特許第5923507号(P5923507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5923507固定/解放装置および関連する空中投下装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5923507
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】固定/解放装置および関連する空中投下装置
(51)【国際特許分類】
   B64D 17/56 20060101AFI20160510BHJP
【FI】
   B64D17/56
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-532240(P2013-532240)
(86)(22)【出願日】2011年10月7日
(65)【公表番号】特表2013-539730(P2013-539730A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】FR2011000544
(87)【国際公開番号】WO2012045929
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2014年10月2日
(31)【優先権主張番号】1004002
(32)【優先日】2010年10月8日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513086496
【氏名又は名称】エタ・フランセ・ルプレザンテ・パール・ル・デレゲ・ジェネラル・プール・ラルムマン
【氏名又は名称原語表記】ETAT FRANCAIS represente par LE DELEGUE GENERAL POUR L’ARMEMENT
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(74)【代理人】
【識別番号】100176463
【弁理士】
【氏名又は名称】磯江 悦子
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ルイ・フォルサン
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−289500(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/086602(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0218100(US,A1)
【文献】 特開2001−063695(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0230555(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 1/00 − 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数トンまでの荷物(51)を支えることのできる第1部材(65)及びこの第1部材と上記荷物とを支えることのできる第2部材を固定/解放する固定/解放装置であって、上記第2部材は、サポートを備え、このサポートには、
上記第1部材および第2部材の解放を引き起こすことのできる第1手段(4,16,21,26)と、
上記サポート(1)に固定された第1部分()と、上記荷物の一部を支えることができ上記第1部分()に対して、高位置と称される第1位置と第2位置との間で動くことのできる第2部分(14)とを備えたフックであって、上記第1位置では上記第1部分と上記第2部分とがフックを形成し、上記第2位置では上記第1部分と上記第2部分とはもはやフックを形成せず、上記第2部分(14)は、回転軸(11)によって上記第1部分に固定された第1端を備え、上記装置の使用中は上記荷物及び上記第1部材の重さの少なくとも一部を支持するフック(3)と、
上記フック(3)の上記第2部分の上記第1位置をロック及びロック解除する手段であって、上記第1手段(4,16,21,26)が上記フック(3)の上記第2部分の上記第1位置のロック解除を制御することができるロック及びロック解除手段(7,8,25,71,76)と
が固定されている固定/解放装置において、
上記ロック及びロック解除手段(7,8,25,71,76)は、上記サポート(1)またはこのサポート(1)に固定された部材に形成された軸OXを有するボア(9)内に、直接または間接に、同軸に設けられたプランジャー(71)と本体(7)とを有するボールスピンドル(8)を備えており、
