(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両用電源装置を構成する電池セルの数は例えば80個以上であり、多数の電池セルの側面の膨出の有無を視認するには多大の労力と時間を要している。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、電池セルの側面の膨出の有無を簡単かつ確実に確認する上で有利な車両用電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の電池セルを収容するトレーを備え、前記トレーは、前記複数の電池セルを、それらの側面を保持しかつそれらの側面の間に隙間を確保する仕切り板を有する車両用電源装置であって、前記仕切り板は、前記複数の電池セルが前記トレーに収容された状態で、前記トレーの外部から隣り合う電池セルの側面間の隙間を通して視認可能な位置に、前記複数の電池セルの側面と異なる色の蛍光色が着色された蛍光部を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、トレーの外部から隣り合う電池セルの側面間の隙間を通して蛍光部が視認できるか否かによって電池セルの側面の膨出の有無を簡単かつ確実に確認することができる。
また、蛍光部の色が電池セルの側面の色と異なる色であるため、隣合う電池セルの側面間の隙間を通して蛍光部が見易くなり、電池セルの側面の膨出の有無を確認する上で有利となる。
請求項2記載の発明によれば、蛍光部の色が電池セルの側面の色と補色の関係にある色であるため、隣合う電池セルの側面間の隙間を通して蛍光部が見易くなり、電池セルの側面の膨出の有無を確認する上で有利となる。
請求項3記載の発明によれば、隣り合う電池セルの側面間の隙間を通して底壁に設けられた仕切り板に具備された蛍光部が視認できるか否かによって電池セルの側面の膨出の有無を簡単かつ確実に確認することができる。
請求項4記載の発明によれば、隣り合う電池セルの側面間の隙間を通して周壁に設けられた仕切り板に具備された蛍光部が視認できるか否かによって電池セルの側面の膨出の有無を簡単かつ確実に確認することができる。
請求項5記載の発明によれば、周壁に形成された窓から隣り合う電池セルの側面間の隙間を通して周壁部に設けられた仕切り板に具備された蛍光部が視認できるか否かによって電池セルの側面の膨出の有無を簡単かつ確実に確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
車両用電源装置10は、モータを駆動源とした電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車に搭載され、走行用のモータに電力を供給するものである。
図1に示すように、車両用電源装置10は直列に接続された複数の電池モジュール12と、支持フレーム2と、カバー4とを含んで構成されている。
支持フレーム2は、各電池モジュール12の下部を収容している。
カバー4は、支持フレーム2に収容された各電池モジュール12の上部を覆った状態で支持フレーム2に着脱可能に取着される。
各電池モジュール12は、支持フレーム2とカバー4とによって挟持されることで保持されている。
車両用電源装置10は、支持フレーム2を介して車体に取着されている。
【0009】
図2に示すように、各電池モジュール12は、直列に接続された複数の電池セル14を含んで構成され、それら複数の電池セル14はトレー16に収容されている。したがって、本実施の形態では、
図1に示すように、トレー16に3つの電池セル14が収容された状態で、3つの電池セル14が支持フレーム2とカバー4により挟持された状態で保持されている。
【0010】
電池セル14は二次電池であり、本実施の形態では、電池セル14がリチウムイオン二次電池で構成されている場合について説明するが、本発明はリチウムイオン二次電池以外の二次電池にも適用可能である。
図6に示すように、本実施の形態の電池セル14は、電極体18と、該電極体18を収容するケース20とを備えている。
ケース20は、横長の矩形板状を呈し、本体部22と、蓋部23とを備えている。本体部22、蓋部23の材料としては、ステンレス、アルミニウム、スチールなど従来公知の様々な金属材料が使用可能である。
本体部22は、底面2202と、互いに平行する一対の平坦な側面2204と、互いに平行する一対の端面2206とを備え、上部が開放された収容空間を有している。
電極体18は、本体部22の内部に収容されている。
電極体18は、正極と負極との間にセパレータが介在された帯体が複数回巻回された巻回体で構成されている。
蓋部23は、本体部22の内部を閉塞するように本体部22に接合されている。
