(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ウエイト側部のコイル側の面は、前記振動体と対向する前記コイルの表面の位置よりも該コイルの裏面側の方向に突出して形成されている、請求項4に記載の振動発生装置。
前記コイルは、素線を渦巻き状に巻いた空芯渦巻きコイルであり、前記底面には、該コイルの内側と外側とを連絡する連絡溝が形成され、該コイルの中心側から前記素線が延ばされて構成されたリード線が前記連絡溝を通されている、請求項8に記載の振動発生装置。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等の携帯端末には、振動を発生させて使用者に着信を知らせることができるように振動発生装置が内蔵されている。こうした振動発生装置は、様々なタイプの技術がこれまでに開発されている。例えば、回転軸に偏心おもりを取り付けて、この偏心おもりをモータで回転させて振動を発生させる振動発生装置が知られている。しかし、モータで偏心おもりを回転させる振動発生装置は、装置を薄く形成することが困難であることや、耐久性が低く、長期間の使用に伴ってノイズが発生するといった問題点がある。
【0003】
こうした問題点を解決するために、コイルとマグネットが形成する磁界を利用して、振動体を往復振動させる振動発生装置が提案されている。
【0004】
特許文献1には、固定部と、複数のマグネットと、この複数のマグネットが発生する磁束を閉じるためのヨークを有する振動部と、この振動部を固定部に可動自在に保持する複数の弾性部材と、複数のマグネットが発生する磁束と鎖交し、電流を流すことで振動部を一定の振動方向に振動するように、固定部と振動部の間に推力を発生させるコイルとを備えた振動アクチュエータに関する技術が提案されている。
【0005】
この特許文献1に提案されている技術では、弾性部材を振動部が振動する方向の両側に配置して、この弾性部材で振動部を保持している。この技術では、弾性部材として、帯状の2つの板ばねの長手方向の一端同士を接合し、接合した部分で鋭角に折れ曲がるように形成されたものを使用したり、帯状の1つの板ばねの長手方向の途中部分を鋭角に折り曲げて形成したものを使用したりしている。すなわち、弾性部材は、振動部の振動方向に関し、2つの部品要素によって複数の層が形成される。振動部はこうした弾性部材で振動方向の外側から保持される構造となっている。
【0006】
特許文献2には、渦巻コイルと、この渦巻コイルに対向して配置された可動部とを備え、渦巻コイルは、可動部の移動方向と直交する向きに延びる第1部分と、可動部の移動方向に平行に延びる第2部分とで構成され、第1部分によって形成される磁束の大きさが、第2部分によって形成される磁束の大きさよりも大きなリニアモータ及びこのリニアモータを利用した携帯電話に関する技術が提案されている。
【0007】
第2特許文献に提案されている技術も、可動部が振動する方向の両側に、鋭角に折り曲げられた板ばねが配置されていて、この板ばねが、可動部を保持している。この技術でも、振動部は、振動部の振動方向に関し、2つの部品要素によって複数の層が形成された弾性部材によって振動方向の外側から保持される。
【0008】
特許文献3及び特許文献4には、ハウジングと、弾性部材によって支持された振動子と、ハウジング内に設けられたコイルとを備えたリニアバイブレータに関する技術が提案されている。
【0009】
特許文献3で提案されている技術の弾性部材は、周壁面に取り付けられる取付部と、保持部が設けられたアーム部とが平行に配置され、取付部とアーム部とがU字形状の接続部で接続されて構成されている。特許文献4で提案されている技術の弾性部材は、保持部がアーム部に対して着脱可能に構成されている。この特許文献3,4に提案された技術は、複雑な形状の弾性部材で振動子を振動方向の外側から支持する構造になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1〜4に提案されている技術では、振動方向に関する板ばね等の弾性部材の寸法の、弾性部材を支持する周壁面同士の間隔に占める割合が相対的に大きくなる。そのため、振動体は、振動方向の寸法が弾性部材の寸法による制約を受け、振動体についての設計上の自由度が低下してしまう。振動体の設計上の自由度が低下すれば、振動発生装置が使用される携帯端末の機種に応じた所望の振動を発生させることが困難となる。
