となる。第2のポリオレフィン層14の厚さ(t2)は、50μmあれば十分であり、それよりも厚くなると、剥離シート1が不必要に厚くなって嵩むとともに、経済的にも不利になる。
【0046】
第2のポリオレフィン層14の厚さ(t2)に対する第1のポリオレフィン層13の厚さ(t1)の比(t1/t2)は、0.5〜2.0であることが好ましく、特に0.8〜1.5であることが好ましい。両者の比(t1/t2)が上記の範囲内にあることで、剥離シート1の一方の面側および他方の面側に生じる応力がつり合い、剥離シート1のカールを効果的に防止することができる。また、第1のポリオレフィン層13の顔料コート12層側とは反対側の表面(剥離面R)の平滑度と、第2のポリオレフィン層14の紙基材11側とは反対側の表面(剥離シート1の裏面B)の平滑度を、それぞれ後述する好ましい範囲にすることが容易となる。
【0047】
第1のポリオレフィン層13および第2のポリオレフィン層14は、それぞれ押出しラミネートによって形成することが好ましい。具体的には、Tダイ製膜機等を使用して、第1のポリオレフィン層13を構成するポリオレフィン樹脂および第2のポリオレフィン層14を構成するポリオレフィン樹脂をそれぞれ溶融・混練し、片面に顔料コート層12を形成した紙基材11を一定の速度にて移動させながら、顔料コート層12側の面に、溶融した第1のポリオレフィン層13のポリオレフィン樹脂を押出しラミネートし、紙基材11の顔料コート層12とは反対側の面に、溶融した第2のポリオレフィン層14のポリオレフィン樹脂を押出しラミネートする。
【0048】
ここで、第1のポリオレフィン層13の顔料コート12層側とは反対側の表面(剥離面R)は、高平滑処理されている。これにより、剥離シート1の剥離面Rの平滑度は、非常に高いものとなる。このように高平滑な剥離シート1の剥離面Rに直接接触する粘着剤層の粘着面は、剥離シート1から剥離した直後から高平滑なものとなり、ゆず肌になることが防止される。
【0049】
高平滑処理としては、例えば、鏡面ロールを使用したカレンダー処理(スーパーカレンダー処理を含む)やプレス処理等を採用することができる。かかる高平滑処理は、上記押出しラミネートと一連の工程で行うことが好ましい。
【0050】
第1のポリオレフィン層13の顔料コート層12側とは反対側の表面(剥離面R)における粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜は、0.014μm以下であることが好ましく、特に0.012μm以下であることが好ましく、さらには0.010μm以下であることが好ましい。これにより、当該表面に積層される粘着剤層の粘着面は高平滑なものとなり、粘着面のゆず肌が防止される。
【0051】
粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜(RΔq)は、表面の微小範囲における凹凸の傾斜を二乗平均し平方根をとって得られるパラメータである。表面が平滑であるほど、粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜は小さい値となる。粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜は、ISO 4287:1997に準拠して求められ、本明細書では、表面粗さ測定機(試験例ではミツトヨ社製のSURFTEST SV−3000)を用いて、カットオフ値2.5mmの粗さ曲線から、基準長さ2.5mmで測定した値とする。
【0052】
一方、第2のポリオレフィン層14は、紙基材11に直接積層されるため、第2のポリオレフィン層14の紙基材11側とは反対側の表面(剥離シート1の裏面B)は、紙基材11の凹凸が反映されて粗面になる。ただし、その粗さ(平滑度)が所望の程度に達していない場合には、剥離シート1の裏面Bは、マット加工されることが好ましい。本明細書におけるマット加工とは、表面を物理的に粗面化する加工をいう。
【0053】
マット加工としては、例えば、エンボス加工法、サンドブラスト加工法等が挙げられるが、中でもエンボス加工法が好ましく、特にマットロールを使用したエンボス加工法が好ましい。マットロールを使用したエンボス加工法は、上記押出しラミネートと一連の工程で行うことができる。この場合、マットロールを冷却ロールとして使用することができる。
【0054】
上記の通り、剥離シート1の裏面Bは粗面になっているため、当該剥離シート1を備えた粘着シートを枚葉オフセット印刷、スクリーン印刷等の印刷や抜き加工等の加工に付す場合、特に枚葉で加工に付す場合、剥離シート1の裏面Bの粗面凹部に空気が入ること及び粘着シートの基材との接触面積が小さくなることで、当該裏面Bでの滑りが効果的に発現され、粘着シートの重送(複数枚重ねて搬送されること)やジャミング(搬送経路での詰まり)を抑制することができる。これにより、特に枚葉で印刷する場合には、粘着シートを正確に搬送することができ、精密、鮮明な印刷が可能となる。また、上記粘着シートをロール・トゥ・ロールで加工する場合でも、粗面になっている剥離シート1の裏面Bは、粘着シートの基材との間でブロッキングが発生し難く、粘着シートの繰り出しを良好に行うことができる。すなわち、剥離シート1およびそれを備えた粘着シートは、印刷や抜き加工等の加工に非常に適している。
