(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
概ね
図9に示すように、上記POSターミナルのようなノード装置200は、ネットワークを介してデータを受信または送信するための通信部(例えばLANインタフェース)243と、各種処理を実行するCPU(中央演算処理ユニット)を有する制御部242と、このノード装置に関するログ情報を記憶するためのログ情報記憶部(フラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)など)241とを備えている。制御部242は、各種処理を実行する動作中に、処理内容や警告などの履歴を逐一記録したログ情報を作成してログ情報記憶部241に格納する。ノード装置200に関する何らかの障害が発生したとき、制御部242は、このノード装置200の外部(上の例では保守拠点コンピュータ)からの要求に応じて、ログ情報記憶部242からログ情報を読み出し、通信部243を介して外部へ送信する。
【0006】
しかしながら、従来のノード装置200では、ログ情報の読み出しや通信部243を介した送信を、制御部242の働きによって行っているため、万一制御部242に故障が発生した場合は、ノード装置200の外部、特にノード装置200から離れた遠隔地でログ情報を取得できないという問題がある。実際に、これまでログ情報を取得するためには、例えば故障したノード装置200を分解してログ情報記憶部241を取り出し(または配線を変更し)、そのログ情報記憶部241を別のコンピュータに接続するなどして、ログ情報を読み取っていた。このため、非常に手間がかかった。
【0007】
そこで、この発明の課題は、ノード装置に含まれた制御部に故障が発生した場合であっても、遠隔地でログ情報を取得することが可能なノード装置を提供することにある。
【0008】
また、この発明の課題は、そのようなノード装置を含むネットワークシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明のノード装置は、
ネットワーク上に設けられるノード装置であって、
このノード装置に関するログ情報を記憶するためのログ情報記憶部と、
動作中に上記ログ情報を作成して上記ログ情報記憶部に格納する処理を実行する制御部と、
このノード装置の外部からデータを受信し、またはこのノード装置の外部へデータを送信するための第1の送受信部と、
このノード装置の外部からの受信データを上記第1の送受信部を通して受けて、上記受信データがログ情報を要求することを表すログ要求コマンドを含むとき、上記制御部とは独立に、上記ログ情報記憶部から上記ログ情報を読み出して上記第1の送受信部に送信させる処理を行
い、上記受信データが上記ログ要求コマンドを含まないとき、上記制御部が上記第1の送受信部を介して外部と通信する処理を許容するログ処理部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本明細書で、「ネットワーク」は、有線または無線を問わず、ローカルエリアネットワーク(LAN)やワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネットなどのネットワークを広く指す。
【0011】
この発明のノード装置では、制御部は、動作中に、このノード装置に関するログ情報を作成してログ情報記憶部に格納する処理を実行する。ノード装置に関して何らかの障害が発生した時、ログ処理部は、このノード装置の外部、例えば遠隔地のコンピュータ装置からの受信データを第1の送受信部を通して受ける。上記ログ処理部は、上記受信データがログ情報を要求することを表すログ要求コマンドを含むとき、上記制御部とは独立に、上記ログ情報記憶部から上記ログ情報を読み出して上記第1の送受信部に送信させる処理を行う。したがって、上記制御部に故障が発生した場合であっても、ノード装置を分解することなく、このノード装置から離れた遠隔地でログ情報を取得することが可能になる。
一方、上記ログ処理部は、上記受信データが上記ログ要求コマンドを含まないとき、上記制御部が上記第1の送受信部を介して外部と通信する処理を許容する。したがって、上記制御部は、上記第1の送受信部を介して、このノード装置の外部、例えばネットワーク上のコンピュータ装置と通信することができる。
【0012】
また、上記ログ処理部は、実行すべき処理がログ情報に関する処理に限定されているので、CPUやソフトウェアを用いることなく、ハードウェアのみによって構成され得る。そのようにハードウェアのみによって構成された場合、上記ログ処理部自体に故障が発生する可能性を少なくできる。したがって、このノード装置から離れた遠隔地でログ情報を確実に取得することができる。
【0013】
なお、本明細書で、「障害」とは、ノード装置全体またはその構成要素(例えば制御部)の故障、ノード装置に対する通信回線の断線、電池切れ、電波不到達などの何らかの異常を意味する。
【0014】
また、「コンピュータ装置」とは、クライアント装置、サーバ装置、ホストコンピュータなどの名称を問わず、ネットワークを介して通信可能なコンピュータを広く指す。
【0015】
また、「ハードウェアのみ」とは、記録媒体からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して用いるCPUのようなプロセッサを含まないことを意味する。ハードウェアのみによって構成されるものとしては、例えばPLD(Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)などの集積回路が含まれる。
