特許第5923596号(P5923596)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5923596
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】LED道路照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/08 20060101AFI20160510BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20160510BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160510BHJP
【FI】
   F21S8/08 112
   F21V19/00 450
   F21Y101:02
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-510296(P2014-510296)
(86)(22)【出願日】2011年11月14日
(65)【公表番号】特表2014-513410(P2014-513410A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】US2011060541
(87)【国際公開番号】WO2012158198
(87)【国際公開日】20121122
【審査請求日】2014年11月7日
(31)【優先権主張番号】13/107,382
(32)【優先日】2011年5月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507114761
【氏名又は名称】ジーイー・ライティング・ソルーションズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ロー,シャオメイ
(72)【発明者】
【氏名】ムラコヴィッチ,マシュー・スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー,マーク・ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ペイジ,デイヴィッド・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】サハ,バビー・コーシック
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0165641(US,A1)
【文献】 特開2010−118223(JP,A)
【文献】 実開平02−062617(JP,U)
【文献】 特開平06−196007(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0267525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S2/00−19/00
F21V1/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の光学モジュールを収容するハウジングを有する道路照明器具であって、前記光学モジュールが反射器内に配置された細長の光源を有しており、前記反射器が、向かい合う湾曲した縦方向壁及び向かい合う湾曲した端壁を有し、前記端壁が、前記光源が位置している平面に対して90°以下の角度で配向されており、2以上の光学モジュールが互いに異なる形状の湾曲した縦方向壁を有している、照明器具。
【請求項2】
前記2以上の光学モジュールが、少なくとも実質的に等しい形状の端壁を有している、請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記光源が複数のLEDを有している、請求項1記載の照明器具。
【請求項4】
前記2以上の光学モジュールが、反対方向の光学軸を有している、請求項1記載の照明器具。
【請求項5】
前記縦方向壁の内の少なくとも1つが反射性クリップ素子を含んでいる、請求項1記載の照明器具。
【請求項6】
前記向かい合う縦方向壁が水平及び垂直の各々の方向に湾曲している、請求項1記載の照明器具。
【請求項7】
前記縦方向壁が前記端壁よりも長い、請求項1記載の照明器具。
【請求項8】
前記縦方向壁の各々が、前記光源が位置している平面に対して90°未満の角度で配向されている、請求項1記載の照明器具。
【請求項9】
前記縦方向壁の各々が、前記光源が位置している平面に対して90°以上の角度で配向されている、請求項1記載の照明器具。
【請求項10】
電子回路モジュール及び少なくとも1つの光学モジュールを収容するハウジングを含む道路照明器具であって、