上記第1手段(4,16,21,26)は、上記スピンドル(8)のプランジャー(71)に接続され、かつ/または、その変位を制御することができ、
作動中、上記フック(3)の第2部分(14)が高位置と称される自身の第1位置にロックされ、上記フック(3)が上記第1部材(65)および荷物(51)を支持しているとき、上記フック(3)の第2部分(14)は、直接または間接に、上記ボールスピンドル(8)の本体(7)に対して、上記軸OXに沿って、上記第1部材と上記荷物との質量に比例する力F1を及ぼすことができることを特徴とする固定/解放装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固定/解放装置において、
作動中、上記フック(3)が上記第1部材(65)および荷物(51)を支持しているとき、上記フック(3)の第2部分(14)は、上記ボールスピンドル(8)の本体(7)に対して、上記軸OXに沿った第1の力F1と上記軸OXに直交する軸OYに沿った第2の力F2とに分解される力を直接または間接に及ぼすことができ、上記第1の力と第2の力との比F1/F2は、3に少なくとも等しいことを特徴とする固定/解放装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の固定/解放装置において、
上記第1手段(4,16,21,26)は、上記スピンドル(8)の本体(7)からの上記プランジャー(71)の完全または部分的な解放を制御することができることを特徴とする固定/解放装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1に記載の固定/解放装置において、
上記ロック及びロック解除手段(7,8,25,71,76)は、可動の第1アセンブリ(7,8,71)と可動の第2アセンブリ(25)とを備え、
上記第1アセンブリ(7,8,71)は、少なくとも2つの位置を取ることのできる上記ボールスピンドル(8)によって構成されており、上記2つの位置のうち、第1位置では、上記ボールスピンドルが上記サポート(1)またはこのサポートに固定された部材に固定され、第2位置では、上記ボールスピンドルが上記サポートまたはこのサポートに固定された上記部材から解放され、
上記第2アセンブリ(25)はロック位置と呼ばれる第1位置と、第2位置との間を動くことのできる可動手段によって構成されており、この第1位置では、上記第2アセンブリは、上記スピンドル(8)と協働して、その第1位置にある上記フックの上記第2部分(14)をブロックすることができ、上記第2位置では上記フックの上記第2部分をロック解除することを特徴とする固定/解放装置。
【請求項5】
請求項4に記載の固定/解放装置において、
上記第2アセンブリ(25)は、回転シャフト(76)によって上記サポートに固定されこのサポートに対して第1位置と第2位置との間を動くことのできるL形状のロック用フィンガー(25)によって構成されており、第1位置では、上記第2アセンブリの一部分が上記フックの第2部分(14)に接触可能であり、上記フック(3)はそのとき動作位置にあり、第2位置は上記フック(3)の第2部分(14)を上記ロック用フィンガー(25)から解放するのを許容する位置であることを特徴とする固定/解放装置。
【請求項6】
請求項に記載の固定/解放装置において、
ロック用フィンガー(25)は上記フック(3)の第2部分(14)の自由端に接触可能なベース部分を備え、接触可能なこのベース部分とこの自由端とは、丸い形状、例えば半円筒形状を有することを特徴とする固定/解放装置。
【請求項7】
請求項6に記載の固定/解放装置において、
上記スピンドル(8)の本体(7)の自由端は、上記ロック用フィンガーの、上記自由端に垂直な部分の長さの、上記ベース部分から最初の3分の1の部分に当接することを特徴とする固定/解放装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1に記載の固定/解放装置において、
上記第1手段(4,16,21,26)は、閾値を越えたときまたは外部信号を受け取ったときに上記第1及び第2部材の解放を引き起こすことのできるセンサー(26)、例えば高度計またはクロノバロメトリックセンサーを備えていることを特徴とする固定/解放装置。
【請求項9】
請求項8に記載の固定/解放装置において、
上記ボールスピンドル(8)はケーブル(21)に固定されており、上記センサー(26)は、閾値を越えたときまたは外部信号を受け取ったときにこのケーブルの変位を制御することができることを特徴とする固定/解放装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1に記載の固定/解放装置において、