【0012】
本発明はこうした問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、振動体の振動方向の寸法及び構造を、板ばねの振動方向の寸法に阻害されることなく設計することができる振動発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明に係る振動発生装置は、周囲を囲む周壁面を有するハウジングと、該ハウジングの周壁面の内側でコイルと対向して配置されて、一方向に往復振動される振動体と、該振動体と前記周壁面との間に配置されて、該振動体を前記周壁面に支持する帯状の板ばねと、を備え、前記板ばねは、長手方向の一端で前記振動体に接続される接続部と、他端で前記周壁面に取り付けられる取付部と、該接続部と該取付部の間をなし、前記振動体を迂回して延びる中間部とから形成され、前記振動体の振動方向と交差する方向の該振動体を間に挟んだ一方側と他方側とに前記接続部と前記取付部とがそれぞれ位置され、前記中間部は、振動方向に関して前記振動体よりも外側の領域で、振動方向に関して一重に形成された部材が振動方向と交差していることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、振動方向に関して、振動体よりも外側の領域には、振動体の振動方向に関して一重に形成された板ばねの中間部が存在するだけなので、振動方向で対向している周壁面同士の間に板ばねが占める割合を大幅に削減することができる。そのため、振動体の振動方向に関する寸法を大きく形成することができる。振動方向の寸法を大きく形成することによって、従来の板ばねで振動体を支持する場合と比較して、ウエイトの位置を、より外側に配置する等、所望の構造に振動体を構成することが容易になる。また、振動体の振幅を大きくすることもできる。このように設計上の自由度が向上するため、携帯端末の機種に応じた適切な振動を発生する振動発生装置を製造することができる。
【0015】
本発明に係る振動発生装置において、前記振動体は、振動方向に関して外側部分に配置された一対のウエイトと、該ウエイトの内側に配置されたマグネットとを備えていることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、ウエイトが振動方向の外側部分に配置されているので、軽量なウエイトによって好適な慣性力を有する振動発生装置を製造することができる。そのため携帯端末の軽量化を図ることができる。また、ウエイトを外側に配置することによって、ウエイト同士の間のスペースを有効に利用することができる。そのため、適切な大きさや磁力を有するマグネットを選定することができ、携帯端末の機種に応じた好適な振動を発生させることができる。
【0017】
本発明に係る振動発生装置において、前記ウエイトは、振動方向に関する前記振動体の外側部分に位置するウエイト側部と、振動方向に交差する方向に関して前記振動体の前記他方側に位置し、前記ウエイト側部から振動方向の中心側に向けて延びるウエイト下部と、によって形成されていることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、ウエイトの間に配置されるマグネットの位置をウエイトの内側の側縁で支持させることができ、マグネットの位置をコイルと対向する適切な位置に設置することができる。
【0019】
本発明に係る振動発生装置において、前記ウエイト側部は、振動方向に関して前記コイルの外周部よりも外側にはみ出して配置されていることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、大きな慣性力を有する振動体を形成することができ、振動体自体を軽量化することができる。
【0021】
本発明に係る振動発生装置において、前記ウエイト側部のコイル側の面は、前記振動体と対向する前記コイルの表面の位置よりも該コイルの裏面側の方向に突出して形成されていることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、コイルの外周部よりも外側に配置されたウエイト側部の厚さ寸法を大きくしても、ウエイトとコイルとを干渉させずに振動体を振動させることができる。ウエイト側部の厚さ寸法を大きくすることによって、ウエイト側部の振動方向に関する寸法を小さくし、マグネットが配置される領域を広く形成することもできる。