【0018】
一実施形態のノード装置では、
上記ログ処理部は、
予め定められたログ要求コマンドを表すデータを保持しているログ要求コマンド保持部と、
上記第1の送受信部を通して受けた上記受信データと、上記ログ要求コマンド保持部に保持されている上記ログ要求コマンドを表すデータとを比較して、上記受信データが上記ログ要求コマンドを含むか否かを検出するログ要求コマンド検出部とを有することを特徴とする。
【0019】
この一実施形態のノード装置では、ログ要求コマンド保持部は、予め定められたログ要求コマンドを表すデータを保持している。ログ要求コマンド検出部は、上記第1の送受信部を通して受けた上記受信データと、上記ログ要求コマンド保持部に保持されている上記ログ要求コマンドを表すデータとを比較して、上記受信データが上記ログ要求コマンドを含むか否かを検出する。したがって、上記ログ処理部は、上記受信データが上記ログ要求コマンドを含むか否かを、確実に検出できる。また、このようなログ要求コマンド保持部やログ要求コマンド検出部は、CPUやソフトウェアを用いることなく、ハードウェアのみによって構成され得る。そのようにハードウェアのみによって構成された場合、上記ログ処理部自体に故障が発生する可能性をさらに少なくできる。したがって、このノード装置から離れた遠隔地でログ情報をより確実に取得することができる。
【0020】
一実施形態のノード装置では、
上記ログ処理部は、
上記ログ情報記憶部からログ情報を読み出すためのログ情報読出部と、
上記受信データが上記ログ要求コマンドを含むとき、上記制御部が上記ログ情報記憶部にアクセスするのを禁止し、上記ログ情報読出部が上記ログ情報記憶部にアクセスするのを許容する一方、上記受信データが上記ログ要求コマンドを含まないとき、上記制御部が上記ログ情報記憶部にアクセスするのを許容し、上記ログ情報読出部が上記ログ情報記憶部にアクセスするのを禁止するアクセス切替部とを有することを特徴とする。
【0021】
この一実施形態のノード装置では、上記アクセス切替部は、上記受信データが上記ログ要求コマンドを含むとき、上記制御部が上記ログ情報記憶部にアクセスするのを禁止し、上記ログ情報読出部が上記ログ情報記憶部にアクセスするのを許容する。したがって、上記制御部ではなく、上記ログ情報読出部が上記ログ情報記憶部にアクセスして、上記ログ情報記憶部からログ情報を読み出すことができる。一方、上記アクセス切替部は、上記受信データが上記ログ要求コマンドを含まないとき、上記制御部が上記ログ情報記憶部にアクセスするのを許容し、上記ログ情報読出部が上記ログ情報記憶部にアクセスするのを禁止する。したがって、上記ログ情報読出部ではなく、上記制御部が上記ログ情報記憶部にアクセスして、上記ログ情報記憶部にログ情報を格納する(または上記ログ情報記憶部からログ情報を読み出す)ことができる。
【0022】
一実施形態のノード装置では、
上記ログ処理部は送信経路切替部を有し、
上記送信経路切替部は、上記受信データが上記ログ要求コマンドを含むとき、上記制御部と上記第1の送受信部との間のデータ経路を遮断し、上記ログ情報読出部と上記第1の送受信部との間のデータ経路を確立する一方、上記受信データが上記ログ要求コマンドを含まないとき、上記制御部と上記第1の送受信部との間のデータ経路を確立し、上記ログ情報読出部と上記第1の送受信部との間のデータ経路を遮断することを特徴とする。
【0023】
この一実施形態のノード装置では、上記送信経路切替部は、上記受信データが上記ログ要求コマンドを含むとき、上記制御部と上記第1の送受信部との間のデータ経路を遮断し、上記ログ情報読出部と上記第1の送受信部との間のデータ経路を確立する。したがって、上記ログ情報読出部は、上記ログ情報記憶部から読み出したログ情報を、上記第1の送受信部を介して外部へ送信することができる。このとき、上記制御部と上記第1の送受信部との間のデータ経路は遮断されているので、上記ログ情報読出部から上記第1の送受信部を介して外部へ送信されるログ情報の流れに対して、上記制御部が影響を及ぼすのを防ぐことができる。一方、上記送信経路切替部は、上記受信データが上記ログ要求コマンドを含まないとき、上記制御部と上記第1の送受信部との間のデータ経路を確立し、上記ログ情報読出部と上記第1の送受信部との間のデータ経路を遮断する。したがって、上記制御部は、上記第1の送受信部を介して外部と通信することができる。このとき、上記ログ情報読出部と上記第1の送受信部との間のデータ経路は遮断されているので、上記制御部が上記第1の送受信部を介して外部と通信する情報の流れに対して、上記ログ処理部が影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0024】
一実施形態のノード装置では、上記第1の送受信部は、上記データを無線で受信または送信することを特徴とする。
【0025】
この一実施形態のノード装置では、上記第1の送受信部は上記データを無線で受信または送信するので、このノード装置に対して、例えば外部のコンピュータ装置から無線で通信を行うことができる。この形態は、このノード装置に対して有線通信のための配線を設けることが困難である場合に、有益である。
【0026】
一実施形態のノード装置では、上記第1の送受信部は上記データを有線で受信または送信することを特徴とする。
【0027】
