(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記凝固剤注入ノズルの先端と上記豆乳撹拌板とが、上記豆乳収納容器から離間した上限定位置から豆乳内の表面近傍位置まで第1の速度で移動して、その後、上記豆乳内の表面近傍位置から上記豆乳収納容器の底面位置まで上記第1の速度よりも速い第2の速度で移動して、次いで、上記豆乳収納容器の底面位置から上記豆乳内の表面近傍位置まで上記第2の速度で移動して、その後、上記豆乳内の表面近傍位置から上記上限定位置まで上記第1の速度又は上記第2の速度で移動することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の豆腐の製造方法。
上記凝固剤注入ノズルの凝固剤噴射口は、ノズル先端面及び/又はその先端近傍周縁に複数の開口として形成されてなることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の豆腐の製造方法。
上記凝固剤注入ノズルの先端と上記豆乳撹拌板とが、上記ノズル駆動機構によって、上記豆乳収納容器から離間した上限定位置から豆乳内の表面近傍位置まで第1の速度で移動して、その後、上記豆乳内の表面近傍位置から上記豆乳収納容器の底面位置まで上記第1の速度よりも速い第2の速度で移動して、次いで、上記豆乳収納容器の底面位置から上記豆乳内の表面近傍位置まで上記第2の速度で移動して、その後、上記豆乳内の表面近傍位置から上記上限定位置まで上記第1の速度又は上記第2の速度で移動することを特徴とする請求項8乃至10の何れか1項に記載の豆腐製造装置。
上記凝固剤注入ノズルの凝固剤噴射口は、ノズル先端面及び/又はその先端近傍周縁に複数の開口として形成されてなることを特徴とする請求項8乃至12の何れか1項に記載の豆腐製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した豆腐の製造方法及び豆腐製造装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0012】
先ず、一般的な豆腐の製造方法について説明する。先ず、大豆から豆乳を製造する(豆乳製造工程)。次いで、出来上がった豆乳を所定の型容器に入れ(豆乳供給工程)、型容器に入れられた豆乳に凝固剤を入れて混ぜ合わせ(凝固剤供給工程)、均一になるよう攪拌する(豆乳撹拌工程)。すると、豆乳及び凝固剤は、凝固反応が進み、凝固して(豆乳固化工程)、豆腐が出来上がる。その後、出来上がった豆腐は、所定の大きさにカットされ、個別に製品容器にパッキングされる。
【0013】
具体的に、
図1〜
図4に示すように、豆腐製造装置1は、豆乳2が収納される豆乳収納容器3と、豆乳収納容器3の豆乳収納空間3a内に等間隔に整列して複数個配設され、先端に豆乳収納容器3に収納された豆乳2に天然ニガリ等の凝固剤5を噴射して注入する凝固剤噴射口6を有する複数の凝固剤注入ノズル4と、豆乳収納容器3の豆乳収納空間3a内に配設され、豆乳収納容器3内の豆乳2を撹拌する撹拌貫通口8を有する豆乳撹拌板7と、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aにおいて相対的に上下動させるノズル駆動機構9とを備えている。
【0014】
豆乳収納容器3は、
図1に示すように、平面視略矩形状で上面が開口された有底箱状部材で構成され、内部の豆乳収納空間3aに豆乳2が収納される。例えば、この豆乳収納空間3aは、5行8列で合計40丁の豆腐が製造可能な程度の大きさを有する。
【0015】
凝固剤注入ノズル4は、
図1及び
図4に示すように、例えば、筒部材で構成され、豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aに等間隔に整列して複数個配設されると共に上下動可能に配設され、豆乳収納容器3に収納された豆乳2に凝固剤5を注入する。この凝固剤注入ノズル4は、
図1に示すように、基端部が凝固剤供給部10に連結されている。更に、凝固剤注入ノズル4は、
図5に示すように、例えば、先端にこの凝固剤供給部10から供給される凝固剤5を噴射する凝固剤噴射口6を有している。そして、凝固剤注入ノズル4は、
図4に示すように、例えば、豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aの縦方向に等間隔に6個配設されたものが、横方向に等間隔に6個配設されて、豆乳収納容器3の豆乳収納空間3a内に、6行6列、合計36個配設されている。
【0016】
