(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
環状のシリンダ(22)と、シリンダ(22)内で偏心回転運動をするピストン(25)と、上記シリンダ(22)の両端面を閉塞するシリンダヘッド(23,24)と、シリンダ(22)とピストン(25)の間に形成されるシリンダ室(40)を低圧側シリンダ室(40a)と高圧側シリンダ室(40b)に区画するブレード(26)と、を備え、上記低圧側シリンダ室(40a)に連通する吸入ポート(41)が上記シリンダ(22)の外周壁に形成された圧縮機構(20)を備えた回転式圧縮機であって、
上記シリンダ(22)は、上記シリンダヘッド(23,24)間に位置するシリンダ本体部(22a)と、該シリンダ本体部(22a)から上記シリンダヘッド(23,24)の外周端縁よりも径方向外側に延出する吸入管接続部(22b)とを有し、
上記吸入ポート(41)は、シリンダ本体部(22a)に形成されて上記シリンダ室(40)に開口する細径部(41a)と、該細径部(41a)と連通するように上記吸入管接続部(22b)に形成されて該吸入管接続部(22b)の外側端面に開口する断面円形の大径部(41b)とを有し、該大径部(41b)が、細径部(41a)よりも圧縮機構(20)の回転軸方向に寸法が大きく、
上記吸入ポート(41)に接続されるインレットチューブ(14)が上記大径部(41b)にのみ接続されるように構成され、
上記細径部(41a)の断面形状が非円形であり、該非円形の形状が、シリンダ(22)の軸方向への寸法よりも周方向への寸法が長い形状であることを特徴とする回転式圧縮機。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷凍装置の冷媒回路において冷媒を圧縮する圧縮機としてローリングピストン式圧縮機や揺動ピストン式圧縮機が用いられている。
【0003】
例えば特許文献1には、圧縮機構に横長(シリンダの軸方向よりも周方向に長い長円形状)の吸入ポートを形成し、この吸入ポートに断面円形の吸入管を接続する構成が記載されている。吸入ポートが長円形で吸入管が円形であるため、特許文献1の圧縮機構では、従来の一般的な圧縮機構において吸入ポートと吸入管を接続するために設けられる円筒状のインレットチューブの代わりに、インレットチューブの吸入ポート側を断面長円形状にして吸入管側を断面円形にした吸入フィッティングを用いている。
【0004】
特許文献1では、上記吸入フィッティングを用いて、吸入ポート側の端部を吸入ポートに圧入するとともに吸入管側の端部に吸入管を圧入することにより、吸入ポートと吸入管を接続するようにしている。この吸入フィッティングは、例えば金属チューブを塑性加工して形成することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構造では、吸入フィッティングと吸入ポートを接続する部分の形状が円形でないために、その間の密着性を高めることが困難であり、冷媒の漏れが生じやすい。そして、吸入ポートと吸入フィッティングの接続箇所から冷媒が漏れると圧縮機の効率が低下してしまう。
【0007】
また、吸入フィッティングを金属チューブの塑性加工により製作するためには、吸入フィッティングをある程度以上の長さにする必要がある。そうすると、吸入ポートと吸入管との接続部の流路長が長くなり、機構が大型化してしまう。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転式圧縮機において、吸入ポート
と吸入管との接続部から冷媒が漏れるのを防止するとともに、圧縮機構の大型化も防止できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、環状のシリンダ(22)と、シリンダ(22)内で偏心回転運動をするピストン(25)と、上記シリンダ(22)の両端面を閉塞するシリンダヘッド(23,24)と、シリンダ(22)とピストン(25)の間に形成されるシリンダ室(40)を低圧側シリンダ室(40a)と高圧側シリンダ室(40b)に区画するブレード(26)と、を備え、上記低圧側シリンダ室(40a)に連通する吸入ポート(41)が上記シリンダ(22)の外周壁に形成された圧縮機構(20)を備えた回転式圧縮機を前提としている。
