(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステップ(A)の前に、前記乳製品中のタンパク質含有量を検出するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の乳製品中のタンパク質熱安定性検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、乳製品中のタンパク質熱安定性検出方法を公開するものである。当業者は、本明細書の内容を適宜変更して実施することができる。ここで、すべての類似する置換及び変更は、当業者が容易に想到できるものであり、それらは、本発明に含まれる。本発明の方法及び応用を実施例を挙げて説明するが、当業者は、本発明の内容及び主旨を逸脱しない範囲において本発明の方法及び応用に対して変更を行うことによって本発明の技術内容を実現することができる。
【0020】
本発明の提供する乳製品中のタンパク質熱安定性検出方法は、乳製品と水とを混合して第1サンプル溶液を得るステップ(A)と、第1サンプル溶液を100℃〜135℃の条件下で10min〜40min処理して第2サンプル溶液を得るステップ(B)と、第2サンプル溶液に対して検出を行って第2サンプル溶液のタンパク質熱安定性を獲得するステップ(C)と、を含む。第2サンプル溶液に、積層、沈殿及び凝結が発生しない場合、タンパク質熱安定性が優れるとする。第2サンプル溶液に、軽微なケーキングが発生し、肉眼で視認可能な微小粒状の凝結物が浮遊した場合、タンパク質熱安定性が普通とする。第2サンプル溶液にやや顕著なケーキングが発生した上、凝集現象が発生した場合、タンパク質熱安定性がやや低いとする。第2サンプル溶液に顕著なケーキングが発生した上、雲状の凝結物が発生した場合、タンパク質熱安定性が低いとする。
【0021】
本発明の一実施例中、乳製品は、全脂粉乳、脱脂粉乳、練乳又は乳タンパク質濃縮物から選択される。
【0022】
乳製品中のタンパク質熱安定性を検出するために、乳製品中のタンパク質含有量に基づいて乳製品を所定濃度の乳製品溶液にする必要がある。このため、本発明の一実施例中、ステップ(A)の前に、乳製品中のタンパク質含有量を検出するステップをさらに含む。
【0023】
検出結果の正確性を保証するために、本発明の一実施例中、第1サンプル溶液中のタンパク質含有量は、4%〜7%である。
【0024】
本発明の一実施例中、乳製品中のタンパク質を生乳に還元した際の水和状態にするために、ステップ(A)とステップ(B)との間に、水和ステップをさらに含む。
【0025】
十分な水和を保証するために、本発明の一実施例中、水和は、300rpm〜700rpmの条件下で撹拌される。
【0026】
十分な水和を保証するために、本発明の一実施例中、水和時間は、8min〜20minである。
【0027】
本発明は、乳飲料の製造方法をさらに提供する。本発明の乳飲料の製造方法は、本発明の提供する検出方法で乳製品に対して検出を行い、タンパク質熱安定性に優れた乳製品を得るステップと、タンパク質熱安定性に優れた乳製品と材料とを混合し、殺菌するステップと、を含む。
【0028】
本発明の一実施例中、乳製品は、全脂粉乳、脱脂粉乳、練乳又は乳タンパク質濃縮物から選択される。
【0029】
本発明の一実施例中、乳飲料は、還元乳、ミルクティー又はコーヒー牛乳である。
【0030】
乳飲料中の大部分の微生物を有効に殺菌するのを保証し、製品の品質保持期間を長くするために、本発明の一実施例中、殺菌する温度は、137℃〜140℃である。
【0031】
乳飲料中の栄養成分を最大限に保持するのを保証するために、本発明の一実施例中、殺菌する時間は、4s〜30sである。
【0032】
