(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5923612
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】有色の織物用の色強調洗剤及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
C11D 3/37 20060101AFI20160510BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20160510BHJP
C11D 3/04 20060101ALI20160510BHJP
C11D 3/39 20060101ALI20160510BHJP
C11D 3/42 20060101ALI20160510BHJP
C11D 3/40 20060101ALI20160510BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
C11D3/37
C11D3/20
C11D3/04
C11D3/39
C11D3/42
C11D3/40
C11D3/395
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-532204(P2014-532204)
(86)(22)【出願日】2011年9月28日
(65)【公表番号】特表2014-528992(P2014-528992A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】CN2011080297
(87)【国際公開番号】WO2013044466
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】514148487
【氏名又は名称】ジィリン ホンタイ ガーメント ウォッシング アンド ダイイング サイエンス アンド テクノロジー インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】ソォン,ズクォイ
【審査官】
井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−200098(JP,A)
【文献】
特開平07−011579(JP,A)
【文献】
特開2002−339269(JP,A)
【文献】
特開昭63−175186(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101514304(CN,A)
【文献】
特開2002−180092(JP,A)
【文献】
特開2005−002525(JP,A)
【文献】
特開2009−227834(JP,A)
【文献】
特開昭62−215950(JP,A)
【文献】
特開2003−021008(JP,A)
【文献】
特開2003−011508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00−17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の重量部における原料により構成される、有色の織物用の色強調洗剤:
洗剤:5〜95
深化剤:2〜98
浸透剤:19〜83
カチオン変性剤:3〜90
繊維改質剤:2〜80
セロソルブ:1〜81
拡散剤:2〜82
固色剤:13〜72
均染剤:11〜76
助染剤:21〜82
増白剤:22〜69
漂白剤:29〜75
pH調節剤:0.1〜10
青付剤:0.006〜0.08
ここで、前記深化剤が、有機シリコーン油であり、
前記洗剤が、カチオン性、アニオン性または非イオン性の界面活性剤の洗剤であり、
前記セロソルブが、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブまたはジメチルセロソルブであり、
前記カチオン変性剤が、希土類塩化物化合物、二価の銅塩、三価のアルミニウム塩または三価のクロム塩であり、
前記繊維改質剤が希土類化合物であり、
前記浸透剤が、脂肪族アルコールであり、