なお、凝固剤注入ノズル4は、豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aに対して、6行6列、合計36個配設されることに限定されるものではなく、豆乳収納容器3の形状及び大きさに応じて、4行4列、4行9列、8行8列、6行8列に配設する等、配設する個数及び行列については、適宜変更可能である。更に、凝固剤注入ノズル4は、縦方向及び/又は横方向に隣接するものと位置をずらして配設して、千鳥状に配設されるようにしても良い。更に、凝固剤注入ノズル4は、等間隔に配列して配設されることが好ましいが、不等間隔に配列して配設されるようにしても良く、配列させずに単に任意の位置に複数個配設されるようにしても良い。更に、凝固剤注入ノズル4は、豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aの中央に1個配設されるようにしても良く、任意の位置に1個配置されるようにしても良い。
【0017】
更に、凝固剤注入ノズル4の凝固剤噴射口6は、
図5に示すように、先端開口6aだけで構成されることに限定されるものではなく、
図6に示すように、先端開口6aと、先端近傍周縁に形成された複数の周縁開口6bとで構成されるようにしても良い。更に、
図7に示すように、凝固剤注入ノズル4の凝固剤噴射口6は、先端開口6aに代えて、複数の周縁開口6bだけで構成されるようにしても良い。凝固剤注入ノズル4の凝固剤噴射口6は、複数の周縁開口6bを有することで、隣接する凝固剤注入ノズル4との間の領域に向けて凝固剤5を噴出することができるので、豆乳2全体に対して凝固剤5をより短時間で均一に供給することができる。
【0018】
豆乳撹拌板7は、
図2に示すように、外周面と豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aとの間に隙間を有するように、豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aよりもやや小さな平面視略矩形状の板部材で構成され、豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aに凝固剤注入ノズル4と連動して上下動可能に配設されている。
【0019】
また、この豆乳撹拌板7の主面部には、
図1及び
図4に示すように、凝固剤注入ノズル4に対向する位置に撹拌貫通口8が形成されている。この撹拌貫通口8は、例えば、平面視円形状に形成され、凝固剤注入ノズル4よりも拡径の貫通口である。例えば、凝固剤注入ノズル4が、豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aの縦方向に6個配設されたものが、横方向に6個配設されている場合、撹拌貫通口8は、凝固剤注入ノズル4と同様に、豆乳撹拌板7の主面部に、縦方向に6個形成されたものが、横方向に6個形成され、6行6列、合計36個形成されている。
【0020】
そして、豆乳撹拌板7は、
図1及び
図4に示すように、撹拌貫通口8の中心に凝固剤注入ノズル4が豆乳撹拌板7の上面側から挿通されて、凝固剤注入ノズル4の先端部が、豆乳撹拌板7の下面側に所定長さ突出して配置されている。この際、撹拌貫通口8が凝固剤注入ノズル4よりも拡径であるので、撹拌貫通口8の内周面と凝固剤注入ノズル4の外周面との間には、隙間が形成されている。
【0021】
したがって、豆乳撹拌板7は、
図3に示すように、豆乳収納容器3に収納された豆乳2内を下降させて豆乳収納容器3の底面位置3bに対して近接するように移動されると、
図4に示すように、凝固剤5が供給された豆乳2を、撹拌貫通口8内を流通させて豆乳撹拌板7の下面側から上面側に移動させつつ上面側で例えば四方八方に拡散させて撹拌して、豆乳2と凝固剤5とを均一に混ぜ合わせる。更に、豆乳撹拌板7は、この移動の間に、
図3に示すように、凝固剤5が供給された豆乳2を、豆乳撹拌板7の外周面と豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aとの間の隙間を流通させて豆乳撹拌板7の下面側から上面側に移動させつつ上面側で例えば四方八方に拡散させて撹拌して、豆乳2と凝固剤5とを均一に混ぜ合わせる。
【0022】
また、豆乳撹拌板7は、