この一実施形態のノード装置では、上記第1の送受信部は上記データを有線で受信または送信するので、このノード装置に対して、例えば外部のコンピュータ装置から有線で通信を行うことができる。この形態は、このノード装置の周りの電波状態にかかわらず、このノード装置の外部からこのノード装置に対して通信を行えるので、有益である。
【0028】
一実施形態のノード装置は、
上記第1の送受信部とは別に、このノード装置の外部からデータを受信し、またはこのノード装置の外部へデータを送信するための第2の送受信部を備え、
上記制御部は、上記ログ処理部とは独立に、上記第2の送受信部を介してこのノード装置の外部と通信可能であることを特徴とする。
【0029】
この一実施形態のノード装置では、上記制御部は、上記ログ処理部とは独立に、上記第2の送受信部を介してこのノード装置の外部と通信可能である。したがって、このノード装置が使用される態様のバリエーションが増える。例えば、このノード装置が、上記第2の送受信部を介してネットワーク上の上位のコンピュータ装置と通信可能に接続されるとともに、上記第1の送受信部を介してネットワーク上の下位のセンサ装置と通信可能に接続されるような使用態様が可能となる。
【0030】
一実施形態のノード装置では、上記ログ処理部がハードウェアのみからなることを特徴とする。
【0031】
この一実施形態のノード装置では、上記ログ処理部がハードウェアのみからなる。したがって、CPUやソフトウェアを用いる場合に比して、上記ログ処理部自体に故障が発生する可能性を少なくできる。したがって、上記制御部に故障が発生した場合であっても、このノード装置から離れた遠隔地でログ情報を確実に取得することができる。
【0032】
一実施形態のノード装置では、少なくとも上記第1の送受信部と上記ログ処理部とが共通の1枚の基板上に搭載されていることを特徴とする。
【0033】
この一実施形態のノード装置では、少なくとも上記第1の送受信部と上記ログ処理部とが共通の1枚の基板上に搭載されているので、上記ログ処理部を設けることによって基板数が増えることがない。したがって、このノード装置がコンパクトに構成される。
【0034】
この発明のネットワークシステムは、
上記ノード装置と、少なくとも1台のコンピュータ装置とが、上記ネットワーク上で通信可能に接続され、
上記コンピュータ装置は、上記ログ要求コマンドを含むデータを上記ネットワークを介して上記ノード装置の上記第1の送受信部へ送信し、上記ノード装置の上記第1の送受信部から上記ネットワークを介して上記ログ情報を受信することを特徴とする。
【0035】
この発明のネットワークシステムでは、上記ノード装置の制御部は、動作中に、このノード装置に関するログ情報を作成してログ情報記憶部に格納する処理を実行する。例えば上記ノード装置に関して何らかの障害が発生した時、上記コンピュータ装置は、上記ログ要求コマンドを含むデータを上記ネットワークを介して上記ノード装置の上記第1の送受信部へ送信する。上記ノード装置のログ処理部は、上記コンピュータ装置からの受信データを第1の送受信部を通して受ける。上記ログ処理部は、上記受信データがログ情報を要求することを表すログ要求コマンドを含むとき、上記制御部とは独立に、上記ログ情報記憶部から上記ログ情報を読み出して上記第1の送受信部に送信させる処理を行う。そして、上記コンピュータ装置が、上記ノード装置の上記第1の送受信部から上記ネットワークを介して上記ログ情報を受信する。したがって、上記ノード装置に含まれた制御部に故障が発生した場合であっても、上記コンピュータ装置が上記ノード装置から離れた遠隔地でログ情報を取得することが可能になる。
【0036】
また、上記ノード装置のログ処理部は、実行すべき処理がログ情報に関する処理に限定されているので、CPUやソフトウェアを用いることなく、ハードウェアのみによって構成され得る。そのようにハードウェアのみによって構成された場合、上記ログ処理部自体に故障が発生する可能性を少なくできる。したがって、上記コンピュータ装置が上記ノード装置から離れた遠隔地でログ情報を確実に取得することができる。
【発明の効果】
【0037】
以上より明らかなように、この発明のノード装置によれば、このノード装置に含まれた制御部に故障が発生した場合であっても、ノード装置を分解することなく、このノード装置から離れた遠隔地でログ情報を取得することが可能になる。
【0038】
また、この発明のネットワークシステムによれば、ノード装置に含まれた制御部に故障が発生した場合であっても、コンピュータ装置が上記ノード装置から離れた遠隔地でログ情報を取得することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0041】
図1は、ネットワーク上に設けられるこの発明の一実施形態のノード装置(全体を符号21で示す。)の概略ブロック構成を示している。
【0042】
このノード装置21は、筐体100内に、各種処理を実行する制御部41と、このノード装置に関するログ情報を記憶するためのログ情報記憶部45と、無線モジュール46とを備えている。
【0043】
制御部41は、CPU(中央演算処理ユニット)42と、このCPU42のためのソフトウェアを格納しているソフトウェア記憶部43と、CPU42が取り扱うデータを一時的に記憶する処理データ記憶部44とを含んでいる。CPU42は、ソフトウェア記憶部43に格納されているソフトウェア(コンピュータプログラム)に従って、処理データ記憶部44を作業領域として用いながら動作する。これにより、この制御部41は、上記ソフトウェアが表すこのノード装置の用途に応じた各種処理を実行する。また、制御部41は、そのような各種処理を実行する動作中に、処理内容や警告などの履歴を逐一記録したログ情報を作成する。
