(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜
図8を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
【0018】
図1〜
図8で用いる「数字+アルファベット」参照番号の構成要素(例えばU形鋼1a,1b)は、原則として当該参照番号の数字部分の構成要素(例えばコラム1)の一部であることを示している。
【0019】
図1〜
図8において、
1は冷間プレス・冷間ロール成形の筒状の角形鋼管からなり少なくともその縦方向の一端部分が開口したコラム(骨組み要素),
1a,1bはそれぞれへの溶接加工により一体となって当該コラムを構成する一対のU形鋼,
1cは当該コラムの側面に形成された光ダクト出力用のコラム孔部,
1dはコラム孔部1cの回りを補強するためコラム1に設けられた環状補強部,
2はH形鋼からなる梁部材(骨組み要素),
3はコラム1に溶接されて、梁部材2との接続部分に用いられる周知の外ダイアフラム,
をそれぞれ示している。
【0020】
図1〜
図3において、
4はコラム1(U形鋼1a,1b)の内面部分に対応した形に設定されたアルミ鏡面材からなり、溶接加工後の当該コラムの内面部分にビス止めされて例えばその縦方向両端部分が開口した方形筒状態様の、後付けビス止めタイプの光ダクト,
4aは光ダクト4のコラム孔部1cとの対向部分に形成された複数の光ダクト孔部,
4bは光ダクト孔部4aのそれぞれからコラム1の外側に延びる形で設けられた光ダクト横接続部,
4cは光ダクト4の外側面周方向に形成されてダクト形状を保持するための補強用アングル材,
4dは光ダクト4の外側面長手方向に複数(計六個)形成されたビス止め用のアルミ製角パイプ,
をそれぞれ示している。
【0021】
図6において、
4’はアルミ鏡面材からなり、溶接加工前のU形鋼1a,1bそれぞれの内面部分に横方向の溶接対象端部側を除く形でビス止めされた光ダクト本体要素の連結体であって例えばその縦方向両端部分が開口した方形筒状態様の、先付けビス止めタイプの光ダクト,
4a’,4b’はそれぞれU形鋼1a,1bの内面部分(溶接対象端部側を除いた部分)に対応した形に曲げられて、ビス止めにより、当該内面部分の上下方向全体に取り付けられた横断面U形で一対の光ダクト本体要素,
4c’は光ダクト本体要素4a’のコラム孔部1cとの対向部分に形成された複数の光ダクト孔部,
4d’は光ダクト孔部4c’のそれぞれからコラム1の外側に延びる形で設けられた光ダクト横接続部,
4e’は光ダクト4’の外側面周方向に形成されてダクト形状を保持するための補強用アングル材,
4f’は光ダクト4’の外側面長手方向に複数(計六個)形成されたビス止め用のアルミ製角パイプ,
4g’は光ダクト本体要素4a’,4b’がビス止めされたU形鋼1a,1bを溶接した後で、当該光ダクト本体要素の各周方向(横方向)両端部分の間に接着された光ダクト連結要素,
をそれぞれ示している。
【0022】
図2,
図3および
図6において、
5はコラム1および光ダクト横接続部4b,4d’の全体をカバーする耐火被覆材,
6は耐火被覆材5の外側に設けられた石膏ボード,
をそれぞれ示している。
【0023】
図4および
図5において、
7はコラム1(U形鋼1a,1b)の内面部分に対応した形に設定されたアルミ鏡面材からなり、溶接加工後の当該コラムの内面部分に接着されて例えばその縦方向両端部分が開口した方形筒状態様の、後付け接着タイプの光ダクト,
7aは当該光ダクトのコラム孔部1cとの対向部分に形成された複数の光ダクト孔部,