【0010】
そして、この回転式圧縮機は、上記シリンダ(22)が、上記シリンダヘッド(23,24)間に位置するシリンダ本体部(22a)と、該シリンダ本体部(22a)から上記シリンダヘッド(23,24)の外周端縁よりも径方向外側に延出する吸入管接続部(22b)を有し、上記吸入ポート(41)が、シリンダ本体部(22a)に形成されて上記シリンダ室(40)に開口する細径部(41a)と、該細径部(41a)と連通するように上記吸入管接続部(22b)に形成されて該吸入管接続部(22b)の外側端面に開口する断面円形の大径部(41b)とを有し、該大径部(41b)が細径部(41a)よりも圧縮機構(20)の回転軸方向に寸法が大き
く、上記吸入ポート(41)に接続されるインレットチューブ(14)が上記大径部(41b)にのみ接続されるように構成されている。
【0011】
この第1の発明では、シリンダ(22)の厚さ寸法を小さくして吸入ポート(41)(細径部(41a))の高さ寸法が小さくなる場合でも、接続する吸入管の直径がシリンダ本体部(22a)の厚さ寸法に影響されなくなり、吸入管の寸法を吸入管接続部(22b)の厚さ寸法に応じて定めることが可能になる。したがって、吸入ポート(41)の細径部(41a)の形状にかかわらず、配管の形状に応じた円形のインレットチューブを使用することが可能になる。
【0012】
また、第1の発明では、上記細径部(41a)の断面形状が
非円形であり、該非円形の形状が、シリンダ(22)の軸方向
への寸法よりも周方向
への寸法が長い形状で
ある。
【0013】
この
第1の発明では、細径部(41a)を非円形にすることでシリンダ(22)を薄くする構成に容易に対応できる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明において、上記吸入管接続部(22b)の厚さ寸法(T1)が上記シリンダ本体部(22a)の厚さ寸法(T2)よりも大きいことを特徴としている。
【0015】
この
第2の発明では、シリンダ(22)を薄くしても吸入管接続部(22b)を厚くすることができるため、接続する配管のサイズに容易に対応できる。
【0016】
第3の発明は,第2の発明において、上記吸入管接続部(22b)の厚さ寸法(T1)が、上記シリンダ本体部(22a)の両端にシリンダヘッド(23,24)を重ねたときの厚さ方向の外寸(T3)よりも小さいことを特徴としている。
【0017】
この
第3の発明では、吸入管接続部(22b)の厚さ寸法(T1)がシリンダ本体部(22a)の厚さ寸法(T2)よりは大きく、かつシリンダ本体部(22a)の両端にシリンダヘッド(23,24)を重ねたときの厚さ方向の外寸(T3)よりも小さくなるので、シリンダ(22)とピストン(25)の組を複数重ねることにより回転式圧縮機を多気筒型にする場合でも吸入管接続部(22b)同士が干渉しない。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、吸入ポート(41)の細径部(41a)の形状にかかわらず、吸入管の形状に応じた円形のインレットチューブを使用することが可能になるので、インレットチューブと吸入ポート(41)との接続部の密着性が低下するのを防止できる。したがって、インレットチューブと吸入ポート(41)との接続部から冷媒が漏れるのを抑えることができ、圧縮機の効率が低下するのを抑えられる。
【0019】
また、インレットチューブは断面全体が円形のものを用いることができ、圧縮機構(20)との接続側の端部を長円形状などに塑性変形させる加工は不要である。このため、インレットチューブの一端側を円形以外の形状に変形させる場合にはインレットチューブの長さを大きくする必要があったのに対して、本実施形態ではインレットチューブを長くしなくてもよいので圧縮機が大型化するのも防止できる。
【0020】
また、本発明によれば、細径部(41a)の断面形状をシリンダ(22)の軸方向
への寸法よりも周方向
への寸法が長い非円形の断面形状にすることにより、シリンダ(22)の厚さ寸法を小さくする構成に容易に対応でき、圧縮機を小型化するのが容易になる。
【0021】
上記
