(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5923663
(24)【登録日】2016年4月22日
(45)【発行日】2016年5月24日
(54)【発明の名称】ストリップ平坦度維持装置
(51)【国際特許分類】
C23C 2/00 20060101AFI20160510BHJP
C23C 2/40 20060101ALI20160510BHJP
【FI】
C23C2/00
C23C2/40
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-517160(P2015-517160)
(86)(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公表番号】特表2015-522714(P2015-522714A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】KR2012011553
(87)【国際公開番号】WO2014003270
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2014年12月11日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0068231
(32)【優先日】2012年6月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ビョンス
(72)【発明者】
【氏名】ハン,サンクッグ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヒョンス
(72)【発明者】
【氏名】リ,ウィホ
【審査官】
池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−269317(JP,A)
【文献】
特開平09−256130(JP,A)
【文献】
特開2001−059119(JP,A)
【文献】
特開平05−078806(JP,A)
【文献】
特開平06−212387(JP,A)
【文献】
特開2002−173750(JP,A)
【文献】
特開昭52−056025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/00−2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリップの平坦度を維持するための装置であって、
ストリップの両表面上に離隔されて配置され、内部に複数の気孔を含みストリップの表面に前記気孔を介して空気を噴射する一対の多孔質のパッド部と、
前記パッド部を付着及び固定し、前記パッド部に空気を提供するチャンバ部と、
前記チャンバ部に高圧の空気を提供する圧縮機と、
を含むことを特徴とするストリップ平坦度維持装置。
【請求項2】
前記ストリップ平坦度維持装置は、更に、
前記チャンバ部の一側に付着され、前記パッド部と前記ストリップの離隔距離を調節する支持部と、
前記チャンバ部の内部に配置され、前記チャンバ部内部の空気圧力を感知する圧力計と、
前記圧力計に検知された前記チャンバ部内部の空気圧力情報を受信し、前記パッド部と前記ストリップとの離隔距離を調節するように、前記支持部を制御する制御部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のストリップ平坦度維持装置。
【請求項3】
前記圧縮機は、更に、
前記チャンバ部に供給する空気を手動で開閉するようにする圧力調節バルブを含むことを特徴とする請求項1に記載のストリップ平坦度維持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストリップ平坦度維持装置に係り、より詳しくは、溶融ポットを通過するストリップに、ローラー又はエアーナイフなどの装置によりストリップの振動又は反りが発生することを防止する、ストリップ平坦度維持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄鋼製造過程においてストリップメッキ工程が行われる場合、ストリップは、溶融ポットを通過しながらメッキが施される。以下では、亜鉛(Zn)溶融メッキの場合を一例に挙げて説明する。
図1は、溶融ポットを通過したストリップに、ローラー及びエアーナイフ等により振動が発生していることを示す概要図である。
【0003】
図1に示すように、亜鉛溶融メッキを行うために溶融ポット2に浸漬されたストリップ1は、シンクロール4によって引き込まれ、引き出される。
溶融ポット2から引き出されたストリップ1は、エアーナイフ5が噴射する空気によってストリップ1表面の亜鉛メッキの厚さが決定される。ここで、ストリップ1には、第1ロール4a及び第2ロール4bのローラー、及びエアーナイフ5の空気噴射により極めて小さな振動6が発生することになる。
【0004】
ストリップ1の振動6は、ストリップ1にメッキ処理される亜鉛メッキの厚さのバラツキを生じさせ、ストリップ1のメッキ品質を低下させる要因として作用する。
このような、ストリップ1の振動6又は反りなどを防止し、ストリップ1の平坦度を維持するための装置としては、ストリップ1を挟んで、ストリップ1の表面の両側にマグネチック装置を設ける技術があったが、このようなマグネチックを用いた技術は、多数のマグネチック装置が必要とされ、製造コストの上昇により製品の価格競争力が劣るという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明に係るストリップ平坦度維持装置は、前記したような従来の問題点を解決するためのものであり、ストリップの溶融メッキに影響を及ぼさないように、ストリップに直接接触することなく、ストリップの振動及び反りを防止する装置を提供しようとする。
【0006】
本発明の課題は、上記で言及されたものに限定されるものではなく、言及されない他の課題は、下記の記載から当業者が明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るストリップ平坦度維持装置は、前記の課題を解決するために、以下の課題を解決するための手段を有する。
本発明に係るストリップ平坦度維持装置は、ストリップの平坦度を維持するための装置であって、ストリップの両表面上に離隔して配置され、
内部に複数の気孔を含みストリップの表面に
