特許第5923721号(P5923721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5923721
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】鞄収納数取器、および数取器の収納鞄
(51)【国際特許分類】
   G06M 3/00 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
   G06M3/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-185250(P2015-185250)
(22)【出願日】2015年9月18日
【審査請求日】2015年11月4日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392001472
【氏名又は名称】ライン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(72)【発明者】
【氏名】大藪 俊司
(72)【発明者】
【氏名】大藪 恵司
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−224999(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3022473(JP,U)
【文献】 特開2002−128151(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/041554(WO,A1)
【文献】 特開平7−210648(JP,A)
【文献】 特開2005−245556(JP,A)
【文献】 特開平9−206118(JP,A)
【文献】 国際公開第01/46915(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0157499(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06M 1/00−3/14
A45C 1/00−15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の計数操作部を有し台座によって支持される数取器と、
複数の前記数取器が収納され複数の前記計数操作部が縦方向および横方向に配列された状態で持ち運びが可能であるともに、配列された状態にて使用者による当該計数操作部の操作を可能とする収納鞄とを有し、
前記収納鞄は、前記数取器の前記台座の足を当該収納鞄に取り付けて固定することで前記縦方向および前記横方向に配列させて当該数取器を収納し、固定され配列された状態で使用者による前記計数操作部の操作を可能とする鞄収納数取器。
【請求項2】
前記数取器は、前記計数操作部を個々に有する計数器が、横方向に複数個一列に並んだ連式数取器であり、
前記収納鞄は、前記連式数取器の前記台座の足を当該収納鞄に取り付けて固定することで縦方向に複数個、配列させ、複数の前記計数操作部が縦方向および横方向に配列された状態とすることを特徴とする請求項1記載の鞄収納数取器。
【請求項3】
前記収納鞄は、複数の前記数取器の台座の足を固定し当該数取器が配列される底部と、当該底部を収納する本体部と、当該本体部とともに複数の当該数取器を覆う蓋部とを有し、
当該底部は当該本体部から取り外し可能に構成され、当該底部が当該本体部から取り外された状態で当該数取器に対する使用者の操作が可能であることを特徴とする請求項1または2記載の鞄収納数取器。
【請求項4】
1または複数の計数操作部を有し台座によって支持される数取器を収納可能な数取器の収納鞄であって、
複数の前記計数操作部が縦方向および横方向に配列されるように前記数取器の前記台座の足を固定して当該数取器を収納できるとともに、収納した状態で持ち運びを可能とし、配列された複数の当該計数操作部の操作を蓋体を開けることで可能とする数取器の収納鞄。
【請求項5】
前記台座の足を固定する底板と、
前記底板に設けられ、前記台座の足を挿入して移動させた後に閉じることで当該台座の足を当該底板に固定するためのガイド部材と、を更に備えたことを特徴とする請求項4記載の数取器の収納鞄。
【請求項6】
前記計数操作部を個々に有する計数器が横方向に複数個一列に並んだ連式数取器を、縦方向に複数個、取り外しができるように配列可能とする請求項4または5記載の数取器の収納鞄。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞄収納数取器、および数取器の収納鞄に関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、数取器とよばれる計数器(カウンタ)が広く用いられている。数取器としては、例えば、使用者が手で持ってカウントを行う手持ち数取器や、使用者がテーブルや作業台などにおいて使用する台置き数取器などがある。