【0044】
ログ情報記憶部45は、フラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの、ログ情報を記憶するための不揮発性メモリからなる。ログ情報記憶部45の記憶容量は、この例では4k〜8Mバイトに設定されている。
【0045】
無線モジュール46は、ハードウェアのみからなるログ処理部としてのコントロール部50と、第1の送受信部としての無線送受信部90とを含んでいる。これらのコントロール部50と無線送受信部90とは、コンパクトに構成できるように1枚の基板101上に搭載されている。
【0046】
図2中に具体的に示すように、無線送受信部90は、アンテナ91と、AD(アナログ・デジタル)変換を行うAD変換部92と、DA(デジタル・アナログ)変換を行うDA変換部93と、無線規格によって定められたプロトコルによる処理を行うMAC部94とを有している。アンテナ91によって受信された受信データは、AD変換部92によってAD変換され、MAC部94を通してMACアドレス・フィルタリングを受け、デジタル信号としてコントロール部50へ伝えられる。逆に、コントロール部50からの送信データは、MAC部94を通してMACアドレスが付与され、DA変換部93によってDA変換されて、アナログ信号としてアンテナ91から外部へ送信される。
【0047】
この無線送受信部90が準拠する無線規格は、IEEE802.11a/b/g/nまたはIEEE802.15.4のいずれでも良い。それに応じて、無線送受信部90による無線通信の周波数は、2.4GHzまたは5GHzのいずれでも良い。
【0048】
また、コントロール部50は、ログ要求コマンド保持部51と、ログ要求コマンド検出部52と、ログ記憶部インタフェース53と、送信経路切替部54とを有している。
【0049】
ログ要求コマンド保持部51は、予め定められたログ要求コマンド(これを符号BMで表す。)を表すデータを保持している。
【0050】
具体的には、ログ要求コマンド保持部51は、
図4Aに示す構成例51Aのように、1列に配列された(n+1)個の抵抗素子R0,R1,…,Rnによって構成され得る。抵抗素子R0,R1,…,Rnの一端が電源電位Vccまたは接地電位GNDに接続されている。これにより、抵抗素子R0,R1,…,Rnの他端に電位の高レベルまたは低レベルが現れる。これらの抵抗素子R0,R1,…,Rnの他端の高(H)レベル、低(L)レベルが作るパターン(パラレルデータ)B0,B1,…,Bnによって、予め定められたログ要求コマンドBMが表されている。この構成例51Aでは、B0,B2がHレベル、B1,BnがLレベルになっている。なお、Hレベルは論理1、Lレベルは論理0に相当する。
【0051】
または、ログ要求コマンド保持部51は、
図4Bに示す構成例51Bのように、一端が電源電位Vccに接続された(n+1)個の抵抗素子R0,R1,…,Rnと、これらの抵抗素子R0,R1,…,Rnの他端と接地電位GNDとの間にそれぞれ接続された(n+1)個の短絡ピンP0,P1,…,Pnとによって構成されていても良い。これらの抵抗素子R0,R1,…,Rnと短絡ピンP0,P1,…,Pnとの間の接続点の電位(パラレルデータ)B0,B1,…,Bnによって、予め定められたログ要求コマンドBMが表されている。この構成例51Bでは、短絡ピンP0,P2がオープンであり、短絡ピンP1,Pnが短絡されていることから、B0,B2がHレベル、B1,BnがLレベルになっている。なお、短絡ピンP0,P1,…,Pnに代えて、ディップスイッチを用いることもできる。
【0052】
図2中のログ要求コマンド検出部52は、無線送受信部90を通して受けた受信データと、ログ要求コマンド保持部51に保持されているログ要求コマンドを表すデータとを比較して、受信データがログ要求コマンドBMを含むか否かを検出する。
【0053】
このログ要求コマンド検出部52は、
図3に具体的に示すように、シフトレジスタ61と、コンパレータ62と、論理積(AND)回路64とを有している。
【0054】
シフトレジスタ61は、直列に接続された(n+1)個のフリップフロップ61−0,61−1,…,61−nを有している。各フリップフロップ61−0,61−1,…,61−nにクロック信号CK(図示しないクロックジェネレータによって作成される。)を受けて、受信データに含まれたコマンド(これを符号AMで表す。)を、シリアルデータからパラレルデータA0,A1,…,Anに変換する。パラレルデータA0,A1,…,Anの各成分は、HレベルまたはLレベルの値をとる。
【0055】
コンパレータ(一致検出回路)62は、受信コマンドAMとログ要求コマンドBMの対応する成分同士(A0,B0),(A1,B1),…,(An,Bn)が入力される(n+1)個の否定排他的論理和(XNOR)回路61−0,61−1,…,61−nと、それらのXNOR回路61−0,61−1,…,61−nの出力の論理積をとるAND回路63とを有している。このコンパレータ62の出力(これを「コマンド一致信号」と呼ぶ。)EQUは、受信コマンドAMとログ要求コマンドBMとが一致するときHレベルとなり、受信コマンドAMとログ要求コマンドBMとが一致しないときLレベルとなる。
【0056】
上記ログ要求コマンド検出部52は、このコマンド一致信号EQUによって、受信データがログ要求コマンドBMを含むか否かを確実に検出することができる。
【0057】