図2に示すように、豆乳収納容器3に収納された豆乳2内を上昇させて豆乳収納容器3の底面位置3bに対して離間するように移動されると、凝固剤5が供給された豆乳2を、撹拌貫通口8内を流通させて豆乳撹拌板7の上面側から下面側に移動させつつ下面側で例えば四方八方に拡散させて撹拌して、豆乳2と凝固剤5とを均一に混ぜ合わせる。更に、豆乳撹拌板7は、この移動の間に、凝固剤5が供給された豆乳2を、豆乳撹拌板7の外周面と豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aとの間の隙間を流通させて豆乳撹拌板7の上面側から下面側に移動させつつ下面側で例えば四方八方に拡散させて撹拌して、豆乳2と凝固剤5とを均一に混ぜ合わせる。
【0023】
なお、撹拌貫通口8は、豆乳撹拌板7に対して、6行6列、合計36個配設されることに限定されるものではなく、凝固剤注入ノズル4の配置個数や配置位置に応じて、適宜変更可能である。
【0024】
更に、撹拌貫通口8は、平面視円形状に形成されることに限定されるものではなく、凝固剤注入ノズル4を挿通させることができ、豆乳2を流通させることができるものであれば如何なる形状であっても良く、矩形状、長孔状、多角形状等、適宜変更可能である。
【0025】
ノズル駆動機構9は、
図1に示すように、凝固剤注入ノズル4、豆乳撹拌板7、豆乳収納容器3の少なくとも1つと連結され、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を上下移動させる及び/又は豆乳収納容器3を上下移動させて、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を豆乳収納容器3に対して相対的に近接離間させる。このノズル駆動機構9は、例えば、電動式、油圧式、空気圧式等のアクチュエータや、油圧式、ネジ式、空気圧式等のジャッキ等や、クレーン等の吊り上げ機で構成されている。或いは、ノズル駆動機構9は、例えば、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7や豆乳収納容器3を上下方向に移動可能に支持するガイドレールと、駆動モータで回転駆動されることにより凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7や豆乳収納容器3を上下方向に駆動するボールねじ等で構成されている。
【0026】
一例として、ノズル駆動機構9は、凝固剤注入ノズル4によって豆乳収納容器3に収納された豆乳2に対して凝固剤5を供給しつつ豆乳撹拌板7によって凝固剤5が供給された豆乳2を撹拌する際に、先ず、低速(第1の速度)で、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を下降させる及び/又は豆乳収納容器3を上昇させて、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を豆乳収納容器3に近接させて、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を、
図1に示すような豆乳収納容器3から上方に離間した上限定位置から、
図2に示すような豆乳2の表面2aから所定深さの豆乳2内の表面近傍位置まで移動させる。そして、ノズル駆動機構9は、
図3に示すように、高速(第1の速度よりも速い第2の速度)で、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を更に下降させる及び/又は豆乳収納容器3を更に上昇させて、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を豆乳収納容器3の底面位置3bに近接させて、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を、表面近傍位置から豆乳収納容器3の底面位置3bまで移動させる。
【0027】
次いで、ノズル駆動機構9は、
図2に示すように、高速で、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を上昇させる及び/又は豆乳収納容器3を下降させて、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を豆乳収納容器3の底面位置3bから離間させて、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を、豆乳収納容器3の底面位置3bから表面近傍位置まで移動させる。そして、ノズル駆動機構9は、
図1に示すように、低速で、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を更に上昇させる及び/又は豆乳収納容器3を更に下降させて、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を豆乳収納容器3から離間させて、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を、表面近傍位置から上限定位置まで移動させる。
