特許第5923996号(P5923996)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5923996光ファイバの線引き炉ならびに光ファイバの線引方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5923996
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】光ファイバの線引き炉ならびに光ファイバの線引方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 37/014 20060101AFI20160516BHJP
   C03B 37/029 20060101ALI20160516BHJP
   G02B 6/02 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   C03B37/014 Z
   C03B37/029
   G02B6/02 356A
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-13614(P2012-13614)
(22)【出願日】2012年1月26日
(65)【公開番号】特開2013-151394(P2013-151394A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153110
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100099069
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 巌
(72)【発明者】
【氏名】榎本 正
(72)【発明者】
【氏名】山崎 卓
(72)【発明者】
【氏名】早川 正敏
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 学
(72)【発明者】
【氏名】上ノ山 憲博
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−339024(JP,A)
【文献】 特開昭53−040537(JP,A)
【文献】 特開2005−008475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B37/00−37/16
G02B 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダミー棒に連結されたガラス母材を炉心管に収容し、外部から加熱装置により加熱して光ファイバに線引きする光ファイバの線引き炉であって、
前記炉心管の、前記加熱装置により直接加熱される以外の領域の少なくとも上方側を、加熱領域から前記ガラス母材を伝播して輻射される輻射光を透過する石英ガラスからなるチャンバで形成し、該チャンバの外側が前記輻射光を反射する反射材で覆われていることを特徴とする光ファイバの線引き炉
【請求項2】
前記反射材は、金属反射材であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバの線引き炉
【請求項3】
前記金属反射材は、アルミ箔であることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバの線引き炉
【請求項4】
前記チャンバと前記反射材との間に、気体が介在する間隙を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバの線引き炉
【請求項5】
ダミー棒に連結されたガラス母材を炉心管に収容し、外部から加熱装置により加熱して光ファイバに線引きする光ファイバの線引方法であって、
前記炉心管の、前記加熱装置により直接加熱される以外の領域の少なくとも上方側を、加熱領域から前記ガラス母材を伝播して輻射される輻射光を透過する石英ガラスからなるチャンバで形成し、該チャンバの外側を前記輻射光を反射する反射材で覆って加熱することを特徴とする光ファイバの線引方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス母材を焼結や延伸し、さらにはガラスファイバを線引きするのに用いられる光ファイバの線引き炉ならびに光ファイバの線引方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバ用のガラス母材は、外付け気相蒸着法(OVD法)や気相軸付法(VAD法)で製造されたガラス微粒子堆積体(多孔質ガラス母材)を、加熱炉で脱水・焼結して透明ガラス化される。また、透明ガラス化されたガラス母材は、必要に応じて加熱炉で加熱延伸されて所定外径のガラス母材とされる。そして、前記のようにして製造されたガラス母材は、さらに加熱炉により加熱溶融されて、例えば、外径が125μmのガラスファイバに線引きされる。
【0003】
上記のガラス母材を加熱する加熱炉は、耐熱性のあるカーボンまたは石英ガラスで形成された炉心管内に、ガラス母材を吊り下げ支持させて収容し、炉心管の外側をヒータ等の加熱装置で加熱する構造が一般的である。ガラス母材は、ダミー棒(ガラスロッド、支持棒ともいう)に連結されて、吊り下げ装置により支持される。炉心管は高温になるため、炉内カーボン部品の酸化による消耗・劣化を抑制するために、また、炉心管内に収容されるガラス母材に外部からの不純物が付着するのを防止するために、炉心管上部で外気の流入を防ぐために気密を取り、炉心管内にはアルゴンガスやヘリウムガス等の希ガスや窒素ガス(以下、不活性ガス等という)が導入される。
