【実施例】
【0054】
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例では、各種の緑色蛍光体を作製し、X線回折(XRD:X‐ray diffraction)、PL(Photoluminescence)スペクトル、発光効率について評価した。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0055】
[X線回折の測定]
粉末X線解析計(株式会社リガク製)を用いて、CuKα線のX線回折(XRD)パターンにおける回折ピークの位置(2θ)及び半値幅を測定した。
【0056】
[PLスペクトルの測定]
分光蛍光光度計FP−6500(日本分光社製)を用いてPLスペクトルにおけるPLピーク波長、PLピーク強度、及びPLピーク半値幅を測定した。
【0057】
[変換効率の算出]
蛍光体の変換効率として、励起光を吸収する効率(吸収率)、吸収した励起光を蛍光に変更する効率(内部量子効率)、及びそれらの積である励起光を蛍光に変換する効率(外部量子効率)を算出した。量子効率は、分光蛍光光度計FP−6500(日本分光社製)を用いて測定した。専用セルに蛍光体粉末を充填し、波長450nmの青色励起光を照射させて、蛍光スペクトルを測定した。その結果を、分光蛍光光度計付属の量子効率測定ソフトを用いて、緑色の量子効率を算出した。
【0058】
[実施例1]
先ず、Ga
2O
3(純度6N)、Sr(NO
3)
2(純度3N)、Ca(NO
3)
2・4H
2O(純度2N)、及びEu(NO
3)
3・nH
2O(純度3N、n=6.06)、並びに、亜硫酸アンモニウム一水和物を準備した。
【0059】
次いで、表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=
0.03、y=0.35とする組成比(Eu濃度:3mol%、Ca置換割合:35%)で、0.2モル量となるように各原料の秤量値を算出した。実施例1の場合、ユウロピウム化合物(Eu(NO
3)
3・nH
2O)2.683g、ストロンチウム化合物(Sr(NO
3)
2)25.311g、及びカルシウム化合物(Ca(NO
3)
2・4H
2O)15.208gである。
【0060】
ユウロピウム化合物と、ストロンチウム化合物と、カルシウム化合物とを100mlの純水に添加し、溶け残りが無くなるまで十分に攪拌し、Eu、Sr、及びCaを含有する混合溶液を得た。
【0061】
次に、Eu、Sr、及びCaのモル数の合計の1.15倍のモル数の亜硫酸アンモニウム30.974gを100mlの純水に溶解させた溶液に、粉状ガリウム化合物(粉状Ga
2O
3)36.550gを加え、十分攪拌して、亜硫酸塩混合溶液を作製した。
【0062】
この亜硫酸塩混合溶液に、先のEu、Sr、及びCaを含有する混合溶液を滴下することで析出・沈殿物を得た。この析出・沈殿物は、亜硫酸ユウロピウム・ストロンチウム・カルシウム粉体と、酸化ガリウム粉体の混合物である。
【0063】
そして、伝導率が0.1mS/cm以下になるまで、析出・沈殿物を純水で洗浄、濾過し、120℃で6時間、乾燥させた。その後、公称目開き100μmの金網を通すことで、Eu、Sr、Ca、及びGaを含有する粉体混合品を得た。この粉体混合品は、亜硫酸ユウロピウム・ストロンチウム・カルシウム粉体[(Sr,Ca,Eu)SO
3から成る粉体]と酸化ガリウム粉体とを含有する混合物である。
【0064】
次いで、粉体混合品を電気炉で焼成した。焼成条件を以下のとおりとした。1.5時間で925℃まで昇温し、その後、1.5時間、925℃を保持し、次いで、2時間で室温まで降温させた。焼成中、0.3リットル/分の割合で電気炉に硫化水素を流した。その後、公称目開き25μmのメッシュを通し、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.03、y=0.35)から成る蛍光体粒子を得た。以上の試料作製方法を、表1中、湿式法1と表記する。
【0065】
表1に、実施例1の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=24.22°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.130degであった。(422)面に帰属する回折ピークが、X線回折パターンの最大ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長545nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は2.97(YAG比)、半値幅は48.46nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は70.7%、内部量子効率は79.4%、内部量子効率/吸収率は1.12、及び外部量子効率は56.1%であった。
【0066】
[実施例2]
表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=
0.05、y=0.35とする組成比(Eu濃度:5mol%、Ca置換割合:35%)で、0.2モル量となるように各原料の秤量値を算出した。これ以外は、実施例1と同様にして、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.05、y=0.35)から成る蛍光体粒子を得た。
【0067】
表1に実施例2の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=24.27°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.138degであった。(422)面に帰属する回折ピークが、X線回折パターンの最大ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長545nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は3.51(YAG比)、半値幅は47.71nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は80.6%、内部量子効率は78.4%、内部量子効率/吸収率は0.97、及び外部量子効率は63.2%であった。
【0068】
[実施例3]
表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=
0.08、y=0.35とする組成比(Eu濃度:8mol%、Ca置換割合:35%)で、0.2モル量となるように各原料の秤量値を算出した。これ以外は、実施例1と同様にして、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.08、y=0.35)から成る蛍光体粒子を得た。
【0069】