【0028】
例えば、ノズル駆動機構9は、65℃〜80℃の高温の豆乳2を天然ニガリで凝固させる際には豆乳2に天然ニガリが注入された瞬間から凝固反応が始まるので、凝固剤注入ノズル4によって凝固剤5の注入を開始してから凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を豆乳2内から取り出すまでの、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7のこれらの往復移動が2秒以内、より好ましくは1秒以内に行われるようにする。
【0029】
なお、ノズル駆動機構9は、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を、上限定位置から豆乳2内の表面近傍位置に移動させた後に、豆乳2内の表面近傍位置で一時停止させるようにしても良い。更に、ノズル駆動機構9は、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を、豆乳収納容器3の底面位置3bから豆乳2内の表面近傍位置に移動させた後に、豆乳2内の表面近傍位置で一時停止させるようにしても良い。これにより、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7の移動による豆乳2の対流を抑える又は止めることができると共に、豆乳2がこぼれることを防止することができる。
【0030】
また、ノズル駆動機構9は、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7の上限定位置と豆乳2内の表面近傍位置との間の移動を、低速(第1の速度)で行うことが好ましいが、上限定位置から豆乳2内の表面近傍位置への移動だけを、低速(第1の速度)で行うようにしても良い。更に、ノズル駆動機構9は、表面近傍位置を設定せずに、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7の上限定位置と豆乳収納容器3の底面位置3bとの間の移動を、低速(第1の速度)、高速(第2の速度)、その他の任意の速度等の一定の速度で行うようにしても良い。
【0031】
また、ノズル駆動機構9は、上述した、アクチュエータやジャッキ、ガイドレール及びボールねじ、吊り上げ機等で構成されることに限定されるものではなく、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を上下移動させる及び/又は豆乳収納容器3を上下移動させて、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を豆乳収納容器3から近接離間させることができるものであれば、従来公知の如何なる駆動機構であっても良い。
【0032】
次に、豆腐製造装置1による豆腐の製造方法について説明する。
【0033】
先ず、豆腐製造装置1は、大豆から豆乳2が製造された後に、65℃〜80℃の高温の豆乳2が豆乳収納容器3に収納される。
【0034】
次いで、豆腐製造装置1は、ノズル駆動機構9によって、低速で、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を下降させる及び/又は豆乳収納容器3を上昇させて、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を豆乳収納容器3に近接させることで、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を、
図1に示すような上限定位置から
図2に示すような豆乳2内の表面近傍位置に配置させる。ここで、表面近傍位置とは、これに限定されるものではないが、例えば、豆乳撹拌板7が完全に豆乳2内に配置される程度の深さ位置であって、豆乳撹拌板7の厚さとほぼ同じ深さ又はやや深い位置である。
【0035】
次いで、豆腐製造装置1は、