【0023】
本発明に係る振動発生装置において、前記板ばねは、前記振動体の振動方向の両側にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、二つの板ばねで振動体を支持することで、板ばねにかかる負荷を軽減させることができる。また、振動体を振動方向の両側でバランスよく振動させることができる。
【0025】
本発明に係る振動発生装置において、前記振動体の振動方向の両側に設けられた前記板ばねは、一部材として形成されていることを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、板ばねが一部材で形成されているから部品数を減少することができる。部品数が減少することに伴って、組立工数を減少させて組み立て自体を容易にすることができる。また、一部材で板ばねを形成することによって、板ばねの固定強度及び精度を安定させることができる。
【0027】
本発明に係る振動発生装置において、前記ハウジングは、前記コイルが取り付けられる底面と、前記周壁面と、上部を覆う天面とから形成され、前記振動体の上面は、前記天面の内面に接触されており、前記振動体の上面には該振動体を前記天面の内面に対して円滑に滑走させる滑走部材が設けられていることを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、振動体をハウジングの天面に沿わせて振動させるので、振動体に傾きが生じることを防止して、振動体がハウジングと衝突してノイズが発生することを効果的に防止することができる。振動体の上面には、天面との間に生じる摩擦が小さな滑走部材が設けられているので、振動体の円滑な振動が妨げられることがない。
【0029】
本発明に係る振動発生装置において、前記コイルは、素線を渦巻き状に巻いた空芯渦巻きコイルであり、前記底面には、該コイルの内側と外側とを連絡する連絡溝が形成され、該コイルの内周部から延ばされたリード線が前記連絡溝を通されていることを特徴とする。
【0030】
この発明によれば、コイルが、内周部から延ばされたリード線を底面との間で挟み込むことがないので、コイルが傾いてしまうことを防止できる。そのため、コイルは適切な方向に磁界を形成し、振動体を円滑に振動させることができる。また、コイルが傾くことがないので、コイルと振動体とが緩衝しノイズが生じることも防止することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、振動体の寸法や構造は、振動方向に関する板ばねの寸法によって、制約されずに設計することができる。そのため、振動方向に関して、振動体の寸法を相対的に大きく形成することができる。振動体の寸法を相対的に大きく形成できることに伴って、振動体の振幅方向の中心から相対的に離れた位置にウエイトを配置した振動体を設計することもできる。また、振動体がより広い範囲を振幅する振動発生装置を設計することができる。その結果、携帯端末の機種に応じた所望の振動を発生させる振動発生装置を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の技術的範囲は、以下の記載や図面にのみ限定されるものではない。
【0034】
本発明に係る振動発生装置1A,1Bは、携帯電話等の携帯端末に組み込まれるものであり、
図1〜
図5に示す基本形をなす第1実施形態に係る振動発生装置1A、及び
図8に示すように、振動体の上面とケースの天面との間に空間を設けずに振動体をケースに接触させている第2の実施形態に係る振動発生装置1Bがある。以下では、実施形態ごとに発明の内容を説明する。
【0035】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態の振動発生装置1Aの基本構成は次の通りである。
【0036】
振動発生装置1Aは、
図1〜3に示すように、振動発生装置1Aの外殻をなすハウジング10を備えている。ハウジング10は、底面11と底面11に被せるケース12とから構成され、ケース12は、周囲を囲む周壁面13と、上部を覆う天面14とから構成されている。