表1に、実施例3の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=24.25°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.136degであった。(422)面に帰属する回折ピークが、X線回折パターンの最大ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長545nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は3.67(YAG比)、半値幅は47.53nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は83.1%、内部量子効率は79.1%、内部量子効率/吸収率は
0.95、及び外部量子効率は65.8%であった。
【0070】
[実施例4]
表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=
0.10、y=0.35とする組成比(Eu濃度:10mol%、Ca置換割合:35%)で、0.2モル量となるように各原料の秤量値を算出した。これ以外は、実施例1と同様にして、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.10、y=0.35)から成る蛍光体粒子を得た。
【0071】
表1に、実施例4の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=24.23°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.137degであった。(422)面に帰属する回折ピークが、X線回折パターンの最大ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長545nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は3.71(YAG比)、半値幅は46.97nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は84.0%、内部量子効率は79.5%、内部量子効率/吸収率は0.95、及び外部量子効率は66.8%であった。
【0072】
[実施例5]
表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=
0.13、y=0.35とする組成比(Eu濃度:13mol%、Ca置換割合:35%)で、0.2モル量となるように各原料の秤量値を算出した。これ以外は、実施例1と同様にして、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.13、y=0.35)から成る蛍光体粒子を得た。
【0073】
表1に、実施例5の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=24.25°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.145degであった。(422)面に帰属する回折ピークが、X線回折パターンの最大ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長545nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は3.63(YAG比)、半値幅は47.14nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は84.1%、内部量子効率は76.9%、内部量子効率/吸収率は0.91、及び外部量子効率は64.7%であった。
【0074】
[実施例6]
表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=
0.15、y=0.35とする組成比(Eu濃度:15mol%、Ca置換割合:35%)で、0.2モル量となるように各原料の秤量値を算出した。これ以外は、実施例1と同様にして、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.15、y=0.35)から成る蛍光体粒子を得た。
【0075】
表1に、実施例6の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=24.25°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.145degであった。(422)面に帰属する回折ピークが、X線回折パターンの最大ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長546nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は3.75(YAG比)、半値幅は
47.26nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は84.8%、内部量子効率は78.6%、内部量子効率/吸収率は0.93、及び外部量子効率は66.6%であった。
【0076】
[実施例7]
表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=
0.18、y=0.35とする組成比(Eu濃度:18mol%、Ca置換割合:35%)で、0.2モル量となるように各原料の秤量値を算出した。これ以外は、実施例1と同様にして、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.18、y=0.35)から成る蛍光体粒子を得た。
【0077】
表1に、実施例7の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=24.22°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.139degであった。(422)面に帰属する回折ピークが、X線回折パターンの最大ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長545nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は3.68(YAG比)、半値幅は46.88nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は84.8%、内部量子効率は78.1%、内部量子効率/吸収率は0.92、及び外部量子効率は66.2%であった。
【0078】
[実施例8]
表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=
0.20、y=0.35とする組成比(Eu濃度:20mol%、Ca置換割合:35%)で、0.2モル量となるように各原料の秤量値を算出した。これ以外は、実施例1と同様にして、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.20、y=0.35)から成る蛍光体粒子を得た。
【0079】