【0055】
第2のポリオレフィン層14の紙基材11側とは反対側の表面の王研式平滑度は、10,000sec以下であることが好ましく、特に5,000sec以下であることが好ましく、さらには1,000sec以下であることが好ましい。これにより、剥離シート1の裏面Bが、印刷や抜き加工等の加工に好適な粗面となり、搬送や繰り出しを良好に行うことができる。
【0056】
ここで、王研式平滑度は、測定リングに試験片を所定圧力で押し付けた状態で、測定リングと試験片との間隙から圧縮空気が所定量漏れるのに要する秒数で表される。王研式平滑度の値が小さいほど粗いことを表し、粘着シートを搬送する際に重送やジャミングが起きにくくなる。王研式平滑度は、JIS P8155:2010に準拠して測定され、本明細書では、王研式透気度・平滑度試験機(試験例では旭精工社製のKY6)を用いて測定した値とする。
【0057】
剥離シート1の総厚は、100〜200μmであることが好ましく、特に140〜180μmであることが好ましい。上記の構成を有する剥離シート1がかかる総厚を有することで、剥離シート1は所望の剛性(コシ)を有することとなり、種々の加工適性に優れたものとなる。
【0058】
本実施形態に係る剥離シート1においては、紙基材11を所望の色に着色してもよいし、紙基材11の第2のポリオレフィン層14側の表面に所望の印刷を施してもよい。また、第1のポリオレフィン層13および/または第2のポリオレフィン層14を所望の色に着色してもよい。
【0059】
着色の色は特に限定されないが、粘着シートに施される印刷の校正や外観検査等の観点からは、剥離シート1の色は、白色であることが好ましい。白色度の指標としては、例えば、JIS P8123に規定されるハンター白色度が挙げられる。このハンター白色度は、ハンター白色度計(実施例では東洋精機社製のハンター白色度計D型を使用)によって測定可能である。白色の剥離シート1は、具体的には、当該ハンター白色度が70〜90%であることが好ましい。これにより、上記の作業を容易に行うことができる。
【0060】
〔粘着シート〕
本実施形態に係る粘着シート2は、
図2に示すように、前述した剥離シート1と、剥離シート1における第1のポリオレフィン層13の顔料コート層12側とは反対側の表面、すなわち剥離面Rに直接積層された粘着剤層21と、粘着剤層21の剥離シート1側とは反対側(
図2では上側)に積層された基材22とから構成される。
【0061】
この粘着シート2は、剥離シート1を有する状態で印刷や抜き加工等の加工に付される。印刷に付された場合、
図2に示すように、基材22の粘着剤層21側とは反対側の表面に、印刷層3が形成される。粘着シート2の使用時には、粘着剤層21から剥離シート1を剥離し(または剥離シート1から粘着剤層21および基材22(ならびに印刷層3)の積層体を剥離し)、露出した粘着剤層21の粘着面Pを被着体に貼合する。
【0062】
基材22としては、特に制限はなく、従来公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このような基材22としては、例えば、樹脂フィルム、金属フィルム、金属を蒸着させた樹脂フィルム、それらの積層体等が挙げられる。
【0063】
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、アクリルウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ABS樹脂、アイオノマー樹脂、各種熱可塑性エラストマーなどの樹脂からなるフィルム、発泡フィルム、またはそれらの積層フィルム、合成紙等を使用することができる。
【0064】
樹脂フィルムは、透明であってもよいし、半透明または不透明であってもよい。また、樹脂フィルムは、延伸フィルムであってもよいし、無延伸フィルムであってもよく、工程材料を用いてキャスティング法等で形成したものであってもよい。さらに、樹脂フィルムは、無機フィラー、有機フィラー、紫外線吸収剤等の各種添加剤を含んだものであってもよい。
【0065】
本実施形態に係る粘着シート2の基材22としては、上記樹脂フィルムの中でも、特にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。PETフィルムは、透明PETフィルムであってもよいし、発泡PETフィルムであってもよいし、着色PETフィルムであってもよい。
【0066】
