特許第5923491号(P5923491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5923491エリスリトールおよび充填剤を含む食品製品用の低カロリーおよび無糖の被覆剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5923491
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】エリスリトールおよび充填剤を含む食品製品用の低カロリーおよび無糖の被覆剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 5/00 20160101AFI20160510BHJP
   A21D 15/08 20060101ALI20160510BHJP
   A23G 3/00 20060101ALI20160510BHJP
   A23G 3/34 20060101ALI20160510BHJP
   A23L 7/196 20160101ALI20160510BHJP
【FI】
   A23L1/00 F
   A21D15/08
   A23G3/00
   A23L1/182
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-509141(P2013-509141)
(86)(22)【出願日】2011年5月2日
(65)【公表番号】特表2013-524851(P2013-524851A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】US2011034770
(87)【国際公開番号】WO2011139959
(87)【国際公開日】20111110
【審査請求日】2014年3月13日
(31)【優先権主張番号】61/330,746
(32)【優先日】2010年5月3日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500159680
【氏名又は名称】カーギル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100156122
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】ベン・アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】マルティーヌ・エム・エル・ファン・ハフェレ
(72)【発明者】
【氏名】ロニー・レオンティナ・マルセル・フェルカウテーレン
【審査官】 濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−517041(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/036954(WO,A1)
【文献】 特開2000−316479(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0203190(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0011181(US,A1)
【文献】 特開平07−023759(JP,A)
【文献】 特開昭64−055140(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0048418(US,A1)
【文献】 特開平11−266777(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0160083(US,A1)
【文献】 特表2013−535964(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/013295(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/00
A21D 15/08
A23G 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
WPIDS(STN)
FSTA(STN)
FROSTI(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品製品および被覆剤からなる被覆食品組成物であって、但しレバウジオシドAを含む被覆食品組成物を除く被覆食品組成物であって;該被覆剤が、エリスリトールと少なくとも1つの充填剤との混合物からなり;該エリスリトールが、被覆剤の20重量%〜90重量%を占め、該充填剤が、被覆剤の10重量%〜80重量%を占め;該充填剤が、マルトデキストリンであり;該被覆剤が、食品組成物を少なくとも部分的に覆う該被覆食品組成物。
【請求項2】
食品製品が、シリアル製品、ベーカリー製品またはスナック製品を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