従来技術として、計器ケースに複数の計器を収納し、各計器の文字板をほぼ同一平面に配列してなる計器において、薄型計器と計器ケースとの間のスペースを利用して、このスペース箇所にケース裏面から陥部を形成し、この陥部に電気部品を収納する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、他の従来技術として、設備機器を各部屋に配る際の手間を軽減できる梱包箱を提供するために、複数の設備機器は上側、下側の緩衝材で挟まれ、正立状態に保持された状態で外装箱から取り出し、そこから上側緩衝材だけを容易に分離する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−40570号公報
【特許文献2】特開2011−225261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、数取器の用途の一つとして、人や車両の運行量の実態調査がある。この実態調査では、複数個の計数器(カウンタ)が一列に並んだいわゆる連式数取器を、必要な台数だけ配置して用いられることが多い。実態調査の各調査員には複数台の連式数取器が渡され、各調査員は、この複数台の連式数取器を例えば画板に縦方向に並べ、複数の加算ボタンを押して計数を行う。
【0005】
一般に、このような調査は、調査を専門に行う調査会社に委託される。単体の数取器や連式数取器は、そうした調査会社に保管されているが、その保管状態は一般には乱雑である。例えば段ボール箱等に入れられた状態で車の荷台に積まれて調査現場に運ばれ、現場にて各調査員に配布される。また、調査終了後の撤収の際には、車の荷台にある段ボール箱に無造作に投げ込まれるような場合が多く、かかる場合には数取器や連式数取器に不要なダメージを与え、装置の故障の原因となっていた。
本発明の目的は、連式数取器などの数取器の保管や運搬、調査現場での作業の利便性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、1または複数の計数操作部を有し台座によって支持される数取器と、複数の前記数取器が収納され複数の前記計数操作部が縦方向および横方向に配列された状態で持ち運びが可能であるともに、配列された状態にて使用者による当該計数操作部の操作を可能とする収納鞄とを有し、前記収納鞄は、前記数取器の前記台座の足を当該収納鞄に取り付けて固定することで前記縦方向および前記横方向に配列させて当該数取器を収納し、固定され配列された状態で使用者による前記計数操作部の操作を可能とする鞄収納数取器である。
請求項2に記載の発明は、前記数取器は、前記計数操作部を個々に有する計数器が、横方向に複数個一列に並んだ連式数取器であり、前記収納鞄は、前記連式数取器の前記台座の足を当該収納鞄に取り付けて固定することで縦方向に複数個、配列させ、複数の前記計数操作部が縦方向および横方向に配列された状態とすることを特徴とする請求項1記載の鞄収納数取器である。
請求項3に記載の発明は、前記収納鞄は、複数の前記数取器の台座の足を固定し当該数取器が配列される底部と、当該底部を収納する本体部と、当該本体部とともに複数の当該数取器を覆う蓋部とを有し、当該底部は当該本体部から取り外し可能に構成され、当該底部が当該本体部から取り外された状態で当該数取器に対する使用者の操作が可能であることを特徴とする請求項1または2記載の鞄収納数取器である。
請求項4に記載の発明は、1または複数の計数操作部を有し台座によって支持される数取器を収納可能な数取器の収納鞄であって、複数の前記計数操作部が縦方向および横方向に配列されるように前記数取器の前記台座の足を固定して当該数取器を収納できるとともに、収納した状態で持ち運びを可能とし、配列された複数の当該計数操作部の操作を蓋体を開けることで可能とする数取器の収納鞄である。
請求項5に記載の発明は、前記台座の足を固定する底板と、前記底板に設けられ、前記台座の足を挿入して移動させた後に閉じることで当該台座の足を当該底板に固定するためのガイド部材と、を更に備えたことを特徴とする請求項4記載の数取器の収納鞄である。
請求項6に記載の発明は、前記計数操作部を個々に有する計数器が横方向に複数個一列に並んだ連式数取器を、縦方向に複数個、取り外しができるように配列可能とする請求項4または5記載の数取器の収納鞄である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、連式数取器などの数取器の保管や運搬、調査現場での作業の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態が適用される鞄収納数取器の第1の実施形態を説明するための外観図である。