前記光学モジュールが、複数の発光ダイオード(LED)を含む印刷回路板(PCB)と、前記印刷回路板を取り囲む反射器とを有しており、前記複数の発光ダイオードが3以上のアレイに分けて配列されて、その内の第1のアレイが前記PCBの第1の端に隣接して配置され、第2のアレイが前記PCBの第2の端に隣接して配置され、第3のアレイが前記第1及び第2のアレイの間に配置されており、隣接するアレイのLED間の距離が各々のアレイにおける隣接LED間の距離よりも大きい、道路照明器具。
【請求項11】
前記第3のアレイによって放出された光の少なくとも約40%が非反射光として前記ハウジングを出て行く、請求項10記載の照明器具。
【請求項12】
前記第1及び第2のアレイによって放出された光の少なくとも50%が反射光として前記ハウジングを出て行く、請求項11記載の照明器具。
【請求項13】
前記第1及び第2のアレイによって放出された光の約1%〜約25%が非反射光として前記ハウジングを出て行く、請求項12の照明器具。
【請求項14】
2以上の光学モジュールを有している請求項13記載の照明器具。
【請求項15】
2以上の光学モジュールを収容するハウジング有する道路照明器具であって、前記光学モジュールが反射器内に配置された複数の発光ダイオードを有しており、前記反射器が、向かい合う湾曲した側壁及び向かい合う湾曲した端壁を有していて、側壁が互いに異なる曲率を有しており、前記端壁が水平方向及び垂直方向に湾曲している、照明器具。
【請求項16】
前記側壁が実質的に下方及び前方照明パターンを提供する、請求項15記載の照明器具。
【請求項17】
前記照明器具が、実質的に等しい側壁及び端壁を有する2つの光学モジュールを含んでおり、各々の光学モジュールが主光学軸を有していて、前記2つの光学モジュールの光学軸が反対向きである、請求項15記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に云えば、照明器具に関し、より詳しく云えば、地面上に光の様々なパターンを分布させるための屋外照明器具に関するものである。これらの照明器具は、道路、駐車場、歩道、自転車通路を含む地域照明、又は他の同様な用途に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
一般に、道路照明器具は、ランプ又は他の光源と、レンズと、光源からの光を屈折及び/又は反射するための反射器とで構成される。典型的には、反射器、レンズ及び任意の遮蔽体が、光分布パターンを画成する。
【0003】
幹線道路及び一般道路の照明には、伝統的には白熱ランプが用いられ、より最近では高輝度放電(HID)ランプが用いられており、これらのランプは適切な量の光を供給するが、幾つかの欠点があり、例えば、ランプの故障が多く、また道路表面の照明分布が余りよくない。白熱ランプ及びHIDランプは全方向光源であり、光の制御が比較的悪く、その結果、利用性が低い。制御されていない光は、光を必要としていない道路(及び、場合によっては、歩道)周辺の区域を無駄に照明することがあり、また夜間環境の保護を妨害する虞のある不法な光の侵入及び光公害を招く。
【0004】
発光ダイオード(LED)のような光源の品質及びエネルギ効率が改善されるにつれて、それらの生産コストが低下している。その結果、LEDは屋外照明用途に普通に用いられるようになっている。LEDを照明器具を取り入れる初期の努力は、LEDを従来の照明器具の中に組み込むか、或いは従来の照明器具の形状に合わせて改造していた。
【0005】
LEDは、目標の照明を達成するのに有効な手段を提供する。しかしながら、照明器具パッケージを注意深く設計することが必要である。光エネルギは、距離の関数として所与の区域にわたって広がる。従って、遠隔区域の照明は、光源からの距離の自乗に反比例して変化する。更に、照明器具が比較的大きな目標区域へ光を差し向けるので、光源は、照明すべき区域よりも遙かに小さい。従って、各照明器具によって発生される輝度は、かなりの区域をカバーするために比較的強くなければならない。
【0006】
図1A図1Gは、様々なタイプの道路照明パターンを示す。これらのパターンは、様々な状態の効果的な照明を提供するように設計されている。更に、道路照明器具は、数例の代表的な要件を挙げると、1車線又は数車線の道路を照明できるようにすべきであり、また様々な支柱間隔に対処すべきであり、また歩道の後方照明を行うことを要求されることがある。北米照明工学協会(IESNA)は照明についての公認の技術機関であり、5つの主要なタイプの道路照明について仕様を発行している。
【0007】
分類タイプは、道路側の横方向(道路を横切る方向)取付け高さに対する半値等カンデラ線(half maximun iso-candella line)によって規定される。これは、縦方向(道路に沿った方向)能力とは無関係であり、それは縦方向取付け高さに対する投射最大カンデラの関係によって規定される。タイプの分類は、分布の前方投射量を表し、一般に、車線の数又は到達範囲の距離と同等と見なすことができる。
【0008】