本発明の提供する乳製品中のタンパク質熱安定性検出方法は、乳製品と水とを混合して第1サンプル溶液を得るステップと、第1サンプル溶液を100℃〜135℃の条件下で10min〜40min処理して第2サンプル溶液を得るステップと、第2サンプル溶液に対して検出を行って第2サンプル溶液のタンパク質熱安定性を獲得するステップと、を含む。第2サンプル溶液に、積層、沈殿及び凝結が発生しない場合、タンパク質熱安定性が優れるとする。第2サンプル溶液に、軽微なケーキングが発生し、肉眼で視認可能な微小粒状の凝結物が浮遊した場合、タンパク質熱安定性が普通とする。第2サンプル溶液にやや顕著なケーキングが発生した上、凝集現象が発生した場合、タンパク質熱安定性がやや低いとする。第2サンプル溶液に顕著なケーキングが発生した上、雲状の凝結物が発生した場合、タンパク質熱安定性が低いとする。本発明の提供する検出方法によってタンパク質熱安定性が分かっている乳製品の標準品が示す検出結果は、事実と符合した。本発明によって検出したタンパク質熱安定性の異なる乳製品を実際の生産ラインに投入した結果、本発明の検出方法で検出したタンパク質熱安定性は、超高温滅菌設備の連続運転可能時間と関連性があることが示された。即ち、タンパク質熱安定性に優れた乳製品で生産を行った場合、超高温滅菌設備の連続運転可能時間が長かった。反対に、タンパク質熱安定性が低い乳製品で生産を行った場合、超高温滅菌設備の連続運転可能時間が短かった。本発明の検出方法は、一般の実験型滅菌釜で乳製品サンプルに恒温処理を行い、1h〜2h内に乳製品中のタンパク質の熱安定性を検出できる。このことから、本発明の提供する検出方法は、乳製品中のタンパク質熱安定性を迅速で正確に検出できることが分かった。これにより、タンパク質熱安定性が低い乳製品を排除し、タンパク質熱安定性に優れた乳製品を使用して製品の生産を行うことができ、超高温滅菌設備を連続して6h以上運転させることができるため、生産ラインの生産能力を高め、AICの回数を減少させ、生産コストを抑制し、企業収益を増加させることができる。
【0033】
本発明の提供する乳製品中のタンパク質熱安定性検出方法中で使用する材料又は補助材料は、市場で購入することができる。
【0034】
実施例を挙げ、本発明の詳細な説明を以下に示す。
【0035】
実施例1:全脂粉乳標準品のタンパク質熱安定性検出
【0036】
タンパク質熱安定性の分かっている4つの全脂粉乳標準品を準備した。タンパク質熱安定性は、優れる、普通、やや低い及び低いである。標準品中のタンパク質含有量を検出した結果、標準品中のタンパク質の含有
量は、25%であった。
【0037】
各全脂粉乳標準品を全脂粉乳溶液(被検出溶液)にした。具体的な方法は、上述の各標準品を80gずつ秤量し、50℃の水を320g秤量し、IKA撹拌器を用いて400rpmの状況下で秤量した標準品を水中に徐々に加えた。標準品が完全に溶解した後、タンパク質含有量が5%の全脂粉乳溶液を得た。全脂粉乳溶液を400rpmの状況下で10min水和した。全脂粉乳溶液100gずつを3つの250mLの三角フラスコ中に入れ、対応するゴム栓で蓋をし、新聞紙を被せて輪ゴムで縛り、3つの等しい全脂粉乳溶液標準品を製造して待機した。
【0038】
実験型高温高圧滅菌釜のパラメータを121℃、15minに設定した。高温高圧滅菌釜の型番は、STURDY sa−300vlである。3つの等しい全脂粉乳溶液標準品を高温高圧滅菌釜中で121℃、15min処理した。高温高圧滅菌釜が90℃以下まで冷却されたとき、標準品(サンプル)を取り出して観察し、全脂粉乳サンプルのタンパク質熱安定性を検出した。
【0039】
試験の結果、タンパク質熱安定性に優れた標準品溶液は、積層、沈殿及び凝結が発生しなかった。タンパク質熱安定性が普通の標準品溶液は、軽微なケーキングが発生し、肉眼で視認可能な微小粒状の凝結物が浮遊した。タンパク質熱安定性がやや低い標準品溶液は、やや顕著なケーキングが発生した上、凝集現象が発生した。タンパク質熱安定性が低い標準品溶液は、顕著なケーキングが発生した上、雲状の凝結物が発生した。検出結果が事実と符合したため、本発明の提供する検出方法は、全脂粉乳のタンパク質熱安定性を正確に検出できることが示された。
【0040】
実施例2:脱脂粉乳標準品のタンパク質熱安定性検出
【0041】
タンパク質熱安定性の分かっている4つの脱脂粉乳標準品を準備した。タンパク質熱安定性は、優れる、普通、やや低い及び低いである。標準品中のタンパク質含有量を検出した結果、標準品中のタンパク質の含有
量は、32%であった。
