【実施例】
【0017】
[実施例1]
含有液製造工程において、硝酸セリウムアンモニウムと、n−ブチルアルコールと、水と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとが、モル比1:40:30:3×10
−4にて混合された。これにより原料含有液が製造された。原料含有液は、還流器付きガラス容器(還流器付きガラス容器は還流器が取付けられた周知のガラス容器である。還流器は気化した物質を冷却することにより液化させるための周知の装置である。したがって、ここではそれらの詳細な説明は繰り返されない。)に入れられた。放置工程において、原料含有液は24時間放置された。その間、原料含有液の温度は100℃(373.15ケルビン)のままであった。その間、攪拌は行われなかった。その結果、原料含有液は、水相とアルコール相とに分離した状態であった。取出工程において、まず、遠心分離器によって反応液から廃液が除去された。廃液が除去された後、遠心分離器内に析出物が残った。その析出物はエタノールによって洗浄された。洗浄に用いられたエタノールは遠心分離器によって除去された。エタノール洗浄とエタノールの除去とは2回ずつ繰り返された。熱分解工程において、まず析出物は50℃(323.15ケルビン)で乾燥された。その後、析出物は400℃(673.15ケルビン)の空気中で加熱された。これにより、酸化セリウム粒子が得られた。この酸化セリウム粒子のBET法により測定された比表面積は、173m
2/gであった。
【0018】
[実施例2]
放置工程における原料含有液の温度が80℃(353.15ケルビン)であったことを除けば、本実施例の内容は実施例1と同様である。本実施例において得られた酸化セリウム粒子のBET法により測定された比表面積は、193m
2/gであった。
【0019】
[実施例3]
含有液製造工程における、硝酸セリウムアンモニウムと、n−ブチルアルコールと、水と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとのモル比が1:40:50:3×10
−4であったことを除けば、本実施例の内容は実施例1と同様である。本実施例において得られた酸化セリウム粒子のBET法により測定された比表面積は、185m
2/gであった。
【0020】
[実施例4]
次に述べる2つの点を除けば、本実施例の内容は実施例1と同様である。第1点目は、含有液製造工程における、硝酸セリウムアンモニウムと、n−ブチルアルコールと、水と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとのモル比が1:30:40:3×10
−4であったという点である。第2点目は、放置工程において原料含有液が放置された時間が48時間であったという点である。本実施例において得られた酸化セリウム粒子のBET法により測定された比表面積は、182m
2/gであった。
【0021】
[実施例5]
次に述べる2つの点を除けば、本実施例の内容は実施例1と同様である。第1点目は、含有液製造工程において、硝酸セリウムアンモニウムと、n−ペンタノールと、水と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとのモル比が1:40:30:3×10
−4であったという点である。第2点目は、放置工程における原料含有液の温度が80℃(353.15ケルビン)であったという点である。本実施例において得られた酸化セリウム粒子のBET法により測定された比表面積は、113m
2/gであった。
【0022】
[実施例6]
次に述べる3つの点を除けば、本実施例の内容は実施例1と同様である。第1点目は、含有液製造工程において、硝酸セリウムアンモニウムと、n−プロパノールと、水と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとのモル比が1:40:30:3×10
−4であったという点である。第2点目は、放置工程における原料含有液の温度が80℃(353.15ケルビン)であったという点である。第3点目は、放置工程において原料含有液が放置された時間が120時間であったという点である。本実施例において得られた酸化セリウム粒子のBET法により測定された比表面積は、118m
2/gであった。なお、放置工程において原料含有液が24時間放置された時点では、水相とアルコール相との界面に析出物がたまっていなかった。
【0023】
[実施例7]
含有液製造工程において、硝酸セリウムアンモニウムと、n−ブチルアルコールと、水と、ポリ(アルキレンオキサイド)ブロックコポリマーとが、モル比1:30:40:4×10
−4にて混合された点を除けば、本実施例の内容は実施例1と同様である。本実施例において得られた酸化セリウム粒子のBET法により測定された比表面積は、134m
2/gであった。
【0024】
[実施例8]
次に述べる2つの点を除けば、本実施例の内容は実施例1と同様である。第1点目は、含有液製造工程において、硝酸セリウムアンモニウムと、n−ブチルアルコールと、水と、ポリ(アルキレンオキサイド)ブロックコポリマーとが、モル比1:30:40:4×10
−4にて混合された点である。第2点目は、放置工程において原料含有液が放置された時間が72時間であったという点である。本実施例において得られた酸化セリウム粒子のBET法により測定された比表面積は、144m
2/gであった。
【0025】
[比較例1]
硝酸セリウム(III)6水和物Ce(NO
3)
3・6H
2Oを液中モル濃度が0.1モル/リットルとなるようにイオン交換水に攪拌しながら投入し、Ce水溶液を得た。この水溶液の撹拌を継続しながらこの水溶液の温度を40℃(313.15ケルビン)に調整し、温度が40℃に到達した段階で沈殿剤として炭酸アンモニウムを2当量添加した。そのままの状態で1時間放置し、沈殿物スラリーを得た。これを濾過した後、水洗し、120℃で6時間乾燥することで、セリウムを主体とする乾燥粉末(前駆体)を得た。この前駆体を400℃(673.15ケルビン)の大気中で2時間加熱することにより焼成し、酸化セリウム粒子を得た。本比較例において得られた酸化セリウム粒子のBET法により測定された比表面積は、95m
2/gであった。
【0026】
[比較例2]
放置工程に代えて撹拌工程が実施されたことを除けば、本比較例の内容は実施例1と同様である。撹拌工程は、原料含有液が24時間撹拌され続ける工程である。本比較例では析出物の析出がなかった。
【0027】
[比表面積の比較結果]
図1に、実施例1ないし実施例8において得られた酸化セリウム粒子の比表面積の平均値(約155.3m
2/g)と比較例1において得られた酸化セリウム粒子の比表面積(95m
2/g)との比較結果が示される。
図1から明らかなように、本発明にかかる酸化セリウム粒子は、比較例1において得られた酸化セリウム粒子に比べて約60パーセント比表面積が大きい。
【0028】
図2に、含有液製造工程において使用されるアルコールの種類が酸化セリウム粒子の比表面積に及ぼす影響が示される。含有液製造工程において使用されるアルコールがn−ブチルアルコールである場合(実施例1の場合)、酸化セリウム粒子の比表面積は、含有液製造工程において使用されるアルコールがn−ペンタノールの場合(実施例5の場合)又はn−プロパノールの場合(実施例6の場合)に比べて、約50パーセント大きくなる。なお、実施例1において得られた酸化セリウム粒子の比表面積(173m
2/g)は、比較例1において得られた酸化セリウム粒子の比表面積(95m
2/g)に比べて約80パーセント大きい。