前記均染剤が、エポキシエタンであることを特徴とする。
【請求項2】
前記助染剤が塩化ナトリウムであり、
前記漂白剤が、過酸化水素水または塩素系漂白水であり、
前記増白剤が、ジアミノスチルベンジスルホン酸、三塩化シアヌル、アニリンまたはモノエタノールアミンであることを特徴とする、請求項1に記載の有色の織物用の色強調洗剤。
【請求項3】
前記固色剤が、ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド、有機ケイ素、カチオン変性ポリウレタン、カチオン反応型の有機ケイ素またはホルムアルデヒドを含まない有機ケイ素であることを特徴とする、請求項1に記載の有色の織物用の色強調洗剤。
【請求項4】
前記pH調節剤が、酢酸または苛性ソーダであることを特徴とする、請求項1に記載の有色の織物用の色強調洗剤。
【請求項5】
前記拡散剤が、精製ナフタレンまたはホルムアルデヒドであることを特徴とする、請求項1に記載の有色の織物用の色強調洗剤。
【請求項6】
前記青付剤が、ベンジジン、H酸またはジアゾニウムであることを特徴とする、請求項1に記載の有色の織物用の色強調洗剤。
【請求項7】
前記有機シリコーン油が、アルキルシリコーン油、アミノシリコーン油、ジメチルシリコーン油、フルオロシリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン油または長鎖アルキルシリコーン油であることを特徴とする、請求項1に記載の有色の織物用の色強調洗剤。
【請求項8】
前記希土類化合物が、希土類元素、イットリウムまたはスカンジウムを含む化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の有色の織物用の色強調洗剤。
【請求項9】
前記青付剤が、重量百分率において1%〜3%のダイレクトスカイブルーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の有色の織物用の色強調洗剤。
【請求項10】
以下のステップを含む、請求項1に記載の有色の織物用の色強調洗剤の調製方法:
(1)以下の重量部における原料を、割合に応じて秤量する。
洗剤:5〜95
深化剤:2〜98
浸透剤:19〜83
カチオン変性剤:3〜90
繊維改質剤:2〜80
セロソルブ:1〜81
拡散剤:2〜82
固色剤:13〜72
均染剤:11〜76
助染剤:21〜82
増白剤:22〜69
漂白剤:29〜75
pH調節剤:0.1〜10
青付剤:0.006〜0.08
(2)前記浸透剤、前記拡散剤、前記洗剤、前記セロソルブ、前記固色剤、前記均染剤、前記助染剤、前記増白剤、前記漂白剤及び前記青付剤を、前記重量部に応じて0〜140℃の温度で混合し、前記pH調節剤を使用してpH値を1〜14に調節して、洗剤溶液を調整する。
(3)ステップ(2)の洗剤溶媒に、前記カチオン変性剤、前記繊維改質剤及び前記深化剤を、0〜140℃で加え、撹拌して、有色の織物用の色強調洗剤を得る。
ここで、前記深化剤が、有機シリコーン油であり、
前記洗剤が、カチオン性、アニオン性または非イオン性の界面活性剤の洗剤であり、
前記セロソルブが、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブまたはジメチルセロソルブであり、
前記カチオン変性剤が、希土類塩化物化合物、二価の銅塩、三価のアルミニウム塩または三価のクロム塩であり、
前記繊維改質剤が希土類化合物であり、
前記浸透剤が、脂肪族アルコールであり、
前記均染剤が、エポキシエタンであることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤の技術分野に関し、特に、有色の織物用の色強調洗剤に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末洗剤や洗剤等のような現在の洗濯用品は、衣料品について一定の汚れ除去、垢の除去、油脂の除去、漂白及びしみ抜き等の機能を有するが、洗濯した衣料品には、多かれ少なかれ、色が薄くなったり色褪せたりするような色落ち現象が存在する。染料の色堅牢度が比較的良好な場合には、1度の洗濯における色落ちは、比較基準がなければ、肉眼では無視できる。