【0042】
各脱脂粉乳標準品を脱脂粉乳溶液(被検出溶液)にした。具体的な方法は、上述の各標準品を62.5gずつ秤量し、50℃の水を337.5g秤量し、IKA撹拌器を用いて400rpmの状況下で秤量した標準品を水中に徐々に加えた。標準品が完全に溶解した後、タンパク質含有量が5%の脱脂粉乳溶液を得た。脱脂粉乳溶液を400rpmの状況下で10min水和した。脱脂粉乳溶液100gずつを3つの250mLの三角フラスコ中に入れ、対応するゴム栓で蓋をし、新聞紙を被せて輪ゴムで縛り、3つの等しい脱脂粉乳溶液標準品を製造して待機した。
【0043】
実験型高温高圧滅菌釜のパラメータを121℃、15minに設定した。高温高圧滅菌釜の型番は、STURDY sa−300vlである。3つの等しい脱脂粉乳溶液標準品を高温高圧滅菌釜中で121℃、15min処理した。高温高圧滅菌釜が90℃以下まで冷却されたとき、標準品(サンプル)を取り出して観察し、脱脂粉乳サンプルのタンパク質熱安定性を検出した。
【0044】
試験の結果、タンパク質熱安定性に優れた標準品溶液は、積層、沈殿及び凝結が発生しなかった。タンパク質熱安定性が普通の標準品溶液は、軽微なケーキングが発生し、肉眼で視認可能な微小粒状の凝結物が浮遊した。タンパク質熱安定性がやや低い標準品溶液は、やや顕著なケーキングが発生した上、凝集現象が発生した。タンパク質熱安定性が低い標準品溶液は、顕著なケーキングが発生した上、雲状の凝結物が発生した。検出結果が事実と符合したため、本発明の提供する検出方法は、脱脂粉乳のタンパク質熱安定性を正確に検出できることが示された。
【0045】
実施例3:練乳標準品のタンパク質熱安定性検出
【0046】
タンパク質熱安定性の分かっている4つの練乳標準品を準備した。タンパク質熱安定性は、優れる、普通、やや低い及び低いである。標準品中のタンパク質含有量を検出した結果、標準品中のタンパク質の含有
量は、8%であった。
【0047】
各練乳標準品を練乳溶液(被検出溶液)にした。具体的な方法は、上述の各標準品を250gずつ秤量し、50℃の水を150g秤量し、IKA撹拌器を用いて400rpmの状況下で秤量した標準品を水中に徐々に加えた。標準品が完全に溶解した後、タンパク質含有量が5%の練乳溶液を得た。練乳溶液を400rpmの状況下で10min水和した。練乳溶液100gずつを3つの250mLの三角フラスコ中に入れ、対応するゴム栓で蓋をし、新聞紙を被せて輪ゴムで縛り、3つの等しい練乳溶液標準品を製造して待機した。
【0048】
実験型高温高圧滅菌釜のパラメータを121℃、15minに設定した。高温高圧滅菌釜の型番は、STURDY sa−300vlである。3つの等しい練乳溶液標準品を高温高圧滅菌釜中で121℃、15min処理した。高温高圧滅菌釜が90℃以下まで冷却されたとき、標準品(サンプル)を取り出して観察し、練乳サンプルのタンパク質熱安定性を検出した。
【0049】
試験の結果、タンパク質熱安定性に優れた標準品溶液は、積層、沈殿及び凝結が発生しなかった。タンパク質熱安定性が普通の標準品溶液は、軽微なケーキングが発生し、肉眼で視認可能な微小粒状の凝結物が浮遊した。タンパク質熱安定性がやや低い標準品溶液は、やや顕著なケーキングが発生した上、凝集現象が発生した。タンパク質熱安定性が低い標準品溶液は、顕著なケーキングが発生した上、雲状の凝結物が発生した。検出結果が事実と符合したため、本発明の提供する検出方法は、練乳のタンパク質熱安定性を正確に検出できることが示された。
【0050】
実施例4:乳タンパク質濃縮物標準品のタンパク質熱安定性検出
【0051】
タンパク質熱安定性の分かっている4つの乳タンパク質濃縮物標準品を準備した。タンパク質熱安定性は、優れる、普通、やや低い及び低いである。標準品中のタンパク質含有量を検出した結果、標準品中のタンパク質の含有
量は、80%であった。
【0052】