半円形のリールが上記サポートに固定されており、上記ロック及びロック解除手段は、少なくとも一部がこのリールの一側に配置される一方、上記センサーは上記リールのもう一側に配置され、上記ケーブルは一部が上記リール上にあることを特徴とする固定/解放装置。
【請求項11】
飛行乗物から荷物を空中投下するための空中投下装置であって、
請求項1乃至10のいずれか1に記載の固定/解放装置を備え、上記固定/解放装置の上記サポートは、安定用パラシュートと呼ばれる第1のパラシュートとメインパラシュートと呼ばれる第2のパラシュートのバッグとに接続されていることを特徴とする空中投下装置。
【請求項12】
請求項11に記載の空中投下装置において、
上記メインパラシュートと荷物とに固定され上記フックに掛けられる第1部材を備えたことを特徴とする空中投下装置。
【請求項13】
請求項11に記載の空中投下装置において、
上記第1部材は中央の筒状部分を備え、上記フックの下部は上記第1部材の筒状部分と相補の筒状の開口を形成することを特徴とする空中投下装置。
【請求項14】
荷物を支えることができ、メインパラシュートに接続された第1部材及びこの第1部材と上記荷物とを支えることのできる第2部材を固定/解放する固定/解放装置であって、
上記第2部材は、安定用パラシュートに固定されると共にサポートを備え、このサポートには、飛行中、閾値を超えたときまたは外部信号を受けたとき、上記第1部材および第2部材の解放を引き起こすことのできるセンサーを備えた第1手段が固定されており、上記第2部材は、上記サポートに固定された第1部分と、上記荷物の一部を支えることができ上記第1部分に対して、高位置と称される第1位置と第2位置との間で動くことのできる第2部分とを備え、上記第1位置では上記第1部分と上記第2部分とがフックを形成し、上記第2位置では上記第1部分と上記第2部分とはもはやフックを形成せず、上記第2部分は、回転軸によって上記第1部分に固定された第1端を備え、上記装置の使用中は上記荷物及び上記第1部材の重さの少なくとも一部を支持し、
ロック及びロック解除手段が上記フックの上記第2部分の上記第1位置をロック及びロック解除し、上記センサーは上記フックの上記第2部分の上記第1位置のロック解除を制御することができ、
上記ロック及びロック解除手段は、
回転シャフトによって上記サポートに固定され第1位置と第2位置との間を動くことのできるL形状の可動フィンガーを備え、上記第1位置では、形状Lのベース部分が上記フックの上記第2部分に接触可能であり、したがって、上記フックは動作位置にあり、上記第2位置は上記フックの上記第2部分を上記ロック用フィンガーから解放するのを可能とする位置であり、
また、少なくとも2つの位置の間を動くことのできるボールスピンドルによって構成される第2部材を備え、上記少なくとも2つの位置のうちの第1位置では、それは上記ロック用フィンガーをその第1位置でブロックする一方、上記少なくとも2つの位置のうちの第2位置では、上記ロック用フィンガーはロック解除され、上記センサーはこの第2部材の上記第1位置から上記第2位置への移動を制御することができる
ことを特徴とする固定/解放装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飛行乗物から積み荷を空中投下するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中ぐらいの高度、高い高度、非常に高い高度から荷物を空中投下することは、道路の車列にのしかかる脅威を克服しつつ、地上の部隊への補給を図ることができる。道路の車列はゆっくり進むので、近づくことが困難なエリア、特に敵のエリアにおいて攻撃を受けやすいのである。
【0003】
加えて、高い高度(7500メートル)からの空中投下は飛行乗物をミサイル発射から守ることを可能とする。
【0004】
原理は、1トン以上にも達する荷物の自由落下の後、荷物の保全を確保しつつ正確に着地させるために、この荷物の翼すなわちメインパラシュートを、できるだけ遅い瞬間に開くことによって荷物の速度を落とすことに基づく。
【0005】
飛行車両から荷物を空中投下させる装置であって、第1の安定用のパラシュートと、最後の段階での荷物の減速を確実に行うための第2のメインパラシュートと、ある高度で第2のパラシュートを展開させることができる手段とを備えたものが知られている。
【0006】