図3に示すように、高速で、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を更に下降させる及び/又は豆乳収納容器3を更に上昇させて、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を豆乳収納容器3の底面位置3bに近接させることで、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を、豆乳収納容器3に収納された豆乳2に対して、豆乳2内の表面近傍位置から豆乳収納容器3の底面位置3bに移動させる。そして、豆腐製造装置1は、この移動の間に、凝固剤注入ノズル4によって、豆乳収納容器3に収納された豆乳2に対して凝固剤注入ノズル4の凝固剤噴射口6から天然ニガリ等の凝固剤5を噴射して豆乳2全体に凝固剤5を均一に分散供給すると共に、
図4に示すように、豆乳撹拌板7によって、凝固剤5が供給された豆乳2を、豆乳撹拌板7の撹拌貫通口8内を流通させて豆乳撹拌板7の下面側から上面側に移動させつつ上面側で例えば四方八方に拡散させて撹拌して、豆乳2と凝固剤5とを均一に混ぜ合わせる。更に、豆腐製造装置1は、
図3に示すように、この移動の間に、豆乳撹拌板7によって、凝固剤5が供給された豆乳2を、豆乳撹拌板7の外周面と豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aとの間の隙間を流通させて豆乳撹拌板7の下面側から上面側に移動させつつ上面側で例えば四方八方に拡散させて撹拌して、豆乳2と凝固剤5とを均一に混ぜ合わせる。
【0036】
次いで、豆腐製造装置1は、凝固剤注入ノズル4の凝固剤噴射口6からの凝固剤5の噴射を停止する。そして、豆腐製造装置1は、
図2に示すように、高速で、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を上昇させる及び/又は豆乳収納容器3を下降させて、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を豆乳収納容器3の底面位置3bから離間させることで、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を、豆乳収納容器3に収納された豆乳2に対して、豆乳収納容器3の底面位置3bから豆乳2内の表面近傍位置に移動させる。そして、豆腐製造装置1は、この移動の間に、豆乳撹拌板7によって、凝固剤5が供給された豆乳2を、豆乳撹拌板7の撹拌貫通口8内を流通させて豆乳撹拌板7の上面側から下面側に移動させつつ下面側で例えば四方八方に拡散させて撹拌して、豆乳2と凝固剤5とを均一に混ぜ合わせる。更に、豆腐製造装置1は、この移動の間に、豆乳撹拌板7によって、凝固剤5が供給された豆乳2を、豆乳撹拌板7の外周面と豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aとの間の隙間を流通させて豆乳撹拌板7の上面側から下面側に移動させつつ下面側で例えば四方八方に拡散させて撹拌して、豆乳撹拌板7によって豆乳2と凝固剤5とを均一に混ぜ合わせる。
【0037】
次いで、豆腐製造装置1は、
図1に示すように、低速で、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を更に上昇させる及び/又は豆乳収納容器3を更に下降させて、凝固剤注入ノズル4及び豆乳撹拌板7を豆乳収納容器3から離間させることで、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を、豆乳2内の表面近傍位置から上限定位置に移動させて、豆乳2内から取り出す。
【0038】
すると、豆腐製造装置1では、凝固剤5に反応して豆乳2が凝固されて、凝固ムラのない豆腐が出来上がる。
【0039】
以上のようにして、豆腐製造装置1は、豆腐を製造することができる。
【0040】
なお、豆乳2は、65℃〜80℃の高温の状態で豆乳収納容器3に収納されることに限定されるものではなく、冷ました後に豆乳収納容器3に収納されるようにしても良い。更に、凝固剤5は、天然ニガリであることに限定されるものではなく、その他の塩化マグネシウムを主成分とするニガリや、硫酸カルシウムを主成分とするすまし粉等であっても良い。
【0041】
更に、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7は、豆乳2が豆乳収納容器3に収納される前に予め表面近傍位置に配置されるようにしても良い。
【0042】
また、豆腐製造装置1は、ノズル駆動機構9によって、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を、上限定位置から豆乳2内の表面近傍位置に移動させる際に、一時停止させるようにしても良い。更に、豆腐製造装置1は、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を、豆乳収納容器3の底面位置3bから豆乳2内の表面近傍位置に移動させる際に、一時停止させるようにしても良い。これにより、豆腐製造装置1は、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7の移動による豆乳2の対流を抑える又は止めることができると共に、豆乳2がこぼれることを防止することができる。