エリスリトールが被覆剤の50重量%〜80重量%を占め、充填剤が被覆剤の20重量%〜50重量%を占める請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
a. エリスリトールと少なくとも1つの充填剤からなる混合物を溶融させて、混合被覆剤を形成し;
b. 該混合被覆剤を食品製品に吹付けて、該混合被覆剤で該食品製品を少なくとも部分的に覆い;ついで
c. 該被覆食品製品を凝固させる
工程からなる被覆食品組成物の製造法であって、但しレバウジオシドAを含む被覆食品組成物を除く被覆食品組成物の製造法
【請求項5】
エリスリトールが被覆剤の20重量%〜90重量%を占め、充填剤が被覆剤の10重量%〜80重量%を占める請求項4に記載の方法。
【請求項6】
充填剤がマルトデキストリンである請求項4に記載の方法。
【請求項7】
溶融工程の温度が120℃〜200℃であり、吹付け工程の温度が120℃〜200℃であり、圧力が3〜15バールである請求項4に記載の方法。
【請求項8】
a. エリスリトールおよび少なくとも1つの充填剤を溶液に溶解させて、混合被覆剤を形成し、ここに該被覆剤はエリスリトールおよび少なくとも1つの充填剤からなり
b. 該混合被覆剤を食品製品に添加して、該混合被覆剤で該食品製品を少なくとも部分的に覆い;ついで
c. 該被覆食品製品を乾燥させる
工程からなる被覆食品組成物の製造法であって、但しレバウジオシドAを含む被覆食品組成物を除く被覆食品組成物の製造法
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって;エリスリトールが被覆剤の20重量%〜90重量%を占め、充填剤が被覆剤の10重量%〜80重量%を占め;該充填剤がマルトデキストリンである該方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年5月3日に出願された米国仮特許出願番号第61/330746号(発明の名称:REDUCED CALORIE AND SUGAR-FREE COATING FOR FOOD PRODUCTS)の利益を主張し、該出願の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
分野
本発明は、一般に、食品組成物用の低カロリーおよび/または無糖の被覆剤に関する。被覆食品組成物は、食品製品および被覆剤を含み、該被覆剤は、エリスリトールと少なくとも1つの充填剤との混合物を含み、該エリスリトールは、被覆剤の20重量%〜90重量%を占め、該充填剤は、被覆剤の10重量%〜80重量%を占める。他の実施態様は、被覆剤が低カロリーおよび/または無糖である被覆食品組成物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
食品製品は、外観を向上させる(例えば、光沢外見を与える)ため、甘味、香味および/または色を食品製品に付加するために、被覆剤で覆われることが多い。例えば、シリアル製品は、シリアルに甘味および香味を与えるための水、スクロース(通称砂糖)、蜂蜜、デキストリンまたはグルコース基材グレーズを含む甘味料組成物、ならびに他の成分で覆われることが多い。被覆剤の製造において添加される水の出発量は、被覆剤混合物の重量の4分の1〜3分の1もの割合でありうる。
【0004】
食品組成物の製造および食品製品の被覆に種々の方法が使用され、例えば、砂糖の水溶液を製造し、その溶液を食品製品に吹付け、回転ドラムシステムを使用して食品製品を被覆し、水を蒸発させることによってその製品を乾燥させることによって行なわれる。乾燥工程はいくつもの方法によって行なうことができ、そのような方法は、同じ回転ドラムシステムを使用して水を除去する、乾燥空気流を使用する、分離した乾燥機を使用して食品組成物から水を蒸発させることを包含する。乾燥または蒸発工程は、被覆剤の結晶化を開始させるのにも使用される。分離した冷却ベルトを使用して、食品組成物を室温にすることができる。
【0005】
現行の方法は、多くの不利点を有している。第一に、スクロースのような、被覆剤に一般に使用される砂糖は、極めて吸湿性であり、空気から水を吸収する傾向があり、食品組成物の保存寿命を減少させ、柔らかい、かゆ状の、またはべとべとした製品を生じる。さらに、砂糖、例えばスクロース溶液または甘味シロップを、被覆剤の製造に使用した場合、組成物を柔らかく、かゆ状またはべとべとにする高水分量を有する組成物を生じないように、製品の被覆後に被覆剤の水分を除去する必要がある。これも、減少した保存寿命を有する製品を生じうる。さらに、水性被覆剤の使用は、潜在的に、食品製品に水を付加しうる。これは、「サクサク」食感を有する必要がある製品、例えば、シリアルまたはベーカリー製品にとって、特に問題である。
【0006】
甘味料、例えば、グルコース、蜂蜜またはデキストリンを使用する場合、それらはシロップ形態であることが多く、それらの高い粘性および粘着性により、回転ドラムのような従来の混合機を詰まらせる傾向がある。それは、さらに、サクサク食感を有する最終被覆製品ではなく「ベトベトする」最終被覆製品を生じうる。最後に、従来の砂糖基材被覆剤、例えば、スクロース、蜂蜜およびグルコース基材グレーズは、消費者が砂糖、カロリーまたはそれらの両方の摂取を制限する製品を求めている場合に、砂糖およびカロリーを食品製品に付加しうる。