上記樹脂フィルムの片面または両面には、酸化法や凹凸化法などによる表面処理を施すことができる。かかる表面処理により、樹脂フィルムの表面に設けられる印刷層3や、樹脂フィルムに積層される粘着剤層21の密着性が向上する。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン、紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶射処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は、樹脂フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にコロナ放電処理法が効果および操作性の面から好ましく用いられる。
【0067】
また、上記樹脂フィルムの粘着剤層21側とは反対側の表面には、印刷層3の密着性を向上させるための印刷用コート層が形成されてもよい。なお、上記樹脂フィルムの粘着剤層21側の面に印刷を施すこともでき、この場合には、当該面に印刷用コート層が形成されてもよい。上記樹脂フィルムの粘着剤層21側の面に印刷(バックプリント)を施した場合、粘着シート2を透明被着体に貼付したときに、被着体側から当該印刷を観察することができる。
【0068】
基材22として使用可能な金属フィルムとしては、例えば、アルミニウム箔や銅箔等が挙げられ、樹脂フィルムに蒸着する金属としては、例えば、アルミニウムや銅等が挙げられる。
【0069】
基材22の厚さは、特に限定されるものではないが、通常10〜300μmであり、好ましくは20〜150μmである。
【0070】
粘着剤層21を構成する粘着剤は、シリコーン系粘着剤である。シリコーン系粘着剤は、剥離力を比較的低くすることが可能であるため、被着体から容易に剥離することが可能であり、かつ被着体への糊残りを極めて僅少にすることができる。したがって、かかるシリコーン系粘着剤から構成される粘着剤層21を有する粘着シート2は、再剥離性に優れたものとなり得る。
【0071】
粘着剤層21を構成するシリコーン系粘着剤は、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する第1のポリジメチルシロキサンおよび1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する第2のポリジメチルシロキサンから得られる付加反応型シリコーン樹脂と、シリコーンレジンとを含有する付加反応型シリコーン粘着剤であることが好ましい。
【0072】
第1のポリジメチルシロキサンに含まれるアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等の1価炭化水素基が挙げられ、中でもビニル基が特に好ましい。
【0073】
第1のポリジメチルシロキサン中におけるアルケニル基の含有量(シロキサン結合の数に対するアルケニル基の数の割合)は、0.01〜10モル%であることが好ましく、特に0.1〜5モル%であることが好ましい。アルケニル基は、分子鎖の両末端に有することが好ましく、側鎖に有してもよい。第1のポリジメチルシロキサンの重合度(シロキサン結合の数)は、200〜5,000であることが好ましく、特に500〜3,000であることが好ましい。また、第2のポリジメチルシロキサン中におけるヒドロシリル基の含有量は、1分子中に2〜300個であることが好ましく、特に4〜200個であることが好ましい。第2のポリジメチルシロキサンの重合度は、50〜2,000であることが好ましく、特に100〜1,500であることが好ましい。さらに、第1のポリジメチルシロキサン100質量部に対する第2のポリジメチルシロキサンの配合比は、0.01〜20質量部であることが好ましく、特に0.1〜10質量部であることが好ましい。各官能基の含有量および第1のポリジメチルシロキサンに対する第2のポリジメチルシロキサンの配合比が上記の範囲内にあることで、第1のポリジメチルシロキサンと第2のポリジメチルシロキサンとの付加反応が良好に行われ、前述した特性を有するシリコーン系粘着剤が得ることが可能となる。
【0074】
なお、第1のポリジメチルシロキサンは、ヒドロシリル基を有しないことが好ましく、第2のポリジメチルシロキサンは、アルケニル基を有しないことが好ましい。
【0075】
第1のポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は、20000〜1300000であることが好ましく、特に300000〜1200000であることが好ましい。また、第2のポリジメチルシロキサンの重量平均分子量は、300〜1400であることが好ましく、特に500〜1200であることが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
【0076】
シリコーンレジンとしては、例えば、一官能シロキサン単位[(CH
3)
3SiO
1/2]であるM単位と、四官能シロキサン単位[SiO