7bは光ダクト孔部7aのそれぞれからコラム1の外側に延びる形で設けられた光ダクト横接続部,
をそれぞれ示している。
【0024】
図7において、
7’はアルミ鏡面材であって、溶接加工前のU形鋼1a,1bそれぞれの内面部分に横方向端部の溶接対象側部分を除く形で接着された一対の光ダクト本体要素の連結体であって例えばその縦方向両端部分が開口した方形筒状態様の、先付け接着タイプの光ダクト,
7a’,7b’はそれぞれU形鋼1a,1bの内面部分(溶接対象端部側を除いた部分)に対応した形に曲げられて、接着により、当該内面部分の上下方向全体に取り付けられた横断面U形で一対の光ダクト本体要素,
7c’は光ダクト本体要素7a’のコラム孔部1cとの対向部分に形成された複数の光ダクト孔部,
7d’は光ダクト孔部7c’のそれぞれからコラム1の外側に延びる形で設けられた光ダクト横接続部,
7e’は光ダクト本体要素7a’,7b’が接着されたU形鋼1a,1bを溶接した後で、当該光ダクト本体要素の各周方向(横方向)両端部分の間に接着された光ダクト連結要素,
をそれぞれ示している。
【0025】
図4,
図5および
図7において、
8は接着型光ダクト7が接着型されたコラム1および光ダクト横接続部7b,7d’をカバーする形で設けられたからなる耐火ボード,
を示している。
【0026】
図2〜
図7において、
9はコラム1におけるU形鋼1aの環状補強部1dに取り付けられて光ダクト横接続部4b,7b,4d’,7d’それぞれを保持するための支持金具,
10は光ダクト横接続部4b,7b,4d’,7d’それぞれの出力側に設けられた耐火ガラス,
をそれぞれ示している。
【0027】
ここで、筒状の角形鋼管からなりその縦方向両端部分が開口したコラム1,梁部材などは、それぞれの筒状内部が光ダクト設置用の内部空間域となる。
【0028】
また、H形鋼からなる梁部材,コラムなどは、それぞれの横断面H形部分における表裏一対の凹状部が光ダクト設置用の内部空間域となる。
【0029】
図示のコラム1の基本的特徴は、その内部空間域に、後付けビス止めタイプの光ダクト4,後付け接着タイプの光ダクト7,先付けビス止めタイプの光ダクト4’や先付け接着タイプの光ダクト7’などを、ビスや各種接着剤,両面接着テープなどで取り付けたことである。
【0030】
これによりコラム1は、各種建造物の骨組み要素としての本来のいわば骨材機能の他に光伝播機能が付加された形になっている。
【0031】
そのため、光ダクト付きのビルなどを建設する場合、その骨組み要素としてのコラム1そのものが光ダクトとしても使用可能である。
【0032】
また、上述の各種光ダクト4,4’,7,7’の光ダクト横接続部4b,4d’,7b,7d’に別の光ダクトを取り付けた場合、採光部(図示省略)から光ダクト横接続部へと伝播する光をこの別の光ダクト経由でビルなど建造物の内部に送ることができる。
【0033】
また、建造物内部の状況に応じて、光ダクト内部の伝播自然光を、光ダクト横接続部4b,4d’,7b,7d’の各部分から屋内に放光するようにしてもよい。
【0034】
なお、図示していないが梁部材2の上記内部空間域に上述の各種光ダクト4,4’,7,7’が取り付けられることは勿論である。
【0035】
図1〜
図5の光ダクト4,7はコラム1へ後付けされている。すなわち光ダクトは、角形鋼管としてのいわば完成品状態のコラム1の内部に取り付けられており、光ダクト取付け後のコラム溶接加工が不要である。
【0036】
一方、
図6,
図7の光ダクト4’,7’は、その光ダクト本体要素4a’,4b’,7a’,7b’がコラム1のU形鋼1a,1bへそれぞれ個別に先付けされ、その後、当該先付け状態のU形鋼1a,1bの横方向両端部分が溶接加工される。