【0007】
現行の方法は、さらに、吸湿性でもある被覆剤から最終的に除去すべきかなりの量の水を含有する被覆剤の導入により、多くの工程および付加的時間を必要とする。
【0008】
使用されている他の方法は、コストおよび時間を増加させうる付加的工程も必要とする。米国特許第6875460 B2号(‘460文献)は、共結晶化製品、ならびに水素化マルトデキストリンと共にポリオール、例えば、キシリトール、マンニトール、ソルビトールおよびエリスリトールを含む製品を製造する方法を開示している。該方法の不利点は、マルトデキストリンの水素化を必要とすることであり、それによって、化合物におけるアルデヒド、ヘミアセタールまたはケトン末端基の比率を示すデキストロース当量(DE)を本質的にゼロに減少させる。参照により‘460文献に組み入れられる米国特許第6613898号は、マルトデキストリンのような多糖を、水素化マルトデキストリンのようなポリオールに変換する1つのそのような方法を開示している。結果として、‘460文献法は他の方法よりさらに多くの工程を必要とし、該工程はマルトデキストリンの水素化を少なくとも包含する(そして、大規模操作のための代替的な、より実際的な方法において、それは、マルトデキストリンでのポリオールの水素化、ならびに冷却中の剪断の適用を開示している)。さらに、アルデヒド、ヘミアセタールおよびケトン基の除去は、マルトデキストリンと化学的に全く異なる生成物を生じる。
【0009】
従って、低カロリーまたは無糖の被覆剤を有する食品組成物が必要とされている。本発明は、吸湿性が比較的低い、適正な保存寿命を有する食品組成物を開示する。それは、被覆剤として使用されている従来の砂糖、例えばスクロースまたはシロップに匹敵する甘味および味も有する。該被覆剤は、サクサク感があり、部分的結晶光沢外観および質感を与える。それは、食品製品のために高消化耐性も有する。被覆食品組成物を製造する方法は、工程を省き、それによってエネルギー、時間および経費を節減することにより、既知の方法に改良を加えている。食品組成物は、種々の食品製品、例えば、シリアル製品(例えばコーンフレーク)、ベーキング製品、例えば、ケーキ、クッキー、ビスケットおよびメレンゲ、アイシング、グレーズ、砂糖づけ果物菓子、ヌガークラムス、膨張スナック、デーツ、ドライフルーツおよびナッツの上または中において使用することができる。
【0010】
本発明のこれらおよび他の実施態様を、以下の詳細な説明において、さらに明らかにする。
【発明の概要】
【0011】
前記に照らして、本発明の目的は、サクサクした結晶性質感を有し、適正な保存寿命を有する食品組成物用の低カロリーまたは無糖の被覆剤を提供することである。一実施形態は、食品製品および被覆剤を含む被覆食品組成物を指向する。被覆剤は、エリスリトールと充填剤との混合物を含む。被覆剤のエリスリトール部分は、被覆剤の20重量%〜90重量%を占め、充填剤は、被覆剤の10重量%〜80重量%を占める。充填剤は、マルトデキストリン、可溶性繊維およびバルク甘味料から成る群から選択される。可溶性繊維は、非デンプン性多糖、オリゴ糖、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、タガトース、イヌリン、ポリデキストロース、耐性マルトデキストリン、難消化性グルコオリゴ糖、デキストリン、および他のプレバイオティック炭水化物を包含する。バルク甘味料は、砂糖、グルコースシロップ、マルトースシロップ、高フルクトースコーンシロップ、マルトオリゴ糖、単−、二−および多−糖、蜂蜜、スクロマルト、イソマルツロース、プシコースおよびイソマルトオリゴ糖を包含する天然または人工甘味料を包含する。該被覆剤は、食品組成物を少なくとも部分的に覆う。
【0012】
他の実施形態において、食品組成物の食品製品は、シリアル製品、ベーカリー製品またはスナック製品であることができる。食品組成物は、下記から成る群から選択される1つ以上の添加剤をさらに含むことができる:着色剤、香味剤、ココアパウダー、天然または合成の高強度甘味料、リグニン、ペクチン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、ベータ−グルカン、ガラクトマンナン、カラゲナン、アルギネート、キサンタン、セルロース、デンプン、化工デンプン、変性セルロースまたはそれらの組合せ。1つ以上の添加剤は、被覆剤の0.001重量%〜10重量%を占める。一実施形態において、エリスリトールは、被覆剤の50重量%〜80重量%を占め、充填剤は、被覆剤の20重量%〜50重量%を占める。他の実施形態において、充填剤はマルトデキストリンである。さらに他の実施形態において、充填剤は、マルトデキストリンおよび少なくとも1つのバルク甘味料を含む。
【0013】