蓋部23には、電極体18に接続する正側の電極24および負側の電極26が設けられ、正側の電極24は正側の集電体を介して電極体18の正極に接続され、負側の電極26は負側の集電体を介して電極体18の負極に接続されている。
【0011】
図2乃至
図5に示すようにトレー16は、底壁28と、底壁28の周囲から起立する周壁30と、仕切り板32とを備えている。
底壁28は、複数の電池セル14の底面2202が載置される箇所であり、平面視長方形を呈している。
周壁30は、互いに対向する一対の周壁部である第1側壁部3002と、互いに対向する一対の周壁部である第2側壁部3004とを有している。第1側壁部3002はトレー16の縦方向に延在し、第2側壁部3004はトレー16の横方向に延在している。
【0012】
仕切り板32は、本実施の形態では、底壁28および一方の第1側壁部3002に設けられている。
仕切り板32は、底壁28に載置された複数の電池セル14を、それらの側面2204を互いに平行に維持しかつそれらの側面2204の間に隙間を確保した状態で各電池セル14を保持するものである。
底壁28に設けられた仕切り板32Aは、電池セル14のケース20の高さの1/5よりも低い高さを有し、底壁28の縦方向の全長にわたって延在している。したがって、仕切り板32Aは、底壁28に載置された隣り合う電池セル14の側面2204の底壁28に沿って延びる辺である側面下部に当接しつつ側面2204の下部に沿って延在している。
第1側壁部3002に設けられた仕切り板32Bは、電池セル14の側面2204の幅の1/5よりも低い高さを有し、第1側壁部3002の上下方向の全長にわたって延在している。したがって、仕切り板32Bは、底壁28に載置された隣り合う電池セル14の側面2204の上下方向に延びる辺である側面側部に当接しつつ側面2204の側部に沿って延在している。これにより、仕切り板32Bは、車両が受ける入力によっても電池セル14が倒れず、隣り合う電池セル14の間に平衡な隙間が確保できるように各電池セル14を保持する。
また、仕切り板32Bに対向する第1側壁部3002の箇所に、隣り合う電池セル14の側面2204間の隙間を通して仕切り板32Aおよび32Bの視認を可能とした窓3010が形成されている。
また、窓3010は、トレー16に収容された各電池セル14の間に空気を流通させる機能をも果たし、電池の冷却や保温および換気用などを行うための空気が流れる。
【0013】
図3,
図4に示すように、仕切り板32は、複数の電池セル14がトレー16に収容された状態で、トレー16の外部から隣り合う電池セル14の側面2204間の隙間を通して視認可能な位置に、図中多数の点により黒色系のハッチングで示すように蛍光色が着色された蛍光部Pを具備する。
本実施の形態では、
図2に示すように、蛍光部Pは、底壁28から突設された仕切り板32Aの上部と、第1側壁部3002から突設された仕切り板32Bの先部に蛍光塗料が塗布されることで設けられている。
また、本実施の形態では蛍光塗料を塗布することで蛍光部Pを設けたが、他の手段により蛍光色が着色された蛍光部Pを設けても良い。
【0014】
次に、作用効果について説明する。
なお、電池セル14の側面2204が膨らむ場合、側面2204の中央部が最も顕著に変位し、側面2204の周辺に至るにつれて変位が少ない。
メインテナンス時に、カバー4を外して、電池モジュール12を視認する。
図3に示すように電池モジュール12を上方から視認した場合、底壁28に設けられた仕切り板32Aの上縁の蛍光部Pが視認できると、電池セル14の側面2204が膨らんでいないと簡単に判断できる。
より詳細には、隣り合う電池セル14の側面2204の中央部間において、仕切り板32Aの延在方向の中間部の上縁の蛍光部Pが視認できると、電池セル14の側面2204が膨らんでいないと簡単に判断できる。
また、底壁28に設けられた仕切り板32Aの上縁の蛍光部Pが視認できないと、電池セル14の側面2204が膨らんでいると簡単に判断できる。
【0015】
また、
図4に示すように、窓3010を通して一方の第1側壁部3002に設けられた仕切り板32Bの先部の蛍光部Pが視認できると、電池セル14の側面2204が膨らんでいないと簡単に判断できる。
より詳細には、窓3010を通して隣り合う電池セル14の側面2204の中央部間において、仕切り板32Bの先部の蛍光部Pが視認できると、電池セル14の側面2204が膨らんでいないと簡単に判断できる。
あるいは、トレー16の斜め上方から第1側壁部3002に設けられた仕切り板32Bの先部の蛍光部Pが視認できると、電池セル14の側面2204が膨らんでいないと簡単に判断できる。