タイプ1の照明は、図1Aに示されているように、道路の方向に沿った2方向の直接照明であり(この場合、ランプ支柱は反対向きの交通の流れの間の中間に取り付けることができる)及び/又は図1Bに示されているように断面において直線方向のパターンである。図1Cは、交差点全体を横切る全方向照明パターンを示す。図1Dは、法線に対して或る角度で(非対称に)2つの方向の何れかに光を差し向ける照明器具を示し、また図1Eでは4つの方向の場合を示し、これらはタイプ2の照明である。図1Fのタイプ3の照明は、タイプ2の照明(図1D)と比べて法線からのより大きな角度の照明を示す。タイプ4の照明(図1G)は法線からの更に広い角度の照明を持つ。前に述べたように、これらの照明パターンは、様々な用途状態の照明をもたらすために望ましい。
【0009】
照明設計者にとって別の問題が存在する。先ず第1に、離れた目標区域において所与の光レベルを維持するために、光源は高レベルの光度を生じなければならない。これにより、照明器具を見る者にとって眩光の問題が生じることがある。溢れた眩しい光は効率の悪い光の使用であり、またしばしば不快さを生じるさせることがある。この溢光は主にエネルギの浪費であり、従って最小にすべきである。しかし、幾分かの制御された溢光は、強度勾配のある光を提供して道路の周辺を照らすために必要である。溢光は広範囲の照明区域を生じさせ、これは実際の道路を周囲の区域から区別し難くする。更に、多くの用途では、制御が行われていないと、より多数の支柱及び照明器具を利用することが必要になり、その結果、費用がかかり且つかなりの資源を消費することになる。
【0010】
多種多様な光分布パターンを提供する適応性のある照明装置を提供することは、光の精密な制御が可能になる。本発明の1つの利点は、適応性のあるモジュール式照明器具を提供することによって、殆ど任意の区域を適切に照明するのに適当な光分布及び配向を持つ照明器具モジュールを容易に選択することができることである。
【発明の概要】
【0011】
第1の実施形態によれば、道路照明器具が提供される。この照明器具は、電子回路モジュール及び少なくとも1つの光学モジュールを収容するハウジングを有する。前記光学モジュールは、反射器内に配置された少なくとも1つの光源を含む。前記反射器は、向かい合う湾曲した縦方向壁及び向かい合う湾曲した端壁を含む。
【0012】
第2の実施形態によれば、道路照明器具が提供される。この照明器具は、少なくとも1つの光学モジュールを収容するハウジングを含む。前記光学モジュールは、複数の発光ダイオードを含む印刷回路板(PCB)と、前記印刷回路板を取り囲む反射器とを有する。前記複数の発光ダイオードは少なくとも3つのアレイに分けて配列され、その内の第1のアレイは前記PCBの第1の端に隣接して配置され、第2のアレイは前記PCBの第2の端に隣接して配置され、また第3のアレイは前記第1及び第2のアレイの間に配置される。
【0013】
第3の実施形態によれば、道路照明器具が提供される。この照明器具は、少なくとも2つの光学モジュールを収容するハウジングを含む。前記光学モジュールは、反射器内に配置された複数の発光ダイオードを持つ。前記反射器は、向かい合う湾曲した側壁及び向かい合う湾曲した端壁を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1Aは、一タイプの道路照明パターンを示す概略図である。
図1B図1Bは、別のタイプの道路照明パターンを示す概略図である。
図1C図1Cは、別のタイプの道路照明パターンを示す概略図である。
図1D図1Dは、別のタイプの道路照明パターンを示す概略図である。
図1E図1Eは、別のタイプの道路照明パターンを示す概略図である。
図1F図1Fは、別のタイプの道路照明パターンを示す概略図である。
図1G図1Gは、別のタイプの道路照明パターンを示す概略図である。
図2図2は、道路照明器具の斜視図である。
図3図3は、単一のランプ・モジュールの斜視図である。
図4A図4Aは、4つの異なる反射器形状の内の1つを示す横方向断面図である。
図4B図4Bは、4つの異なる反射器形状の内の別の1つを示す横方向断面図である。
図4C図4Cは、4つの異なる反射器形状の内の別の1つを示す横方向断面図である。
図4D図4Dは、4つの異なる反射器形状の内の別の1つを示す横方向断面図である。
図5図5は、長い支柱間隔環境に適した反射器を例示する縦方向断面図である。
図6図6は、短い支柱間隔環境に適した反射器を例示する縦方向断面図である。
図7図7は、4モジュール照明器具設計の側断面図である。
図8図8は、図7の1つの光源モジュールの配向を逆にして達成される照明器具の適応能力を実証する側断面図である。
図9図9は、後方照明を達成するように設計された反射性クリップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