表1に、実施例8の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=24.22°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.142degであった。(422)面に帰属する回折ピークが、X線回折パターンの最大ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長545nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は3.38(YAG比)、半値幅は46.69nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は85.0%、内部量子効率は71.1%、内部量子効率/吸収率は0.84、及び外部量子効率は60.4%であった。
【0080】
[実施例9]
表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=
0.10、y=0.25とする組成比(Eu濃度:10mol%、Ca置換割合:25%)で、0.2モル量となるように各原料の秤量値を算出した。これ以外は、実施例1と同様にして、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.10、y=0.25)から成る蛍光体粒子を得た。
【0081】
表1に、実施例9の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=24.21°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.137degであった。(422)面に帰属する回折ピークが、X線回折パターンの最大ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長544nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は3.57(YAG比)、半値幅は47.04nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は82.4%、内部量子効率は77.9%、内部量子効率/吸収率は0.95、及び外部量子効率は64.1%であった。
【0082】
[実施例10]
表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=
0.10、y=0.50とする組成比(Eu濃度:10mol%、Ca置換割合:50%)で、0.2モル量となるように各原料の秤量値を算出した。これ以外は、実施例1と同様にして、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.10、y=0.50)から成る蛍光体粒子を得た。
【0083】
表1に、実施例10の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=24.31°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.148degであった。(422)面に帰属する回折ピークが、X線回折パターンの最大ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長547nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は3.49(YAG比)、半値幅は48.23nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は82.4%、内部量子効率は77.8%、内部量子効率/吸収率は0.94、及び外部量子効率は64.1%であった。
【0084】
[実施例11]
表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=
0.10、y=0.75とする組成比(Eu濃度:10mol%、Ca置換割合:75%)で、0.2モル量となるように各原料の秤量値を算出した。これ以外は、実施例1と同様にして、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.10、y=0.75)から成る蛍光体粒子を得た。
【0085】
表1に、実施例11の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=24.55°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.157degであった。(422)面に帰属する回折ピークが、X線回折パターンの最大ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長558nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は2.86(YAG比)、半値幅は50.04nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は76.5%、内部量子効率は70.6%、内部量子効率/吸収率は0.92、及び外部量子効率は54.0%であった。
【0086】
[実施例12]
表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=
0.10、y=1.00とする組成比(Eu濃度:10mol%、Ca置換割合:100%)で、0.2モル量となるように各原料の秤量値を算出した。これ以外は、実施例1と同様にして、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.10、y=1.00)から成る蛍光体粒子を得た。
【0087】
表1に、実施例12の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=
24.66°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.151degであった。また、X線回折パターンの最大ピークは、回折角2θ=17.64°に現れ、(022)面に帰属する回折ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長562nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は2.86(YAG比)、半値幅は50.27nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は77.8%、内部量子効率は70.0%、内部量子効率/吸収率は0.90、及び外部量子効率は54.1%であった。
【0088】
[実施例13]
表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=
0.10、y=0.25とする組成比(Eu濃度:10mol%、Ca置換割合:25%)で、0.2モル量となるように各原料の秤量値を算出した。実施例13の場合、ユウロピウム化合物(Eu(NO