図2図1に示す鞄収納数取器の収納鞄が閉じられた状態を示した図である。
図3】連式数取器の一例を示した外観図である。
図4】(A),(B)は、連式数取器が取付けられていない収納鞄の開いた状態を示す外観図である。
図5】(A),(B)は、底板における連式数取器の取り付け構造を説明するための図である。
図6】本実施の形態が適用される鞄収納数取器の第2の実施形態を説明するための外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本実施の形態が適用される鞄収納数取器の一例を示した外観図である。
本実施の形態が適用される鞄収納数取器1は、複数個(図1では4つ)の連式数取器10と、この複数の連式数取器10を収納する収納鞄20とを備えている。図1に示す鞄収納数取器1では、数取器として5個の計数器11が連なった連式数取器10が縦方向(Y方向)に4段、収納鞄20に取り付けられており、その結果、計数操作部の一例である加算ボタン12が、縦方向(Y方向)および横方向(X方向)に、5×4の20個、配列された状態にある。収納鞄20は、例えばナイロン製の樹脂などを材料としており、軽量化が図られている。
【0010】
収納鞄20は、本体21と、本体21に脱着可能な状態で収納される底部としての底板22と、蓋部としての蓋体23と、本体21と蓋体23とを連結する連結部24と、本体21と蓋体23とを閉じるファスナ等の留め具からなる締結部25とを有している。また、収納鞄20は、連式数取器10が収納された状態で搬送するための把手26を有している。複数個の連式数取器10は、縦方向(Y方向)に一定の間隔(S)を隔てた状態で底板22に固定される。この縦方向(Y方向)の一定の間隔は、使用者が加算ボタン12の操作をし易い間隔として予め定められたものである。すなわち、連式数取器10の配列は、複数個が収納された状態にて、そのまま使用者の操作を実現できるものとして決定されている。また、配置される各連式数取器10の間隔は、書誌的事項が記載された紙などを置くことができる所定の隙間として確保されている。
【0011】
図2は、図1に示す鞄収納数取器1の収納鞄20が閉じられた状態を示した図である。複数の連式数取器10が配列された状態で収納鞄20の締結部25を閉じ、鞄収納数取器1を持ち運ぶことが可能な状態となる。本実施の形態では、収納鞄20の蓋体23には、蓋体23が閉じられた際に連式数取器10の加算ボタン12に対する外部からの操作を抑制するものとして予め定められた側部高さを有する枠体のケース(例えばプラスチックトレイ(不図示)など)が埋め込まれている。蓋体23に埋め込まれた枠体によって、本体21の底板22と蓋体23との間には連式数取器10の自然高さよりも大きい空間が確保され、加算ボタン12が押し込められる等の連式数取器10に悪影響を及ぼす外力が加わることを抑制している。
【0012】
次に、鞄収納数取器1に取り付けられる数取器の一つとしての連式数取器10について説明する。
図3は、連式数取器10の一例を示した外観図である。図3に示す連式数取器10は、5つの計数器(カウンタ)11が横方向に一列に並んでおり、この複数の計数器11を台座15が支持している。台座15は、連式数取器10を横方向に延びる2つの足15a、15bで支える構造を有している。計数器11は、計数操作部の一例である加算ボタン12を個々に有しており、図3に示す連式数取器10では、5つの加算ボタン12が横方向(図1に示すX方向)に配列されている。また、個々の計数器11には、加算ボタン12を1回押すごとにドラムがカウントアップするカウント表示部13が備えられている。図3に示す連式数取器10は、いわゆる機械式数取器であり、加算ボタン12を押すと、図示しない計数機構に力が伝わり、ラチェット機構の数字が動いてカウント表示部13に表示される。また、連式数取器10は、ラチェット機構の数字をリセットするリセットつまみ14を備えている。リセットつまみ14を回転させると、連なっている5つの計数器11の各々のラチェット機構の数字が同時にリセットされ、各々のカウント表示部13にて表示される数字が全て「0000」となる。
なお、図3に示す例では、5連の連式数取器10を示したが、2連、3連、4連、6連、8連、および10連、といった連数のものもある。
【0013】
次に、数取器を収納する収納鞄20について、図4および図5を用いて説明する。
図4(A),(B)は、連式数取器10が取付けられていない収納鞄20の開いた状態を示す外観図である。また、図5(A),(B)は、底板22における連式数取器10の取り付け構造を説明するための図である。
【0014】