一実施形態において、被覆食品組成物を製造する方法は下記の工程を含む:エリスリトールと少なくとも1つの充填剤との混合物を溶融させ;該混合被覆剤を食品製品に吹付けて、該混合被覆剤で該食品製品を少なくとも部分的に覆い;該被覆食品製品を凝固させる。代替的実施形態において、被覆剤のエリスリトール部分は、被覆剤の50重量%〜80重量%を占め、充填剤は、被覆剤の20重量%〜50重量%を占める。
【0014】
一実施形態において、充填剤は、マルトデキストリン、可溶性繊維およびバルク甘味料から成る群から選択される。可溶性繊維は、非デンプン性多糖、オリゴ糖、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、タガトース、イヌリン、ポリデキストロース、耐性マルトデキストリン、難消化性グルコオリゴ糖、デキストリン、および他のプレバイオティック炭水化物を包含する。バルク甘味料は、砂糖、グルコースシロップ、マルトースシロップ、高フルクトースコーンシロップ、マルトオリゴ糖、単−、二−および多−糖、蜂蜜、スクロマルト、イソマルツロース、プシコースおよびイソマルトオリゴ糖を包含する天然または人工甘味料を包含する。他の実施形態において、該方法は、該混合被覆剤に、下記から成る群から選択される1つ以上の添加剤を添加することをさらに含む:着色剤、香味剤、ココアパウダー、天然または合成の高強度甘味料、リグニン、ペクチン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、ベータ−グルカン、ガラクトマンナン、カラゲナン、アルギネート、キサンタン、セルロース、デンプン、化工デンプン、変性セルロースまたはそれらの組合せ。
【0015】
他の実施形態において、溶融工程の温度は120℃〜200℃であり、吹付け工程の温度は120℃〜200℃であり、圧力は3〜15バールである。他の実施形態において、温度は130℃〜150℃であり、圧力は5〜7バールである。他の実施形態において、該方法は、エリスリトールおよび少なくとも1つの充填剤を混合して混合被覆剤を形成することをさらに含む。
【0016】
一実施形態において、被覆食品組成物を製造する方法は下記の工程を含む:エリスリトールの溶液および少なくとも1つの充填剤を、溶液に溶解させて、混合被覆剤を形成し;該混合被覆剤を食品製品に添加して、該混合被覆剤で該食品製品を少なくとも部分的に覆い;該被覆食品製品を乾燥させる。
【0017】
エリスリトールとマルトデキストリンのような充填剤とのブレンドにより、サクサク感があり、結晶性または光沢性の質感および低吸湿特性を有し、より簡略化した方法で製造される食品組成物を生じることが意外にも見出された。得られる被覆食品組成物は、下記を包含するいくつかの望ましい特性を示す:サクサク感があり、より長い保存寿命を有する低粘着性、適正流動性、低カロリー含有量および/または無糖の被覆剤。一実施形態において、混合被覆剤に水を添加しないことによって、該方法における工程数も減少される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、以下に示す詳細な説明および添付の図面により、より充分に理解される。これらの図面は、例示するものにすぎず、従って、本発明を限定するものではない。
【0019】
図1図1は、エリスリトールおよび充填剤の食品組成物を製造する方法の例を示すブロック線図である。この線図において、被覆食品組成物を製造する方法は下記の工程を含む:エリスリトール、少なくとも1つの充填剤および任意に添加剤の成分を、任意にブレンドまたは混合し(それらが別々に供給される場合);その混合物を溶融させて、混合被覆剤を形成し;該混合被覆剤を吹付けて、例えばパンコーティングによって、該混合被覆剤で食品製品を少なくとも部分的に覆い;凝固させて、被覆食品製品を得る。
【0020】
図2図2は、甘味料および成分の組成物を製造する方法の他の例を示すブロック線図である。エリスリトール、少なくとも1つの充填剤および任意に添加剤の成分を、熱水のような溶媒において供給し;その混合被覆剤で食品製品を少なくとも部分的に覆い;乾燥させて、被覆食品組成物を得る。
【0021】
図3図3は、混合被覆剤を食品製品に吹付けて、混合被覆剤で食品製品を少なくとも部分的に覆う吹付け工程を示す概略図である。一例において、吹付けはコーティングパンで行なわれる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
選択定義
本明細書において使用されている下記の用語は、下記の意味を有する。
【0023】
本明細書において使用されている「エリスリトール」という用語は、砂糖代替物として周知であり、甘味料としての使用が世界中で承認されている天然砂糖アルコールを指す。エリスリトールは、構造式HOCH2-CHOH-CHOH-CH2OH(C4H10O4)を有する四価ポリオールである。
【0024】
本明細書において使用されている「マルトデキストリン」という用語は、可変長さの鎖においてD-グルコース単位がα(1→4)グリコシド結合で結合した構造を有し、C6nH(10n+2)O(5n+1)の分子式を有する多糖を指す。マルトデキストリンは、20未満のデキストロース当量を有する食用デンプンから得られる糖の乾燥製品または精製水溶液である。米国以外では、その製品はデキストリンとして知られていることもあり;米国のみが、マルトデキストリンの公式定義を有している。