空中投下の瞬間にあって、まさに飛行機の外にでたとき、上記第1の安定用パラシュート(小さめのサイズの翼からなる)が開く。この翼は回転する荷物を安定させるように設計されている。
【0007】
地上500メートル未満のところで、第1のパラシュートが荷物から解放される一方、第2のパラシュートが解放される。
【0008】
その目的のために、展開手段は通常、クロノバロメトリックトリガーと、パイロテクニック手段(発火手段)と、第1のパラシュートに接続されたストラップを切断することのできる切断手段とを備えている。このストラップをちぎることで第1のパラシュートを少なくとも部分的に荷物から切り離すと、この第1のパラシュートは、荷物から離れて移動していきながら第2のパラシュートのバッグを運び去るので、第2のパラシュートが展開できる。
【0009】
上記のクロノバロメトリックトリガーは、パラシュートジャンプ中に翼を開くために用いられる装置である。グラウンドレベルで予め設定された高度で、この装置は、ケーブルを駆動するバネを解放する。ケーブルの一端はバネに接続されており、ケーブルの他端はパイロテクニックディスコネクタに接続されている。ケーブルの動きは2つのパイロテクニックディスコネクタの発火を誘発することとなり、2つのパイロテクニックディスコネクタが、荷物を安定用翼に接続しているストラップを切断するカッターを推進する。
【0010】
荷物と安定用翼とが分離する。この分離によって、新しいストラップが伸展し、着地まで荷物を減速するように設計された第2のパラシュートの主翼(荷物翼)を収納したバッグを開く。
【0011】
1〜2トンとなり得る荷物を支えなければならない1以上のストラップの必要強度およびこの荷物によってストラップに及ぼされる力を考慮すると、現在、荷物から第1のパラシュートを分離する(切り離す)ための装置は外にはない。
【0012】
上記のパイロテクニック手段は、大きい力で切断手段をストラップ上に突出させてストラップを切断するのに用いられる。このような装置には、複雑かつ再使用もできないという不都合がある。
【0013】
このシステムは、満足のゆくものではあるが、2つの主な不都合が有る。つまり、長くて複雑な実装と、高い使用コストである。なぜならば、パイロテクニックディスコネクタは再使用できないからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明の課題は、完全にかつ即座に再使用可能で、単純で、高価でなく、かつ迅速に実行可能な空中投下装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の特徴によれば、提供される解決手段は、恐らく数トンにもなる荷物を支えることのできる第1部材及びこの第1部材と上記荷物とを支えることのできる第2部材を固定/解放する装置であって、上記第2部材は、サポートを備え、このサポートには、
上記第1部材および第2部材の解放を引き起こすことのできる第1手段と、
上記サポートに固定された第1固定部分と、上記荷物の一部を支えることができ上記第1部分に対して、高位置と称される第1位置と第2位置との間で動くことのできる第2部分とを備えたフックであって、上記第1位置では上記第1部分と上記第2部分とがフックを形成し、上記第2位置では上記第1部分と上記第2部分とはもはやフックを形成せず、上記第2可動部分は、例えば回転軸によって上記第1部分に固定された第1端を備え、上記装置の使用中は上記荷物及び上記第1部材の重さの少なくとも一部を支持するフックと、
上記フックの上記第2可動部分の上記第1位置をロック及びロック解除する手段であって、上記第1手段が上記フックの上記第2可動部分の上記第1位置のロック解除を制御することができるロック手段及びロック解除手段と
が固定されている固定/解放装置において、
上記ロック手段は、上記サポートまたはこのサポートに固定された部材に形成された軸OXを有するボア内に、直接または間接に、同軸に設けられたプランジャーと本体とを有するボールスピンドルを備えており、
上記第1手段は、上記スピンドルのプランジャーに接続され、かつ/または、その変位(変位量)を制御することができ、
作動中、上記フックの第2可動部分が高位置と称される自身の第1位置にロックされ、上記フックが上記第1部材および荷物を支持しているとき、上記フックの第2可動部分は、直接または間接に、上記ボールスピンドルの本体に対して、上記軸OXに沿って、上記第1部材と上記荷物との質量に比例する力F1を及ぼすことができることを特徴とする。
【0016】
上記フックは、一方で、上記フックの第2部分がその第1位置にあり、他方、上記ロック及びロック解除手段がロックされた位置にあり、かつ、上記センサーが上記フックの可動の上記第2部分のロック解除を制御することができるときのみ、荷物を支えることができる動作位置と呼ばれる位置にある。