LED道路照明器具はそれらの利用率(CU)によって評価することができる。所与の大きさのルーメンで、LED照明器具は、必要とされる場所に光を正確に差し向け且つ上方への又は周囲区域内での光を殆ど無駄にしないことが望ましい。本発明による照明器具は、特に良好に制御された光分布を持つと共に優れたCUを持つ。
【0016】
また、限られた数の必要な構成部品により様々な照明要件に対処することのできる非常に適応性のある照明器具を提供することも望ましい。本発明による道路照明器具はモジュール式システムであって、最少数の交換可能な構成部品を用いて最大の設計融通性を与える。必要な構成部品の数が少ないことにより、サプライ・チェーンの保守管理が容易になり且つ顧客に対するリード・タイム(lead time) が短くなる。
【0017】
このことに関連して、本発明による照明器具は、1つ以上の光学モジュールを含むように設計される。1つ乃至4つのモジュールが殆どの用途にとって充分であると考えられる。各光学モジュールは、印刷回路板上に配置された複数のLEDを取り囲む反射器を有することができる。
【0018】
LEDが本発明の主な焦点であるが、蛍光ランプ又は蛍光ストリップ素子も同様な機能を与えることができると考えられる。更に、殆どの実施形態は細長の光源を用いるが、これは2つのLEDで構成することができる。本システムは、様々な照明レベルを提供するために印刷回路板上に装着した複数のLEDを持つことができる。更に、多レベルのLED装着印刷回路板を利用できると考えられるが、しかしながら、印刷回路板は共通の寸法及び形状にして、利用可能な様々な種類の反射器に適合可能にすることが好ましい。そのことに関連して、本システムは、様々な光分布パターンを提供するように設計された複数の反射器を構成部品として含むことができる。例えば、反射器は、選択的な量の前方方向の光及び選択的な量の横方向の光を提供するように設計することができる。この点に関連して、照明しようとする道路の車線の数及び支柱間の距離に応じて適当な反射器を選択することができる。模範的なモジュール式システムは、最大6つまでの異なる反射器設計を提供することができる。
【0019】
次に、図2について説明すると、大体コブラ頭部の形状の照明器具10がランプ支柱12上に示されている。照明器具10はハウジング14を有し、該ハウジングは、光学モジュール室18の中に接近するための第1のドア16、及び電子回路モジュール室の中に接近するための第2のドア20を含む。
【0020】
照明器具の一構成部品として示されている電子回路モジュールは、遠隔に配置することが考えられ、更に、電子回路モジュールの重要な機能は、LEDを使用するためにACをDCへ変換し調整することである。電子回路モジュールはこの機能を行うために照明器具内に存在する必要なない。同様に、AC電流で動作するLEDがあれば、電子回路モジュールを設ける必要性はなくなる。
【0021】
ドア16には透明な又は半透明のカバー24が付設される。半透明のカバー24は、プラスチック、AR被覆ガラス、枕状光学素子を含むガラス、モールド成形ガラス、及びエッチング又は他の光拡散材料を含む窓ガラスで構成することができる。ドア20には複数の放熱フィン26が付設される。しかしながら、複数の放熱フィンは不可欠な要素ではないことに留意されたい。光学モジュール30が光モジュール室18内に配置される。
【0022】
次に図3について説明すると、光学モジュール30は、その上に複数のLED34が配置された印刷回路板32(PCB)を含む細長の光源を有する。複数のLED34は3つのアレイ、すなわち、第1のアレイ36、中央のアレイ38及び第3のアレイ(図に示されていない)に分けて配列される。アレイの数、LED数、及び設計は変えることができる。更に、本発明では、アレイが1つ又は複数のLEDを有することが考えられる。僅か2つであるとき、1つのLEDのアレイを用いることができる。しかしながら、照明器具内に設けられた電気的又は機械的接続に影響を与えることなく、光学的配向を逆転させることのできる対称アレイ設計を提供することが望ましいことがある。更に、組み立ての容易さを改善することができる。PCB32は反射性の表面又はカバーを持ち且つ反射器42の光学軸40に配置されることが好ましい。
【0023】
反射器42は、向かい合う細長の湾曲した縦方向の側壁44及び46と、向かい合う湾曲した端壁48及び50とを含む。通常は、側壁は凹面である。更に、側壁は、典型的には、縦方向に真っ直ぐである。
【0024】
重要なことは、用語「湾曲」が、連続して湾曲していることを意図していないことに留意されたい。むしろ、湾曲は、反射器壁が互いに対して角度を成した少なくとも2つの平面状セグメントを持つことを包含するものとする。図2の端壁48及び50はこの設計を図示しており、この場合、複数のセグメントが互いに対して角度を成して配置されて、全体の側方曲率を形成する。同様に、反射器壁は、1つ以上の湾曲部分が散在している複数の平面状部分を持つことができると考えられる。更に、曲率の程度は壁の範囲全体にわたって変化させることができると考えられる。