【0025】
本明細書において使用されている「デキストロース当量(またはDE)」という用語は、乾燥重量ベースでD-グルコースとして算出される全還元糖の尺度を指す。承認されているDE測定法はレイン−エイノン滴定であり、これは硫酸銅溶液の還元を測定する。非加水分解性デンプンはゼロのDE値を有し、無水D-グルコースのDE値は100である。
【0026】
本明細書において使用されている「可溶性繊維」という用語は、下記のような化合物を指す:非デンプン性多糖、オリゴ糖、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、タガトース、イヌリン、ポリデキストロース、耐性マルトデキストリン、難消化性グルコオリゴ糖、デキストリン、および他のプレバイオティック炭水化物。明確さのために、難消化性オリゴ糖は、いくつかの方法(結合のタイプおよび鎖長)で結合した種々の単糖から成り、一般に、鎖長のみが異なる同種の分子の多分散性セットから成る。それらは、下記のいずれかによって製造される:(1)天然源(大豆オリゴ糖)から抽出し、次に、部分的酵素加水分解を行なう(例えば、キシロオリゴ糖、アラビノキシロオリゴ糖、オリゴフルクトース)、または(2)二糖、例えば、ラクトース、マルトースまたはスクロースを、トランスフェラーゼの作用に付すことによって合成する(例えば、トランスガラクトオリゴ糖、グルコオリゴ糖、フルクトオリゴ糖、またはコジビオオリゴ糖)。それらの化学的特性は異なるが、全て耐消化性である。耐性マルトデキストリンは、グルコースの短鎖ポリマーであり、これも耐消化性である。
【0027】
本明細書において使用されている「バルク甘味料」という用語は、下記を包含する天然または人工甘味料のような化合物を指す:砂糖、グルコースシロップ、マルトースシロップ、高フルクトースコーンシロップ、マルトオリゴ糖、単−、二−および多−糖、蜂蜜、スクロマルト、イソマルツロース、プシコースおよびイソマルトオリゴ糖。
【0028】
本明細書において使用されている「充填剤」という用語は、被覆剤または混合被覆剤の一部分を構成するマルトデキストリン、可溶性繊維またはバルク甘味料を指す。
【0029】
本明細書において使用されている「添加剤」という用語は、被覆食品組成物または被覆剤に添加することができる任意の数の化合物を指す。添加剤は、製造法の任意の工程(被覆剤を形成するかまたは被覆食品製品を形成する任意の工程中を包含する)で添加することができる。添加剤は、下記を包含しうる:着色剤、香味剤、ココアパウダー、天然または合成の高強度甘味料、リグニン、ペクチン、アラビノキシラン、アラビノガラクタン、ベータ−グルカン、ガラクトマンナン、カラゲナン、アルギネート、キサンタン、セルロース、デンプン、化工デンプン、変性セルロースまたはそれらの組合せ。
【0030】
本明細書において使用されている「被覆剤」という用語は、エリスリトールと1つ以上の充填剤との混合物を指す。
【0031】
本明細書において使用されている「混合被覆剤」という用語は、混合されているエリスリトールおよび1つ以上の充填剤を指す。
【0032】
本明細書において使用されている「食品製品」という用語は、摂取に適した食用製品を指し、下記を包含する:シリアル製品、ベーキング製品、例えば、ケーキ、ビスケット、ドーナツ、メレンゲ、アイシング、グレーズおよびクッキー、スナック製品、例えば、砂糖づけ果物菓子、ヌガークラムス、膨張スナック、デーツ、ドライフルーツ、ナッツ、および液体と接触しうる他の製品。
【0033】
本明細書において使用されている「被覆食品組成物」という用語は、食品製品と、被覆剤または混合被覆剤との組合せを指す。
【0034】
本明細書において使用されている「成分」という用語は、被覆剤または混合被覆剤を構成する任意の化合物を指し、エリスリトール、充填剤および添加剤を包含する。
【0035】
本明細書において使用されている「混合」という用語は、成分を混ぜ合わせる工程を指す。
【0036】
本明細書において使用されている「溶融」という用語は、状態が固体から液体に変化するまで成分を加熱する工程を指す。
【0037】
本明細書において使用されている「吹付け」という用語は、アトマイザーノズルを使用して、混合被覆剤を液体の微細な霧に変換し、それを食品製品に吹き付けて、食品製品を混合被覆剤で少なくとも部分的に覆う工程を指す。
【0038】
本明細書において使用されている「溶解」という用語は、エリスリトールおよび少なくとも1つの充填剤の溶液を形成する工程を指す。溶液は、水溶液であることができる。
【0039】
本明細書において使用されている「添加」という用語は、エリスリトール、少なくとも1つの充填剤、および任意に添加剤を包含する成分を、溶液において共に供給して、混合被覆剤を形成することを指す。
【0040】