【0017】
好ましい構成によれば、本発明の固定/解放装置は、作動中、上記フックが上記第1部材および荷物を支持しているとき、上記フックの第2可動部分は、上記ボールスピンドルの本体に対して、上記軸OXに沿った第1の力F1と上記軸OXに直交する軸OYに沿った第2の力F2とに分解される力を直接または間接に及ぼすことができ、上記第1の力と第2の力との比F1/F2は、3に少なくとも等しく、好ましくは、9に少なくとも等しいことを特徴とする。
【0018】
ボールスピンドルを用いると共に、主としてOXに沿ってそのボールスピンドルに力を及ぼすことは、一方において、数キログラムの力(したがって、例えば広く普及しているクロノバロメトリックセンサーが及ぼし得る力に対応する力)でスピンドルの本体からプランジャーを取り除くことを可能とし、また、他方において、たとえ数キログラムの力が軸OXに沿ってボールスピンドルに及ぼされたとしても、スピンドルをロック位置に維持することを可能とする。これは、荷物の質量が数キログラムから数トンであろうと、言えることである。
【0019】
特定の構成によれば、本発明の固定/解放装置は、上記第1手段は、上記スピンドルの本体からの上記プランジャーの完全または部分的な解放を制御することができることを特徴とする。
【0020】
荷物の重さから生じた、スピンドルに及ぼされる力を制限することを可能とする別の構成によれば、上記ロック手段は、可動の第1アセンブリと可動の第2アセンブリとを備え、上記第1アセンブリは、少なくとも2つの位置を取ることのできる上記ボールスピンドルによって構成されており、上記2つの位置のうち、第1位置では、上記ボールスピンドルが上記サポートまたはこのサポートに固定された部材に固定され、第2位置では、上記ボールスピンドルが上記サポートまたはこのサポートに固定された上記部材から解放され、上記第2アセンブリはロック位置と呼ばれる第1位置と、第2位置との間を動くことのできる可動手段によって構成されており、この第1位置では、上記第2アセンブリは、上記スピンドルと協働して、その第1位置にある上記フックの上記第2部分をブロックすることができ、上記第2位置では上記フックの上記第2部分をロック解除する。
【0021】
特定の構成によれば、上記第2アセンブリは、回転シャフトによって上記サポートに固定されこのサポートに対して第1位置と第2位置との間を動くことのできるL形状のロック用フィンガーによって構成されており、第1位置では、上記第2アセンブリの一部分が上記フックの第2部分に接触可能であり、上記フックはそのとき動作位置にあり、第2位置は上記フックの第2部分を上記ロック用フィンガーから解放するのを許容する位置であり、そして場合によっては、
ロック用フィンガーは上記フックの第2部分の自由端に接触可能なベース部分を備え、接触可能なこのベース部分とこの自由端とは、丸い形状、例えば半円筒形状を有し、
上記スピンドルの本体の自由端は、上記ロック用フィンガーの、上記自由端に垂直な部分の長さの、上記ベース部分から最初の3分の1の部分に当接する。
【0022】
別の特徴によれば、上記第1手段は、閾値を越えたときまたは外部信号を受け取ったときに上記第1及び第2部材の解放を引き起こすことのできるセンサー、例えば高度計またはクロノバロメトリックセンサーを備えており、場合によっては、上記ボールスピンドルはケーブルに固定されており、上記センサーは、閾値を越えたときまたは外部信号を受け取ったときにこのケーブルの変位を制御することができる。
【0023】
別の構成によれば、半円形のリールが上記サポートに固定されており、優先的に、上記ロック手段は、少なくとも一部がこのリールの一側に配置される一方、上記センサーは上記リールのもう一側に配置され、上記ケーブルは一部が上記リール上にある。
【0024】
さらに、本発明は、飛行乗物から荷物を空中投下するための空中投下装置に関し、この空中投下装置は、本発明に係る上記固定/解放装置を備え、上記固定/解放装置の上記サポートは、安定用パラシュートと呼ばれる第1のパラシュートとメインパラシュートと呼ばれる第2のパラシュートのバッグとに接続されていることを特徴とする。そして、本発明に係る装置は、上記メインパラシュートと荷物とに固定され上記フックに掛けられる第1部材を備えていてもよい。
【0025】
別の構成によれば、上記第1部材は中央の筒状部分を備え、上記フックの下部は上記第1部材の筒状部分と相補の筒状の開口を形成する。
【0026】