【0037】
ハウジング10の内部には、底面11に取り付けられたコイル20と、コイル20と対向して配置された振動体30と、振動体30をケース12の周壁面13に対して支持する帯状の板ばね50とが設けられている。
【0038】
コイル20は、中央部に空間が形成されるようにして、素線が渦巻き状に巻かれた空芯渦巻きコイル20である。振動体30は、外形が長方形又は略長方形に形成された振動子であり、自らが形成する磁界と底面11に取り付けられたコイル20が形成する磁界との相互作用によって、コイル20と天面14との間で一方向に往復振動される。
【0039】
板ばね50は、一対設けられており、振動体30の振動方向の両側に振動体30と周壁面13との間に配置されて、振動体30を周壁面13に支持している。この板ばね50は、板ばね50が延びる長手方向の一端で振動体30に接続される接続部51と、他端で周壁面13に取り付けられる取付部52と、振動体30を迂回して延び、接続部51と取付部52との間をなす中間部53とから形成されている。接続部51と取付部52とは、振動体30の振動方向と交差する方向で、振動体30を間に挟んだ一方側と他方側とにそれぞれ位置されている。中間部53は、振動体30よりも外側の領域で、この振動体30の振動方向に関して一重に形成されており、かつ、振動体30の振動方向を交差して延びている。
【0040】
こうした構成の振動発生装置1Aは、振動体30の振動方向に関して板ばね50と周壁面13との間には、一重に形成された中間部53のみしか存在しないので、振動体30と周壁面13との間に形成されるスペースを有効に活用することができる。そのため、振動体30の振動方向に関する板ばね50の寸法に阻害されないで、振動体30の振動方向の寸法を相対的に大きく形成することができる。振動方向の寸法を大きく形成できることに伴って、振動体30の構造を設計する際の自由度が大きくなるという本発明に特有の効果を奏することができる。あるいは、これまで以上に振動体の振幅を大きくできるという本発明に特有な効果も奏することができる。
【0041】
以下では、本発明の各構成を
図1〜5を参照して、さらに詳細に説明する。
【0042】
ハウジング10は、
図2、
図3及び
図5に示すように、振動発生装置1Aの外殻をなすもので、高さの低い平坦な直方体状に形成されている。
【0043】
ハウジング10は非磁性体で形成されており、矩形又は略矩形に形成された平坦な底面11と、この底面11に被せるケース12とから構成されている。ケース12は、周囲を囲む周壁面13と、上部を閉鎖する天面14とから形成されている。
【0044】
底面11には、
図3に示すように、周縁をなす各辺に外側に向けて部分的に突出する位置決め突起11aが2ヶ所ずつ形成されている。一方、ケース12の周壁面13の下部には、位置決め突起11aがはめ込まれる凹所13aが、位置決め突起11aに対応する位置に形成されている。底面11とケース12とは、ケース12の周壁面13に形成された凹所13aに底面11に形成された位置決め突起11aがはめ込まれて組み立てられる。底面11の中央部には、コイルホルダ15が形成されていて、コイル20は、このコイルホルダ15に保持される。
【0045】
コイル20は、電流が流される素線が、中央部分に空間が形成されるようにして渦巻き状に巻かれた空芯渦巻きコイル20である。コイル20は、縦方向の寸法が横方向の寸法に比べて長く形成された楕円又は略楕円状に形成されていて、長く形成された縦方向が振動体30の振動方向とは直交する向きに配置されてコイルホルダ15に保持される。
【0046】
こうしたコイル20には、
図4に示すように、外周部及び内周部からリード線21,22がコイル20の外部に向けて延びている。内周部から延びるリード線22を底面11とコイル20との間からコイル20の外側に引き出すと、コイル20がリード線22を底面11との間に挟み込み、コイル20が傾いてしまう。この振動発生装置1Aでは、
図5に示すように、ハウジング10の底面11にコイル20の内側と外側とを連絡する連絡溝16が形成されている。この連絡溝16には、コイル20の内周部から延びるリード線22が通される。その結果、コイル20がリード線22を底面11との間に挟み込むことがなく、コイル20は傾くことなくコイルホルダ15に保持される。