【0025】
端壁48及び50は向かい合う湾曲した表面とすることができる。また更に、これらの端壁は共に、横方向に(水平方向に)及び上下方向に(垂直方向に)曲面を有することができる。以下により詳しく説明するように、反射器の設計は、非反射直接光成分及び反射光成分を供給するように選択される。この態様では、直接光は、主に支柱に取り付けられた照明器具の下方の地面に供給し、且つ反射光は前方、後方及び横方向に供給することができる。ここで、手短に云えば、直接光及び反射光の様々な組合せを本発明の照明器具設計によって供給することができることに留意されたい。同様に、様々な表面から反射される光が本発明の光学モジュールから放出されることに留意されたい。
【0026】
端壁及び細長の側壁は協働して、支柱の合間を狙った高い角度の光からさえもビームの横断方向の制御を全体的に維持する。各端部から集束し、次いで拡散するビームを生成することによって、高い角度のエネルギが、完全な機械的遮断と共に小さい形状係数で達成される。このことに関連して、光学モジュールを出る光が道路方向及び横方向の両方において制御されるので、端壁及び側壁は協働して光の線形制御を行う。例えば、端壁から反射され且つ実質的に道路から横方向に差し向けられた光が、縦方向側壁反射器によって拡散しないように拘束される。
【0027】
反射器は、複数の協働する部品で形成することができる。それは、高反射性材料で形成し及び/又は高反射性被覆を含むことが好ましい。反射器は、モールド成形、ダイカスト鋳造又は打ち抜き加工により、シート材料又は別の材料又は複数の材料の組合せから形成することができると考えられる。手短に云えば、この反射器製作のプロセスは制限であるとは見なされない。しかしながら、反射器製作方法が多種多様である事実は、経済的な利点をもたらす。
【0028】
次に図4A図4Dについて説明すると、図から分かるように、縦方向側壁44及び46の各々は横断面において垂直方向に湾曲した形状を持つ。図示の様々な光の軌跡は、かなりの量(例えば、〜50%)の直接光がPCB32の平面状配向に対して法線方向に又は約40°以内の方向に反射器42を出て行くことを実例表示している。更に、予め設計された量の前方又は後方への光を供給するために、側壁44及び46の各々から或る量の光が反射される。照明器具の光分布を修正するために、湾曲した壁の形状を修正することができる。更に、壁46は印刷回路板に対して角度αを持ち、これにより光モジュールの前方光分布を変えることができる。この角度は、PCBを支持する表面と壁との係合点Xから壁の終端点Yを通って延在する線によって規定される壁の全体的な傾斜に基づいて計算される。この規定は相対的なものである。と云うのは、前に述べたように、反射器壁の曲率がその長さに沿って変動することがあるからである。例えば、図4Aでは、αは約125°に等しく、光モジュールの直ぐ下方に比較的高い密度の光分布を提供する。次に図4Bについて説明すると、αが約135°の場合を示しており、前方方向に複数のLEDから直接に出て行く非反射光が増大するので、付加的な前方分布が達成される。次いで図4C及び図4Dについて説明すると、角度αが更に(それぞれ、143°及び145°に)増加した場合に、PCBの複数のLEDからの非反射光の前方投射が増大することが表示されている。この態様では、道路の縁に隣接したランプ支柱から離れた道路表面上に光を更に投射することができる。また更に、図4C及び図4Dの壁46を比較すると明らかなように、曲率を変更すると、壁46から反射される(一回の反射及び複数回の反射の両方の)光の分布を変更することができる。
【0029】
次いで縦方向側壁44について説明すると、角度β(壁44とPCBの平面状配向との間の角度)を変更することにより、前方へ差し向けられる光を増大させることもできる。より詳しく述べると、角度βを狭めることにより、複数のLEDによって発生された光の前方方向の反射率が大きくなる。例えば、図4Aでは、βは約110°であり、これに対し図4Dでは、βは90°未満である。光の軌跡は、図4Dの設計により前方への光が増大したことを示している。一般に、図4Aの反射器は1車線の道路に適しており、図4Bの反射器は2車線の道路に適しており、図4Cの反射器は3車線の道路に適しており、また図4Dの反射器は4車線の道路に適していると云うことができる。
【0030】
次に図5及び図6について説明すると、端壁48及び50の機能が表示されている。また、図5では、端壁48及び50は、印刷回路板に対して約75°の角度φを持ち、これにより、実質的に隣接のランプ支柱へ向かって縦方向に又は横方向に(特に端部のLEDアレイ36及び37からの)予め選択された量の反射光を供給する。再び、角度は、湾曲した反射器壁の第1及び第2の端の間に延在する線とLEDアレイの平面状配向との間に決定される。図6について説明すると、φは約70°であり、これにより、縦方向の光の反射を増大させる。この態様では、ランプ支柱の間隔の距離をより大きくした場合、端壁48及び50は、照明器具に対して縦方向における光分布を大きくするために反射率を増大するように設計することができる。より詳しく述べると、図5は支柱間隔が短い場合を示しており、これに対して図6は支柱間隔が長い場合を示している。