他の利点及び特徴は、図1−6を参照する本発明の実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の固定/解放装置の一例の概略断面図であり、フックの可動部分が動作位置と呼ばれる第1位置にあり、ロック用フィンガーが第1ロック位置にある状態を示す。
図2図1と同じ断面図であるが、フックの可動部分が第2位置にある状態を示す。
図3図1と同じ断面図であるが、ロック用フィンガーが、フックの可動部分の解放を可能とする第2位置にある状態を示す。
図4図1の固定/解放装置の斜視図である。
図5】荷物空中投下装置への図1の装置の適用を示す。
図6図5に係るアセンブリに関して、フックの可動部分によってロック用フィンガーに及ぼされる力の方向を概略的に示す。
図7】本発明の別の代替実施形態を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は本発明の固定/解放装置50の一例を示す。
【0029】
この固定/解放装置50は、本体1を有する。この本体1は、サポートとも呼ばれ、以下に記載のもののためのサポートして作用する。
フック3の第1部分2(サポート1に溶接された2つの平行なチーク5を介して)、
H形状のヨーク4、
アングル部6、
既知の態様でプランジャー71と本体7とを備えたボールスピンドル8。プランジャー71と本体7は、サポート1に作られた軸OXを有するボア9の内側に配置されている。ボア9とプランジャー71とボールスピンドル8の本体7とは同軸である。
【0030】
フック3の上記第1部分は、2つの平行なC形状ブランチ12によって構成されており、その2つのうちの一方は、チーク5の一方に固定され、他方は、もう一方のチーク5に固定されている。上記2つのブランチ12の、チーク5に固定された端部とは反対側の端部13はそれぞれボア10(これらのボア10は同軸)を有する。シャフト11がこれらのボア10内に圧入され、それ故、2つのブランチ12の端部に接続されている。
【0031】
フック3は一部が湾曲した第2部分14を有する。第2部分14は第1端15に、シャフト11の直径よりもわずかに大きい直径のボアを有する。この第2部分14は一部が上記2つのブランチ12の間に挟まれており、シャフト11がこの第2部分14の第1端15に形成されたボアを貫通している。したがって、上記フックの第2部分は、ブランチ12に接続されたシャフト11の回りを回転できる。
【0032】
それ故、上記フックは、サポート1に固定された第1部分(以下、「第1固定部分」とも言う)2と、この第1部分2に対して、高位置と称される第1位置と図2に示される第2位置との間を動くことのできる第2部分(以下、第2可動部分とも言う)14とを備える。上記第1位置では上記第1部分と上記第2部分とが図1に示すフック3を形成し、上記第2位置では上記第1部分と上記第2部分とはもはやフックを形成しない。しかし、両位置において、フック3の第2部分14は、回転シャフト11を介して、第1固定部分2への固定部を有する。



【0033】
この固定/解放装置50は上記フック3の上記第2可動部分14の第1位置をロック及びロック解除するためのロック及びロック解除手段(7,8,25,71,76)を備えている。上記フックは、上記フックの第2部分14が第1位置にあり、かつ、上記ロック及びロック解除手段がロックされた位置にあるときのみ、荷物を支えることができる動作位置にある。この実施形態では、ロック手段は、以下のものを備える。
【0034】
回転シャフト76によって上記チーク5に固定され、第1位置と第2位置との間を動くことのできるL形状の可動フィンガー25。第1位置では、形状Lのベース部分がフック3の第2部分14に接触可能であり、第2部分14はそのとき動作位置にある。第2位置は図3に示されており、フック3の第2部分14をロック用フィンガー25から解放するのを可能とする位置である。
そして、第2部材。つまり、ケーブル21の端部に固定され、このケーブル21の位置に応じて、少なくとも2つの位置をとることのできるボールスピンドル8。上記少なくとも2つの位置のうちの第1位置では、それはスピンドル8の本体7に挿入され、それがロック用フィンガー25を、したがってフック3の第2部分14をブロックする。上記少なくとも2つの位置のうちの第2位置では、それは上記本体7から引き出され、ロック手段25およびフック3の第2部分14がロック解除される。
【0035】