3)
3・nH
2O)8.943g、ストロンチウム化合物(Sr(NO
3)
2)28.570g、及びカルシウム化合物(Ca(NO
3)
2・4H
2O)10.637gである。
【0089】
ユウロピウム化合物と、ストロンチウム化合物と、カルシウム化合物とを100mlの純水に添加し、溶け残りが無くなるまで十分に攪拌し、粉状ガリウム化合物(粉状Ga
2O
3)36.550gを加え、Eu、Sr、Ca、及びGaを含有する混合溶液を得た。
【0090】
次に、Eu、Sr、及びCaのモル数の合計の1.15倍のモル数の亜硫酸アンモニウム30.974gを100mlの純水に溶解させ、亜硫酸塩溶液を作製した。
【0091】
この亜硫酸塩溶液に、先のEu、Sr、Ca、及びGaを含有する混合溶液を滴下することで析出・沈殿物を得た。この析出・沈殿物は、亜硫酸ユウロピウム・ストロンチウム・カルシウム粉体と、酸化ガリウム粉体の混合物である。
【0092】
以降の工程は、実施例1と同様にして、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.10、y=0.25)から成る蛍光体粒子を得た。以上の試料作製方法を、表1中、湿式法2と表記する。
【0093】
表1に、実施例13の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=24.13°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.131degであった。(422)面に帰属する回折ピークが、X線回折パターンの最大ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長541nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は2.94(YAG比)、半値幅は46.61nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は79.1%、内部量子効率は69.2%、内部量子効率/吸収率は
0.88、及び外部量子効率は
54.7%であった。
【0094】
[実施例14]
表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=
0.13、y=0.25とする組成比(Eu濃度:13mol%、Ca置換割合:25%)で、0.2モル量となるように各原料の秤量値を算出した。これ以外は、実施例13と同様にして、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.13、y=0.25)から成る蛍光体粒子を得た。
【0095】
表1に、実施例14の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=24.18°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.153degであった。(422)面に帰属する回折ピークが、X線回折パターンの最大ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長542nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は3.30(YAG比)、半値幅は48.02nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は80.8%、内部量子効率は73.4%、内部量子効率/吸収率は0.91、及び外部量子効率は59.3%であった。
【0096】
[比較例1]
先ず、Ga
2O
3(純度6N)、CaCO
3(純度4N)、SrCO
3(純度3N)、及びEu
2O
3(純度3N)を準備した。
【0097】
次いで、表1に示すように、組成式(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
xで表される蛍光体において、x=0.10、y=0.25とする組成比(Eu濃度:10mol%、Ca置換割合:25%)で、1.0モル量となるように各原料の秤量値を算出した。
比較例1の場合、ユウロピウム化合物(Eu
2O
3)3.519g、ストロンチウム化合物(SrCO
3)9.965g、カルシウム化合物(CaCO
3)2.252g、及びガリウム化合物(Ga
2O
3)18.275gである。
【0098】
ユウロピウム化合物と、ストロンチウム化合物と、カルシウム化合物と、ガリウム化合物とをボールミルを用いてエタノール中で混合した。混合終了後、混合物を吸引濾過し、80℃で6時間、乾燥させた。その後、公称目開き100μmの金網を通すことで、Eu、Sr、Ca、及びGaを含有する粉体混合品を得た。
【0099】
次に、アルミナ焼成ボートに粉体混合品25gセットし電気炉で焼成した。焼成条件を以下のとおりとした。1.5時間で925℃まで昇温し、その後、1.5時間、925℃を保持し、次いで、2時間で室温まで降温させた。焼成中、0.3リットル/分の割合で電気炉に硫化水素を流した。その後、公称目開き25μmのメッシュを通し、(Sr
1−yCa
y)
1−xGa
2S
4:Eu
x(x=
0.10、y=0.25)から成る蛍光体粒子を得た。以上の試料作製方法を、表1中、乾式法と表記する
。
【0100】
表1に、比較例1の蛍光体の評価結果を示す。X線回折パターンを測定した結果、回折角2θ=24.22°に(422)面に帰属する回折ピークが現れ、その半値幅は0.222degであった。(422)面に帰属する回折ピークが、X線回折パターンの最大ピークであった。また、PLスペクトルを測定した結果、波長545nmにPLピークが現れ、PLピーク強度は2.27(YAG比)、半値幅は49.30nmであった。また、変換効率を算出した結果、吸収率は80.4%、内部量子効率は52.0%、内部量子効率/吸収率は0.65、及び外部量子効率は41.8%であった。
【0101】
【表1】
【0102】
比較例1は、X線回折パターンにおける(422)面の回折ピークの半値幅が0.222degと大きく、結晶性が悪く、外部量子効率が50%未満であった。
【0103】
一方、実施例1〜14は、X線回折パターンにおける(422)面の回折ピークの半値幅が0.180未満と小さく、結晶性が良好であり、外部量子効率も50%以上であった。
【0104】
また、上記組成式においてx及びyの値が同一の比較例1と実施例9と実施例13とを比較すると、前駆体の製法として、湿式法1,2を用いることにより、結晶性が良好となり、優れたXRD回折ピーク半値幅、PLピーク強度、及び変換効率を得ることができた。また、湿式法2を用いるよりも湿式法1を用いた方が、高い変換効率を有する蛍光体を得ることができた。
【0105】
また、湿式法1を用いた実施例において、組成式が0.05≦x≦0.18、0.25≦y≦0.50である実施例2〜7、9、10は、内部量子効率/吸収率が0.90以上、且つ、外部量子効率が60%以上の優れた変換効率を得ることができた。