なお、AND回路64は、コマンド一致信号EQUと、後述のコマンド完了通知CN(ログ情報を読み出す処理中はHレベル、それ以外の期間はLレベルをとる。)との論理積をとって、その結果をゲート信号GSとして出力する。このゲート信号GSは、受信データがログ要求コマンドを含むことが検出された後、ログ情報が外部へ送信完了するまでの期間はHレベル、それ以外はLレベルをとる。このゲート信号GSは、
図2中に示した送信経路切替部54へ送られる。
【0058】
また、後述のコマンド完了通知CNがLレベルに遷移すると、この遷移に応じてシフトレジスタ61をリセットすることによって、コマンド一致信号EQUはLレベルにリセットされる。
【0059】
図2中に示した送信経路切替部54は、制御部41と無線送受信部90との間に接続された第1バッファ55と、ログ記憶部インタフェース53(より詳しくは、後述のログ情報読出部75)と無線送受信部90との間に接続された第2バッファ56と、インバータ57とを有している。第1バッファ55は、ゲート信号GSによって制御される。この第1バッファ55は、ゲート信号GSがHレベルにある期間はオフして、制御部41と無線送受信部90との間のデータ経路を遮断する一方、ゲート信号GSがLレベルにある期間はオンして、制御部41と無線送受信部90との間のデータ経路を確立する。第2バッファ56は、インバータ57によってゲート信号GSを反転させたゲート信号GS#によって制御される。この第2バッファ56は、ゲート信号GS#がLレベルにある期間(つまり、ゲート信号GSがHレベルにある期間)はオンして、ログ記憶部インタフェース53と無線送受信部90との間のデータ経路を確立する一方、ゲート信号GS#がHレベルにある期間(つまり、ゲート信号GSがLレベルにある期間)はオフして、ログ記憶部インタフェース53と無線送受信部90との間のデータ経路を遮断する。要するに、受信データがログ要求コマンドを含むことが検出された後、外部へのログ情報の送信が完了するまでの期間は、ログ記憶部インタフェース53と無線送受信部90との間のデータ経路が確立される一方、制御部41と無線送受信部90との間のデータ経路が遮断される。それ以外の期間は、制御部41と無線送受信部90との間のデータ経路が確立される一方、ログ記憶部インタフェース53と無線送受信部90との間のデータ経路が遮断される。
【0060】
ログ記憶部インタフェース53は、
図5中に具体的に示すように、制御部41とログ情報記憶部45とにそれぞれI
2CまたはSPIインタフェースによって接続されたアクセス切替部71と、このアクセス切替部71に接続されたログ情報読出部75とを有している。
【0061】
アクセス切替部71は、制御部41とログ情報記憶部45との間に接続された第3バッファ72と、ログ情報記憶部45とログ情報読出部75との間に接続された第4バッファ73と、インバータ74とを有している。第3バッファ72は、コマンド一致信号EQUによって制御される。この第3バッファ72は、コマンド一致信号EQUがHレベルにある期間はオフして、制御部41がログ情報記憶部45にアクセスするのを禁止する一方、コマンド一致信号EQUがLレベルにある期間はオンして、制御部41がログ情報記憶部45にアクセスするのを許容する。第4バッファ73は、インバータ74によってコマンド一致信号EQUを反転させた信号EQU#によって制御される。この第4バッファ73は、信号EQU#がLレベルにある期間(つまり、コマンド一致信号EQUがHレベルにある期間)はオンして、ログ情報読出部75がログ情報記憶部45にアクセスするのを許容する一方、信号EQU#がHレベルにある期間(つまり、コマンド一致信号EQUがLレベルにある期間)はオフして、ログ情報読出部75がログ情報記憶部45にアクセスするのを禁止する。要するに、アクセス切替部71は、受信データがログ要求コマンドを含むとき、制御部41がログ情報記憶部45にアクセスするのを禁止し、ログ情報読出部75がログ情報記憶部45にアクセスするのを許容する一方、受信データがログ要求コマンドを含まないとき、制御部41がログ情報記憶部45にアクセスするのを許容し、ログ情報読出部75がログ情報記憶部45にアクセスするのを禁止する。
【0062】
ログ情報読出部75は、カウンタ76と、アドレス生成部77と、データバッファ78と、データ生成部79と、データ送信部80とを有している。
【0063】
コマンド一致信号EQUがLレベルからHレベルへ遷移した時点で、アドレス生成部77は、ログ情報記憶部45の先頭アドレスから順にアドレスの指定を開始する。このアドレスの指定に同期して、データ生成部79は、データバッファ78を介してログ情報記憶部42の指定されたアドレスのデータを順次末尾アドレスまで読み出す。これにより、ログ情報記憶部42に格納されているログ情報を読み出す。データ生成部79が読み出したログ情報は、データ送信部80を介して、既述の送受信切替部54の第2バッファ56へ送られる。
【0064】
また、コマンド一致信号EQUがLレベルからHレベルへ遷移した時点で、カウンタ76は、コマンド完了通知CNを、ログ要求コマンドの実行が未完であることを表すHレベルに遷移させる。カウンタ76は、上述のデータ生成部79によるデータの読み出しと並行して、アドレス生成部77によるアドレスの指定数をカウントする。そして、ログ情報記憶部42の末尾アドレス(または予め定められたアドレス)まで指定が完了すると、コマンド完了通知CNを、コマンド実行が完了したことを表すLレベルに遷移させる。このコマンド完了通知CNは、検出部52へ送られる。
【0065】