【0047】
振動体30は、
図2及び
図5に示すように、コイル20の上面と隙間を空けて、コイル20と平行に配置されて板ばね50によって支持される。振動体30は、全体の形状が長方形又は略長方形に形成されている。この振動体30は、振動体30の長尺方向である横方向の両側に配置された一対のウエイト31と、ウエイト31の内側に配置された一対のマグネット35と、マグネット35の上から被せるカバー40が一体的に構成されている。
【0048】
ウエイト31は、振動方向の外側部分に位置するウエイト側部32と、振動方向と交差する方向に関し、取付部52が設けられた他方側に位置し、ウエイト側部32から振動体30の中心側に向けて延びるウエイト下部33とによってアルファベットのL字状にそれぞれ形成されている。各ウエイト31は、振動体30の横方向の中心に対して左右対称に配置されていて、横方向に延びるウエイト下部33の先端同士が相互に対向している。各ウエイト31が左右のバランスを保って対象に配置されることで、振動体30が円滑に振動する。なお、各ウエイト側部32の上面には、ウエイト側部32が延びる縦方向の中央に横方向に延びる合わせ溝34が形成されている。
【0049】
こうしたウエイト31は、
図2に示すように、ウエイト側部32が、振動体30の振動方向に関してコイル20の外周部の位置よりも外側にはみ出すようにして配置されている。このように、ウエイト側部32をコイル20の外周部の位置よりも外側にはみ出して配置する場合、ウエイト側部32の全体がコイル20の外周部よりも外側に位置するように配置することが好ましい。ただし、ウエイト側部32の大部分がコイル20の外周部よりも外側に位置していれば、ウエイト側部32の内側の領域とコイル20の外周部との間に重なり合う部分が形成されていてもよい。
【0050】
ウエイト側部32がコイル20の外周部よりも外側に位置するように配置すると、ウエイト側部32の厚さ寸法を、ウエイト下部33の厚さ寸法よりも大きく形成することができる。ウエイト側部32の厚さ寸法をウエイト下部33の厚さ寸法よりも大きく形成する場合に、ウエイト側部32のコイル20側の面は、ウエイト下部33の面よりも底面11側に突出される。より詳細には、ウエイト側部32のコイル20側の面の位置は、振動体30と対向するコイル20表面の位置よりも、コイル20の裏面側の方向に突出している。こうした形状にウエイト31を形成しても、ウエイト側部32は、コイル20の外周部よりも外側に配置されているため、振動体30は、コイル20と干渉することなく振動する。
【0051】
マグネット35は、直方体状にそれぞれ形成されていて、その長尺方向が振動体30の縦方向に向けられてウエイト31の間に並列をなして配置される。このマグネット35は、振動体30の横方向の中心に対して対称となるようにバランスよく配置される。
【0052】
カバー40は、磁性体で形成されている。このカバー40は、マグネット35が配置された領域を上から閉鎖する本体部41と、本体部41の両側縁から左右の外側に向けてそれぞれ延びる腕部42とから形成されている。この腕部42は、各ウエイト31に形成された合わせ溝34にはめ込まれる。
【0053】
振動体30には、さらに、板ばね50が接続される座面36が形成されている。座面36は、ウエイト下部33が配置された振動体30の側縁と対向する側縁に形成されている。この座面36は、振動体30の中心よりもやや外側の位置に、左右対象に形成される。
【0054】
こうした振動体30は、その長尺方向がコイル20の縦方向と直交する向きに配置されて板ばね50で支持される。そして、振動体30は、コイル20が形成する磁界と、マグネット35が形成する磁界との相互作用によって、振動体30の長尺方向をなす横方向に往復振動される。
【0055】
板ばね50は、細長い帯状に形成されていて、振動体30の両側にそれぞれ1つずつ設けられている。各板ばね50には、この板ばね50が延びる長手方向の一端に振動体30に接続される接続部51が形成され、他端には、板ばね50がケース12の周壁面13の内面に取り付けられる取付部52が形成されている。これらの接続部51と取付部52との間をなす中間部53には、板ばね50の延びる長手方向を湾曲させた複数の湾曲部60,61,62,63が形成されている。