各乳タンパク質濃縮物標準品を乳タンパク質濃縮物溶液(被検出溶液)にした。具体的な方法は、上述の各標準品を25gずつ秤量し、50℃の水を375g秤量し、IKA撹拌器を用いて400rpmの状況下で秤量した標準品を水中に徐々に加えた。標準品が完全に溶解した後、タンパク質含有量が5%の乳タンパク質濃縮物溶液を得た。乳タンパク質濃縮物溶液を400rpmの状況下で10min水和した。乳タンパク質濃縮物溶液100gずつを3つの250mLの三角フラスコ中に入れ、対応するゴム栓で蓋をし、新聞紙を被せて輪ゴムで縛り、3つの等しい乳タンパク質濃縮物溶液標準品を製造して待機した。
【0053】
実験型高温高圧滅菌釜のパラメータを121℃、15minに設定した。高温高圧滅菌釜の型番は、STURDY sa−300vlである。3つの等しい乳タンパク質濃縮物溶液標準品を高温高圧滅菌釜中で121℃、15min処理した。高温高圧滅菌釜が90℃以下まで冷却されたとき、標準品(サンプル)を取り出して観察し、乳タンパク質濃縮物サンプルのタンパク質熱安定性を検出した。
【0054】
試験の結果、タンパク質熱安定性に優れた標準品溶液は、積層、沈殿及び凝結が発生しなかった。タンパク質熱安定性が普通の標準品溶液は、軽微なケーキングが発生し、肉眼で視認可能な微小粒状の凝結物が浮遊した。タンパク質熱安定性がやや低い標準品溶液は、やや顕著なケーキングが発生した上、凝集現象が発生した。タンパク質熱安定性が低い標準品溶液は、顕著なケーキングが発生した上、雲状の凝結物が発生した。検出結果が事実と符合したため、本発明の提供する検出方法は、乳タンパク質濃縮物のタンパク質熱安定性を正確に検出できることが示された。
【0055】
実施例5:全脂粉乳のタンパク質熱安定性検出
【0056】
市販の4つの異なるブランドの全脂粉乳を準備した。各ブランドは、ブランドA、ブランドB、ブランドC及びブランドDである。ブランドA、ブランドB、ブランドC及びブランドDの全脂粉乳中のタンパク質含有量を検出した結果、それぞれ、25%、24.8%、24.5%及び24%であった。
【0057】
各ブランドの全脂粉乳を80gずつ秤量し、50℃の水をそれぞれ、320g、316.8g、312g及び304g秤量し、IKA撹拌器を用いて400rpmの状況下で秤量した全脂粉乳を水中に徐々に加えた。全脂粉乳が完全に溶解した後、4つのタンパク質含有量が5%の全脂粉乳溶液を得た。全脂粉乳溶液を400rpmの状況下で10min水和した。各全脂粉乳溶液100gずつを3つの250mLの三角フラスコ中に入れ、対応するゴム栓で蓋をし、新聞紙を被せて輪ゴムで縛り、各3つの等しい全脂粉乳溶液サンプルを製造して待機した。
【0058】
実験型高温高圧滅菌釜のパラメータを121℃、15minに設定した。高温高圧滅菌釜の型番は、STURDY sa−300vlである。全脂粉乳溶液サンプルを高温高圧滅菌釜中で121℃、15min処理した。高温高圧滅菌釜が90℃以下まで冷却されたとき、サンプルを取り出して観察し、全脂粉乳サンプルのタンパク質熱安定性を検出した。検出基準を表1に示し、検出結果を表2に示す。
【0059】
乳製品を原料として加工を行う過程において、UHT処理を行う際、タンパク質が変性して沈殿しやすく、滅菌設備の加熱表面に徐々に付着して垢が形成される。滅菌設備内の圧力は、加熱表面に垢が形成されるにつれて増大し、滅菌設備内の圧力が一定程度まで増大した場合、滅菌設備の加熱表面に多量の垢が形成されているため、滅菌過程における熱伝達が影響を受け、製品の殺菌効果が影響を受ける。こうなった場合、滅菌設備に対して内部洗浄(AIC)を行う必要がある。このため、滅菌設備の連続運転時間は、乳製品のタンパク質熱安定性と直接関係がある。実際の生産工程中においては、滅菌設備の連続運転時間から乳製品中のタンパク質熱安定性を判断することができる。上述の4つの異なるブランドの全脂粉乳をタンパク質含有量が2.3%の還元乳の生産に投入し、超高温滅菌設備において138℃、4sの滅菌作業を行った。蒸気比例バルブが全開となり、殺菌する温度が138℃に達しなくなったとき、超高温滅菌設備の連続運転時間を記録した。結果を表3に示す。
【0060】
[表1]:乳製品中のタンパク質熱安定性検出基準
【0061】
[表2]:全脂粉乳のタンパク質熱安定性検出結果
【0062】
[表3]:超高温滅菌設備の連続運転時間
【0063】