洗濯頻度が高いと、または洗濯回数が一定の限界量まで累積すると、色は全体的に薄くまたは白くなっていき、やがて衣料品は洗濯劣化によってだめになる。諺にもあるように、衣料品は着ることではなく、洗うことによって劣化する。いわゆる洗濯劣化とは、洗濯による色落ち、または洗濯により色が薄くなっていることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この問題に対処するため、本発明は、洗濯される有色の織物の色を効果的に固定でき、同時に元来有している色の深さを強化し得る、有色の織物に用いる色強調洗剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を実現するために、本発明は、以下の技術的手段を提供する:有色の織物用の色強調洗剤であって、以下の重量部における原料により構成される:
洗剤:5〜95
深化剤:2〜98
浸透剤:19〜83
カチオン変性剤:3〜90
繊維改質剤:2〜80
セロソルブ:1〜81
拡散剤:2〜82
固色剤:13〜72
均染剤:11〜76
助染剤:21〜82
増白剤:22〜69
漂白剤:29〜75
pH調節剤:0.1〜10
青付剤:0.006〜0.08
【0005】
前記浸透剤は、脂肪族アルコー
ルである。
【0006】
好ましくは、前記固色剤は、ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド、有機ケイ素、カチオン変性ポリウレタン、カチオン反応型の有機ケイ素またはホルムアルデヒドを含まない有機ケイ素である。
【0007】
好ましくは、前記助染剤は、塩化ナトリウムである。
【0008】
好ましくは、前記漂白剤は、過酸化水素水または塩素系漂白水である。
【0009】
好ましくは、前記pH調節剤は、酢酸または苛性ソーダである。
【0010】
前記深化剤は
、有機シリコーン油である。
【0011】
好ましくは、前記カチオン変性剤は、希土類塩化物化合物、二価の銅塩、三価のアルミニウム塩または三価のクロム塩である。
【0012】
好ましくは、前記繊維改質剤は、希土類化合物である。
【0013】
好ましくは、前記拡散剤は、精製ナフタレンまたはホルムアルデヒドである。
【0014】
好ましくは、前記洗剤は、カチオン性、アニオン性または非イオン性の界面活性剤の洗剤である。
【0015】
前記均染剤は
、エポキシエタンである。
【0016】
好ましくは、前記青付剤は、ベンジジン、H酸またはジアゾニウムである。
【0017】
好ましくは、前記増白剤は、ジアミノスチルベンジスルホン酸、三塩化シアヌル、アニリンまたはモノエタノールアミンである。
【0018】
好ましくは、前記有機シリコーン油は、アルキルシリコーン油、アミノシリコーン油、ジメチルシリコーン油、フルオロシリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン油または長鎖アルキルシリコーン油である。
【0019】
好ましくは、前記樹脂は、有機フッ素樹脂、有機ケイ素樹脂、ポリアミド樹脂またはポリウレタン樹脂である。
【0020】
好ましくは、前記セロソルブは、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブまたはジメチルセロソルブである。
【0021】
好ましくは、前記希土類化合物は、希土類元素、イットリウムまたはスカンジウムを含む化合物である。
【0022】
好ましくは、前記青付剤は、重量百分率において1%〜3%のダイレクトスカイブルーを含む。
【0023】
本発明は、有色の織物用の上記色強調洗剤の調製方法についても提供し、以下のステップを含む:
(1)以下の重量部における原料を、割合に応じて秤量する。
洗剤:5〜95
深化剤:2〜98
浸透剤:19〜83
カチオン変性剤:3〜90
繊維改質剤:2〜80
セロソルブ:1〜81
拡散剤:2〜82
固色剤:13〜72
均染剤:11〜76
助染剤:21〜82
増白剤:22〜69
漂白剤:29〜75
pH調節剤:0.1〜10
青付剤:0.006〜0.08