【0056】
接続部51と取付部52とは、振動体30の振動方向に交差する方向で、振動体30を間に挟んだ一方側と他方側とで、接続部51が振動体30に接続され、取付部52が周壁面13に取り付けられる。接続部51は、板ばね50の一端が直線状に延びるようにして形成されていて、振動体30を構成する振動体30の座面36に接着される。取付部52は、板ばね50の他端が直線状に延びて形成されていて、ケース12の周壁面13の1つに接着される。
【0057】
中間部53は、接続部51の位置から振動体30を迂回して振動体30よりも外側に向けて延び、振動体30よりも外側の領域で、振動体30の振動方向と交差するように延びている。中間部53は、振動体30よりも外側の領域では、振動体30の振動方向に関して一重に形成されている。そして、振動体30よりも外側の領域から取付部52までの範囲は、湾曲部63によって振動体30の中央に向けて大きく湾曲されている。
【0058】
接続部51、中間部53及び取付部52から形成された板ばね50の形状をより詳細に説明すると次のようになる。
【0059】
板ばね50は、接続部51が位置する一方側の領域では、3つの湾曲部60,61,62によって、振動体30側から周壁面13側に向けて張り出すように形成されている。振動体30よりも外側の領域では、板ばね50は、一方側の領域から取付部52が位置する他方側の領域に向かうにつれて、振動体30側から周壁面13側に漸近するように斜めに傾けられて形成されている。板ばね50は、振動体30よりも外側の領域では、中間部53が折り返されて複数の層が振動方向に形成される構造ではない。また、複数の部材を平行に配置して複数の層が振動方向に形成される構造でもない。板ばね50は、振動体30よりも外側の領域では、一重の中間部53によって振動方向に関して単層に形成される。そして、板ばね50は、他方側の領域では、振動体30よりも外側の領域から振動体30の中央側に向けて湾曲部63によって大きく湾曲されている。
【0060】
こうした板ばね50を使用して振動体30を支持した場合と、従来から使用されている鋭角な折り曲げ部分を有する板ばね(以下、従来品という。)で振動体を支持した場合の差異を
図6と
図7とを参照して説明する。
【0061】
従来品150を使用して振動体130を支持した場合を
図6に示す。従来品150は、長手方向の中央に鋭角に折り曲げられた屈曲部が形成され、平面視の形状がV字状に形成されている。従来品150は、振動体130と周壁面113との間に配置され、一端が振動体130の側縁に接着され、他端が周壁面113に接着される。そして、振動体130の振動に伴って、構成部材151,152が離間したり(
図6(A)の状態)、接近したり(
図6(B)の状態)する。こうした従来品150は、V字状に形成されているので、振動体130と周壁面113との間で、振動方向に関して2層となるように構成部材151,152が配置される。
【0062】
従来品150で振動体130を支持する場合には、
図6の符号G1で示した3つ空間領域と符号P1で示した構成部材151,152が存在する2つの部材領域とを考慮して、振動体130の寸法U1や構造、及び振動体の振幅を決定する必要がある。従来品150では、振動方向に関する寸法T1の、周壁面113同士の間の寸法S1に占める割合が大きくなる。そのため、振動体130を設けるためのスペースが相対的に小さくなり、振動体130の振動方向に関する寸法U1は、従来品150の寸法T1の制約を受けてしまう。その結果、振動体130の振動方向の寸法U1を大きく形成することが困難で、振動体130の構造も限られた構造にしか設計することができない。また、従来品150は、圧縮された状態でも振動方向に関する寸法T1が大きいため、振動体130の振幅を大きくすることが困難である。
【0063】
これに対し、本発明の板ばね50では、以下に説明するように振動体30の寸法U2及び構造についての設計上の自由度を大きくすることができる。
【0064】
振動体30が振動方向の中央に位置する状態を
図7(A)に示し、振動体30が振動方向の外側に振動した状態を