上述の試験結果から分かるように、本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性に優れた全脂粉乳(ブランドA)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、6.88h連続運転させることができた。
【0064】
本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性が普通の全脂粉乳(ブランドB)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、4.72h連続運転させることができた。
【0065】
本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性がやや低い全脂粉乳(ブランドC)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、3.13h連続運転させることができた。
【0066】
本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性が低い全脂粉乳(ブランドD)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、1.57h連続運転させることができた。
【0067】
このことから、本発明の検出方法で検出したタンパク質熱安定性は、超高温滅菌設備の連続運転可能時間と関連性があり、タンパク質熱安定性に優れた乳製品で生産を行った場合、超高温滅菌設備の連続運転可能時間が長く、反対に、タンパク質熱安定性が低い乳製品で生産を行った場合、超高温滅菌設備の連続運転可能時間が短かったため、本発明の提供する検出方法は、全脂粉乳のタンパク質熱安定性を正確に検出できることが示された。
【0068】
実施例6:脱脂粉乳のタンパク質熱安定性検出
【0069】
市販の4つの異なるブランドの脱脂粉乳を準備した。各ブランドは、ブランドE、ブランドF、ブランドG及びブランドHである。ブランドE、ブランドF、ブランドG及びブランドHの脱脂粉乳中のタンパク質含有量を検出した結果、それぞれ、34%、33.8%、33%及び32%であった。
【0070】
各ブランドの脱脂粉乳を60gずつ秤量し、50℃の水をそれぞれ、450g、447g、435g及び420g秤量し、IKA撹拌器を用いて400rpmの状況下で秤量した脱脂粉乳を水中に徐々に加えた。脱脂粉乳が完全に溶解した後、4つのタンパク質含有量が4%の脱脂粉乳溶液を得た。各脱脂粉乳溶液100gずつを3つの250mLの三角フラスコ中に入れ、対応するゴム栓で蓋をし、新聞紙を被せて輪ゴムで縛り、各3つの等しい脱脂粉乳溶液サンプルを製造して待機した。
【0071】
実験型高温高圧滅菌釜のパラメータを100℃、40minに設定した。高温高圧滅菌釜の型番は、STURDY sa−300vlである。脱脂粉乳溶液サンプルを高温高圧滅菌釜中で100℃、40min処理した。高温高圧滅菌釜が90℃以下まで冷却されたとき、サンプルを取り出して観察し、脱脂粉乳サンプルのタンパク質熱安定性を検出した。検出基準は、表1に示す検出基準であり、検出結果を表4に示す。
【0072】
乳製品を原料として加工を行う過程において、UHT処理を行う際、タンパク質が変性して沈殿しやすく、滅菌設備の加熱表面に徐々に付着して垢が形成される。滅菌設備内の圧力は、加熱表面に垢が形成されるにつれて増大し、滅菌設備内の圧力が一定程度まで増大した場合、滅菌設備の加熱表面に多量の垢が形成されているため、滅菌過程における熱伝達が影響を受け、製品の殺菌効果が影響を受ける。こうなった場合、滅菌設備に対して内部洗浄(AIC)を行う必要がある。このため、滅菌設備の連続運転時間は、乳製品のタンパク質熱安定性と直接関係がある。実際の生産工程中においては、滅菌設備の連続運転時間から乳製品中のタンパク質熱安定性を判断することができる。上述の4つの異なるブランドの脱脂粉乳をタンパク質含有量が0.8%のミルクティーの生産に投入し、超高温滅菌設備において138℃、4sの滅菌作業を行った。蒸気比例バルブが全開となり、殺菌する温度が138℃に達しなくなったとき、超高温滅菌設備の連続運転時間を記録した。結果を表5に示す。