より詳細には、窓3010が設けられた第1側壁部3002の上方から、隣り合う電池セル14の側面2204の中央部間を通して、仕切り板32Bの底壁28寄りの箇所の蛍光部Pが視認できると、電池セル14の側面2204が膨らんでいないと簡単に判断できる。
また、一方の第1側壁部3002に設けられた仕切り板32Bの先部の蛍光部Pが視認できないと、電池セル14の側面2204が膨らんでいると簡単に判断できる。
したがって、第1の実施の形態では、電池モジュール12を上方から視認しても、あるいは、窓3010を通して視認しても、あるいは、電池モジュール12を斜め上方から視認しても、電池セル14の側面2204の膨出の有無を簡単かつ確実に確認することができる。
【0016】
この場合、蛍光部Pの色を電池セル14の側面2204の色と異なる色とすると、隣合う電池セル14の側面2204間の隙間を通して蛍光部Pが見易くなり、電池セル14の側面2204の膨出の有無を確認する上で有利となる。
また、蛍光部Pの色を、電池セル14の側面2204の色と補色の関係にある色とすると、隣合う電池セル14の側面2204間の隙間を通して蛍光部Pが見易くなり、電池セル14の側面2204の膨出の有無を確認する上で有利となる。
【0017】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では、底壁28に設けられた仕切り板32Aと、一方の第1側壁部3002に設けられた仕切り板32Bとの双方に蛍光部Pを設けたが、第2の実施の形態は、一方の第1側壁部3002に設けられた仕切り板32Bのみに蛍光部Pを設けた点が第1の実施の形態と相違している。
なお、以下の実施の形態では第1の実施の形態と同様の部分、部材には同一の符号を付してその説明を省略しあるいは簡単に説明する。
図7〜
図9に示すように、複数の電池セル14がトレー16に収容された状態で、トレー16の外部から隣り合う電池セル14の側面2204間の隙間を通して視認可能な仕切り板32の箇所に図中ハッチングで示すように蛍光部Pを設けている。
第2の実施の形態では、第1側壁部3002から突設された仕切り板32Bの先部に蛍光部Pを設けており、底壁28から突設された仕切り板32Aの上部には蛍光部Pを設けていない。
【0018】
次に、作用効果について説明する。
メインテナンス時に、窓3010を通して第1側壁部3002に設けられた仕切り板32Bの先部の蛍光部Pが視認できると、あるいは、トレー16の斜め上方から第1側壁部3002に設けられた仕切り板32Bの先部の蛍光部Pが視認できると、電池セル14の側面2204が膨らんでいないと簡単に判断できる。
より詳細には、窓3010を通して隣り合う電池セル14の側面2204の中央部間において、仕切り板32Bの先部の蛍光部Pが視認できると、電池セル14の側面2204が膨らんでいないと簡単に判断できる。
あるいは、窓3010が設けられた第1側壁部3002の上方から、隣り合う電池セル14の側面2204の中央部間を通して、仕切り板32Bの底壁28寄りの箇所の蛍光部Pが視認できると、電池セル14の側面2204が膨らんでいないと簡単に判断できる。
また、第1側壁部3002に設けられた仕切り板32Bの先部の蛍光部Pが視認できないと、電池セル14の側面2204が膨らんでいると簡単に判断できる。
したがって、第2の実施の形態でも、電池セル14の側面2204の膨出の有無を簡単かつ確実に確認することができる。
【0019】
なお、電池セル14の側面2204の膨出の有無を簡単かつ確実に確認する観点から次のような構成も採用可能である。
すなわち、実施の形態では、底壁28に設けられた仕切り板32Aが底壁28の縦方向の全長にわたって延在している場合について説明したが、底壁28に設けられる仕切り板32Aは、隣り合う電池セル14の側面2204の中央部間に対応した箇所にのみ設けてもよい。
また、実施の形態では、第1側壁部3002に設けられた仕切り板32Bが第1側壁部3002の上下方向の全長にわたって延在している場合について説明したが、第1側壁部3002に設けられる仕切り板32Bは、窓3010を有する場合には、隣り合う電池セル14の側面2204の中央部間に対応した箇所にのみ設けてもよく、あるいは、窓3010を有しない場合には、底壁28寄りの箇所にのみ設けても良い。
また、実施の形態では、蛍光部Pを、底壁28に設けられた仕切り板32Aの上縁の全長にわたって設けた場合について説明したが、蛍光部Pは、隣り合う電池セル14の側面2204の中央部間に対応した底壁28の箇所にのみ設けるようにしてもよい。
また、実施の形態では、蛍光部Pを、第1側壁部3002の先部の全長にわたって設けた場合について説明したが、蛍光部Pは、窓3010を有する場合には、隣り合う電池セル14の側面2204の中央部間に対応した箇所にのみに設けてもよく、あるいは、窓3010を有しない場合には、底壁28寄りの箇所にのみに設けてもよい。