第2の発明によれば、シリンダ(22)を薄くした場合でも吸入管接続部(22b)を厚くすることができるので、接続する配管のサイズに容易に対応でき、設計の自由度が高くなる。
【0022】
上記
第3の発明によれば、吸入管接続部(22b)の厚さ寸法(T1)をシリンダ本体部(22a)の厚さ寸法(T2)よりは大きくし、かつシリンダ本体部(22a)の両端にシリンダヘッド(23,24)を重ねたときの厚さ方向の外寸(T3)よりも小さくしているので、シリンダ(22)とピストン(25)の組を複数重ねて構成される多気筒型の回転式圧縮機において、吸入管接続部(22b)同士が干渉するのを容易に防止できる。したがって、回転式圧縮機を多気筒化する場合の設計の自由度が高くなる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る圧縮機(1)の縦断面図である。この圧縮機(1)は、揺動ピストン式圧縮機であり、冷凍サイクルを行う冷媒回路に接続されるものである。
【0026】
上記圧縮機(1)はケーシング(10)を備え、このケーシング(10)の内部には、上記冷媒回路の冷媒を圧縮する圧縮機構(20)と、該圧縮機構(20)を駆動する電動機(30)とが収容されている。
【0027】
上記ケーシング(10)は、縦長円筒状の密閉容器で構成されており、円筒状の胴体部(11)と、該胴体部(11)の上側開口部を閉塞する有底円筒状の上側鏡板部(12)と、上記胴体部(11)の下側開口部を閉塞する有底円筒状の下側鏡板部(13)とを備えている。
【0028】
上側鏡板部(12)及び下側鏡板部(13)は、椀状の底部(12a,13a)と該底部(12a
,13a)の外周端から軸方向へ延びる円筒部(12b,13b)とが一体に形成された部材である。各鏡板部(12,13)の円筒部(12b,13b)の内径は、上記胴体部(11)の
外径とほぼ同一寸法である。上側鏡板部(12)の円筒部(12b)は胴体部(11)の上端部に嵌合する状態で固定され、下側鏡板部(13)の円筒部(13b)は胴体部(11)の下端部に嵌合する状態で固定されている。
【0029】
上記圧縮機構(20)及び上記電動機(30)は、上記胴体部(11)の内周面に固定されている。
【0030】
上記電動機(30)は、共に円筒状に形成されたステータ(31)及びロータ(32)を備えている。上記ステータ(31)は、上記ケーシング(10)の胴体部(11)に固定されている。このステータ(31)の中空部に上記ロータ(32)が配置されている。このロータ(32)の中空部には、該ロータ(32)を貫通するように駆動軸(35)が固定されており、ロータ(32)と駆動軸(35)が一体で回転するようになっている。
【0031】
この駆動軸(35)は、上下に延びる主軸部(35a)を有し、この主軸部(35a)の下端寄りに偏心部(35b)が一体に形成されている。この偏心部(35b)は、主軸部(35a)よりも大径に形成され、その軸心は主軸部(35a)の軸心に対して所定距離だけ偏心している。
【0032】
また、主軸部(35a)の下端部には遠心ポンプ(36)が設けられている。この遠心ポンプ(36)は、ケーシング(10)の底部に形成される油溜め部の潤滑油に浸漬している。そして、この遠心ポンプ(36)は、上記駆動軸(35)の回転に伴って潤滑油を駆動軸(35)内の給油路(図示省略)へ汲み上げた後で、圧縮機構(12)および電動機(13)の各摺動部へ供給する。
【0033】
上記圧縮機構(20)は、環状に形成された固定側の部材(21)であるシリンダ(22)と、フロントヘッド(23)及びリアヘッド(24)(シリンダヘッド(23,24))を有している。これらの部材(22〜24)は、上側から下側に向かってフロントヘッド(23)、シリンダ(22)及びリアヘッド(24)の順に積層され、軸方向に延びる複数のボルトによって締結されている。
【0034】
上記駆動軸(35)は、上記圧縮機構(20)を上下に貫通している。フロントヘッド(23)とリアヘッド(24)には、駆動軸(35)を偏心部(35b)の上下両側で支持する軸受け部(23a,24a)が形成されている。
【0035】
