特許第5923389号(P5923389)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5923389
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】端子接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20160510BHJP
   H01R 13/24 20060101ALI20160510BHJP
   H01R 13/04 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
   H01R13/11 G
   H01R13/24
   H01R13/04 E
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-130461(P2012-130461)
(22)【出願日】2012年6月8日
(65)【公開番号】特開2013-254679(P2013-254679A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年5月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】大前 隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 元
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特表平07−500215(JP,A)
【文献】 特開平09−223533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/11
H01R 13/04
H01R 13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各電線の端末にそれぞれ取り付けられるオス側端子とメス側端子とが互いに突き当たることによって接続される端子接続構造であって、
前記オス側端子は、前記メス側端子の反対側に開口した湾曲状に形成されるオス側接触部を備え、
前記メス側端子は、前記オス側端子側に開口して前記オス側接触部の外周面に接触可能な湾曲状に形成されるメス側接触部を備え、
前記オス側接触部及び前記メス側接触部の何れか一方は、前記オス側接触部及び前記メス側接触部の何れか他方に向かって突出した接点部を複数備え、
前記各接点部のそれぞれは、前記オス側接触部及び前記メス側接触部の何れか一方の本体に基端側が固定され、先端側が自由端に形成されており、
前記オス側接触部及び前記メス側接触部の何れか他方に向かって突出した前記各接点部は、前記オス側接触部の前記外周面及び前記メス側接触部の内周面の何れか一方の面にまで撓み変形で退出可能に形成されており、
複数の前記接点部は、端子接続方向に対しシフトした複数の位置に設けられていることを特徴とする端子接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載の端子接続構造であって、
複数の接点部は、縦方向及び横方向に対して複数列設けられることを特徴とする端子接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オス側端子とメス側端子とが互いに突き当たることによって接続される端子接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、端子接続構造としては、各電線の端末にそれぞれ取り付けられるオス側端子とメス側端子とによって構成され、オス側端子とメス側端子とが互いに突き当たることによって接続している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、オス側端子は、メス側端子が押圧されて接触する先端が平面状に形成されている。メス側端子は、オス側端子に接触する先端が屈曲された2つの端子片によって構成されている。2つの端子片は、断面視円形状を有している。
【0004】
これにより、オス側端子とメス側端子とが接続されると、2つの端子片が撓んだ状態でオス側端子に接触し、オス側端子とメス側端子との接点が2箇所に形成される。このため、オス側端子とメス側端子との接続信頼性を確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−7967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の端子接続構造では、2つの端子片が撓んだ状態で保持されるため、端子片への負荷が増大してしまい、メス側端子の耐久性が低下してしまうという問題があった。
【0007】
加えて、上述した従来の端子接続構造では、オス側端子の先端が平面状に形成されているため、オス側端子とメス側端子との接点に限界があった。特に、先端が平面状のオス側端子に対してメス側端子が傾いて接触した場合、2つの端子片のうちの何れかが接触が不十分となる可能性があり、オス側端子とメス側端子との接続信頼性が低下してしまうおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明は、メス側端子の耐久性を向上し、オス側端子とメス側端子との接続信頼性をより確実に向上できる端子接続構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は、次のような特徴を有している。まず、本発明の第1の特徴は、各電線の端末にそれぞれ取り付けられるオス側端子とメス側端子とが互いに突き当たることによって接続される端子接続構造であって、前記オス側端子は、前記メス側端子の反対側に開口した湾曲状に形成されるオス側接触部を備え、前記メス側端子は、前記オス側端子側に開口して前記オス側接触部の外周面に接触可能な湾曲状に形成されるメス側接触部を備え、前記オス側接触部及び前記メス側接触部の何れか一方は、前記オス側接触部及び前記メス側接触部の何れか他方に向かって突出した接点部を複数備え、前記各接点部のそれぞれは、前記オス側接触部及び前記メス側接触部の何れか一方の本体に基端側が固定され、先端側が自由端に形成されており、前記オス側接触部及び前記メス側接触部の何れか他方に向かって突出した前記各接点部は、前記オス側接触部の前記外周面及び前記メス側接触部の内周面の何れか一方の面にまで撓み変形で退出可能に形成されており、複数の前記接点部は、端子接続方向に対しシフトした複数の位置に設けられていることを要旨とする。