図4(A)に示すように、表面が例えばナイロン布で形成される収納鞄20の本体21には、底板22が収納されている。底板22は、表面が例えばナイロン布で形成され、内部に、一端を把持して持ち上げた程度では容易に変形しない一定の厚さを有する、例えばポリカーボネート材からなる板が挿入されている。底板22には、連式数取器10の台座15が挿入可能となるように、挿入ガイド部材27が取り付けられている。挿入ガイド部材27は、一例として、適度な曲げ弾性を有するポリカーボネートで生成されたシート材がナイロン布で包まれ形成されている。例えば連式数取器10を4列、配置する場合には、挿入ガイド部材27は、図4に示すように、縦方向(図1のY方向)の両端側に1列ずつ、中央側に3列の、計5列が取り付けられている。
【0015】
図4(B)は、本体21から底板22を取り外す作業を説明するための図である。本体21の内側には、例えばベルクロ社製ベルクロ(Velcro:登録商標)の面ファスナのフック31が設けられている。また、底板22側には、面ファスナのフック31の位置に合わせ、面ファスナのループ32が設けられている。フック31およびループ32は、縦方向(図1のY方向)に延びて貼り付けられ、横方向(図1のX方向)に数列、形成される。図4(B)に示す例では、フック31およびループ32は、それぞれ3列、設けられている。底板22をT方向に持ち上げることで、フック31とループ32との結合を外し、底板22を本体21から取り外すことが可能である。なお、フック31およびループ32は、フックの代わりにループ、ループの代わりにフックをそれぞれ逆にして用いてもよい。
【0016】
図5(A)は、底板22に対する挿入ガイド部材27の取り付け構造を説明するための図である。挿入ガイド部材27は、縫い付け部28にて糸により底板22に縫い付けられ、固定される。縫い付け部28は、挿入ガイド部材27の長手方向、すなわち底板22の横方向(図1のX方向)に形成されている。また、挿入ガイド部材27の長手方向の一端27aは、底板22の縦方向(図1のY方向)に延びる当て布35が当てられ、糸によって縫い付けられている。
【0017】
例えば、挿入ガイド部材27を、縦方向(図1のY方向)に5列、形成する場合には、5列の中央側に位置する3列について、挿入ガイド部材27の中央部が、縫い付け部28によって縫い付けられる。挿入ガイド部材27の長手方向の一端27aは、当て布35を当てて縫い付けられているが、挿入ガイド部材27の長手方向の他端27bについては、縫い付け部28による縫い付け箇所以外は、開くことができる。その結果、挿入ガイド部材27の他端27bは羽根のように開くことができる。一方、縦方向の5列の両端側に位置する2列の挿入ガイド部材27については、長手方向の一端27aは当て布35にて縫い付けられ、長手方向の他端27bについては中央側の一方だけが開くように縫い付け部28によって縫い付けられる。図5(A)では、縫い付け部28の幅を、中央側に位置する場合と両端側に位置する場合とで異ならせて表現している。このようにして、一定の間隔をあけて設けられる挿入ガイド部材27によって、横方向(図1のX方向)に延びる挿入レールが形成される。
【0018】
また、挿入ガイド部材27の他端(27b)に形成される開閉部分にて、底板22に対峙する面に面ファスナのフック29が形成される。そして、底板22側のフック29に対峙する箇所には、ループ36が形成されている。フック29およびループ36は、フックの代わりにループ、ループの代わりにフックをそれぞれ逆にして用いても構わない。
【0019】
図5(B)は、底板22に連式数取器10を取り付ける取り付け方法および連式数取器10の取り付け状態を説明するための図である。底板22に連式数取器10を取り付ける際には、底板22に取り付けられた挿入ガイド部材27の他端27bを開き、連式数取器10の台座15を、底板22と挿入ガイド部材27との間に形成された挿入レールに挿入する。すなわち、台座15の足15a、15bを、それぞれ挿入ガイド部材27の他端27bの開いた箇所に挿入し、S方向に向けて移動させる。挿入ガイド部材27は、連式数取器10の長手方向の長さよりも長く形成され、フック29およびループ36は、挿入ガイド部材27に連式数取器10を挿入した際に、その連式数取器10よりも長く延びた箇所に位置している。連式数取器10の台座15を挿入ガイド部材27の一端27a側まで移動させた後、その連式数取器10よりも長く延びた箇所に位置するフック29およびループ36を使って他端27bの開きを閉じることで、連式数取器10を底板22に取り付ける。
【0020】
<第2の実施形態>