このようにして、ログ記憶部インタフェース53は、コマンド一致信号EQUがHレベルにある期間は、ログ情報記憶部45にアクセスして、ログ情報記憶部45に格納されているログ情報を読み出し、読み出したログ情報を送受信切替部54の第2バッファ56へ送る。一方、ログ記憶部インタフェース53は、コマンド一致信号EQUがLレベルにある期間は、制御部41がログ情報記憶部45にアクセスするのを許容する。
【0066】
この例では、コントロール部50は、集積回路の一種であるCPLD(Complex Programmable Logic Device)によって構成されている。
【0067】
次に、このノード装置21の全体としての動作を、主に
図2と
図5を参照しながら説明する。
【0068】
このノード装置21では、ログ要求コマンド検出部52は、無線送受信部90を通して受けた受信データと、ログ要求コマンド保持部51に保持されているログ要求コマンドBMを表すデータとを比較して、受信データがログ要求コマンドBMを含むか否かを検出する。
【0069】
受信データがログ要求コマンドBMを含まないとき、制御部41は、通常の動作、すなわちこのノード装置の用途に応じた各種処理を実行する。また、制御部41は、そのような各種処理を実行する動作中に、処理内容や警告などの履歴を逐一記録したログ情報を作成する。受信データがログ要求コマンドBMを含まないとき(具体的には、コマンド一致信号EQUがLレベルにある期間)は、ログ記憶部インタフェース53(具体的には、
図5中のアクセス切替部71)によって、制御部41がログ情報記憶部45にアクセスするのが許容される一方、ログ情報読出部75がログ情報記憶部45にアクセスするのが禁止される。したがって、ログ情報読出部75ではなく、制御部41がログ情報記憶部45にアクセスして、ログ情報記憶部45にログ情報を格納する(またはログ情報記憶部45からログ情報を読み出す)ことができる。また、受信データがログ要求コマンドBMを含まないとき(具体的には、ゲート信号GSがHレベルにある期間)は、送信経路切替部54によって、制御部41と無線送受信部90との間のデータ経路が確立される一方、ログ記憶部インタフェース53と無線送受信部90との間のデータ経路が遮断される。したがって、制御部41は、無線送受信部90を介して、このノード装置21の外部、例えばネットワーク上のコンピュータ装置と通信することができる。このとき、ログ情報読出部75と無線送受信部90との間のデータ経路は遮断されているので、制御部41が無線送受信部90を介して外部と通信する情報の流れに対して、コントロール部50が影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0070】
ノード装置21に関して何らかの障害が発生した時、コントロール部50は、このノード装置21の外部、例えば遠隔地のコンピュータ装置から、ログ要求コマンドBMを含む受信データを無線送受信部90を通して受けるものとする。その場合、上記ログ要求コマンド検出部52によって、受信データがログ要求コマンドBMを含むことが検出される。
【0071】
受信データがログ要求コマンドBMを含むとき(具体的には、コマンド一致信号EQUがLレベルにある期間)は、ログ記憶部インタフェース53(具体的には、
図5中のアクセス切替部71)によって、制御部41がログ情報記憶部45にアクセスするのが禁止される一方、ログ記憶部インタフェース53(具体的には、
図5中のログ情報読出部75)がログ情報記憶部45にアクセスするのが許容される。したがって、制御部41ではなく、ログ情報読出部75がログ情報記憶部45にアクセスして、ログ情報記憶部45からログ情報を読み出すことができる。また、受信データがログ要求コマンドBMを含むとき(具体的には、ゲート信号GSがHレベルにある期間)は、
図2中の送信経路切替部54によって、制御部41と無線送受信部90との間のデータ経路が遮断される一方、ログ記憶部インタフェース53(具体的には、
図5中のログ情報読出部75)と無線送受信部90との間のデータ経路が確立される。したがって、ログ情報記憶部45からログ情報読出部75が読み出したログ情報を、無線送受信部90を介して外部へ送信することができる。このとき、制御部41と無線送受信部90との間のデータ経路は遮断されているので、ログ情報読出部75から無線送受信部90を介して外部へ送信されるログ情報の流れに対して、制御部41が影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0072】
このようにして、このノード装置21では、受信データがログ要求コマンドBMを含むとき、コントロール部50が、制御部41とは独立に、ログ情報記憶部45からログ情報を読み出して無線送受信部90に送信させる処理を行う。したがって、制御部41に故障が発生した場合であっても、ノード装置21を分解することなく、このノード装置21から離れた遠隔地でログ情報を取得することが可能になる。
【0073】
例えばノード装置21に関して何らかの障害が発生した時、このノード装置21から離れた遠隔地にあるコンピュータ装置が、ログ要求コマンドBMを含むデータを上記ネットワークを介してノード装置21の無線送受信部90へ送信する。ノード装置21のコントロール部50は、上記コンピュータ装置からの受信データを無線送受信部90を通して受ける。コントロール部50は、受信データがログ要求コマンドBMを含むとき、制御部41とは独立に、ログ情報記憶部45からログ情報を読み出して無線送受信部90に送信させる処理を行う。そして、上記コンピュータ装置が、ノード装置21の無線送受信部90からネットワークを介してログ情報を受信する。したがって、ノード装置21に含まれた制御部41に故障が発生した場合であっても、上記コンピュータ装置がノード装置21から離れた遠隔地でログ情報を取得することが可能になる。