図7(B)に示している。既述したように、本発明の板ばね50は、接続部51と取付部52とは、振動体30を間に挟んだ一方側と他方側とに配置され、振動方向の振動体30と周壁面13との間には存在しない。振動方向の振動体30と周壁面13との間には、一重の中間部53のみが配置される。このため、板ばね50では、振動方向に関する寸法T2の、周壁面13同士の間の寸法S2に占める割合が大幅に小さくなる。すなわち、板ばね50では、
図7の符号G2で示した2つの空間領域及び符号P2で示した中間部53が存在する1つの部材領域のみを考慮して振動体30の寸法U2や構造、及び振動体30の振幅を設計することができる。
【0065】
こうした板ばね50で振動体30を支持した場合には、振動体30の振動方向に関する寸法U2を相対的に大きく形成することができる。振動体30の振動方向の寸法U2を大きく形成した場合、ウエイト31を振動体30の中心から離れた外側に配置して振動体30を形成することができる。ウエイト31を相対的に外側に配置すれば、慣性力はそれだけ大きくなる。慣性力を大きくすることにより、軽量な振動体30でも、所望の振動を発生させるために必要な慣性力を得ることができ、振動発生装置1Aの軽量化を図ることができる。また、ウエイト31同士の間に形成される空間を自在に形成することが可能となる。その結果、ウエイト31同士の間には、好適な大きさ及び磁力のマグネットを選定して振動体30を形成することができる。
【0066】
板ばね50は、
図7(B)に示すように、振動体30が周壁面13側へ移動した状態でも、振動体30と周壁面13との間には、中間部53のみしか存在しない。そのため、振動体30の振幅を大きく形成することも可能となる。
【0067】
以上の各構成部品は、底面11に設けられたコイルホルダ15にコイル20が保持され、かつ、ケース12の周壁面13に振動体30が板ばね50によって支持された状態で、底面11にケース12を被せて組み立てられる。組み立てられた状態では、
図2及び
図5に示すように、コイル20の上面と振動体30の下面には一定の隙間が形成される。また、振動体30の上面と天面14との間にも一定の隙間が形成される。
【0068】
以上に説明した振動発生装置1Aによれば、コイル20に電流が流れると、コイル20が磁界を形成する。コイル20が形成する磁界と、振動体30のマグネット35が形成する磁界の相互作用によって、振動体30はこの振動体30の長尺方向に往復振動する。振動体30は、コイル20とケース12の天面14との間で板ばね50によって支持されているので円滑に往復振動する。
【0069】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る振動発生装置1Bは、第1実施形態の振動発生装置1Aの構成に加えて、振動体30の上面に滑走部材が設けられたものである。
【0070】
第2実施形態の振動発生装置1Bの基本的な構成も、第1実施形態の振動発生装置1Aと同様である。そのため、第2実施形態の振動発生装置1Bも、第1実施形態の振動発生装置1Aと同一の構成には、図面に同一の符号を付して概略のみを説明し、異なる構成のみについて詳細に説明する。
【0071】
第2実施形態の振動発生装置1Bは、
図8に示すように、振動発生装置1Bの外殻をなす非磁性体で形成された高さの低いハウジング10を備えている。ハウジング10は、底面11と底面11に被せるケース12とから構成され、ケース12は、周囲を囲む周壁面13と、上部を覆う天面14とから構成されている。
【0072】
ハウジング10の内部には、底面11に取り付けられたコイル20と、コイル20と対向して配置された振動体30と、振動体30をケース12の周壁面13に対して支持する板ばね50とが設けられている。
【0073】
コイル20は、空芯渦巻きコイル20であり、底面11のコイルホルダ15に保持される。このコイル20の外周部及び内周部からは、リード線21,22がそれぞれ延びており、内周部から延びるリード線22は、底面11に形成されたコイル20の内側と外側とを連絡する連絡溝16を通されてコイル20の外まで延ばされている(
図4,5参照)。
【0074】
振動体30は、外形が長方形又は略長方形に形成され、横方向の両側に配置される一対のウエイト31と、ウエイト31の間に配置された一対のマグネット35と、マグネット35の上から被せるカバー40とによって一体的に構成されている。
【0075】