以下の本発明の説明は、本発明の種々の実施形態を例示するものである。従って、記載される特定の改変は本発明の範囲を限定するものではないと解すべきである。本発明の範囲を逸脱せずに、種々の等価物、変化および改変を加えうることが当業者に明らかであり、そのような等価実施形態は本発明に包含されるものと理解される。
【0041】
被覆食品組成物
本開示の被覆食品組成物は、エリスリトールおよび少なくとも1つの充填剤を包含する被覆剤を構成する多くの成分の組合せである。被覆食品組成物は、従来の砂糖被覆剤と比較して低いカロリーであるか、無糖であるか、またはその両方であることができる。それは、従来の砂糖被覆剤に匹敵する甘味、味およびサクサク感を有する被覆剤を与えるという利点も有する。さらに、それは、部分的結晶光沢外観および質感を有するという利点を有する。かつ、それは、極めて低い吸湿性を有する少なくとも1つの化合物エリスリトールを使用することにより、保存寿命を増加させることができる。
【0042】
エリスリトールは、砂糖代替物として使用することができる天然砂糖アルコールである。それは、約0.65の甘味度を有する(スクロースは1.0の甘味度を有する)が、スクロースの2.4kcal/gと比較して、0.2カロリー/グラムのカロリー値を有するにすぎない。従って、砂糖のような高カロリー甘味料を使用した製品と比較して低カロリーの製品、または無糖の製品を製造するために、それを使用することができる。それは非吸湿性であり、極めて低い粘性を有し、Cargill, IncorporatedからZerose(商標)銘柄エリスリトールとして、結晶性粉末として市販されている。甘味料としてよく使用される他の砂糖アルコールと異なり、エリスリトールは血糖に影響を及ぼさず、虫歯を生じず、体に容易に吸収され、それにより胃への副作用を減少させる。
【0043】
充填剤を構成する成分の1つは、マルトデキストリンである。それは一般に20未満のDEを有し、中程度の甘さ〜中立な味であり、易消化性である。それは、Cargill, IncorporatedからC Dry MD(商標)マルトデキストリンとして、噴霧乾燥粉末として市販されている。マルトデキストリンは、低カロリーまたは無糖の被覆剤または被覆食品組成物の一部として使用することができる。
【0044】
充填剤を構成する他の成分は、可溶性繊維であり、それはヒトの食事に嵩を付加し、血糖の調節を助けるという利点を有する。可溶性繊維をエリスリトールおよび他の充填剤と組み合わせて、低カロリーまたは無糖の被覆剤または食品組成物を形成することができる。
【0045】
無カロリー被覆食品製品が所望される場合、被覆食品製品の一実施形態は、マルトデキストリンと混合したエリスリトール、可溶性繊維と混合したエリスリトール、またはマルトデキストリンと1つ以上の可溶性繊維との組合せと混合したエリスリトールを含む被覆剤混合物を含有しうる。
【0046】
または、低カロリー被覆食品製品が所望される場合、充填剤の1つは、少なくとも1つのバルク甘味料であることができる。エリスリトールとの組合せにおいて、被覆剤および被覆食品組成物のカロリー値は、砂糖またはシロップから作られた従来の被覆剤と比較して減少される(なぜなら、エリスリトールが、砂糖の約5パーセントにすぎないカロリー値を有するからである)。低カロリー被覆食品組成物は、エリスリトールおよび少なくとも1つのバルク甘味料、ならびに他の充填剤、例えば、マルトデキストリン、可溶性繊維または他のバルク甘味料を含むことができる。
【0047】
一実施形態において、エリスリトールは、被覆剤の20重量%〜90重量%を占め、少なくとも1つの充填剤は、被覆剤の10重量%〜80重量%を占める。他の実施形態において、エリスリトールは、被覆剤の50重量%〜80重量%を占め、充填剤は、被覆剤の20重量%〜50重量%を占める。さらに他の実施形態において、エリスリトールは、被覆剤の50重量%〜70重量%を占め、充填剤は、被覆剤の30重量%〜50重量%を占める。
【0048】
他の実施形態において、添加剤を、製法の任意の段階で、被覆剤または混合被覆剤に添加することができる。添加剤は、被覆食品製品に、所望の色、香味または付加的甘味を加えることができる。1つ以上の添加剤を被覆剤に添加することができ、添加剤は被覆剤の0.001重量%〜10重量%を占める。
【0049】
被覆食品組成物を製造する方法
理解しやすくするために、被覆食品組成物を製造する方法を、図1、2および3に関して以下に説明する。しかし、当業者は、そのような方法の実施態様を他のシステムにおいて実施しうることを理解する。
【0050】
一実施形態において、被覆食品組成物が下記の工程によって製造される:エリスリトールと少なくとも1つの充填剤との混合物を溶融させて、混合被覆剤を形成し;該混合被覆剤を食品製品に吹付けて、該混合被覆剤で該食品製品を少なくとも部分的に覆い;得られた被覆食品製品を凝固させる。溶融工程は、押出機、炉、二重ジャケット容器または平鍋のような装置において、熱、蒸気、マイクロ波または他の手段によって、混合物に熱を加える当分野で既知の任意の方法で行なうことができる。一実施形態において、混合物を120℃〜200℃の温度に加熱する。この方法は、従来の砂糖被覆剤と比較して減少したカロリー、無糖、またはその両方の製品を製造することができる。さらに、その方法は、製法の任意の工程における、混合被覆剤または被覆食品製品への添加剤の導入を可能にする。