【0074】
また、ノード装置21のコントロール部50は、実行すべき処理がログ情報に関する処理に限定されているので、CPUやソフトウェアを用いることなく、ハードウェアのみによって構成され得る。具体的には、この例では、コントロール部50を構成するログ要求コマンド保持部51、ログ要求コマンド検出部52および送信経路切替部54は、比較的簡単な電子回路によって構成されている。また、ログ記憶部インタフェース53は、集積回路の一種であるCPLD(Complex Programmable Logic Device)によって構成されている。市販のCPLDは、購入後にユーザ(この例では、ノード装置の作製者)の手許で内部論理回路を定義・変更できる仕様になっている。したがって、CPLDを用いてログ記憶部インタフェース53を構成することができる。この結果、コントロール部50全体をハードウェアのみによって構成することができる。そのようにコントロール部50がハードウェアのみによって構成された場合、CPUやソフトウェアを用いてコントロール部50を構成する場合に比して、コントロール部50自体に故障が発生する可能性を少なくできる。したがって、このノード装置21から離れた遠隔地でログ情報を確実に取得することができる。
【0075】
なお、ノード装置21のコントロール部50を、ソフトウェアで動作するCPUによって構成することも可能である。
【0076】
上述のノード装置21では、無線送受信部90とコントロール部50とが共通の1枚の基板101上に搭載されている(これにより、無線モジュール46を構成している)ので、コントロール部50を設けることによって基板数が増えることがない。したがって、このノード装置21がコンパクトに構成される。なお、上記基板101上に、さらに、制御部41とログ情報記憶部45が搭載されていても良い。これにより、このノード装置21がさらにコンパクトに構成される。
【0077】
また、上述のノード装置21では、無線送受信部90はデータを無線で受信または送信するので、このノード装置21に対して、例えば外部のコンピュータ装置から無線で通信を行うことができる。この形態は、このノード装置21に対して有線通信のための配線を設けることが困難である場合に、有益である。
【0078】
これに対して、
図6に示す別の実施形態のノード装置22のように、無線送受信部90に代えて、データを有線で受信または送信する有線送受信部90′を設けても良い。このノード装置22では、有線送受信部90′とコントロール部50とが共通の1枚の基板101上に搭載されて、有線モジュール46′を構成している。この有線送受信部90′はデータを有線で受信または送信するので、このノード装置22に対して、例えば外部のコンピュータ装置から有線で通信を行うことができる。この形態は、このノード装置22の周りの電波状態にかかわらず、このノード装置22の外部からこのノード装置22に対して通信を行えるので、有益である。
【0079】
また、
図7は、さらに別の実施形態のノード装置23のブロック構成を示している。
図7では、
図2中の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付している。これにより、重複した説明を省略する。
【0080】
このノード装置23は、筐体100内に、無線モジュール46(したがって、第1の送受信部としての無線送信部90)とは別に、第2の送受信部としての有線LAN通信部49を備えている。
【0081】
この有線LAN通信部49は、この例では、基板102上に搭載された、有線LANコントローラ81と、パルス波形の信号を伝送するためのパルストランス82と、外部からLANケーブルを接続するためのRJ45コネクタ83とを有している。有線LANコントローラ81は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)にしたがって、ネットワークとしてのインターネットを介した通信に関する処理を行う。
【0082】
制御部41は、コントロール部50とは独立に、有線LAN通信部49を介してこのノード装置23の外部、例えば遠隔地のコンピュータ装置と通信可能である。
【0083】
なお、有線LAN通信部49の基板102は、制御部41とログ情報記憶部45を搭載した基板と共通であっても良い。さらに、この基板102は、無線モジュール46の基板101と共通であっても良い。これにより、このノード装置21がコンパクトに構成される。
【0084】
このノード装置23によれば、先に述べたノード装置21、22に比して、使用される態様のバリエーションが増える。例えば、このノード装置23が、有線LAN通信部49を介してネットワーク上の上位のコンピュータ装置と通信可能に接続されるとともに、無線送信部90を介してネットワーク上の下位のセンサ装置と通信可能に接続されるような使用態様が可能となる。
【0085】
例えば
図8は、そのような使用態様として、このノード装置23を複数台(それぞれを符号23A,23B,23C,…で区別する。)含む一実施形態のネットワークシステム1の構成を示している。
【0086】
このネットワークシステム1は、上位のコンピュータ装置としての1台のクライアントPC(パーソナルコンピュータ)10と、複数台のノード装置23A,23B,23C,…と、複数台の下位のセンサ装置30A,30B,30C,30D,30E,30F,30G,…とを含んでいる。