ウエイト31は、ウエイト側部32とウエイト下部33とによってアルファベットのL字状にそれぞれ形成されている。各ウエイト31は、左右対称に配置され、横方向に延びるウエイト下部33の先端が相互に対向している。マグネット35は、直方体状にそれぞれ形成されていて、その長尺方向が、振動体30の短尺方向に向けられて、ウエイト31同士の間に配置されている。このマグネット35も左右対称となる位置にそれぞれ配置されている。
【0076】
カバー40は、磁性体で形成されている。このカバー40は、マグネット35が配置されたウエイト31同士の間の領域を上から閉鎖する本体部41と、本体部41の両側縁から左右の外側に向けてそれぞれ延びる腕部42とから形成されている。この腕部42は、各ウエイト31に形成された合わせ溝34にはめ込まれる。
【0077】
このカバー40の上面には、ケース12の天面14との間に生じる摩擦が極めて小さな部材で構成された滑走部材70が設けられる。この滑走部材70は、シート状の部材をカバー40の上面に接着したり、塗装したりすることで設けられる。シート状の滑走部材70は、例えば、ポリイミドやポリエーテルケトン(PEEK)等が使用され、滑走部材70を塗装する場合には、テトラフルオロエチレンの重合体からなるポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂が塗布される。ただし、滑走部材70は、天面14の内面に設けてもよい。
【0078】
振動体30には、さらに、ウエイト下部33が配置された側縁と対向する側縁に板ばね50が接続される座面36が形成されている。この座面36は、振動体30の長尺方向の中心を境に左右対称となるように、中心よりもやや外側の位置にそれぞれ形成されている。
【0079】
板ばね50は、振動体30が振動する方向の両側で、振動体30と周壁面13との間に配置されていて、振動体30を周壁面13に支持している(
図1参照)。この板ばね50は、板ばね50が延びる長手方向の一端で振動体30に接続される接続部51と、他端で周壁面13に取り付けられる取付部52と、振動体30を迂回して延び、接続部51と取付部52との間をなす中間部53とから形成されている。板ばね50の接続部51と取付部52とは、振動体30の振動方向に対して交差する方向に位置され、振動体30を間に挟んだ一方側と他方側とで、接続部51が振動体30に接続されると共に取付部52が周壁面13に取り付けられている。
【0080】
以上の各構成部品は、底面11に設けられたコイルホルダ15にコイル20が保持され、かつ、ケース12の周壁面13に振動体30が板ばね50によって支持された状態で、底面11にケース12を被せて組み立てられる。組み立てられた状態では、
図8に示すように、コイル20の上面と振動体30の下面との間には一定の隙間が形成される。これに対して、振動体30を構成するカバー40の上面と天面14とは、滑走部材70を介して相互に接触される。
【0081】
この第2実施形態の振動発生装置1Bでは、振動体30がケース12の天面14に沿って滑走するようにして往復振動する。そのため、振動体30の向きはケース12の天面14に規制され、振動体30は、振動中に上下に傾くことがない。特に、振動体30の振動方向の寸法を大きく形成した場合、ウエイト31を振動体30の外側部分に配置した場合、並びに振幅を大きくした場合には、効果的に振動体30の傾きを防止することができる。そして、振動体30は、カバー40の上面に設けられた滑走部材70を介してケース12の天面14に対して円滑に摺動するため、異音を発生させることなく円滑に振動させることができる。
【0082】
なお、第1実施形態に係る振動発生装置1A及び第2実施形態に係る振動発生装置1Bでは、一対の板ばね50を振動体30の両側に配置した実施形態について説明したが、一部材で形成された板ばねを使用してもよい。例えば、振動体30の両側に配置されている板ばねを、ウエイト接続部51の位置で連続させて一部材に形成したり、取付部52の位置で連続させて一部材に形成したりして板ばねを一部材で形成する。板ばね50を一部材で形成すれば、部品数を減少することができる。部品数が減少することに伴って、組立工数を減少させて組み立て自体を容易にすることができる。また、一部材で板ばね50を形成することによって、板ばね50の固定強度及び精度が安定する。