【0073】
[表4]:脱脂粉乳のタンパク質熱安定性検出結果
【0074】
[表5]:超高温滅菌設備の連続運転時間
【0075】
上述の試験結果から分かるように、本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性に優れた脱脂粉乳(ブランドE)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、8.95h連続運転させることができた。
【0076】
本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性が普通の脱脂粉乳(ブランドF)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、6.61h連続運転させることができた。
【0077】
本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性がやや低い脱脂粉乳(ブランドG)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、5.13h連続運転させることができた。
【0078】
本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性が低い脱脂粉乳(ブランドH)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、2.51h連続運転させることができた。
【0079】
このことから、本発明の検出方法で検出したタンパク質熱安定性は、超高温滅菌設備の連続運転可能時間と関連性があり、タンパク質熱安定性に優れた脱脂粉乳で生産を行った場合、超高温滅菌設備の連続運転可能時間が長く、反対に、タンパク質熱安定性が低い脱脂粉乳で生産を行った場合、超高温滅菌設備の連続運転可能時間が短かったため、本発明の提供する検出方法は、脱脂粉乳のタンパク質熱安定性を正確に検出できることが示された。
【0080】
実施例7:練乳のタンパク質熱安定性検出
【0081】
市販の4つの異なるブランドの練乳を準備した。各ブランドは、ブランドI、ブランドJ、ブランドK及びブランドLである。ブランドI、ブランドJ、ブランドK及びブランドLの練乳中のタンパク質含有量を検出した結果、それぞれ、8.8%、8.4%、8.2%及び8%であった。
【0082】
各ブランドの練乳を250gずつ秤量し、50℃の水をそれぞれ、64.3g、50g、43g及び36g秤量し、IKA撹拌器を用いて400rpmの状況下で秤量した練乳を水中に徐々に加えた。練乳が完全に溶解した後、4つのタンパク質含有量が7%の練乳溶液を得た。練乳溶液を300rpmの状況下で20min水和した。各練乳溶液100gずつを3つの250mLの三角フラスコ中に入れ、対応するゴム栓で蓋をし、新聞紙を被せて輪ゴムで縛り、各3つの等しい練乳溶液サンプルを製造して待機した。
【0083】
実験型高温高圧滅菌釜のパラメータを135℃、10minに設定した。高温高圧滅菌釜の型番は、STURDY sa−300vlである。練乳溶液サンプルを高温高圧滅菌釜中で135℃、10min処理した。高温高圧滅菌釜が90℃以下まで冷却されたとき、サンプルを取り出して観察し、練乳サンプルのタンパク質熱安定性を検出した。検出基準は、表1に示す検出基準であり、検出結果を表6に示す。
【0084】
乳製品を原料として加工を行う過程において、UHT処理を行う際、タンパク質が変性して沈殿しやすく、滅菌設備の加熱表面に徐々に付着して垢が形成される。滅菌設備内の圧力は、加熱表面に垢が形成されるにつれて増大し、滅菌設備内の圧力が一定程度まで増大した場合、滅菌設備の加熱表面に多量の垢が形成されているため、滅菌過程における熱伝達が影響を受け、製品の殺菌効果が影響を受ける。こうなった場合、滅菌設備に対して内部洗浄(AIC)を行う必要がある。このため、滅菌設備の連続運転時間は、乳製品のタンパク質熱安定性と直接関係がある。実際の生産工程中においては、滅菌設備の連続運転時間から乳製品中のタンパク質熱安定性を判断することができる。上述の4つの異なるブランドの練乳をタンパク質含有量が1.1%のコーヒー牛乳の生産に投入し、超高温滅菌設備において138℃、4sの滅菌作業を行った。蒸気比例バルブが全開となり、殺菌する温度が138℃に達しなくなったとき、超高温滅菌設備の連続運転時間を記録した。結果を表7に示す。