【0051】
吹付け工程は、ベンチュリー効果に基づいて、アトマイザーノズルを使用して、混合被覆剤を液体の微細な霧に変換する。気体を狭窄部に吹き込んだ際に、気体が加速し、それにより最狭点で圧力を減少させる。減圧によって、細管から混合被覆剤が吸引されて流れとなり、該流れにおいて、それが低圧で沸騰し、何千もの液体粒子を形成する。被覆剤を食品製品に吹付けることによって、これらの混合被覆剤液体粒子が、食品製品を少なくとも部分的に覆うことができる。食品製品を少なくとも部分的に覆う他の方法は、被覆剤と連続的に混合される食品製品に、被覆剤液体を注ぐことによって行なわれる。吹付け工程の温度は120℃〜200℃であることができ、圧力は3〜15バールであることができる。他の実施形態において、温度は130℃〜150℃であり、圧力は5〜7バールである。
【0052】
食品製品を被覆する方法の凝固工程は、当分野で既知のいくつもの方法によって行なうことができ、そのような方法は、室温への空気乾燥、冷却空気を使用する強制冷却、または冷却面(例えば、冷却ベルト)の使用を包含する。
【0053】
代替的実施形態において、出発物質は、溶液に溶解させたエリスリトールおよび少なくとも1つの充填剤の溶液であることができる。後続の工程は、混合被覆剤を食品製品に添加して、混合被覆剤で食品製品を少なくとも部分的に覆う工程、および被覆食品製品を乾燥させる工程を包含する。溶液は、成分の水溶液であることができる。溶液は、事前に作製された溶液であってもよく、または成分を溶液中で混合することによって作製される溶液であってもよい。次に、当分野で既知の方法、例えば、40℃〜250℃の温度で熱を適用することによって、被覆食品製品から水を除去するために乾燥工程が必要である。他の一般的な方法は、焼いた品の場合のように、熱面で被覆し、次に、被覆製品を冷却して、結晶化を誘発させる方法である。冷却は、冷却トンネルで行なうことができる。
【0054】
この方法は、従来の砂糖またはシロップ被覆剤と比較して、減少したカロリーの製品を生じることができる。さらに、成分の1つがエリスリトールであるので、それは結晶性構造およびサクサク質感を持つ外観を有する。さらに、その低吸湿性は、従来の砂糖またはシロップ基材被覆剤のように湿気を吸収しないので、より長い保存寿命を与える。
【実施例】
【0055】
種々の組成物製造法による被覆食品組成物の実施態様を、以下の実施例において示す。被覆食品組成物およびその製造法の利点は、組成物において行なわれた実施例から明らかである。ある特定の実施例において、該方法は、水を添加せずにエリスリトールとマルトデキストリンとの混合物を使用することによって簡略化される。これにより、乾燥工程を必要としないので、該方法において必要とされる工程が減少する。それは、さらに、得られる被覆剤および被覆食品製品の向上した結晶特性を生じる。
【実施例1】
【0056】
この実施例において、105gのエリスリトール(C*Eridex 16952, Cargill, Incorporated)だけが、250gのコーンフレークを含む食品製品の被覆剤である。噴霧乾燥エリスリトールを、粉末が溶融するまでマイクロ波で加熱し、次に、コーティングパンにおいて食品製品に一度に添加する。コーティングパンの回転速度は、毎分25回転(rpm)である。次に、溶融エリスリトール被覆剤と食品製品との混合物を冷却する。水を混合物に添加していないので、エリスリトールの結晶化(これは、添加された水を除去するために蒸発または乾燥工程を必要とすると考えられる)を開始させるために乾燥空気を添加する必要がない。溶融エリスリトールは、冷却工程の間に急速に結晶化するが、それはコーティングパンの壁においても結晶化する。被覆剤が食品製品を部分的に覆う。
【実施例2】
【0057】
実施例2において、実施例1と同じパラメータを使用し、但し、被覆剤の出発物質はC* PharmEridex DC 16967(商標)ブレンドであり、これはEridex(商標)エリスリトールおよびC* MD 01955(商標)マルトデキストリン(全てCargill, Incorporatedより)の噴霧乾燥混合物である。エリスリトールは混合物の90重量%であり、マルトデキストリンは混合物の10重量%である(90/10)。
【0058】
この実施例において、純エリスリトール被覆剤と比較して、エリスリトールとマルトデキストリンとの混合物を被覆剤として使用する利点の1つは、該混合物がより遅い結晶化速度を有し、それにより、コーティングパンの壁において、より少ない量の被覆剤を生じる。混合被覆剤が食品製品を部分的に覆う。
【0059】
以下のパイロット試験を、多くの被覆剤混合物において行なう。最初の2つの実施例は、エリスリトールとマルトデキストリンとの種々の混合物を含む後続の3つの試験と比較して、エリスリトールとカラゲナンとの混合物を使用する。最初の実施例は、粘性すぎるという不利点を有する。エリスリトールとマルトデキストリンとの混合物を被覆剤として使用する後続試験は、食品製品へのより適正な適用を示す。