(2)前記浸透剤、前記拡散剤、前記洗剤、前記セロソルブ、前記固色剤、前記均染剤、前記助染剤、前記増白剤、前記漂白剤及び前記青付剤を、前記重量部に応じて0〜140℃の温度で混合し、前記pH調節剤を使用してpH値を1〜14に調節して、洗剤溶液を調整する。
(3)ステップ(2)の洗剤溶媒に、前記カチオン変性剤、前記繊維改質剤及び前記深化剤を、0〜140℃で加え、撹拌して、有色の織物用の色強調洗剤を得る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明において用いられる深化剤の深化原理は、以下の通りである:織物の色は色相、純度及び明度(光沢)により決定される。異なる色相及び光沢では、光波の反射率及び透過率が異なれば、異なる濃淡及び受光度を含有し、明暗階調における視覚効果を示す。織物の光沢は、正色及び反転色の色光(正反色光)、表面反射光並びに内部からの散乱光の組み合わせによるものである。反射光は、織物の光沢の主な部分である。織物の色深度を向上させるための主な方法は、光の反射及び散乱についての能力を弱めることであり、それによってより多くの可視光を繊維内部に入り込ませ、染料に選択的吸収させて深色効果を生じさせる。
【0025】
前記深化剤は、繊維表面の光学的性能を改質する機能を有する。深化剤は、織物表面上に膜を生じさせ得る低反射率の物質の層により、繊維表面を被覆することによって機能するものである。該物質は、該膜は、繊維に吸収、反射及び散乱される光の度合を変化させることができる。織物表面上に形成された膜が異なる光の反射特性及び吸収特性を有するため、織物上の明度が若干低下し、色が深くなったように見える。高分子膜は0.5μmと非常に薄いが、織物は繊維の集合体であり、多くの繊維のこのような影響が一所に合わさるため、結果として生じる効果が目立つこととなる。そのため、明度が高めの色落ちした織物では、深化効果がさらに顕著になる。
【0026】
用いられる深化剤としては、キトサン、樹脂または有機シリコーン油である。キトサン(脱アセチルキチンとも称される)は、キチンのアルカリ条件における加水分解による脱アセチル化によって形成される。キチンは、主にエビ、カニ等の甲殻類の外殻から得られる。
【0027】
前記有機シリコーン油は、アルキルシリコーン油、アミノシリコーン油、ジメチルシリコーン油、SILANOL SF9188、SILANOL SF9103、フルオロシリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン油または長鎖アルキルシリコーン油等である。
【0028】
前記有機シリコーン油は、通常はジメチルシリコーン油であり、これは異なる重合度の鎖状構造の有機ポリシロキサンである。この有機シリコーン油は、ジメチルジクロロシランに水を加えて加水分解することにより初期重縮合環体が得られ、環体の開裂及び精留により(環状物質の少ない)低環体が得られ、その後、環体、封止剤及び触媒を共に短鎖重合(テロメリゼーション)することにより、様々な異なる重合度の様々な混合物が得られ、減圧蒸留により低沸点物を除去することにより得ることができる。
【0029】
前記有機シリコーン油による深化原理は、有機シリコーン油が低反射率であるという性質を利用して、織物の表面における光の反射を減少させることにある。そのため、反射率がより低下すれば、深化効果はさらに良好になる。有機シリコーン油の反射率は通常1.40〜1.45であり、なかでもフッ素含有有機シリコーンの反射率はより低く、通常1.38以下である。
【0030】
前記樹脂は、通常はポリスチレンを基質として用いて人工的に合成された固体媒質であり、修飾によりスルホ基またはヒドロキシル基を有する場合にはカチオン交換剤として用いられることができ、第1級または第3級アミノ基を有する場合にはアニオン交換剤として用いられることができる。
【0031】
前記樹脂による深化原理は以下の通りである。樹脂を含む洗剤により洗濯した後に、織物表面において均一な低反射率樹脂薄膜が形成され、それによって織物の反射率が低下して、織物の表面反射光の総量が洗濯前の反射光よりも少なくなり、そのため織物表面の色沢が深化する。上述の深化剤は、固色機能及び繊維織物の機能(例えば、柔軟化、帯電防止性、汚れ除去の容易化性能、抗菌性、アイロンがけ不要特性等)を変化させる機能を両方同時に有する。