【0037】
そしてU形鋼1a,1bの溶接加工後に、光ダクト本体要素4a’,4b’,7a’,7b’の横方向両端部分を光ダクト連結要素4g’,7e’で接続している。
【0038】
図1〜
図3は、後付けビス止めタイプの光ダクト4をコラム1に取り付けてから光ダクト横接続部4bが設定されるまでの作業手順などを示している。
【0039】
すなわち、
(21)先ず、U形鋼1a,1bからなり、コラム孔部1cおよび環状補強部1dが複数の側面にそれぞれ形成されたコラム1に、外ダイアフラム3を溶接し(
図1(a)参照)、
(22)次に、ビス止めタイプの光ダクト4を、外ダイアフラム溶接後のコラム1の一方の開口部(上端)からコラム内部空間域に入れ(
図1(b)参照)、
(23)次に、当該光ダクト4のアルミ製角パイプ4dをコラム1にコラム外側からビス止めし(
図2,
図3参照:ビス自体は図示省略)、
(24)次に、例えば建造物の施工現場で、当該光ダクト4のコラム孔部1cとの対向部分に光ダクト孔部4aを形成してから、当該光ダクト孔部に光ダクト横接続部4bを取り付ける。
【0040】
上記(22)において、コラム1の一方の開口部(上端)からコラム内部空間域に光ダクト4を入れやすくするため、当該光ダクトの外周面にローラを設けるようにしてもよい。また、当該ローラのガイド部をコラム1の内周面に形成してもよい。
【0041】
図2および
図3はそれぞれ、後付けビス止めタイプの光ダクト4を備えたコラム1の設置現場での収まり状態を示す横断面図および縦断面図である。
【0042】
ここで、アルミ製角パイプ4dへのビス止めにより光ダクト4が後付けされたコラム1は、
(31)支持金具9が、コラム1と一体の環状補強部1dに螺子,リベット,接着剤などで固定され、
(32)光ダクト横接続部4bがこの支持金具9に接着固定され、
(33)耐火ガラス10が支持金具9の環凹状部に保持され、
(34)コラム1,光ダクト4および光ダクト横接続部4bの全体が耐火被覆材5でカバー保護されている。
【0043】
図4および
図5はそれぞれ、後付け接着タイプの光ダクト7を備えたコラム1の設置現場での収まり状態を示す横断面図および縦断面図である。
【0044】
ここで、各種接着剤,両面テープなどの接着作用により光ダクト7がコラム内周面に後付けされたコラム1は、
(41)支持金具9が、コラム1と一体の環状補強部1dに螺子,リベット,接着剤などで固定され、
(42)光ダクト横接続部7bが支持金具9に接着固定され、
(43)耐火ガラス10が支持金具9の環凹状部に保持され、
(44)コラム1,光ダクト7および光ダクト横接続部7bの全体が耐火ボード8でカバーされている。
【0045】
コラム1の内周面に後付け接着タイプの光ダクト7の外周面を取り付けるには、この内周面,外周面の少なくとも一方に接着剤などを塗ってからコラム1の内部に当該光ダクトを入れていけばよい。例えば接着性の熱硬化性樹脂を用いてコラム1および光ダクト7を一体化した上で加熱処理をおこなう。
【0046】
図6は、先付けビス止めタイプの光ダクト4’を備えたコラム1の設置現場での収まり状態を示す横断面図である。
【0047】
ここで、光ダクト4’を備えたコラム1は、
(51)先ず、光ダクト本体要素4a’,4b’それぞれのアルミ製角パイプ4f’とU形鋼1a,1bとのビス止め作用により、当該光ダクト本体要素を、当該U形鋼の内面で横方向両端側を除く部分(溶接加工の対象外部分)に個々に取り付け、
(52)次に、この光ダクト本体要素付きのU形鋼1a,1bそれぞれの横方向両端部分同士への溶接加工により角形鋼を形成し、