【0010】
かかる特徴によれば、オス側接触部及びメス側接触部の何れか一方は、オス側接触部及びメス側接触部の何れか他方に向かって突出した接点部を複数備える。これにより、オス側端子とメス側端子との接点が増大する。このため、オス側端子とメス側端子との接触時に生じる負荷が複数の接点部に分散し、従来のような2つの端子片への負荷と比較して、オス側端子及びメス側端子の耐久性を向上できる。
【0011】
加えて、オス側接触部が湾曲状に形成され、メス側接触部がオス側接触部に接触可能な湾曲状に形成される。これにより、オス側端子とメス側端子とが互いに傾いて接触した場合であっても、メス側接触部がオス側接触部に確実に接触する。これにより、オス側端子とメス側端子との接続信頼性をより確実に向上できる。
【0013】
かかる特徴によれば、各接点部は、オス側接触部及びメス側接触部の何れか一方の本体に基端側が固定され、先端側が自由端に形成されており、基端と自由端との間には、オス側接触部に接触する接点が形成される。これにより、複数の接点部は、オス側接触部及びメス側接触部の何れか他方への接触によって撓み変形する。このため、オス側端子とメス側端子との接触時に生じる負荷が複数の接点部にさらに分散し易くなり、オス側端子及びメス側端子の耐久性を向上できる。
【0014】
本発明の第の特徴は、本発明の第1の特徴に係る端子接続構造であって、複数の接点部は、前記オス側端子と前記メス側端子との突当方向、及び、前記突当方向に直交する直交方向に対して複数列設けられることを要旨とする。
【0015】
かかる特徴によれば、複数の接点部は、縦方向及び横方向に対して複数列設けられる。これにより、複数の接点部は、オス側接触部及びメス側接触部の何れか他方へ確実に接触し、オス側端子とメス側端子との接続信頼性をさらに向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の特徴によれば、メス側端子の耐久性を向上し、オス側端子とメス側端子との接続信頼性をより確実に向上できる端子接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本実施形態に係る端子接続構造の非接続状態を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る端子接続構造の非接続状態を示す側面図である。
図3図3は、本実施形態に係る端子接続構造の接続状態を示す斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係る端子接続構造の接続状態を示す側面図である。
図5図5は、本実施形態に係るメス側端子のみを示す正面・裏面図である。
図6図6は、オス側端子とメス側端子との接続過程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る端子接続構造の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0019】
(端子接続構造)
まず、本実施形態に係るに用いられる端子接続構造1の構成について、図面を参照しながら説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る端子接続構造1の非接続状態を示す図である。図3及び図4は、本実施形態に係る端子接続構造1の接続状態を示す図である。図5は、本実施形態に係るメス側端子20のみを示す正面・裏面図である。なお、端子接続構造1は、オス側ハウジングとメス側ハウジングとのそれぞれに取り付けられた電線同士を接続するコネクタ(不図示)に適用されるものとする。
【0020】
図1図4に示すように、端子接続構造1は、各電線(不図示)の端末にそれぞれ取り付けられるオス側端子10とメス側端子20とによって構成され、オス側端子10とメス側端子20とが互いに突き当たることによって接続される。
【0021】
オス側端子10は、オス側ハウジング(不図示)内に設けられる。オス側端子10は、所定形状の導電性のプレートに曲げ加工が施されることにより形成される。オス側端子10は、電線(不図示)が接続されオス側電線接続部11と、オス側電線接続部11と一体に設けられてメス側端子20に接触するオス側接触部12とを備えている。
【0022】
オス側電線接続部11は、両側縁から立ち上げることによって形成されており、電線(不図示)を加締め固定する。オス側接触部12は、メス側端子20の反対側に開口した湾曲状に形成されている。オス側接触部12は、メス側端子20と接触する外周面13を有している。なお、オス側接触部12には、凹凸が形成されていない。
【0023】
メス側端子20は、オス側ハウジングに嵌合されるメス側ハウジング(不図示)内に設けられる。メス側端子20は、オス側端子10と同様に、所定形状の導電性のプレートに曲げ加工が施されることにより形成される。メス側端子20は、電線(不図示)が接続されメス側電線接続部21と、メス側電線接続部21と一体に設けられてオス側端子10のオス側接触部12に接触するメス側接触部22とを備えている。
【0024】
メス側電線接続部21は、両側縁から立ち上げることによって形成されており、電線(不図示)を加締め固定する。メス側接触部22は、オス側端子10側に開口してオス側接触部12の外周面13に接触可能な湾曲状に形成されている。メス側接触部22は、オス側接触部12よりも大径に形成されている。メス側接触部22は、オス側接触部12側の内周面23からオス側接触部12に向かって突出した接点部24が複数形成されている。