【0085】
[表6]:練乳のタンパク質熱安定性検出結果
【0086】
[表7]:超高温滅菌設備の連続運転時間
【0087】
上述の試験結果から分かるように、本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性に優れた練乳(ブランドI)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、8.02h連続運転させることができた。
【0088】
本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性が普通の練乳(ブランドJ)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、7.38h連続運転させることができた。
【0089】
本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性がやや低い練乳(ブランドK)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、5.07h連続運転させることができた。
【0090】
本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性が低い練乳(ブランドL)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、2.51h連続運転させることができた。
【0091】
このことから、本発明の検出方法で検出したタンパク質熱安定性は、超高温滅菌設備の連続運転可能時間と関連性があり、タンパク質熱安定性に優れた練乳で生産を行った場合、超高温滅菌設備の連続運転可能時間が長く、反対に、タンパク質熱安定性が低い練乳で生産を行った場合、超高温滅菌設備の連続運転可能時間が短かったため、本発明の提供する検出方法は、練乳のタンパク質熱安定性を正確に検出できることが示された。
【0092】
実施例8:乳タンパク質濃縮物のタンパク質熱安定性検出
【0093】
市販の4つの異なるブランドの乳タンパク質濃縮物を準備した。各ブランドは、ブランドM、ブランドN、ブランドO及びブランドPである。ブランドM、ブランドN、ブランドO及びブランドPの乳タンパク質濃縮物中のタンパク質含有量を検出した結果、それぞれ、82%、81.5%、81%及び80%であった。
【0094】
各ブランドの乳タンパク質濃縮物を25gずつ秤量し、50℃の水をそれぞれ、385g、382.5g、380g及び375g秤量し、IKA撹拌器を用いて400rpmの状況下で秤量した乳タンパク質濃縮物を水中に徐々に加えた。乳タンパク質濃縮物が完全に溶解した後、4つのタンパク質含有量が5%の乳タンパク質濃縮物溶液を得た。乳タンパク質濃縮物溶液を700rpmの状況下で8min水和した。各乳タンパク質濃縮物溶液100gずつを3つの250mLの三角フラスコ中に入れ、対応するゴム栓で蓋をし、新聞紙を被せて輪ゴムで縛り、各3つの等しい乳タンパク質濃縮物溶液サンプルを製造して待機した。
【0095】
実験型高温高圧滅菌釜のパラメータを130℃、12minに設定した。高温高圧滅菌釜の型番は、STURDY sa−300vlである。乳タンパク質濃縮物溶液サンプルを高温高圧滅菌釜中で130℃、12min処理した。高温高圧滅菌釜が90℃以下まで冷却されたとき、サンプルを取り出して観察し、乳タンパク質濃縮物サンプルのタンパク質熱安定性を検出した。検出基準は、表1に示す検出基準であり、検出結果を表8に示す。
【0096】