(53)次に、この角形鋼内部の光ダクト本体要素4a’,4b’同士の間にそれぞれ光ダクト連結要素4g’を接着した、
形になっている。
【0048】
上記(53)において、光ダクト連結要素4g’を光ダクト本体要素4a’,4b’のそれぞれに接続することにより、閉状態の角筒状部からなる先付けビス止めタイプの光ダクト4’が設定される。
【0049】
そして、この光ダクト4’を備えたコラム1は
図2,
図3のコラムと同じように、
(61)支持金具9が、コラム1と一体の環状補強部1dに螺子,リベット,接着剤などで固定され、
(62)光ダクト横接続部4d’がこの支持金具9に接着固定され、
(63)耐火ガラス10が支持金具9の環凹状部に保持され、
(64)コラム1,光ダクト4’および光ダクト横接続部4d’の全体が耐火被覆材5でカバー保護されている。
【0050】
図7は、先付け接着タイプの光ダクト7’を備えたコラム1の設置現場での収まり状態を示す横断面図である。
【0051】
ここで、先付けの光ダクト7’を備えたコラム1は、
(71)先ず、各種接着剤,両面テープなどの接着作用により、光ダクト本体要素7a’,7b’を、それぞれU形鋼1a,1bの内面で横方向両端側を除く部分(溶接加工の対象外部分)に個々に取り付け、
(72)次に、この光ダクト本体要素付きのU形鋼1a,1bそれぞれの横方向両端部分同士への溶接加工により角形鋼を形成し、
(73)次に、この角形鋼内部の光ダクト本体要素7a’,7b’同士の間にそれぞれ光ダクト連結要素7e’を接着した、
形になっている。
【0052】
上記(73)において、光ダクト連結要素7e’を光ダクト本体要素7a’,7b’のそれぞれに接続することにより、閉状態の角筒状部からなる先付け接着タイプの光ダクト7’が設定される。
【0053】
そして、
図7の光ダクト7’を備えたコラム1は
図4,
図5のコラムと同じように、
(81)支持金具9が、コラム1と一体の環状補強部1dに螺子,リベット,接着剤などで固定され、
(82)光ダクト横接続部7d’がこの支持金具9に接着固定され、
(83)耐火ガラス10が支持金具9の環凹状部に保持され、
(84)コラム1,光ダクト7’および光ダクト横接続部7d’の全体が耐火ボード8でカバーされている。
【0054】
図1〜
図5の後付けの光ダクト4,7と
図6,
図7の先付けの光ダクト4’,7’とを比較した場合、後付け光ダクトはコラム作成時の溶接加工にともなう熱の影響を受けることがなく、先付け光ダクトはU形鋼1a,1bへの取付け作業が簡単である、といった特徴をそれぞれ有している。
【0055】
図8は中低層建築物(ビル)の施工初期段階におけるコラム,梁の骨組み要素などの概要を示す説明図である。
【0056】
本発明が以上の実施形態に限定されないことは勿論であり例えば、
(91)コラム孔部1c,光ダクト孔部4a,4c’,7a,7c’および光ダクト横接続部4b,4d’,7b,7d’の横断面を方形,多角形などの任意の形状に設定する、
(92)横方向の梁部材に加えて、斜め方向に配設される梁部材の上記内部空間域にも離間型光ダクト,接着型光ダクトを取り付ける、
(93)上述の各種光ダクト4,4’,7,7’のアルミ鏡面の代わりに、ガラス,樹脂などの鏡面仕様のものを用いる、
(94)上述の各種光ダクト4,4’,7,7’のアルミ鏡面の代わりに、グレー塗装や樹脂フィルム貼りなどの拡散面仕様のものを用いる、
(95)コラム,梁などの建造物骨組み要素の内周面自体に鏡面,拡散面形成用のアルミ,樹脂などを塗装,蒸着したり、貼り付けたりする、
(96)上述の各構成要素の固定手段として、ネジ止め,リベット止め,接着型などの各種固定手段を適宜用いる、
ようにしてもよい。