【0043】
また、豆腐製造装置1は、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7が豆乳2内の表面近傍位置から豆乳収納容器3の底面位置3bに移動されると、凝固剤注入ノズル4の凝固剤噴射口6から凝固剤5の噴射を停止することに限定されるものではなく、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7が豆乳収納容器3の底面位置3bに達する手前で停止するようにしても良く、豆乳収納容器3の底面位置3bから僅かに上昇した後に停止するようにしても良い。
【0044】
また、豆腐製造装置1は、豆乳2に泡が発生することや豆乳2がこぼれることを防止するために、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7の上限定位置と豆乳2内の表面近傍位置との間の移動を、低速(第1の速度)で行うことが好ましいが、上限定位置から豆乳2内の表面近傍位置への移動だけを、低速(第1の速度)で行うようにしても良い。更に、豆腐製造装置1は、表面近傍位置を設定せずに、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7の上限定位置と豆乳収納容器3の底面位置3bとの間の移動を、低速(第1の速度)、高速(第2の速度)、その他の任意の速度等の一定の速度で行うようにしても良い。
【0045】
以上のように、豆腐製造装置1は、凝固剤注入ノズル4の先端と豆乳撹拌板7とが、豆乳収納容器3に収納された豆乳2に凝固剤噴射口6から天然ニガリ等の凝固剤5を噴射しながら、ノズル駆動機構9によって、豆乳2内を豆乳収納容器3の底面位置3bに対して近接離間移動して、凝固剤注入ノズル4によって豆乳2に凝固剤5を供給しつつ豆乳撹拌板7によって豆乳2と凝固剤5とを混ぜ合わせることにより、豆乳2全体に凝固剤5を均一に分散供給することができ、豆乳2と凝固剤5とを短時間で均一に混ぜ合わせて、凝固ムラのない豆腐を製造することができる。
【0046】
また、豆腐製造装置1は、凝固剤注入ノズル4が豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aに等間隔に整列して複数個配設されているので、豆乳収納容器3に収納された豆乳2に対して均一に凝固剤5を噴射して、豆乳2全体に凝固剤5を均一に供給することができ、凝固ムラのない豆腐を製造することができる。
【0047】
また、豆腐製造装置1は、ノズル駆動機構9によって、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を、上限定位置から豆乳2内の表面近傍位置まで移動させる場合及び/又は豆乳2内の表面近傍位置から上限定位置まで移動させる場合に、豆乳2内の表面近傍位置と豆乳収納容器3の底面位置3bとの間の移動速度である第2の速度よりも遅い第1の速度で移動されるので、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を豆乳2内に入れるとき及び/又は出すときに泡が発生することや豆乳2がこぼれることを防止できる。
【0048】
また、豆腐製造装置1は、ノズル駆動機構9によって、凝固剤注入ノズル4の先端及び豆乳撹拌板7を、豆乳2の表面近傍位置、豆乳収納容器3の底面位置3b、豆乳2の表面近傍位置(上限定位置)に移動させる往復移動が2秒以内、好ましくは1秒以内に行われ、豆乳2と凝固剤5とを短時間で均一に混ぜ合わせることができるので、高温の豆乳2に対して天然ニガリを供給する場合であっても、豆乳2と天然ニガリとを均一に混ぜ合わせて、凝固ムラのない豆腐を製造することができる。高温豆乳でニガリ豆腐を製造する方法として凝固反応が遅い乳化ニガリを使う方法が主流となっているが、乳化ニガリには、塩化マグネシウム以外に乳化剤、酸化防止剤ほか、本来豆腐の製造に必要の無いものが含まれており、コスト、味、健康面の問題があるが製造が安易に行えるという理由で仕方なく使用されているのが現状である。他の方法として、豆乳2に対して天然ニガリを供給する場合に、先ず、豆乳2を冷まし、次いで、冷ました豆乳2に対して天然ニガリを供給した後に、凝固させるためにこれらを加熱し凝固させる方法があるが、豆腐製造装置1では、豆乳2を冷ます冷却工程と、凝固させるための加熱工程とを省略することができ、作業性が良く、製造効率も良い。更に、冷却又は加熱による製造工程内全体での豆乳2の温度変化を従来よりも少なくすることが出来るので、豆乳2のタンパク質に悪影響を与えることを防止できる。