【実施例3】
【0060】
この実施例において、5kgのエリスリトール(Eridex(商標)16954エリスリトール、Cargill)および100gのカラゲナン(Satiagel(商標) UTH 18カラゲナン)を、Loedigeプローシェアーミキサー(M120 GREI型)によってミキサー速度160rpmで10分間混合する。
【0061】
次に、この混合物1kgを、4リットルの容器に移す。この容器はジャケットを有し、底部出口に噴霧ノズル(Spraying SystemsからのフルコーンノズルTG0.3)がねじで取り付けられている(図3参照)。次に、二重ジャケットに2〜3バールで蒸気を供給することによって、混合物を130℃に加熱する。次に、容器を閉め、5.5バールにおいて圧縮空気で加圧する。溶融混合物を、噴霧ノズルを経て押し出し、2kgのコーンフレークを含有する回転コーティングパンに集めて、被覆食品製品を形成する。
【0062】
得られたエリスリトールとカラゲナンとの混合物は、ノズルから霧状飛沫として出てこず、噴流として出てくるにすぎなかったので、充分に機能しなかった。
【実施例4】
【0063】
次の実施例において、前記と同じ共溶融物を使用し、但し、固体流れノズル(Spraying SystemsからのHI/8U-SS-00015型)を使用する。この実施例において、霧状飛沫も、墳流さえも存在せず、小滴がラインノズルから出てきたにすぎなかった。追加加熱を適用することによって、最終的に墳流が出てきた。エリスリトールおよびカラゲナンのこれら2つの実施例は、飛沫が所望される食品製品への被覆剤の適用において、許容できる結果を生じなかった。
【実施例5】
【0064】
この実施例において、方法および工程は前記実施例3と同じであり、但し、溶液はエリスリトールとマルトデキストリンとの混合物を含む。エリスリトールは混合物の80重量%であり、マルトデキストリンは混合物の20重量%である(80/20)。他のパラメータは前記と同様である。
【0065】
80/20% w/wの比率のエリスリトールとマルトデキストリンとの混合物を被覆剤として使用するこの方法の結果は、エリスリトールとカラゲナンとの混合物を使用した場合より優れている。該方法は、混合物の適正な吹付けを可能にする。
【実施例6】
【0066】
この実施例において、方法および工程は前記実施例3と同じであり、但し、溶液はエリスリトールとマルトデキストリンとの混合物を含む。エリスリトールは混合物の70重量%であり、マルトデキストリンは混合物の30重量%である(70/30)。他のパラメータは前記と同様である。
【0067】
70/30% w/wの比率のエリスリトールとマルトデキストリンとの混合物を被覆剤として使用するこの方法の結果は、エリスリトールとカラゲナンとの混合物を使用した場合より優れている。該方法は、混合物の適正な吹付けを可能にする。
【実施例7】
【0068】
この実施例において、方法および工程は前記実施例3と同じであり、但し、溶液はエリスリトールとマルトデキストリンとの混合物を含む。エリスリトールは混合物の50重量%であり、マルトデキストリンは混合物の50重量%である(50/50)。他のパラメータは前記と同様である。
【0069】
50/50% w/wの比率のエリスリトールとマルトデキストリンとの混合物を被覆剤として使用するこの方法の結果は、エリスリトールとカラゲナンとの混合物を使用した場合より優れている。該方法は、結晶性であり粘着性でない適正な被覆剤である混合物の、適正な吹付けを可能にする。
【0070】
シリアル製品のような食品製品を、エリスリトールとマルトデキストリンのような充填剤との混合物で被覆する利点の1つは、被覆剤が、水性溶液のような溶液から出発するのではなく溶融物から出発しうることである。これは、いくらかの水を吸収しうる食品製品の湿潤を防止する。この湿潤は、被覆の間に、膨張食品製品の崩壊を生じうる。それは、食品製品が被覆後に充分に乾燥されていない場合に、サクサク感の減少も生じうる。本発明で開示されている方法を使用すれば、乾燥工程が必要ない。被覆剤の結晶化が、蒸発によってではなく、冷却によって行なわれる。これは、被覆方法に水を使用した場合に生じうる問題を生じずに、極めて感湿性の食品製品を被覆することを可能にする。しかし、必要であれば、従来の被覆法を使用して、エリスリトール、充填剤および他の添加剤の水溶液を適用することによって、記載の溶液を適用することもできる。エリスリトールは吸湿性ではないので(砂糖は極めて吸湿性である)、得られる被覆食品製品は、よりサクサクした食感および質感を有し、より長い保存寿命を示す。
【0071】
前記のように、先の記載は本発明の種々の実施形態を例示するものにすぎない。前記の特定の改変は、本発明の範囲を限定するものと解すべきではない。本発明の範囲を逸脱せずに、種々の等価物、変更および改変を加えうることは当業者に明らかであり、そのような同等の実施形態は本発明に含まれるものと理解される。本明細書において引用されている全ての文献は、あたかも本明細書に完全に記載されているかのように、参照により組み入れられる。
図1
図2
図3