【0025】
複数の接点部24は、図5に示すように、それぞれ正面視で四角状に形成されている。複数の接点部24は、オス側ハウジングとメス側ハウジングとの嵌合方向FDに直交する縦方向LD及び横方向SDに対して複数列設けられている。
【0026】
各接点部24は、各正面視で格子状に配置された接触部本体25に一体に形成され、撓み変形可能に設けられている。具体的には、各接点部24は、図3(b)及び図4(b)に示すように、接触部本体25に基端側が固定され、先端側が自由端となる片持ち支持構造に形成されている。接点部24の基端と自由端との間には、オス側接触部12に接触する接点24Aが形成されている。接点24Aは、湾曲中心側に最も突出している。
【0027】
(オス側端子とメス側端子との接続)
次に、上述したオス側端子10とメス側端子20との接続について、図面を参照しながら説明する。図6は、オス側端子10とメス側端子20との接続過程を示す側面図である。
【0028】
まず、図6(a)に示すように、オス側ハウジングとメス側ハウジングとを徐々に嵌合させて半嵌合状態となると、オス側端子10とメス側端子20とが互いに近づき、メス側接触部22の先端(開口側)に位置する接点部24(接点24A)がオス側接触部12に接触する。
【0029】
図6(b)に示すように、オス側ハウジングとメス側ハウジングとをさらに嵌合させて完全嵌合状態となると、オス側接触部12の外周面13にメス側接触部22の内周面23が接触する。各メス側接触部22の接点部24は、オス側接触部12の外周面13への接触によって撓み変形し、オス側接触部12の外周面13とメス側接触部22の内周面23との公差を吸収できる。
【0030】
そして、全ての接点部24がオス側接触部12に接触し、オス側端子10とメス側端子20とが接続される。また、オス側端子10に対してメス側端子20が傾いて接触しても、全ての接点部24がオス側接触部12に接触するようになっている。加えて、オス側接触部12の外周面13とメス側接触部22の内周面23とが突き当たることで接触限界となるため、各接点部24の過度な撓みが生じ難くなっている(図6(b)参照)。
【0031】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態では、メス側接触部22は、内周面23からオス側接触部12に向かって突出した接点部24を複数備える。これにより、オス側端子10とメス側端子20との接点が増大する。このため、オス側端子10とメス側端子20との接触時に生じる負荷が複数の接点部24に分散し、従来のような2つの端子片への負荷と比較して、オス側端子10及びメス側端子20の耐久性を向上できる。
【0032】
加えて、オス側接触部12が湾曲状に形成され、メス側接触部22がオス側接触部12に接触可能な湾曲状に形成される。これにより、オス側端子10とメス側端子20とが互いに傾いて接触した場合であっても、メス側接触部22がオス側接触部12に確実に接触する。これにより、オス側端子10とメス側端子20との接続信頼性をより確実に向上できる。
【0033】
本実施形態では、各接点部24は、接触部本体25に基端側が固定され、先端側が自由端に形成されており、基端と自由端との間には、オス側接触部12に接触する接点24Aが形成される。これにより、複数の接点24Aは、オス側接触部12の外周面13への接触によって撓み変形する。このため、オス側端子10とメス側端子20との接触時に生じる負荷が複数の接点部24にさらに分散し易くなり、オス側端子10及びメス側端子20の耐久性を向上できる。
【0034】
本実施形態では、複数の接点部24は、縦方向LD及び横方向SDに対して複数列設けられる。これにより、複数の接点部24は、オス側接触部12の外周面13へ確実に接触し、オス側端子10とメス側端子20との接続信頼性をさらに向上できる。
【0035】
(その他の実施形態)
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0036】
例えば、本発明の実施形態は、次のように変更することができる。具体的には、端子接続構造1は、オス側ハウジングとメス側ハウジングとのそれぞれに取り付けられた電線同士を接続するコネクタ(不図示)に適用されるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、オス側端子10とメス側端子20とが互いに突き当たることによって接続されるものであればよい。
【0037】
また、複数の接点部24は、メス側接触部22に設けられるものとして説明したが、これに限定されるものではない。オス側接触部12に設けられていてもよい。つまり、オス側接触部12及びメス側接触部22の少なくとも一方に設けられていればよく、オス側接触部12及びメス側接触部22の両方に設けられていてもよい。
【0038】
また、複数の接点部24は、縦方向LD及び横方向SDに対して複数列設けられるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、縦方向LD及び横方向SDの何れか一方に複数列設けられていてもよい。
【0039】
接点部24の接点24Aは、基端と自由端との間に設けられるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、自由端(先端)に設けられていてもよい。
【0040】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0041】
1…端子接続構造
10…オス側端子
11…オス側電線接続部
12…オス側接触部
13…外周面
20…メス側端子
21…メス側電線接続部
22…メス側接触部
23…内周面
24…接点部
24A…接点
25…接触部本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6