シリンダ(22)は、上端がフロントヘッド(23)によって閉塞される一方、下端がリアヘッド(24)に閉塞され、内部の空間がシリンダ室(40)を構成している。該シリンダ室(40)には、該シリンダ室(40)の中で偏心回転運動をするように、上記駆動軸(35)の偏心部(35b)に摺動自在に外嵌されたピストン(25)が収容されている。圧縮機構の横断面図である
図2に示すように、ピストン(25)の外周面には、該外周面から径方向外側へ延びるブレード(26)が一体に形成されている。
【0036】
シリンダ(22)には、平面視で円形の溝が形成されている。この円形溝は、一対のブッシュ
(28,28)を収容するブッシュ溝
(27)になっている。このブッシュ溝
(27)には、平面視で半月状に形成された一対のブッシュ
(28,28)がブレード(26)を挟むような状態で内嵌されている。
【0037】
上記シリンダ室(40)は、上記ブレード(26)によって低圧側シリンダ室(40a)と高圧側シリンダ室(40b)とに区画されている。上記シリンダ(22)には、その外周壁に、低圧側シリンダ室(40a)に連通する吸入ポート(41)が駆動軸(35)の軸心と直角の方向に沿って形成されている。上記フロントヘッド(23)には、高圧室(40b)に連通する吐出ポート(42)が駆動軸(35)の軸心と平行な方向に沿って形成されている(
図1では省略)。この吐出ポート(42)は、図示していないが吐出弁で開閉されるようになっている。
【0038】
また、上記フロントヘッド(23)の上面には、この吐出ポート(42)及び吐出弁を覆うようにマフラカバー(29)が取り付けられている。マフラカバー(29)は、その内部空間が、上部の吐出開口(29a)を通じてケーシング(10)の内部空間に連通するように形成されている。
【0039】
図3は、圧縮機構(20)の要部拡大縦断面図である。
図1〜
図3に示すように、上記シリンダ(22)は、上記フロントヘッド(23)とリアヘッド(24)の間に位置するシリンダ本体部(22a)と、該シリンダ本体部(22a)から上記フロントヘッド(23)及びリアヘッド(24)の外周端縁よりも径方向外側に延出する吸入管接続部(22b)を有している。
【0040】
この吸入管接続部(22b)の厚さ寸法(T1)は、シリンダ本体部(22a)の厚さ寸法(T2)よりも大きくなっている。また、吸入管接続部(22b)の厚さ寸法(T1)は、シリンダ本体部(22a)の両端にフロントヘッド(23)とリアヘッド(24)を重ねたときの厚さ方向の外寸(T3)よりも小さくなっている。
【0041】
上記吸入ポート(41)は、シリンダ本体部(22a)に形成されて上記シリンダ室(40)に開口する細径部(41a)と、該細径部(41a)と連通するように上記吸入管接続部(22b)に形成された大径部(41b)とを有している。大径部(41b)は、吸入管接続部(22b)の外側端面に開口している。大径部(41b)は、細径部(41a)よりも、圧縮機構(20)の回転軸方向へ寸法が大きくなっている。
【0042】
図4(A)に示すように、細径部(41a)は、複数の円形孔を圧縮機構(20)の周方向にオーバーラップさせて形成した横長の孔であり、大径部(41b)は、細径部(41a)の長さ寸法(図の左右方向の寸法)を直径とする円形の孔である。なお、細径部(41a)は、
図4(B)に示すように長孔形状にしてもよい。また、
図4(C)及び
図4(D)に示すように、大径部(41b)の直径を
図4(A)及び
図4(B)の寸法よりも小さくして細径部(41a)と大径部(41b)の断面積を同じにするとよい。
【0043】
上記ケーシング(10)には、
図1,
図3に示すように、上記胴体部(11)の下側部分を貫通してインレットチューブ(14)が取り付けられている。このインレットチューブ(14)の内側の端部が上記吸入ポート(41)の大径部(41b)に接続されている。このインレットチューブ(14)には、
図1に示すように上記冷媒回路の吸入側の配管(吸入管)(16)が接続され、冷媒が吸入管(16)を通って上記圧縮機構(20)へ吸入される。
【0044】
また、上記ケーシング(10)には、上記胴体部(11)の上側部分を貫通して吐出管(15)が取り付けられている。この吐出管(15)の端部は、上記ケーシング(10)の内部に開口している。上記圧縮機構(20)の吐出ポート(42)は、上記マフラカバー(29)の吐出開口(29a)を通じて上記ケーシング(10)の内部の空間に連通しており、上記圧縮機構(20)から吐出された冷媒は、上記ケーシング(10)の内部空間と上記吐出管(15)を通じて上記ケーシング(10)の外へ流出する。