クロノバロメトリックトリガー 26を収納したハウジング16は締め付けタブ17を介してフック3の第1固定部分2の一方のブランチ12の側面18に固定されるとともに、金属ケーブル21が内部を通るシース20に接続されている。このクロノバロメトリックトリガー26は、予め定められた閾値よりも大きい圧力を検出したときにハウジング16の内部の金属ケーブル21の一部を引っ込める(後退させる)ことができる。ケーブルのこの動きはスピンドル8の本体7からボールスピンドル8を引き抜くことができ、それによってロック用フィンガー25の解放を引き起こす。
【0036】
シース20はアングル部6に固定されており、ヨーク4の中間部22に固定された半円状リール19の一領域の回りを通っている。シース20は続いて、シース停止機能を有し上記ヨーク4の中間部に固定された板23まで伸びる。ヨーク4はその上部27に、2つの上ブランチ29を接続するシャフト28を更に有する。金属ケーブル21は、シース20よりも長さが長い。ケーブル21はボールスピンドル8の方向へと続いて伸び、シース20を越えたその端部はリング24に固定されている。そして、リング24の正反対側の端部は、ボールスピンドル8の内側シャフト31に形成されたボアに入れられている。内側シャフト31は、その反対側の端部に、スピンドル8の本体7の内側のスピンドルのボールの後退を許容し、その結果としてスピンドル8の本体7からのプランジャー71のリリースを許容することのできる半円状の溝を備えている。
【0037】
図3は、荷物51の空中投下に適用された本発明による装置50を示している。
【0038】
第1安定用パラシュート55は、ストラップ56と第1スナップフックとを介して、装置50のヨーク4の上部27に固定されたシャフト28に固定される。
【0039】
メインパラシュート61のバッグ60は第2スナップフックとストラップ62とを介して同じシャフト28に固定される。
【0040】
各端に開口67を有するシャックル65は、装置50のフック3に掛けられる。ストラップ66が上記開口を介してシャックル65に固定される。一方、これらのストラップ66は、メインパラシュート61と荷物51にそれぞれ接続される。
【0041】
図6は、図5に係るアセンブリに関して、フックの可動部分によってロック用フィンガーに及ぼされる力の方向を概略的に示す。
【0042】
フック3は、第1部材(シャックル65)、メインパラシュート61および荷物51の重さFpを受ける。このフックの可動部分14は、ロック用フィンガー25に対して力Fcを及ぼす。力Fcは、接触する部分の形状のために、重さFpの方向とは反対方向の垂直成分F1とロック用フィンガー25の回転シャフトによって回収される水平成分とを有する。
【0043】
垂直成分F1はボールスピンドル8の本体7の自由端に事実上完全に伝達される。これが、プランジャー71がスピンドル8の本体7から除去され、その結果としてボールが本体7内に入ることができるようになると、それがボア9から引き抜かれることを可能とする。
【0044】
したがって、ロック用フィンガー25は2つの機能を有する。なぜならば、ロック用フィンガー25は、ボールスピンドル8と協働することによって、上記フックの第2部分14のロックおよびロック解除を可能とする一方、垂直方向下方にかかるシャックル61および荷物51の重さの一部を、この実施形態では、ボア9、プランジャー71およびスピンドル8の本体の軸OXに沿った垂直方向上方への力F1に変換するからである。
【0045】
この実施形態において、この図に示すように、ロック用フィンガー25によってスピンドル8の本体7の自由端に及ぼされる軸OXに沿った力F1と軸OXに直交する方向の力F2との比は、10よりも大きい。
【0046】
明らかに、力F1は上記第1部材と荷物とメインパラシュートとの質量に比例する。もし荷物が1トンの質量を持っていれば、F1はこの荷物の重さに事実上比例し、上記第1部材とメインパラシュートの重さは、荷物の重さに対して無視することができる。
【0047】
この装置の作用は次の通りである。
【0048】
上記シャックル65はストラップによって、一方では荷物51に、他方ではバッグ60にくるまれたパラシュート61に固定される。
【0049】
安定用パラシュートおよびメインパラシュートのバッグ60は本発明に係る装置50のシャフト28に、ストラップに接続されたスナップフックによって固定される。
【0050】
フック3の第2可動部分14を解放して、それが図2の位置に来るように、プランジャー71がスピンドル8の本体7から引き抜かれ、ロック用フィンガー25がサポート1の方向へ押圧される。
【0051】