気孔を介して空気を噴射する一対の多孔質のパッド部と、パッド部を付着及び固定し、パッド部に空気を提供するチャンバ部と、チャンバ部に高圧の空気を提供する圧縮機と、を含む。
【0008】
本発明に係るストリップ平坦度維持装置は、更に、チャンバ部の一側に付着され、パッド部とストリップとの離隔距離を調節する支持部と、チャンバ部の内部に配置され、チャンバ部内部の空気圧力を検知する圧力計と、圧力計に検知されたチャンバ部内部の空気圧力情報を受信し、パッド部とストリップとの離隔距離を調節するように、支持部を制御する制御部と、を含む。
【0009】
本発明に係るストリップ平坦度維持装置の圧縮機は、更に、チャンバ部に供給する空気を手動で開閉するようにする圧力調節バルブを含む。
【発明の効果】
【0010】
以上のような構成の本発明に係るストリップ平坦度維持装置は、ストリップの振動及び反りを防止し、エアーナイフによって表面のメッキの厚さを均一にし、メッキの品質を向上させ、ストリップの品質競争力を高めるという効果を提供する。
本発明の効果は、以上で言及したものには限定されなく、言及しない他の効果は、当業者は、下記の記載から明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】溶融ポットを通過したストリップに、ローラー及びエアーナイフなどにより振動が発生していることを示す概要図である。
【
図2】本発明の好ましい実施例に係るストリップに反り又は振動が発生したときに、ストリップの平坦度を維持するための装置を示した概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るストリップ平坦度維持装置は、様々な変更を加えることができ、種々の実施例を有することができる。以下に、特定の実施例を図面に例示して、詳細に説明する。しかし、これらは、本発明を特定の実施形態を限定しようとするものではなく、本発明の技術的思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物〜代替物を含むものと理解されるべきである。
以下、図面を参照して、本発明に係るストリップ平坦度維持装置を詳細に説明する。
【0013】
図2は、本発明の好ましい実施例に係るストリップに反り又は振動が生じたときに、ストリップの平坦度を維持するための装置を示した概要図である。
本発明に係るストリップ平坦度維持装置は、多孔質のパッド部11と、チャンバ部12と、圧縮機60と、を含む。
多孔質のパッド部11は、表面に多数の孔が形成されており、これらの多数の孔を通して空気をストリップ1に噴射する。
【0014】
多孔質のパッド部11は、対向する一対からなり、
図2に示されるように、一対の多孔質のパッド部11間には、ストリップ1が配置される。
但し、ストリップ1の表面には、溶融亜鉛(Zn)メッキ処理が施されており、多孔質のパッド部11は、ストリップ1と接触しないようにストリップ1の表面と所定の距離、離隔され、配置される。
【0015】
多孔質のパッド部11の材質は特に制限されないが、高熱に露出される作業環境の特性の上、耐熱性を有した材質であることが好ましい。
多孔質のパッド部11が、ストリップ1の両側面でストリップ1に向かって空気を噴射することで、これらの空気は、ストリップ1に振動又は反りが生じないようにつかむ役割を果たし、これにより、ストリップ1に振動6及び反りが生じなくなる。
【0016】
チャンバ部12は、パッド部11に付着され、パッド部11を固定する。パッド部11は、多孔質体からなり、ストリップ1に空気を噴射する。パッド部11が噴射する空気は、チャンバ部12から供給される。
圧縮機60は、コンプレッサーの一種であり、チャンバ部12に圧縮空気を提供する。圧縮機60は、圧縮空気の圧縮度を調節することができる。
【0017】
圧縮機60は、亜鉛メッキ工程の作業環境に合うように耐熱性を有しており、その圧縮空気の圧力の程度などを考慮し、産業分野で使用されている一般的な圧縮機60を適宜選択すればよいので、具体的な説明は省略する。
【0018】
本発明に係るストリップ平坦度維持装置は、更に、支持部20と圧力計50と制御部40とを含む。
支持部20は、チャンバ部12の一側に付着される。
図2に示すように、チャンバ部12の外側面(ストリップ1と対向していない方の側面)に配置されるのが好ましく、ストリップの方向に前進・後退自在であるので、パッド部11とストリップ1との離隔距離を調節することができる。
【0019】
圧力計50は、チャンバ部12の内部に配置され、チャンバ部12内部と連結し、チャンバ部12内部の空気の圧力を検知する。圧力計50も亜鉛メッキ工程の作業環境に合うように耐熱性を有しており、そのチャンバ部12内で検知する圧力の範囲などを考慮し、産業分野で使用されている一般的な圧力計50を適宜選択すればよいので、具体的な説明は省略する。
【0020】
制御部40は、作業対象であるストリップの状態に応じて、使用者が制御部40を操作し、支持部20を十分に前進・後退させ、非正常状況の不具合を防止することができ、圧力計50からチャンバ部12の内部空気圧力情報を受信し、パッド部11とストリップ1との離隔距離を調節するよう支持部20を制御する。
【0021】
例えば、チャンバ部12内部の空気の圧力が弱ければ、支持部20を制御し、パッド部11とストリップ1と間の離隔距離を狭めるようにし、また、チャンバ部12内部の空気圧力が強ければ、支持部20を制御し、パッド部11とストリップ1と間の離隔距離を拡げるようにする。
【0022】
本発明に係るストリップ平坦度維持装置は、更に、チャンバ部12に供給する空気を手動で開閉する圧力調節バルブを含んでもよい。
圧力調節バルブを介して、圧縮機60からチャンバ部12への空気流入を手動で開閉することができ、非常時にも手動で空気流出入を手動で遮断することができるようにした。
【0023】
本明細書で使われる用語において単数の表現は、文脈上明らかに異なるように解析されない限り、複数の表現を含む。“含む”などの用語は開示された特徴、個数、工程、動作、構成要素、部分品又はこれらを組み合わせたものが存在することを意味するものであり、一つ又はそれ以上の他の特徴や個数、工程、動作構成要素、部分品又はこれらを組み合わせたもの存在又は付加の可能性を排除しないものと理解すべきである。
【0024】
本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に記載された事項により決定され、特許請求の範囲に使われた括弧は、選択的限定のために記載されたものではなく、明確な構成要素のために用いており、括弧内の記載も必須構成要素として解析しなければならない。