【0045】
−運転動作−
本実施形態の圧縮機(1)において、電動機(30)を起動するとロータ(32)が回転し、その回転が駆動軸(35)を介して圧縮機構(20)のピストン(25)に伝達される。ピストン(25)は、駆動軸(35)の偏心部(35b)に装着されているので、駆動軸(35)の回転中心の周りの周回軌道上を旋回する。また、ブレード(26)がブッシュ(27)に保持されているので、ピストン(25)は自転をせずに揺動しながら公転する。
【0046】
圧縮機構(20)のピストン(25)が回転すると、低圧側シリンダ室(40a)の容積が拡大しながら高圧側シリンダ室(40b)の容積が縮小する動作が繰り返し行われる。そして、低圧側シリンダ室(40a)に吸入された冷媒が高圧側シリンダ室(40b)で圧縮されて吐出され、冷媒の吸入行程、圧縮行程及び吐出行程が、ピストン(25)の一回転を1サイクルとして連続的に行われる。
【0047】
−実施形態の効果−
本実施形態では、シリンダ(22)に吸入管接続部(22b)を設け、この吸入管接続部(22b)にインレットチューブ(14)を介して吸入管(16)を接続している。そして、吸入管接続部(22b)がフロントヘッド(23)及びリアヘッド(24)の外周端縁よりも径方向外側に延出するように形成しているので、シリンダ(22)の厚さ寸法を小さくして吸入ポート(41)(細径部(41a))の高さ寸法が小さくなる場合でも、接続する吸入管(16)のサイズがシリンダ(22)の厚さ寸法に影響されなくなり、吸入管接続部(22b)の寸法に基づいて設定することができる。
【0048】
したがって、吸入ポート(41)の細径部(41a)の形状や寸法にかかわらず、円形断面のインレットチューブ(14)を使用できるので、インレットチューブ(14)と吸入ポート(41)との接続部の密着性が低下するのを防止できる。その結果、インレットチューブ(14)と吸入ポート(41)との接続部から冷媒が漏れるのを抑えることができ、圧縮機(10)の効率が低下するのを抑えられる。
【0049】
また、インレットチューブ(14)は断面全体が円形のものを用いることができ、圧縮機構(20)との接続側の端部を長円形状などに塑性変形させる加工は不要になる。したがって、インレットチューブ(14)の一端側を円形以外の形状に変形させる場合にはインレットチューブ(14)の長さ寸法をある程度以上に大きくする必要があったのに対して、本実施形態ではインレットチューブ(14)を必要以上に長くしなくてもよいので圧縮機(1)が大型化するのも防止できる。
【0050】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0051】
例えば、上記実施形態では、本発明を揺動ピストン式圧縮機に適用した例を説明したが、本発明はローリングピストン式圧縮機に適用してもよい。ローリングピストン式圧縮機は、ブレードと環状のピストンとが別部材で、ブレードをピストンの外周面に圧接させながら、ピストンをシリンダ室の中で公転させることにより圧縮動作が行われる圧縮機である。
【0052】
また、上記実施形態では、
図4に吸入ポート(41)の断面形状を示しているが、図示以外の形状に吸入ポート(41)の断面形状を変更してもよい。例えば、接続する配管サイズによっては、図における細径部(41a)の長さ寸法よりも大径部(41b)の直径寸法が大きくなってもよい。
【0053】
また、吸入配管接続部(22b)の厚さ寸法(T1)は、シリンダ本体(22)の両端にシリンダヘッド(23,24)を重ねたときの厚さ方向の外寸(T3)に対して、必ずしも小さくなくてもよく、圧縮機の構造的に可能であれば寸法(T1)が寸法(T3)より大きくなってもよい。ただし、シリンダとピストンの組を複数重ねて多気筒型の回転式圧縮機を構成する場合には、各吸入配管接続部(22b)を圧縮機構(20)の平面的に見て同位相にする限りは寸法(T1)を寸法(T3)よりも小さくするのがよい。
【0054】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。