【0004】
炉心管の上部、若しくは上部と下部の延長上にガラス母材が収容される内径を有する石英製の煙突状の延長部(チャンバ)を設け、該チャンバ内をガラス母材が昇降して順次加熱されるようにし、また、チャンバ内に外気(酸素)が入り込まないようにする構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、加熱炉からの熱がガラス母材を伝播して外部に放出されるのを抑制するために、ガラス母材やガラス母材を吊り下げ支持するダミー棒の上方に赤外線や可視光を反射させる反射部材を配することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−145671号公報
【特許文献2】特開2006−193379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されるような加熱炉の炉心管で、ヒータ等の加熱装置で直接加熱される領域はカーボンで形成し、この領域以外の炉心管の上方、若しくは上方と下方の延長上に設けられたチャンバは、加熱される領域より温度上昇が低いことから、石英ガラスで形成することがある。また、多孔質ガラス母材を焼結する加熱炉やガラス母材を延伸する加熱炉では、ヒータ等の加熱装置で直接加熱される領域を含めて、炉心管の全体を石英ガラスで一体に形成することもある。
【0007】
加熱炉内において、加熱装置による加熱で生じた輻射光は、ガラス母材が比較的上部位置にある場合、その多くがガラス母材の上方部分とガラスロッドを伝播して上部チャンバ内に放射される。加熱装置による炉心管の加熱温度が2500K位の輻射光の黒体輻射スペクトルは、3μm以下の波長範囲でスペクトル強度が大きくなる。一方、石英ガラスは、3μm以下の波長の光の吸収係数がほぼゼロで、そのほとんどが透過される。したがって、炉心管の上方、若しくは、上方と下方のチャンバが石英ガラスで形成されている場合、ガラス母材とダミー棒を伝播してチャンバ内に放射される輻射光のエネルギーは、そのほとんどがチャンバ壁部を透過して外部に放射されてしまう。また、特許文献1のようにチャンバの外側を断熱材で覆う場合もあるが、断熱材からの放熱分は、ガラス母材の加熱には寄与されず加熱炉の加熱効率がさほどよくはならない。
【0008】
なお、上述した特許文献2には、反射部材を用いることにより加熱炉外への輻射熱の放出を抑制するとされているが、ガラス母材の肩の部分およびガラスロッド上部のみに反射部材を設け、上方向のみの輻射光を反射させるだけであり、チャンバ外に放散されるエネルギーを加熱炉内に十分に戻してやることはできない。また、反射部材として金属を用いているが、加熱炉内に金属があるとこれが汚染源となり、ガラス母材に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
本発明は、上述した実状に鑑みてなされたもので、炉心管の上部、若しくは、上部と下部に設けられた石英ガラスからなるチャンバからのエネルギー放散を抑制し、加熱効率のよい光ファイバの線引き炉ならびに光ファイバの線引方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による光ファイバの線引き炉ならびに光ファイバの線引方法は、ダミー棒に連結されたガラス母材を炉心管に収容し、外部から加熱装置により加熱して光ファイバに線引きする光ファイバの線引き炉ならびに線引方法であって、炉心管の、加熱装置により直接加熱される以外の領域の少なくとも上方側を、加熱領域からガラス母材を伝播して輻射される輻射光を透過する石英ガラスからなるチャンバで形成し、該チャンバの外側を輻射光を反射する反射材で覆って加熱することを特徴とする。
上記の反射材は、金属反射材であり、また、アルミ箔で形成することができる。また、上記のチャンバと反射材との間に、気体が介在する間隙を有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、炉心管の上部及び下部に設けられた石英ガラスからなるチャンバの外側を覆う反射材により、チャンバ内に放射された輻射光をガラス母材側に反射させて戻すことができ、カラス母材の加熱に寄与させることができる。この結果、ガラス母材に悪影響を及ぼすことなく、加熱炉の加熱効率を高めて消費電力を少なくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明による加熱炉を焼結炉に適用した例を示す図である。
図2】本発明による加熱炉を線引炉に適用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図により本発明の実施の形態を説明する。図1は、光ファイバ用の多孔質ガラス母材(以下、ガラス母材という)を脱水・焼結して透明ガラス化する加熱炉(焼結炉)の例を説明する図である。図において、10は加熱炉、11はガラス母材、11aはシード棒、12はダミー棒、13は連結部、14は炉心管、15a〜15cはヒータ、16は断熱材、17は炉筐体、18は上部チャンバ、18aは蓋体、18bは貫通孔、19は下部チャンバ、30は反射材、31は間隙を示す。