【0049】
なお、豆乳撹拌板7は、撹拌貫通口8が、凝固剤注入ノズル4が挿通される貫通口と、内部に豆乳2を流通させて豆乳収納容器3内の豆乳2を撹拌する貫通口とを兼ねていることに限定されるものではなく、凝固剤注入ノズル4が挿通される貫通口と、豆乳収納容器3内の豆乳2を撹拌する貫通口とが、別々に形成されるようにしても良い。具体的に、豆乳撹拌板7は、
図8〜
図13に示すように、凝固剤注入ノズル4が挿通されるノズル貫通口11と、豆乳2を流通させて豆乳収納容器3内の豆乳2を撹拌する撹拌貫通口12とを有するようにしても良い。
【0050】
これにより、豆腐製造装置1は、凝固剤注入ノズル4が挿通されるノズル貫通口11と、豆乳収納容器3内の豆乳2を撹拌する撹拌貫通口12とが、別々に形成されているので、貫通口内を流れる豆乳2によって凝固剤注入ノズル4がぶれることを防止することができる。更に、豆腐製造装置1は、凝固剤注入ノズル4が挿通されるノズル貫通口11と、豆乳収納容器3内の豆乳2を撹拌する撹拌貫通口12とが、別々に形成されているので、成分等による豆乳2の特性や、大きさ、形状、材質等による豆乳撹拌板7の特性や、速度、動きによるノズル駆動機構9の特性等に応じて、撹拌貫通口12の大きさ、形状、配置位置等を自由に設定し易く、豆乳2と凝固剤5とをより短時間で均一に混ぜ合せて、凝固ムラのない豆腐を製造することができる。
【0051】
この際、ノズル貫通口11は、撹拌貫通口8と同様に、
図8〜
図13に示すように、豆乳撹拌板7の主面部の凝固剤注入ノズル4に対向する位置に形成されている。更に、ノズル貫通口11は、例えば、凝固剤注入ノズル4とほぼ同じ大きさの平面視円形状に形成されている。例えば、凝固剤注入ノズル4が、豆乳収納容器3の豆乳収納空間3aの縦方向に6個配設されたものが、横方向に6個配設されている場合、ノズル貫通口11は、撹拌貫通口8と同様に、豆乳撹拌板7の主面部に、縦方向に6個形成されたものが、横方向に6個形成され、6行6列、合計36個形成されている。
【0052】
撹拌貫通口12は、
図8に示すように、各ノズル貫通口11の周囲に形成され、例えば、ノズル貫通口11を中心に複数の貫通口が全体として円環状や矩形環状に形成されるようにしても良い。
【0053】
更に、撹拌貫通口12は、
図9に示すように、縦方向及び/又は横方向に並設されたノズル貫通口11の列と同一線上に、矩形状、長孔状、円形状、多角形状等に形成されるようにしても良い。
【0054】
更に、撹拌貫通口12は、
図10及び
図11に示すように、
図8に示すようなノズル貫通口11の周囲に環状に形成されるものと、
図9に示すようなノズル貫通口11の列と同一直線上に形成されるものとが、組み合わされて形成されるようにしても良い。この際、撹拌貫通口12は、
図10に示すように、ノズル貫通口11の周囲に環状に形成されるものが、各角部のノズル貫通口11に形成されるようにしても良く、
図11に示すように、各角部の周辺の複数のノズル貫通口11に形成されるようにしても良く、角部及び角部以外の任意の位置の少なくとも1つのノズル貫通口11に形成されるようにしても良い。
【0055】
更に、撹拌貫通口12は、ノズル貫通口11の列と同一線上に形成されることに限定されるものではなく、
図12及び
図13に示すように、縦方向及び横方向に並設されたノズル貫通口11の列と列との間に形成されるようにしても良い。例えば、撹拌貫通口12は、
図12に示すように、豆乳撹拌板7の中心部に形成された中心貫通口と、この中心貫通口を中心に複数の貫通口が全体として矩形環状や円環状に形成された環状貫通口とで構成されるようにしても良い。この際、環状貫通口は、1つ形成されるようにしても良く、大きさを異ならせて2つ以上同軸に形成されるようにしても良い。更に、撹拌貫通口12は、
図13に示すように、中心貫通口及び環状貫通口が形成されることに加え、豆乳撹拌板7の対角線上にこの対角線に沿って、矩形状、長孔状、円形状、多角形状の補助貫通口が形成されるようにしても良い。
【0056】
更に、撹拌貫通口12は、ノズル貫通口11の周囲に環状に形成されるものと、ノズル貫通口11の列と同一直線上に形成されるものと、ノズル貫通口11の列と列との間に形成されるものとのうち、何れか2つ以上を組み合わせて形成されるようにしても良い。