次に、図1に示す第1の実施形態に代えて、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、蓋体23に例えば枠体のケースを埋め込み、本体21の底板22と蓋体23との間に連式数取器10の自然高さよりも大きい空間を確保することで、蓋体23が閉じられた状態にて加算ボタン12に対する外部からの操作を抑制していた。この第2の実施形態では、枠体のケースなどを埋め込む構造に代えて、またはこの構造に加えて、蓋体23の内側に緩衝材を設ける構造を採用している。
尚、第1の実施形態と同様な機能については同様な符号を用い、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0021】
図6は、本実施の形態が適用される鞄収納数取器1の第2の実施形態を説明するための外観図である。図6に示す鞄収納数取器1では、収納鞄20の蓋体23側に、充填部材40が設けられている。充填部材40は、例えば収縮性を持つポリウレタンフォームにより形成され、蓋体23の内側寸法に適合する外観寸法を有し、蓋体23の内側に収容されている。充填部材40は、収納鞄20の蓋体23に収められ、連式数取器10の本体の一部を軽く押圧するために予め定められた高さを有している一方で、配列される加算ボタン12の位置に合わせて、Y方向に複数列からなる凹部41が形成されている。
【0022】
この凹部41は、充填部材40の一部が切り取られ、X方向に延びた穴部として形成されている。凹部41として段差を付けて底部を有する構造を採用しても良いし、切り抜く構造を採用してもよい。凹部41に形成される段差または切り欠きは、充填部材40の表面40aを連式数取器10の本体の一部(例えばカウント表示部13)に押し当てて蓋体23を閉じたときに、加算ボタン12が外力によって容易に押されない位置と、加算ボタン12が外力によって容易に押されない深さとを考慮して形成されている。
【0023】
充填部材40は、蓋体23に接着剤などにより取り付けられていても良いが、接着剤などを用いずに、例えば、蓋体23の内側寸法よりも少し大きな外径寸法とし、少々、縮ませて収容することで蓋体23から簡単には落ちないような構成を採用することもできる。このようなポリウレタンフォームの弾性を利用した軽い嵌め合いによって取り付けるだけの構成とすれば、例えば、連式数取器10を上下逆に取り付けたい場合に、例えば充填部材40も蓋体23に対して上下逆に取り付けることで、連式数取器10の加算ボタン12の位置に合わせて凹部41を対峙させるように構成することも可能である。すなわち、上下を反転させて連式数取器10を配置した場合であっても、充填部材40を上下に反転させることで、加算ボタン12が外力によって容易に押されない位置と、加算ボタン12が外力によって容易に押されない深さとが確保できる。
【0024】
このように、本体21に蓋体23が閉じられた状態において収納鞄20の外側より外力が加わっても、充填部材40は連式数取器10に悪影響を及ぼす外力を抑制する形状に形成されている。すなわち、この第2の実施形態によっても、収納鞄20の本体21に蓋体23が閉じられた状態において、収納鞄20の外側から外力が加わった際に、その外力は加算ボタン12へは伝わらず、連式数取器10に対して悪影響を及ぼす外力の押圧を抑制することができ、収納鞄20が閉じられた状態にて、連式数取器10の加算ボタン12が不用意に押下されることがない。
【0025】
<鞄収納数取器の使われ方>
次に、図1図3図6を用い、鞄収納数取器1の使われ方について、車両の通行調査を例として説明する。
車両の通行調査を行う際には、交差点の四隅に調査員が配置される。四隅に各々配置される4人の調査員に、図2に示す鞄収納数取器1の収納鞄20がそれぞれ手渡される。各調査員は、ある一定の時間内に、調査員自身が位置する方向から交差点に向かってくる車両について、以下の項目について調査して記録する。
−何台の車両が交差点を直進したか?
−何台の車両が交差点を左折したか?
−何台の車両が交差点を右折したか?
−何台の車両がUターンをしたか?
上記の台数を、車両の種類(例えば、自転車、バイク、乗用車、中型車、大型車等)別に計数する。
【0026】
各調査員には、複数台の連式数取器10が渡されるが、本実施の形態では、図1図6に示す鞄収納数取器1が、各調査員に渡されることで、必要な数取器が整うこととなる。図1図6に示す例では、5つの計数器(カウンタ)11が連なった5連式の連式数取器10を4セット、縦に並べた状態で用いられる。図3に示すように、1つの連式数取器10には、5つの計数器(カウンタ)11が左右に連結して並んでおり、合計20個の計数器(カウンタ)11が並べられていることになる。
これらの計数器(カウンタ)11を、例えば、以下のように割り当てる。図1図6のY方向の最上段を1番目とし、以下、下方に2番目、3番目、4番目とすると、
1番目の連式数取器10は交差点を直進する台数、
2番目の連式数取器10は交差点を左折する台数