【0014】
ガラス母材11は、少なくとも一方の端部にガラス微粒子を堆積させる出発ガラスとなったシード棒11aを有し、該シード棒にダミー棒12(ガラスロッド、支持棒ともいう)を融着、若しくは、連結部材を介して連結部13で接続一体化されて、ガラス焼結用の加熱炉10内に収容される。なお、ガラス母材11は、ダミー棒12の上端を支持装置(図示省略)で把持することで、上下方向に移動可能に吊り下げ支持される。
【0015】
加熱炉10は、ガラス母材11が挿入収容される炉心管14を囲むようにして、加熱用のヒータ15a〜15cが配され、このヒータの熱が外部に放散されないようにカーボンフェルト等の断熱材16で囲い、その外側全体を炉筐体17で囲って構成される。ヒータは、例えば、図に示すように複数個配され、そのオン・オフを制御することにより、ガラス母材11の脱水・焼結が行われるように構成されている。
【0016】
炉心管14は、炉筐体17の上方に突き出るように延長させた上部チャンバ18(上部延長管ともいう)と、炉筐体17の下方に突き出るように延長させた下部チャンバ19(下部延長管ともいう)を有している。炉心管14は、炉筐体17内にあってヒータ15a〜15cからなる加熱装置により高温に加熱されることから、耐熱性のあるカーボン若しくは石英ガラスで形成される。上部チャンバ18および下部チャンバ19は、炉心管14および炉筐体17からの熱伝導により加熱されるが、加熱装置による直接の加熱は受けない領域にあることから、炉心管14よりは加熱温度が低く、通常は石英ガラスで形成される。
【0017】
図1では、炉心管14自体を石英ガラスで形成した例を示し、この場合、石英ガラス製の上部チャンバ18および下部チャンバ19は、炉心管14と一体に形成することができる。しかし、上部チャンバ18、下部チャンバ19は、炉心管14とは別体で形成し、交換可能に連結するように構成することもできる。なお、上部チャンバ18および下部チャンバ19には、ガスの給排口が設けられ、外部からの不純物がガラス母材に付着するのを防止するために、ヘリウムガス等の不活性ガス等が導入される。
【0018】
上部チャンバ18の上端を封止(シール)する蓋体18aには、ダミー棒12を移動可能に通す貫通孔18bが設けられる。貫通孔18bとダミー棒12との隙間は、炉内に供給されたガスが外部に漏れたり、外部の空気が炉内に入り込まないように、シール構造(図示省略)を用いて気密にシールされる。また、下部チャンバ19もシールされた構造とされる。
【0019】
上記のように構成された加熱炉10では、ヒータ15a〜15cによりガラス母材が加熱される。ガラス母材の透明ガラス化が進行すると、輻射光(波長3μm以下の輻射光)はガラス母材、ダミー棒の石英ガラスを透過して、上部チャンバ18や下部チャンバ19に向けて放射される。上部チャンバ18、下部チャンバ19が、石英ガラスのみの構成であると、ガラス母材、ダミー棒等を透過した輻射光は、上部チャンバ18や下部チャンバ19も透過し、輻射光のエネルギーは外部に放散され有効に活用されないことになる。
【0020】
本発明においては、少なくとも上部チャンバ18の外側を、上記の輻射光を反射する反射材30で囲うことにより、上部チャンバ18に放射された輻射光を反射させて、輻射光のエネルギーを炉内に戻して熱効率の向上を図り、省エネ化することを特徴としている。反射材は上部チャンバの外側にあるので、反射材が汚染源となって、ガラス母材にロス増などの悪影響を与えることもない。
図では、上部チャンバ18の外側のみに反射材30を配した例で示したが、下部チャンバ19側も、同様に反射材で囲うようにしてもよい。
【0021】
反射材30としては、金属などの耐熱性のあるものが望ましく、例えば、ステンレス、インコネル、アルミ金属を用いることができる。反射材30は、図1(A)に示すように、上記したような金属を予め円筒状に成形し、上記のチャンバの外側に嵌合させる形態としてよいが、金属箔をチャンバの外側に配する形態であってもよい。成形した金属を用いる場合は、反射材30のチャンバの外面に対向する内面に、鏡面加工や反射膜が付されていることが好ましい。
反射材としてアルミ箔を用いると、価格的にも安価である。なお、このアルミ箔を上部チャンバ18の外側に配しただけでも、10%程度の省エネを図ることができた。
【0022】
また、反射材30として予め金属を成形したものを用いる場合は、図1(B)に示すように上部チャンバ18と反射材30との間に間隙31(例えば、1cm程度)を有するようにして、この間隙31に空気または不活性ガス等を流すようにすることが好ましい。この間隙31を設けることにより、反射材30が上部チャンバ18に接触して熱伝導で加熱されるのを低減することができるので、熱で反射材30の反射面が酸化して反射効率が低下するのを抑制することができる。また、流れを作ることにより、反射材30と上部チャンバ18との間に熱をこもらせないようにすることができる。間隙31には、空気または不活性ガス等を強制的に流すようにしても良く、自然対流による流れがあるだけでも良い。
【0023】
図2は、光ファイバの線引きに用いる加熱炉(線引炉)の例を説明する図である。図において、20は加熱炉、21はガラス母材、21aは上端部、21bは下端部、22はダミー棒、23は連結部、24は炉心管、25はヒータ、26は断熱材、27は炉筐体、28は上部チャンバ、28aは蓋体、28bは貫通孔、29は下部チャンバを示す。