【0087】
クライアントPC10は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)にしたがって有線通信を行う有線LAN通信部11と、Wi−Fi(登録商標)によって無線通信を行う無線LAN通信部12とを備えている。クライアントPC10と複数台のノード装置23A,23B,23C,…とは、互いの有線LAN通信部11,49によって、ネットワークとしてのLAN2を介して、それぞれ有線通信可能に接続されている。
【0088】
また、ノード装置23A,23B,23C,…の各々に、複数台のセンサ装置30A,30B,30C,30D,30E,30F,30G,…が、Wi−Fi(登録商標)によって無線通信可能に接続されている。
【0089】
これらのセンサ装置30A,30B,30C,30D,30E,30F,30G,…は、各センサ装置の用途に応じて、温度、湿度、照度、流速、加速度、圧力などのセンサデータを検出する。
【0090】
この使用態様では、センサ装置30A,30B,30C,30D,30E,30F,30G,…によって取得されたセンサデータが、それぞれ対応するノード装置23A,23B,23C,…に送られて一旦保持され、それらのノード装置23A,23B,23C,…からクライアントPC10に送られる。
【0091】
ここで、例えばノード装置23Aに関して何らかの障害が発生した時、クライアントPC10は、例えばLAN2を介した有線通信によって、そのノード装置23Aへログ要求コマンドBMを送る。ノード装置23Aでは、コントロール部50(
図7参照)とは独立に、有線LAN通信部49を介して制御部41へログ要求コマンドBMが伝わる。仮にノード装置23Aの制御部41が正常に動作していれば、制御部41は、ログ情報記憶45からログ情報を読み出し、コントロール部50とは独立に、有線LAN通信部49を介して外部へ送信する。したがって、
図8中のクライアントPC10は、ログ情報を取得することができる。
【0092】
一方、ノード装置23Aに関して障害が発生した時、そのノード装置23Aの制御部41に故障が発生していれば、クライアントPC10は、LAN2を介した有線通信によってはログ情報を取得することができない。このとき、クライアントPC10は、無線LAN通信部12を用いた無線通信によって、そのノード装置23Aへログ要求コマンドBMを送る。ノード装置23Aでは、受信データがログ要求コマンドBMを含むとき、コントロール部50(
図7参照)は、制御部41とは独立に、ログ情報記憶部45からログ情報を読み出して無線送信部90に送信させる処理を行う。したがって、
図8中のクライアントPC10は、無線LAN通信部12を用いた無線通信によって、ノード装置23Aから離れた遠隔地でログ情報を取得することができる。
【0093】
なお、上の例では、クライアントPC10がログ要求コマンドBMを送信してログ情報を取得するものとしたが、これに限られるものではない。例えば、従来例における保守拠点コンピュータのような別のコンピュータ装置が、障害が発生したノード装置23Aに対して、無線通信によってログ要求コマンドBMを送信してログ情報を取得しても良い。
【0094】
また、上の使用態様では、このノード装置23が、有線LAN通信部49を介してネットワーク上の上位のコンピュータ装置と通信可能に接続されるとともに、無線送信部90を介してネットワーク上の下位のセンサ装置と通信可能に接続されるものとした。このノード装置23に代えて、既述のノード装置21(
図1、
図2参照)を用い、外部との通信を、専ら無線送受信部90を介して行うものとしても良い。
【0095】
この場合、ノード装置21がクライアントPC10と通信を行う期間とセンサ装置30A,30B,…と通信を行う期間とは、重ならないものとする。
【0096】
例えば、ノード装置21とセンサ装置30A,30B,…との間の無線通信については、ノード装置21から或るセンサ装置に対して要求があったときに、無線通信が許可されて、そのセンサ装置からノード装置21へデータが送信されるものとする。センサ装置からのセンサデータの取得が完了すると、ノード装置21は無線通信を遮断する。これにより、ノード装置21は通信期間をコントロールして、上記ノード装置21がクライアントPC10と通信を行う期間とセンサ装置30A,30B,…と通信を行う期間とが重なるのを避けることができる。
【0097】
または、ノード装置21とセンサ装置30A,30B,…との間の無線通信については、各センサ装置から対応するノード装置21へ定期的に或る長さの期間だけセンサデータが送信され、センサデータの受信が完了する都度、ノード装置21はセンサ装置へ受信完了信号(ACKと呼ぶ。)を返すものとする。さらに、ノード装置21がクライアントPC10と通信している期間は、ノード装置21が受信完了信号ACKを返さず、これに応じて、或る期間が経過後にセンサ装置がセンサデータを再送するものとする。これにより、上記ノード装置21がクライアントPC10と通信を行う期間とセンサ装置30A,30B,…と通信を行う期間とが重なるのを避けることができる。
【0098】
上述の実施形態では、ネットワークシステム1は、コンピュータ装置として1台のクライアントPC10を含んだが、これに限られるものではない。ネットワークシステム1は、複数台のクライアント装置を含んでも良いし、サーバ装置、ホストコンピュータなど、ネットワークを介して通信可能な様々なコンピュータを含んでも良い。