3番目の連式数取器10は交差点を右折する台数
4番目の連式数取器10はUターンする台数
更に、各々の連式数取器10の1番左側の計数器(カウンタ)11は自転車、2つ目はバイク、3つ目は乗用車、4つ目が中型車、5つ目が大型車、等と割り当てる。そうして、各調査員は、調査開始の時点で、各々の計数器(カウンタ)11をゼロにリセットした後、所定の時間が経過するまで、車両が自分の前を通過する度に、車両の車種別と進行方向別に割り当てられた、計数器(カウンタ)11の加算ボタン12を押して計数を行う。
【0027】
一般に、各調査員は、都度、雇い入れるアルバイトで構成されている。このときアルバイトに提供される連式数取器10の数は、例えば、4つの角がある一か所の交差点の調査でも、4台×4人の16台が必要となる。また、こうした調査が行われる際は、同時に何か所の交差点でも行われる場合もあり、必要となる連式数取器10の台数は多数に上っていた。従来、これらの多数、必要となる連式数取器10を、図3に示す装置単体の状態で段ボール箱などに入れて保管し、その都度、現場で調査員に配っていた。そして、従来、調査員は、連式数取器10と併せて支給される画板と調査記入表を持って、割り当てられた場所に向かい、画板の上に連式数取器を並べ、調査を実施していた。しかしながら、本実施の形態によれば、図2に示すように持ち運びが可能な、閉じられた収納鞄20の状態で各調査員に渡されるため、作業に取りかかるための手間が大幅に削減される。
【0028】
また、各調査員は、収納鞄20を開け、図1図6に示す開いた状態から、例えば蓋体23を本体21の下方に折り曲げて、または、複数の連式数取器10が取り付いた状態のまま、本体21から底板22を取り外し、操作することができる。すなわち、収納鞄20や底板22を画板代わりに例えば調査員の膝の上などに置き、そのままの状態で加算ボタン12を操作し、通行調査を実行できる。操作性の著しい向上に加え、準備や撤収のため工数が大幅に軽減される。
【0029】
さらに、従来では、段ボール箱などに投げ入れられ、乱雑な状態で保管されていたことから、連式数取器10に不要なダメージを与え、故障の原因となっていた。とくに、加算ボタン12が押された状態で長時間保管されると、内蔵されているバネ等の弾性部品に常に応力が加わり続け、弾性回復力が弱まったり、変形したりする場合があり、これも連式数取器10の故障の原因となっていた。しかしながら、本実施の形態によれば、連式数取器10は、収納鞄20に整列された状態で保管されることから、連式数取器10の加算ボタン12が解放された状態で保管され、不要なダメージを軽減できる。特に、収納鞄20が閉じられた際には、収納鞄20の底板22と蓋体23との間には、連式数取器10の加算ボタン12が押し下げられないための一定の空間が確保され、または充填部材40が存在し、図2に示す収納鞄20が、上方に積み重ねて保管、運搬された場合であっても、加算ボタン12を有する数取器に不要な悪影響を及ぼす外力が加わることがなく、加算ボタン12に対する外部からの操作を抑制することができる。
【0030】
なお、図1図6に示す縦方向(Y方向)の配列を、図1図6のものとは上下を逆とし、すなわち、底板22の平面を保持しながら180度回転することもできる。配列の上下を逆とすることで、収納鞄20の蓋体23を開けたとき、蓋体23が本体21の右にくるのか、左にくるのか、を適宜、変更できる。例えば、収納鞄20の蓋体23を開けた作業員の利き手が右利きと左利きとで異なる場合であっても、蓋体23が邪魔にならず、良好な作業性を確保できる。尚、配列の上下は、連式数取器10が配列された底板22の上下を単に逆に取り付ける場合の他、図5に示すように挿入される個々の連式数取器10について、その上下を図5とは逆にして挿入するようにして構成することができる。
また、本実施の形態では、数取器として機械式数取器の連式数取器10を例に挙げたが、電子式数取器を収納鞄20に配列させて鞄収納数取器1とすることも可能である。かかる電子式数取器では、計数操作部としての加算ボタン12に代えて、計数操作部としての押しボタンによって加算や減算が行われる。
【符号の説明】
【0031】
1…鞄収納数取器、10…連式数取器、12…加算ボタン、20…収納鞄、21…本体、22…底板、23…蓋体、27…挿入ガイド部材
【要約】
【課題】連式数取器の保管や運搬、調査現場での作業の利便性を向上させる。
【解決手段】本発明の鞄収納数取器1は、複数の加算ボタン12を有する連式数取器10と、複数の連式数取器10が収容され複数の加算ボタン12が縦方向および横方向に配列された状態で持ち運びが可能であるともに、配列された状態にて使用者による操作を可能とする収納鞄20とを有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6