4/2]であるQ単位とから構成されるMQレジンを使用することができる。M単位/Q単位のモル比は、0.6〜1.7であることが好ましい。このシリコーンレジンは、シリコーン系粘着剤に粘着性を付与する役割を有する。
【0077】
付加反応型シリコーン樹脂100質量部に対するシリコーンレジンの配合比は、1〜30質量部であることが好ましく、特に3〜20質量部であることが好ましく、さらには5〜15質量部であることが好ましい。シリコーンレジンの配合比がかかる範囲にあることで、得られる粘着剤の剥離性を望ましい範囲に調整することができる。すなわち、得られる粘着剤は、剥離シート1の剥離面Rから、好ましい剥離力で剥離することができる。また、得られる粘着剤は、被着体からも容易に剥離できるものとなり、かつ被着体への糊残りが極めて僅少になる。
【0078】
上記付加反応型シリコーン粘着剤は、触媒を含有することが好ましい。触媒としては、上記付加反応型シリコーン樹脂を硬化(第1のポリジメチルシロキサンと第2のポリジメチルシロキサンとを付加反応)させることができるものであれば特に限定されないが、中でも白金族金属系化合物が好ましい。白金族金属系化合物としては、例えば、微粒子状白金、炭素粉末担体上に吸着された微粒子状白金、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、パラジウム、ロジウム等が挙げられる。かかる触媒を含有することで、付加反応型シリコーン樹脂の硬化反応をより効率良く進行させることができる。
【0079】
上記付加反応型シリコーン樹脂100質量部に対する触媒の配合比は、白金分が0.0001〜0.1質量部であることが好ましく、特に0.001〜0.01質量部であることが好ましい。
【0080】
上記付加反応型シリコーン粘着剤は、上記成分以外にも、反応抑制剤、密着向上剤等の各種添加剤を含有してもよい。
【0081】
粘着剤層21の厚さは、通常1〜100μmであることが好ましく、特に3〜30μmであることが好ましく、さらには5〜15μmであることが好ましい。
【0082】
粘着剤層21は、基材22の一方の面に、シリコーン系粘着剤を構成する粘着性材料および所望により希釈剤を含有する塗布液を塗布した後、乾燥し、硬化させることにより形成することができる。塗布は、例えば、バーコーター、ダイコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ナイフコーター等の塗工機を用いて行うことができる。
【0083】
上記希釈剤としては特に制限はなく、様々なものを用いることができる。例えばトルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素化合物をはじめ、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンおよびこれらの混合物等が用いられる。
【0084】
シリコーン系粘着剤が上記付加反応型シリコーン粘着剤である場合、塗布した粘着性材料は、熱硬化させることが好ましい。この場合の加熱温度は80〜180℃であることが好ましく、加熱時間は10〜90秒程度であることが好ましい。
【0085】
上記のようにして基材22の一方の面に粘着剤層21を形成したら、上記剥離シート1の剥離面Rが粘着剤層21に直接接触するように、剥離シート1と粘着剤層21とを積層し、粘着シート2を得る。
【0086】
本実施形態に係る粘着シート2は、剥離シート1を有する状態で、枚葉オフセット印刷、スクリーン印刷等の印刷や抜き加工等の加工に付すことができ、枚葉でまたはロール・トゥ・ロールで加工に付すことができる。前述した通り、剥離シート1の裏面Bは粗面になっているため、上記の加工時に、剥離シート1の裏面Bの粗面凹部に空気が入ること及び基材22との接触面積が小さくなることで、当該裏面Bでの滑りが効果的に発現され、粘着シート2の重送やジャミングを抑制することができる。これにより、特に枚葉で印刷する場合には、粘着シート2を正確に搬送することができ、精密、鮮明な印刷が可能となる。また、上記粘着シート2をロール・トゥ・ロールで加工する場合には、粗面になっている剥離シート1の裏面Bは、基材22との間でブロッキングが発生し難く、粘着シート2の繰り出しを良好に行うことができる。すなわち、本実施形態に係る粘着シート2は、印刷や抜き加工等の加工に非常に適している。
【0087】
ここで、剥離シート1の剥離面Rは、前述したように高い平滑度を有する。したがって、当該剥離面Rに直接接触している粘着剤層21の粘着面Pも高平滑なものとなり、剥離シート1を剥離した直後からゆず肌になることが防止される。かかる粘着剤層21を有する粘着シート2を被着体に貼付すると、被着体と粘着面Pとの間に空気が入らないため、貼付直後から粘着シート2の美観が良好に保たれる。また、高平滑な粘着面Pにより、粘着シート2の印刷部分や非印刷部分の透過像も鮮明なものとなる。
【0088】