【0032】
前記繊維改質剤は、希土類化合物である。希土類の繊維に対する改質作用について、以下に述べる:希土類は繊維を膨張させて、構造を弛緩させる。希土類により洗濯された後の織物は、明瞭な縦方向の織目を有し、繊維は円柱状を示し、表面はきれいで、構造はほぐれている。繊維上の汚れや垢についての活性化及び錯体形成作用により、N、OまたはS等の元素を含む汚れが分解されて錯体を形成し、洗浄により溶液中に分散され、それによって毛細管効果が増加して、手触りが柔軟になり、織物の外観が改善される。希土類元素は強い錯体形成作用を有しており、繊維の無定形領域に入り込み、配位結合及び共有結合によって錯体化合物を形成するため、架橋剤としての機能を果たし、それによって織物の強さを向上させる。
【0033】
前記希土類化合物は15の希土類元素、イットリウム及びスカンジウムの様々な化合物を含む。純度46%の塩化物から、純度99.9999%の単一の希土類酸化物及び希土類金属に至るまで、希土類は赤色または黒色の結晶または塊状物の形態であり、水に溶解可能で、容易に潮解し、アルカリにより水酸化物または酸塩化物の沈殿を生成する。水溶液はシュウ酸と反応してシュウ酸希土類の沈殿を生成し、硫酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウムと反応して希土類硫酸ナトリウム複塩または希土類硫酸アンモニウム複塩の沈殿を生成する。
【0034】
前記希土類による、新しい状態に戻す原理は以下の通りである:希土類元素における織物の洗浄による新しい状態に戻す効果は、織物の白度の増加、色の深化及び鮮明化、毛細管効果の向上、強さの向上等にある。希土類元素は、繊維上における汚れや垢の有色物質を活性化させることができ、漂白剤との反応をさらに容易に進行させる。このとき、希土類元素は、漂白反応における活性化エネルギーを低下させる、すなわち、織物に対する漂白反応における活性触媒作用を有する。希土類元素自身の最大吸収波長は580nmであり、古い織物における黄色光を選択的に吸収する能力を有し、それによって黄ばんだ古い織物を新しい状態に戻す。希土類は、染料分子中における水酸基の酸素原子と共に、アゾ基の窒素原子及びスルホ基の酸素原子との間において錯体形成作用を示すことにより、染料の分子量が大きくなり、そのため、染料の色沢が深化し、色沢の鮮明度が向上する。希土類は、一種の色深化及び鮮明化剤である。希土類は、染料と繊維の非極性部分との間の分子間作用を大きくすることができ、それによって色堅牢度を向上させる。したがって、希土類により洗濯された織物は、深く鮮明な色、純粋な色光及び高い色堅牢度を有する。
【0035】
前記カチオン変性剤は、その主成分が有機金属イオン性化合物及び窒素含有カチオン化合物であり、以下を含む:希土類塩化物、二価の銅イオン、三価のアルミニウム塩、三価のクロム塩等。それは、繊維と静電吸引及び錯体形成作用を発生させ、織物表面の電気陰性度を変化させ、繊維とアニオン性染料との静電的反発力を低下させて、繊維に対する染料の吸着をさらに堅固にすることにより、染料の繊維上における固色率を向上させ、それによって洗浄により生じる染料の溶解及び着用時における染料の昇華を防止する。
【0036】
前記希土類塩化物の分子式はRECl
3・6H
2O、分子量は354.4であり、主として軽希土類を含む希土類鉱物を主に示す。それをアルカリ及び酸により処理して、P
2O
4を用いて分類することにより、軽希土類塩化物の混合物を得る。そこには、塩化ランタン、塩化セリウム、塩化プラセオジム及び塩化ネオジム等が含まれる。
【0037】
前記セロソルブは、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブまたはジメチルセロソルブである。ブチルセロソルブは分子式C
6H
14O
2を有し、20倍の水に可溶で、ほとんどの有機溶媒及び鉱油に可溶であり、石油炭化水素に対して非常に高い希釈率を有する。その作用は、乳化性能を改善すること及び鉱物を洗剤中に溶解させることである。このような性能を利用することにより、繊維表面上に沈殿及び吸着した鉱物、無機塩及び極性の埃などを溶解除去することができ、それによって繊維の外観が新しくなる。