その後、シャックル65は、図2の点線で示すように、上記フックの固定部分に寄りかかり、それから、ロック用フィンガー25が上記サポート1の方向に上昇し、上記可動部分がその第1位置に戻る。続いて、ロック用フィンガー25をブロックし、結果として、動作位置と称される第1位置にあるフック3の第2部分14をブロックするために、ロック用フィンガー25は下降し、プランジャー71がスピンドル8の本体7内に挿入される。
【0052】
その後、上記クロノバロメトリックトリガーが操作され、トリガーとなる高度がプログラムされる。そして、スイッチが切られる。
【0053】
このようにして形成されたアセンブリは飛行機に乗せられて運ばれる。荷物を空中投下する直前に、上記クロノバロメトリックトリガーのスイッチが入れられ(オンにされ)、上記アセンブリは空中投下される。空中投下した直後に、上記第1安定用パラシュート55が自動的に展開する。
【0054】
クロノバロメトリックトリガーが、プログラムされた高度を検出すると、ハウジング16内のケーブル21の部分の引っ込み(後退)を始動させる。この引っ込みが、スピンドル8の本体7からプランジャー71を取り除かせるので、ロック用フィンガー25のロック解除がなされる。荷物の重さFpにより、ロック用フィンガー25に接触しているフック3の可動部分14の端部は、ロック用フィンガーに、上記サポートの方向への力を生成する。この力は、接触している2つの面の丸い形状により、上記フックの可動部分がロック用フィンガーのこの丸い面に対してスライドするのを、そしてその結果としてフックの可動部分を解放するのを許容するのに十分なものである。そして、シャックル65がフック3から解放され、フック3から分離するが、装置50はなおも安定用パラシュート55によって降下している。メインパラシュート61は荷物51に固定されている一方、メインパラシュート61がくるまれているバッグ60は装置50に固定されているので、上記分離によって、メインパラシュート61がそれのバッグ60から引き出され、それから展開し、着地に至るまで荷物を効率的に減速させることができる。一方、安定用パラシュートは着地するまで装置50を効率的に減速させるのに十分である。
【0055】
上記分離は低高度、通常は500m未満で起こるので、荷物51と装置50とは別々に、しかし、互いに接近した距離のところに着陸する。
【0056】
図7は本発明の別の代替実施形態で、ロック用フィンガー25は用いられていない。この代替例は、実質的に、図1〜6に示された部材と同じ部材を備えているが、荷物51およびフック3のシャックル65の解放を開始させることのできる第1手段(4,16,21,26)と、ロック手段つまりボールスピンドル8とは、図1〜6に対して、π/2ラジアンの角度だけオフセットしており、サポートの形状はこの新しい配置に対して既知の方法で調整されており、スピンドル8の本体7の自由端はフックの可動部分14の端部に直接接触している。この代替例は、縦方向に配置されたさらなるヨーク73を備えており、このヨーク73は、副パラシュートを保持できるシャフト28(図2のシャフト28と同じ)を有している。
【0057】
図1〜6に対して、ボア9(のエッジ)とボールスピンドル8の本体7(のエッジ)との間に、さらなる部材、すなわち、リング75が導入されている。このリング75は上記サポートの構成材料よりも硬いスチールからなる。このリングは、一端に冠形状の肩部を有し、スピンドル8が上記サポートに固定されるとき、スピンドル8のボール72は上記肩部に当接する。
【0058】
上記リングについては、上記サポートの材料よりも硬くなく,したがって、安価な材料を選ぶことができ、肩部が劣化した場合には、リングだけを交換することが可能である。
【0059】
フック3は、第1部材(シャックル65)、メインパラシュートおよび荷物51の重さFpを受ける。このフックの可動部分14は、上記重さFpの一部を支持し、この力を上記可動部分14が接触しているスピンドル8の本体7の自由端に一体的に伝達する。したがって、軸OXに沿った力F1は、スピンドルの本体7に及ぼされ、一方、この本体7に及ぼされる軸OXに直交する軸に沿う力は極めて小さい。この実施形態において、スピンドル8の本体7の自由端に及ぼされる軸OXに沿った力F1と軸OXに直交する方向の力F2との比は、3よりも相当大きく、10よりも大きい(20程度)。
【0060】
本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変更、修正を上述した実施形態に対して行ってもよい。
【0061】
したがって、上記ケーブルの引っ込み(後退)は、地上の人間から発せられる信号を検出することのできるハウジング内のセンサーによる検出後に起こる場合がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7