粘着剤層21の粘着面Pの平滑度については、具体的には、剥離シート1から剥離して1分以内の粘着剤層21の粘着面Pにおける、0.125mm、0.25mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmの櫛幅の光学櫛による像鮮明度の合計値が、370%以上であることが好ましく、特に400%以上であることが好ましく、さらには450%以上であることが好ましい。また、櫛幅0.125mmの像鮮明度は、70%以上であることが好ましく、特に75%以上であることが好ましい。
【0089】
ここで、像鮮明度は、試験体を透過した平行光線の光量を、透過部および遮光部を有する光学櫛を通して測定されるものである。光学櫛における透過部と遮光部との幅(櫛幅)が小さいほど、精細度の高い像の像鮮明度を表す。像鮮明度は、JIS K7374:2007の透過法に準じて測定され、本明細書では、写像性測定器(試験例ではスガ試験機社製のICM−1DP)を用いて測定した値とする。
【0090】
上記像鮮明度は、「剥離シート1から剥離して1分以内」に測定した値であり、剥離シート1から剥離して1分以内の粘着面Pの像鮮明度が上記範囲にあれば、貼付直後からゆず肌による空気の入り込みがなく、美観が良好に保たれ、鮮明な印刷像を表示することができる。
【0091】
本実施形態に係る粘着シート2においては、粘着剤層21から剥離シート1を剥離するときのISO 8510−2:1990に準じた剥離力は、10〜500mN/50mmであることが好ましく、特に20〜100mN/50mmであることが好ましい。剥離力が上記範囲にあることで、剥離シート1を容易に剥離することができる。
【0092】
なお、上記剥離シート1は、紙基材11の一方の面側に第1のポリオレフィン層13、他方の面側に第2のポリオレフィン層14を形成したことによりカールが抑制されているため、本実施形態に係る粘着シート2も同じくカールが抑制されている。
【0093】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0094】
例えば、剥離シート1における顔料コート層12と第1のポリオレフィン層13との間や、基材11と第2のポリオレフィン層14との間には、他の層が設けられてもよい。また、粘着シート2における基材22と粘着剤層21との間や、基材22の粘着剤層21側と反対側の表面には、他の層が設けられてもよい。
【実施例】
【0095】
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
【0096】
〔製造例1〕
(1)シリコーン系粘着剤(a)の製造
両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖直鎖状ジメチルポリシロキサン(重合度1,000)100質量部と、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(1分子中のヒドロキシル基の数40個)3質量部と、塩化白金酸およびジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体のトルエン溶液(白金分0.4質量%)0.5質量部と、シリコーンレジンとしてのMQレジン(M単位/Q単位=0.85)10質量部とを混合し、シリコーン系粘着剤(a)(トルエン溶液)を得た。
【0097】
(2)シリコーン系粘着剤(b)の製造
シリコーン粘着剤(a)において、シリコーンレジンの配合量を20質量部に変更した以外、シリコーン粘着剤(a)と同様にして、シリコーン系粘着剤(b)を製造した。
【0098】
(3)シリコーン系粘着剤(c)の製造
シリコーン粘着剤(a)において、シリコーンレジンの配合量を100質量部に変更した以外、シリコーン粘着剤(a)と同様にして、シリコーン系粘着剤(c)を製造した。
【0099】
〔製造例2〕
(1)剥離シート(A)の製造
(i)顔料コート層用塗布液の調製
カオリン80質量部と、重質炭酸カルシウム20質量部と、スチレン−ブタジエン共重合体10質量部と、デンプン5質量部とを、水に分散させて混合し、顔料コート層用塗布液(固形分:50質量%)を得た。
【0100】
(ii)顔料コート層の形成
坪量80g/m
2の上質紙からなる紙基材の一方の面に、上記顔料コート層用塗布液を、乾燥後の塗布量が20g/m
2になるようにグラビアコーターによって塗布し、乾燥させた後、スーパーカレンダーロールを通すことにより、顔料コート層を形成した。なお、紙基材の表面における粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜(測定方法等は後述)は、0.206μmであった。
【0101】
(iii)第2のポリオレフィン層の形成
顔料コート層を形成した紙基材の、顔料コート層とは反対側の面に、低密度ポリエチレン(ISO 1872−1:1993に準じて測定されるメルトマスフローレイト:4.5g/10min,密度:923kg/m