【0038】
前記過酸化水素水(双●水、●は气部に羊)は過酸化水素でもあり、その水溶液は一般に過酸化水素水(双●水、●は气部に羊)と呼ばれる。その外観は無色透明な液体であり、一種の強力な酸化剤で、良好な漂白剤である。
【0039】
前記塩化ナトリウムは無機塩であり、同時に塩化物でもあり、無色の立方体結晶または白色結晶で、良好な助染剤である。
【0040】
前記塩素系漂白水は漂白剤とも呼ばれ、活性塩素を放出可能な酸化剤であり、通常は塩素系漂白剤及び塩素系漂白粉を含む。これは次亜塩素酸ナトリウムの酸化作用を利用して、汚れや垢の色素及び汚物の構造を破壊し、新しい状態に戻すという目的を達成する。
【0041】
前記固色剤は、カチオン性基により構成される繰り返し単位の高分子水溶液と、アルカリ性水溶液とが接触し、析出形成される含水ゲルである。このような含水ゲル、重金属イオン及び色素は、互いに吸着され得るものであり、乾燥した後にはその表面に薄膜を形成し、これは染料に対する固定保護作用を有する。
【0042】
従来技術と比較して、本発明は従来より存在する洗剤中に、深化剤、浸透剤、カチオン変性剤、繊維改質剤、拡散剤、固色剤、均染剤、助染剤、増白剤、漂白剤、pH調節剤及び青付剤のような様々な補助材料を所定量添加している。有色の織物が洗濯されるに従い、元来有している色が固着されるだけでなく、深化剤の作用により、洗濯後の色の深化もされる。毎回洗い落とされる色は、いずれも深化の後にその都度色沢補完されていき、衣服は依然として元の色を維持し、すなわち色褪せず、古びない。また、選択回数が増加するにつれ、色はいつまでも変わらずに維持され、頻繁な洗濯においても常に新しいという効果が達成される。これは「色深化洗剤」という製品の特性である。
【0043】
本製品は、環境保護において汚染がない。選択の後の洗濯物は、さっぱりとしてきれいであると共に、色が深化されて鮮明になり、新しい状態に戻る効果が達成される。服装が古びる、または洗濯によりだめになり、処分され、新調されることが起こらないようにする。そのため、国家において、大量の織物資源、エネルギー、労働資源及び新しい服装を買うための生活資金を節約できる。
【0044】
以下に具体的な実施例を参照して本発明を詳細に説明するが、本部分の記載は単なる例示及び説明であって、本発明の保護範囲は何ら限定されるべきではない。
【実施例】
【0045】
実施例1
有色の織物用の色強調洗剤を、重量部においてそれぞれ以下の成分構成とした。
アニオン界面活性洗剤:95
キトサン:2
脂肪族アルコール:83
カチオン変性剤:3
希土類化合物:80
ブチルセロソルブ:1
精製ナフタレン:19
ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド:72
エポキシエタン:11
塩化ナトリウム:82
ジアミノスチルベンジスルホン酸:22
塩素系漂白水:75
氷酢酸:0.1
ベンジジン:0.08
【0046】
上記洗剤の調製方法は、以下のステップを含む:
(1)以下の重量部における原料を、割合に応じて秤量する。
(2)前記浸透剤、前記拡散剤、前記洗剤、前記セロソルブ、前記固色剤、前記均染剤、前記助染剤、前記増白剤、前記漂白剤及び前記青付剤を、前記重量部に応じて0℃の温度で混合し、前記pH調節剤を使用してpH値を14に調節して、洗剤溶液を調製する。
(3)ステップ(2)の洗剤溶媒に、前記カチオン変性剤、前記繊維改質剤及び前記深化剤を、140℃で加え、撹拌して、有色の織物用の色強調洗剤を得る。
【0047】
実施例2
有色の織物用の色強調洗剤を、重量部においてそれぞれ以下の成分構成とした。
非イオン界面活性洗剤:5
有機シリコーン樹脂:98
脂肪族アルコール:19
カチオン変性剤:90
ブチルセロソルブ:50
希土類化合物:2
ホルムアルデヒド:2
有機ケイ素:13
エポキシエタン:15
塩化ナトリウム:21
アニリン:69
過酸化水素水:29
氷酢酸:10
H酸:0.006
【0048】
上記洗剤の調製方法は、以下のステップを含む:
(1)以下の重量部における原料を、割合に応じて秤量する。
(2)前記浸透剤、前記拡散剤、前記洗剤、前記セロソルブ、前記固色剤、前記均染剤、前記助染剤、前記増白剤、前記漂白剤及び前記青付剤を、前記重量部に応じて140℃の温度で混合し、前記pH調節剤を使用してpH値を1に調節して、洗剤溶液を調製する。
(3)ステップ(2)の洗剤溶媒に、前記カチオン変性剤、前記繊維改質剤及び前記深化剤を、0℃で加え、撹拌して、有色の織物用の色強調洗剤を得る。
【0049】
実施例3
有色の織物用の色強調洗剤を、重量部においてそれぞれ以下の成分構成とした。
アニオン界面活性洗剤:50
有機シリコーン樹脂:48
脂肪族アルコール:53
カチオン変性剤:46
t−ブチルセロソルブ:80
希土類化合物:40
精製ナフタレン:48
ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド:42
エポキシエタン:43
塩化ナトリウム:53
モノエタノールアミン:46
塩素系漂白水:53
氷酢酸:5
ジアゾニウム:0.043
【0050】
上記洗剤の調製方法は、以下のステップを含む:
(1)以下の重量部における原料を、割合に応じて秤量する。
(2)前記浸透剤、前記拡散剤、前記洗剤、前記セロソルブ、前記固色剤、前記均染剤、前記助染剤、前記増白剤、前記漂白剤及び前記青付剤を、前記重量部に応じて40℃の温度で混合し、前記pH調節剤を使用してpH値を6に調節して、洗剤溶液を調製する。
(3)ステップ(2)の洗剤溶媒に、前記カチオン変性剤、前記繊維改質剤及び前記深化剤を、80℃で加え、撹拌して、有色の織物用の色強調洗剤を得る。
【0051】
実施例4
有色の織物用の色強調洗剤を、重量部においてそれぞれ以下の成分構成とした。
非イオン界面活性洗剤:45
キトサン:38
エポキシエタン:53
ジメチルセロソルブ:10
カチオン変性剤:60
希土類化合物:70
ホルムアルデヒド:72
有機ケイ素:52
エポキシエタン:26
塩化ナトリウム:62
三塩化シアヌル:59
塩素系漂白水:55
苛性ソーダ:8
ベンジジン:0.052
【0052】
上記洗剤の調製方法は、以下のステップを含む:
(1)以下の重量部における原料を、割合に応じて秤量する。
(2)前記浸透剤、前記拡散剤、前記洗剤、前記セロソルブ、前記固色剤、前記均染剤、前記助染剤、前記増白剤、前記漂白剤及び前記青付剤を、前記重量部に応じて80℃の温度で混合し、前記pH調節剤を使用してpH値を8に調節して、洗剤溶液を調製する。
(3)ステップ(2)の洗剤溶媒に、前記カチオン変性剤、前記繊維改質剤及び前記深化剤を、20℃で加え、撹拌して、有色の織物用の色強調洗剤を得る。
【0053】
試験的実施例5
上記実施例により得られた有色の織物用の色強調洗剤を、以下の使用方法により試験した:
【0054】
1.浸漬洗い:所定量(0.1〜100ml)の上記実施例で得られた色強調洗剤を、所定量(1〜100ml)の温水(0〜70℃)に溶解し、撹拌して、色強調洗剤母液を生成した。所定量(1〜100ml)の水を加えて、色強調洗剤液を生成した。温度を0〜100℃に維持して、洗濯物(1g〜1000g)を洗剤中に投入し、機械洗いまたは手洗いを1〜100分行い、脱水、アイロン乾燥(50℃〜1000℃)、オーブン乾燥(0〜200℃)または自然乾燥(陰干し)させた。
【0055】
2.スプレー:上記使用方法1に記載の方法により製造した色強調選択母液を、0〜100℃の温度下で、ミスト発生器により乾燥した洗濯物上にスプレーし、湿った状態のまま1〜100分間留めた。きれいな水で1〜30回すすぎ洗いをして、使用方法1と同様に脱水、アイロン乾燥、オーブン乾燥または自然乾燥させた。
【0056】
本発明の実施例の洗剤で処理していない洗濯物製品と共に、以下の表1において比較した。
【0057】
【表1】
【0058】
上記は単なる本発明の好ましい実施形態であって、当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく、更なる改良および修正を行い得るものであり、これらの改良及び変更についても、本発明の保護範囲と見なされるべきである。