乳製品を原料として加工を行う過程において、UHT処理を行う際、タンパク質が変性して沈殿しやすく、滅菌設備の加熱表面に徐々に付着して垢が形成される。滅菌設備内の圧力は、加熱表面に垢が形成されるにつれて増大し、滅菌設備内の圧力が一定程度まで増大した場合、滅菌設備の加熱表面に多量の垢が形成されているため、滅菌過程における熱伝達が影響を受け、製品の殺菌効果が影響を受ける。こうなった場合、滅菌設備に対して内部洗浄(AIC)を行う必要がある。このため、滅菌設備の連続運転時間は、乳製品のタンパク質熱安定性と直接関係がある。実際の生産工程中においては、滅菌設備の連続運転時間から乳製品中のタンパク質熱安定性を判断することができる。上述の4つの異なるブランドの乳タンパク質濃縮物をタンパク質含有量が0.8%のミルクティーの生産に投入し、超高温滅菌設備において138℃、4sの滅菌作業を行った。蒸気比例バルブが全開となり、殺菌する温度が138℃に達しなくなったとき、超高温滅菌設備の連続運転時間を記録した。結果を表9に示す。
【0097】
[表8]:乳タンパク質濃縮物のタンパク質熱安定性検出結果
【0098】
[表9]:超高温滅菌設備の連続運転時間
【0099】
上述の試験結果から分かるように、本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性に優れた乳タンパク質濃縮物(ブランドM)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、9.91h連続運転させることができた。
【0100】
本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性が普通の乳タンパク質濃縮物(ブランドN)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、7.09h連続運転させることができた。
【0101】
本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性がやや低い乳タンパク質濃縮物(ブランドO)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、5.14h連続運転させることができた。
【0102】
本発明の提供する方法で検出したタンパク質熱安定性が低い乳タンパク質濃縮物(ブランドP)で生産を行った場合、超高温滅菌設備は、2.55h連続運転させることができた。
【0103】
このことから、本発明の検出方法で検出したタンパク質熱安定性は、超高温滅菌設備の連続運転可能時間と関連性があり、タンパク質熱安定性に優れた乳タンパク質濃縮物で生産を行った場合、超高温滅菌設備の連続運転可能時間が長く、反対に、タンパク質熱安定性が低い乳タンパク質濃縮物で生産を行った場合、超高温滅菌設備の連続運転可能時間が短かったため、本発明の提供する検出方法は、乳タンパク質濃縮物のタンパク質熱安定性を正確に検出できることが示された。
【0105】
実施例5で検出したタンパク質熱安定性に優れた全脂粉乳(ブランドA)を準備し、通常の補助材料と混合し、138℃、4sの滅菌処理を行い、タンパク質含有量が2.3%の還元乳を製造した。
【0107】
実施例6で検出したタンパク質熱安定性に優れた脱脂粉乳(ブランドE)を準備し、通常の補助材料と混合し、137℃、30sの滅菌処理を行い、タンパク質含有量が0.8%のミルクティーを製造した。
【0109】
実施例7で検出したタンパク質熱安定性に優れた練乳(ブランドI)を準備し、通常の補助材料と混合し、140℃、4sの滅菌処理を行い、タンパク質含有量が1.1%のコーヒー牛乳を製造した。
【0111】
実施例8で検出したタンパク質熱安定性に優れた乳タンパク質濃縮物(ブランドM)を準備し、通常の補助材料と混合し、139℃、10sの滅菌処理を行い、タンパク質含有量が0.8%のミルクティーを製造した。
【0112】
以上の実施例は、本発明を説明するためのみに用いるものであり、本発明を限定するものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲において、当業者は、本発明の特許請求の範囲及び明細書の簡易な変更及び修飾を行うことができ、それらは何れも本発明の特許請求の範囲に含まれる。