3)を、厚さ20μmになるように溶融押出ラミネートした後、連続して、表面が粗面化された冷却ロール(マットロール)と押圧ロールとの間を、低密度ポリエチレンがマットロールに接するように通してマット加工することにより、第2のポリオレフィン層を形成した。なお、冷却ロールの表面の粗さは、第2のポリオレフィン層の王研式平滑度が490secになるように調整した。
【0102】
(iv)第1のポリオレフィン層の形成
顔料コート層の表面(紙基材とは反対側の面)に、第2のポリオレフィン層の材料と同じ低密度ポリエチレンを、厚さ25μmになるように溶融押出ラミネートした後、連続して、表面が鏡面加工された冷却ロール(鏡面ロール)と押圧ロールとの間を、第1のポリオレフィン層が鏡面ロールに接するように通してスーパーカレンダー処理することにより、第1のポリオレフィン層を形成した。このようにして、剥離シート(A)を製造した。
【0103】
なお、剥離シート(A)の顔料コート層の、JIS P8123に規定されるハンター白色度を、東洋精機社製ハンター白色度計D型を使用して測定した結果、78.2であった。
【0104】
(2)剥離シート(B)の製造
剥離シート(A)において、紙基材の一方の面(第2のポリオレフィン層が形成される面とは反対側の面)に、顔料コート層を形成することなく、第1のポリオレフィン層を直接形成する以外、剥離シート(A)と同様にして剥離シート(B)を製造した。
【0105】
(3)剥離シート(C)の製造
剥離シート(A)において、第1のポリオレフィン層を形成しなかった以外、剥離シート(A)と同様にして剥離シート(C)を製造した。
【0106】
〔実施例1〕
基材である厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面に、ナイフコーターによって、シリコーン系粘着剤(a)のトルエン溶液を塗布し、乾燥させることにより、厚さ15μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層の表面に、剥離シート(A)を、第1のポリオレフィン層が粘着剤層に接するように貼り合わせることにより、粘着シートを作製した。
【0107】
〔実施例2〕
シリコーン系粘着剤(a)の替わりにシリコーン系粘着剤(b)を用いた以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0108】
〔実施例3〕
シリコーン系粘着剤(a)の替わりにシリコーン系粘着剤(c)を用いた以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0109】
〔比較例1〕
剥離シート(A)の替わりに剥離シート(B)を用いた以外、実施例1と同様にして粘着シートを作製した。
【0110】
〔比較例2〕
実施例1と同様にして、基材の一方の面に粘着剤層を形成し、この粘着剤層の表面に、剥離シート(C)を、顔料コート層が粘着剤層に接するように貼り合わせることにより、粘着シートを作製した。
【0111】
〔試験例1〕
実施例および比較例で使用した各剥離シートの剥離面(剥離シート(A)および(B)は第1のポリオレフィン層の露出面,剥離シート(C)は顔料コート層の露出面)における粗さ曲線の二乗平均平方根傾斜を、ISO 4287:1997に準じて、表面粗さ測定機(ミツトヨ社製,SURFTEST SV−3000)を用いて、カットオフ値2.5mmの粗さ曲線から、基準長さ2.5mmで測定した。結果を表1に示す。
【0112】
〔試験例2〕
実施例および比較例で使用した各剥離シートの裏面(第2のポリオレフィン層の露出面)における王研式平滑度を、JIS P8155:2010に準拠して、王研式透気度・平滑度試験機(旭精工社製,KY6)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0113】
〔試験例3〕
実施例および比較例で作製した粘着シートの粘着剤層から剥離シートを剥離して1分以内の粘着剤層の粘着面について、JIS K7374:2007の透過法に準じて、写像性測定器(スガ試験機社製,ICM−1DP)を用いて像鮮明度を測定した。使用した写像性測定器における光学櫛の櫛幅は、0.125mm、0.25mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmであった。結果を表1に示す。
【0114】
〔試験例4〕
実施例および比較例で作製した粘着シートを250mm×50mmに裁断し、得られた試験片における基材および粘着剤層の積層体を試験機(オリエンテック社製,テンシロン)に固定し、ISO 8510−2:1990に準じて、剥離シートを180°方向に引張速度300mm/分で剥離したときの力を測定し、これを剥離力(mN/50mm)とした。結果を表1に示す。
【0115】
【表1】
【0116】
表1から明らかなように、実施例で作製した粘着シートにおいては、剥離シートの剥離直後から粘着剤層の粘着面が高平滑であり、また、剥離シートの裏面は、印刷等の加工に適した粗面になっていた。