【0031】
これらの様々な反射器設計を利用できる融通性により、図1に示された必要な照明パターンについて最大のCU(利用率)を達成することが可能であり、また遭遇する相異なる支柱間隔パターンについて最大の効率を提供する。また、前に述べたように、本発明による照明器具システムは、複数のLED搭載、及び、随意選択により、様々なLEDアレイ・レイアウトを持つことができる。この態様では、反射器壁48及び50に隣接したPCBの両端部で放出される光は、一様性を改善するか又は支柱間隔をより大きくするかの必要性に応じて増大又は減少させることができる。同様な適応性が、前方又は後方へ発生される光を増大させるために存在する。手短に云えば、提供された照明器具システムは、非常に融通性があり、また改善されたCUを達成する。例えば、道路表面では少なくとも60%のCU値が達成され、また歩道表面を考慮する場合は90%以上のCU値が達成される。側壁反射器及び端壁反射器が相互作用するので、道路表面の制御された照明が達成される。これに関連して、LEDの星形アレイによって放出される光の少なくとも約40%が非反射光として光学モジュールを出て行く。対照的に、端部アレイによって放出される光の少なくとも約50%が反射光として光学モジュールを出て行くのに対し、最大50%までの光が非反射光として出て行き、或る特定の実施形態では、約1%〜約25%が非反射光として出て行く。
【0032】
次に図7について説明すると、本発明による照明器具の更なる適応性が提供される。その上、照明器具は1つ又は複数の光モジュールを有することができると考えられる。図7では、4つの光モジュール30が設けられている。これらのモジュールは図示のものと、反射器壁の予め選択された角度α、β及びφを持つ図4図6のものとの間で調整することにより、システム設計者によって想定された任意のタイプの光分布を達成することができると云う点で、システムの適応性が容易に認識されよう。
【0033】
図7に示された照明器具設計の追加の態様では、複数の放熱フィン52、及び電子回路モジュール室56内に配置された電子回路モジュール54を含む。
【0034】
また更に、図8に示されているように、光モジュール58は、或る状況において、例えば、歩道や他の交通路などが照明を必要としている場合において、後方照明のために配向が逆転されている(光学軸が反対向きにされている)。更に、HID照明器具では、典型的には、支柱の背後の歩道を含む周囲区域を照らし出す光源の配置が余り精密に制御されていない。自治体や住民は、これらの二次的な区域が照らされることに慣れてきている。そこで、所望通りに維持されている限り、本発明によるシステムは、良好に制御されていないHID光分布の場合のようにCUを損なうことなく、その目標を達成することができる。モジュールが対称なPCB設計を使用しているので、この可逆機能が容易に達成される。
【0035】
次に図9について説明すると、後方照明を達成するために逆向きの光モジュールを設けるのと異なり、後方反射率を増大するために反射性クリップ60を反射器壁46に設けることが可能であることに留意されたい。クリップは、反射器壁と圧縮嵌めを形成する大きさにすることができ、或いは反射器クリップは、照明器具ハウジングに固定するために取付けアーム62を持つことができる。所望のレベルの反射率に応じて、クリップ60は壁46の縦方向寸法全体にわたって延在することができ、或いはその一部分のみを占めることができる。同様に、複数のクリップを用いることができる。
【0036】
以上、本発明の模範的な実施形態を好ましい実施形態に関連して説明した。当業者が上述の詳しい説明を読んで理解したときに様々な修正及び変更を為し得ることは明らかである。本発明の模範的な実施形態は全てのこのような修正及び変更を含むものとして解釈されるものとする。
【符号の説明】
【0037】
10 照明器具
12 ランプ支柱
14 ハウジング
16 第1のドア
18 光学モジュール室
20 第2のドア
24 透明な又は半透明のカバー
26 放熱フィン
30 光学モジュール
32 印刷回路板(PCB)
34 LED(発光ダイオード)
36、37 端部のLEDアレイ
38 中央のLEDアレイ
40 光学軸
42 反射器
44、46 向かい合う細長の湾曲した縦方向の側壁
48、50 向かい合う湾曲した端壁
52 放熱フィン
54 電子回路モジュール
56 電子回路モジュール室
58 光モジュール
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9