【0024】
光ファイバが線引きされるガラス母材21は、図1で説明した多孔質ガラス母材11を脱水・焼結して透明ガラス化されたガラス母材である。光ファイバの線引きは、吊下げ支持されるガラス母材21の下部を加熱し、加熱溶融により下端部21bからガラスの光ファイバを溶融垂下させて所定の外径となるように線引きして行われる。このガラス母材21は、その上端部21aにダミー棒22(ガラスロッド、支持棒ともいう)が、融着、若しくは、連結部材を介して連結部13で接続一体化され、線引用の加熱炉20内に収容される。ガラス母材21は、ダミー棒12の上端を支持装置(図示省略)で把持することで、上下方向に移動可能に吊り下げ支持される。
【0025】
加熱炉20は、ガラス母材21が挿入収容される炉心管24を囲むようにして、加熱用のヒータ25が配され、このヒータの熱が外部に放散されないようにカーボンフェルト等の断熱材26で囲い、その外側全体を炉筐体27で囲って構成される。炉筐体27の上方には、炉心管24と同程度の内径を有する上部チャンバ28(上部延長管、上煙突ともいう)が配され、その上端にダミー棒22が挿通される貫通孔28bを有する蓋体28aを配して封止(シール)される。また、炉筐体27の下方には、炉心管24の内径より縮径された内径を有する下部チャンバ29(下部延長、下煙突もいう)が配される。
【0026】
炉心管24は、炉筐体27内にあってヒータ25からなる加熱装置によりガラス溶融温度以上の高温に加熱されることから、耐熱性のあるカーボンで形成される。これに対し、上部チャンバ28は、炉心管24および炉筐体27からの熱伝導により加熱されるが、加熱装置による直接の加熱は受けない領域にあることから、炉心管24よりは加熱温度が低い。このため、上部チャンバ28は石英ガラスで形成することが可能となる。
【0027】
炉心管24の酸化・劣化を防ぐために、炉心管24内には、上部チャンバ28に設けたガス供給口から、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス等が流し込まれる。なお、この不活性ガス等は、ガラス母材21と炉心管24の隙間を通って、下部チャンバ29の下方のシャッター部分から線引きされた光ファイバと共に外部に放出される。ダミー棒22が移動可能に挿通される貫通孔28bは、外部の空気が炉内に入り込まないように、シール構造(図示省略)を用いて気密にシールされる。
【0028】
本例においても、図1で説明した加熱炉と同様に、上部チャンバ28に石英ガラスを用いると、加熱による炉心管24からの輻射光(波長3μm以下の輻射光)は、ガラス母材、ダミー棒の石英ガラスを透過して、上部チャンバ28に向けて放射される。上部チャンバ28が、石英ガラスのみの構成であると、ガラス母材、ダミー棒等を透過した輻射光は、上部チャンバ28も透過し、輻射光のエネルギーは外部に放散され有効に活用されないことになる。
【0029】
したがって、図2の本例においても、図1の例と同様に、上部チャンバ28の外側を上記の輻射光を反射する反射材30で囲い、上部チャンバ28に放射された輻射光を反射させて、輻射光のエネルギーを炉内に戻して加熱効率の向上を図り、省エネ化するのが望ましい。反射材30を上部チャンバ28の外側に設置しているので、反射材が汚染源となって、光ファイバにロス増などの悪影響を与えることもない。
【0030】
反射材30としては、図1の例と同様に金属などの耐熱性のあるものが望ましく、例えば、ステンレス、インコネル、アルミ金属を用いることができる。また、反射材30は、図2(A)に示すように、上記したような金属を予め円筒状に成形し、上記のチャンバの外側に嵌合させる形態としてよいが、金属箔をチャンバの外側に配する形態であってもよい。成形した金属を用いる場合は、反射材30のチャンバの外面に対向する内面が、鏡面加工や反射膜が付されていることが好ましい。
なお、反射材としてアルミ箔を用いると、価格的にも安価である。このアルミ箔を上部チャンバ28の外側に配しただけでも、図1(A)の場合と同様に10%程度の省エネを図ることができた。
【0031】
また、反射材30として予め金属を成形したものを用いる場合は、図2(B)に示すように上部チャンバ28と反射材30との間に間隙31(例えば、1cm程度)を有するようにして、この間隙31に空気または不活性ガスを流すようにすることが好ましい。この間隙31を設けることにより、反射材30が上部チャンバ18に接触して熱伝導で加熱されるのを低減することができるので、熱で反射材30の反射面が酸化して反射効率が低下するのを抑制することができる。また、流れを作ることにより、反射材30と上部チャンバ18との間に熱をこもらせないようにすることができる。間隙31には、空気または不活性ガス等を強制的に流すようにしても良く、自然対流による流れがあるだけでも良い。
【符号の説明】
【0032】
10,20…加熱炉、11,21…ガラス母材、12,22…ダミー棒、13,23…連結部、14,24…炉心管、15a〜15c,25…ヒータ、16,26…断熱材、17,27…炉筐体、18,28…上部チャンバ、18a,28a…蓋体、18b,28b…貫通孔、19,29…下部チャンバ、30…反射材、31…間隙。
図1
図2